こどものとも年中向き 発売日・バックナンバー

目次:
かげゾウ
富安陽子 文/荒井良二 絵

■内容のご紹介
幼稚園の上を大きな雲が流れていきます。雲のかたちはゾウみたい。おや、地面をすべる影が立ち上がって、影のかげゾウになりました。子どもたちは大喜びで、かげゾウの背中に乗ったり、鼻のすべり台をすべったり。大きな大きなかげゾウは、子どもたちの全力の「遊びたい!」という気持ちをたっぷり満足させてくれます。

■編集部より
空の雲を見ていて、あれは何の形、などと子どもが教えてくれることがよくありますね。そんなひとときを、富安陽子さんがなんとも幸せなおはなしにされました。子どもたちの全力の「遊びたい!」という気持ちを受け止めて、おもいきり遊んでくれるかげゾウ。ゆったりのびやかなことばが、子どもの心にむけてまっすぐに語られます。

荒井良二さんの色彩ゆたかな絵は、ことばと一体になって、あざやかな世界を立ちあがらせました。影が立ち上がって動き出すという空想の世界が、おおらかに、かつみごとなリアリティをもって描かれています。

国内外で高い評価を得、多数の著作があるおふたりの、意外にも初となる共作です。絵本のよろこびをたっぷりと、どうぞ。

■作者のことば
主人公は雲の影 富安陽子

我が家のキッチンから見える町並の北側には緑の山々が連なっています。夏の良く晴れた日に眺めていると、空を流れる雲の影が山肌の上をすべっていくのが、はっきりと見えます。しだいに形を変える雲と影との様子が面白くて、台所仕事の手を止めて私はいつも見とれてしまいます。

この絵本の主人公は、象の形をした雲の影です。広々とした園庭までやってきた雲の影は、きっと子どもたちと遊びたくなったのでしょう。地面からムクリ!と起き上がります。そして、子どもたちを背中にのっけたり、かくれんぼをしたり……。

この物語を書き上げた時、どなたに絵をお願いしたらいいのだろうと悩みました。だって、地面に落ちた影がムクリと起き上がるだなんて。文章で書くのは簡単ですが、絵にするとなると、さぞ難しいだろうなあ……と。実体のない影が起き上がり、物体となって命を持たなければならないのです。そして、影と子どもたちが一緒に動き、遊び、心を通わせなくてはなりません。こんな難しいことを、どなただったら絵に描いてくださるのだろうと考えるうち、荒井良二さんに描いていただけたらなあ、という想いが募りました。だから引き受けていただけた時は天にも昇る気持ちでした。

完成した絵を見た時には、その何十倍も嬉しくなりました。自由でのびやかで、光と色彩に溢れた世界が「早く遊びにおいでよ」と子どもたちを物語の世界に誘っているようです。一人でも多くの子どもたちがこの世界にやって来て、かげゾウと友だちになってくれますように!

■著者情報
富安陽子
1959年、東京都生まれ。おもな作品に『やまんば山のモッコたち』(2002年IBBYオナーリスト)「やまんばのむすめ まゆのおはなし」シリーズ(降矢なな 絵)『ここは、ようかいチビッコえん』(大島妙子 絵/以上、福音館書店)『さくらの谷』(松成真理子 絵、第52回講談社絵本賞/偕成社)など多数。大阪府在住。

荒井良二
1956年、山形県生まれ。おもな作品に『たいようオルガン』(2008年IBBYオナーリスト)『あさになったので まどをあけますよ』(第59回産経児童出版文化賞大賞)『きょうはそらにまるいつき』(第22回日本絵本賞大賞/以上、偕成社)など多数。2005年、日本人ではじめてアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。東京都在住。
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でっかい はくさい くださいな
渡辺鉄太 文/北村人 絵

■内容のご紹介
自転車に乗れるようになったりんくんは、お母さんにおつかいをたのまれて、八百屋さんへ白菜を買いにいきます。自転車でびゅんびゅん風を切って走るっていい気持ち! りんくんは八百屋さんで、お母さんがびっくりするような、でっかい白菜を買いました。でっかい白菜を自転車のカゴに乗せて、ぐらぐらしながら家に帰ります。無事に白菜を持って帰れるでしょうか。

■編集部より
はじめて自転車に乗れたときの誇らしさや高揚感を憶えていらっしゃるでしょうか。本作では自転車に乗れるようになったばかりのりんくんが意気揚々とおつかいに出かけます。渡辺鉄太さんのリズミカルな言葉と、北村人さんののびやかな絵が重なり合って、ゆかいなほら話の世界ができあがりました。りんくんの愛らしさに、みなさんもきっと魅了されることでしょう。

実際には、自転車でのおつかいは未就学児には難しいもの。だからこそ子どもたちの挑戦したい気持ちが、この作品を通して自由に大きくふくらんでいくことを願っています。

■作者のことば
息子が買ってきた、でっかい、でっかい白菜 渡辺鉄太

白菜は、図体が大きい割には、地味な野菜かもしれません。少なくとも絵本にはあまり登場しません。でも我が家には欠かせない大事な野菜で、鍋、餃子、野菜炒め、浅漬けなど、しょっちゅう食べています。だから今回は、『でっかい はくさい くださいな』に、その隠れたスターに登場してもらったわけです。

私の書く絵本の物語は、たいがいは本当にあった出来事が元になっています。『でっかい はくさい くださいな』もそうです。メルボルンの我が家から車でちょっと行ったところに大きなアジア人街があって、ここのマーケットでは、白菜でもモヤシでも大根でも豆腐でも何でも売っています。レストランもたくさんあり、ベトナム料理や中華料理は本場さながらの味です。息子は、ここで餃子や麺類を食べるのが大好きなので、自動車の免許を取った時は、真っ先にひとりでここへ運転して餃子を食べに行きました。

その時うちに電話してきて、「今マーケットにいるんだけど何か買って帰ろうか?」と言いました。その声からは、息子の得意そうな顔が目に浮かんできます。「じゃあ、何か好きな野菜でも買ってきてよ」と頼んだところ、史上最高にでっかい白菜を抱えて帰ってきました。私も妻も、「こんなにでっかい、でっかい白菜は見たことない!」と、のけぞりました。それを聞いた息子は、得意そうに「うへん、うへん」と笑いました。

その後しばらく我が家では、せっせと白菜の入った料理を食べました。

■著者情報
渡辺鉄太(わたなべてつた)
1962年、東京都生まれ。大学勤務を経て、現在は子どもの本の創作、翻訳などを行っている。絵本に『ぱくぱく はんぶん』『でっかい さかなつり』(「こどものとも年中向き」2022年4月号)『くつ ぬげた!』(「こどものとも年少版」2022年3月号)、訳書に『どうながのプレッツェルとこいぬたち』(以上、福音館書店)、訳書に『クマと仙人』(父・渡辺茂男との共訳/のら書店)「としょかんねずみ」シリーズ(瑞雲舎)など。オーストラリア在住。

北村人(きたむらじん)
1981年、東京都生まれ。東海大学教養学部卒業。フリーのイラストレーターとして創作、広告、装画などで幅広く活躍する中、2012年『万次郎さんとおにぎり』で絵本作家デビュー。絵本は他に『万次郎さんとすいか』『万次郎さんとたぬきのこ』(「こどものとも」2021年5月号/以上すべて文・本田いづみ)『せっしゃは にんじゃ』(「こどものとも年中向き」2025年4月号)『こんばんは こんばんは』(「同」2024年5月号/以上、福音館書店)など多数。神奈川県在住。
ターニャちゃんのスカート
洞野志保 作

■内容のご紹介
ターニャちゃんは、長い髪に憧れる女の子。ある日、スカートを頭にかぶってみると、長い髪に大変身。嬉しくなって、みんなに見てもらおうと三輪車で出かけました。でも、誰も長い髪をほめてくれません。子どものささやかな憧れが遊びの中で満たされていく様子をスロバキア在住の画家が、独特の色づかいで丁寧に描きます。

■編集部より
子どもは布一枚身にまとっただけで、お姫さまやヒーローに変身できます。そして、すっかりなりきって振る舞います。イメージの中で、自由に願望や憧れを実現させることができるのですから、楽しいでしょうね。

このお話は、著者の洞野さんの友人のお姉さんがモデルで、幼いころ、長い髪に憧れて、幼稚園に行くのも、散歩に行くのも、スカートを被って行ったそうです。主人公のターニャちゃんは、最後には、楽しいパレードまでできて、すっかり満足してうちに帰ることができます。

読者の子どもたちもきっとやってみたくなることでしょう。洞野さんは、スロバキアで、絵を学び、独特の色づかい、筆づかいで、この作品世界を表現しています。

■作者のことば
「役者ですね」 洞野志保

息子が1歳くらいのとき、ルームメイトだった友人が息子と遊んでくれながら、子どものころの癖や習慣についての話に花が咲きました。そしてふと、自分のお姉さんの子どものころの話をしてくれました。

友人のお姉さんは小さいとき、髪が伸びるのが遅かったそうです。3 歳くらいになっても一度も散髪の必要がなくて、男の子のように髪が短かったので、頭にスカートをかぶって、でかけるようになったということです。幼稚園に行くのにも、散歩に行くのにも。

彼女たちの出身はスロバキアの北のほうにある村です。お姉さんは、スカートをかぶって、村中を三輪車で乗り回していたのだそうです。

その話を聞いたとき、スカートをかぶって三輪車に乗っている女の子の姿がありありと頭に浮かびました。なんとも素敵な光景だっただろうなと思いました。そんな姿を見られたら良いのになあと思いました。そんなことを考えているうち、このターニャちゃんのお話がうかんできました。

友人はお姉さんから、そのときどうして、どういう気持ちでスカートをかぶっていたのかは、聞いたことがないそうです。短い髪を隠したかったのか、それとも髪が長いことにしたかったのか、それとも、アラビアンナイトのお姫様になりたかったのか。帽子ではなく、わざわざスカートをかぶったということは、短い髪を隠すためだけではないことは、想像できます。きっと髪の長い女の子か、お姫様になりきっていたのでしょうか。

今は4 歳になったうちの息子も、ごっこ、なりきり遊びが大好きです。大好きな虫になりきってみたり、なりきりごっこ遊び万歳! ですね。

■著者情報
洞野志保(どうのしほ)
1977年、北海道生まれ。女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻版画コース卒業。2004年よりスロバキアのブラチスラバ美術大学のドゥシャン・カーライ氏のもとで版画とイラストレーションを学ぶ。絵本に『まるきのヤンコ』『いぶくろ』(「こどものとも年中向き」2018年12月号)『みっつのふえを もらった ヤーノシュ』(「こどものとも」2025 年2月号)『きつねどん』(ビリケン出版)『あくまとけしのみ』(偕成社)、童話の挿絵に『せなかのともだち』(PHP研究所)などがある。スロバキア在住。
めだまやきがにげました
鬼頭祈 作

きょうの朝ごはんは、めだまやき。フライパンに卵を2つ割り入れて、ジュー……あっ、めだまやきが逃げました! 逃げためだまやきは家を飛び出し、街頭に、人ごみに、公園に、つぎつぎ隠れてしまいます。おかしな追いかけっこは、やがて思わぬ展開へ。あっけらかんとしたユーモアあふれる、絵探しとナンセンスのおはなしです。

■編集部より
絵本や絵画作品、広告、書籍装画など幅広く活躍する鬼頭祈さんの作品には、気ままに動く小さな人やものがよく登場します。

なにを考えているのか分かるような分からないような、そのひょうひょうとした佇まいが作品の魅力にもなっています。

本作のめだまやきたちも、目指す場所があるのか、あるいは行き当たりばったりで走っているだけなのか、本気で隠れる気があるのか、それとも遊んでいるだけなのか、それは当人(?)たちにしか分かりません。

そんなめだまやきたちの奔放な逃走劇は、子どもたちの自由な空想と共振するようで、保育園で試し読みしてくれた子どもたちは驚くほどいっぺんにとりこになっていました。

おおらかなユーモアと爽快な空想の世界、ぜひ子どもたちと一緒にお楽しみください。

■作者のことば
「Have a nice trip!」鬼頭祈
 
はじまりは確か3年くらい前。

絵本のアイデアがなかなか浮かばないので、スケッチブックにラクガキをしていました。気づいたら、2つの目のめだまやきを描いていました。しかも足が生えていて、フライパンから片足を出して、逃げようとしてるところ。「やばい、みつかっちゃった」みたいな感じで、こっちを見ています。逃げたそうにしていましたが、その日は逃がす気になれませんでした。めだまやきが外に出ても逃げ場所はないし、危険でしょ……? などと勝手な心配の気持ちがあったのかもしれません。

このことは忘れたふりをして日々を過ごしていました。でも、絵本のアイデアを練っているときや、めだまやきを食べているとき、あのオレンジ色の2つの目が私のことをじっと見ているような気がしました。そわそわしてしまいます。

それからしばらく経ち、思い切ってフライパンの外に逃げためだまやきを描いてみました。すると、あっという間に家を出て、街に逃げていきました。そして仲間を集めて、飛行機で飛んでいきました。 

ずいぶん遠くに逃げたなあと思います。今は、空港の展望デッキからめだまやきたちの飛行機を見送っているような気持ちです。

描き終わってから気づいたのですが、P16の風見鶏を見ると、逃げた方角は南。つまり、めだまやきたちは飛行機で南へ向かったようです。いったい南に何があるんでしょうか。オーストラリアに行って、巨大な鳥、エミューのでっかいめだまやきとかを仲間にするのでしょうか。もう私にもわかりません。

めだまやきたちの快適な空の旅を祈っています!

■著者情報
鬼頭祈(きとういのり)
1991年、静岡県生まれ。京都造形芸術大学日本画コース卒業。日本画の技法を生かし、小人などをモチーフとした現代的な絵画を制作する。国内外の個展を中心に活動するとともに、広告やアニメコラボグッズなどにも作品を提供している。第190回ザ・チョイス入選。絵本に『スプーンのおうじさま』(文・黒﨑美穂/「こどものとも年中向き」2018年3月号)『いちごになりました』(福音館書店)『こびとのおうち』(WAVE出版)『さくら ふわり くるり』(小峰書店)がある。東京都在住。
ともだちドライブ バロバロブーン!
たしろちさと 作

仲良しの自動車たち、きいちゃん・あおくん・みどりちゃんが、一緒にドライブに出かけます。

でも、きいちゃんはのんびり屋で遅れすぎ、あおくんはせっかちで先に行きすぎて、他のふたりからはぐれてしまいます。

それでもなんとか合流できましたが、今度はみどりちゃんが、深い森の中で迷子になってしまいます。はたして無事に友だちと出会えるのでしょうか。

■作者のことば
「バロバロブーンとどこまでも」たしろ ちさと
我が家には、もう一人(一台?)の家族がいます。スーパーセブンというクラシックなスポーツカーで、名前はナナ子。スーパーセブンの7からとりました。

ナナ子はちょっと変わった自動車で、まず、屋根がありません。ドアもありません。ナナ子に乗る時には、エイっとまたいで乗ります。

バロバロバロというエンジン音と共に、風を切って走るスポーツカーです。サーキットを走ることもありますし、公道を走ることもできる自動車なのでお見かけになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

我が家のナナ子も、時々ツーリングなどでスーパーセブンの友だちに会いに出かけます。

編集者さんと、この自動車を主人公に絵本をつくれないかというおはなしを始めたのは、数年前に遡ります。その後ほどなく始まったコロナウィルスの流行によって、会いたい人に会えない日々が続きましたが、その間も時折、編集者さんが送ってくださるメールが、とても有難かったことを憶えています。

「今日はスーパーセブンのこんなシーンを妄想しています」……こんな明るいメールが、私をおはなしの世界に引き戻してくれました。

試行錯誤を重ねて、3人の友だち、のんびりきいちゃん、せっかちあおくん、きまぐれみどりちゃんが生まれ、絵本ができあがりました。

遅れてしまえば待っていてくれたり、行きすぎてしまえば追いついてきてくれたり、迷ってしまえば探しにきてくれる友だち……きいちゃん、あおくん、みどりちゃんは、いっしょに走ることを思いっきり楽しみます。風に乗ってバロバロブーンと、どこまでも。

■編集部より
たしろちさとさんのご自宅で、いっぷう変わった車の模型を見つけたのは2019年ごろのことでした。ふたり乗りらしい小ぶりな円筒形の車体は、蒸気機関車のようなレトロな魅力があり、大きなヘッドライトはパッチリ開いた目のよう。

このスーパーセブンという車の魅力を中心に絵本ができないかというところから出発して、いつしか、仲良しの友だちと一緒に出かけるうれしさ、一緒にいられる喜びを祝福するようなおはなしができあがっていきました。それは、街中で時折見かける、園児のみなさんが隣の友だちと手をつないで楽しそうにお散歩する様子にも重なるようでした。

春の陽気の中、みんなで一緒に「バロバロブーン!」と思い切り走る爽快感をお楽しみください。

■著者情報
たしろちさと
大学卒業後、会社勤めを経て絵本作家に。2001年「おおきなポケット」誌上ではじめての絵本作品『みんなのいえ』を発表(2023年に文渓堂から単行本化)。のち編集者マイケル・ノイゲバウアー氏に見いだされ、『Chameleon's Colors』が世界7ヵ国語で同時刊行されて単行本デビュー(日本語版は『ぼくはカメレオン』グランまま社)。『5ひきのすてきなねずみ ひっこしだいさくせん』(ほるぷ出版)で第16回日本絵本賞受賞、『ぼく うまれるよ』(アリス館)で第21回BIBブラチスラバ世界絵本原画展入選。その他、『すずめくん どこで ごはん たべるの?』(福音館書店)など著書多数。

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はてなさん

吉岡さやか 作

新しいマンションで主人公は「はてなさん」と「あのこ」に出会います。

顔も姿も見えず、話していることも分からない……。

不思議に思っていると「はてなさん」の家のパーティーに招かれます。

部屋に入ると、そこにはきらきらのシャンデリアとピンクのソファ、ピアノが置いてありました。

不思議なお客さんもやってきて、いよいよパーティーが始まります。

編集部より

 子どもたちと接していると、お互いに名前も知らないまま一緒に遊ぶ姿を見かけます。
すこし年齢差があり、ことばや経験に違いがあってもなんのその。
虫を探したり、穴を掘ったり、鬼ごっこをしたり……一緒に楽しい時間を過ごすのに、必ずしもことばはいらないのですね。
 作者の吉岡さんは子どもの頃、引っ越し先のマンションで、新しい友達と一緒に遊んだそうです。
その子の家に行くと、自分の家と同じ間取りなのに雰囲気が違っていて、不思議に思ったそうでした。
新しく人と出会い心を通わせる楽しさが、このお話の原点になっています。
自分と同じ世界をもった友達も、まったく違う世界をもった友達も、読者の子どもたちに素晴らしい出会いが訪れることを願って、この本をおくります。

著者情報

兵庫県神戸市生まれ。第21回ザ・チョイス年度賞入賞。第2回MOEイラスト・絵本大賞グランプリ受賞。
絵を手がけた作品に『シートンの動物記―野生の「いのち」、6つの物語』(集英社)『まちをずんずん』(「こどものとも」2007年10月号)『おにいちゃんのサメ』(「こどものとも年中向き」2014年8月号)、自作の絵本に『おむかえ』(「こどものとも年中向き」2013年4月号)『ミミコが さんぽに でかけたら』(「同」2020年11月号/以上、福音館書店)などがある。大阪府在住。

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きのめとことり

ししどめめ 文 きくちちき 絵

「もう いいかーい」森のなかから声が聞こえてきます。

小さな木の芽たちが、はやく芽を出したくてうずうずしているのです。

あるあたたかな日、ひとつの木の芽が待ちきれずに芽を出しました。

でも、翌日は雪。

若葉に雪が降り積もり、困った木の芽は小鳥に助けを求めます。

冬から春へと遷り変る季節の美しさ、そして青々とした森の生命力が感じられる作品です。

編集部より

 冬は植物や動物が息をひそめ、しんとしずかな季節です。
それは同時に、ふたたび命が芽吹くのを待っている季節でもあります。
お話のなかで、いまかいまかと芽を出そうとする木の芽の姿は、日に日に成長する子どもたちのようですね。
春が来て、森に芽吹いた木の芽たちの表情は、本当にうれしそうです。
 作者のししどめめさんは、天気のよい日にはよく山を歩き、木や鳥のそばで過ごしているそうです。
もうすこし冬は続きますから、みなさんのご自宅のまわりでも、庭や公園の木の枝先に、木の芽が見つかるかもしれません。
小さな自然を観察しながら、一緒に春を待つのも楽しそうですね。
絵本を読み終えたら、ぜひあたたかく着込んで、身のまわりの自然を探しに出かけてみてください。

著者情報

ししどめめ
1952年、東京都生まれ。神奈川県で育つ。絵を描くことが好きで、高校時代から油絵を描き始める。
広告代理店勤務を経て、カルチャースクール等で絵本制作を学ぶ。
本作が初めての絵本出版となる。バードウォッチングと、気ままな山歩き、俳句作りなどを楽しむ。

きくちちき
北海道生まれ。2013年ブラチスラバ世界絵本原画展にて『しろねこくろねこ』(Gakken)で金のりんご賞を受賞。
2019年には『もみじのてがみ』(小峰書店)により同展金牌を、2020年には『しろとくろ』により産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。
絵本に『やまをとぶ』(岩波書店)『いち にの さん』(えほんやるすばんばんするかいしゃ)『いろいろかえる』『ちょうちょ ちょうちょ』(偕成社)『ともだちのいろ』『さくらのふね』(小峰書店)『とらのこ とらこ』(小学館)『でんしゃ くるかな?』『もじもじこぶくん』(福音館書店)『おひさま わらった』(フレーベル館)『パパさんぽ』(文溪堂)『ゆき』(ほるぷ出版)『ゆきのゆきちゃん』(ミシマ社)『くびが にゅーとのびました』(理論社)など多数。神奈川県在住。

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やまやまの へっぴりじさま

小林輝子 再話  梶山俊夫 画

じさまが山へ行くと、「おらいの山の木を切るのは誰だ」と山の神の声がします。

そこで「やまやまの、へっぴりじいだ」と答え、屁を「とっぴんぱらりの ぷっ」と上手にたれると、山の神は大喜び。

りっぱな褒美をくれました。

それを聞いた隣のじさまも山へ行って真似をしますが……。

ユーモアあふれる、おおらかな昔話です。

編集部より

 再話の小林輝子さんの語りの原点にあるのは、子どもの頃から親しんできた、おばあさんの昔話でした。
お住まいも、絵本の舞台そっくりの山々に囲まれ、冬は「かさじぞう」さながらの深い雪に覆われる場所で、梶山俊夫さんが本作の取材に来られたときは、ちょうど紅葉の季節だったそう。
本作の絵が一面オレンジがかっているのは、そのときの強い印象からだといいます。
 そんな小林さんが子どもたちにたくさんの昔話を語ってきたなかで、圧倒的に人気があるのがこの「やまやまのへっぴりじさま」なのだそうです。
「ちゅう、ちゅう、にしきさらさら……」が出るたびに大笑い。
お話のあとも「とっぴんぱらりの、ぷ!」と言い合ってまた笑うんだとか。
 おならの話というと大人はつい顔をしかめてしまいそうですが、子どもたちはこの原始のよろこびを、体いっぱいで味わっているのでしょう。
おおらかな昔話の世界をお楽しみください。

著者情報

小林輝子
1934年、茨城県生まれ。俳句を作るかたわら、昔話を聞き集めている。
句集に『木地師妻』『人形笛』(牧羊社)、絵本に『そばがらじさまと まめじさま』『にぎりめしごろごろ』(ともに福音館書店)などがある。
「風土」同人、俳人協会会員。

梶山俊夫
1935~2015。東京都生まれ。ブラティスラヴァ世界絵本原画展にて金のりんご賞を二度受賞。
抽象絵画やガラス絵、絵巻など、幅広い分野で活躍した。
絵本に『ごろはちだいみょうじん』『さんまいのおふだ』『だごだごころころ』『かえるのごほうび』(以上、福音館書店)など多数。

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ゆきが まちどおしい ヤチネズミさん

あかし のぶこ さく

畑の隅の草むらに、ヤチネズミさんがひっそり暮らしていました。
もうすぐ厳しい冬がやってきます。
雪が降る前に、ノビタキさんは渡りの準備をし、シマリスさんは木の実を集めますが、ヤチネズミさんは雪が降るのが待ち遠しい、と言います。
さて、どうしてでしょう?
北海道に暮らし、野生動物と身近に接するあかしのぶこさんが紡ぐ、あたたかな物語です。

編集部より

 雪のなかにトンネルをつくって過ごすヤチネズミと、樹の洞を巣として利用するヒメネズミ。
厳しい冬を、それぞれに工夫を凝らして懸命に生きています。
北海道に暮らし、長いあいだ野生動物と身近に接してきたあかしのぶこさんが、彼らの姿を真摯に見つめ、物語を紡いでくださいました。
 編集担当が特に好きな場面は、ヤチネズミさんが出発するまでに、だんだん雪の音が変わっていくところです。
比較的あたたかいときに降る重い雪と、寒さが厳しいときのさらさらの雪……。
変わりゆく音に雪国のリアリティが感じられ、本当にその土地に暮らしているような気持ちになります。
寒い冬に起こったあたたかな出会いの物語を、どうぞお楽しみください。

著者情報

あかし のぶこ
京都府生まれ。本名・増田信子。
「ちいさなかがくのとも」に『ねむたい ねむたい ももんがたち』『じーっと じっと』『もりの みんなの やまぶどう』『どろんこ どろんこ はるのみち』『ももんがの ふゆの おうち』『ふぶきが やんだら』『ふくろうのこ おっこちた』『あなほり くまさん』、「たくさんのふしぎ」に『知床 わたしの動物カレンダー』(増田泰 文)『わが家は、野生動物診療所』(竹田津実 文)、「こどものとも」に『もりのブランコ』(以上、福音館書店)など多数。北海道在住。

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あいうえどうぶつ おやすみなさい

小野寺悦子 文  加藤チャコ 絵

「あいうえおおあくび うさぎです/うちの うさぎは いい うさぎ/あさから いっぱい あそんだ うさぎ」。
“かきくけこ”のきりんはこっくりこっくり、“がぎぐげご”のごりらはぎゅっとハグ。
おやすみ前の動物の親子の様子が、あいうえおの詩でうたわれます。
リズミカルな言葉と、愛らしく元気な動物たちの絵が響き合う、うれしいおやすみなさいの絵本です。

編集部より

小野寺悦子さんと加藤チャコさんのコンビが『あいうえどうぶつ おしごとなあに』(「こどものとも」2014年5月号)『あいうえどうぶつ おやつはなあに』(「同」2016年5月号)を続けて刊行されて約10年、ひさしぶりの続編です。
前2作同様、軽快なリズムが楽しい“あいうえお”の詩と、のびやかで元気いっぱいな絵がもりだくさんです。
眠りたくない子も、これなら思わず「ん……んん……おやすみなさい」? この本がお月さまのように、夜のひとときを優しく、そして楽しく照らしてくれますように。

著者情報

小野寺悦子
岩手県生まれ。絵本に『もじもじこぶくん』『もじもじこぶくん ピンクのぼうし』(「こどものとも年中向き」2024年3月号)『どろん ばあ』『あーと いってよ あー』(以上、福音館書店)など多数。詩集に『これこれおひさま』(のら書店)がある。
岩手県在住。

加藤チャコ
宮城県生まれ。メルボルンを拠点に、絵本作家、現代美術家として活動する。
自作の絵本に『おおきなカエル ティダリク』、絵を手がけた絵本に『やぎのアシヌーラ どこいった?』(「こどものとも」2011年10月号)『くつ ぬげた!』(「こどものとも年少版」2022年3月号、ともに渡辺鉄太・文/以上、福音館書店)などがある。
オーストラリア在住。










まてまて からいも さつまいも

木村晃彦 さく

ここは子どもたちが芋ほりにやってくるサツマイモ畑。
ころりさん、ほっそりさん、どっしりさんのお芋三人組が、土から出てきてのんびりしていると、通りかかったイノシシに、どっしりさんが捕まってしまいました。
おいしい焼き芋ができると大喜びのイノシシを、ころりさんとほっそりさんが追いかけます。
はたしてどっしりさんを助け出すことはできるのでしょうか?

編集部より

 「甘藷」「唐芋」「薩摩芋」。これ、すべていわゆる「サツマイモ」を指す言葉です。
お芋大好きな作者の木村晃彦さんが、ふとした拍子に「かんしょ・からいも・さつまいも~」と節をつけて口ずさんだところが、お話の出発点でした。
 子どもたちにとっては、お芋といえばやっぱり芋ほりでしょうか。
「たくさん取ってくるよ」と張り切っているお子さんも多いことでしょう。
本作のお芋たちも、子どもたちに収穫してもらうのを楽しみにしています。絵本を読んで、お芋との出合いにますます期待を膨らませてもらえたらうれしいです。
 木村さんは、お連れ合いと二人三脚で作物を育て、おいしく料理してお客さんにふるまう生活を長年送り、その手作りの実感の中から数々の絵本を描いてこられました。
本作もそんな手触りとあたたかみに満ちた、木村さんならではの世界が広がっています。
イノシシが思い浮かべるおいしそうなお芋料理にもご注目ください。





ピッテラトッコ キャンプにいく

くら ささら 文
おくやま ゆか 絵

ピッテラトッコは、ちっちゃなリスのコックさんです。
ある日、ピッテラトッコはとんがり山の湖へキャンプに行くことにしました。
山へ向かっていると、助けを求める子ウサギたちの声。
腹ぺこな子どもたちのために、ピッテラトッコはありものの材料で絶品料理をふるまいます。
おどろくほど手際よくおいしい料理を作ってくれる、心優しいコックさんの物語。




かみちゃんといしちゃん

谷内つねお さく
黑田菜月 しゃしん

紙のかみちゃんは、遊ぶのが大好き!

今日も遊び相手を探して出かけていくと、石のいしちゃんを見つけました。
いっしょにお散歩していると、とつぜん風が吹いてきて軽いかみちゃんは飛ばされてしまいます。
でも大丈夫。
いしちゃんが重しになって助けてくれました。

性質の異なるものどうしが、互いの違いをおもしろがりながらなかよく遊ぶお話です。




ノムとノマの のいちごつみ

とうごう なりさ さく


ノムとノマは、日本のどこかの里山に暮らす小さなひとたちです。

夏のはじめ、ふたりは湖の島へナワシロイチゴつみに行くことにしました。
手作りの笹舟カヌーに乗り島を目指します。
小さなふたりにとって雑草は木のように大きく、鳥は自分たちより大きな存在。

小さな小さな世界で繰り広げられる自給自足生活を描きます。




あめのひの えんそうかい

かん かおる さく

雨の日がつづき、退屈していたうたは庭へ出ます。
転がっていたバケツをひろうと「ぽいん!」。
バケツの底に雨粒が当たって音が鳴りました。
隣に空き缶を並べると「ぽいん! カン!」。
おなべを並べると「ぽいん! カン! チャッ!」。
楽しい音が鳴り響きます。
カエルやカメも仲間入りしてはじまるのは、雨の日の演奏会。
声に出して楽しい、雨の日の物語です。



どろんこ どろっちょ

こさかまさみ 作
はまぎしかなえ 絵

どろ団子作りがなかなかうまくいかないはるくんですが、失敗する度にどろの中からおばけのような“どろっちょ”たちが飛び出してきて、応援してくれます。
たくさんのどろっちょと一緒に試行錯誤を繰り返すうちに、ついにきれいなどろ団子が完成!
ひとりで熱中する楽しさを描いたどろ遊びの絵本です。
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商品情報・内容

  • 出版社:福音館書店
  • 発行間隔:月刊
  • 発売日:3~5日頃

■ 物語の楽しさに出会う絵本

物語絵本の入り口となる作品から始まって、段々と幅広い絵本の楽しさが味わえるように配列してあります。動物たちの活躍するお話、ゆかいなお話、むかしむかしのお話など、など、バラエティーに富んだ内容です。年中児向きの新作に、≪こどものとも≫≪こどものとも(年中向き)≫の既刊の中から選んだ好評の作品を数点加えて構成します。

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