北方ジャーナル 発売日・バックナンバー

全228件中 1 〜 15 件を表示
【報道】中和興産と中和welfareが迎えた末路

「杉澤正通劇場」開幕─

事業破綻の責任をスタッフと
親族に押し付ける「杉澤親子」

保育事業の中和興産(本社札幌)、障害者福祉事業の中和welfare(同)。ガソリン販売道内大手で知られる中和石油の元社長、杉澤達史氏(故人)の未亡人である杉澤廣子氏(78)と三男である杉澤正通氏(42)が共同経営(登記上の代表者は廣子氏)してきた両社が8月から9月にかけて札幌市の認可および指定を取り消され、事実上破綻した。行政側から不正受給を指摘され総額2億円もの返還を求められる中で、どうやら正通氏はメディアを使って反撃を始めたもようだ──。               (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】狩人、銃を奪われる⑨

そして誰も撃てなくなった

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンターら動揺

言い渡しの瞬間、傍聴席を重苦しい空気が覆った。「被控訴人の請求を棄却する」。自治体の要請でヒグマを駆除して銃を取り上げられたハンターが処分の撤回を求めて起こした裁判は、原告側が全面勝訴判決を得た筈だった。地元公安委員会の控訴で争いが上級審に持ち込まれた結果、改めて示された結論はハンター全面敗訴の逆転判決。駆除の現場に走った動揺は小さからず。即ち「誰も撃てなくなった」――。(小笠原 淳)

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【報道】告発・絶望の学府㉞

「息子の無念晴らして」

自殺学生遺族が慟哭の陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

「道の対応に誠意を感じることはできません」――。本誌前号で伝えた損害賠償請求裁判が10月下旬、函館の裁判所で最初の口頭弁論を迎えた。法廷で意見陳述に立った原告女性は改めて訴訟に込めた思いを語り、裁判所に「適切な判断」を求めた。公立の看護学校で在学生が自ら命を絶つ事件が起きてから、5年あまり。その死と教員のハラスメントとの因果関係をめぐる争いを法廷に持ち込むことは、遺族にとっては決して本意ではなかったという。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈73〉

警察職員 パチンコ店で窃盗

道警不祥事“第3四半期”速報
19歳との飲酒は懲戒に到らず

本稿記者が飽かず続けている地元警察への定期的な情報開示請求で、本年第3四半期(7―9月)に処分などがあった不祥事の記録が出揃った。地元報道が一斉に報じた旭川中央署の不適切飲酒問題への対応を含め、例の如く多数の事案が公式には未発表だったと思われる。報道された形跡のない窃盗事件など、やはり例に漏れず深刻なケースもいくつか。10月下旬に開示された文書から読み取れる事実を、急ぎ報告したい。

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【報道】自民・和田VS立憲・池田 渦中の道5区から今回の衆院選を考える

裏金“戒告”議員の闘い

自公の大敗を招いたのは本当に
“政治とカネ”だけだったのか⁉

体制刷新を好機と捉え、発足から8日後という戦後最短のスピードで解散を強行。10月27日投開票の衆院総選挙に打って出た石破茂自公連立政権。準備不足や疑惑隠しなどと野党から猛烈に批判されたが、結果作戦は大失敗。自公で過半数を18議席も下回る大敗北を喫し現在、少数与党による政権運営を余儀なくされる事態に陥った。この選挙で終始話題にあがっていたのが、いわゆる政治とカネ。だが果たして勝敗を左右したのは、この問題だけだったのか。道内で唯一、いわゆる裏金議員が立候補した道5区の闘いなどを振り返りながら、この選挙が何だったのかを考えたい。 (髙橋貴充)

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【報道】安平川PFAS汚染の深層を探る

問われる道の環境行政

「汚染源の特定」を放置して
どう道民の生活を守るのか

今年7月、先端半導体工場「ラピダス」に供給する工業用水をめぐって北海道が実施した水質調査で、安平川に架かる源武橋から採取した河川水から国の暫定目標値を大きく上回るPFAS(有機フッ素化合物の総称)が検出された。それまで低かった数値は、この橋で大きく上がる。汚染源はどこか探ってみると、ひとつの産業廃棄物処分場の存在に突き当たる──。「ラピダス」でも半導体の製造工程で規制対象外のPFASは使われる予定だ。浮上したこの問題の深層を探ってみた。           (ルポライター・滝川 康治)

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉕──札幌圏で開始された前評判高い宅地造成

札幌の上篠路、江別の野幌に注目
平均土地価格900万円台が脚光

戸建て需要が低迷する中、札幌市北区篠路町上篠路と江別市野幌で、それぞれ51区画と162区画の宅地造成が始まった。札幌市と近郊都市で規模の大きい宅地造成が進行しているのは、この2カ所だけ。双方とも1区画の平均土地価格が900万円台からで、建物を含めた戸建て価格は2000~3000万円台と比較的購入しやすい価格帯になりそうだ。金利高や建設費高騰で買い控えが広がっている戸建て需要が回復する契機になるかもしれない。   (佐久間康介)

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【報道】仁木町商工会前会長が町長と議員らに苦言

根底にある再エネへの無理解
いま、まちの将来を考える時

太陽光発電などの実証実験を宮城県内の事業者に発注した件で官製談合疑惑に揺れる仁木町(佐藤聖一郎町長)。この中で仁木町商工会の津司康雄前会長(84)が佐藤町長や町議会に「再生可能エネルギーという言葉に騙されないでほしい。すでに国内では環境負荷の少ない合成燃料導入の動きもあり、町長や議員はこうした新しいエネルギーについて勉強すべき」と苦言を呈している。津司さんは、風力発電には自然破壊や健康被害など負の側面があるとして関西電力の建設計画に反対。自ら収集した情報をチラシにまとめ地域に配布する活動を続けており、10月の最新版では北海道新幹線の札幌延伸に伴う鉄道廃止が地元に及ぼす影響についても言及している。   (武智敦子)

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【ニュース】

■野次判決確定で公安委「無回答」
 知事部局は「無反応」の要請対応
──違法・違憲認定後も謝罪や検証の求めに明答せず

■新球場に近いJR千歳線新駅建設で
 4年後の開業目指し安全祈願式開催
──総工費は約90億円、完成は2028年夏を予定

■ひきこもりに在宅ワークを提供し
 支援ではなく共創を目指す取組み
──メタ・アンカー社の山田社長が札幌の学習会で講演

■2年目に入った小樽の塩谷福祉会
 「やすらぎ」による家族相談会活動
──さまざまな講師を呼んで「ひきこもり支援」

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【オホーツク特集 2024】網走市長 水谷 洋一氏に訊く

オホーツク網走マラソン10周年
交流都市の拠点、新庁舎完成へ

地域の看板である観光がコロナ禍前の水準に戻り、10周年を迎えた「オホーツク網走マラソン」がランナーによる満足度評価で2年連続全国1位という国内有数の大会に成長した網走市。水谷洋一市長(61)の公約「子育て世代に寄り添う」政策では、子どもの医療費無償化に加え昨年4月から幼稚園や小中学校などの給食無償化に踏み切り、若い世代の負担軽減にも汗をかいた。観光ではホテル不足の解消、水産ではホタテ稚貝の安定供給といった課題があるが、賑わいの創出と行政DXの拠点となる市役所新庁舎の竣工を間近に控えるなど好材料も少なくない。4期目の折り返しを迎えた水谷市長に、まちの現状と展望を訊いた。
  (10月22日収録)

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【オホーツク特集 2024】北見市長 辻 直孝氏に訊く

直面した「財政難」を乗り越えて
オホーツクの拠点として発展を

自治体として道内最大の面積を有す北見市。海、森、畑の幸に恵まれ、中でもたまねぎ、ホタテガイは全国的に知られる地場産品になっている。その一方で、広大な面積ゆえに公共インフラの維持が近年の諸経費高騰もあって大きな負担となることが予想され、将来に向けた財政難が表面化。市役所内部のパワハラ問題の決着が長引くといった課題もある中で、全国に先駆け注目された「書かないワンストップ窓口」に象徴される行政DXの進展や、カーリングのまちとしての盛り上がりなど明るい話題も少なくない。オホーツクの拠点都市、北見市の現状と課題について3期目途上の辻 直孝市長(71)に訊いた。        (10月23日収録)

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【オホーツク特集 2024】紋別市長 宮川 良一氏に訊く

名人戦誘致で市制施行70周年に華
紋別高看新築で地域医療を後押し

今年、市制施行70周年を迎えた紋別市。記念事業のひとつとして誘致した藤井聡太九段が対局する「第82期名人戦七番勝負」は、地域に多くの波及効果をもたらすと同時に、紋別の魅力を全国にあらためて発信する機会になった。観光入り込み数はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、スポーツ合宿も活況で、宿泊施設が足りなくなる状況も出ている。老朽化していた道立紋別高等看護学院が移転新築され、今後は地域医療の拠点である広域紋別病院との連携にも期待がかかる。コロナ禍と避暑地化構想をめぐる汚職事件という困難を経た紋別市の今とこれからを、宮川良一市長(70)に訊いた。 (10月21日収録)

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【オホーツク特集 2024】紋別市長 宮川 良一氏に訊く

名人戦誘致で市制施行70周年に華
紋別高看新築で地域医療を後押し

今年、市制施行70周年を迎えた紋別市。記念事業のひとつとして誘致した藤井聡太九段が対局する「第82期名人戦七番勝負」は、地域に多くの波及効果をもたらすと同時に、紋別の魅力を全国にあらためて発信する機会になった。観光入り込み数はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、スポーツ合宿も活況で、宿泊施設が足りなくなる状況も出ている。老朽化していた道立紋別高等看護学院が移転新築され、今後は地域医療の拠点である広域紋別病院との連携にも期待がかかる。コロナ禍と避暑地化構想をめぐる汚職事件という困難を経た紋別市の今とこれからを、宮川良一市長(70)に訊いた。 (10月21日収録)

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【オホーツク特集 2024】小清水町長 久保 弘志氏に訊く

強く生き残るまちづくりへ
将来に向けた制度の整備を

新庁舎はまちの魅力発信拠点にも

オホーツク管内・小清水町で、近年さまざまなまちのブラッシュアップが続いている。町役場機能だけではなく賑わいも生み、町民の命も守る防災拠点型複合庁舎として2023年5月に供用開始したワタシノ。今年3月にリニューアルオープンした道の駅・はなやか(葉菜野花)小清水では約50席の広々としたフードコートを設けたことなどが奏功して客数が大幅に増加した。9月からは同町の新たな公共交通の在り方を探る、「こしタク」の実証実験も始まった。相次ぐ新しい取り組みについてまちの舵取り役、久保弘志町長(63)に、その経緯などを訊ねた。   
(10月9日取材、髙橋貴充)

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【特集 オホーツク観光2024】

白い大地が呼んでいる

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【連載】ルポ「ひきこもり」111──親側と当事者による本音対談から【前篇】

「何とかせねば」という親のエゴ
家や学校で傷つき戸惑う子ども

長年にわたり家族や当事者のサポートを続け、現在は札幌の「よりどころ」のピアスタッフとして活動する鈴木祐子さん(77)。そして札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」理事で、親なき後をひとりで暮らす吉川修司さん(57)。かねてから親側と当事者の対談企画を考えていたところ、吉川さんの提案を受けて両者による語り合いが実現した。本号から2回にわけてこの時の模様を紹介したい。それぞれの本音から見えてきたものとは──。        (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【108】

大分県日出町大神地区に残る
人間魚雷「回天」の訓練基地跡

“海の特攻兵器”のリアル

旧日本軍の戦況が悪化した1944年から終戦の45年にかけてゼロ戦を中心とする航空機による特攻作戦のほか、旧海軍は兵士が操縦しながら敵艦に体当たりする人間魚雷「回天」で戦局の打開を図ろうとした。全国に4カ所設置された訓練基地のひとつである別府湾に面した大分県速見郡日出町大神地区には魚雷の「調整プール」が今も残り、回天を格納した壕など、かつての基地跡を見学できる。終戦まで4カ月に迫った時期に多くの人員を割いて完成させた大神訓練基地跡を訪れ、非人間的な海の特攻兵器、回天の実態を目の当たりにした。
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●札幌市とココノススキノ運営の東急不動産SCが連携協定締結
●11月にリブランディングしたおはぎ、おむすびのサザエ食品
●ナルク札幌の第18回文化祭でピンコロ劇団が〝笑劇〟を熱演
●3信金の女性職員が事例発表した「信用金庫と共に地域を語る集い」
●北見で始まった市街地再開発 40数年ぶりに変わる「市の顔」
●マスターズヴェラス入居者を対象に日本エスコンが家賃3カ月分を負担
●網走で40数年ぶりに酒蔵復活へ 上川大雪酒造とタッグ組み建設
●赤れんが前庭の秋の人気催事「まるごと根室直送市」開催

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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ジゴクの門の出来事』
【報道】「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」の深層

隠され続ける「誤報道」

“盛られた事実”の拡散と隠蔽で
起きた事件関係者の「二次被害」

雪解けが始まったばかりの公園で見つかった女の子の遺体──。3年前に起きた「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」は、大手メディアのオンライン報道や旭川市が再調査を手がけたことで全国的に注目を浴びた。だが、この事件をめぐる報道に多くの誤りがあったことをほかならぬ同市自身が認定していた事実はあまり知られていない。これらは最初の調査報告書で詳細に指摘されたが、公表にあたり全て黒塗り処理されたからだ。メディアの誤報と行政の隠蔽がもたらした深刻な二次被害とは──。   (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】札幌トロイカ病院に浮上した不正請求疑惑を追う

「不正の舞台はデイケア」
算定基準を満たさず請求か

昨年、開院40周年を迎えた精神科専門病院、社会医療法人共栄会 札幌トロイカ病院(札幌市白石区・有田矩明理事長)で長年にわたり診療報酬の不正請求が続けられてきた疑いが浮上した。複数の関係者が「デイ・ナイトケアの実施時間が算定基準を満たしていないにもかかわらず、時間を偽り請求している」と証言し、入手した関係書類からも不正が日常的に行なわれていることが強く疑われる。419病床という精神科領域における道内有数規模の同病院で、いったい何が起きているのか──。    (工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉝

パワハラ死問題 法廷へ

江差看護・最悪の被害で国賠提訴
遺族「道に裁判を強制された思い」

「ここで諦めては息子が報われない」と、その母親は訴える。3年前の春に北海道立江差高等看護学院で表面化した、教員による日常的なパワーハラスメント問題。一連の事案の中でも最悪の被害といえる在学生の自殺問題が、紆余曲折の挙句に法廷へ持ち込まれることとなった。第三者調査を受けて謝罪した道のその後の「手のひら返し」は、遺族にとっては提訴を促す挑発に等しかったという。即ち「道が裁判を望んだ」――。(小笠原 淳)

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【報道】もの言う自衛官 法廷へ

公益通報 テロ扱い

現職自衛官が陸自に損賠請求
パワハラ告発、上官に筒抜け

所属部隊のパワーハラスメント問題を告発したら、通報内容が部隊に筒抜けになった――。理不尽な被害を受けた現職自衛官の男性が、組織に籍を置いたまま自衛隊を訴える裁判を起こした。匿名の告発人は職場の“犯人捜し”の標的となり、当時の上官から「通報はテロ行為」などの暴言を受けたという。法廷では、被告の国がそれらの暴言や不利益な取り扱いの多くを認める異例の展開に。この秋に幕を開けた裁判で、組織の不正隠蔽疑いはどこまで断罪されることになるのか。(小笠原 淳)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉚

謝罪、処分、検証は…

「排除は違法」で問われる責任
野次国賠敗訴の道が要請黙殺

8月中旬に判決が確定した、首相演説野次排除事件国家賠償請求裁判。排除被害者への損害賠償を命じられた北海道はその後、謝罪や関係者の処分、問題の検証などを求められることとなったが、現時点でいずれにも明答を返していない。一審被告として控訴・上告にまで踏み切った筈の自治体は、5年間続いた争いに突如関心を失ってしまったのか。「慰藉料払って終わり、では済まされない」――。疑問の声が上がり始めるまでに、さほどの時間は要しなかった。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈72〉

パワハラ 5年で倍増

道警・処分は相談数の1割余
相継ぐ不祥事受け本部長通達

本年に入ってから地元警察で相継いでいる職員の不適切行為。小欄では8年あまり前から独自に未発表不祥事を掘り起こしてきたところだが、この9月には地元議会で複数の会派が追及の声を上げ、改めて再発防止の徹底を求めた。そこでは本誌などが伝えた旭川中央署の不適切飲酒問題が俎上に載ったほか、これまでのハラスメント相談の実績などが明かされることに。語られた「絶無をはかる」との目標が実現するのは、果たしていつのことになるのか――。(小笠原 淳)

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【報道】次世代半導体工場「ラピダス」と厄介な化学物質・PFASとの関係

いま、水があぶない

経済発展と環境保全の
両立を目指した対策を

全国各地で今、PFAS(ピーファス)と総称される化学物質がもたらす水道水や食品などへの汚染が問題視されている。体内に取り込まれると血液に溶けやすく、排出されにくい特徴があり、脂質異常症や発癌などの健康被害をもたらすことも。千歳市に進出する次世代半導体工場「ラピダス」をめぐり、住民らの間から工場用水や製造過程で生じる排水などに含まれるPFASの影響を危惧する声を聞く。将来に禍根を残さぬために、この問題をどう考えていけばいいのか──。(ルポライター・滝川 康治)

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉔──2024年度道内基準地価から見える3極化

住宅地、商業地とも上昇の千歳市
札幌市は建築費の高騰で伸び鈍化

道は9月17日、2024年度の基準地価を発表した。道内の住宅地725地点、商業地255地点、工業地15地点、林地18地点、計1013地点で7月1日現在の価格を調査したもので、林地を除く全用途の平均変動率は昨年より0・4%高い4万8200円(1㎡当たり)となった。22年度は1・6%、23年度は2・3%だったので上昇率は鈍った。また22年度、23年度は全国平均を上回る上昇率だったが、24年度は全国平均の1・4%から1ポイント低い数字にとどまった。(佐久間康介)

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【報道】仁木町の再生可能エネルギー事業をめぐる官製談合疑惑に新展開

実名を出して憤る地元住民
議会では追及の新たな動き

「仁木町がソーラーパネルやバイオマスの実証実験に使った国の補助金は私たち国民の税金から出たもの。町民は問題の真相を知る権利があるのに議会はなぜ口をつぐむのか」。こう指摘するのは同町在住の今村晃子氏(88)だ。町が再生可能エネルギービジョン策定業務を特定の業者に発注した件に官製談合の疑いがあるとして、住民の宮下周平氏(74)が町に何度も起こし棄却された住民監査請求。今村氏は、町議会がこの問題を取り上げず議員らが宮下氏の「公開質問状」にも無回答だったことに憤慨する。そんな中、9月下旬になって議会では町側を追及する新たな動きがあった──。(武智敦子)

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【介護】つしま医療福祉グループの対馬徳昭代表が「ケアテックス札幌24」で講演

地方の介護施設が生き残る
ため必要な選択と集中とは

介護業界における北海道最大級の商談型展示会「ケアテックス札幌24」が9月18日と19日、アクセスサッポロ(札幌市白石区)で開催された。その経営者向け専門セミナーで「少子高齢化、人口減少が加速する日本のこれからの介護」をテーマに講師を務めたのが、我が国における高齢者介護のキーマンと言える、つしま医療福祉グループ(本部・札幌市豊平区)の対馬徳昭代表だ。人口減少が進む奈井江町での事業経験などをもとに、地方の特別養護老人ホームや介護老人保健施設が生き残る方法について説いた対馬代表の示唆に富む直言を紹介したい。
(9月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【文化】新千歳空港国際アニメーション映画祭は今年11回目

地元北海道ゆかりの作品紹介に
力を入れ、地域密着の映画祭に

映画祭としては世界的にも珍しい、空港が会場という「新千歳空港国際アニメーション映画祭」。第11回となる今回は11月1日から同5日まで開催される。大きな節目となった昨年の第10回から次の10年へと向かっていくこととなる今回は、地元・北海道により親しまれる映画祭にしていこうと、これまで以上に北海道ゆかりの作品や作家にクローズアップ。地域に根差した催しとして定着させていきたい方針だ。看板の催しであるコンペティションは全ての入選作品が既に決定。多くのクリエイターにとっては今回のアワードの行方も気になるところだろう。

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【企業】ふるさとに感謝を伝える取り組みに注力

道民・地域に支えられて育った
〝サッポロ クラシック〟ブランド

道民にとってはすっかりお馴染みのビールとして定着。また北海道限定商品でありながら広く全国にも沢山のファンを持つ、サッポロビールのサッポロ クラシック。来年6月には大きな節目となる発売40周年を迎えるという。そのメモリアルイヤーを前に同社が力を入れているのが、今日に至るまでサッポロ クラシックを愛し育んでくれた人々や、ふるさとである北海道という地域に対して感謝を伝える取り組みだ。折しも間もなく、秋にお目見えする限定品「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」の発売や、同品を通じた新キャンペーンが始まる時期ということもあり、ここで改めてサッポロ クラシックのブランド力などについて触れていきたい。(髙橋貴充)

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【行政】4期目の当選を決めた松野哲・岩見沢市長に訊く

統合による新病院開業で
市民の生命と健康を守る

人口減少下で活きるスマートシティ

8月25日投開票の市長選で4選を果たした現職の松野哲市長。だがその内容は、一騎打ちだった新人の若林宗洋候補に1296票差まで迫られる、現市政に対する市民の厳しい評価を浮き彫りにした辛勝だった。そうした民意への受け止めをはじめ選挙の争点となった岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の統合による新病院建設の意義、全国的にも注目されているスマートシティ化の今後など、4期目に向けた舵取りと胸の内を松野市長に訊いた。(9月20日取材 工藤年泰)

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【経済】北海道信用金庫協会の新会長・原田直彦氏に訊く

行動する「北信協」として
道内金庫の底力を高める

一般社団法人北海道信用金庫協会(北信協)の新会長に旭川信用金庫(本店・旭川市)の原田直彦会長(65)が就任した。旭川信金の理事長、会長が北信協会長に就任するケースはこれまでも多く、原田氏は2012年6月から16年4月まで2期4年務めた杉山信次氏(当時理事長・会長)に次ぐ就任。広域分散型の北海道にとって信用金庫は地域経済の要であり、地域の隅々までカバーする金融インフラとしてなくてはならない存在。北信協の新会長として道内の信用金庫業界をどう舵取りするのか、就任の抱負と今後のビジョンを訊いた。(佐久間康介)

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【緊急提言】㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏

レプリコンワクチン接種の一時中止を
―製薬会社社員が売りたくないと内部告発―

総裁選で世の中が沸いているタイミングで、報道されないままに薬害事件の芽となるワクチン接種が開始されようとしている。製薬会社は社員が「家族にも打たせたくない!」と言っている新薬について全国新聞に一面広告を出したが、多くの団体が不安視しているその安全性については語ろうとしていない。自治体首長や医療関係者は、地域と住民が深刻な風評被害を被らないよう接種の一時中止を検討すべきである。

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【企業】自然由来化粧品のサボン・デ・シエスタが「シエスタのテラコヤ」スタート

ビジネスの核は自然との共生
創業20年を前に「大人の学校」

石油化学原料を一切使わず、良質の天然素材で手間暇を掛けて石鹸やスキンケア商品などを製造販売しているサボン・デ・シエスタ(本社札幌)。ものづくりだけでなく植樹活動やフィリピンとのフェアトレードも実践するなど、地球環境を保全する企業活動を地道に展開している同社が、来年の創業20周年に向けて「シエスタのテラコヤ」と名付けた大人の学校を始める。そのプレスタートとしてこの10月から約20人を集めて定期的にワークショップを開催するという。大人の学校「シエスタのテラコヤ」の意義と目的とは──。(佐久間康介)

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【衆院選】社民党公認候補として衆院選の出馬を決めた鳴海一芳氏に訊く

「自公政治」と訣別するために
今回の選挙で風穴を開けたい

社民党北海道連合副代表を務める鳴海一芳氏(70)が10月27日投開票の衆院選に比例代表道ブロックで出馬する。元最高裁事務官で在職中は労働組合の役員を歴任。親の介護のために小樽に転居後、カジノ反対や護憲、脱原発運動に取り組み、6年前には小樽市長選にも挑戦した。そんな鳴海氏にとって今回の出馬は市民運動の延長線上にあるようだ。「新自由主義を掲げる自公政治は自己責任や格差という言葉で労働者の生活を破壊している。その政治がいかなるものかを選挙戦で周知していきたい」と意欲を語っている。(武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」110──北見市の新たな支援から【後編】

ピアスタッフの「リアルな声」に
寄せられた共感、生まれた希望

8月下旬に北見市内で開催された「支え合いの地域づくりフォーラム(ひきこもり支援フォーラム)」(北見市地域福祉活動合同推進本部主催)に関する後編だ。フォーラムの後半は「“その人らしく暮らし続ける”を考える~ひきこもり経験者の『声』をとおして~」と題して札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(レタポス・田中敦理事長)のピアスタッフ3人が自らのひきこもり経験や親との関係、当事者活動についてトークセッションを行なった。午後からはレタポスが主催する居場所「ふらっと」が北見市芸術文化ホールで開かれるなど、実態調査でひきこもり問題が深刻なことが判明した北見市のひきこもり支援が本格化している。 (武智敦子)

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【文化】劇団うみねこ元代表・吉川勝彦さんに訊く(後篇)

時代や環境が変わっても
変わらない芝居への情熱

小樽を活動拠点とする「劇団うみねこ」の元代表、吉川勝彦さん(80)のインタビュー後篇は、仕事との両立に苦労しながら芝居を続ける劇団員の奮闘をはじめ、長く公演を続けてきた「運河プラザ」(市内色内2)の民間貸し出しに伴い利用ができなくなった経緯についても話が及んだ。来年8月3日には、吉川さんのオリジナルで小樽空襲を題材にした『失われしもの』の上演が小樽市民センター・マリンホールで予定されている。60年にわたり打ち込んできた芝居への情熱は、今も衰えることがない。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【107】

10万人が犠牲になった惨禍を伝える
「東京大空襲・戦災資料センター」

民間による「歴史の真実の継承」

1945年3月10日未明から始まった惨禍、侵入したB29約300機が雨あられと投下した焼夷弾でおよそ10万人もの犠牲者を出した東京大空襲。この出来事を未来に語り継ぎ、平和の研究と学習を目的として今から22年前の2002年3月9日、東京都江東区に民間が運営する「東京大空襲・戦災資料センター」が開館した。4年前に展示リニューアルしたという同センターを訪れると、今も世界各地で市民を巻き込んでいる戦争の本質を改めて知ることができた。
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●帰ってきた矯正展 作業品や野菜の販売に長蛇の列
●「食の学校祭」にあふれた農業を学ぶ学生らの笑顔
●地元の食を通して地域に貢献 アンデルセングルメ祭り開催
●秋の行楽は「有珠山ロープウェイ」を拠点に紅葉の名所「洞爺湖有珠山エリア」へ!
●フィッシングとアウトドア「コルソ旭川」がオープン!
●ココノススキノに注目ラーメン5店舗集まったミングルが開業
●ススキノピックアップガール「らむ」(OLクラブ アフターファイブ)
●北洋銀と道銀が内定式を開催 来春入行予定の新人にエール
●OMO7旭川が12月から提供する厳冬の街のさまざまな楽しみ方

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【連載コラムなど】
*つれづれフォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『たそがれのちから』
【報道】通信大手元幹部の不動産投資詐欺疑惑を追う

元同僚らを騙して資金を集め
自己破産で踏み倒した9億円

札幌在住の高齢男性が9億円近い負債を抱えて自己破産した。かつて通信大手の取締役だった男性は在職時から借金を繰り返し、手がける不動産投資事業で配当を出すとして元同僚や知人から多額の金銭を集めていた。だが、事業は全くのでっちあげ。昨秋から詐欺容疑で刑事告訴に動いていた債権者たちは、今回の自己破産を「責任逃れ」と怒りを隠さない──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】首相批判封殺の波紋㉙

「半分勝訴」確定

野次排除事件から丸5年
国賠上告を最高裁が棄却

結論は、唐突だった。発生5年を過ぎた直後に伝わった「上告棄却・不受理」の報。1年2カ月前の控訴審判決を追認するその決定は、当事者らが使う言い回しの通り「半分」意義のあるものには違いない。2019年夏に札幌で起きた首相演説野次排除事件は、司法判断が確定することで一つの節目を迎えた。無論、即ち「終わったこと」になるわけではない。本稿もまた、飽くまで現時点での報告という位置づけだ。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈7〉

「原告主張は誹謗・中傷」

恵庭牧場、市が虐待認識を否定
裁判所は手話通訳に公費認めず

恵庭市の牧場で持ち上がった、長期間に及ぶ障碍者虐待疑惑。被害当事者たちが起こした損害賠償請求裁判は、提訴から丸1年を経て5回めの口頭弁論を迎えた。早期に被害を把握していたことが疑われる被告の自治体は今回、改めてこれを否定し、原告側の批判を「誹謗・中傷」とまで言い募ることに。元市議への忖度も含め、飽くまで行政に責任はないとの主張は、2年めを迎えても変わらないようだ。(小笠原 淳)

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【ジャーナルズアイ】深海工学会の調査チームが慰霊祭で初公開

留萌沖の「三船遭難事件」で
明らかになった沈没船の姿

 終戦直後の1945年8月22日未明に樺太の大泊(コルサコフ)港から引き揚げ者を乗せ小樽に向かっていた引き揚げ船3隻が旧ソ連軍の攻撃を受けて2船が沈没、1船が大破し、1700人以上の犠牲者を出した留萌沖の悲劇「三船遭難事件」。
 この事件から79年目の8月22日、留萌市の了善寺で執り行なわれた慰霊祭で、今も日本海の海底に眠る2船の船影が鮮明に映った立体図が関係者に公開された。沈没船の実際の様相が明らかになったのは初めてで、将来の引き揚げや遺骨収集につながる可能性もある。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【ジャーナルズアイ】

立ち直り 支え続けて

少年矯正考えるシンポジウム
北海少年院で初の試み

非行に手を染めた少年たちと関わる専門家らが一堂に会する討論会が8月30日午後、北海道内唯一の男子少年院となった千歳市の北海少年院(眞部岳英院長、定員150人)で開かれ、教育者やカウンセラー、保護観察官などが今後の少年矯正について現場の職員らと討論した。話題は少年院などの施設内での取り組みに留まらず、いわゆる社会内処遇や福祉的対応など多岐にわたるテーマで議論が進み、学生を含めた約30人の参加者の多くが改めて問題意識を強くした様子だった。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉓──札幌中心部に竣工・開業するオフィスビル

ススキノ地区にもオフィスエリア
創成イーストにワーカー交流拠点

札幌中心部ではオフィスビルや商業ビルの建て替えが活発だ。街全体のリニューアルが進む中で、建設途上の物件や解体を待っている物件、間もなく竣工・開業を迎える物件がある。古いビルが取り壊されて新しいビルが建つと、街の印象は大きく変わる。今回は、オフィスビルに絞って竣工・開業する物件を紹介する。 (佐久間康介)

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【ニュース】

■労災被害者ら支え続けて半世紀
 NPO「いの健」が記念冊子作成
 ──過労死対応など深刻化 11月には一般向けセミナー開催

■安平川のPFAS汚染を契機に
 「ラピダス」操業の課題浮き彫り
 ──市民グループと専門家が千歳川などで採水調査に着手

■賃料の高さでテナント募集に苦戦?
 北広島駅西口の複合ビル「トナリエ」
 ──球場直結の新駅開業を見越して入居を尻込みか


■公開質問状に「無回答」で応じた
 議員に住民から高まる非難の声
 ──仁木町の住民監査請求で問われる議会対応

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【経済】キャリアバンク・佐藤良雄社長が札証で個人投資家向けに講演

外国人特定技能労働者の紹介を拡大
官の運営施設の受託業務が次の市場

札幌証券取引所本則市場上場のキャリアバンク(本社札幌)が9月3日、札証で個人投資家向け会社説明会を開催した。会場には関心を寄せる約50人が集まり、同社の佐藤良雄社長の説明に耳を傾けた。自らの生い立ちをはじめ若くして起業した経緯、事業を取り巻く時代と環境の変化、今後の展開などを語った佐藤社長の講演の概要を紹介する。     (佐久間康介)

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【経済】各トップが期待する札幌のポテンシャル

ビジホ大手も世界最高級クラスも
進出を加速させる札幌ホテル市場

8月8日にはアパホテルなどを傘下に持つアパグループ(本社東京)の元谷一志社長兼CEO、同20日には世界屈指の高級ホテルブランドを展開するハイアット ホテルズ コーポレーション(本社アメリカ イリノイ州シカゴ、以下ハイアット社)のアジアパシフィックグループプレジデント、デービッド・ユデル氏とこの8月、著名なホテルのトップが相次ぎ来札した。目的は同市での新しいホテルの建設発表。ビジネスホテルとラグジュアリーホテルとで客層は異なるものの、札幌というまちのポテンシャルにこれから大きく期待しているのは確か。両社に限らず目下、ホテル進出が顕著な同市。奇しくもコロナ禍が落ち着いたタイミングでのこうしたホテルラッシュは〝満を持して〟なのか、それとも〝ようやく〟なのか。         (髙橋貴充)

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【連載】ルポ「ひきこもり」109──北見市の新たな支援から【前編】

「実態調査」で浮き彫りになった
深刻な現実から動き出した行政

ひきこもりの声なき声に耳を傾け、適切な支援につなげようと「支え合いの地域づくりフォーラム(ひきこもり支援フォーラム)」が8月24日、北見市の日本赤十字北海道看護大学で開催され、福祉職や自治会関係者ら約150人が参加した。北見市が2022年度に行なった実態調査で、18歳から65歳までのひきこもりの割合が国の調査より高い傾向を示したことから今後の対策を探るために開かれた。フォーラムでは調査結果の報告や厚労省の支援専門官による講演、ひきこもり経験者によるトークセッションなどが行なわれ、この問題への理解を深めた。2回に分けて北見市のひきこもり支援の動きをレポートする。      (武智敦子)

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【文化】劇団うみねこ元代表・吉川勝彦さんに訊く(前篇)

演劇一筋60年の反骨漢が
説く芝居の大きな可能性

過去にも本誌で紹介した、小樽の「劇団うみねこ」元代表、演劇一筋60年の吉川勝彦さん(80)の快進撃が止まらない。昨年12月には倉本聰が主宰していた「富良野塾」の元女優と朗読劇『父と暮せば』を小樽市内で上演。さらに今年8月には相手役を変え、同じ演目を岩内町で演じるなどパワー全開だ。そんな吉川さんがいま、憂慮しているのは、コロナ禍を経て若者の演劇離れが進んでいることだ。吉川さんを訪ね、最近の活動や若者たちにどのように芝居の楽しさを伝えるかを訊いた。                   (武智敦子)

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【医療】
道内初導入。診断と治療を一体化した
札幌東徳洲会病院の「ハイブリッドER」

3次救急に遜色ない体制で
重症患者の救命率をアップ

24時間対応の急性期総合病院として知られる、医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院(札幌市東区・山崎誠治院長/336床)で本年4月から「ハイブリッドER」が稼働し、大きな成果を挙げている。ハイブリッドERとは同じ部屋にCT(コンピュータ断層撮影装置)やアンギオ(血管造影装置)などの検査機器を導入し、患者を移動させることなく、スピーディーに検査・診断・治療を行なえる救急救命室。道内の医療機関では初となるハイブリッドERの導入を手掛けた救急科部長の松田律史医師(36)は、「診断と治療を並行して行なえる救急救命体制をさらに充実させ、ひとりでも多くの患者さんを救いたい」と話している。          (8月22日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【医療】地域の小児科不足を解決する一助に

北広島の小児科医が地元に恩返し
Fビレッジこどもクリニック開業

野球観戦などで賑わう北広島の「北海道ボールパークFビレッジ」。8月1日、このボールパーク内のサ高住「マスターズヴェラス」に併設された医療モール「Fビレッジ メディカルスクエア」でオープンした小児科が医療法人社団UHN「Fビレッジこどもクリニック」だ。院長は北広島をホームタウンとして長年過ごしてきた鎌﨑穂高医師(59)。その北広島は小児科の不足が地域課題となっており、今回の開院はその解決の一助として期待される。開業に至った経緯や意気込みを鎌﨑院長に訊いた。    (8月23日取材 工藤年泰・髙橋貴充)

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【介護】家族で一緒に看取りを

札幌佐藤病院グループの老人ホーム
「スリール しあわせ館」がオープン

家族が一緒に入居者の看取りをできる広い居室を備えた住宅型有料老人ホーム「スリール しあわせ館」(能代谷智枝子施設長)が9月1日、札幌市東区伏古にオープンした。施設には家族葬ができる部屋も用意され、看取りから出棺までを施設内で行なえるユニークさが特徴だ。運営は、医療法人社団大蔵会 札幌佐藤病院(佐藤亮藏理事長)のグループ企業、株式会社大蔵商事(藤田昌人社長)。これまで大蔵商事は、札幌市内で「スリール 大学村館」(※スリールは仏語のスマイル)や「絆・三角点通り館」など10数カ所の高齢者対応住宅を展開。そうした中、病院ではなく施設で最期を迎えたいと希望するケースが増えているという。

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【文化】市立小樽文学館など3館が合同で伊藤整の「幽鬼の街」展

地元を舞台にした作品世界が
いまの小樽になだれ込む体験

小樽ゆかりの小説家、伊藤整(1905~1969)の小説をテーマにした企画展「ストーリーマップでめぐる伊藤整の『幽鬼の街』展」が市立小樽文学館、小樽市総合博物館の本館と運河館の3館で10月20日まで開かれている。『幽鬼の街』は、伊藤がモデルの主人公が故郷の小樽を彷徨い、かつてかかわりのあった女性らの亡霊と遭遇する物語。市立小樽文学館では、原作の草稿や初版本、作品の描写をストーリーマップ、古写真などで紹介。同文学館の亀井志乃館長は「ストーリーマップを使うことで、今までとは違った作品世界の中に入っていくことができる。3館の特色を生かした展示を楽しんでほしい」と話している。     (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【106】

空襲の被災者を助けた「おポンプ様」
特攻隊の悲劇をいまに伝える福岡市

発展を遂げた街に残る爪痕

九州・福岡市のJR博多駅から繁華街に向かう大博通りのバス停「呉服町」近くの歩道に、「おポンプ様」と呼ばれる珍しい手押し二連式の井戸が保存されている。1000人以上の死傷者を出した1945年6月の福岡大空襲の時に、被災した市民へ大切な水を供給したことで知られ、渇水時の福岡市民の生活用水になったこともある。ここを起点に福岡市内を探索し、戦没者の慰霊碑や特攻隊員の像などを見つけた。戦後、大きく発展を遂げた福岡の街に残る戦争の負の物語とは。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【マンガ】

鈴木翁二特選漫画館
《ちきゅうのよかぜ 他》

本誌表紙絵でお馴染みの漫画家・鈴木翁二さんの傑作2編を紹介したい。収録した『ちきゅうのよかぜ』は、伝説の漫画雑誌「ガロ」1991年11月号に、『一億年』は93年5月号に掲載された作品だ。漫画家デビューを果たし水木しげるプロダクションにスカウトされた青年は、どうしようもない寂寥を抱えてやがて独り立ちし、唯一無二の“翁二ワールド”を築いていくことになる。その歩みは今も止まることがなく、近年は欧米など海外からの評価も高まる一方だ。40年来の熱血読者で、翁二漫画を愛してやまない美術教師で画家でもある伊藤潤さんのラブレターを添えてお届けする。

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【フォトレポート・トピックス】
●クラフトビールに注力するキリン千歳工場で品質官能評価会を開催
●旭川の森山病院と北海道オールオリンピアンズが包括連携協定
●全室個室のインテリジェントホスピタル「カレス記念病院」
●ソン外務大臣らベトナム要人がコープフーズの江別工場を訪問
●コープさっぽろとリラィアブルが読書の推進で包括連携協定を締結
●11年ぶりの桂ゴルフ倶楽部でニトリレディス 桑木志帆プロが栄冠に輝く
●三笠高レモンレシピコンテストのお菓子が商品化され期間限定販売
●EAGLE CUP シニアオープンで宮本勝昌プロが大逆転で初優勝
●北海道発の遺品整理士認定協会が「会員6万人」を達成
●アカプラに飲食と物販22店が出店 チャイナフェスティバル2024札幌

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『青春は汚い雨の街だった、てか』
【報道】千歳発・障害者福祉「アガペ」に浮上した性加害疑惑を追う

「社長さんが胸を…」

グループホーム入居者を喰い物か
「身に覚えがない」と男性経営者

障害者福祉施設であってはならない疑惑が浮上した。千歳市内のグループホームに入居していた女性があろうことか施設経営者から性被害を受け、泣き寝入りを余儀なくされていたというのだ。関係者の証言から経営者の行為は強制わいせつが疑われる。株式会社アガペ(本社千歳)が運営する共同生活援助事業所で、いったい何が起きていたのか──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】道警不祥事から考える〈71〉

「警察は襟を正して」

「文春砲」被弾警官の写真流出
旭川中央署員ら不適切飲酒か

本年4月に旭川市で起きた殺人事件をめぐり、7月上旬の『週刊文春』報道で伝えられた容疑者と捜査員との不適切交際疑い。同中旬にはその疑惑を補強する“証拠写真”がみつかり、複数のウェブ媒体や週刊誌が報じたほか、SNSを通じてまたたく間に拡散した。倫ならぬ出会いの舞台となったのは、旭川「三六街」のカラオケスナック。写真の存在を知らしめた人物は、憤りを込めて訴える。「警察は襟を正して欲しい」――。(小笠原 淳)

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【環境】“核のゴミ”レポートPART39 “原子力マネー”に頼らない地域づくりへ冊子で一石投じる

いま探る“ポスト原発”の道

語られるバラ色の夢から覚めて
住民目線の地域振興策で活路を

過疎や財政難などに悩む自治体が原発や“核のゴミ”関連施設の誘致に手を染めるのは多額の原子力マネーの魅力に吸い寄せられるからだ。地震・火山列島の日本で地層処分など容易にできないにも係わらず、「処分場を造ることは可能」とする壮大な虚構を示し、お金がほしい自治体が住民を巻き込む……。そうした状況に一石を投じ、住民目線で独自の地域振興プランを創ろうとする取り組みが泊原発や核ゴミ調査問題を抱える後志管内で続く。2年がかりで行なった地域資源を発掘する作業などを基に小冊子も発行された。こうした試みの今と「地域資源を生かした発展の道」を探る委員会の座長を務める小田清さん(北海学園大名誉教授)の話を紹介する。    (ルポライター・滝川 康治)

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【経済】「ラピダス」の東哲郎会長が札幌で講演

先端半導体開発の失地を回復し
北海道の6次産業を世界へ発信

札幌商工会議所・北海道商工会議所連合会による「TOP SEMINAR 2024 北海道経営未来塾公開講座」が7月22日、札幌市内で開かれ、Rapidus(ラピダス・東京都千代田区)の東哲郎会長(74)が、「半導体産業の持続的成長に向けて 今、何故『最先端半導体』を選択したか」をテーマに講演した。千歳でのパイロットライン稼働を来年に控え、道内で経済効果に期待感が広がる中、札商会員など約250人が東会長の話に耳を傾けた。この日の講演要旨を紹介する。     (佐久間康介)

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉒──大和ハウス工業が道内の「戸建て」を木造に切り替え

ZEH水準と地域を見据え転換
低価格化に繋げてシェア拡大へ

大和ハウス工業(本社大阪)は、北海道の戸建て住宅、低層集合住宅を従来の鉄骨プレハブ工法から木造在来工法に全面的に切り替える。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=ゼッチ)水準の省エネ住宅が新築基準になる予定の2030年に向けて対応するのが目的で、住宅価格の低減にも繋げ1次取得層に購入促進をアピールする。第1弾として今年9月中旬以降、札幌市西区西野で木造建て売り住宅の販売を始め、低層集合住宅の木造化もラピダスに沸く千歳市などで進めていく考えだ。 (佐久間康介)

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【環境】札幌で開かれた洋上風力シンポジウムから

地元不在の再エネ振興

北海道、秋田県、山形県──
各地の住民団体が現状を報告

「北海道の海に乱立する洋上風力発電の安全性を問う~能登半島地震から見えた海底活断層の脅威~」と題したシンポジウムが7月21日、道民活動センターかでる2・7で開かれた。北海道風力発電問題ネットワーク(佐々木邦夫代表)と一般社団法人北海道自然保護協会(在田一則会長)の共催。シンポでは地震が洋上風力に及ぼす影響などをテーマにした専門家の講演をはじめ北海道(石狩市)、秋田県、山形県からの現状報告、識者による提言や総合討論が行なわれた。本稿では、再エネ海域利用法のため一般市民が法定協議会に参加できない問題などを指摘した3地域からの報告を中心に紹介する。              (武智敦子)

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【ニュース】

■苫小牧民報で労組が異例の決断
 2年後の再起目指し「活動休止」
 ──発足半世紀超も、組合員減に歯止めなく

■強制不妊被害者ら、国と和解へ
 国賠最高裁判決受け首相が謝罪
 ──札幌の小島さん官邸へ、石狩の男性ら中継見守る

■「貯蔵工学センター」から40年に
 次世代へ反対運動をつなぐ道を
 ──道北の住民団体が「ほろのべ核のゴミを考える全国交流会」


■住民監査請求をめぐる公開質問状に
 仁木町の全議員が横並びで「無回答」
 ──勉強不足と“ことなかれ主義”を露呈?

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【函館特集】就任2年目の函館・大泉潤市長に訊く

新幹線乗り入れを目指し
挑む「新たなまちづくり」

市民に寄り添い人口減少を止める覚悟

人口減少に立ち向かう覚悟やひきこもり問題などの社会的包摂で支持を受け、昨年4月の函館市長選で圧倒的な民意を受けてスタートした大泉潤市政。「急激な人口減少による弊害を食い止める起爆剤」として打ち上げ、選挙の公約で注目された北海道新幹線のJR函館駅乗り入れは、調査会社による議論の叩き台が出来たが、実現までのハードルはまだ高い。保健福祉部長時代に培った「市民に寄り添う」姿勢を堅持しながら一見、困難とも思える大きな目標を掲げる大泉市長は、函館再生をどのように進め、課題が山積する市政の舵をどう取っていくのか──。その胸の内を聞いた。(7月26日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」108──函館市の先駆的な取り組みから

全世代対応の福祉拠点になった
「地域包括支援センター」の役割

函館市が、市内に10カ所ある地域包括支援センターを「福祉拠点」として2022年度から全世代の相談に応じるよう整備して2年が経過した。介護保険法に基づく公的機関として高齢者や家族の困りごとや悩みに応じてきた地域包括支援センターに、市が直営していた自立相談支援機関の機能を併設。その結果、就労支援やひきこもりに関する相談が増えるなど道内では先駆的な取り組みとなっている。7月中旬、町会施設にサテライト拠点を設けて実績をあげている函館市地域包括支援センター「よろこび」(市内桔梗町1)を訪ねた。(武智敦子)

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【経済】道南うみ街信用金庫の田原栄輝理事長に訊く

地域密着金庫として創立百周年
道南経済の持続的成長を後押し

道南うみ街信用金庫(本店・江差郡檜山町、本部・函館市)が今年、創立100周年を迎えた。1924年2月に旧江差信用金庫、同年7月に旧函館信用金庫が誕生。合併した両金庫がひとつの信金として大きな節目を迎え、ポスト100周年に向けた土台づくりを進めている。観光需要がコロナ前に戻り先行きを展望できる状況になったが、近年のイカの不漁が地域に与える影響は深刻で、地域の経済はまだら模様といったところ。旧江差信金出身の田原栄輝理事長(61)に、合併後の状況や道南経済の展望などを訊いた。     (7月25日取材 佐久間康介・工藤年泰)

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【2024 道内観光情報】

まだ見ぬ光へ漕ぎ出そう

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【医療】
老健「けあ・ばんけい」の施設長に
ピロリ菌研究の浅香正博医師が就任

学者から「ひとりの医者」として
利用者に尽くす老年医療に邁進

日本におけるピロリ菌研究の第一人者で胃がん死亡者の減少に大きな貢献を果たした浅香正博医師(76)。長く北海道大学病院の消化器内科領域で活躍し、昨年度まで北海道医療大学学長を務めていた同氏がさる4月、社会医療法人社団カレスサッポロ(大城辰美理事長)が運営する介護老人保健施設「けあ・ばんけい」(札幌市中央区盤渓)の施設長に就任した。今回の学長からの転身に浅香医師は、「もともと私は現場主義。ここでは原点に返ってひとりの医者として利用者を診ていきたい。これまでの集大成として老年医療の研究と実践に打ち込みます」と意欲を語っている。
  (7月18日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【交通】北海道ハイヤー協会の新会長・平島誉久 氏に訊く

ライドシェアは地域の違いを
考慮し乗務員を守る在り方で

タクシーの新しい価値と未来を創る

現在44歳の平島誉久会長の就任で一気に若返りを果たした一般社団法人 北海道ハイヤー協会(本部札幌)。その行く手にはハイタクユーザーの右肩減やライドシェアという新たな規制緩和の圧力など険しい道が待ち構えているようだ。だが社業において〝次の世代のタクシー〟を標榜し、大きな注目を集めるTAXI NEXTや、コロナ禍中には罹患者の搬送チームを結成するなど、画期的かつ求められる新サービスを実践してきたのが平島氏。変革期にあるハイタク業界で、協会運営にも手腕に期待が集まるところだ。そんな平島氏の最大の関心事は世界で広がりつつある自動運転。そう遠くない自動運転の時代を前にハイタク業界がいま、なすべきこととは──。(7月22日取材 工藤年泰・髙橋貴充)

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【観光】馬産地から「観光立国北海道」を問う

日高発、ウマ娘人気の今と
馬産地ならではの地域課題

難しい観光客へのルール、マナー周知

この8月24日にアプリゲームが3.5周年を迎えるCygames(本社東京)のクロスメディアコンテンツ・ウマ娘 プリティダービー(以下、ウマ娘)。新たに競馬、競走馬に興味関心を持ち始めた人々を増大させ、こと古くから馬にゆかりの深い北海道では、ウマ娘にちなんだ新規観光需要創出の動きが各地で活発化している。だが道内の中でとりわけ馬産地として著名な日高管内はどうかというと、ウマ娘ブームの到来と共に観光客のルール、マナー違反が大きな問題に。その周知徹底をどうすべきかが地域課題となった。ウマ娘ファンという新たな観光需要の取り込みと、牧場見学などに関してのルール、マナーの徹底をどう両立していくべきか。地域の関係者らに訊ねた。  (髙橋貴充)

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【文化】大正時代の歴史的建造物「旧寿原邸」に「小樽まち文化博物館」がオープン

消えゆく“まち文化”の記憶を
いまにとどめる数百点の展示

小樽市の歴史的建造物に指定されている「旧寿原邸」(同市東雲町)に7月6日、「小樽まち文化博物館」がオープンした。今回の展示では、札幌で「まち文化研究所」を主宰する塚田敏信さんが収集してきた資料の中から風呂桶や牛乳瓶といった銭湯にまつわる数百点を紹介。「小樽にはまだ足もとにたくさんの財産が眠っている。このまち文化博物館が消えゆくものを残す契機になれば」と話している。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【105】

松脂採取跡が物語るキリスト教系
福岡・西南学院大学の苦悩と懺悔

今も残る無謀な戦争の記憶

九州福岡市早良区にある私立の西南学院大学。このキャンパス内に戦時中、航空機の燃料にするために幹から松脂を採取した跡がある松の木が残り、最近になって保存のために案内板などが設置されたという話を知ったのは、福岡市内の空襲の記録を調べていた時だった。松脂採取跡の松の木は全国に残っているものの積極的に保存しようとする動きは少ない。同大を初夏に訪れると、戦時中にキリスト教主義の学校が生き残るために軍部に協力せざるを得なかった苦悩を知ることになった。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●声上げる「普通のこと」に――「野次排除」発生5周年で原告ら訴え
●技術自慢の道内事業者が一堂に 北洋ものづくりサステナフェア
●函館美原地区の賑わい加速へ スタバとマックが相次ぎ登場
●イオン北海道とサッポロビール 黒ラベル通じて子ども食堂支援
●「マスターズヴェラス北海道BP」に未来型メディカルモールがオープン
●警官、容疑者、未成年―― 三六街から流出。旭川中央署員 飲み会写真
●ススキノ探訪13『パリクラブ』 華やかにカジュアルに
●ススキノピックアップガール ゆあ(セクシー学園 ギャンガク)
●全国の人々に「おつかれ生です。」「出張マルエフ横丁」が道内上陸
●WBF札幌中央とAOAO SAPPOROが子どもたちの夏休み応援でコラボ
●きっかけは地域の子供達のために「ぽると・みついし」開業の物語
●誕生した「日高山脈襟裳十勝国立公園」 日高では馬産地観光との相乗効果も
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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『青春は汚い雨の街だった、てか』
【報道】告発・陸の蟹工船〈6〉

「もう悪いことしないで」

恵庭・虐待被害者が語った思い
市「腐った野菜」など実態把握か

昨年6月に伝わった、恵庭市の牧場での障碍者虐待疑い。長期間の「奴隷労働」や年金詐取の被害を訴え、牧場関係者などに損害賠償を求める裁判を起こした当事者が6月下旬、提訴後初めて本誌などの取材に応じ、その胸中を語った。直近の口頭弁論に足を運び、傍聴席から被告らの姿を眼にした時の思いは「もう悪いことして欲しくない」。長く続いたプレハブ生活を振り返っては「自由が欲しかった」という。

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【報道】狩人、銃を奪われる⑧

「公益活動に安心を」

銃所持許可訴訟、10月判決へ
町と決裂の猟友会は独自調査

苦笑混じりに漏れた一言は「とにかく長かった」。地元自治体の要請でヒグマを駆除し、法令違反に問われて猟銃を差し押さえられたハンターは、道公安委員会を訴えた裁判を4年間にわたって争い続けなくてはならなかった。銃所持許可取り消しの決定時から数えると、足かけ7年の闘い。命がけの公益活動の担い手を犯罪者扱いする処分が正当化されては、誰も銃を撃てなくなる――。各地のハンターが注目する判決は、10月中旬に言い渡される。(小笠原 淳)

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【報道】21世紀の人質司法④

「危険物調べようと」

留置担当警官2人を証人尋問
供述強要・私物検閲国賠訴訟

「危険物がないか調べるための点検でした」――。本誌面で3年前から報告を続けている不起訴事件の黙秘権侵害・私物検閲問題で、札幌の女性が地元警察を訴えた裁判が佳境を迎えた。6月下旬の法廷で聴かれたのは、勾留中だった女性の「被疑者ノート」を無断で持ち去った警察官らによる、当時の行為に問題はなかったとの主張。捜査機関の重大な権利侵害を問う争いは今秋にも審理終結を迎え、一審判決に到ることになりそうだ。

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【シリーズ・住宅不動産情報】㉑──底堅い札幌中心部の中型・小型不動産開発

アパが札幌駅北口で土地確保
創成イースト彩り添える開発

札幌市の中心部では再開発事業や大型ビルの建て替えが進み、街並みが大きく変わろうとしている。街の顔とも呼べるこうした大規模な不動産開発は人目を引く派手さがあるが、あまり目立たない中型・小型の不動産開発も底堅く進んでいる。大型物件ばかりに焦点が当たりがちだが、実はこうした中小物件の動きこそ本当の意味で街の活力を示すバロメーターと言える。足で稼いで見つけた中小の不動産開発をレポートする。 (佐久間康介)

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【経済】「道内20信金3月期決算」を徹底分析

貸出金利息や預け金利息が増加
純利益170億円超えの好決算

道内20信用金庫の2024年3月期決算が、6月25日に出揃った。貸出金利息収入や有価証券配当金の増加、信金中央金庫への預け金利息収入の増加も重なり全体では好決算。信用コスト低下で与信費用の減少も好影響を与えた。純利益ベースでは17金庫が増益、全体で173億円となった。増益金庫は前期の11金庫から増え、全体の純利益額は20%増に。25年3月期は、金利上昇局面が予想され、預貸金利ざやの減少リスクや信用コスト増加も懸念される。20金庫の決算振り返りと今期見通しなどについてレポートする。 (佐久間康介)

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【報道】住民監査請求が提起した仁木町とワンテーブルの癒着疑惑

業者との官製談合を否定しても
払拭されないコンサルの暗い影

後志管内にある仁木町(佐藤聖一郎町長)の再生可能エネルギービジョン策定業務などを宮城県多賀城市の備蓄食品製造会社「ワンテーブル」とその子会社に委託したことは官製談合に当たるとして、同町の農業・宮下周平氏(73)が行なった計4回の住民監査請求はいずれも却下。この件で6月17日、取材に応じた林幸治副町長は、「仁木町は、業者選定で透明性と競争性を担保するため公募型プロポーザルを採用した」とし、疑われている業者との癒着を否定した。はっきりしているのは、ワンテーブル社が仁木や全国各地に落とした暗い影は、いまだに払拭されていないということだ。      (武智敦子)

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【ニュース】

■全保育所休園の中和興産に迫る
 認可取り消しのカウントダウン
 ──渦中の「専務理事」は自己正当化のインスタライブ

■有権者と派閥、向いているのはどっち?
 道9区の自民・堀井学衆議が不出馬表明
 ──選挙区の二頭流ポスターは岸田自民党に差し替え

■「つばさの党と一緒にしないで」
 野次訴訟の原告らが報道に苦言
 ──7月中旬には一審原告が札幌でトークイベント

■割高でも飛ぶように売れる北広島駅
 直結の「レ・ジェイド北海道北広島」
 ──異常な人気は“日ハムバブル”か投資目的か

■さっぽろ寺山修司資料館代表の
 山形氏と米研究者が「特別対談」
 ──没後40年を経ても色褪せない「寺山ワールド」

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【地域発】地域発「ものづくり企業」のスピリット②──【鹿部・丸鮮道場水産】

全国で支持される低塩たらこ
パイオニアの現在に至る歩み

ものづくりの始まりは地元漁師のため

北海道遺産にもなっているまちのスポット・しかべ間歇泉(かんけつせん)や、北海道日本ハムファイターズのエース・伊藤大海投手のふるさととしても著名な渡島管内・鹿部町。このまちに全国の食通らが太鼓判を押すたらこ・明太子のメーカー、丸鮮道場水産がある。身体にやさしい塩分4%弱の低塩仕立てながら生臭さは無く、しっかり芯まで美味しさが染みわたった、名うての目利きたちからも指名注文される絶品だ。そんな北海道が誇るたらこ・明太子の作り手の、創業から今日までの歩みを2代目の道場登志男社長に伺った。 (髙橋貴充)

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【地域発】「企業づくり」の最前線──釧路市ビジネスサポートセンター

どの企業にもあるウリを伸ばし
地元経済の「稼ぐ力」をサポート

人口減の中で柔軟かつ力強い産業構造を

人口減少が進む中で、地域の経済をいかに維持、発展させていくかは地方共通の大きな課題。その中で6年前に釧路市が設立した「釧路市ビジネスサポートセンター」(k-Biz)は、市内の中小企業経営者や個人事業主を対象にして売上増に向けたオーダーメイドのサポートを実践している。センター長を務める島根県生まれの澄川誠治氏(45)は、設立に当たり公募で採用されたいわば〝よそ者〟だ。しかし、この〝よそ者〟は、ただものではなかった。外部の目線とリクルート社での経験を活かして相談会社の現状を直視。「一歩踏み出す」アドバイスでそれぞれの背中を押し、釧路の活力向上に大きな役割を果たしつつある。その澄川センター長に、じっくり向き合った。      (5月29日取材 佐久間康介・工藤年泰)

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【教育】釧路で〝地域共育〟に取り組む幸村仁代表理事に訊く

いま未来のために必要なのは
子どもたちの可能性への投資

学校地域協働センター「ラポールくしろ」の挑戦

地域の未来を考えた時、欠かせないのが「人づくり」だ。その中で、長年の教員生活を踏まえ地域との「共育」が子どもたちの可能性を拓くと確信しているのが、一般社団法人 学校地域協働センター「ラポールくしろ」の幸村仁代表理事(62)である。昨年秋には釧路市内に子どもの居場所として新たに「Digital Station デジラポ クシロミツワベース」を開設。ラポールくしろが取り組むキャリア教育とICT教育の拠点として各方面から注目を浴びている。いま子どもたちに真に必要な学びとは何なのか。そして教育者として幸村氏の新たな挑戦とは──。 (5月28日取材 工藤年泰)

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【緊急提言】㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏

照明の2027年問題を翻弄する業界利権

―消防庁の誤通達について―

昨年11月にスイス・ジュネーブで開催された水俣条約締約国会議で決定した2027年蛍光管の製造禁止は多くの分野で大きな波紋を起こしているが、この条約のオブザーバーであった業界団体が国の経済安保を誤らせただけでなく、これをネタに利権行動に走り入札妨害に加担している。

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【2024 福祉協賛さっぽろ大通ビアガーデン】

ビールに沸く札幌の夏、到来

さっぽろ夏まつりの一環として実施される、7月19日から8月14日まで開催のロングランイベント・福祉協賛さっぽろ大通ビアガーデンが間近に迫っている。全6会場合計でおよそ9400席というのは国内最大規模。運営側では今年、その“日本一のビアガーデン”という特長を例年以上に強く発信していく方針だという。開催時期は正に北海道観光の最盛期。国内外さまざまな人たちが、各会場で札幌の夏のビールを楽しむことだろう。

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【医療】
旭川・森山病院の石子智士眼科部長に
これからの「ロービジョンケア」を訊く

残されている眼の機能を生かし
患者の生活の質を向上させたい

昨年4月、社会医療法人 元生会(森山領理事長)が運営する森山病院(旭川市・232床)の眼科部長に着任したのが元旭川医大眼科准教授の石子智士医師だ。この石子医師は、加齢や疾患で眼の機能が低下した状態の患者を支援する「ロービジョンケア」のエキスパート。ロービジョンとは、眼鏡などで矯正してもなお見えにくく、生活に不自由を感じている状態を指す。この中で残されている眼の機能を生かす視覚補助具を使い日常の不便さを減らすのがロービジョンケアだ。石子医師は「眼疾患の予防とリハビリを行なうロービジョンケアは、これからの時代に求められる領域。病気だからと諦めず、少しでも生活の質を高めるため受診をお勧めしたい」と話している。(6月19日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【水産】東京の不動産会社が豊かな海づくりに挑戦

ゼロからナマコを育て放流
豊浦町で始まった種苗生産

胆振管内豊浦町にナマコの陸上種苗生産を行なう北海道海洋生物研究センターの試験棟が竣工し、6月18日に開所式が開かれた。今回の試験棟では12槽の水槽を稼働して年間1200万尾の稚ナマコ供給を計画。今後同センターでは段階的に施設規模を拡張し、6年後の2030年には240槽の水槽で年間2億4000万尾の供給を目指す。運営するのは東京・銀座(中央区)を拠点に不動産業などを展開する老舗企業、彌生グループの関連会社。花の銀座の事業者が、北の〝海のまち〟で地域資源創出に乗り出したチャレンジをレポートする。

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【お盆】「おふたりさま」の老後と終活を考える

今から準備を「10割」に

子供がいない夫婦が陥る
思わぬ「困りごと」とは?

「石狩はまなす墓苑」(石狩市八幡)の管理運営を手がける有限会社三愛の代表取締役で「お墓とご供養のコンシェルジュ」として活躍する松尾拓也氏(50)が、この7月に『「おふたりさまの老後」は準備が10割 元気なうちに読んでおきたい! 68の疑問と答え』(東洋経済新報社)と題した新刊を上梓した。実はよく知られていない子どものいない「おふたりさま」(夫婦)の終活事情。本書では、夫婦がひとりになった時の相続や葬儀について詳しく解説し、事前の備えの大切さを説いている。今年のお盆特集では、その松尾氏に「おふたりさま」が直面する老後の課題や終活について訊いた。(6月21日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【連載】〝農と食〟北の大地から

大山利男さんに訊く有機畜産と
アニマルウェルフェアの課題(後編)

AW支援策は先進国スイスに学べ
実現可能性を有する北海道の大地

「有機・アニマルウェルフェア(AW)畜産では、外部の購入資材になるべく依存しない生産システムに合理性がある。北海道はそれができるところです」と力を込める立教大学准教授(農業経済学)の大山利男さん。世界に先駆け80年代に採卵鶏のケージ飼育の禁止を決定したスイスでの滞在経験があり、動物福祉をめぐるプログラムの遵守と農業助成金の支給をセットに関連政策を推進してきた経緯にも明るい。インタビューの後編では、アルプスの山岳地帯を擁し、「放牧や屋外運動場をともなった飼養管理」を基本にしてきたスイスのAW支援策を中心に紹介してもらった。AW先進国の取り組みを通して、日本の「農と食」のあり方について考えていくきっかけにしてほしい。

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【社会】NPO法人「楽しいモグラクラブ」のポストカードをパチンコ店が委託販売

「企業とのつながり」を強めて
就労の機会とやりがいを創る

札幌市北区のNPO法人「楽しいモグラクラブ」(平田眞弓理事長)が運営する就労継続支援B型事業所「工房mole」の利用者が描いた絵入りのポストカードがパチンコ店で委託販売されることが決まった。同工房は障がいを持つ人やひきこもり者が自分のペースでできる仕事づくりを行なっており、今回の取り組みは、企業の社会的責任(CSR)の一環として授産製品を扱う合田観光商事(本社札幌)との出会いで実現したもの。平田理事長は「納期をあまり気にせず、好きな絵を描いてもらう。家から出られない人たちの在宅就労につながれば」と、今後に期待を寄せている。 (武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」107──江別で独り立ちした「ひきこもり支援」

「地域の強いつながり」を武器に
レタポスの“居場所”を引き継ぐ

ひきこもりの当事者や家族を支える居場所事業「シエスタ」が今年8月30日から江別市(後藤好人市長)で始まる。同事業は札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長・レタポス)が、江別市社会福祉協議会の協力を得て2019年度から23年度までの5年間、展開してきたもの。今年度からレタポスの手を離れ、市役所が予算を計上。同社協はレタポスのピアスタッフの手を借りながらシエスタの運営を担っていく。江別市の担当者は「居場所事業を通して、関係機関とのネットワークがより強固なものになったと感じています。シエスタを続けてほしいという当事者や家族の声に応えていきたい」と意欲を見せている。 (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【104】

「2発目の原爆目標地点」に建つ
北九州市平和のまちミュージアム

運命の悪戯で免れた悲劇

全国各地に先の大戦に関係する資料館や記念館などが開設されている中で人口約95万人の北九州市に2022年4月、「北九州市平和のまちミュージアム」がオープンした。同市にはかつて小倉陸軍造兵廠(兵器工場)などの軍事施設があったことからアメリカ軍の激しい空襲に見舞われ、周辺は1945年8月9日に長崎に落とされた2番目の原子爆弾の最初の目標地点でもあった。同造兵廠の跡地に建てられた同ミュージアムは、子どもたちに戦争と原爆の恐ろしさを伝えながら長崎の子どもたちとの交流事業の窓口にもなっている。 (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●ニッカ創業90周年の節目に開発 「ニッカ フロンティア」10月発売
●ぜひ情報提供を―― 看護師パワハラ死、遺族の呼びかけ
●「一番搾り 北海道限定デザインパック」出荷式を千歳工場で開催
●今年は初めて海外事業者が出展 最大規模の道産品商談会、盛況
●サッポロビールゆかりの2会場で「サッポロビアホリデー」を開催
●家族の絆が育んだご当地スイーツ 白老町の「まいこのマドレーヌ」
●住宅産業新聞創業者の小西氏が札幌エルプラザにピアノを寄贈

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ほうえい』
【報道】保育事業の中和興産に浮上した不正受給疑惑を追う②

「全保育所休園」の衝撃

職員一斉退職を惹き起こした
歪んだガバナンスと親子関係

ドミノ倒しとはこのことだろう。本誌6月号(5月15日発売)の報道以後、同24日の札幌市による「ちゅうわ南保育園」(南区)への事業停止命令を皮切りに、中和興産株式会社(本社札幌)が運営する市内5カ所の保育所が次々に事業をストップ。6月初旬には全てが休園するという前代未聞の事態が発生した。全施設休園を招いた職員の一斉退職の原因、そして、かねてから同社が抱えていた歪んだガバナンスの問題とはいったい何なのか。実は昨秋、破綻の前触れというべき事件が同社の内部で起きていた──。         (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】海を越えた内部告発

「第三者」は本誌記者

鹿児島県警・不祥事隠蔽疑い
物証なき「漏洩」逮捕で口封じ

本号締め切り間際に大きく報じられ始め、にわかに各地の耳目を集めることとなった九州・鹿児島県警察の不祥事隠蔽疑惑。守秘義務違反の疑いで5月末に逮捕された元警察官は、その2カ月ほど前に組織的不正の実態を文書にまとめて報道関係者に告発していた。情報を受け取ったのは、当地から海を隔てて1600㎞ほど離れた札幌市に住むライター、即ち本稿記者・小笠原淳(55)。公益通報を託された当事者として、ここに一連のいきさつを報告する。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑳──活発化する札幌中心部のオフィスビル売買

「建てるよりも買う」選択を
建設コストの上昇が後押し

再開発やビルの建て替えが進んでいる札幌市中心部。建設が進み外観が見えてきた新ビルもあって街が活気づく一方で、北海道新幹線札幌延伸の遅れや建設費高騰、人手不足などで不動産業界の見通しは不透明。そうした中で、市中心部にある既存ビルのM&Aとも言えるビルの売買が目立っている。地場の不動産業者も積極的にビル取得に動くなど、先行きが読めない中でも動きが活発だ。直近の3ケースを見てみよう。(佐久間康介)

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【報道】棄却された仁木町の住民監査請求

「業者と町との癒着」を完全否定
監査結果で拭えぬ疑問を追及へ

仁木町(佐藤聖一郎町長)の動きに関する続報だ。同町の再生可能エネルギービジョン策定業務を「ワンテーブル」(宮城県多賀城市)に委託したのは官製談合の疑いがあるなどとして、町が支払った委託費の返還や佐藤聖一郎町長と林幸治副町長に損害賠償を求めていた同町の農業、宮下周平氏(73)の住民監査請求について、町監査委員は5月10日付けで請求を棄却、一部を却下した。これを不服とする宮下氏は以後も2回の住民監査請求を行なったが、いずれも却下。住民訴訟も視野に入れながら近く4回目に踏み切り、あくまで佐藤町長らの責任を追及していく考えだ。   (武智敦子)

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【ニュース】

■道医療大「移転方針に変更なし」でも
 さらに遅れる雲行きの基本計画策定
 ──「大学病院の同時移転は無理」との声も

■ひきこもり支援の一環で札幌市が
 ネット空間の「メタバース」を活用
 ──「産学官民」による全国初の取り組み

■アクセスサッポロに替わる展示場
 月寒グリーンドーム跡に整備決定
 ──規模は3倍。アクセス難も解消し27年供用へ

■「5年」逃がれの雇い止めに疑義
 パタゴニア訴訟、札幌で初弁論
 ──労組結成の従業員が提訴、会社側は棄却求める

■自治体の鳥獣対策実施隊「辞退」
 猟友会がヒグマ駆除方針に疑義
 ──「ハンターは下請けではない」と空知・奈井江部会

■幼稚園でセクハラの牧師「免職」
 職員労組は結成後2度めの団交
 ──第三者委の被害調査、まもなく取りまとめか

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【地域発】「ものづくり企業」のスピリット①──【釧路・株式会社ニッコー】

成長の原動力は「地域の課題解決」
食産業を支える技術集団の底力

一次産業の付加価値を高めてきた「挑戦」

釧路市の郊外、鶴野地区の広々とした敷地に建つ株式会社ニッコーの本社社屋。工場を併設した2階建ての建物では、黙々と多くの技術者たちが同社の社是である「挑戦」を続けている。釧路に生まれ育った同社は、地元産業が抱える課題の解決を原動力にしてきた地域密着型の「ものづくり」企業だ。これまで半世紀近くに亘って蓄積した技術とノウハウから紡ぎだされるオーダーメイドの加工機械やシステムは、道内各地の一次産業を支える大事な役割を担うだけではなく、全国、そして世界へと販路を広げつつある。そんなニッコーを訪ね、佐藤一雄社長にものづくりに賭ける思いと同社のスピリットを訊いた。(5月29日取材 佐久間康介・工藤年泰)

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【夏のボーナス特集】新NISA始動で訪れた投資の好機

資産形成のベストタイミング到来
「不透明感」の中で踏み出す勇気を

一時は日経平均株価が4万円を超え、バブル期の最高値を更新。この春は大企業を中心に賃上げの動きが広がるなど景気上昇の期待が高まる昨今だが、その一方で記録的円安や物価上昇などもあり、先行きの不透明感は払拭できていない。そんな中、「こうした不透明な今こそ資産形成には好機」と助言するのが、ファイナンシャルプランナーの金子賢司さんだ。おりしも今年から新NISAが始まり、より資産形成に踏み出しやすい環境になっている。ボーナスや退職金などある程度まとまったお金が入る機会は、まさに運用を始めるベストなタイミング。金子さんに資産形成の心構えやポイントについて訊いた。

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【医療】新サテライトを札幌ハートセンターが開設

広がる循環器治療のネットワーク
札幌心臓血管クリニックとよひら

全国屈指の循環器専門病院、札幌心臓血管クリニック(市内東区・107床)を運営する医療法人 札幌ハートセンター(藤田勉理事長)のサテライト診療所「札幌心臓血管クリニックとよひら」が6月3日、豊平区役所近くの環状通沿いにオープンした。2022年にJR新さっぽろ駅付近に誕生した「新札幌心臓血管クリニック」に続く2カ所目となるサテライトで、東区の本院を中心に札幌市内ほぼ全域をカバーする体制が整った。本院と遜色ない検査体制でスムースな病診連携を実現する札幌ハートセンター期待の新サテライトを紹介する。(5月23日取材・工藤年泰)

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【シニアライフ】日ハム、エスコン、光ハイツの共同事業が“世界がまだ見ぬボールパーク”でスタート

北海道BPに高級賃貸レジデンス
「マスターズヴェラス」がオープン

初夏を前にした北広島の「北海道ボールパークFビレッジ」に、日ハムが後押ししてきたアクティブシニア向け賃貸住宅「マスターズヴェラス 北海道ボールパーク」がオープンした。ファイターズの新球場、エスコンフィールドHOKKAIDOを中心に魅力ある施設が集積している立地や278室という規模はもとより、レストランやフィットネス、大浴場など豪華な共用空間をしつらえるなど、大人のネクストライフを実現するステージとして注目を集め、入居の問い合わせが全国から寄せられている。運営を担うのは道内における介護付有料老人ホームの草分け、光ハイツ・ヴェラス(本社札幌・森千恵香社長)。人生を謳歌する人々の拠点として、さまざまな利用が想定される「マスターズヴェラス」の魅力をレポートする。(5月22日取材・工藤年泰)

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【企業】「簡単年調」のニーズは年々増加傾向

社会に求められるBPOサービス
エコミックが進む次の事業戦略

人事部門の給与計算、年末調整のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を基幹業務に、将来的には企業の管理部門のルーティンワーク全般を担う「バックヤード業務のソリューションプロバイダー」を目指しているエコミック(本社札幌・熊谷浩二社長)。その2024年3月期(23年4月~24年3月)決算は、減収減益と振るわなかった。だが年末調整の売上は増加。問い合わせも増えており、加えて問い合わせ時期も早まっていることから、BPOニーズは着実に高まっているようだ。そんな追い風が期待できる事業環境下での今後の戦略などを、熊谷社長に訊ねた。    (5月16日収録、髙橋貴充)

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【連載】〝農と食〟北の大地から

大山利男さんに訊く有機畜産と
アニマルウェルフェアの課題(前編)

有機やAWに取り組む生産者を
応援する消費者の存在が最重要

「有機農業やアニマルウェルフェア(AW)に欧州市民の関心が広がったのは、90年代後半以降のBSE(狂牛病)危機をきっかけに、小売業者がそのコンセプトをブランド化して“質”の競争が始まったことが大きい。日本は価格志向が強く、有機やAW食品の広がりはきびしいけれど、生産者を応援したい消費者はたくさんいますよ」と、立教大学准教授の大山利男さん(農業経済学)が強調する。スイスで研究生活を送った経験もあり、欧州事情に明るい。農林水産省の「みどりの食料システム戦略」で2050年の全耕地に占める有機農業の割合を25%とする目標が示されたが、AWの普及にはまだまだ課題も多い。そうした時代をどう捉えるのか──欧州での経緯も踏まえた大山さんの意見に耳を傾けた。(ルポライター 滝川 康治)

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【地域】複合文化施設「裏小樽モンパルナス」がオープン

小樽ならではの町並みを後世に
歴史的建造物で地元文化を発信

築約100年の古い建造物を含む空き店舗3棟を再生した複合文化施設「裏小樽モンパルナス」が5月2日、市内稲穂4の梁川通りにオープンした。同地区の「ジーンズショップロッキ」が運営し、ギャラリーやライブ、映画上映などアートの発信拠点を目指す。ロッキの店主、平山秀朋さん(55)は、「この活動が小樽の古い建造を残す動きにつながれば」と話している。(武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」106──「在宅ピアスタッフ」の道を歩む吉川修司さんのケースから

「人生は、何とかなる」を胸に
自分が出来ることを見いだす

2020年の春からNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(本部札幌・田中敦理事長)の理事としての表立った活動から退き、在宅で生きていく道を選んだ吉川修司さん(56)。それ以降、会報の編集や執筆、発送、絵はがき支援といった家でできる仕事を中心に携わってきたが、この春からインターネット上の仮想空間(メタバース)を活用した支援にピアスタッフとして加わった。50代半ばになっての心境の変化があったのだろうか。そして亡き父母への想いは──。それらを聞こうと吉川さんを訪ねた。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【103】

戦争の記憶と痕跡が残る
「大刀洗平和記念館」周辺

特攻の悲劇と空襲の惨劇

先月号で報告した、旧陸軍の大刀洗飛行場跡(福岡県筑前町)に町立施設として建設された「大刀洗平和記念館」。この周辺には飛行場があったことを伝える大型の掩体壕や建物跡などが少なからず点在している。大刀洗飛行場は、終戦年である1945年の3月に2度にわたってアメリカ軍の大規模な空襲を受けて壊滅し、多くの民間人も犠牲になっている。平和記念館が建てられた経緯や周辺の戦争関連の遺跡などを調べるため、再び車を走らせた。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●創立百周年の釧路商工会議所が地域課題解決の事業支援を開始
●生物多様性を守るほっくー基金 助成金贈呈式を環境の日に開催
●規格外商品は即完売の大人気 西の町いこいの駅 Route148
●身近な買い物でCO2削減に寄与「北海道の森に海に乾杯」開始
●新千歳空港国際アニメ映画祭 第11回は11月1日~5日に
●官民で若手経営者を育てる北海道経営未来塾が入塾式
●つしま医療福祉Gが介護分野でソウル特別市と連携協定締結へ
●セコマの新商品は絶品どら焼き「Secoma絹てぼうどら焼」
●ススキノピックアップガール「まゆ」(オーエルクラブ アフターファイブ)

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『大きくなってもツバメのきもち』
【報道】保育事業の中和興産に浮上した不正受給疑惑を追う

“夜の街”に溶けた公金

国と札幌市が7千万円返還命令
園児と保育士の数を虚偽申請か

一部の道内放送局が事業者の名称を伏せて4月上旬から報じている保育園疑惑の全貌が明らかになってきた。企業主導型保育園への助成金や認可保育園への補助金が過払いだったとして、札幌市内で保育園事業を展開している中和興産株式会社(本社札幌)が国と市合わせて約7千万円の返還を命じられ、元職員らが「園児や保育士の数が大幅に水増しされていた」と告発の動きを強めている。公金の多くが“夜の街”に消えた疑いもあり、事件は巨額不正受給疑惑の様相を呈しつつある。大切な子どもを預ける現場でいったい何が起きていたのか──。 (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】先端半導体工場「ラピダス」の操業を危惧する藤原寿和さんに訊く

バラ色だけではない未来

半導体に潜む環境汚染
職業病などの負の側面

次世代半導体の国産化をめざし千歳市内で工場建設が進む「ラピダス」をめぐり、バラ色の未来ばかり語られるが、それは真実だろうか。40年あまり東京都職員として環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも奔走してきた藤原寿和さんは今、新たな先端半導体工場の建設に疑問を募らせる。排水による環境汚染をはじめ労災・職業病や爆発・火災事故などの発生、環境アセスメントの不備など半導体製造の“負の側面”について、来札した藤原さんに訊いた。(ルポライター・滝川 康治)

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【報道】告発・絶望の学府㉜

道 自殺に「お詫び」せず

江差パワハラ死、謝罪1年
遺族代理人「騙された思い」

北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で、当時の教員らに追い込まれて命を絶った学生の遺族が激しい後悔の念に苛まれることになりそうだ。ハラスメントと自殺との“相当因果関係”を認めた第三者調査に反し、学院設置者の道が同調査報告の重要な結論を事実上黙殺、昨年5月の遺族への謝罪は自殺の責任を詫びたものではなかったとの認識を明文化したのだ。当事者ならずとも徒労感を覚える、不可解な対応。この1年は、何だったのか――。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈70〉

監察トップ 泥酔

若手は大麻で免職・辞職
未発表疑いの副業事案も

職員の不祥事に対応する監察官室のトップが自ら失態を晒したかと思えば、拝命まもない若手職員間での薬物のやり取りが発覚する。新年度の幕開けは、地元警察にとって穏やかならぬ春となった。定期的な公文書開示でも、これまでに漏れず未発表が疑われる懲戒処分が確認でき、その総数も前年比2倍以上の増加を示すなど、負の話題には事欠かない。本年最初の速報を兼ね、現時点で伝わった事案の報告を――。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑲──北の大地に特化した「北海道リート」が運用開始

資産流動化で地場企業に活力
地域の価値を高めるリートに

北海道に特化した私募不動産投資信託の「北海道リート投資法人」(本社札幌)が今年2月から運用を開始した。同法人が資産運用を委託している北海道アセットマネジメント(同)を通じて札幌市内の商業施設や賃貸マンションなどを取得。北海道リート投資法人がそれらの不動産を証券化して道内外の機関投資家に販売し、配当利回り4%以上を目指す。国内初の協同型リートの可能性とは──。  (佐久間康介)

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【報道】仁木町の住民が起こした監査請求の行方

今なお問われる不適切発言で
撤退した業者の「町との癒着」

果物で有名な仁木町(後志管内・佐藤聖一郎町長)の「再生可能エネルギービジョン策定業務」を宮城県多賀城市の備蓄食品製造会社「ワンテーブル」に委託したのは違法で官製談合の疑いがあるとして、同町で農業を営む宮下周平氏(73)が行なった住民監査請求が4月2日付けで受理された。宮下氏は町が支払った委託費の返還をはじめ町長と副町長に損害賠償を求めている。ワンテーブルの前社長、島田昌幸氏は総務省の「地域力創造アドバイザー」として仁木町に招聘されていたが、「行政をぶんどる」などの発言で失脚した人物。監査結果は5月13日までに公表される予定だ。 (武智敦子)

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【ニュース】

■北海道新聞が6月から料金改定
 月ぎめ500円増で4300円
 ──夕刊休止から半年余でセット料金並みに

■野次排除討論、ブックレットに
 青木理さんらの語りを全篇採録
 ──表現の自由めぐる議論、札幌の寿郎社が緊急出版

■寿都・徳美会の補助金不正申請に
 道担当者が「はなはだ遺憾」と答弁
 ──特養「寿海荘」をめぐる住民監査請求で町民が陳述

■ボールパーク直結のJR新駅建設と
 「日ハム優遇策」を市民団体が疑問視
 ──問われる北広島市の「ボールパークありき」

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【経済】北洋銀行の新トップに就任した津山 博恒 頭取に訊く

行員と「日々挑戦」を積み重ね
北海道の成長を全力で後押し

「故郷の役に立ちたい」が原動力

北洋銀行(本店札幌市)の新頭取に4月1日付で元常務の津山博恒氏が就任した。かつて「北海道のために役立ちたい」という思いから拓銀マンとなった津山氏は6年後に同行の破綻を経験したが、初志を忘れず北洋銀行入りを決めた経歴の持ち主。看板の「食と観光」に加え、半導体や洋上風力などグリーントランスフォーメーション(GX)で北海道は今、大きな転機を迎えている。ポテンシャルの宝庫と言われ続けてきた北の大地が実力を発揮する段階に入ってきた中で、その役割が問われているのが道内のリーディングバンク、北洋銀行だ。就任まもない津山新頭取に抱負とこれからの舵取りを訊いた。           (4月16日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【教育】コープさっぽろの広域社会貢献

給食のないまちの悲願を
叶えた「スクールランチ」

様々な“食”の困り事に応える

2023年10月に組合員200万人を達成した生活協同組合コープさっぽろ(本部札幌、大見英明理事長)。この人数は国勢調査(2020年10月時点)に基づく北海道の総世帯数、およそ247万世帯で1世帯につき1名が組合員と想定して計算すると、約8割の世帯が加入していることになるという。これほどの事業規模に至ったのは、大多数の道民からの信頼、信用によるところも大きいだろう。その源のひとつと言えるのが、北海道という地域への広域社会貢献。いくつもの活動事例の中で、ここでは給食が無かったまちにその提供を実現させたスクールランチ事業に焦点をあてる。                        (髙橋貴充)

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【企業】もみじ台・青葉の課題を解決し活性化へ

ホクノーの地域貢献を後押しする
〝新・さっぽろモデル〟事業が始動

2017年からの「ホクノー健康ステーション」事業をはじめ、地元・札幌市厚別区もみじ台の高い高齢化率や少子化などの社会課題に真正面から向き合い、その解決に向けた取り組みをいくつも展開している食品スーパー・ホクノー(野地秀一社長)。その同社にとっても、大きな力となりそうな取り組みが動き出している。それは同じ厚別区のもみじ台と青葉地区に暮らす高齢者の生活支援、健康増進、コミュニティ活性化に資するサービスを提供していくという〝新・さっぽろモデル〟。この取り組みは今後どのように地域課題の解決を推し進めていくのだろう。 (髙橋貴充)

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【地域】後志管内の赤井川村で観光協会が解散へ

道の駅が人気の村に大きな痛手
問われる今後の地元観光再構築

農業と観光を主要産業とする後志管内赤井川村(馬場 希村長)で地元の観光協会が解散を決め、村役場と観光協会の事務局を担っていた赤井川村商工会が業務の引き継ぎを進めている。四方を山に囲まれた赤井川村は「日本で最も美しい村連合」に加盟する風光明媚な土地。2015年に道の駅ができてからは観光客も急増しており解散は痛手だ。村役場の観光課は「本業を持ちながら観光協会の業務に取り組むのは難しかったと聞いている。村が関わってきた業務については引き継いでいきたい」と話している。(武智敦子)

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【出版】札幌在住・草莽の僧侶、小西丞西さんが刊行する小冊子

『おゝ他力よ‼ 他力!』シリーズが完結
辿り着いた「老年よ大志を抱け」の境地

札幌で不動産業界紙「住宅産業新聞」を創刊し、50代半ばに僧籍を得てビジネスと仏道という2つの道を歩んできた小西丞西(俗名・征夫)さん。その小西さんは同紙が創刊半世紀、自身が80歳の節目を迎えた3年前にビジネスを引退。仏道に専念する中で浄土真宗の“み教え”である「他力本願」について広く知ってもらいたいと、小冊子『おゝ他力よ‼ 他力!』(B6判、非売品)シリーズの刊行を続けてきたが、さる3月に発行した9冊目で一旦区切りをつけた。本誌で紹介していない8・9冊目の内容や小西さんの思いを読者に届けたい。

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【連載】〝農と食〟北の大地から

アニマルウェルフェアの啓発に取り組む
岡田千尋さんに訊く今後の方向(後編)

いま家畜福祉に向き合うことが
生き残りの鍵となる時代が到来

「この5年ほどのアニマルウェルフェア(AW)の進み方は速く、認知度が上がり、改善の傾向が見えてきた。市民の変化も肌で感じます」と、認定NPO法人アニマルライツセンター(ARC)代表理事の岡田千尋さんが語る。同会では、「2040年には国内の畜産物の消費を半減させ、残りをAW畜産からのものにする」「30年にメジャーな企業がすべて“ケージフリー”への移行にコミットする」といった具体的な目標を掲げ、実現に向けて食品企業との話し合いや、飲食店などに対する「採卵鶏のケージフリー宣言」の働きかけなどを続けている。インタビューの後編では、それらの取り組みの現況や法整備の必要性、北海道の人たちに向けたメッセージなどに耳を傾けた。(2月2日、千葉県内で収録 ルポライター 滝川 康治)

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【連載】ルポ「ひきこもり」105──当事者の兄弟姉妹に寄り添う

本当の気持ちを知らずにいた
弟にあらためて向き合う覚悟

ひきこもり当事者の兄弟姉妹には親とは違った辛さや苦しみがある──。公認心理士として働く石島ひなたさん(仮名、42)には長く在宅状態の弟がおり、世間の偏見や誤解と戦ってきた母(70代)は、ひきこもる子どもの気持ちを理解し向き合ってきた。だが、娘にとってそんな親の姿は「過保護」に見えることもあり、親の死後、残される弟の将来が心配でならないという。「何らかの障がいの可能性もあるので診断を受けてほしい」とした上で、「弟の今後については、本人と両親を交えて話し合っていきたい」と話す、ひなたさんを取材した。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【102】

特攻隊の中継基地跡に建った
筑前町立「大刀洗平和記念館」

特攻と戦闘機のリアルが眼前に

福岡県中南部の内陸部にある人口約3万人の筑前町(ちくぜんまち)に戦時中の航空機の実機や計器類の部品などが豊富に展示してある大刀洗平和記念館がある。太平洋戦争末期には特攻隊員を養成する「中継基地」の役割を担った旧陸軍の大刀洗飛行場跡に町立施設として建設されたものだ。館内には博多湾から引き揚げられた貴重な戦闘機などが展示され、亡くなった特攻隊員らの名簿もある。1944年10月に始まった捨て身の航空特攻作戦から80年目の春、同館を訪れた。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●開拓使時代の製法受継ぐビールを味わえるBREWERY1876オープン
●根室半島遊覧バス「のさっぷ号」今年は5月1日から運行スタート
●滝上町が誇る日本一の「芝ざくら」の季節到来
●札幌心臓血管クリニックが豊平でもサテライト開業へ
●期待のレストラン棟が新たに誕生 「C&A北広島」がグランドオープン
●スキージャンプの葛西紀明選手 ギネス世界記録5つから7つに
●アサヒビールがGW初日から「お花見ビアフェスト」を開催

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ムーンライト セレナーデ』
【報道】課題が山積する北海道医療大の北広島移転

遅れる移転計画の策定

巨額資金調達に大きな壁か
“置き去り”の当別町で悲鳴

当別町と札幌市北区にキャンパスを構える北海道医療大学の移転計画に遅れが出始めている。2028年4月までに「北海道ボールパークFビレッジ」(BP・北広島市)に全施設を移すとして、運営する学校法人東日本学園(鈴木英二理事長)が本年3月までに基本計画をまとめる予定だったが、本誌の取材で計画策定が6月ごろまでずれ込むことが分かった。移転費用の調達などの課題が山積しているもようで、今回の移転自体を危ぶむ声も聞かれる。あらためて道医療大の北広島移転を問う──。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【報道】厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄事件を追う

最終処分場に持ち込まれず
野ざらしにされた建築廃材

厚真町で砂利採取業を営んでいた事実上の経営者が産廃の不法投棄に手を染めていた疑いが浮上した。同氏は配偶者が苫小牧市内に所有していた家屋を社員を使って解体し、建築廃材などを処分場ではなく砂利採取場に運ばせていた。これらの産廃は、採取場の土地が他者のものになった現在も野ざらしのままだ。厚真の現場でいったい何が起きていたのか──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉛

道「因果関係」否定貫く

江差パワハラ死問題で交渉決裂
遺族落胆「謝罪は何だったのか」

記者会見で地元報道が質問を繰り返しても、議会で複数の会派が追及を続けても、ほかならぬ当事者の代理人が粘り強く交渉を重ねても、その役所は毫も動くことがない。北海道立高等看護学院の在学生自殺問題で、第三者調査が認定したハラスメントと自殺との因果関係を道は一貫して否定し続け、賠償交渉で譲歩した遺族の提案さえも拒絶した。真意を問われた知事は、事ここに到ってなお常套句を繰り返すのみ。「誠意をもって対応する」と――。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈5〉

報酬「お菓子やジュース」

週7日労働の障碍者に賃金なし
恵庭・虐待疑いの牧場主認める

「健常者に対しては許されないことが、障碍者相手ならば許されるのか」。訴えを起こした知的障碍者たちの代理人は憤りを隠さない。昨年10月号以降の誌面で報告を続けている、恵庭市の牧場経営者による虐待疑い事件。事態を隠蔽していたとされる自治体とともに損害賠償請求の訴えを受けた関係者が、指摘される長期間の賃金未払いを事実上認めた。無休の労働の対価は、「お菓子やジュース」だったという。(小笠原 淳)

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【報道】性的少数者に法の下の平等を⑦

24条「同性婚を保障」

札幌高裁、違憲判決さらに前進
司法の解釈拡がる「結婚の自由」

「喫緊の課題として、早急に真摯な対応が望まれる」。国にそう迫る司法の声が、歓喜の涙に迎えられた。全国一斉にその訴えが起こされてから、早5年あまり。初の二審判決に到った札幌の裁判所は、各地の一審で示された違憲判断からさらに踏み込み、婚姻の自由を定める憲法24条に斬り込んだ。意を強くした当事者たちはしかし、なお立ち止まらないことを選ぶ。闘いの舞台は、司法府の頂点へ――。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑱──計画変更や延期が相次ぐ札幌の再開発事情

拍車かかる資材高・人手不足
ラピダス特需で再開発に暗雲

冬季五輪誘致断念に加え、北海道新幹線延伸工事の遅れにより札幌中心部の再開発機運が後退する中、建設資材高騰や次世代半導体工場「ラピダス」の建設による人手不足が重なり、再開発事業の計画変更や着工延期が目立っている。インバウンドや国内観光客がコロナ禍前の水準に回復し、札幌中心部にも活気が戻りつつあるが、再開発を契機にした街のリニューアルには不透明感が広がっている。 (佐久間康介)

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【環境】石狩湾新港の洋上風力に危機感を強める後藤美智子さんに訊く

国が超低周波音の影響を
顧みない現状を変えたい

小樽市在住で、風力発電による超低周波音の研究を続ける後藤美智子さんが、今年1月から石狩湾新港で稼働を始めた日本最大級の洋上風車に危機感を強めている。大型化すればするほど、超低周波音領域の音圧レベルには莫大なエネルギーが集中する上、石狩湾新港の洋上風力は離岸距離が短い。周辺に住む地域住人は風車病の脅威にさらされることになるからだ。後藤さんを訪ね、洋上風力の問題点などについて訊いた。(武智敦子)

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【環境】齊藤啓輔余市町長が反原発派団体との面会を拒否?

職員発言をめぐり平行線の議論
抗議を受けた町は「誤解」と釈明

北電泊原子力発電所の再稼働に反対する住民団体が、余市町の齊藤啓輔町長から「反原発団体」であることを理由に面会を拒否されたとして反発を強めている。この問題について渡邊郁尚副町長は「町長は反原発団体という言葉は使っておらず、各種要望や面会については担当課で応じることになっている」と釈明。納得しない住民団体は町に抗議し、謝罪文の提出を要請。再稼働の賛否を地域住民に聞く住民集会の開催も求めていく方針だ。この問題の経緯と両者の言い分を取材した。 (武智敦子)

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【ニュース】

■労組結成した記者の解雇「無効」
 ネムロニュースに全面敗訴判決
 ──一昨年復刊の地方紙で不当労働行為指摘

■北海道経営未来塾で第8期修了式
 学んだ「自分と未来を変える」こと
 ──塾生・クレタの石亀裕晃氏が「新しい時代を切り拓く」

■北大総長解任取消訴訟で敗訴した
 名和氏「裁判で総長の責務を全う」
 ──「北大の主張を鵜呑みにした」と請求棄却を批判

■「未熟さにつけ込んでおり悪質」
 児童わいせつ元警官に有罪判決
 ──未発表事件、発生2年余でようやく決着

■南スーダン訴訟、控訴審も棄却
 陸自PKO派遣の憲法判断回避
 ──「役目果たした」と原告 弁護団は「司法の役割放棄」に憤り

■当事者など6月下旬にも尋問へ
 黙秘権侵害・私物検閲訴訟佳境
 ──法廷上映の取り調べ動画はその後報道公開

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【観光】特集 2024 春の観光情報

“いのち”が満ちる北の大地へ

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【介護】

つしま医療福祉グループ原点の
特養「ノテ幸栄の里」が新築移転

地域包括ケアの拠点として在宅生活を支援

つしま医療福祉グループ(札幌市・対馬徳昭代表)の中核、社会福祉法人「ノテ福祉会」(同理事長)が、法人発祥の原点と言える特別養護老人ホーム「ノテ幸栄の里」(札幌市豊平区月寒)の移転新築を果たし、前後して南区に同じく特養の「ノテ石山」がオープンした。特養は同グループが展開している地域包括ケアシステムの拠点に位置付けている重要施設で、短期入所のショートステイや居宅介護事業も組み込み、住み慣れた地域での高齢者の暮らしを支えている。介護福祉で全国をリードする、つしま医療福祉グループの現在地をレポートする。(3月25日取材 工藤年泰)

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【医療】

坂泌尿器科病院に道内初導入された
放射線治療装置「ハルシオン」の実力

高まった治療精度と利便性
前立腺など様々な癌に対応

全国有数の泌尿器科専門病院として知られる社会医療法人北腎会 坂泌尿器科病院(坂丈敏理事長・院長/札幌市西区・59床)。昨年11月、同病院が開設した「放射線治療センター」に道内初導入され注目を集めているのが、がんを対象にした最新鋭放射線治療機器「ハルシオン」だ。これにより画像撮影時間は従来の10分の1、治療時間も大幅に短縮されたほか、センターには最新鋭のMRI「グラシアン」も導入されている。同センター長の原田慶一医師は「ハルシオンは前立腺がんだけでなく骨転移がんや乳がん、肺がんなどにも対応でき、グラシアンとの相乗効果も期待できます。今後はいっそう、がん治療を手がける他の病院と連携していきたい」と意欲を口にしている。
(3月21日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【医療】

中村記念病院の大竹安史センター長に
頸椎椎間板ヘルニアと頸椎症の治療を訊く

首の可動性を温存し再発を
予防する人工椎間板置換術

札幌の都心部に位置し、国内屈指の脳神経外科専門病院として知られる社会医療法人医仁会 中村記念病院(中村博彦理事長・院長/499床)が頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症の治療で成果をあげている。中でも「人工椎間板置換術」は、従来のインプラントによる固定術と違って首の可動性が損なわれず再発の可能性が少ないのが特徴だ。同病院の脊椎脊髄・末梢神経センター長を務め、頸椎疾患のエキスパートである大竹安史医師は「メリットやリスクを理解した上で治療を受けてほしい」と呼びかけている。
(3月18日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【市政】多くの難題に向き合った堀井・伊達市政の1年

子供たちを守る姿勢を鮮明に
重要なのは迅速な施策の実行

人口減対策には若者の移住が必須

6期24年続いた菊谷秀吉市政から一新。昨年4月の選挙戦に勝利し、伊達市の新たな舵取り役となった堀井敬太市長。就任してからさまざまな難題に向き合い対応を求められた1年目だったようだ。こと昨夏の記録的な猛暑は住民を大変苦しめたが、そんな中で子供を暑さから守ろうと市内全小中学校へのエアコン導入を即決するなど、子供の安心安全に注力する姿勢を鮮明にした。このほかにも課題山積の伊達市だが、堀井市長が特に危機感を抱いているのが人口減少。シニア移住者が増加傾向の一方で、若者の流出が深刻な現状を受け、「交流人口、関係人口を創出する新たな施策の展開により、活動拠点や移住先として若者にも選ばれるまちにしていく」と力を込める。
(3月27日収録、髙橋貴充)

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【交通】「住民の足」を救った赤井川村の「むらバス」

地元交通事業者らの協力と
村役場の熱意で路線が復活

後志管内の赤井川村が北海道中央バスの路線廃止に伴う代替交通として2022年4月から本格運行を始めた村営のコミュニティバス「むらバス」が実績を伸ばしている。バス利用者の声を聞きながら、高校通学に配慮したダイヤ編成や路線延伸を行ない利用者増に成功。利用者の低迷から中央バス運行時には「空気を運んでいる」と揶揄されたバス路線に人を呼び戻している。背景にあるのは、「住民の足」を守るために奔走した村役場の熱意だ。 (武智敦子)

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【連載】〝農と食〟北の大地から

アニマルウェルフェアの啓発に取り組む
岡田千尋さんに訊く今後の方向(前編)

「動物福祉の時代がくる」を信じ
無理解な社会で走り続けた20年

「食品企業の中に『アニマルウェルフェア(AW)の時代がくる』との考え方が醸成され、HPに掲載するところも増えている」と手応えを感じているのは、動物たちの権利擁護に向けた活動を続ける、認定NPO法人アニマルライツセンターの代表理事・岡田千尋さんだ。犬や猫の保護から始めて20年余り、近年は畜産動物の問題に注力し、虐待事例に対する告発や関連政策の提言、普及啓発、ロビー活動などに取り組む機会が多い。その歩みやAWに対する意見などを訊いた。 (2月2日、千葉県内で収録 ルポライター 滝川 康治)

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【連載】ルポ「ひきこもり」104──NPO法人「レタポス」田中理事長に訊く「母と私の半世紀」

統合失調症に苦しみながら
ひきこもりの息子を後押し

札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」の田中敦理事長(58)は、2年前に両親を亡くした。若い時に統合失調症を発症した母は、晩年にアルツハイマー型認知症を併発。父に厳しい言葉をぶつけることもあり、その度に「過去に何があったのか」と考えた。その疑問が晴れたのは、母の遺品を整理していた時に偶然見つけた古い日記帳。そこには、父と母方の祖母が付き合っていたというショッキングな「事実」が記されていた。田中理事長は、「母の日記から『家族の歴史』を振り返ることができた。今後は兄と一緒に両親を弔っていきたい」と話している。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【101】

建設された「戦闘機の秘密工場」
兵庫県西宮市の甲陽園地下壕跡

“歌劇のまち”の知られざる歴史

太平洋戦争の末期、現在は高級住宅街である兵庫県西宮市の甲陽園地区に巨大な地下壕などの施設を造り、戦闘機の製造を進める計画が進んでいた。終戦とともに実際に使われることはなかったが、37年ほど前に地下壕内部を調査したところ、建設のために労働を強いられた朝鮮半島の人たちが岩肌に残したと思われる文字も発見された。現在、地下壕はすべて埋め戻されており、地下壕のあった公園にひっそりと立つ石柱や説明板でその存在を確認できる。阪神甲子園球場や宝塚歌劇団がある西宮市を訪れ、巨大地下壕が眠る甲陽園地区を取材した。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●新入行員も頭取も気持ち新たに船出を切った北洋銀行の入行式
●星野リゾートが北海道で初の入社式。道内では76名が配属
●次の世代を応援する取り組みを相次ぎ展開した、ISHIYAの3月
●サントリーが北海道限定で「キンムギサワー」を新発売
●ホクレン北海道焼肉シリーズ3月末に2つの新商品を発売
●食と映画の祝祭、北海道フードフィルムフェスティバルが開催
●JR根室線 富良野~新得間でラストラン
●ススキのピックアップガール「めい」(セクシーカフェ モエッタ)
●自動調理ロボの中華料理店「日々中華」がプレオープン
●地域づくりを応援する太陽財団 対象事業の助成金贈呈式を開催

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『水仙』
【報道】道警不祥事から考える〈69〉

被害者は小1女児

児童わいせつの元警官に求刑3年
不起訴事件「不当」議決で明るみに

現職警官が同居する養女にわいせつな行為を強要し、親族の告発で容疑者として捜査を受けながらも起訴を免がれ、職場である警察本部も報道発表を見合わせた――。事実関係の多くが藪の中だったその不祥事が、発生から2年以上を経て公開の場で裁かれるに到った。第三者機関の「不起訴不当」議決を機に法廷で明かされることになった事件の概要を、発覚までの経緯と併せてここに報告する。小さからず注目されていた筈の裁判の模様は、なぜかどこにも報じられていない。(小笠原 淳)

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【報道】“核のゴミ”レポートPART38 「概要調査」めぐり真価を試される鈴木道政

いま毅然と“道是”を示せ

公表された「文献調査」の報告書
国策に翻弄されない地域作りを

2月13日、後志管内の寿都町と神恵内村を対象にした、“核のゴミ”最終処分場の選定に向けた文献調査の「報告書案」がようやく公表された。「第3の自治体」に浮上した長崎県対馬市では、3月3日投開票の市長選で調査反対の現職が圧勝し、調査に手を上げた自治体は2町村だけに。概要調査に「現時点では反対する」鈴木直道知事は今後どう対応するのか──堂垣内知事時代から「処分地は受け入れず」を基本にしてきた道政の流れや、幌延町での放射性廃棄物施設をめぐる膠着状態からの脱却をめざして制定された「特定放射性廃棄物に関する条例」の経緯などをたどりつつ考えた。道教育大名誉教授で地質学者の岡村聡さんによる「報告書案」批判と併せて紹介する。(ルポライター・滝川 康治)

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【経済】倶知安観光協会の吉田聡代表理事が「ニセコバブル」に反論

世界が認めた確かな実力

「バブル」と言われ続け20年
正しく評価されないニセコ

倶知安とニセコにまたがるいわゆる「ニセコエリア」が外国人スキー客で大賑わいだ。コロナ禍を経たいま、円安も追い風に国際的なスキーリゾートとして完全復活したと言っていい。しかし、一部メディアや識者の間には「ニセコバブル」と称して先行きを危ぶむ論調も少なくない。果たしてバブルに踊っているのか、それとも世界に認められた本物の人気なのか。おりしもスキーシーズン真っ只中、倶知安観光協会の吉田聡代表理事にニセコエリアの現状を訊いた。   (3月4日取材 佐久間康介)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑰──回復しない戸建て住宅需要

バブル超え株価でも底打たず
3年連続1万戸割れに現実味

戸建て住宅の需要が回復しない。国土交通省によると2023年の道内の住宅着工戸数は1万686戸で、そのうち持ち家は8277戸と2年連続で1万戸を割り込み、過去65年間で最少となった。株価はバブル時の最高値を34年ぶりに更新し、全国的に賃上げ期待が広がるが、北海道の景況感に持ち直しのムードは乏しく、戸建て需要が底を打つ気配はない。24年も1万戸割れが続く見通しだ。    (佐久間康介)

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【環境】石狩湾沖で開発が進む洋上風力の現状と課題

環境や漁業、健康への影響─
洋上風力に潜む不都合な真実

小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港内で、国内最大級の洋上風力14基が今年1月1日から本格稼働を始めた。国は石狩湾沖合の一般海域を大規模プロジェクトに向けた「有望区域」に位置付けており、11事業者が名乗りを上げている。まさに洋上風力ラッシュの様相だが、環境や漁業に与える影響について不安視する住民も少なくない。「北海道風力発電問題ネットワーク」代表の佐々木邦夫さんは「再生エネルギーは必要」とした上で、「石狩湾沖合の一般海域は環境省が生物多様性の観点から重要度の高い海域としています。風車をめぐっては、鳥類への被害を防止するための実証実験も行なわれています。国はこうした調査研究に予算をつけてほしい」と話している。(武智敦子)

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【釧路特集】鈴木貴子衆議に訊く

道7区の顔として地域を牽引
未来を創る地元人材の育成を

岸田内閣で外務副大臣などを歴任した鈴木貴子衆議院議員(38)が昨年3月、伊東良孝衆議と交代する形で自民党北海道7区の支部長に就任し、政治家としての存在感を増している。お膝元の釧路・道東地区ではコロナ禍とロシアのウクライナ侵攻で酪農・畜産業が大きな打撃を受けているが、鈴木衆議は「これを機に真の経済安全保障、食料安全保障を確立していかねば」と未来を見据える。その鈴木衆議に道7区支部長としての抱負をはじめ、地域づくりの方向性、自民党の裏金問題に対する所見を訊いた。 (2月10日取材・工藤年泰)

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【釧路特集】蝦名大也釧路市長に訊く

基幹産業の課題解決を進め
観光などで新しい賑わいを

昨年は32年ぶりに日本一となった水揚げ量に加え、コロナ禍が落ち着いてきた中でアドベンチャートラベルの適地として注目が高まるなど、明るい兆しも出てきた道東の拠点都市・釧路。だが飼料などのコスト高と価格転嫁の難しさで酪農業は危機的状況。北海道ワイルズの東京移転で、かねてよりアイスホッケーが代名詞だったまちからプロチームが消滅する事態も。さらには釧路湿原など貴重な自然の地域資源を“エコエネルギー”を生む大規模太陽光発電施設が脅かすという問題も出始めた。果たして釧路はどんな未来を描いていくのか──。舵取り役の蝦名大也市長に訊いた。
(2月22日取材・髙橋貴充)

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【釧路特集】サンエス電気通信・宮田昌利社長に訊く

基幹産業の衰退で正念場の経済
危機感共有し新産業の芽を育成

かつての基幹産業の衰退に伴い人口減少が進み、数年以内にピーク時から半減する見通しの釧路市。地元経済界の危機感は強く、新産業育成は喫緊の課題になっている。そうした中でサンエス電気通信の宮田昌利社長(63)は「釧路新産業創造研究会」を立ち上げ、新たな産業の芽を育もうと東奔西走。就任した会長の在任期間を3年間とし、その間に次の釧路を担う人材育成に全精力を注ぐ考えだ。「K-Biz」(釧路市ビジネスサポートセンター)や「ラポールくしろ」の活動など、まちづくりのムーブメントは確実に醸成されつつある。地域経済のキーマンのひとりである宮田社長に釧路再興のポイントを訊いた。(2月24日取材 佐久間康介・工藤年泰)

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【ニュース】

■町丸抱えの特養建て替え事業で
 片岡町長が認めた“見切り発車”
 ──寿都町の社福が用地未取得のまま補助金申請、工事着工

■後志管内4つの住民団体で組織する
 後志風力発電問題連絡会が共同声明
 ──反対機運の中で古平町は“脱炭素”で関電と連携協定

■塀の中の創作、チカホで展示会
 絵画や詩などに足止める市民ら
 ──刑務所・少年院コンクール66回め、入賞作中心にお披露目

■違法捜査指摘の道警、争う姿勢
 現職警察官の損賠訴訟で初弁論
 ──銃刀法違反の捜査は嫌疑不十分で不起訴処分に

■STV報道に人権侵害など指摘
 路上支援団体がBPO審議要請
 ──ホームレスへの配慮不足に抗議、映像はすでに配信停止

■看護師遺族が陳述「台帳開示を」
 病院側はチラシ配りに過敏反応
 ──釧路日赤パワハラ訴訟で弁論続く

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【医療】
移転新築を控えた時計台記念病院の
消化器内科部長・田沼徳真医師に訊く

AIを備えた最新の内視鏡で
がんを早期発見、徹底治療

社会医療法人カレスサッポロ(大城辰美理事長)が運営する札幌市中央区の時計台記念病院(藤井美穂院長・225床)。同病院の消化器内科部長に今年1月、内視鏡治療のエキスパートである田沼徳真医師(47)が就き、カレスサッポロが来年4月、JR札幌駅北側に開院する新病院「カレス記念病院」の消化器内科部門を統括する予定になっている。専門の消化器分野だけでなく、さまざまな内科領域で幅広く臨床経験を積んできた田沼医師に、進化著しい内視鏡治療の可能性や今後の意気込みを訊いた。         (2月19日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【医療】
北海道整形外科記念病院の大浦久典医師に
手術支援ロボット「Mako」の実力を訊く

ロボットのサポートで実現する
正確で安全な「人工関節置換術」

国内有数の整形外科専門病院、医療法人 北海道整形外科記念病院(札幌市豊平区・199床、加藤貞利理事長・近藤 真院長)が昨年9月、アメリカで開発された手術支援ロボット「Mako」(メイコー)を導入し、人工股関節置換術や人工膝関節置換術に力を発揮している。ロボットアームが医師の執刀をサポートすることで、より正確で安全な手術を行なうことが可能なMako。その実力と可能性を副院長で股関節センター長の大浦久典医師(58)に訊いた。     (2月26日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【ビジネスレポート】

キャンピング&フィッシング体験
施設「C&A北広島」に新レストラン

看板はジェラートにコーヒー、ピッツァなど

北海道日本ハムファイターズのホーム球場、北海道ボールパーク・Fビレッジのまち、北広島市。ここで昨年9月末に産声をあげたのが、キャンプやフィッシングをはじめアウトドアスタイルの総合的な魅力を提案、発信するキャンパーズアンドアングラーズ(※スノーピーク、アイビック、ティムコ、アイビック食品の4社による合弁企業。本社札幌・山井太社長=スノーピーク会長兼社長、略称C&A)の第1号店「C&A北広島」だ。

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【観光】弟子屈への処方箋、そしてニセコへの懸念

星野リゾート代表が提言する
持続可能な日本観光の在り方

北海道知事自らも「北海道は食と観光」と声高に基幹産業であることを明言し、同時にこれからの大きな成長への期待感を露わにしている北海道の観光。人々がほぼ動きを止めた最悪のコロナ禍を脱し、途端再び急増を始めたインバウンド需要も大きな追い風に、北海道観光は〝順風満帆〟の空気感が支配している印象だが、はたしてそれは本当に盤石と言えるだろうか? そんな疑問を抱いていた中、2月21日に札幌市内で行なわれた星野リゾート(星野佳路代表)のプレス発表会。近年ことに北海道で存在感を増す日本の観光産業のリーディングカンパニーたる同社だが、そこで同氏が語ったのは私も感じていたこれからの北海道観光への懸念。加えてそれを回避するには何を成すべきかのいくつもの処方箋だった。(2月21日収録・髙橋貴充)

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【食】
道内販売がなく売れ行きは低調
目下、着々と道内展開の準備中

レトルト「リトルスプーン」復活
SNSで大バズりはしたけれど…

1月9日、北海道どさんこプラザ【公式】アカウントから「このキャラクター知ってますか?」の質問と共に、とあるキャラクターがSNSで発信された。玉ねぎのような髪型をしてカレーライスを持ったおそらく子供であろう人物キャラ。その公開から間もなく、SNSのひとつX(旧Twitter)には「リトルスプーン」がトレンドにあがった。閲覧数は2月末時点で、およそ36万。コメントには「懐かしい」「美味しかった」といった言葉が溢れた。そのリトルスプーンとは何かというと、地元のみよしのやCoCo壱番屋など競合他社がひしめき合う北海道のカレーチェーン店市場において、1999年の初出店以降一大旋風を巻き起こし急成長した店及びブランド名。SNSにあがったのは、そのイメージキャラクター「スプーンちゃん」だった。告知の真意は、同日にリトルスプーンのカレーがレトルトになって復活し、販売開始したことを伝えるものだった。  (髙橋貴充)

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【春の全国交通安全運動】

交通事故抑止に寄与してきた
安心安全なクルマ作りの歩み

自動運転など技術の進歩は日進月歩

毎年恒例の春の全国交通安全運動。今年は新入学(園)時期の4月6日から15日までの10日間を活動期間としており、4月10日は「交通事故死ゼロを目指す日」とした。重点テーマに据えたのは子供を中心に、歩行者の安全確保。これまで本誌では春の全国交通安全運動について、小学生の登下校を見守るシニアボランティアの活動や、交通事故抑止に務める企業・団体の取り組みなどさまざまな方向から取り上げてきたが、今回は車の安全性向上の歩みや現在の技術に着目。果たして現在の車はどれだけ安全になったのだろうか。

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【文化】「まち文化研究所」を主宰する塚田敏信さんに訊く(後篇)

知られざる小樽の魅力

独自のまち文化を見える形で
残し「底力」を伝えていきたい

「まち文化研究所」を主宰し、小樽を始め道内各地の「まち文化」に詳しい塚田敏信さん(73)へのインタビュー後篇は「小樽のまち文化をどう残し伝えていくか」がテーマだ。小樽ゆかりのプロレタリア作家、小林多喜二が小樽を北海道の「心臓」に例えたことに着目し、小樽と道内外のつながりを丁寧に紐解く塚田さんは、「ここに『まち文化博物館』をつくり、銭湯や市場、菓子など独自のまち文化について興味を持ってもらう。そして他の情報も互いに持ち合う交流の場にしたい」と意気込む。 (武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」103──NPO法人「楽しいモグラクラブ」の挑戦

軌道に乗り始めた「動画編集」
対価を生む仕事として手応え

札幌市のNPO法人「楽しいモグラクラブ」(平田眞弓理事長)が運営する就労継続支援B型事業所「工房mole」の動画編集サービスが本格化している。昨年12月、地域FM局のパーソナリティを務める人物から仕事を受託。工房の利用者が1時間弱のラジオ番組の動画を1分間のショート版に編集している。これまでは自分たちの紹介動画をつくってきたが、外部から仕事が入り対価が支払われるように。平田理事長は「ひきこもっている人の中にはパソコンが得意な人が多い。もっと仕事を増やし、一人ひとりが個人事業主として動画編集を続けていけるようにしたい」と手応えを感じている。               (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【100】

比叡山の頂に残る人間ロケット
「桜花」の秘密基地跡が語るもの

使われなかった非道な兵器

滋賀県と京都府の県境にある比叡山の山頂付近に終戦間際、特攻を目的とした人間ロケット「桜花」の秘密基地が作られていた。この事実は、最近になってテレビの特集番組や新聞で紹介されるようになったものの、その全貌はいまだに分かっていない。本土決戦が現実のものとなり、民間のケーブルカーを接収して突貫工事で建設が進められた桜花の発射装置、カタパルトの名残を探して冬の比叡山を歩くと、いくつかの痕跡が確認できた。なぜ日本海軍は桜花の発射場所に比叡山を選んだのか、そして〝人間ロケット計画〟はどこまで進んでいたのか──。
(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●新トップは〝森友〟特捜部長 札幌高検・山本検事長が着任会見
●北海道の巨星、伊藤義郎氏を偲ぶ「蒼空のつどい」に500人
●札幌心臓血管クリニックがインドネシア政府と提携へ
●市街地と阿寒湖の中間に位置する釧路観光の拠点
●両国関係の〝雪解け〟を願って日中友好・新年交流会を開催
●「百二十%ハコダテ」を掲げるOMO5函館が7月6日オープン
●「北のハイグレード食品」など道産食品を評する3式典開催

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 仮面の恋
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス

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【今月の表紙】鈴木翁二画
『雨になりそうなニューオリンズ』
【報道】21世紀の人質司法③

「逃げてねえか」

黙秘権侵害映像、法廷で上映
国賠訴訟で異例の「文書提出」

「供述拒否権は『嘘ついていい権利』じゃない」「それは間違った選択肢だと思う」「逃げてるつもりはねえか」――。無言で俯く女性に、執拗に迫り続ける警察官たち。延べ約25時間に及んだという密室の取り調べの様子が、警察自身の手で撮影・録音されていた。その一部が裁判所で上映されたことで、長時間の権利侵害の実態が白日の下に。被害女性の代理人らは、改めて訴える。「この取り調べが合法というなら、黙秘権は何のためにあるのか」。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈4〉

市、事業所に合流迫る

恵庭牧場・障碍者虐待疑い訴訟
事業所報告「事実と異なる」と市

本誌などが報告を続けている恵庭市の牧場での障碍者虐待疑い問題で、当事者から訴えを起こされた自治体が地元の相談支援事業所へ「訴訟告知」を行なっていたことがわかった。早期に虐待の存在を疑っていた事業所を、市が自分たちの側につける形で裁判に合流させようというのだ。これに驚いた原告側は近く、同様の訴訟告知を行なって事業所に協力を求める考え。長期の虐待隠蔽が問われる事件の行方は、なお予断を許さない状況だ。(小笠原 淳)

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【経済】タクシー不足解消をどうする

誰が地域の足を守るのか

日本版ライドシェアの行方と
ハイタク業界の「新潮流」とは

二種免許を持たない一般の人がタクシー会社の管理下で自家用車を使って客を運ぶ「日本版ライドシェア」の試験導入が4月から東京で始まる。タクシーを拾えなかったり、配車を依頼してもなかなか来ない「地域」「時期」「時間帯」を限定した導入だが、安全管理やサービス面の課題もあり全面解禁の行方は不透明。人口減少の流れを受け鉄道やバスといった公共交通が縮小する中、地域の足をいかにして守っていくのか──。タクシー難民の解消に向け「ニセコモデル」など独自の取り組みも進めている北海道ハイヤー協会の今井一彦会長(71)に訊いた。   (12月17日取材 聞き手=工藤年泰)

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【被災地支援】つしま医療福祉グループが能登半島地震で介護支援

被災者の苦難に寄り添って
不自由な高齢者をサポート

厚生労働省からの要請を受け、つしま医療福祉グループ(本部札幌市豊平区・対馬徳昭代表)が1月中旬から能登半島地震の被災地に職員を派遣し、避難所で介護が必要なお年寄りを支えている。1月15日に出発した第1班を皮切りに、22日からは第2班、28日からは第3班、2月4日からは第4班が向かい、それぞれ1週間現地で活動に従事。同グループでは第4班以降も継続派遣を決めている。今回の支援の概要をはじめ現地の様子や介護に当たった職員の声を紹介する。      (工藤年泰)

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【報道】道警不祥事から考える〈68〉

暴行「注意」留まりか

懲戒6、監督上の措置91
道警処分2023年速報

地元警察が不祥事の全件公表に踏み切らない中、本誌が飽かず続けている定期的な公文書開示請求。北海道警察への本年最初の請求で昨年第4四半期(10―12月)の職員処分の記録が開示され、もって通年の記録が出揃った。直近では歳末に「不相応な借財」なる事案が頻発するなど、これまであまりみられなかった傾向が読み取れる。職員の逮捕事案が懲戒に到っていない可能性も含め、2023年の速報値を報告したい。(小笠原 淳)

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【報道】「桐島聡」死亡で囁かれる共犯・大道寺あや子に国内潜伏説

釧路に生まれた日本赤軍の
残党はいま何処にいるのか

1974年から75年にかけて連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線のメンバーとして指名手配されていた桐島聡容疑者(70)を名乗る男が1月29日、入院先の病院で死亡した。警視庁公安部は2月2日までに男のDNA型を桐島容疑者の親族と照合し「親族関係に矛盾なし」との結果が出たとし、容疑者本人かどうかの特定を進めている。半世紀に亘る逃走劇が明らかになる中で、注視されるのが共犯者として今なお国際手配中の釧路出身、大道寺あや子容疑者(75)の動向だ。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑯──札幌市内で解体されずに残る空き病院

利活用が進まない空き病院
閉院から10年経過の建物も

札幌市内では、1972年の札幌冬季五輪で街並みが大きく変わったが、当時建設された多くのビルが更新の時期を迎え、再び街並みが変わり始めている。その頃に建った病院も同様に建て替え時期に入っており、移転新築された新病院が市内随所で目に付くようになった。その一方で、解体されることなく当時の姿を留めたままの旧病院もある。今回は、そんな旧病院の動向を探ってみた。(佐久間康介)

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【環境】後志で風力発電に反対する住民団体の活動が活発化

余市でも高まる風車への懸念
初の住民学習会で深めた学び

現在、後志管内では仁木町、赤井川村、小樽市、余市町の4市町村の住民団体が風力発電の建設に反対する活動を続けている。そうした中、1月28日には「余市町の風力発電を考える会」(安田嵐嶄共同代表)が、関西電力が余市町と古平町で計画しているウインドファーム事業の建設予定地に近い余市町豊丘で初の学習会を開き、町内外から76人が参加した。一方、「仁木町の風車問題を考える会」(穂積豊仁代表)は、昨年12月に関電が開いた住民説明会をめぐり「住民を無視したもの」として、事業を認可しないよう求める上申書を1月17日付けで国に提出。脱炭素社会への切り札とされる風力発電に「NO」を突き付ける動きが後志で本格化している。   (武智敦子)

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【ニュース】

■道主催の「ひきこもり支援セミナー」で
 山田ルイ53世さんと斎藤環さんが講演
 ──テーマは「僕たちにはキラキラする義務などない」

■能登半島地震被災地の悪臭対策に
 寄贈された次亜塩素酸水が大活躍
 ──避難所の要請に応じて業界団体が搬送支援

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【流通】アークス・横山清社長が2024年の食品スーパー業界を展望

私も会社も発展途上

オーバーストアの調整局面
今年がその端緒の年になる

食品スーパーマーケットで全国5番手の売上高を持つアークス(本社・札幌市中央区)。同社を率いる横山清社長は、大学卒業後に就職した商社から子会社の食品スーパーに出向を命じられてこの道に入り、以来62年に亘り激動の業界を生き抜いてきた。横山氏の半生は、道内のみならず全国の食品スーパーが歩んできた歴史そのもの。同氏は今年5月に89歳を迎えるが、今もトップとして全国を飛び歩く。業界の“生老病死”を目の当たりにしてきた横山氏の眼に、2024年の食品スーパー業界はどう映っているのか──。現役経営者による縦横無尽の語りを読者にお届けしたい。   (佐久間康介)

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【観光】創業60周年を迎える野口観光の野口和秀 社長に訊く

祖父が生んで、父が育てた
野口ブランドを新たに磨く

目指す「ビッグとグッドの両立」

道内外で21カ所のリゾートホテル・旅館を展開し、今年創業60周年を迎える「野口観光グループ」(本社登別市)。2022年6月に社長に就任した3代目トップ、野口和秀氏(46)は、グループを率いる新リーダーとしてコロナ禍で打撃を受けた業績の建て直しに手腕を発揮した。「今後は会長(故・野口秀夫氏)が残してくれた課題に着手する」とする野口社長に、これまでの歩みを振り返ってもらいながら自身が描く「野口観光の明日」を訊いた。目指すのは「ビッグとグッドの両立」だ。(1月17日取材 聞き手=工藤年泰)

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【震災】正月を襲った未曾有の大災害 (㈱あかりみらい代表取締役社長 越智文雄氏)

いま能登半島地震から学ぶこと

元旦に起きた大地震から1カ月を過ぎ、能登半島ではいまだに多くの被災者が不便で不衛生な生活を余儀なくされている。いち早く現地で支援活動を行なっている日本除菌連合会長/(一社)次亜塩素酸水溶液普及促進会議の代表理事越智氏に取材した。

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【連載】〝農と食〟北の大地から
家畜福祉(アニマルウェルフェア)の普及をめざした歩みを振り返る

人と動物とのより良い関係を目指す
啓発は道半ば。今後は「学びの場」を

筆者がアニマルウェルフェア(家畜福祉・AWと略)の問題を勉強し始めてから、すでに20年ほどの歳月が流れた。「家畜に福祉? 何それ…」と首を傾げる人が多かった時代は終わり、一定数の人がこの言葉を認知するようにはなった。普及に向けた“そよ風”は吹いているが、本気でAWの問題に関わろうとする人材はまだまだ少ない。店頭に並ぶパック詰めされた畜産食品の価格や味には敏感でも、それを生みだす動物たちの劣悪な飼育環境にまで関心を向ける消費者も多くはない。AWの基本は、それぞれの動物の習性や生態、生理によく学ぶこと。その原点に立ち返り、「学びの場」を創ることも必要ではないか──。自身の歩みを振り返りながら、今後に向けた課題などを考えた。(ルポライター滝川 康治)

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【文化】「まち文化研究所」を主宰する塚田敏信さんに訊く(前篇)

足元の生活文化こそ宝

縮小する銭湯や市場は小樽の
魅力を伝える貴重な地域資源

2020年1月に国内で新型コロナの感染者が確認されてから3年余り。世界をパニックに落とし入れた感染症は昨年5月に収束し、観光都市小樽にも外国人観光客が押し寄せている。しかし、まちを歩くと新型コロナによる不況の影響はそこかしこに。客足が途絶えたり経営者の高齢化で閉店を余儀なくされたまち並みには空き地が増え、昔ながらの店舗は姿を消しつつある。「まち文化研究所」を主宰し、小樽をはじめ道内各地の市場や銭湯など「まち文化」を研究する塚田敏信さん(73)を訪ね、まちの記憶をどうとどめ伝えていくかを訊いた。  (武智敦子)

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【連載】ルポ「ひきこもり」102──レタポスの居場所事業を田中理事長が総括

当事者の参加で活況の江別と
横のつながりを欠いた北広島

札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(レタポス・田中敦理事長)が2023年度に江別市と北広島市で開催してきたサテライト型の居場所事業は、江別が昨年12月、北広島は11月に事業を終了した。これにより札幌圏の居場所事業は一区切りついたが、両市の結果を見ると、当事者や家族の参加が順調に推移した江別に比べ北広島はいずれもゼロだった。「江別市では後援団体間に横のつながりがあり、当事者がいたら積極的に声がけをしていたが、北広島市にはそれが欠けていたのではないか」と話す田中理事長に、これまでの居場所事業の総括と今後の予定などを聞いた。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【99】

英米の兵士24人が命を落とした
広島県尾道の旧向島捕虜収容所

プレートに刻まれた戦争の苦難

広島県尾道市向島(むかいしま)町にある大型スーパーとドラッグストアの敷地隅に赤レンガのモニュメント、そして英文と日本語で書かれた2枚のメモリアルプレートが置かれている。かつて赤レンガの壁とノコギリ屋根が特徴的だった旧向島捕虜収容所の名残りを伝える慰霊碑だ。太平洋戦争中にフィリピンなどで捕虜となって移送されたイギリス兵やアメリカ兵が収容されていたもので、収容中に亡くなったイギリス兵23人とアメリカ兵1人の名前が刻まれている。収容所が解体されてもプレートには戦時中の悲しい事実が刻まれている。 
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●飲食店大充実の第2弾オープンでココノススキノが待望の本格始動
●サッポロビールとポッカサッポロ北海道が2024年事業方針を発表
●聖地、昭和新山に精鋭チームが集結 国際雪合戦 待望の通常開催へ
●札幌モビリティショー2024 模索される未来
●ISHIYAとTOPPANが環境に配慮した事業構築で協業開始
●流氷の到来と同時期という好機にチカホでオホーツクフェアが開催
●SUSUKINO PICKUP GIRL「みずき」(セクシーホスピタル ER。)
●北海道で生まれた全国注目の「呼吸する換気口」

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*人物株価
*視点 公共交通をどうする?
*夏井功の夜を駈ける車イス

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【今月の表紙】鈴木翁二画
『春の踊り』
【報道】全国中堅ゼネコンTSUCHIYAの架空発注疑惑を追う

「それは会社のためだった」

ツチヤ北海道支店が裏金を
作った本当の理由とは──

年間売上高約630億円の中堅ゼネコンとして知られるTSUCHIYA(ツチヤ)株式会社(本社岐阜・土屋智義会長兼社長)。同社の北海道支店(札幌市中央区)に勤めていた建築部副部長のM氏(68)が昨年6月、懲戒解雇され同社を後にした。だがこの懲戒解雇の裏には「架空発注」による裏金作りという大きな不祥事が潜んでいた。いったい同社の北海道支店で何が起きていたのか──。  (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・絶望の学府㉚

パワハラ死問題 越年

江差看護・保護者らが知事要請
議会では各会派からの追及続く

「ご遺族の意向を伺いながら、丁寧かつ誠意をもって対応して参ります」――。どこで誰から問いを受けても、北海道トップの答えに“ブレ”はない。およそ具体性を欠いた言葉は、2024年も変わらず唱えられ続けることになるのか。少なくともその「誠意」はまだ、肝心の遺族には伝わっていないようだ。道立高等看護学院のハラスメント問題、最悪の被害は未解決のまま、またしても1つ年を越すこととなった。(小笠原 淳)

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【報道】苫小牧・老舗ガス業者で“独裁”か

「ぶん殴ってやりたい」

公益企業でパワハラ疑い
被害男性が社長など提訴

「ぶん殴ってやりたい」「ふざけんな」「本当に馬鹿」――。聴くに堪えない罵詈雑言の発信元とされるのは、苫小牧市のガス会社。被害を訴える男性は3年前に起きた事故を機に社長から理不尽なハラスメントを受け続け、心を病んで休職せざるを得なくなったという。労働災害の認定を経て損害賠償請求裁判に踏み切ったのは、理不尽な被害の再発防止を願うため。地域のライフラインを担う公益企業には一日も早く正常な職場に戻って欲しいという。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑮──札幌圏で不動産開発進める日本エスコン

「キングムー」解体後にホテル
地場オフィスビル2棟も取得

プロ野球日本ハムファイターズの新球場、「エスコンフィールド北海道」の命名権を得るなど、北海道での知名度が急速に高まっている日本エスコン(東京本社・東京都港区)。新球場の玄関口である北広島市内では、駅西口で複合ビル開発を進める一方、札幌市内では新たにオフィスビル開発事業にも乗り出す。さらに、札幌のディスコ・クラブシーンを彩ってきた「キングムー」の土地建物を取得、解体後にはホテル建設を計画するなど、札幌圏の不動産市場で存在感が高まりつつある。(佐久間康介)

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【連載】“核のゴミ”レポートPART37 処分地選び「第3の自治体」が現れない中で…

節目を迎える「文献調査」

大型交付金による後遺症を
元高知県知事が寿都で力説

後志管内の寿都町と神恵内村を対象に行なわれてきた“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」の問題は今年、大きな節目を迎える。近く調査報告書の原案が公表され、一定期間の縦覧や道内各地での説明会などが予定されるからだ。次の「概要調査」に移るためには知事や両町村長の意向聴取が必要で、寿都町では条例に基づく住民投票を実施しなければならない。「第3の文献調査地域」が現れない中、経済産業省やNUMO(原子力発電環境整備機構)は時間稼ぎをするのか、地元住民や道民の意識の変化を踏まえ一気呵成に事を進めるのか──これまでの経緯や今後の見通しを概観し、元高知県知事の講演録と併せて紹介する。 (ルポライター・滝川 康治)

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【環境】仁木町の佐藤町長が関電の風力発電計画に反対表明

首長の背中を押した住民の
反対運動と風発への不信感

関西電力が仁木町の銀山地区を含む同町南部エリアで別の風力発電事業を検討している問題をめぐり、これまで中立の立場とされていた同町の佐藤聖一郎町長が12月21日、仁木町議会の一般質問で「好ましくない」と事実上の反対表明を出した。先立つ16日に行なわれた関電主催の説明会では、住民から銀山地区での事業中止を求める声が上がったが、具体的な回答はなく大荒れの展開に。佐藤町長が反対の意向を示した背景には、「仁木町の風力発電を考える会」(穂積豊仁代表)が1年半にわたり続けてきた反対運動と地元住人の風力発電への根深い不信がある。(武智敦子)

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【ニュース】

■寿都町丸抱えの「特養建て替え」で
 社福に取り沙汰される補助金疑惑
 ──未取得の事業用地を「自己所有」と虚偽申請?

■北海道新幹線の要対策土搬入に
 手稲山口の反対住民が抗議行動
 ──有害物質を含む粉塵の飛散に大きな危機感

■余市宇宙記念館の名誉館長に日本人
 初の宇宙飛行士・毛利衛さんが就任
 ──オープンから25年越しで実った町のラブコール

■教授地位確認訴訟・二審で終結
 大月隆寛氏と札幌国際大が和解
 ──結審後に札幌高裁が勧告、合意内容は非公表

■児童わいせつの元警察官、起訴
 検審「不当」議決で検察が再捜査
 ──同居養女に性的虐待、不起訴後に親族の申立てで逆転決定

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【2024 道東・根室特集】石垣雅敏市長に訊く

困難な時にこそ創意工夫と
熱意で“地域みがき”に邁進

成し遂げる水産都市・根室の再興

ロシアとの関係悪化で北方領土返還交渉が暗礁に乗り上げ、人口減や看護師不足に悩まされても石垣雅敏市長は前を向くことを忘れない。故郷の根室をこよなく愛し、一介の職員から市のトップとなった72歳は「水産都市・根室の再興」を掲げて2期目をひた走っている最中だ。2022年度実績で寄付額全国3位と9年連続最高を更新したふるさと納税、新型コロナの5類への移行に伴い各種の祭りが復活するなど明るい話題もあるが、ウクライナ戦争や中国の禁輸措置といった国際情勢を受けて一次産業が危機に陥るなど新たな課題も生まれている。このような中で市政をどう舵取りしていくのか──。「困難な時にこそ職員と力を合わせ、地域にみがきをかける」と語る石垣市長に胸の内を訊いた。(12月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【2024 道東・根室特集】千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長 角鹿泰司さんに訊く

置き去りにされる四島問題
何より望む北方墓参の再開

ロシアによるウクライナ侵攻に端を発して日ロ関係が悪化、北方領土問題は戦後最も厳しい局面に置かれている。元島民たちの平均年齢は88歳になり、もはや生きているうちに島は戻らないという酷薄な現実を突きつけられたも同然の状況だ。これまで元島民らが積み上げてきた返還運動の思いを、後継者や三世、四世にどう引き継いでもらうかは、今後の運動の在り方を左右する大きな課題。歯舞群島勇留島出身で公益社団法人千島歯舞諸島居住者連盟理事・根室支部長を務める角鹿泰司(つのか・やすじ)さん(86)に返還運動の〝いまとこれから〟を訊いた。(佐久間康介)

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【医療】
さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニックの
亀田院長に「がんゲノム医療」を訊く

解明された遺伝子変異と
乳がん発症の「因果関係」

遺伝子を調べてがんを治療する「がんゲノム医療」が注目されている。ゲノムとは全遺伝情報を指し、乳がんの分野でもがんの原因となる遺伝子を一括して調べる「がん遺伝子パネル検査」や乳がんの再発リスクを数値化し抗がん剤の投与を判断する「オンコタイプDX乳がんスコアプログラム」が保険収載されている。昨年7月には京都大学の研究チームが、乳がんの芽となる遺伝子の変異から発症までのプロセスを最先端のゲノム解析で明らかにしたというニュースも飛び込んできた。医療法人北つむぎ会「さっぽろ麻生乳腺甲状腺クリニック」の亀田博理事長・院長を訪ね、京都大学のゲノム解析やゲノム医療の現状について訊いた。(工藤年泰・武智敦子)

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【医療】
北海道BPにメディカルモールを開く
ミライシアHD・神山武士社長に訊く

連携と共有をキーワードに
クリニックと薬局を新展開

この夏、北海道ボールパークFビレッジ(北広島市)に開業予定のメディカルモールを手掛け、外来診療の停止に追い込まれた釧路の精神科病院の建て直しにも取り組む──。調剤薬局などを手掛けるミライシアホールディング(本社札幌)の神山武士社長(42)にとって23年は激動の年だった。そんな若き経営者が24年に掲げるキーワードは「連携」と「共有」。2019年の創業以来、地域のニーズに応える調剤薬局事業を展開しながら道内の医療格差を肌で感じてきた神山社長は、医療機関などと連携を図り地域に手厚い医療を届けることを目標に掲げる──。  (12月12日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【企業】2024年の進路を訊く──サッポロビール 森本光俊北海道本社代表

上富良野でのホップ試験栽培
百年目は学びや体験に力注ぐ

ここだけのビール求め行列の賑わいも

「上富良野町でのホップ試験栽培100周年」をキーワードに、原料生産地・上富良野町とのつながりやビールに欠かせない原材料の歴史、物語などを積極的に打ち出してきた2023年のサッポロビール。この象徴的事業といえる上富良野町日帰りツアーは、ホップなど原材料にまつわる特別な体験や学びを提供し大好評。また伝説のホップと呼ばれる上富良野発祥のソラチエースを使ったSORACHI 1984に関しては、JR札幌駅改札内にオープンしたBEER STAND SORACHIが連日行列の大人気だという。そんな同社の今後などについて森本代表に話を訊いた。    (12月21日収録)

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【ビジネス】
新千歳空港に待望のビジネス
ジェット専用ターミナル開業

利用者をもてなす独自のサービスも

北海道の良質な雪を求めてやってくる海外客の繁忙期を間近に控えた12月8日、新千歳空港に新施設が開業した。それはビジネスジェット専用ターミナル。これまでは羽田・成田空港など限られた空港のみで整備されていた施設だ。同ターミナルは主に海外富裕層のニーズに応える上でかねてより北海道エアポートが構想し、準備を進めていたもので、いわば念願の施設ともいえる。開業式典では、北海道エアポートの蒲生猛社長が「当施設を北海道での高付加価値な観光体験につながる玄関口として、北海道と世界をつなぐ交流拠点に育てていきたい」と意気込みを述べた。

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【追悼特集】

経済界の巨星、伊藤義郎氏が
遺した故郷・北海道への直言

 伊藤組土建(本社札幌)の取締役会長で、北海道商工会議所会頭、札幌商工会議所会頭、北海道建設業協会会長などを歴任した経済界の重鎮・伊藤義郎氏が2023年12月5日、老衰のため死去した。96歳だった。明治時代の半ばに新潟県出雲崎出身の伊藤亀太郎氏が渡道して伊藤組土建を設立。1926年12月生まれの義郎氏は56年に29歳の若さで同社3代目当主となり、以後半世紀以上にわたって建設業のみならず、北海道経済をリードしてきた。
 札幌証券取引所理事長も21年間務め、アンビシャス市場創設に尽力したほか、札証廃止論が強まる道内経済界の中で経済インフラの重要性を説き、存続に導いた立役者だった。
 このほか北海道スキー連盟会長としてウインタースポーツ振興に努めるなど、その功績は多岐にわたる。
 その伊藤義郎氏への追悼を込めて本人が91歳の時に収録、2018年4月号に掲載したロングインタビューを再録する。数多の苦労を乗り越えて年輪を重ね、卒寿を超えた伊藤氏が考えていた北海道の将来像とはいかなるものか──。その直言に耳を傾けてもらえれば幸いだ。

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【連載】ルポ「ひきこもり」101──レタポスの小樽での居場所事業を引き継いだ「塩谷福祉会」

長い時間をかけ取り組んできた
ひきこもり支援に新たな担い手

小樽市の社会福祉法人「塩谷福祉会」が運営する地域活動支援センター「やすらぎ」が、昨年10月からひきこもり支援に乗り出した。同市においては札幌市のNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長・以下レタポス)が2017年10月から22年12月までサテライト事業を行なっていたが、行政の支援が手薄なことに加え社会資源が乏しいことが課題であった。そうした中、地域活動支援センターの主導で始まった新たな動きは親達に歓迎されている。(武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【98】

平和のために何ができるかを問う
立命館大学国際平和ミュージアム

誠実に歴史に向き合う

京都府京都市北区の「立命館大学国際平和ミュージアム」が開館から30年余りを経て、初めて全面的な大改装を行ない、昨年9月23日に新装オープンしている。見学者自らが「平和とは何か」を考えることができるよう、日中戦争から太平洋戦争、そして世界各地で起きている現代の紛争まで、さまざまな視点から問いかけながら展示が進む。立命館大学がなぜこうしたミュージアムを作ったのかにも興味があり、冬の京都を訪れた。(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●愛知県の企業が札証に上場! 陶器瓦、高機能屋根材の新東
●地域一番店を堅持するスーパー 根室の「マルシェ デ キッチン」
●伝統の餅まきで事業完了を祝ったマールク新さっぽろのまちびらき
●厳冬期の自然美、滝上渓谷「錦仙峡」の氷瀑
●札幌証券取引所の大発会で取引開始を祝った清宮選手
●例年好評のオホーツクフェア、今年は1月24・25日に開催

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『ふるえる やわらかい力にも 光気よ やどれ!!』
【報道】告発・絶望の学府㉙

「息子は戻らない」

江差パワハラ自殺・遺族の慟哭
因果関係否定で「頭が真っ白に」

本誌前号で報告した“手のひら返し”が波紋を呼んでいる、北海道立江差高等看護学院の在学生自殺問題。教員によるパワーハラスメントと学生の死との「相当因果関係」をめぐって道の主張が二転三転する中、渦中の遺族が改めて取材に応じ、当局への不信感をあらわにした。「被害を認めた第三者調査は何だったのか」――。当事者の疑問に応える真っ当な説明は、寝耳に水の連絡から1カ月以上が過ぎた今も聴こえてこない。(小笠原 淳)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈3〉

牧場主「いわば里親」

障碍者虐待問う裁判、弁輪始まる
恵庭市は当事者間の雇用関係否定

長期間にわたる不当労働行為や年金詐取などが指摘される障碍者虐待疑惑で11月下旬、被害を訴える当事者らが起こした裁判が初弁論を迎えた。原告代理人は意見陳述で、地元自治体による問題の放置や隠蔽の疑いを強く批判したが、自治体側は虐待の事実を否定、隠蔽もなかったなどとして争う姿勢を見せることに。3人の知的障碍者を無給で働かせていた雇用主は、被告の認識では「里親」だったのだという。(小笠原 淳)

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【報道】違法捜査 被害者は警察官

現職警官 道警提訴

合法古式銃所持で不当捜査か
「精神異常」扱いで降下評定も

趣味のモデルガンを入手しただけで銃刀法違反の疑いをかけられ、違法捜査の被害に遭った上に職場で不利益な扱いを受けた――。そう訴える声の主は、現職の警察官。「おかしいものはおかしい」の思いに従って11月下旬、職場である北海道警察に損害賠償を求める裁判を起こした。問われた“事件”は不起訴処分に終わったものの、理不尽な被害はその後も回復できていない。「組織を訴えるとは精神異常に違いない」と、今なお不当な扱いが続いているという。(小笠原 淳)

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【経済】

BiVi新さっぽろとCOCONO SUSUKINO
札幌市の「2大再開発」が同時期に完了

人口減にコロナ疲弊、地域課題解決の糸口に

札幌市内で進んでいた2つの大規模再開発が、このほど完了を迎えた。ひとつはBiVi(ビビ)新さっぽろの開業に伴う教育機関、医療機関、商業施設などが集積した新さっぽろ再開発。もうひとつはかつての商業ビル・ラフィラにかわるススキノの新たな複合商業施設COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)の完成だ。開業日は奇しくも同じ11月30日。新さっぽろ含む厚別区は人口減少、少子高齢化の進行、ススキノはコロナ禍による疲弊と、いずれも大きな地域課題を抱えた中での再開発だったが、どうやらいずれもこれらの地域課題解決を目指す上で大きな役割を担っていきそうだ。                        (髙橋貴充)

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【報道】医療現場で散った命⑰

「まだ納得できない」

新人看護師パワハラ死から10年
労災退けられた遺族が病院提訴

2度の“不当判決”に、遺族は屈しなかった。医師によるハラスメントを苦にした新人看護師の自殺はついに労働災害と認められなかったが、残された両親はその結論に納得できていない。23年7月の上告不受理に終わった労災訴訟を経て、判決確定翌月に新たな闘いを開始。勤務先だった病院に賠償を求めるその民事裁判が最初の口頭弁論を迎えた。取り返しのつかない悲劇が起きてから、早10年。声を上げ続けるのは、再発防止を願うためにほかならない。(小笠原 淳)

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【報道】道警不祥事から考える〈67〉

盗撮 少なくとも9回

未発表事案、詳細あきらかに
監督上の措置も3件が事件化

前号で報告した地元警察の未発表不祥事で、追加の公文書開示請求により各事案の概要や報道発表の有無があきらかになった。未発表が疑われていた盗撮・ストーカー行為と現金盗はやはりいずれも公表を免がれており、また懲戒処分に到らなかった事案の中にも事件化されたケースが複数あったことがわかった。改めて確認するまでもなく、これらは報道関係者に限定して提供される情報ではない。条例に基づく手続きで誰でも知ることができる事実だ。(小笠原 淳)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑭──道内各地の工場・社宅跡地に相次ぎ商業施設

DCMの牙城、釧路にジョ
イフルエーケーが殴り込み

釧路市や千歳市、苫小牧市で商業施設が相次ぎオープンする。中でも釧路の店舗面積の合計は2万7780㎡に及び、三井アウトレットパーク札幌北広島を超え、インターヴィレッジ大曲(北広島市)の3万1300㎡に迫る広さ。千歳の店舗面積合計は1万9828㎡で、イオンモール旭川駅前と同様の規模になる見通し。苫小牧は店舗面積合計4000㎡弱と小ぶりだが、市内に複数店舗が集積する商業施設の誕生は苫小牧弥生ショッピングセンター以来9年ぶりだ。各地の規模やオープン予定を追った。 (佐久間康介)

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【国際】北大のスラブ研に流れた「ウクライナの詩」

有名詩人・ナタルカさんが朗読
明日をも知れぬ恋人たちの運命

11月14日、北海道大学のスラブ・ユーラシア研究センターで「ウクライナ文化の夕べ」と題したシンポジウムが開かれ、同国の女性詩人、ナタルカ・ビロツェルキヴェツさんが戦争の悲しみを思わせる詩を披露した。参加者の心を打ったこの日の模様を先月号で「戦時下のウクライナ」を報告した元朝日新聞記者でジャーナリストの岡野直氏(63)がレポートする。

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【環境】安平町の住民が目の当たりにした産廃処分場の建設予定地

付近は胆振東部地震の地滑り地帯
学びを深めた産廃と処分場の実態

安平町(及川秀一郎町長)の早来守田・北進地区で計画されている産業廃棄物最終処分場。この建設予定地の見学会が11月23日、地元で開かれ、記者は同行取材を行なった。見学会は住民団体「あびらの自然を守る会」(山下美樹代表)が主催し、町の職員や地元住民ら約50人が参加。上智大学大学院教授で環境法が専門の織朱實(おり・あけみ)さんの解説を受けながら、5年前の胆振東部地震の地滑りで山肌が露出した現地を踏査し学びを深めた。 (武智敦子)

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【ニュース】

■野次排除訴訟に支出375万円
 道警が二審までの裁判費用開示
 ──ヒグマ駆除の猟銃許可取り消し訴訟には82万円

■取り調べ映像、裁判所で上映へ
 違法捜査国賠で黙秘権侵害立証
 ──「被疑者ノート」無断検閲では警官尋問の方向

■関西電力の「風発計画縮小」を受けて
 仁木町の住民団体が銀山地区で集会
 ──新たな風発候補地として検討する動きに警戒感

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【新春インタビュー】鈴木直道北海道知事に訊く

新型コロナの5類移行で節目
これから北海道を次の飛躍へ

ロシアのウクライナ侵略に加え中東でも戦火が広がるなど世界情勢が混迷を深める中、新型コロナの5類移行で観光など人の行き来が回復し始めたことで、安堵感が広がりつつある北海道。2023年には、望まれていた次世代半導体製造工場の建設が千歳市で始まるという明るい話題もあったが、人口減少、少子高齢化といった構造的課題や、エネルギーや食料品の高騰など道民の暮らしに関しては不安材料がいまだ山積みだ。その北海道の舵取り役である鈴木知事に、この1年の振り返りや道立看護学院のパワハラ問題の扱い、北海道活性化に向けたこれからの道筋などを訊いた。   (11月30日収録・聞き手=工藤年泰)

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【新春インタビュー】秋元 克広札幌市長に訊く

抗い難かった「五輪断念」の流れ
札幌をGX投資の金融センターに

3期目に入った秋元克広市長は、札幌冬季五輪の招致断念という重い決断を迫られた。これまで9年間にわたり取り組んできた招致活動は、先の東京五輪の贈収賄事件や談合事件によって市民理解が広がらず最悪の結末を迎えた。一方で明るい動きとして注目されるのが、世界中からGX(グリーントランスフォーメーション)に関する資金・人材・情報が集積するアジアと世界の「金融センター」実現を目指す取り組みだ。千歳市で建設が始まっているラピダスの半導体工場との相乗効果が出ることも期待され、札幌の新たな価値創出に繋がりそうだ。冬季五輪招致断念という決断の背景や今後の市政課題について秋元市長に訊いた。(11月24日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【新春インタビュー】2024年の進路を訊く──北海道信用保証協会・阿部啓二会長

コロナ後の経済は回復途上
目指す「頼られる保証協会」

北海道の最大のポテンシャルは人材

さる9月、北海道信用保証協会の新会長に阿部啓二氏が就任した。道庁時代は主に経済畑を歩み、副知事退任後は北海道中小企業総合支援センター理事長として地元企業の実態とつぶさに向き合ってきた阿部氏。同協会の歴代会長で同センタートップを経験したケースは初めてだけに、企業の経営実態に即したきめ細かな取り組みが期待される。北の大地に憧れ、若き日に住むことを決意した阿部氏の北海道愛は、今も色褪せていない。「北海道の発展に貢献できることが嬉しい」という阿部氏に、新会長就任の抱負と信用保証協会の今後を訊いた。(11月27日取材 佐久間康介・工藤年泰)

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【新春インタビュー】2024年の進路を訊く──AOAO SAPPORO・山内將生館長

鳴物入りの狸小路・新水族館は
地域密着で北海道を元気にする

水族館は三歳から百歳まで楽しめる

札幌駅前通にススキノ、新さっぽろと再開発というまちの新陳代謝が終え、新たな巨大施設が次々と姿を現した2023年の札幌市。そうした動きの中で、ひと際話題をさらったのは狸小路商店街にできた都市型水族館、複合商業施設moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)内のAOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)だろう。札幌都心部で水辺の生き物が間近に見られるだけでも稀な体験だが、水族館でカフェのようなおしゃべりを楽しんだり、仕事や勉強をしたりと新たな水族館の活用も広がっているようだ。これからの舵取りを山内將生館長に訊いた。
  (11月20日取材 髙橋貴充)

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【漫画】

回顧2023『コロナは去ったが…』(石川寿彦)

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【医療】
札幌ハートセンター・藤田勉理事長に訊く

5月に豊平にもサテライトを開設
分院を網羅して札幌全域をカバー

全国有数の循環器専門病院、札幌心臓血管クリニック(東区・104床)を運営する医療法人札幌ハートセンター(藤田勉理事長)が24年5月、2つ目のサテライト診療所を豊平区内に開設する。22年7月には、JR新札幌駅近くの医療モールに初の分院「新札幌心臓血管クリニック」(厚別区)を開設。循環器分野が手薄だった同地域で手厚い医療を展開しており、豊平区への新たな分院配置で市内全域をカバーすることに期待がかかる。藤田理事長に抱負と札幌ハートセンターの今後の展開を訊いた。(11月28日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【アート】新千歳空港国際アニメーション映画祭

海外からアニメ関係者が大勢参集
コロナ禍影響薄れ賑わい取り戻す

大きな節目の10回目を越え次の10年へ

今回、10回目という大きな節目を迎えた「新千歳空港国際アニメーション映画祭」(11月2日~6日開催)。空港自体の利用者が著しく減少するというコロナ禍の影響が大きく薄れ、いわゆる〝コロナ禍前〟の平常開催となった今回の映画祭には、海外のクリエイター、アニメ関係者が大勢参集し、盛り上がりもコロナ禍前に戻ったようだった。目玉の世界各国のクリエイターの作品が集うコンペティションは元より、スタッフやキャストのトークイベントも併催の招待作品上映も充実。アニメーションが持つさまざまな魅力を広く、深く伝える場にもなったようだ。そして同映画祭は節目の10年を越え、新たな10年へと進んでいく。

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【緊急提言】㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏

蛍光管製造禁止!

北海道が日本の最後尾にならないために

2023年11月スイス・ジュネーブから水銀規制のために世界の蛍光管を製造禁止にするという驚きの発表が届いた。後先を考えない官僚の暴走からどう身を守れば良いか。危機管理の視点から警鐘を鳴らす。

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【医療】北海道がんセンター名誉院長
西尾正道 医師に訊く「がんと放射線」(後篇)

早期発見の仕組みを作り
放射線治療で治す体制を

手術や抗がん剤に頼らないがん治療

西尾正道医師へのインタビュー後篇は手術をせず、なおかつ抗がん剤の副作用に苦しまずにすむ治療法がテーマだ。内部被曝を利用した小線源治療をライフワークとしてきた西尾医師は、50年間のがん治療の推移を「切る必要のない患者を手術する外科医と抗がん剤に固執する内科医と闘ってきた」と振り返る。その上で、がん検診を2、3年に一度健康保険で行ないステージ1の段階で見つけだす仕組みづくりを提案。初期にがんが分かれば、高額な抗がん剤治療をしなくても手術や放射線をピンポイントで照射すれば治せるからだ。がんの時代を生き抜くための知恵に耳を傾けてもらいたい。(武智敦子)


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【連載】〝農と食〟北の大地から

代替肉や培養肉の登場で畜産はどう変わるか

「工場畜産」に邁進してきた中で
問われる食用タンパクのあり方

少子高齢化が進む日本とは対照的に人口増が続く世界、気候変動や戦争の影響から不安定さを増す食料需給、アニマルウェルフェア(AW)をめぐる国内外の情勢……。これまで畜産物に依存してきた食用のタンパク質のあり方が問われる時代を迎えた。欧米を中心に大豆ミートに代表される「代替肉」の需要が増える一方で、動物の細胞を組織培養して人工的に合成した「培養肉」の技術開発も進む。こうした状況の中で、飼料の原料にする穀物を輸入に頼り、放牧を蔑ろにして“工場畜産”の道をひた走ってきた日本は変われるのか──。筆者が関わってきたAWについての市民講座(主催はNPO法人さっぽろ自由学校「遊」)の内容などを紹介しながら、現状と今後の行方を考えてみる。(ルポライター 滝川 康治)

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【連載】ルポ「ひきこもり」100──ひとり暮らしを始めた大橋伸和さんのケースから

不安を乗り越え積年の夢を実現
ピアスタッフの活動に増す深み

場面緘黙症に苦しみ、不登校やひきこもりを経験してきた大橋伸和さん(39)が、9月に親元から独立し、ひとり暮らしを始めた。両親を残していくことへの葛藤や将来への不安もあったが、経済的不安や自身の障害から夢を諦めてきた大橋さんにとって、ひとり暮らしは「最後に残された夢」であったという。実現までストレスから体調を崩したこともあるが、諦めなかった。独り立ちへの貴重な経験は、ひきこもりを支えるピアスタッフとしての活動に深みを増すに違いない。    (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【97】

樺太と結んだ海底ケーブル
知られざる猿払電話中継所

戦争で引き裂かれたもの

1905年以降、北緯50度以南が日本領だった樺太は1945年8月11日から25日にかけての旧ソ連軍の侵攻によって混乱に陥り、多くの犠牲者を出した。なかでも戦後明らかになった真岡(現サハリン・ホルムスク)郵便局で9人の交換手たちが自決した事件は悲劇として語り継がれる。交換手の最後の言葉は、樺太と北海道を結ぶ海底ケーブルで送られたが、その北海道側の中継地点が猿払村にあったことはあまり知られていない。当時、実際に使われた海底ケーブルを保存展示し、記念碑がある同村の浜猿払を訪れた。 (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●ナルク札幌のピンコロ劇団が文化祭で見せたシニアの底力
●少年矯正、地域とともに――札幌の鑑別所が施設内部を報道公開
●“鮭、日本一のまち”斜里町を地元の漁業者らがチカホでPR
●JA共済の全道小・中学生交通安全ポスターコンクールが50回の節目
●日体大高等支援校の生徒が育てた葡萄を地元の網走ビールが商品化
●すすきのピックアップガール「めぐ」(セクシーカフェ モエッタ)

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『正月のさがしもの』
【報道】告発・絶望の学府㉘

道「因果関係」否定

遺族らの不信招く手のひら返し
江差パワハラ死、示談交渉暗礁

一昨年から本誌面で報告を続けている北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で、在学生の自殺事案をめぐり北海道が第三者調査の結果を否定する認識を示し始めた。本年5月には知事や担当部局が学生の死とハラスメントとの「相当因果関係」を認めて頭を下げているが、ここに来て一転、「そうとは言い切れない」との主張。謝罪から僅か半年後の豹変に、亡くなった学生の遺族は強い失望感に苛まれている。

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【報道】道警不祥事から考える〈66〉

現金盗、未発表か

道警不祥事“第3四半期”速報
盗撮報道の巡査には“余罪”も

2023年もまた、懲戒処分などの全件公表を免れる“特権”は揺るがなかった――。地元警察の直近の不祥事記録を紐解くと、相も変わらず未発表が疑われる事案が複数あったことが見てとれる。うち1件は地元紙の独自取材であかるみに出ることとなったものの、ほかの報道大手が後追いするには到らず、別の1件は報道された形跡がない。定期的な公文書開示請求であきらかになった事実、取り急ぎまとめて報告を。(小笠原 淳)

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【報道】性的少数者に法の下の平等を⑥

司法の英断を――

LGBT当事者が最後の意見陳述
「結婚の自由」札幌訴訟、二審終結

地元裁判所への提訴から4年半あまり、一審で全国初の違憲判決を得てからは2年半が過ぎる「結婚の自由をすべての人に」札幌訴訟。婚姻の要件を異性間に限定せず、差別的取り扱いを解消するよう求めるその闘いは、来年3月にも2度めの判決言い渡しを迎えることになる。事実審として最後の口頭弁論となった10月末の法廷では、当事者らが改めて意見陳述に臨んだ。足かけ6年、文字通りの春は訪れるのか――。 (小笠原 淳)

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【国際】戦時下のウクライナを歩いた元朝日新聞記者が札幌で報告会

「ロシアとの戦争」で国民が
ひとつになったウクライナ

プーチンの犯罪とロシアの帝国主義

昨年2月24日に突如始まったロシアのウクライナ進攻。戦況に関するニュースは日々報じられても、戦火の下で生きる人々の声はほとんど伝わってこない。ロシア軍による砲撃やミサイルによる街の破壊、地下壕での避難生活や拉致監禁、性暴力、そして虐殺──。そんな人々の生の声に耳を傾けようと昨年11月から1カ月半、現地を取材したのが元朝日新聞記者でジャーナリストの岡野直(おかの・ただし)氏だ。その岡野氏が10月13日、「札幌なにかができる経済人ネットワーク」(呼びかけ人・越智文雄氏)の招きで来札し、市内で講演を行なった。今回の戦争の背景、そして市民たちの現在は──。ウクライナとロシアに精通している岡野氏のリアルな報告に耳を傾けてもらいたい。(工藤年泰・武智敦子)

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【環境】仁木町の風力発電学習会で日本熊森協会代表の室谷悠子弁護士が講演

再エネの犠牲になる豊かな森
いま行政を動かす住民パワー

「仁木町の風力発電を考える会」(穂積豊仁代表)主催の「STOP風車学習会」が10月28日、仁木町内で開かれ、弁護士で一般財団法人日本熊森協会(本部・兵庫県西宮市)の代表を務める室谷悠子さんらが自然保護運動の立場から風力発電の問題点を報告した。「風力発電による森林破壊にどう対応するか」をテーマに登壇した室谷さんは、再エネ課税や建設禁止区域の設定で開発抑制を狙う青森県などの各地の動きを紹介し、「地域の人の声が行政を動かす。輪を広げていくとまちが変わる」と訴えた。(武智敦子)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑬──札幌圏で進む5千坪級宅地造成

高騰の調整が進む宅地価格
平常時相場に近づき底脱出

物価高につれて金利も上がり始めているが、不透明なのが賃金上昇。そうした中で住宅需要、とりわけ戸建て需要がどう影響を受けるのか見通せない状況が続いている。そんな不安要素を抱えながらも、札幌市や北広島市、恵庭市では5千坪級の宅地造成が相次いでいる。一昨年から昨年にかけてのウッドショックの建築費高騰にスライドして宅地価格も高騰したが、今年に入ってからは価格調整が進み、戸建て需要も持ち直し傾向になってきた。5千坪級大型造成物件の今を追ってみた。   (佐久間康介)

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【環境】札幌市・山口処分場の新幹線残土搬入問題を追う

住民団体が工事の中止と原状
回復を求めて市議会に陳情へ

札幌市手稲山口地区の一般産業廃棄物処分場(山口処理場)で進む北海道新幹線・札樽トンネル(小樽・札幌=26・2キロ)の要対策土の搬入をめぐり「有害掘削土に反対する住民の会・連絡会」などの住民らが札幌市議会に残土受け入れの中止と原状回復を求める陳情を11月中に行なう。要対策土はヒ素など自然由来の重金属が基準を超えた土壌で、JRTT鉄道・運輸機構が有害物質を遮水シートで封じ込める対策を行なっている。だが、同会の堀井克幸代表は、遮水シートは破断の恐れがあることや、粉塵に含まれるヒ素濃度の測定が行なわれていないなどと問題点を指摘。「住民の健康に被害を及ぼす危険性を知りながらの強硬搬入は未必の故意に当たる。場合によっては法的措置も視野に入れている」と話している。     (武智敦子)

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【企業】コープさっぽろ、地産地消の再エネ電力を100店舗に供給

全道2百カ所に太陽光発電所
電力使用量の14%を自己託送

コープさっぽろ(本部・札幌市西区)は、グループ会社のトドック電力(本社・札幌市中央区)を通じ、太陽光発電所で発電した電力を「自己託送」によって全108店舗のうち100店舗に供給する。このためコープさっぽろは、全道200カ所に太陽光発電所を建設し、2024年度中に全店舗で消費する電力のうち約14%(約19キガワットアワー/年)を自前化する計画だ。電力料金削減効果として年間2億円も見込む。再エネ電力を使う側から「作る側」へ踏み込む生活協同組合の取り組みを紹介する。

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【ニュース】

■尋問で名和氏がパワハラを否定し
 北大総長解任損害賠償訴訟が結審
 ──異例の早期結審で判決を急ぐ札幌地裁

■HBCドキュメンタリー映画化
 野次排除「劇場拡大版」全国公開
 ──今月20日には札幌・シアターキノで先行上映

■千歳・ラピダス進出に「待った」
 市民有志が市と議会へ公開質問
 ──子育て中の女性など、土壌や水質への影響懸念

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【オホーツク特集】網走市長 水谷 洋一氏に訊く

看板の“交流”が復活した網走
食と観光、子育てを一層支援

網走市は今年、能取湖のホタテ稚貝の大量死や酷暑による農作物へのダメージに加え、昨春に知床沖で起きた観光船事故の影響で観光面でも苦戦を強いられた。それらの課題と向き合っているのが、昨年11月から4期目に乗り出した水谷洋一市長(60)だ。公約の「子育て世代に寄り添う」政策では幼稚園や認定こども園、保育園、小中学校の給食無償化に踏み切り、若い世代の負担軽減を実現。来年10周年を迎える「オホーツク網走マラソン」では道外参加者のリピーター率が約4割を占め、エントリーが増加するなど好材料も少なくない。アフターコロナの中で未来を見据え采配をふるう水谷市長に、まちの現状と展望を訊いた。
(10月25日収録)

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【オホーツク特集】北見市長 辻 直孝氏に訊く

辻󠄀市政3期目で課題山積の北見
地域DX化とカーリングに活路

北京冬季五輪におけるロコ・ソラーレの銀メダル獲得という快挙、書かないワンストップ窓口がデジタルオフィスのモデルケースとして全国的に注目されるなど、コロナ渦中でも明るい話題が多かった昨年の北見市。だが今年は市役所でパワハラもみ消し疑惑が浮上し、社会問題として大きく報じられるなど逆風にも晒された。現職として9月の市長選で勝利した辻󠄀直孝氏(70)だが、アフターコロナのまちづくりを含め課題は山積している。3期目に乗り出した辻󠄀市長にパワハラ問題への対応や今後の施策展開を訊いた。 (10月26日収録)

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【オホーツク特集】紋別市長 宮川 良一氏に訊く

痛手受けた汚職事件を乗り越え
市政の信頼回復と活性化に全力

目玉政策のひとつだった本州からの移住を推進する「避暑地化構想」を巡る汚職事件で大きなダメージを受けた紋別市。幹部職員の逮捕・起訴もさることながら、関連事業の停滞や職員の萎縮という二次的な影響も見過ごせない。全国2位と好調なふるさと納税、ビジネス・観光で入り込みが回復するなど明るい材料も増えてきたが、医師不足による地域医療の危機は解消されず、中国による日本産水産物の輸入禁止の影響も懸念される。汚職事件の検証も道半ばで、待ったなしの状況が続いている宮川良一市長(69)に今後の市政の舵取りを訊いた。 (10月27日収録)

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【特集 オホーツク観光2023】

白い大地からの誘い

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【医療】
札幌東徳洲会病院の新院長に
就任した山崎誠治医師に訊く

ソフトとハードを再構築して
「断らない救急医療」を目指す

24時間救急対応の急性期総合病院として知られる、医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院(札幌市東区・336床)の新院長に、10月1日付けで副院長・循環器内科部長だった山崎誠治医師が就任した。前院長の太田智之医師は総長という役職に就き、運営法人の常務理事として本部とのパイプ役を担う。新型コロナの対応で受け入れが落ち込んでいた救急救命医療を山崎院長と太田総長が力を合わせて立て直すのが今回の人事の狙い。山崎院長に「断らない医療」にかける意気込みを訊いた。(10月23日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【医療】北海道がんセンター名誉院長
西尾正道 医師に訊く「がんと放射線」(前篇)

似非科学と強欲資本主義で
隠蔽された内部被曝の真実

いまトリチウムの危険性の直視を

日本では1950年代から小児白血病や乳がん、すい臓がんなどが増えている。この事実には、核保有国が大気中で行なった核実験で飛散した放射性微粒子を体内に取り込んだことによる内部被曝が関係していると、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道医師は指摘する。おりしも福島第一原発でたまり続ける放射性物質トリチウムなどを含む処理水の海洋放出が8月から始まり、漁業や健康への被害の懸念も出ている。そもそもトリチウムとはどんな物質でどのような危険を孕んでいるのか。内部被曝を利用したがんの放射線治療に携わってきた西尾医師に訊いた。(武智敦子)

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【連載】〝農と食〟北の大地から

国内で最大規模の放牧養豚を続ける「エルパソ牧場」の営みから

最後に家畜として命を頂戴しても
生きている間は動物の幸せを保証

今から23年前、帯広市内でレストラン「ランチョ・エルパソ」を経営する平林英明さんは、“こだわりの豚肉”を生産するために10頭ほどの豚を購入し、放牧養豚を始めた。のちに同じ十勝の幕別町忠類地区に牧場を移転し、30ヘクタールの広大な敷地で生産を続ける。現在は繁殖豚と肥育豚を多数飼育し、複数の豚の親子による共同生活や放牧地での土の掘り返し、泥浴び、配合飼料の不断給餌や自由な飲水…と、豚たちの行動の自由を保証し、アニマルウェルフェア(家畜福祉)の達成度は高い。近年はドイツから放牧に適した希少種の豚を導入し、特色のある牧場づくりもめざす。10月末、久しぶりに「エルパソ牧場」を訪ね、創業者の平林さんから現在までの歩みや今後の課題などを訊いた。(ルポライター 滝川 康治)

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【連載】ルポ「ひきこもり」99──それぞれの道を歩み始めた母と娘

葛藤と対峙しつつ娘を送り出し
分かった自身の課題と得た希望

ひとり娘が独立し、最近アパートで暮らしを始めたばかりだという家族会の母親Мさん。幼い時から過保護、過干渉で育てたので、内心では子どもを手放したくなかったという。今回のレポートは、そんな葛藤と対峙しながら娘を笑顔で送り出すまでの母親の姿だ。残された夫婦2人の暮らしは静かに流れていくが、そんな中でも過去に患った拒食症の影響を痛感したり、他者と自分を比べてしまう性癖に気づくなど、小さな波風も経験している。「人の評価を気にせずに生きていきたい」。そう語る母親に子離れの苦労や今後どう生きるかを訊いた。    (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【96】

使われなかった猿払村の
「旧陸軍浅芽野飛行場」跡

ソ連に備えた突貫工事の犠牲者

道北の猿払村に戦時中、旧陸軍の専用飛行場として浅芽野(あさじの)飛行場が建設されたことを知る人はほとんどいないだろう。当時、対ソビエト、千島・カムチャッカ方面の防衛を目的に建設された軍用飛行場で1944年冬までにほとんど完成したが実際に使われることはなかった。工事では地元の人々や学生、朝鮮半島出身らが過酷な労働を強いられ、犠牲者も相次いだとされる。10月末に現地を訪れると、かつて天北線にあった「飛行場前」駅のホーム跡と引き込み線の橋脚跡だけがわずかに残っていた。 (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●「命より大切な仕事ない」――パワハラ死遺族らが高校生に啓発授業
●4年ぶり「矯正展」、敷地外初開催 野菜直売など不動の人気
●コープさっぽろが10月に組合員数200万人を達成
●地元網走産の海の幸が充実 マリン北海道の「魚屋本店」
●花咲や北海しまえびがお買得「まるごと根室直送市」大盛況
●「北海道どさんこプラザ」が果たす道産品事業者支援や地域の魅力発信
●ISHIYAとロッテが夢のコラボ「雪見だいふく×白い恋人」発売
●ススキノ探訪「クラブルーム東湖」お客様ファーストの名店
●日中平和友好条約締結45周年記念チャイナフェスティバル2023札幌
●現役50周年の佐藤のりゆきがファンとの集いでトークショー

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『池袋』
【報道】鵡川漁協で起きた役員改選妨害事件を追う

怪文書を組合員にばら撒いた
“暴露系ユーチューバー”の正体

胆振総合振興局管内で太平洋に面する「むかわ町」。ししゃもで知られるこのまちを支える鵡川漁業協同組合(小谷地好輝代表理事組合長)で起きた事件を報告したい。昨年6月の役員改選の最中、多くの組合員の自宅に「暴露系ユーチューバー」を名乗る人物から特定の候補者を誹謗中傷する怪文書が投函され、その影響から役員の選任が見送られる出来事があった。当事者は悪質な名誉毀損として刑事告訴に踏み切ったが、いまだに事件は解決していない。怪文書をばら撒いた差出人の目的とは何か、そして事件の背景にあるものは──。    (本誌編集長・工藤年泰)

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【報道】告発・陸の蟹工船〈2〉

「お答えを控える」

隠蔽疑いに恵庭市“無答弁”
障碍者虐待疑惑で議会追及

道央・恵庭市の牧場で長期間の障碍者虐待が疑われている問題で、地元市議会の野党系議員らが市の隠蔽疑惑を相継いで追及した。本会議と委員会で事案の事実関係などを質された理事者側は「お答えを控える」との答弁を連発、その理由を問われては曰く「裁判になっているため」。指摘される不適切な対応があったか否かは、飽くまで法廷であきらかにしていくという。市民が傍聴する開かれた議会でのやり取りは、市にとっては「場外戦」だった――。(小笠原 淳)

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【報道】問われる自治体の人権感覚②

「力尽くしたが…」

同性事実婚の扶養関係認めず
SOGIハラ訴訟で地裁判決

「同性パートナーを持つ北海道職員は、今回の判決にがっかりし過ぎないで」――。当事者の1人としてその訴えを起こした人は、かつての職場で自身と同じ差別に遭っている人たちにそう呼びかける。自らの闘いは不本意な結果に終わったが、この5年あまりを「とことんやりきった」と振り返り、問題提起としての訴訟の意義を再確認した。長い闘いから自分を解放し、今後は眼の前のパートナーとの時間を大切に過ごしていきたいという。 (小笠原 淳)

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【連載】“核のゴミ”レポートPART36 “原子力マネー”に頼らない地域づくりをめざす試み

地域を磨くか核に頼るか

アンケート調査で分かった
寿都町民の本音と憤りとは

後志管内の寿都町と神恵内村を対象に始まった“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた動きの中で問われているのは「原子力マネーに依存する道か」、それとも「地場資源を生かし、自立する町づくりをめざすのか」の選択でもある。この夏、泊原発周辺の住民団体が札幌のNPO法人に委託し、寿都町民を対象にしたアンケート調査を実施したが、その結果から町の将来に対する世代間の捉え方や、NUMO(原子力発電環境整備機構)が進めてきた「文献調査」によって住民が分断されたことへの憤りも伝わってくる。アンケートで見えてきたことをはじめ町づくりシンポジウムの様子や、地場資源を生かした事業を展開中の吉野寿彦さんの講演内容を紹介しよう。  (ルポライター・滝川 康治)

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【地域】羽幌町発・閉鎖直前の「焼尻めん羊牧場」に救世主

あべ養鶏場・東郷社長の決断で
焼尻サフォークブランド存続へ

赤字が続き最後の飼育員も退職が決まったことで8月末で閉鎖・廃業する方針だった苫前郡羽幌町(森淳町長)の町営「焼尻めん羊牧場」が、一転して存続する運びとなった。名乗りを挙げた民間事業者、あべ養鶏場(下川町)の東郷啓祐社長と町が合意に達し、東郷社長が設立する新会社で同牧場を承継し「焼尻ブランド」を継続するという。町議会の議決などを経てこの10月中にも新事業者による運営に切り替わる。「焼尻めん羊牧場」の歴史を振り返りながら、地域にとって朗報となった今回の土壇場の継承劇に注目してみた。   (佐久間康介・工藤年泰)

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【環境】仁木町商工会会長が関西電力の風車に反対し住民にチラシを配布

自然豊かな故郷を守るため
町民のみんなで声をあげる

自然に恵まれ、果樹栽培の盛んな仁木町を後世に残したい──。そんな思いから、仁木町商工会会長・津司康雄さん(83)が関西電力による風力発電「古平・仁木・余市ウインドファーム事業(仮称)」に反対するチラシの発行・配布を続けている。チラシでは「風力発電は、なぜ要らないのか!」と題して風力発電の危険性を簡潔に分かりやすく解説。津司さんは「中止になるまで町民と一緒に声をあげていきたい」と意気込んでいる。(武智敦子)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑫──住宅支援策による転入増の成功例

全国町村で人口増加率1位
スーパーも呼び込む南幌町

空知郡南幌町の人口が増加している。総務省が2023年7月に公表した人口動態調査で、増加数(22年1月と23年1月との対比)が153人と、北海道の市町村で最高となったほか、増加率では2・09%と全国の町村で最高に。人口増をもたらしているのは、町が進める住宅支援策による転入増だ。町は、こうした人口増に対応してスーパー誘致に動き町有地を事業者に貸し付け、道央圏連絡道路の南幌ランプ開設を見越して、新たな工業団地の造成にも取り組む。南幌町の住宅・不動産施策にスポットを当てる。 (佐久間康介)

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【ニュース】

■元作業員男性、東電などと和解
 原発復旧作業めぐる訴訟が終結
 ──一審被告側が原発作業に「感謝の意」など表明

■誰もが驚いた根回しなしの移転劇
 北海道医療大、当別から北広島へ
 ──ワンマン鈴木英二理事長の早わざと功罪

■「行政をぶん取る」発言で失脚した
 島田氏に振り回された仁木町事業
 ──今も議会に追及される町と同氏の関係

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【観光】自然体験観光の在り方とは──ウエネウサルみどり・菅野又代表に訊く

観光客の心を満たしているのは
大自然と触れ合う非日常の空間

ATの根底にあるのは新鮮な驚きや感動

アドベンチャートラベル・ワールドサミット(略称、ATWS)を盛大に盛り上げる(34頁)など、コロナパンデミック後の観光起爆剤として道庁などが普及に力を注いでいる体験型観光・アドベンチャートラベル(略称、AT)。確かに北海道は自然体験観光において計り知れないポテンシャルを有するが、それを盛り上げていくには自然と観光客、そして地元住民の上手な付き合い方を考えることが重要だ。そこで広く道東圏をフィールドに自然体験観光の事業を展開し、かつてない厳しさに見舞われた知床の実情も知るウエネウサルみどりの菅野又康彦代表に、自然体験観光の在り方などを訊ねた。  (9月29日収録、髙橋貴充)

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【農業】稚内グリーンファクトリーの挑戦

最北の地で支える酪農と再エネ
「地域の未来」を託された男の夢

農業支援と珪藻土販売、風力発電の複合事業

地域の未来を託された男──。小説のタイトルのような生き方をしてきた人物が稚内市大字宗谷村字増幌にいる。有限会社稚内グリーンファクトリーの渡辺義範代表取締役(65)、その人だ。酪農支援のコントラクター事業や風力発電事業、珪藻土事業のほか、酪農業の有限会社ビックグリーン増幌の代表取締役も務め、今やグループが宗谷地区で所有する土地は6千haを超える。不動産事業では稚内市内に「ローソン」の店舗用地を提供、新たなコンビニ進出のお膳立てもした。渡辺氏が手掛ける数々の事業の原動力は、祖父が百十数年前に入植したこの地を疲弊させたくないという強い想いだ。限界集落という言葉に押し流されてしまう地域が多い中、渡辺氏は「最北端のまちから食糧とエネルギーを全国へ届ける」と揺るがぬ決意で生まれ故郷と向きあっている。 (9月19日取材 工藤年泰・佐久間康介)

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【アート】新千歳空港国際アニメーション映画祭は今年10周年

記念すべき大きな節目に取り戻した
空港ならではの国際色豊かな賑わい

国内外を見渡しても珍しい空の玄関口が会場という映画祭、「新千歳空港国際アニメーション映画祭」が今回10周年という大きな節目を迎える。今年の開催期間は11月2日から同6日までの5日間。メインイベントとなっているコンペティション短編部門、同長編部門のノミネート作品もすでに発表されるなど、準備は着々と進んでいる。そして何より、新型コロナパンデミックに伴う行動規制が取り払われたため、コロナ禍前のような大勢の海外クリエイターたちによる賑わいも期待できそうだ。北海道のショールームを標榜する新千歳空港。ここで催されるグローバルな映画祭の今年の見どころは?

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【企業】

サッポロビールが迎えた記念の年
上富良野ホップ試験栽培100周年

ビールをより美味しくする素材の物語

ビールに欠かせない原料のホップ。サッポロビールが道北のまち・上富良野町で、この原料作物の試験栽培を始めてから、今年は100年というまたとない節目の年となった。この記念の年、同社は年初から「上富良野ホップ試験栽培100周年」を大きく打ち出した、国産・道産ホップの幅広い魅力発信に注力。希少な品種に焦点を当てた商品の発売や、産地・上富良野町の地域の魅力も知り楽しむ日帰りバスツアーが実施されるなど、さまざまな取り組みが行なわれた。そして10月24日には試験栽培100周年の上富良野産摘み立て生ホップを使用した、2023年版の「サッポロ クラシック 富良野VINTAGE」が満を持して売り出される。そこで本稿でも、知ればビールがより美味しくなるであろうホップについて学んでいきたい。(髙橋貴充)

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【医療】ミライシアHDの神山武士社長が釧路の精神科医療に救いの手

清水桜が丘病院の危機を受け
医師を確保し外来診療を再開

地方で急がれる精神科医療の立て直し

病棟閉鎖や医局の医師引き上げなどで釧路管内の精神科医療が急速に縮小する中、今年5月には管内最大162床を有する精神科病院、医療法人清水桜が丘病院の清水輝彦院長(当時)が病で倒れ、外来診療の停止に追い込まれた。こうした危機を打開しようと動いたのが、調剤薬局などを展開するミライシアホールディング(本社札幌)の神山武士社長(42)だ。同病院のSOSを受け神山氏は7月28日付で医療法人理事に就任。経営にも関わりながら8月末には新たな医師を確保し、外来の再開に漕ぎ着けた。精神疾患を抱えながら生きていくには医療機関のケアと地域の支え合いが欠かせない。救いの手を差し伸べた神山氏に今回の取り組みの真意と目的を訊いた。(9月14日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【農業】JA北海道中央会の新たな舵取り役、樽井功新会長

複合危機の渦中だからこそ多くの
人々に発信する“農業とは何か‼”

教育現場でも伝えて欲しい農業の大切さ

組合員・JAの共通の意志の結集、実現をはかり地域・事業の枠を超えてJAグループ北海道の総合力を発揮する役割などを果たすJA北海道中央会(=北海道農業協同組合中央会)。この6月、新会長に上川管内・JAひがしかわの代表理事組合長だった樽井功氏が就任した。地元では、主食用米の需要が低迷する中、米の活用の幅を広げる発想で水田を減らすどころか拡大させる取り組みに尽力。現在はプラスチックの原料になる資源米の試験栽培も始まり、広大な水田は今や東川を象徴する風景になっている。水田のまちおこしに寄与した樽井氏が目下挑むのが、消費減退、物価高騰など北海道農業全般を襲う複合危機。これを乗り越えるためにも、沢山の人々に農業とは何か、を知って貰いたいという。(8月28日収録、髙橋貴充)

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【農業】

玉ねぎ「さらさらゴールド」が
生鮮野菜で機能性表示食品に

この野菜を使った料理をぱっと思い浮かべても、実に沢山のレシピが出てくる、万能食材といっても過言では無い玉ねぎ。その1品種「さらさらゴールド」がこのほど、健常な高齢者の加齢によって低下しがちな積極的な気分を維持するのに役立つケルセチンを豊富に含むということから、機能性表示食品として消費者庁に受理された。これを受けホクレン農業協同組合連合会(以下、ホクレン)は、10月初めから売り出した本年産の同品より機能性表示食品を前面に打ち出している。同品はさまざまな加熱調理でも栄養成分がほぼ減らないとあって、活用の幅は広がりそうだ。

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【連載】ルポ「ひきこもり」98──「道ひ老連協」の発足記念シンポから「ひきこもりの老後」を考える

多くの不安を抱え踏み出す一歩
全員が生きやすい社会の実現を

既報のように、8月27日に札幌市内で開かれた「北海道ひきこもりの老後を支え合う連絡協議会」(道ひ老連協)の発足記念イベントでは、基調講演をする予定だった大田原守穂さん(58)が8月下旬に膵臓がんで死去したため、友人のとりさん(50代後半)が講演し故人の思いを伝えた。その後、第一部後半のミニシンポジウムではNPO法人「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」の田中敦理事長(57)が司会を務め、とりさん、大橋伸和さん(39)、オンラインで参加した吉川修司さん(55)の3人が「ひきこもりの老後」について忌憚のない意見を交わした。 (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【95】

幌加内町の朱鞠内湖畔に残る
戦時下における強制労働の跡

「神秘の湖」の陰にある殉難

道北の上川管内幌加内町にある朱鞠内湖は国内最大の人造湖で、大小13の島々が浮かび、独特な雰囲気を持つ神秘の湖と言われる。だが戦時中に完成した雨竜第一、第二ダムでは建設工事で「タコ」と蔑まれた日本人や朝鮮半島出身者たちが強制労働に従事し、200人以上の犠牲者を出した。8月下旬、朱鞠内湖を訪れると、ひっそりとした湖岸には慰霊碑や史料展示館の跡などが点在し、往時の出来事の一端を窺い知ることができた。
(ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●アークスがアマゾンとタッグ 「二刀流」でネット路線を追求
●ヤジ排除に「公安の過剰な忖度」指摘 青木理さん迎えたトークに200人が関心
●「一への会」が4年ぶりに「ニューフロンティア経営セミナー」を開催
●コロナ禍後の観光起爆剤か? ATの国際イベントが盛大に
●キャンパーズアンドアングラーズ北広島市に待望の1号店オープン
●日中平和友好条約締結45周年で在札幌中国総領事館が記念行事
●秋の行楽は「有珠山ロープウェイ」を拠点に紅葉の名所「洞爺湖有珠山エリア」へ!
●すすきのピックアップガール「セクシーカフェ モエッタ」みゆ
●厚沢部の規格外農作物を有効に 函商生とカドウフーズ共同事業
●「共に北海道の明日を切り拓こう」北洋銀が「2023年度内定式」開催
●双方向の一体感で包まれた多様性溢れるアイヌ音楽祭

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
*北海道妄想紀行
*連載小説 特別授業
*夏井功の夜を駈ける車イス
*よいどれブンガク夜話
*ソレでもナマがすき?
*視点 公共交通をどうする?
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『J』
【報道】告発・陸の蟹工船

長期虐待 隠蔽か

障碍者から年金詐取の疑い
恵庭の牧場などに賠償請求

知的障碍のある人たちが劣悪な環境で休みなく働かされ、計5000万円以上の年金を詐取されていた。当地の自治体は5年以上前にその疑いを把握していたが、障碍者たちの雇用主が元議員であると知り、見て見ぬふりを決め込んだ――。そんな告発の声が上がったのは、8月下旬のこと。語られる被害が事実なら、およそ信じ難い人権侵害が、否、あきらかな犯罪行為が長期間見過ごされてきたことになる。舞台は札幌近郊の恵庭市。言うまでもなく、この21世紀の出来事だ。

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【報道】“核のゴミ”レポートPART35 最終処分地の選定に影響を与える寿都町議選の行方

小さな町の大きな選択

いま、地元振興と片岡町政の
チェック機能を果たす議会へ

10月3日、“核のゴミ”最終処分場の候補地選定に向けた「文献調査」が終わった後志管内寿都町で、町議会議員選挙が執り行なわれる(告示は9月28日)。有権者数は2330人。9月初めまでに定数9に対し11人の立候補が確実視されており、少数激戦の様相に──。基幹産業である漁業と水産加工業の活性化をはじめ、少子高齢化や子育ての対策、観光振興など課題は山積しているが、「概要調査」の是非を問う住民投票が焦点になる中、議会側が片岡町政をどうチェックしていくのか、その試金石になる選挙といえる。立候補予定者の顔ぶれや核ゴミ問題をめぐる町議会の経緯、さらに事前調査の行方など寿都町議選の周辺を取材した。  (ルポライター・滝川 康治)

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【報道】寿都町議選のもうひとつの争点──「地元の社福と町長の危うい関係」

町議選に出馬する新人候補が
追及する片岡町政の死角とは

9月28日に告示され10月3日に投票を迎える寿都町(片岡春雄町長)の町議会議員選挙(定数9)で、立候補を予定している異色の新人が田原誠氏(74)だ。寿都に生まれ近年故郷にUターンしてきた田原氏は核のゴミ持ち込みに反対するひとりだが、「そもそも問題の本質は片岡町長が長期独裁を敷いてきた弊害にある」として独自に調査・追及を続けている人物。核のゴミ問題の影に隠れた、地元の社会福祉法人徳美会がらみの片岡町政の死角とは──。    (本誌編集長・工藤年泰)

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【環境】双日の風車計画中止を勝ち取った住民団体が報告会

「最高の結果」を得た一方で
風力開発が各地で進む現実

東京の大手総合商社双日が小樽市と余市町にまたがる毛無山周辺の国有林に計画していた風力発電施設の建設は、既報のように小樽市長の反対表明で6月中旬、中止に追い込まれた。この結果を受けて、住民団体「小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会」が9月2日午後、小樽市内で市民報告会を開いた。集会では「最高の結果」と評価する一方で、仁木や余市町、石狩湾など周辺地域で進む風車の建設計画に反対していくため、同月23日に新たな住民団体を立ち上げることを明らかにした。           (武智敦子)

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【シリーズ・住宅不動産情報】⑪──病院、パチンコ店、物販店の跡地はどうなった?

禎心会病院跡にスシロー、かつや
パーラー太陽跡地にはキャロット

街には病院やオフィスビル、パチンコ店、商業施設など多くの建物が建っている。それらのひとつひとつが街角の景色を作っているが、いつの間にかこれまでの建物が消え、新たな施設が姿を見せていることがある。不動産は生き物のように姿を変え、街の新たな景色を作っていく。私たちが抱く街の印象は建物によって影響され、これまでの印象と全く違うものになることもある。今月の住宅・不動産情報は、姿を変える街の現場を追ってみた。    (佐久間康介)

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【ニュース】

■国内初、郵便局で乗車券販売始めた
 網走の足。デマンドバス「どこバス」
 ──糸口見えない路線バス赤字対策の一助に

■道新労組が会社に説明など要望
 局次長急逝問題で組合員に動揺
 ──本誌の「遺族と接触」報道は否定、内容証明で訂正要求

■独自に掘り下げたゲームの世界観
 同人誌発行の荒木聡さんの追悼展
 ──市立小樽文学館で10月1日まで開催中

■道立看護学院初の試み、江差で
「プチインターンシップ」募集中
 ──看護教員募集の一環、来年1月まで

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【企業】新たな産直に取り組む根室・歯舞漁協の乱橋一平さんに訊く

いま魚の本当の美味さを
ひとりでも多く伝えたい

浜から直接届けるネット産直に活路

道東・根室の歯舞漁協に所属し、漁師の3代目として活躍する乱橋一平さん(40)。獲った魚をいかにストレスなく締めて、美味しい状態で届けることに日々心を砕く、人一倍「お魚愛」の強い漁師だ。その乱橋さんは最近、札幌の企画会社とタッグを組み、付加価値の高い魚を居酒屋や料亭に直販する仕組みづくりにも挑戦している。将来を見据えた漁師としての取り組みをはじめ浜と顧客をダイレクトつなぐ新たな直販システムの可能性を乱橋さんに訊いた。
    (8月23日取材・工藤年泰)

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【医療】
地域に根ざして7周年を迎えたカレス
サッポロ「よつば家庭医療クリニック」

訪問と外来で患者に寄り添う
「診療科の垣根」を超えた医療

社会医療法人社団カレスサッポロ(大城辰美理事長)が全国初の取り組みとして2016年9月、札幌市東区に開設した地域包括ケア拠点施設「カレスプレミアムガーデン」。この複合施設で外来や訪問診療に取り組み、地域住民に頼りにされているのが「よつば家庭医療クリニック」だ。同クリニックの所長・小西徹夫医師(42)は、医大生時代に親族を看取ったことを契機に診療科目にとらわれず患者を診る「家庭医」の道へ進んだ経歴の持ち主。超高齢化時代を迎え、社会的に在宅医療や看取りの重要性が増す中、開院7周年を迎えた同クリニックの現在地と今後の目標を小西医師に訊いた。         (8月17日取材 工藤年泰・武智敦子)

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【企業】

陸上養殖の普及を目指す一大拠点
「杜のサーモンプラント・東神楽」

エア・ウォーターが技術と知見を結集

旭川のベッドタウンで「花のまち」として知られる上川管内の東神楽町。この道北の地方都市で今年5月末から稼働を始めたのがエア・ウォーター(本社大阪)が手がける初の陸上養殖施設「杜(もり)のサーモンプラント・東神楽」だ。ここで展開されているのは完全屋内によるニジマスの養殖事業。ほかの魚介も一緒に育てる複合養殖や、魚を育てる際に出る排水で水耕栽培し、排水低減と農作物生産の一挙両得を目指すアクアポニックスなどさまざまな独自の試みも目を引く。これまでにない事業が動き出したことに、地元・東神楽町も歓迎ムードだ。エア・ウォーターが目指すのはこの施設をショールームとして、自社の陸上養殖プラントを普及させていくことにあるという。                   (8月9日取材)

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【企業】北一ミートの田村健一社長が語る「成長の理由と軌跡」

ミスを怒らずノルマを撤廃
「仕事を楽しく」で成長軌道

タナベコンサルティンググループ(東京本社・東京都千代田区)のタナベコンサルティング食品価値創造研究会が8月29日、食肉の加工卸販売や食品加工、飲食店運営などを展開している北一ミート(本社・札幌市東区)を視察した際、同社の田村健一社長が「北海道から発信するグローカル戦略」と題して自社の取り組みについて講演した。これまでの采配で社員たちのやる気を引き出し、会社を成長させてきた北一ミートの「成長の理由と軌跡」を紹介する。             (佐久間康介)

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【寄稿】ゼロカーボン実現への課題(㈱あかりみらい代表取締役 越智文雄氏)

カーボンニュートラルが間に合わない

いち早く取り組む以外に解決策はない

カーボンニュートラルの実現と電気料金対策としてLED化はすでに常識。しかし公共分野では遅々として進んでいない。それどころか、全国的に安定器の寿命が来て供給が間に合わないと局所的ブラックアウトもあり得る。立ちふさがる諸課題にはいち早く取り組むしかない。

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【連載】ルポ「ひきこもり」97──末期がんで亡くなった当事者の半生から

できることを出し合い力にする
それが価値ある組織ではないか

末期がんで闘病していた札幌市内の当事者の男性(58)が8月下旬、亡くなった。この男性は、26歳で双極性障害、いわゆるそううつ病を発症。3、4年ごとにうつでひきこもりを繰り返したが、家族の支えや仲間との出会いで乗り越えてきた。同月27日には「北海道ひきこもりの老後を支え合う連絡協議会」(道ひ老連協)発足記念イベントで講演する予定だったが、その願いは叶わず。この日は本人の友人で当事者のとりさんが代わって壇上に立ち、「がんになったことで自分は生かされているという気づきを得た」という男性の思いと生き方を参加者に伝えた。 (武智敦子)

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【連載】戦争遺産をめぐる旅 【94】

開戦を指示した歴史的電文を
中継した稚内赤れんが通信所

貴重な戦争遺産を崩壊から守れ

ハワイ真珠湾攻撃への暗号電文「ニイタカヤマノボレ一二〇八(ヒトフタマルハチ)」を太平洋上の艦船機動部隊に中継送信したことで知られる旧海軍大湊通信隊稚内分遣隊幕別送信所(通称・赤れんが通信所)。稚内市恵北にある、この送信所跡を保存しようとする動きが加速している。通常は立ち入ることができない旧送信所を8月下旬、稚内市と市民団体の協力で取材し、重要棟の崩壊が進んでいる現状などを確認できた。太平洋戦争の口火となった電文を送った旧送信所の保存と観光資源としての再生への議論が必要ではないのか。
  (ジャーナリスト 黒田 伸)

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【フォトレポート・トピックス】
●銃所持訴訟で札幌高裁が現場を「検証」 ヒグマ駆除状況など確認
●賛成? それとも反対? 「札幌オリパラ公開討論会」で談論風発
●経営未来塾でラピダス起工式直後の西村経済産業大臣講演
●大和ハウスが洗練のアーバンライフを実現! プレミスト札幌環状通東ステーションサイド
●約9千人が地元の食を満喫! 「アンデルセングルメ祭り」が4年ぶりに復活
●菊地絵理香が地元で栄冠‼ 北海道出身者がニトリレディスで初優勝
●数多くの道民に長く親しまれた駅ビル・エスタの一番長い一日
●「SORACHI 1984」の樽生が味わえるスタンドバーがJR札幌駅改札内に誕生
●4年ぶりのTHE EAGLE GOLF CUP ドライバー巧者の石塚プロが初優勝
●SATO助成金センターがドローン国家資格取得を積極的にサポート

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【連載コラムなど】
*北海道フォトエッセイ
*シネマ
*スポーツ筆刀両断
*新設企業情報
*古本屋女房の“古本的日常”
*デンタルエッセイ
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*よいどれブンガク夜話
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*視点 公共交通をどうする?
*人物株価
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【今月の表紙】鈴木翁二画
『うみのきらきら“ぼくのハネムーン”』
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