月刊糖尿病(DIABETES) 発売日・バックナンバー

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2,970円
【特集】糖尿病と骨粗鬆症の危うい関係
~骨折予防のトータルマネジメント~
企画編集/鈴木敦詞

〈特集にあたって〉
 寿命の延伸が必ずしも健康寿命の延伸に直結しないことは,超高齢社会において大きな問題となっているが,その原因のひとつは,加齢に伴う罹患疾患数の増加である.そのことにより,疾患相互の影響の有無を考慮する必要が生じるとともに,治療薬が他の疾患に及ぼす効果についても考える必要性が生じることにもなる.糖尿病と骨粗鬆症の関係については,ここ数年多くの知見が集積され,世界的な注目を浴びている.この両者の関係は,糖尿病患者が高齢化している現実からもより一層重要となっている.
 我が国のような超高齢社会では,糖尿病患者が加齢とともに筋骨格系の疾患を合併するようになり,生活機能をさらに低下させる要因となっている.以前は,糖尿病患者にとって単なる併存症と考えられていた骨粗鬆症であるが,近年糖尿病患者での糖化や酸化ストレスが骨質を大きく低下させ,さらには骨折率の上昇という臨床的イベントにつながることが明らかとなってきた.また,糖尿病治療薬のなかには,骨代謝に影響を与え骨折リスクにつながるものもあり,両者の関係は臨床的判断にも影響を与えるインパクトがあることもわかってきた.そのため,特集のタイトルを糖尿病と骨粗鬆症の「危うい関係」とした.また,サブタイトルとして両疾患とその合併症全体を俯瞰する必要性に鑑み,「骨折予防のトータルマネジメント」とした.このサブタイトルには,骨折は単なる事故ではなく,臨床的危険因子の積み重ねによる臨床的なイベントであることを強調する意味もある.
 特集の内容は,はじめに糖代謝異常が骨に与える影響について,なにがどこまでわかっているのかを明らかにするとともに,実際の骨折リスク評価について総論と各論とに分けて執筆いただくこととした.これは,症例数の多い糖尿病のような慢性疾患患者のなかで,どの患者に対して筋骨格系の健康に留意すべきかを層別化して考えなければ,非常に効率の悪い医療となってしまうからである.さらには,治療上の留意点,栄養指導・生活指導などの日常臨床に必要な知識を網羅し,糖尿病と骨粗鬆症の両者を合併する高齢者に対して,なにをすればよいかをわかりやすくまとめることを目指した.とくに,多忙を極める臨床医や医療スタッフが,日常臨床のなかにおいて手元で参照できる項目立てを目指した.
 本特集により,糖尿病専門医にとって,ともすれば心理的ハードルが高くなる筋骨格系疾患の予防と治療が,臨床の現場でより一層スムーズに行われることの一助となれば幸いである.

鈴木敦詞
(藤田保健衛生大学 医学部 内分泌・代謝内科学 教授)

〈目次〉
Ⅰ. 糖尿病関連骨粗鬆症総論
1.なぜ糖尿病は骨折リスクとなるのか ~その病態と疫学~
2.糖尿病における骨折リスク因子
3.糖尿病関連骨粗鬆症における検査と解釈

Ⅱ.糖尿病関連骨粗鬆症の基礎知識
1.糖代謝異常が骨質(構造・材質)に与える影響とは
2.糖代謝と骨代謝の臓器間ネットワーク
3.サルコペニア・フレイルと糖代謝異常

Ⅲ.糖尿病関連骨粗鬆症の臨床各論
1.糖尿病腎症と骨粗鬆症
2.糖尿病神経障害と転倒リスク
3.糖尿病治療薬が骨粗鬆症に与える影響
4.糖尿病合併骨粗鬆症における骨粗鬆症薬物治療
5.糖尿病と骨粗鬆症の栄養管理
6.骨粗鬆症の運動療法とエネルギー代謝
2,970円
【特集】糖尿病患者の健康寿命延伸を目指して
ー老化関連因子サーチュイン・AGEs・p53と寿命ー
企画編集/山縣和也

〈特集にあたって〉
 我が国における平均寿命は着実に延伸してきたが,糖尿病患者の平均寿命は糖尿病でない人に比べ短い.さらに高齢糖尿病患者ではサルコペニアや認知症による日常生活動作(ADL)の障害が進行しやすいという報告も多く認められる.今後は,糖尿病患者の平均寿命を延ばすとともに健康寿命の延伸を図ることが重要な課題であると考えられる.
 近年,加齢・老化に関する研究が進展しており,代謝と老化の間に強い関連性が存在していることが明らかになってきた.たとえば,加齢の基本的な特徴のひとつとしてミトコンドリア機能不全が挙げられる.加齢により補酵素であるNAD+含量が減少するため,ミトコンドリアの機能に重要な働きを担うSIRT1などのサーチュインの活性が低下することが,その理由の一端であると考えられている.SIRT1の過剰発現マウスは,耐糖能の改善を含む抗加齢の表現型を示す.また,脳特異的にSIRT1を過剰発現したマウスでは寿命が延長することが報告されている.NAD+前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)のマウスへの投与によっても,高脂肪食や加齢により誘発される耐糖能異常が改善する.このようにサーチュインは代謝と老化を結ぶ重要な分子である.一方,老化により引き起こされたDNAダメージは,がん抑制遺伝子であるp53の活性化を介することによって糖代謝異常を惹起する.さらに過食によるAGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)の蓄積もタンパク質の恒常性に影響を及ぼし,老化や代謝異常を促進する.
 糖尿病患者の健康寿命を延ばすためには,血糖,血圧,脂質のトータルなコントロールならびに合併症の早期発見,早期治療が重要であることは言うまでもない.しかし,種々の老化関連因子が糖尿病をはじめとする代謝異常症の病態に深く関係していることから,老化関連因子が今後の糖尿病治療の新たな標的として重要になってくるものと想定される.食事療法は糖尿病治療の基本であるが,適度のカロリー制限(CR)は加齢を抑制する最も確実な手段でもある.
 本特集では,老化関連分子のサーチュイン(SIRT1~7),AGEs,p53に着目し,糖尿病,メタボリックシンドローム,合併症やがんとの関連,新たな予防法や治療法の開発に向けた現状・将来展望などについて,専門家の先生方にご紹介いただく.本特集が,基礎研究のみならず,抗加齢の観点から糖尿病患者の食事・運動・薬物療法について考えるうえで役立つことを期待している.

山縣和也
(熊本大学大学院 生命科学研究部 病態生化学分野 教授)

〈目次〉
1. 哺乳類の老化・寿命制御に関するNAD World 2.0の概念 -SIRT1/NAMPTによって制御される組織・臓器間コミュニケーションの重要性-
2. 中枢神経系のSIRT1による体重調節機序
3. SIRT1による脂肪組織の炎症およびインスリン抵抗性の制御
4. SIRT1と糖尿病性腎症
5. SIRT6と代謝・老化
6. SIRT7による代謝・老化関連疾患制御
7. AGEs-RAGE系と糖尿病
8. 可溶型AGEs受容体と糖尿病合併症
9. AGEs作用阻害による糖尿病血管症の治療
10. p53によるがん代謝
11. p53依存性老化シグナルと糖尿病,心血管疾患
2,970円
【特集】糖尿病診療:求められる一次予防・二次予防の近未来図
企画編集/益崎裕章

〈特集にあたって〉
 我が国は未曽有の速度で世界に類を見ない超高齢社会に突入した.すでに80歳以上人口が1000万人を突破し,65歳以上の4人に1人以上が軽度認知機能障害(MCI)の状態にある.30年後には平均寿命が100歳に達するとする予測も出されている.加齢は糖尿病発症に対する重要な危険因子であり,加齢と糖尿病は互いに認知機能障害やフレイル,がんの発症リスクを高め合う関係にある.我が国の糖尿病患者の60 %以上が65歳以上,糖尿病患者の半数以上がBMI 25以上である事実を踏まえると,これからの日本の糖尿病診療の行方を左右するのは高齢化と肥満化ということになるであろう.
 2010年以降のDPP-4阻害薬や,インクレチン受容体作動薬,SGLT2阻害薬や新規インスリン製剤の登場により,我が国の糖尿病診療は短期間に異次元の質の向上を達成したといわれる.内科医を対象にしたアンケート調査において,あらゆる内科的疾患のなかで,治療薬による治療満足度,治療に対する薬剤の貢献度,のいずれにおいても糖尿病はきわめて高いスコアを示しているが,これは当座の血糖管理という意味において,である.糖尿病性の血管合併症になると,これらのスコアは最も低いゾーンに位置している.
 糖尿病の一次予防・二次予防の近未来図におけるキーワードとして,precision medicine initiative(PMI)が挙げられる.人生100年時代を見据えた長期的な血管合併症の予防・改善においては,従来の標準診療(ガイドライン診療)からゲノム・エピゲノム情報や生体組織情報を取り込んだ個別化診療を展開することが不可欠となる.PMIは,とくに糖尿病とがんの2大疾患において今後,世界的規模で推進されると予想される.このような背景を踏まえ,本特集では,気鋭の執筆者の方々による斬新な切り口で,『求められる一次予防・二次予防の近未来図』を描いていただいた.糖尿病診療に役立つ新たなヒントを読者の皆様にたくさん見つけ出していただけることを切に期待したい.

益崎裕章
〔琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)教授〕

〈目次〉
1. 超高齢社会,人生100年時代を見据えた糖尿病の一次予防・二次予防の在り方
2. これからの糖尿病一次予防・二次予防においてPMI(Precision Medicine Initiative)が果たす役割と近未来展望
3. 腸内細菌と糖尿病の一次予防・二次予防
4. 求められる糖尿病一次予防・二次予防の近未来図:人工知能とIT技術が担う新たな展開
5. 日系アメリカ人の疫学データからの考察:我が国の今後の糖尿病一次予防・二次予防に対する提言
6. これから求められる1型糖尿病の二次予防:集学的アプローチの現在と近未来図
7. 我が国の大規模前向きコホート研究から展望する:これから求められる糖尿病一次予防・二次予防の近未来図
8. 糖尿病が心血管疾患を惹起する最新のメカニズム:Cardio-Diabetesの現在と近未来図
9. これからの糖尿病一次予防・二次予防に貢献する運動療法の近未来図
10. 糖尿病診療における食事療法:エビデンスと実際の進め方
11. 糖尿病二次予防に貢献する薬物療法の新たな展開と近未来図
2,970円
【特集】糖尿病診療におけるICT革命
企画編集/脇 嘉代

〈特集にあたって〉
 近年のICTの進歩は著しく,インターネットやスマートフォンの利用者は増え,ICT抜きには語れないほど日常生活においても大きな変革をもたらしている.それに伴いヘルスケアやメディカル分野においてもICTは普及し,従来の対面式の診療から非対面式・遠隔診療が新たな診療スタイルとして注目されるようになっている.また,血糖計,血圧計,体重計および活動量計などのセンサーとスマートフォンを機器連携させ,測定結果がアプリケーション(以下,アプリ)を介して確認できたり,目標値との差を比較できたり,それらの測定結果をもとに健康増進のためのアドバイスを行うサービスも増えている.
 糖尿病の治療においては,食事療法や運動療法を含めた自己管理が殊のほか重要である.しかしながら,自己管理を継続するのは必ずしも容易ではなく,アプリを利用することによって自己管理のモチベーションを上げられるのではないかという期待もある.また,医療従事者にとっても,こういったアプリを利用して従来の限られた診療時間では得られにくい情報を得ることができ,患者の日常の状況をより具体的に把握できるという利点もある.医療従事者は患者の自己管理の状況を把握したうえで,患者それぞれの課題を明らかにし,適切な指導につなげることが望ましく,アプリを通して患者の状況を確認できればメリットも大きい.一方で,いつでも患者の状況が確認できるようになると,かえって医療従事者の負担を増やすのではないかという懸念や,誰がそのコストを負担するのが適切であるか,新たな医療費の増加になるのではないかなど,まだまだ課題や議論のあるところである.さらに,ICTを使いこなせる患者とそうでない患者に将来の健康や合併症の進展に大きな差が出ないよう留意する必要もある.
 本特集では糖尿病診療におけるICTの現状と課題,とくにICTがもたらす変革に焦点を当てた.

脇 嘉代
(東京大学大学院 医学系研究科 健康空間情報学講座 特任准教授)

〈目次〉
Ⅰ. ICTがもたらす医療変革
1.ICTを用いた健康戦略
2.糖尿病診療の課題とICT活用による打破
3.糖尿病地域医療連携におけるICTへの期待
Ⅱ. 糖尿病療養指導とICT
1.スマートフォンで食事・ウォーキング・血糖・注射を把握する療養指導
2.ICTを用いた栄養評価と課題
3.ICT活用による運動療法 ?人と人をつないで歩く人を増やす
Ⅲ. 糖尿病管理とICT
1.ICTを用いた心疾患管理
2.ICTを用いた早期診断・早期治療(急性心筋梗塞の治療)
3.ロコモニターの開発:ICTを用いたロコモ評価
Ⅳ. ICTの今後の展望
1.ICT医療の可能性
2.患者目線のICT医療
【特集】DPP-4阻害薬を極める ~有効性と安全性を踏まえた適正使用に向けて~
企画編集/粟田卓也

〈特集にあたって〉
 シタグリプチンが世界で初めてメキシコで承認されてから10年が経過し,国内では発売されてからまもなく7年となる.DPP-4阻害薬は,国内ではチアゾリジン薬であるピオグリタゾンの発売から10年ぶりの新たな作用機序に基づく経口血糖降下薬であったが,驚異的に売上を伸ばし,またたく間に2型糖尿病患者に最も処方される薬となった.さらに,糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)のデータにみるように,最近の日本人2型糖尿病患者の血糖コントロールの改善にDPP-4阻害薬の出現が大きく寄与しているものと考えられている.
 早期からインスリン分泌不全が認められることが多い日本人2型糖尿病患者では,インクレチンの膵島作用により生理的な血糖制御機構を回復させるDPP-4阻害薬は理にかなった治療薬である.また,DPP-4阻害薬は他の経口血糖降下薬と併用しやすく,糖尿病患者でよく見られる腎障害や肝機能異常を伴う症例にも使いやすい.安全性に関しても,発売当初にみられたスルホニル尿素薬との併用による低血糖を除いて,重篤な副作用はほとんど認められていない.
 そうした背景のもとに最近の週1回投与のDPP-4阻害薬を含めて9種類のDPP-4阻害薬と2種類の配合薬が国内で使用可能となっているが,それらを有効性と安全性に基づいて種々の病態の患者に適切に使い分けることは必ずしも容易ではない.また,今後明らかにすべきDPP-4阻害薬の課題や疑問点も残っている.糖尿病治療の大きな目標である細小血管障害や動脈硬化症の予防効果のエビデンス,膵疾患(膵炎・膵癌)発症や心不全増悪のリスクの懸念などである.最近では,重篤な関節痛との関連の可能性も米国で指摘されている.さらに,DPP-4阻害薬は緩徐進行1型糖尿病の進展予防に有効である可能性がある.
 本特集では,DPP-4阻害薬の有効性と安全性に関する新旧の知見と具体的な処方例を含めたDPP-4阻害薬による治療戦略をエキスパートの先生方にご執筆頂いた.本特集により,糖尿病の治療に革命をもたらしつつあるDPP-4阻害薬を極めて頂ければ幸いである.

粟田卓也
(国際医療福祉大学病院 糖尿病内分泌代謝科 教授・部長)

〈目次〉
1. DPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4)阻害薬開発の歴史
2. DPP-4阻害薬の製剤間の違いと臨床効果
3. DPP-4阻害薬の膵島作用と膵β細胞保護効果
4. DPP-4阻害薬の膵外作用と糖尿病合併症抑制の可能性
5. DPP-4阻害薬の有効性 ~レスポンダー,ノンレスポンダーと2次無効~
6. 第一選択薬としてのDPP-4阻害薬の位置づけ
7. DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の適切な使い分け
8. DPP-4阻害薬と他剤の併用療法
9. 1型糖尿病,とくに緩徐進行1型糖尿病におけるDPP-4阻害薬の可能性
10. DPP-4阻害薬の安全性について









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【特集】
糖尿病・うつ・睡眠障害による負のトライアングル
企画編集/稲葉雅章

〈特集にあたって〉
最近,糖尿病と睡眠障害とが相互に悪影響を及ぼす関係にあることが明らかとなった.2型糖尿病患者では肥満症が多いがそれによる睡眠時無呼吸の頻発に加え,糖尿病の血糖コントロール悪化は夜間排尿回数を増加させて睡眠を中断させることで睡眠の質を劣化させることは以前から知られていた.また糖尿病は加齢とともに増加するが睡眠障害も同様の傾向をとるため,高齢者では両者が同一個体に併存する確率が高くなる.したがって,高齢糖尿病患者では大脳皮質を休息させる徐波睡眠を減少させるなど直接的に睡眠の質劣化をきたすことが明らかとなった.また,糖尿病合併症もそれぞれが睡眠障害を独自の機序で増悪させ,糖尿病患者では複合的な睡眠障害を起こすため,それぞれの患者でなにが睡眠障害の主因となっているかを検討することが重要となる.一方,睡眠障害のある患者では肥満や糖尿病発症率の高いことが前向き研究で示されている.これは睡眠障害でみられるACTH・コルチゾール上昇や交感神経緊張による耐糖能障害やインスリン感受性低下などにより血糖コントロール増悪が起こることが関与する.また糖尿病ではうつが2~3倍健常人と比べて多いが,うつによる睡眠障害・概日リズム障害が生じる.
 このように人口の高齢化とともに糖尿病・睡眠障害・うつの増加している状況で,本特集では,「糖尿病・うつ・睡眠障害による負のトライアングル」のテーマの下,これら三者の関係を種々の面から取り上げて,一個体で生じている増悪がなにが主因で起こっているかを日常臨床上,詳細に解析するうえで手掛かりとなるように,それぞれの章でその詳細を述べていただいた.さらに,糖尿病で頻発する睡眠障害を引き起こす睡眠時無呼吸症候群,むずむず脚症候群,周期性四肢運動症候群についても述べていただいた.また,睡眠障害で起こる夜間・早朝高血圧が血管障害の主たるリスクであるため,睡眠障害改善による降圧がこれらリスクを低下させる可能性についても述べていただいた.
 本特集は,睡眠障害が糖尿病やその合併症によって起こりやすく,血糖増悪のみならず心血管リスクや合併症の進展に寄与していること,また両者に合併しているうつの有無に注目して患者の診療戦略を立てることの重要性につき,本邦の一線の研究者にわかりやすく最新の知識をおまとめいただけたので,一読いただければこれら分野の概要がわかり,新たな面から深く治療戦略を立案できることができるものと期待している.

稲葉雅章
〔大阪市立大学大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学(第二内科)教授〕

〈目次〉
Ⅰ. 糖尿病と不眠・抑うつとのかかわり
Ⅱ. 糖尿病における睡眠障害
1.血糖コントロールと睡眠障害との関係
2.糖尿病合併症と睡眠障害との関係
  i.糖尿病性ニューロパチーと睡眠障害
  ii.腎障害
  iii.糖尿病・睡眠障害・骨関節疾患およびそれに起因する疼痛の相互関連
  iiv.高血圧
  v.こむら返り・むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害
3.糖尿病の睡眠時無呼吸症候群
4.糖尿病のうつ・不安障害とそれらに併存する睡眠障害
Ⅲ. 睡眠障害・うつの糖尿病・身体疾患に及ぼす影響
1.睡眠障害が糖代謝に与える影響とそのメカニズム
2.うつの影響メカニズム
Ⅳ. 糖尿病血糖コントロール改善・合併症防止を目的とした睡眠障害に対する治療戦略
Ⅴ. 睡眠障害に対する薬物処方の実際 ~糖尿病患者を念頭に~
2,970円
【特集】進化する糖尿病治療! ~話題の新薬と治療法~
企画編集/弘世貴久

〈特集にあたって〉
 2型糖尿病の薬物療法はインクレチン薬,とくにDPP-4阻害薬が席巻しているといってよい.専門医,内科医はもちろんのこと,今まで糖尿病薬を処方しなかった医師も気軽に処方しているのが現状だ.これは糖尿病の治療の裾野が広がったという意味では吉報かもしれないが,同じ調子でSGLT2阻害薬を使用したことにより,この薬剤による「事故的な」副作用報告がより多くなったものと筆者は憶測している.糖尿病薬はその作用と副作用を理解して使用するという当たり前の原点に立ち返らなければならないであろう.
 そんななか,問題児扱いされてしまったSGLT2阻害薬の新しいエビデンスが発表された.EMPA-REGアウトカムである.これは心不全の薬かもしれないと循環器内科の先生方はおっしゃる.それだけインパクトの高い発表である.しかし,SGLT2阻害薬のデータに驚いてばかりはいられない.内服薬も注射療法も現在,新しい製剤の開発,発売予定が目白押しである.そう,進化している.本特集では話題性の高い新薬や開発薬の話題を紹介する.さらになにが本当に正しいのか,混沌としている食事療法について山田 悟 先生にわかりやすくまとめていただいた.さらに迫りくる日本の高齢化社会における新薬を含む薬物療法の使用法についても,新しい考え方を老年医学の第一人者である秋下雅弘 先生を含む2人のスペシャリストの先生に執筆いただいた.少し欲張りな企画となったが,いずれもこれからの糖尿病治療に携わるすべての医師,医療従事者に欠くことのできない内容の特集になったものと自負している.ぜひ,ご一読いただきたい.

弘世貴久
(東邦大学 医学部 内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌学分野 教授)

〈目次〉
Ⅰ. 内服薬
1.週1回内服DPP-4阻害薬や糖尿病配合薬,どんな場面で有効か?
2.SGLT2阻害薬の多臓器保護効果など最新の話題
3.循環器内科から見たSGLT2阻害薬(EMPA-REGアウトカム試験を受けての期待)
4.新しい標的,グルカゴン受容体とその拮抗薬の開発
Ⅱ. 注射製剤
1.新しいアナログインスリンへの期待
2.週1回GLP-1受容体作動薬を活かす(注射)
3.インスリンとGLP-1受容体作動薬の併用,配合注IDeg-Liraへの期待
4.貼付型,吸入,経口インスリン,GLP-1アナログ製剤の現状
5.SAP療法の登場は血糖コントロール改善に寄与したか?
Ⅲ. 高齢者
1.高齢者糖尿病内服薬のベストチョイス
2.高齢者糖尿病とフレイル
Ⅳ. その他
1.肥満手術(胃・小腸バイパス手術)
2.食事療法はこれからどこへ向かうのか?
2,970円
【特集】迫りくる低血糖 ~糖尿病治療に伴う低血糖の危険性~
企画編集/松久宗英

〈特集にあたって〉
 近年の目覚ましい勢いで進歩する経口血糖降下薬,インスリンおよびGLP-1受容体作動薬の注射製剤とデバイスは,1型および2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善させ,糖尿病細小血管症の発症進展の抑制に大きく貢献している.一方で,新しい糖尿病治療薬が次々と登場するにもかかわらず,心血管疾患などの糖尿病大血管症の発症抑制はいまだ大きな課題として残っている.その背景として,血糖値の厳格な改善の裏側で,重篤な低血糖の発生リスクが上昇することが関与すると指摘されている.重篤な低血糖は,致死的不整脈や冠動脈疾患の引き金となるとともに,その既往が生命予後の増悪因子であることも示されている.また,超高齢化社会を迎えた我が国において,解決すべき大きな課題として認知症が挙げられるが,その原因としても重症低血糖が関与することが明らかにされている.さらに,低血糖による転倒や骨折といった患者個人のQOLの悪化リスクの増大,また交通事故などアクシデントによる個人を超えた社会的問題としても解決すべき大きなテーマである.
 そこで,糖尿病診療にかかわる多くの医療者は,これまで以上に低血糖のリスクを軽減するために,低血糖の高リスク者の把握,低血糖を抑止する治療の進め方,また患者自身がその予防のために行動できる指導方法について理解を深めるべきである.このため,低血糖の成因と病態への知識をもとに,疫学的研究および救命救急の現場から示される重症低血糖の臨床的および社会的インパクトへの認識を十分深める必要がある.
 本特集では,低血糖に造詣の深い国内のエキスパートの先生方に執筆いただいた.その結果,低血糖の成因,生理的機構と重症化のメカニズム,心血管イベントや生命予後に及ぼすインパクトなど基本的知識を整理し,臨床現場から明らかにされてきた高齢者を含めた高リスク者の特徴を見事に抽出いただいた.そして,その対策として救急の現場で行われている先進的事例の紹介から,予防のために行うべき血糖自己測定や持続血糖モニタリングの活用方法,さらに経口薬からインスリンまで糖尿病治療薬をどのように選択し組み合わせるべきか,加えて患者自身が知るべき知識と対応方法,最後にこれからの未来治療が低血糖を防いでくれる可能性について,詳細に解説いただいた.
 ご多忙のなか,素晴らしい原稿を執筆いただいた先生方に心より御礼を申し上げます.本特集が,読者の方々の低血糖への知識と理解を深め,目前の臨床の場で低血糖予防に少しでも貢献できることを期待したい.

松久宗英
(徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター長)

〈目次〉
1. 低血糖症の成因
2. 低血糖の病態生理
3. 重症低血糖と心血管疾患のエビデンス
4. 重症低血糖とそのリスク
5. 1型糖尿病における低血糖の特徴
6. 高齢者糖尿病の低血糖の特徴
7. 救急医療での重症低血糖症
8. 低血糖を防ぐ ~SMBGとCGMの有用性~
9. 低血糖を防ぐ ~経口糖尿病薬治療~
10. 低血糖を防ぐ ~インスリン治療~
11. 低血糖を防ぐ ~患者指導~
12. 低血糖を防ぐ ~これからの治療~











2,970円
【特集】糖尿病神経障害の早期診断と薬物療法
企画編集/佐藤 譲

〈特集にあたって〉
 糖尿病神経障害は糖尿病三大合併症のなかで最も発症頻度が高く,患者の QOL を低下させ,生命予後にも影響するにもかかわらず,対応が遅れがちである.その理由は,初期には自覚症状が軽いこと,網膜症の眼底検査や,腎症の尿蛋白や血清クレアチニン測定のような簡明な検査や診断基準がないこと,特異的で効果的な治療がなかったために医師側の関心も十分でないことなどが挙げられる.
 このような状況においても,糖尿病神経障害の研究は着実に進んでおり,本特集号では成因・病態について最新の知見を交えて第一人者から解説していただく.さらに,本邦において最近報告された病態についての最新情報も紹介していただく.診断については神経伝導速度測定がゴールドスタンダードであるが,訓練を積んだ検査室が必要であり,設備の整った病院以外では検査されていないのが現状である.これに対して,糖尿病性神経障害を考える会による“糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準”が臨床現場で広く使われ,病期分類の提案もなされている.本特集号ではベッドサイドでの診断方法や早期診断に有用な各種診断機器や検査の最新情報も紹介していただく.さらに,治療については成因に基づいた治療や,各種治療薬が登場している有痛性神経障害への対応について教えていただく.また,近年期待されているインクレチンや細胞治療の可能性についても解説していただく.
 この分野の指導的専門医による糖尿病神経障害の成因・病態・診断・薬物療法についての最新情報は臨床の現場で大いに役立つに違いない.

佐藤 譲
(東北医科薬科大学 若林病院 院長)

〈目次〉
Ⅰ. 糖尿病神経障害の成因と病態
Ⅱ. 糖尿病神経障害の病期
Ⅲ. ベッドサイドでの糖尿病神経障害の臨床的診断
Ⅳ. 糖尿病神経障害の早期診断に役立つ検査
1.ニューロメーター
2.表皮内神経線維の疼痛閾値の測定
3.ニューロパッドテスト
4.生体共焦点顕微鏡角膜モジュールを用いた,糖尿病患者における角膜神経叢の神経密度解析
Ⅴ. 糖尿病神経障害の特殊な病型,病態
1.糖尿病性自律神経障害
2.有痛性糖尿病神経障害の疫学
3.糖尿病神経障害と睡眠時無呼吸症候群
4.糖尿病神経障害と左室機能障害
Ⅵ. 糖尿病神経障害の薬物療法
1.成因に基づく治療
2.有痛性神経障害の治療
3.糖尿病性末梢神経障害と漢方
Ⅶ. 糖尿病神経障害の新しい治療の展望
1.インクレチン
2.細胞移植療法
2,970円
【特集】糖尿病診療における心血管合併症の診かたup to date
企画編集/島袋充生

〈特集にあたって〉
 糖尿病・糖代謝異常は,食習慣,社会環境の変化にともなう肥満症や高齢化を背景に激増している.糖尿病・糖代謝異常では心血管合併症(冠動脈疾患,大血管・末梢動脈疾患,脳血管障害,心不全,不整脈など)の頻度が高く,予後も悪いため,QOL,生命予後を損ない,我が国の医療リソースを大きく費やしている.
 糖尿病診療では,①糖尿病・糖代謝異常にともなう心血管合併症を,適切に予測し治療することで,発症の抑止を目指すこと,②心血管合併症をすでにもつ例では,増悪を防ぐための非侵襲的・侵襲的治療を適切に行うこと,が重要である.これらを達成するためには,糖尿病診療にかかわる医師・医療者と,循環器内科,冠動脈内科,末梢血管内科,心臓血管外科,脳外科,脳血管内科など各分野の医師との連携が必須である.この分野の進歩ははやく,また,広い分野にまたがることから,updateされた臨床現場での指針が求められる.
 本特集では,「心血管合併症を適切に診断し,治療する」ための「診かた」を,この分野で造詣の深い先生方にご解説いただいた.

島袋充生
〔徳島大学大学院 医歯薬学研究部 心臓血管病態医学分野,糖尿病臨床・研究開発センター(併任)〕

〈目次〉
1. 糖尿病患者における大血管症の診断,治療に関するガイドライン:総論
2. 糖尿病患者における冠動脈疾患,大動脈・末梢動脈疾患のマネジメント:糖尿病内科医の立場から
3. 糖尿病患者における冠動脈疾患,大動脈・末梢動脈疾患のマネジメント:循環器内科医の立場から
4. 糖尿病患者における脳血管障害,頸動脈疾患のマネジメント:糖尿病内科医の立場から
5. 糖尿病患者における脳血管障害,頸動脈疾患のマネジメント:脳外科医の立場から
6. 糖尿病患者における心不全マネジメント
7. 糖尿病患者における不整脈マネジメント
8. 糖尿病患者における周術期心機能評価とマネジメント:糖尿病内科医の立場から
9. 糖尿病患者における周術期心機能評価とマネジメント:循環器内科医の立場から
10. 糖尿病診療における低血糖と心疾患
2,970円
【特集】膵島再生
-膵臓・膵島移植からiPS細胞を用いた膵再生と他の臓器の再生医療まで-
企画編集/長船健二

〈特集にあたって〉
 近年,機能不全に陥った臓器に対して健康な細胞や組織を補充することにより機能回復を図る再生医療が注目を集めている.とりわけ,ヒトES細胞の使用にかかわる拒絶反応と倫理問題を解決可能としたiPS細胞の登場によって,再生医学研究が加速した.そして,2014年秋には,本邦において世界初のiPS細胞を用いた臨床研究である加齢黄斑変性症患者に対するiPS細胞由来網膜色素上皮細胞シートの移植が行われた.従来の提供臓器の移植に加え,幹細胞より作製した細胞や組織を移植することによって,臓器移植のドナー不足の問題を解決することやこれまで有効な治療法がなかった疾患に対する新しい移植治療が開発されようとしている.また,国家成長戦略においてもiPS細胞を用いた再生医療が重点分野として掲げられ社会的にも大きな期待を集めている.
 このような再生医療の開発に向けて世の中が急速に進んでいる状況のなか,本特集では,「膵島再生 -膵臓・膵島移植からiPS細胞を用いた膵再生と他の臓器の再生医療まで-」のテーマにて,とくに1型糖尿病に対して確立された移植療法である膵臓移植と膵島移植に加え,そのドナー組織不足の解決を目指したiPS細胞からの移植用膵組織の作製の現状と展望を述べていただいた.さらに,本邦においてこれから数年内に臨床研究が開始される見込みのあるiPS細胞を用いた再生医療の最前線について網羅すべく,同研究領域をリードする本邦の研究者に玉稿を執筆いただいた.
 本特集は,糖尿病に対する再生医療のみならず,2016年時点における再生医学研究のスタンダードとして読者の皆様の知識の整理に役立つものになると期待している.

長船健二
(京都大学 iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門 教授)

〈目次〉
1. 膵臓移植の現状と展望
2. 膵島移植の現状と展望
3. iPS細胞を用いた糖尿病に対する再生医療開発
4. 重症心不全に対する心筋再生治療
5. iPS細胞由来再生心筋細胞の移植による重症心不全治療法の開発
6. iPS細胞を用いたパーキンソン病に対する再生医療開発
7. iPS細胞を用いた網膜疾患に対する再生医療開発
8. iPS細胞を用いた角膜上皮の再生
9. iPS細胞由来神経幹細胞を用いた脊髄再生医療の開発
10. iPS細胞由来血小板・赤血球製剤開発に向けた取り組み
11. iPS細胞を用いた軟骨疾患に対する再生医療開発
12. iPS細胞技術を用いたがん抗原特異的T細胞のクローニングと再生











2,970円
【特集】小児・思春期糖尿病治療の現状と展望
企画編集/雨宮 伸

〈特集にあたって〉
 糖尿病学の進歩にあわせ,小児・思春期糖尿病治療はここ10年ほどで大きく変貌している.特に1型糖尿病についてはインスリンアナログ薬の導入とカーボカウント(Carb-count)の導入によって,生活にあわせたインスリン治療が可能となり,基礎-追加インスリン治療を基盤とした頻回注射法や持続皮下インスリン注入療法(CSII)がより年少児へも浸透した.今後はさらに持続皮下ブドウ糖濃度測定(CGM)がリアルタイムに観測できると,あわせて3Cとして糖尿病合併症の進展抑制とともに,生活の質の向上につながると期待される.
 小児・思春期糖尿病の臨床診療ガイドラインで国際的に最新のものはISPAD Clinical Practice Consensus Guidelines 2014である.本特集ではこれを踏まえた幾つかの項目について日本での小児・思春期糖尿病コンセンサスガイドライン(2015,南江堂2015)と併せ検討している.糖尿病コントロールのゴールドスタンダードとなるHbA1cはその治療介入の目標が従来ISPADガイドラインで示され,ADAもこれに準じて年齢層別の目標値は除かれ,臨床指標も含めた日常生活のリスクを考慮して指導することが勧められている.その中で,小児1型糖尿病ではHbA1c 7.5 %未満を適切な目標とする共通認識が得られている.この目標は国内の多施設共同研究(小児インスリン治療研究会)ではほぼ3割が達成しており,海外の諸コホート研究での達成率より高くなっている.特に思春期患者,特に女子における血糖コントロールの悪化が報告されてきたが,治療の進歩はこれを解消しつつあるようである.しかし,糖尿病治療の精神的・経済的負担は決して解消したわけではなく,今後なお改善すべき課題である.
 2型糖尿病での新規治療薬導入は成人では糖尿病コントロールに大きな変化をもたらしているが,小児・思春期での導入は治験が進まない現状にある.一方,思春期2型糖尿病患者の血糖コントロールは1型糖尿病より悪いことも少なくなく,予後も不良なことが報告されている.米国では小児2型糖尿病に対する大規模な介入研究(TODAY)が計画され,メトホルミンを中核とした血糖コントロール(HbA1c 8 %未満)維持効果が検討された.しかし,現状での介入法ではほぼ5年未満で半数以上が維持できなかった.新規治療薬適応の検討は喫緊の課題と考えられる.
 その他の糖尿病については,特に単一遺伝子による糖尿病の診断が進み,ある種の新生児糖尿病などへのスルホニル尿素薬の効果など,成因・病態に応じた特異な治療法の検討も進んでいる.
 最後に2015年から進んでいる難病指定と糖尿病との関連である.小児慢性疾患全般においても成人医療への移行が課題となっている.小児・思春期糖尿病患児は現在20歳までが公的援助の適応となっているが,小児科での診療体制と成人での体制ではギャップが大きいこともしばしばである.若年成人期での学校,就職,結婚などの社会的に不安定となる時期での糖尿病コントロール悪化を防ぐ支援体制の充実が必要である.特に1型糖尿病では前述の3C充実による合併症予防が進んでも,経済的負担からこれを中断せざるを得ない状況が想定されている.社会的自立が可能な小児期発症1型糖尿病患者での治療の質の担保には経済負担軽減の検討は必須である.

雨宮 伸
(埼玉医科大学病院 小児科 客員教授)

〈目次〉
1. 小児・思春期患者への3Cの適応
2. カーボカウントと栄養管理
3. シックデイへの対応
4. 小児・思春期の血糖管理目標
5. 糖尿病キャンプ
6. 思春期糖尿病と精神心理的課題
7. 小児・思春期糖尿病における薬物療法
8. 単一遺伝子糖尿病
9. 小児医療から成人医療への移行
10. 小児・思春期糖尿病への公的支援体制









2,970円
【特集】肥満を伴う2型糖尿病のマネジメント
企画編集/岩橋博見・下村伊一郎

〈特集にあたって〉
 2型糖尿病は,「インスリン分泌低下を主体とするものと,インスリン抵抗性が主体で,それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある」とされている.欧米人では,2型糖尿病において肥満を伴う症例は90 %以上であり,そのほとんどがインスリン抵抗性主体である.一方,日本人は従来,インスリン分泌能が低い人種であり,2型糖尿病患者でも非肥満者が多く,インスリン分泌低下を主体とするものが多いとされてきた.しかし,ここ数十年におけるライフスタイルの変化から,日本における肥満人口は増加の一途をたどり,平成25年度の国民健康栄養調査によれば,肥満の割合は男性28.6 %,女性20.3 %となっている.このような背景のもと,2型糖尿病においても肥満を伴う患者の割合が増加している.
 肥満を伴う2型糖尿病は,その多くが内臓脂肪蓄積に伴うメタボリックシンドロームあるいはその予備群から発症してくると考えられ,その予防・治療は,内臓脂肪量の減量にあることは言を俟たないが,一旦糖尿病域にまで進展した患者の血糖の是正には,抗糖尿病薬も必要となる場合が多い.現在,抗糖尿病薬はその作用機序から分類して,インスリン分泌促進系薬剤,インスリン抵抗性改善系薬剤,糖吸収・排泄調節系薬剤,さらにはGLP-1受容体作動薬,インスリン製剤がある.本特集では,肥満2型糖尿病の病態や合併疾患を考慮に入れて,これら糖尿病治療薬をどのように使うのが適切かについて,専門家の先生方にご紹介いただく.あわせて,合併しやすい重要疾患としてNASH(非アルコール性脂肪肝炎)やSAS(睡眠時無呼吸症候群)をとりあげる.さらに肥満2型糖尿病の外科治療についても外科,内科,両方の側面からご紹介いただく.
 本特集が,肥満2型糖尿病の診療を行う上で糖尿病専門医のみならず,非専門医にとっても治療ガイダンスになることを期待している.

岩橋博見
(大阪大学大学院 医学系研究科 糖尿病病態医療学寄附講座 准教授)

下村伊一郎
(大阪大学大学院 医学系研究科 内分泌・代謝内科学 教授)

〈目次〉
Ⅰ. 日本における肥満2型糖尿病の疫学
Ⅱ. 日本人肥満2型糖尿病の病態 -インスリン分泌動態とインスリン抵抗性
Ⅲ. 肥満2型糖尿病における抗糖尿病薬の使い方
1.インスリン分泌促進系薬剤(SU薬,グリニド薬,DPP-4阻害薬)
2.インスリン抵抗性改善系薬剤(BG薬,チアゾリジン薬)
3.糖吸収・排泄調節系薬剤(α-GI薬,SGLT2阻害薬)
4.GLP-1受容体作動薬
5.インスリン製剤
Ⅳ. 肥満2型糖尿病の合併疾患とそのマネジメント
1.非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
2.睡眠時無呼吸症候群(SAS)
Ⅴ. 肥満2型糖尿病の外科治療
1.外科治療の効果とそのメカニズム -メタボリックサージェリーへの期待-
2.集学的肥満症治療における肥満外科治療の位置づけ -肥満症2型糖尿病への臨床応用とその課題-
2,970円
【特集】カーボカウントの実際とその功罪
企画編集/幣 憲一郎
(京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副部長)

〈特集にあたって〉
 2013年国民健康・栄養調査(厚生労働省)の結果によると,糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる者)の割合は,男性16.2 %,女性9.2 %と,前回調査に比べても糖尿病有病者は増加傾向にあり,患者の高齢化,合併症の問題など非常に多くの医療費が糖尿病に対し費やされている現状がある.
 一方,良好な血糖コントロールを維持し,血圧値や血清総コレステロール値などを適正に管理すれば,腎臓病や網膜症,動脈硬化が引き起こす糖尿病合併症を予防できることもわかっている.近年,日本でも超速効型インスリンやインスリンポンプ療法の普及により,血糖管理に着目した新しい食事療法「カーボカウント」が注目され重要性が高まっているが,種々の実践方法が提案され混乱しているのも事実である.
 「カーボカウント」とは,ご存知のように食物の中で最も急激な血糖変動をきたすのが炭水化物であるという事実から食事中の炭水化物量を計算して糖尿病の血糖管理に利用するものであるが,毎食の炭水化物量を把握し,量を一定にする「基礎カーボカウント」と,炭水化物の摂取量に合わせて注射するインスリン量を調節する「応用カーボカウント」がある.また,「カーボカウント」は1型糖尿病患者でも2型糖尿病患者においても利用可能な方法であること,1型糖尿病の大規模な合併症調査であるThe Diabetes Control and Complications Trial(DCCT)の食事療法として実績があることから,欧米では一般的に利用されているものであるが,主食などの炭水化物をまったく摂らない「糖質制限」とはまったく異なることに注意が必要である.
 本特集では,カーボカウント法の実践に取り組んでおられる先生方に,専門家のお立場で「カーボカウントの実際とその功罪」という視点で基本から応用までを解説いただいた.本特集により,糖尿病患者の食事療法のひとつとしての「カーボカウント法」の理解と導入が進むこと,糖尿病患者への診療に自信をもって取り組んでいただけることを願っている.

幣 憲一郎
(京都大学医学部附属病院 疾患栄養治療部 副部長)

〈目次〉
1. カーボカウントの基本と理論
2. カーボカウントに必要(有用)となる機器類の話題
3. 1型糖尿病患者へのカーボカウント導入時の注意点
4. 2型糖尿病患者へのカーボカウント導入時の注意点
5. カーボカウントと低炭水化物食の治療視点での連携
6. カーボカウントと連携した今後の糖尿病患者教育について
7. 1型糖尿病患者へのカーボカウントを用いた栄養指導のポイント
8. 2型糖尿病患者へのカーボカウントを用いた栄養指導のポイント
9. 食品交換表とカーボカウントの連携
10. 栄養学的視点からカーボカウントを考える









2,970円
【特集】
エキスパートに聞く
糖尿病診療の質を高めるアイデアと工夫
企画編集/葛谷英嗣

〈特集にあたって〉
 糖尿病診療の有り様は最近随分変わってきた.肥満やメタボリック症候群を背景とした糖尿病が増え,それにもまして強く感ずるのは高齢患者の著しい増加である.
 合併症は,網膜症,腎症,神経障害ばかりでなく,動脈硬化性疾患,さらには認知症,転倒による骨折,うつ病などの精神神経疾患も大きな位置を占めるようになった.一人ひとりの患者の病態は多様となり,また独居老人など患者の社会的背景も多様となった.より良好な血糖コントロールをということで,昨今,経口剤,注射製剤など多くの種類の薬剤が開発され,われわれの選択肢は随分ひろがったが,一方では多剤併用療法など治療法はますます複雑なものとなった.
 こうした中,2014年「熊本宣言」がなされた.患者中心の医療の重要性の再認識である.年齢,罹病期間,臓器障害,低血糖の危険性,サポート体制などを考慮して患者一人ひとり個別化した治療目標を設定することの重要性が提唱された.これまでの「厳格な血糖コントロールを!」一辺倒から大きな変化であるといえる.糖尿病診療の質を考えるとき,血糖値ばかりでなく,患者の安全,満足も同様に重要であることはいうまでもない.
 わが国に糖尿病療養指導士の制度が発足して15年になる.資格をもった看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士が患者のセルフケアの支援を行うようになった.糖尿病療養指導士は糖尿病診療において生活指導のエキスパートであり,糖尿病療養指導士への期待は益々大きくなると思われる.
 そこで,本特集では,このような糖尿病診療の最近の動向をふまえ,長年糖尿病診療に携わってこられた専門家に,それぞれの立場から,現在の糖尿病診療の問題点,今後糖尿病診療の質を一層高めるには何が必要か,どうすればいいか,お考えをお聞きすることにした.

葛谷英嗣
(医療法人財団 康生会 武田病院 内分泌・糖尿病内科 顧問)

〈目次〉
1. 糖尿病診療の質を考える
2. 1型糖尿病診療
3. 2型糖尿病診療
4. 高齢者糖尿病の診療の質を高める工夫
5. DAWN study
6. 糖尿病患者教育
7. 糖尿病療養指導士の役割
8. 食事療法
9. 高齢糖尿病患者における運動療法
10. 糖尿病チーム医療における薬剤師の役割
11. 糖尿病外来での工夫
12. 糖尿病患者が抱える心の問題へのサポート












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