クリーンエネルギー 発売日・バックナンバー

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■テクニカルレポート
○テクノロジーを活用した、GHG排出量の可視化・削減対応と電力の戦力化構想/㈱Sustech/丹野裕介
企業のカーボンニュートラル対応が進み始めている一方で、経営上の武器となるような取り組みができている企業は多くない。本稿では、当社が開発するGHG排出量可視化システム「CARBONIX」や、再エネ電力管理・運用システム「ELIC」を活用した、経営戦略としてのカーボンニュートラル対応を紹介する。

○原子層シートを活用した 可視光の約80%を通すほぼ透明な太陽電池の開発/東北大学/加藤俊顕
半導体2次元シートである遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)を活用することで、可視光透過率約80%の肉眼でほぼ存在が認識できないレベルの高透明太陽電池の開発に成功した。さらに、TMD太陽電池のナノスケール基本ユニットの最適構造を見出し、これらを1 cm 2に集積化することにより実用デバイスを駆動できるレベルの電力(~ 420 pW)が発電可能であることを実証した。この技術を活用することで、今後身の回りの様々な生活環境で微小エネルギー発電が可能となり、エネルギー問題と環境問題を同時に解決可能な革新的社会貢献が期待できる。

○脂肪酸融液を活用したプロトンセラミックス緻密体の低温合成技術/東北大学/石井暁大・及川 格・高村 仁
高効率な水素製造や水素発電を実現する鍵は、プロトンセラミックスの開発にある。既知のプロトンセラミックスの多くは高温焼成で合成されるペロブスカイト型材料に限られている。そこで、多様なプロトンセラミックスを合成可能な、脂肪酸融液をプロトン源としたイオン交換法を開発した。

○水熱処理を用いた木くずからの高結晶性炭素の低温合成/東北大学/中安祐太・後藤泰斗・渡邉 賢
本研究では、ベイマツのおが粉から、①Feイオンを均一に分散させた250℃の水熱反応場での半炭化、②850℃での窒素雰囲気での再炭化により、これまでの報告より高い結晶性を有するグラファイト様炭素の合成に成功した。このカーボンニュートラルな高結晶性炭素のデバイス材料への応用が期待される。

○酵素を模倣した金属-硫黄化合物による窒素の還元/京都大学/大木靖弘・谷藤一樹
化石燃料に依存しない酵素反応の要点を解明し、人工的に再現できれば、持続可能社会に貢献するエネルギー変換技術の「種」を提供できる。本稿では、窒素の還元を対象として、酵素反応に学ぶ意義をエネルギーの観点から論じるとともに、自然界で窒素を還元する金属-硫黄化合物の働きを解釈し人工的に再現する筆者らの研究を紹介する。

○廃グリセリンからバイオプラスチック素材へ/京都大学/吉田暢広・橋本 渉
バイオディーゼルを製造する際に副生する廃グリセリンの利活用の一環として、大気窒素N 2を固定する細菌Azotobacter vinelandiiによる生分解性プラスチック素材(ポリヒドロキシ酪酸PHB)の生産について紹介する。

○高温・空気中で安定した性能を示す実用的な熱電変換材料を発見/北海道大学/太田裕道
Ba 1/3CoO2の再現性ある高温熱電特性を明らかにするため、Ba1/3CoO2エピタキシャル薄膜の高温・空気中における安定性を調べ、この安定な温度範囲内における熱電特性を計測した。その結果、Ba 1/3CoO2が、空気中・600℃においてZT~0.55を示すことを発見した。高温・空気中で再現性良く高性能を示す実用的な熱電変換材料がついに実現したと言えよう。

○熱電発電素子を志向した空気中高温下で安定なn型カーボンナノチューブ/神戸大学/堀家匠平・小柴康子・石田謙司/産業技術総合研究所/衛 慶碩・赤池幸紀・桐原和大・向田雅一
軽量、フレキシブルな熱電発電素子に向けた空気中高温下で安定なn型カーボンナノチューブの作製方法や、オールCNTのpn接合型熱電モジュールの作製事例について紹介する。

■エネルギー事情
○ウクライナ危機下の天然ガス・LNG価格の動向とドイツ・ポーランドの天然ガス事情/LNG経済研究会/大先一正
ウクライナ戦争が長期化する中、ロシアは欧州向けパイプラインガス輸出を段階的に削減し、天然ガスを武器として利用している。このため、パイプライン輸送の地政学的リスクが改めて注目されており、ドイツとポーランドのこの問題に対するこれまでの取り組み姿勢の差異を教訓とすることが重要となっている。

■フィールドレポート
○仮設現場事務所の『ZEB』化への挑戦/戸田建設㈱/橋達大輔・西原 慧
当社では、脱炭素社会の実現に向け先進的な環境活動を実施している。本稿では、CO 2排出量の大きい建設現場での脱炭素化を目的とし、仮設現場事務所において国内初の『ZEB』認証を取得したため、その概要と考慮したポイントを紹介する。

○超高層ビルにおける水環境保全/環境工学研究所/星山貫一
「水を制する者は天下を制する」と言われるように、水は全ての動植物にとって最も重要であると同時に貴重な資源である。さらに、水力発電や霧状ミストによる冷風冷房等に広く活用されているため、クリーンエネルギーとしての価値が向上している。大都会における水資源の確保は重要課題であり、大規模災害時に備えた対策は必要かつ十分条件である。そのため、国や東京都は水利用に関する法令や条例等を整備して、膜分離活性汚泥法(MBR)による処理法を推進している。
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■テクニカルレポート
○LNG冷熱を活用したDirect Air Captureの開発/東邦ガス㈱/増田宗一郎
当社では、将来のガス自体の脱炭素化に向けたキーテクノロジーの一つとして、LNG冷熱という未利用エネルギーを活用した高効率なDACを開発している。本稿では、同DACの原理や海外メーカーとの比較におけるポテンシャルを示すとともに、開発の今後の展望や当社の脱炭素戦略における役割を紹介する。

○発電量業界トップクラスの電源自立型GHP/パナソニック㈱/宝積俊和
当社は、ガスヒートポンプ冷暖房機(GHP)を提供する。近年、自然災害が多発する中、避難所等で停電した際に生活の質向上を目的に、最低限の電力確保と空調の快適性を両立する電源自立型GHPを開発した。本稿では、通常時の性能と非常時の自立運転機能を向上した機器の特長を紹介する。

○2MW級ガスタービンにおける液体アンモニア燃焼技術の開発/㈱IHI 内田正宏・小松湧介・伊藤慎太朗・加藤壮一郎・田中敦士
ガスタービンで液体アンモニアを直接噴霧燃焼する技術開発に取り組んでいる。燃焼技術開発により実機ガスタービンで液体アンモニア専焼を達成し、同時に未燃アンモニアやN2Oの排出抑制に成功した。本稿では、試験設備の仕様や成果について紹介する。

○微細化熱電デバイスの開発/(国研)物質・材料研究機構/大久保勇男・大井暁彦・相澤 俊・森 孝雄/(国研)産業技術総合研究所/村田正行
熱電変換物質の薄膜試料に半導体微細加工を施すことにより、多数の微小なπ接合からなる熱電デバイスの作製に成功し、IoT(Internetof Things)機器の駆動に必要な目安となる0.5V以上の出力電圧を実現した。

○太陽電池・光電極用高効率インタースタック酸化物光電変換層/豊橋技術科学大学/伊﨑昌伸
太陽電池や水分解光カソードに適用可能な2.1eV-p-Cu2O-1.5eV-p-CuOインタースタック(積層体・ナノ混合体)光電変換層の構造、ならびに光電変換機能における特徴、研究開発状況について、筆者らの研究成果も取り込みながら紹介する。

○超高効率なタンデム型太陽電池の構造の簡素化とその製造方法/横浜国立大学/向井剛輝
量子ドット超格子層を光吸収層として使用することでトンネル接合層を不要にした、タンデム型太陽電池の構造とその動作原理を紹介する。量子ドット超格子の中間バンド性能、タンデム化による光吸収波長の拡大、トンネル接合不要による電流収集能力の増大によって、極めて高いエネルギー変換効率を持つ次世代の太陽電池が実現できる。

○半導体製造工場等向け大型アンモニア回収装置/木村化工機㈱/市川昭則
当社は、半導体製造工場等で排出される大量のアンモニア含有排水からボイラー蒸気を使用せずに電力のみ、かつ省エネでアンモニアを回収できるハイブリッド型MVR式アンモニア回収装置“LEGEND”の販売を開始した。

○サプライチェーン企業の想いをつなぐ/鈴与商事㈱/鈴木 佑・中田俊也
サプライチェーンでのCO 2排出量把握が求められる中で、簡単かつ低コストに排出量を集計可視化する「EcoNiPass」をリリース。当社は、EcoNiPassにより排出量を可視化し、トータルサポートサービスにより脱炭素化の実現を支援していく。

○SDGs、ESG視点から見た次世代のエアコンの開発(最終報)/㈱GF技研/梅津健児・大捕雅彦・永田富資・桑原永治・杉山弘章
20世紀最大の発明の一つ、と言われたエアコンもその後70年以上の商品化、そして普及の時間を経て、大きく成長したと言われる。しかし、今後、人々の生活、社会、地球環境の変転を考えたとき、商品価値の基本的な変革が迫られている気がする。カーボンニュートラル、コロナ感染症対策などが焦眉の急であろう。その実行、事業化には莫大なエネルギーと努力が必要であるが、その先に大きなチャンスが待っている。ともに活動する多くの仲間の参加を期待して、本レポートを寄稿した。

■エネルギー事情
○国際エネルギー機関(IEA)「中期天然ガス需給見通し」報告/LNG経済研究会/大先一正
世界の天然ガス・LNG産業は、今世紀後半の脱炭素社会への移行期における安定供給体制の確保に努めているが、コロナ禍が長引く中、本年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始は地政学的なリスクを著しく高めており、2020年代中頃までは特に舵取りの難しい時期となっている。

■フィールドレポート
○脱炭素社会へ向けた先導的エネルギーモデル/北海道ガス㈱/萩野伸悟・深浦恵梨
新さっぽろエネルギーセンターでは、新さっぽろ駅周辺地区に電力・熱を供給し、エネルギーの面的利用とレジリエンスの両立を実現する。CEMSで需給双方向の省エネを推進するとともに、地区外の再エネ電源との連携も行う。
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■テクニカルレポート
○AIでCO2やコストを削減するAI地域冷暖房の開発/㈱日建設計/田中宏明・西山史記/㈱日建設計総合研究所/山田一樹
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、地域冷暖房の更なるCO2削減を実現するためのソリューションとして、AIで既存の地域冷暖房における課題を解決する「AIちれい」を開発し、現在実証実験中である。本稿では、その取り組みの概要を紹介する。

○工業炉向けデジタル燃焼制御システムの開発/Daigasエナジー㈱/志賀俊久
Dr.Flameは簡単な操作で適正な空気比制御を可能にした燃焼制御システムである。工業炉では、省エネ・省CO2の達成、製品品質の安定化、メンテナンスの効率化が課題になっており、Dr.Flameはこれらの課題解決に貢献する。

○二酸化炭素の資源化反応における還元剤としての廃棄シリコンの活用/横浜国立大学/本倉 健
ソーラーパネル製造工程で排出されるシリコンを還元剤とする、二酸化炭素の還元反応を開発した。シリコンウエハからケイ素粉末を作成し、これとフッ化物塩触媒を用いることで、二酸化炭素からギ酸およびメタノールが合成できることを見出した。種々の反応条件を検討し、最高で68%収率で二酸化炭素をギ酸へと変換できた。

○CO2資源化酵素の電子移動メカニズムの解明/京都大学/吉川達偲・小林亜美・宋和慶盛
持続可能な社会の実現に向けて、二酸化炭素(CO2)の排出量を実質的にゼロにする脱炭素の機運が高まっている。本稿では、自然が生み出した高度な生体触媒である“酸化還元酵素”による生物電気化学的CO2資源化について、最新の研究を紹介する。

○デジタルツイン上で風力発電設備を一元化する「統合分析ダッシュボード」/NTTコムウェア㈱/湯本亮伯
世界で脱炭素化に向けた動きが加速し、日本でも風力発電は再生可能エネルギーの中でも高い成長が期待されているが、発電コストが高止まりで発電効率向上と運用コスト低減が課題となっている。発電事業者が事業性を担保し安定的に電力供給するため、長期にわたり発電設備を適切にオペレーション・メンテナンス(O&M)することが求められている。本稿では、ファーム全体の発電量・収益や計画と実績の比較など事業性に関する情報を把握するための「経営層(主に発電事業者)向け」、と風車のモニタリングや異常の分析などメンテナンスに関する情報を一元管理する「運用者(主にO&M事業者)向け」ダッシュボードを紹介する。

○従来型発電機と一体運用ができる同期化力と慣性力を有するインバータの開発/パシフィックコンサルタンツ㈱/山下大樹/パシフィックパワー㈱/松田健士
脱炭素化社会の実現に向け、従来の火力発電に代えて再生可能エネルギー電源の導入を促進するため、マイクログリッド向けに同期化力と慣性力を有するグリッドフォーミングインバータ、および制御システムを開発し、模擬マイクログリッド内での運用を実証した。

○水素用途に適した継手の構造/スウェージロック社/Charles Hayes・Charles Erml
水素テクノロジーにおいて理想的なパフォーマンスを発揮するのに必要な継手の設計特性を四つ(優れたシール性、グリップの強度、容易な取り付け、材料の完全性)紹介する。

○全外気方式ドライルーム用省エネシステムの開発/新菱冷熱工業㈱/佐原 亮
当社が新たに開発した全外気方式ドライルーム用省エネシステム「アリフィカス.」について紹介する。本システムは、低露点の空気を安定的に供給することができ、かつ除湿機の消費エネルギーを年間で約40%削減できる。

○革新的水素液化技術への挑戦/(国研)物質・材料研究機構/神谷宏治・沼澤健則・齋藤明子・竹屋浩幸/金沢大学/松本宏一/大島商船高専/増山新二
(国研)物質・材料研究機構(NIMS)、金沢大学、および大島商船高等専門学校からなる研究チームは、磁気冷凍システムの極低温における駆動を実現し、このシステムによる水素の液化に成功した。本研究により、磁気冷凍法による実用的な水素液化が実証され、低コストで省エネルギーな水素液化プラントの開発に一歩前進した。

■エネルギー事情
○国際ガス連盟(IGU)「2022年版世界LNG年報」報告/LNG経済研究会/大先一正
2021年の世界のLNG貿易は、コロナ禍からの経済回復により前年比4.5%の伸びとなった。しかし、ロシア産パイプラインガス輸入の減少にともなう欧州の天然ガス不足が、LNG需給の逼迫とスポットLNG価格の高騰をもたらした。加えて、ロシアのウクライナ侵攻により地政学的な脅威が高まっており、世界のLNG産業の先行きは不透明になっている。

■フィールドレポート
○ホテルアンビア松風閣における停電対応システムの導入/ヤンマーエネルギーシステム㈱/林 清史
ホテルアンビア松風閣では、平常時はコージェネで省エネと電力ピークカット、停電時は停電対応型コージェネとLPG非常用発電機により重要負荷に給電。万一都市ガスが遮断した場合でも、BOGETSによりLPガスと空気を混合し都市ガスと同じ燃焼性のガスを生成し、コージェネを運転可能とした。

○EMSを軸としたLPGマイクロコージェネによる省エネとBCP対策の実現/ヤンマーエネルギーシステム㈱/林 清史
ホワイトファーム知床工場様では省エネ化を進める中で、さらなる省エネを検討していた。老朽化した重油設備の更新、停電時におけるBCP対策も喫緊の課題であり、燃料のLPG転換とEMSを軸としたマイクロコージェネ停電対応機の複数台システムを構築した。

○日本初の実用垂直営農ソーラーの開発経緯と実データ/(特非)環境エネルギー政策研究所/近藤 恵
日本初の垂直営農ソーラーが福島県二本松市に設置された。設備、耐風圧、発電効率、発電カーブ、コスト、許認可、作物生育への影響・農作業への影響を概観する。本稿では、使用した両面発電N型HJT(ヘテロ接合両面モジュール)の特長と今後の展望についても紹介する。
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■テクニカルレポート
○CO2排出量削減およびBCP向上に寄与する800kW級ガスエンジンコージェネレーションの開発/Daigasエナジー㈱/辻 長知/三菱重工エンジン&ターボチャージャ㈱/高塚正夫・朝日俊樹
三菱重工エンジン&ターボチャージャ㈱と、Daigasグループの大阪ガス㈱およびDaigasエナジー㈱は、共同で発電出力850kWのガスエンジンコージェネレーションを開発した。発電出力815kWの従来機と比較して、高出力化、高効率化を実現することでCO 2削減に寄与するとともに、BCP性能を向上させている。一方で設置スペースは、ほぼ従来機と同一を実現している。

○サプライチェーン全体のCO2排出量をシミュレーションできる「グローバルSCMシミュレーションサービス」/㈱日立ソリューションズ/小沢康弘・今久保沙那
脱炭素社会の実現に向けた動きは2020年以降加速しており、社会全体としてより具体的な取り組みが求められる。本稿では、サプライチェーンシミュレーション技術を用いたCO 2発生量の予測および生産計画の最適化による削減を支援する技術を紹介する。

○鉄さびの主成分を使って二酸化炭素を再資源化/東京工業大学/西岡駿太・安 大賢・前田和彦
光エネルギーを利用し、二酸化炭素の還元により有用物質を製造する固体触媒の開発が強く望まれている。本稿では、地球上に豊富に存在する元素である鉄を中核元素とし、鉄さびの主成分である α型酸水酸化鉄からなる、二酸化炭素還元固体触媒の開発を紹介する。

○燃料電池の不具合を回避する非破壊診断・制御手法の開発/筑波大学/秋元祐太朗
固体高分子形燃料電池の運転中の不具合であるフラッディングとドライアウトを判別し診断する手法を開発した。本稿では、開発した二つの手法、特徴および実験結果を紹介し、今後の展望について示す。

○キラル遷移金属ダイカルコゲナイドによるスピン偏極電流の生成と効率的酸素発生反応への応用/京都大学/辺 智芸・須田理行
水電解触媒としても知られる遷移金属ダイカルコゲナイドの相関にキラル分子を挿入することで、効率的にスピン偏極電流を生成することが可能な電極材料を創製するとともに、スピン偏極電流による酸素発生反応の効率化を実証した最近の研究例について紹介する。

○電気で色が変わる窓の超低消費電力駆動と普及に向けて/(国研)物質・材料研究機構/樋口昌芳
メタロ超分子ポリマーは金属錯体がじゅず繋ぎになった構造を有し、含まれる金属イオンの電気化学的酸化還元により可逆なエレクトロクロミック(EC)特性を示す。本稿では、本EC材料の特性とEC調光ガラスデバイスについて紹介する。

○酸素存在下でも酸素に弱いニトロゲナーゼを効率的に利用するための重要な因子を発見/京都大学/滝本 廉・植田充美・黒田浩一
ニトロゲナーゼは酸素に弱く、利活用の障壁となっている。本研究では好気性窒素固定細菌Azotobactervinlandiiを対象に、好気条件でもニトロゲナーゼ活性を維持するための遺伝子をトランスクリプトーム解析によって同定し、好気条件下でのニトロゲナーゼ異種発現における活性を約9.7倍に向上させることに成功した。

○イオンビームによる燃料電池触媒の性能向上/(国研)量子科学技術研究開発機構/八巻徹也
燃料電池のコスト低減に向け、酸素の還元反応を担う高性能な白金触媒が求められている。筆者らは、イオンビームで原子空孔を導入した炭素材料に白金を担持させる新しい触媒作製法を開発した。本稿では、高性能化メカニズムの検討結果も含めて、その詳細を紹介する。

○地下水利用型大風量冷暖房システム/㈱アクアイースター/木村 太
当社は、自然エネルギーである地下水熱の利用を中心にそれを活用した空調機器、熱回収等を開発販売している。地下水を利用することにより、エアコンに比べ冷房エネルギーコスト90%削減、暖房コスト50%削減を実現している。

■フィールドレポート
○内陸部LNGサテライト基地におけるLNG冷熱利用/広島ガス㈱/服部大資
㈱やまみと当社は、隣接する両社工場間において、内陸部LNGサテライト基地のLNG冷熱を活用し、2022年2月より「未利用LNG冷熱の融通と高効率冷凍機導入による連携省エネルギー事業」の運用を開始した。

○大規模生産施設として国内初の『ZEB』認定工場「本庄工場H1棟」/沖電気工業㈱/篠原誠一/㈱OKIプロサーブ/小野裕基
沖電気工業(OKI)が本庄工場に新築した工場は大規模生産施設として国内初の『ZEB』(Net ZeroEnergy Building)認証を取得した。本稿では、その計画概要や建物の特徴から、省エネおよび創エネに係る各種導入技術まで先進的に取り組んだ工場建設プロジェクトの概要を紹介する。

○食品工場における品質と省エネの両立に向けた聖域なき省エネ改革/理研ビタミン㈱/石川照人・井上良太
品質に関わるエネルギーは必要なエネルギーとみなされ、省エネ活動における「聖域」とみなされることも多い。本稿では、組織改革をベースとして、その「聖域」にメスを入れ、大きな成果を上げた事例について紹介する。

○多熱源氷蓄熱システムによる電力負荷平準化/㈱竹中工務店/萩平隆司・上田真也/㈱日本設計 井田 寛/㈱佐藤総合計画 魚津浩樹
国内でも有数の規模を誇る超高度医療・先端研究施設である「国立循環器病研究センター」に導入された多熱源氷蓄熱システムについて紹介する。多くの種類の高効率熱源と地下ピットを利用した大容量氷蓄熱システムを組み合わせ、電力負荷平準化と省エネルギーを実現している。
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■テクニカルレポート
○デジタルグリッドルータおよびセルグリッドの開発/㈱DGキャピタルグループ/阿部力也
今年4月に改正電気事業法が施行され、配電事業が自由化された。配電網を民間事業者が譲り受けて配電事業を営む時代が始まった。配電網運営の要請は、レジリエンス強化と… 再エネ利用拡大にある。これを従来の電力技術で行うことは困難である。時代の要請に合致した時刻同期インバータ群による配電網運用システムのプロトタイプを開発したので、本稿で紹介する。これらの新しい技術により、配電事業を中核とした地方自治体による新しい電気事業が始まると同時に付随した新産業が構築されるだろう。

○84℃出湯を可能にした高効率業務用ガス給湯器/㈱ノーリツ/濵上俊彦・中本達也
業務用給湯分野で高耐久・高効率・マルチ設置により柔軟な給湯ニーズへ対応ができる業務用ガス給湯器に84℃の出湯が可能となったタイプが登場。殺菌洗浄による衛生管理やCO2排出量の削減等、施設・事業者の課題解決に貢献する。

○AIを活用した空調制御の最適化技術/新日本空調㈱/永坂茂之・綾目久雄・廣島雅則
空調制御盤内で行うPID制御に、AIによる学習機能と最適化機能を外付けで組み込み、運用しながら最適ゲインを自動設定する、簡単かつリーズナブルに実装可能な制御方法を紹介する。本技術は、従来制御のPID固定ゲインに代わり、可変ゲインによる安定制御を実現する。実験室と事務所の空調を用いて検証を行い、専門業者の調整による制御性を再現できること、立ち上がり時間の短縮による省エネ効果を得られる可能性があることを示した。

○風力発電設備のブレード点検システムの開発/㈱センシンロボティクス/吉井太郎
風力発電は、クリーンエネルギーとして注目を集めている一方、設備の点検・補修による保全管理は安全な運用を行う上で不可欠である。本稿では、当社と㈱日立パワーソリューションズが共同で開発した風力発電設備のブレード点検システムについて解説し、両社の目指す風力発電施設点検の効率化における役割を紹介する。

○排水からの創エネルギーに向けた微生物燃料電池の開発/栗田工業㈱/小松和也
新しい創エネ型排水処理技術である微生物燃料電池について、実規模サイズの発電セルへのスケールアップに成功した。合成排水を対象に、CODCr除去速度20kg/m3/d、発電量200W/m3という世界最高レベルの性能での安定運転を確認した。今後、実排水での評価を行い、実用化を目指す。

○都市ゴミなどの未活用資源からエネルギー等を生成するISOPシステム/サステイナブルエネルギー開発㈱/光山昌浩
当社が開発したISOPシステムとは、高温高圧の水が持つ強力な加水分解作用を活用して可燃ゴミなどの未活用資源からバイオ石炭、バイオコークス、水素などを製造するための基礎原料を生成する一連のシステムをいう。ISOPシステムは東日本大震災をきっかけに、喫緊の社会課題である「緊急時のエネルギー確保」、「脱炭素社会の推進」、「人口減少下での社会インフラのあり方」などへの一つのソリューションとして開発されてきたものであり、地域で発生するゴミからオンサイトでエネルギー生成することをその主眼としてきた。このシステムの普及を通じて、脱炭素に向けた目標達成に多くの方々に関わっていただきたいと考えている。

○カーボンニュートラル~脱CO2に向けた設備技術を改めて考える/新晃工業㈱/朝田 満
空気調和機として、脱炭素に向けた活動の一環とした環境負荷低減が求められている。本稿では、省エネルギ-化された製品・構成機器および空調システムついて紹介する。

○リチウムイオン二次電池(廃棄物)の発火リスクと対応策/㈱VOLTA/菊田大樹
リチウムイオン二次電池には放電時、ショート、液漏れなどによる発熱、発火リスクの危険性が高いというデメリットがある。本稿では、その要点と対策について紹介する。

■エネルギー事情
○ロシアのウクライナ侵攻と欧州の脱ロシア産天然ガス政策を巡る動向/LNG経済研究会/大先一正
ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧州はロシアからのエネルギー輸入の全面的な輸入停止に合意しており、代替供給源の確保が難しい天然ガスについても段階的な輸入削減が目指されている。このため、欧州のLNG輸入量の大幅な増加が確実となっており、わが国としては国際LNG市場の需給バランスや価格の動向を注視していくことが一段と重要となっている。

■フィールドレポート
○下水汚泥焼却発電システムの運転報告/㈱タクマ/宮川 透・水野孝昭
当社の下水汚泥焼却発電システムは、ストーカ炉と焼却廃熱による蒸気発電設備を組み合わせた、省エネ・創エネ、ランニングコスト低減、温室効果ガス削減効果の高いシステムである。本稿では、東京都多摩川上流水再生センターへの納入事例について紹介する。

○北海道石狩市における太陽光・グリーン水素を利用したマイクログリッド/高砂熱学工業㈱/石塚朋弘
当社は、㈱北弘電社と共同で、石狩市厚田地区において、太陽光発電を電源とし、蓄電池、水素システムを組み合わせ、災害時にも給電することを可能としたマイクログリッドを設置した。本稿では、システムの設置経緯、システム構成、運用方法等について紹介する。

○渋谷スクランブルスクエアの環境保全業務/環境工学研究所/星山貫一
2018年(平成30年)渋谷スクランブルスクエア(以下、スクエア)が開業した。スクエアの最大の特徴は屋上を全面開放して東西南北の眺望を可能にしたことであり、従来の高層ビルとは異なった構造になっている。渋谷駅を中心にして計画的に建設された建物なので、雨水や厨房排水等の雑排水を処理した中水の活用を図って積極的に環境保全を推進しているため、環境保全状況を以下に紹介する。
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■テクニカルレポート
○世界トップクラス発電効率をめざして/ヤンマーエネルギーシステム㈱/小田裕輔
当社は、発電量5~ 800kWのガスエンジンコージェネレーションシステム(以下、ガスコージェネ)を提供している。近年、地震や台風による停電時の事業継続計画(BCP)対策の重要性が高まっている中、ガスコージェネは分散型エネルギーシステムとして、ユーザーのレジリエンス向上にも貢献が可能である。今回開発したEP420Gは、同出力クラスでの発電端効率が世界トップクラスである42.6%を実現した。これにより、ユーザーへ高いLCV(ライフサイクルバリュー)を提供することが可能である。

○洋上風力発電の採算性と耐久性の最適設計に資する日本型CAEソフトウェアの開発/九州大学/内田孝紀
我々の研究グループでは、複数の風車群から構成される洋上の大規模ウィンドファームにおいて、非線形な流動現象である風車ウエイクの相互干渉を正確に予測することを最大の目的とし、CFDポーラスディスク・ウエイクモデルを新たに提案した。本稿では、本ウエイクモデルの適用を含め、特に沿岸域の洋上風力開発における課題やそれを解決するための我々の研究グループの取り組み状況を紹介する。

○風力発電装置主軸受の信頼性向上に対する取り組み/NTN㈱/瀨古一将
風力発電装置の主軸受には、高い信頼性が要求される。本稿では、主軸受に使用される自動調心ころ軸受の信頼性向上に向けた取り組みとして、当社が開発した「左右列非対称自動調心ころ軸受」と「DLCコーティング自動調心ころ軸受」について紹介する。

○バイオガスプラントにおけるガス計測/ホダカ㈱/新村賢悟
再生可能エネルギーであるバイオガスの計測を目的としたHT-2700バイオガスモデルについて紹介する。

○室温で世界最高のヒドリドイオン(H-/水素陰イオン)伝導度を実現/(国研)物質・材料研究機構/飯村壮史/山梨大学/福井慧賀/東京工業大学/細野秀雄
水素の陰イオンであるヒドリドイオン(H .)は高い還元力などプロトン(H +)にはない特長を有する。本稿では、最近我々が発見した室温で世界最高のH .伝導度を示す水素リッチ酸水素化ランタン(LaH 3.2xOx、x<0.25)の電気特性と分子動力学シミュレーションからわかった伝導機構について紹介する。

○最も安定な水素イオン排出ポンプの創出/千葉大学/安田賢司・木下正弘・村田武士
統計熱力学に基づいた独自の理論計算を駆使して、変性温度が105℃の最も安定な水素イオン排出ポンプであるサーモフィリックロドプシン変異体を創出した研究成果について紹介する。光センサー等の工業材料への応用が期待される。

○蓄電池による再生可能エネルギー発電の出力平滑化制御/千葉大学/小岩健太・石井智也・残間忠直・劉 康志
再生可能エネルギー発電の変動電力を平滑化する蓄電池の制御技術を紹介する。著者らが開発した蓄電池制御方法は従来の方法に比べ、著しく蓄電池のコストを低減することができるため、今後の再生可能エネルギーの導入拡大を加速することができる。

○革新的連続生産システムの開発/大成建設㈱/佐藤正浩
持続可能な産業構造への転換に向けて、機能性化学品製造分野も生産システムの抜本的な見直し・改革が迫られている。本稿では、異業種8社1機関の連携により開発が進められている革新的な生産システム「iFactory .」について紹介する。

■エネルギー事情
○米国エネルギー情報局(EIA)「米国長期エネルギー展望(AEO)」報告/LNG経済研究会/大先一正
米国エネルギー情報局(EIA)のエネルギー展望は、現在の法的な枠組みや経済・技術開発動向等を前提に計量経済モデルを用いた政策中立的な分析に基づいて行われている。このため、米国のエネルギー関連産業のポテンシャルを示す情報を豊富に含んでおり、わが国のエネルギー関係者にとっても見逃せない資料の一つとなっている。

■フィールドレポート
○食品工場におけるエネルギー地産地消の取り組み/カルビー㈱/田澤克浩/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/松永知之
カルビー新宇都宮工場では、排水処理の過程でメタンを主成分としたバイオガスが多く発生している。従来はボイラ燃料としていたものの、十分にバイオガスを活用できていなかった。この度、25kWのバイオガス発電設備を4台導入することでバイオガスを効率よくエネルギーに変えることで、年間約2,000トンの大幅な二酸化炭素削減効果が得られた。また、発電された電力は排水処理設備の動力源とすることで、エネルギーの発生場所と消費場所が同じとなる地産地消のシステムを実現した。本稿では、その取り組みを紹介する。

○金沢工業大学扇が丘キャンパスにおける直流による共同事業の取り組み/NTTアノードエナジー㈱/小長野孝之・鈴木吉則・村尾哲郎・関 洋介
カーボンニュートラルを進める上で必要となる既存交流電力網の負担軽減、再エネの最大限活用、電力レジリエンス強化を目指し、NTTアノードエナジーおよび金沢工業大学による、金沢工業大学扇が丘キャンパスにおける直流による共同事業の取り組みについて紹介する。

○再生可能エネルギーについての一連の取り組み/東急不動産㈱
「令和3年度新エネ大賞」での経済産業大臣賞導入活動部門の受賞内容に関し、当社の再生可能エネルギー(以下、再エネ)事業の取り組みについて紹介する。当社は自社で再エネ発電所を全国展開しており、今後も業界全体での脱炭素に向けた普及促進を推進する。
2,300円
■テクニカルレポート
○高性能水素分離膜モジュールの開発/東レ㈱/高橋弘造・広沢洋帆
水処理分野で培った技術を深化させ、細孔構造と水素溶解拡散性を制御した分離膜と、気体分離用途に最適設計した流路材により、水素の透過性と分離性を高いレベルで両立する水素分離膜モジュールを開発した。

○オール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池の開発/日本電気硝子㈱/山内英郎
結晶化ガラスを用いて酸化物で構成した全固体Naイオン二次電池を創製した。この全固体電池はLiイオン二次電池の資源確保や安全性の問題を克服し、持続可能な循環型社会の構築に貢献できる電池である。

○森と太陽から水素を作る革新プラント/九州大学/武田秀太郎
「森」と「太陽」という自然界に豊かに存在する天然資源から水素を製造する革新的プラントを紹介する。本プラントは既知のあらゆる水素製造法よりCO 2排出量が少ない可能性があり、カーボンゼロ社会実現に向けた新しい道筋を切り拓くものである。

○スズ系ハロゲン化ペロブスカイト太陽電池の開発動向/電気通信大学/早瀬修二
ハロゲン化ペロブスカイト太陽電池の効率は、100℃程度の低温塗布プロセスで作製されるにもかかわらず、その効率は25.5%に達し、1,500℃程度の結晶化を必要とするシリコン太陽電池の効率26.7%に肉薄している。従来のペロブスカイト太陽電池は鉛系ペロブスカイト層を光吸収層として発展してきた。理論的にはスズ系ペロブスカイト太陽電池のほうが高い効率が期待できる。本稿では、近年盛んになってきたスズ系ペロブスカイト太陽電池の研究動向を紹介し、将来を展望する。

○植物が生み出すエネルギーを電力に変え、新しい風景を創出する/㈱グリーンディスプレイ/豊岡怜衣子
当社は、植物と共存する微生物が生命活動をする際に放出するエネルギーを回収し、電力に変換する「botanical light(ボタニカルライト)」の実証実験を2021年より都内の商業施設やイベントにて開始している。

○超小型バイオガスプラントによる社員食堂残渣の食品リサイクルを通じた都市型循環エコシステム/㈱ビオストック/井上翔吾
食品廃棄物のリサイクル方法の一つとして、再生エネルギーを回収できる「メタン化」への注目は高まりつつあるが、導入にあたっての設備コストや運転管理の手間が課題となることが多い。そこで当社は、取り回しが容易で遠隔監視システムを装備したコンテナ型バイオガスプラントを開発し、NTT東日本と共同で、NTTe-City Laboに商用プラントを設置し、社員食堂の食べ残しや自社圃場の廃棄物を活用して、エネルギーや肥料を創出する都市型循環エコシステムの実証を開始した。

■エネルギー事情
○カーボンニュートラルに向けた海運分野の動向/LNG経済研究会/奥田 誠
海運分野では、C重油からの燃料転換としてLNG燃料船の導入が既に進みつつあるが、さらに脱炭素化を目指し、ゼロエミッション船舶の開発や導入に向けた動きが始まっている。本稿では、カーボンニュートラルに向けた海運分野の動向を紹介する。

■フィールドレポート
○EVシフトに向けた集合住宅へのEV用充電設備導入の取り組み/東京ガス㈱/大森隆平
ガソリン車から電気自動車への「EVシフト」の実現に社会的期待が寄せられているが、集合住宅においてはEV用充電設備導入に種々の課題が存在する。本稿では、設置が容易で管理課金も可能なEV充電サービスである「EVrest」について、特徴と集合住宅への導入適合性を紹介する。

○地域拠点となる廃棄物処理施設におけるコージェネレーション新システム/日鉄エンジニアリング㈱/矢野 亮・石井敬吾/東邦ガス㈱
シャフト炉式ガス化溶融システムを導入した名古屋市北名古屋工場において、廃棄物発電とガス発電のプロセスを組み合わせ、エネルギー効率向上と環境保全を最大限発揮し社会インフラの強靭化を図った事例を紹介する。

○コージェネレーションシステムの低温排熱活用事例の紹介/日本ファシリティ・ソリューション㈱/早川孝幸
日野自動車羽村工場に導入したCGSの、①排温水を塗装工程に利用した方法、②低温排ガス・排温水から熱回収を実施し、オフライン熱輸送により塗装工場および羽村市スイミングセンターに熱を供給した事例を紹介し、脱炭素に向けた今後の展望を述べる。

○脱炭素に向けた官民一体の地域分散型エネルギーマネージメント事業/㈱シーエナジー/城田 猛
エネルギー使用形態が違う「市庁舎等」と「病院」を一体でエネルギーマネージメントすることで「熱融通」などの効率的な運用を実施している。また、再生可能エネルギーの活用として、国内で初めてとなる民間事業者による公共下水道管路からの熱利用を実現した。全国で老朽化が進む下水道管の再生と下水熱利用料金の設定による行政コストの削減も行い、重要な社会インフラである下水道事業の維持にも貢献している。

○太陽光発電の電力を自営線と自己託送を組み合わせた日本初の「地産地消エネルギーシステム」/㈱東光高岳/石渡剛久
カーボンフリー社会の実現を目指して、太陽光発電を用いた地産地消システムを開発した。このシステムでは、地域分散電源の活用、送電線空き容量問題解決、熱源の電化による化石燃料の削減を実現した。

○コミュニティでの再エネ電力融通を実現する脱炭素・レジリエンスを備えた分散型エネルギーシステム/㈱Looop/荒井綾希子・伊藤大悟
当社は、カーボンニュートラル実現に向けて、街全体のエネルギーマネジメントを行う分散型エネルギーシステム「エネプラザ」を開発した。本稿では、2021年12月に運転開始したさいたま市「スマートホーム・コミュニティ第3街区」での取り組みを紹介する。
2,300円
■テクニカルレポート
○世界初の水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉の開発について/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/米島正人
脱炭素の主役・リチウムイオン電池の電極材製造時におけるゼロカーボン実現を目指し、世界初の水素燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉「C-SERT-RHKNero:ネロー」を開発した。

○都市エネルギー分野でのグリーン水素利用の取り組み/㈱大林組/島 潔
当社では、新しいアイデアから社会的に意義のある新たな価値を創造できるよう、水素に関するさまざまな研究や社会実証に取り組んでいる。 本稿では、都市のエネルギーとして水素を使うためのエネルギー・マネージメント・システム(EMS)や、水素を製造場所から利用先まで効率よく搬送するための水素最適搬送管理システムなど、いわば水素の利活用を促すためのプラットフォーム開発概要について紹介する。

○250kW水素混焼エンジン発電機の開発/デンヨー㈱/藤江勝之
混焼とは、2種類以上の燃料を混合して燃焼する方式である。今回、化石燃料の使用量削減とそれによるCO2排出量の削減を目的とした環境貢献のため、水素と軽油の混焼による250kW水素混焼エンジン発電機を開発した。

○低温排熱利用で調湿可能な新しい空調機/ダイナエアー㈱/市橋弘茂
リキッドデシカント空調方式は古くから研究・開発・製品化されてきているが、①腐食性のある調湿液の使用による内部部材のコスト高、②調湿工程での温度変化による調湿効率の低下、③設置スペースが大きいが主な課題であった。本製品(LDAHU)では、調湿剤にイオン液体を世界で初めて採用し、「3流体熱交換器」の開発を行い、省エネルギー性能の高い新しい調湿空調機を実現した。

○世界最小電圧で発光する有機ELの開発/分子科学研究所/伊澤誠一郎/富山大学/森本勝大
有機ELの駆動電圧を低減することは今後の省エネルギー化のために必須の課題である。本稿では、界面でのアップコンバージョンという現象を利用することで、有機ELの駆動電圧を大幅に低減することに成功した研究成果について紹介する。

○安価で高性能な燃料電池・空気電池用非白金触媒の実現に向けて/東北大学/藪 浩
世界的な気候変動に対処するために、低炭素社会の実現が人類の喫緊の課題となっている。様々な電池の中でも、燃料電池や金属空気電池は既往のリチウムイオン電池などと比べ容量密度が大きく、次世代のエネルギーデバイスとして期待されている。発電の効率化や高出力化のためには、白金の様なレアメタルを用いた触媒が必要不可欠であり、普及の大きなボトルネックとなっていた。本稿では、筆者らが見出した非白金触媒「AZUL触媒」とその特徴について紹介する。

○風力発電機の故障回避による稼働率向上/ナブテスコ㈱/野原 修・小森啓史・後藤健太
カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの一つである風力発電への期待は大きく、さまざまな設置環境に適応できる故障のない風力発電機が望まれる。本稿では、主駆動部であるヨー旋回部での故障原因解明とその対策、効果について紹介する。

○統合型水素エネルギーシステムの新展開/東北大学/石本 淳
水素高圧タンクの脆化による亀裂発生と進展、それに伴うき裂からの水素漏えい現象に関し、統合的流体科学の見地から解析した。さらに、水素エネルギーシステムの統合型安全管理技術、ならびに新型の水素サプライチェーンの構築と国際展開について紹介する。

■エネルギー事情
○水力発電の現状と今後/LNG経済研究会/奥田 誠
水力発電は、太陽光や風力に比べ注目度は低いが、再生エネ発電の中で発電量が大きく脱炭素化の一翼を担うものであり、今後の導入ポテンシャルが大きい中小規模水力の開発にも期待がかかる。本稿では、水力発電の現状と今後を紹介する。

■フィールドレポート
○自然エネルギー商品の防災・減災用途への導入事例の紹介/NTN㈱
本稿では、当社の自然エネルギー商品の防災・減災用途への導入事例の紹介する。

○東京・中野地区における環境保全/環境工学研究所/星山貫一
中野地区には、太平洋戦争終結の戦後は広大な旧陸軍跡地に警察大学校や警視庁警察学校、および警察官舎が建設された。さらに、東京大空襲で焼け出された多くの人達も移り住んで来たため、住宅街として大きく発展してきた。しかし、戦後77年を経過した現在は老朽化した建物が多いため、更新して新しい地域を開発することが推進されている。本稿では、環境に配慮したクリーンな街に変貌している、東京・中野地区を紹介する。
2,000円
■テクニカルレポート
○ライムキルンの天然ガス混焼による省CO2化/大阪ガス㈱/Daigasエナジー㈱
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向け、国内の様々な業種で省CO2化が喫緊の課題となっている。Daigasグループはガスアトマイズという重油・天然ガスの混焼方式のバーナを開発し、従来C重油などの液体燃料が多く使われていた製紙工場のライムキルンに適用し、燃料転換と省エネを行うことにより、CO2の削減貢献に取り組んだ。

○純水素型燃料電池5kWタイプ開発/パナソニック㈱/金子陽太
脱炭素化社会に向けてクリーンエネルギーである水素の利活用が注目されている。当社は水素の利用方法として燃料電池で社会へ貢献していく。本稿では、2021年に発売した純水素型燃料電池システムの商品仕様、ならびに業界最高クラスの発電効率を実現した開発取り組みについて紹介する。

○大型LNGトラックの開発について/いすゞ自動車㈱/後藤康二・馬淵圭正・高下佳祐
当社は国の事業に参画し大型LNGトラックを開発・実証、2021年10月には量産車「ギガLNG車」を発表発売した。本稿では、カーボンニュートラル社会の実現に向けた選択肢の一つである天然ガス自動車の取り組みと併せて紹介する。

○自動検証技術による設計パラメータ探索技術/三菱重工業㈱/西面敦義・髙尾健司
ガスタービンの負荷遮断制御設計では、複数の相反する要件を満足するように燃料供給量を設計する必要がある。本稿では、自動検証技術による設計パラメータ探索技術を、複数の相反する要件がある場合や、量と時間に関する要件を含む場合においても適用できるように改良し、熟練者の設計に匹敵する設計結果を短時間で抽出した結果について紹介する。

○燃料電池の非白金化を目指した新規物質の探究/東京工業大学/難波江裕太/熊本大学/大山順也/静岡大学/守谷 誠
固体高分子形燃料電池の本格普及のために、非白金カソード触媒の実現が望まれている。筆者らは最近、熱処理型Fe/N/C系触媒の活性点構造から着想した、芳香族十四員環Fe錯体に着目している。本稿では、研究の経緯や開発動向について紹介する。

○アルミニウムと鉄で水素を蓄える/(国研)量子科学技術研究開発機構/齋藤寛之
エネルギー密度の低い水素の貯蔵技術の開発が進められている。筆者らは従来の水素吸蔵合金の探索指針に従わない、新しい水素貯蔵材料の実現を目指して研究を進めている。本稿では、アルミニウムと鉄からなる合金が水素を蓄える性質を持つことを見いだしたので紹介する。

○荷電処理不要の静電型MEMS振動発電素子/立命館大学/山根大輔/千葉大学/田中有弥
MEMSと有機EL材料の融合技術により、荷電処理不要の静電型MEMS振動発電素子の開発に成功した。今回使用した自己組織化エレクトレットは、従来エレクトレットとは異なり高電圧の放電処理や高温印加が不要なため、MEMSと電子回路のモノリシック集積も可能になる。本成果により、エネルギーハーベスティング技術のキーテクノロジーであるMEMS環境振動発電素子について、小型化・高性能化・生産性向上の見通しを得た。

○SDGs、ESG視点から見た次世代のエアコンの開発(第3報)/㈱GF技研/梅津健児・大捕雅彦・永田富資・桑原永治・杉山弘章
エアコンは、ここ50年もの間、日本企業が室内外機を冷媒配管で結んだ構成のユニットを基本商品とする“エアコン事業”をリードしてきた。インバータ―や、多室マルチタイプも大きな商品進展を支えた。しかし、脱炭素化、コロナ感染症というかつてない社会的バリヤーが出現し、さらに大きな変革を遂げることが要請されていて新しい製品プラットフォームを練り直し、開発し治すという時代の要請が具体的に見えてきている。日本のエアコン事業、技術推進チームはそれに応える責任がありそうである。そうでなければ日本チームが誇ったビジネスを失った多くの商品の歴史を、また、辿ることになると心配している。

○デポジション現象の解析に向けた液滴の壁面衝突と凝固過程の数値シミュレーション/東京理科大学/福留功二・山本 誠
ガスタービンやジェットエンジンで問題となる粒子デポジションの予測に向けて、液滴の壁面衝突と凝固過程を粒子法でシミュレーションを行った。本稿では、衝突する壁面と液滴との間の熱輸送を厳密に取り扱うモデルを考案し、液滴の拡がりの再現性が向上した結果を紹介する。

■エネルギー事情
○再生可能エネルギーの発電拡大による電力卸売市場の価格低減効果/九州大学/阪口真生志・藤井秀道
再生可能エネルギーの導入拡大により、電力卸市場価格が提言する効果(メリットオーダー効果:MOE)は脱炭素社会の構築を促進する、重要な考え方である。本研究では欧米各国で盛んなMOEの研究を日本に応用し、①経年的に日本のMOEはどのように変化してきたのか、②価格帯によってMOEはそれぞれどのような働きをするか、③日本の各エリアでMOEはどのように変化するか、を計量経済的手法を用いて分析を行った。

○世界最大のLNG輸入国となった中国の天然ガス・LNGの需給動向/LNG経済研究会/大先一正
中国のLNG輸入の開始は2006年であったが、15年後の2021年にはわが国を上回る世界最大のLNG入国となった。本年以降の中国のLNG輸入の増加ペースは減速が見込まれているが、増加傾向が続くことは確実であり、わが国としてもその動向を見守っていくことが重要となっている。

■フィールドレポート
○埼玉県済生会川口総合病院/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/大橋杏奈
済生会川口総合病院は、経年により故障や効率低下が顕在化していたCGS・熱源設備の更新において、TGESのエネルギーサービス事業を採用した。省エネを実現すべく、高効率CGSやガスと電気のミックス熱源方式を導入した。

○日本初のカーボンニュートラルなゴルフ場/ヤンマーエネルギーシステム㈱/高橋由奈・澤木信佑
琵琶湖カントリー倶楽部では、再エネ・省エネ設備の導入、エネルギーマネジメントシステムによる熱電エネルギーの統合制御やカーボンオフセットを行い、CO2排出量実質ゼロを実現する。同時に、停電時・災害時における安定的なエネルギー供給で、レジリエンス強化にも取り組む。
2,000円
■テクニカルレポート
○省エネ素材として期待される放射冷却素材/大阪ガス㈱/末光真大
気候変動や地球温暖化の影響を受け、脱炭素社会の実現に向けた省エネルギー分野や再生可能エネルギー分野における技術開発が国際的に活発化している。このような中、直射日光下でもゼロエネルギーで外気より低温となる「放射冷却素材」が近年報告され、その応用の広さから実用化に期待が寄せられている。本稿では、放射冷却素材が外気より低温となるメカニズムについて解説するとともに、様々な実証試験の結果を説明し、省エネ商材としての活用方法について紹介する。

○新エネルギー源としての直接ギ酸形燃料電池/㈱ジェイテクト/齊藤利幸・中井基生・林田一徳
直接ギ酸形燃料電池は、廃棄物から製造したギ酸に新たなエネルギー源としての価値を見出す発電システムであり、国内のエネルギー自給率の向上、環境保全、分散電源化の促進などの効果が期待される。

○火力発電所におけるバイオマス燃料投入量を最適化するシステムの開発/郵船出光グリーンソリューションズ㈱/岡村雄治
本システムは石炭とバイオマス・代替燃料(ホワイトペレット・ブラックペレット、PKS、木質、アンモニア)混焼において安定的かつ経済的に最適な混焼率を算出・表示するシステムである。この機能により、安全性と収益率の「見える化」が実現できた。

○二酸化炭素を原料に用いる多孔性金属錯体の合成/オレゴン大学/門田健太郎/京都大学/堀毛悟史
普遍的に存在する炭素源である二酸化炭素を高付加価値の機能性材料へと変換する技術は、持続的社会の発展への重要な鍵である。本稿では、温和な条件下で二酸化炭素を原料として用いた、多孔性金属錯体の合成手法・構造解析・多孔性特性の評価方法を紹介する。

○カーボンフリーバイオアンモニア生産プラットフォームの開発/富山県立大学/渡邉幸夫/京都大学/青木 航・植田充美
50年以上にわたり、「持続可能な社会」が提唱され、特にエネルギー問題が最も重要な環境問題の一つとして取り組まれている。アンモニアは代替燃料としての可能性を秘めているため、様々な方面から持続可能な生産方法が試みられている。本稿では、それらの生物学的アプローチに関する最新の進展を紹介する。

○持続可能社会に向けたデジタルツインガスタービンの研究開発/東北大学/山本 悟・宮澤弘法・古澤 卓
再生可能エネルギーの導入に伴い、発電電力の負荷変動が問題になっている。現在、それを平滑化するためにガスタービンが用いられているが、非設計状態の運用が強いられており、疲労寿命の短縮や不慮の事故が懸念されている。本稿では、これらの深刻な問題を事前に予測するための数値シミュレーション技術「デジタルツイン数値タービン」について紹介する。

○温度差で発電する酸化物熱電材料/東京工業大学/片瀬貴義・神谷利夫
無毒で資源量が豊富な酸化物熱電材料は、化学的に安定で長期メンテナンスフリーな熱電変換素子として期待されるが、未だ熱電変換効率が低い。本稿では、我々が最近見出した、酸化物の人工構造を設計・利用して熱電特性を大きく高める新手法について紹介する。

○CO2からの有用物質変換に向けた取り組み/茨城大学/多田昌平
持続可能性の高い社会システムを構築するために、CO2を原料として燃料や化学品などを製造し、有効に利用する技術の開発が急務である。本稿では、CO2からメタノールを経由して、低級オレフィンを合成する二機能性触媒の設計・開発に関して紹介する。

○バイオマスを2倍にする新技術/岡山大学/小島慧一・長瀬友里恵・田村 丞・須藤雄気
本研究では、緑色光感受性タンパク質・ロドプシンを微細藻類・クラミドモナスに導入し、定常期の細胞密度(生育限界)を約2倍程度増加させることに成功した。本手法は、従来のバイオマス増産技術と併用可能であり、その低コスト化が期待される。

○持続可能な社会を目指して、省エネ・低コストの冷暖房システムを開発/㈱エコ・プランナー/安本悟司・磯野泰子/ベルテクス㈱/谷口晴紀
脱炭素社会の実現に向け大幅な省エネが求められる中、筆者らは身近な再エネである地中熱利用の課題に着目。地中熱交換器の延長を1/2に短縮することで設置コストを低減でき、さらに電力使用量を空冷式に比べ半減できる「ライニング地中熱冷暖房システム」を開発した。本稿では、その概要や特長について紹介する。

■エネルギー事情
○米国LNG産業の台頭と今後の課題/LNG経済研究会/大先一正
シェールガス革命を背景に2016年に誕生した米国LNG産業の成長は目覚ましく、本年末には世界最大の液化能力を持つことは確実となっているが、世界的なLNG需要の伸びは、厳しさを増す投資環境の下での更なる能力増強に向けた最終投資決定(FID)を求めている。
2,000円
■テクニカルレポート
○熱電発電による小型高出力IoT用自立電源/㈱Eサーモジェンテック/岡嶋道生・南部修太郎
フレキシブル熱電モジュール「フレキーナ」と独自構造の放熱フィンにより、世界で初めて、簡単に排熱パイプに装着でき10~180mWという高出力の、小型IoT用自立電源の実用化に成功。今後のIoTの普及を加速することが期待される。

○CO2を原料とした連続低級アルコール生産技術/(国研)産業技術総合研究所/富永健一/北海道大学/西田まゆみ
二酸化炭素回収有効利用(CCU)技術は、脱酸素社会に向けたキーテクノロジーの一つである。本稿では、CO 2を直接原料として用いたメタノール、エタノール、ブタノール合成用触媒の開発とその連続生産化技術について紹介する。

○小型震源装置とDASを用いたCO2貯留サイトの連続モニタリング/九州大学/辻 健/名古屋大学/山岡耕春
小型連続震源装置と、光ファイバー自体を地震計として利用する技術(DAS)を用いて、高い精度で、連続的に、広範囲に分布するCO 2貯留層をモニタリングするシステムを構築した。長大な海底光ファイバーケーブルを用いて小型連続震源装置からの信号を検出できることや、実際に貯留層をモニタリングすることに成功した。

○尿糖から安定して出力する自己発電型バイオセンサの開発/東京理科大学/四反田功/筑波大学/辻村清也
紙を基材とした非常に薄くて軽く、尿糖から発電可能なバイオ燃料電池を開発した。また、この燃料電池は尿糖濃度に応じた出力を示す。無線発信機と接続することで、尿糖濃度を測定するバイオセンサとしても活用できる。

○固体電解質界面の電気二重層効果を定量評価する新手法の開発/(国研)物質・材料研究機構/土屋敬志・寺部一弥/東京理科大学/高栁 真・樋口 透
本研究では電界効果トランジスタの仕組みを応用して、リチウム系固体電解質界面での電気二重層効果の定量評価に成功した。電解質の種類によって電気二重層で誘起されるキャリア密度が数桁異なることを明らかにした。

■エネルギー事情
○2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けたコージェネレーションの系統貢献について/(一財)コージェネレーション・エネルギー高度利用センター/西山 隆・川瀬和孝・松上哲也
カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーを大量導入に伴う電力系統の増強投資が課題となっているが、その電力系統への投資がコージェネレーションのエネルギー大消費地に多く設置されているという特長によって抑制される効果を定量的に評価した。

○建設現場におけるCO2排出削減への取り組み/東急建設㈱/山成崇子
当社は「脱炭素」への取り組みの一環として、作業所におけるCO 2排出量削減促進のため、本年8月よりGTL燃料への切り替えを行っている。本稿では、このGTL燃料の導入を中心に、当社のCO 2排出量削減の取り組みを紹介する。

○ゼロエミッション社会における持続可能な成長と消費の環境経済モデリング/東京理科大学/野田英雄
ゼロエミッションの達成と持続的経済成長は両立できるであろうか。両立可能であるならば、どのような条件が必要であろうか。本稿では、これらの疑問に対して経済成長モデルの観点からアプローチする。

○IEAのレポート「WorldEnergyOutlook2021」とCOP26/LNG経済研究会/奥田 誠
IEA(国際エネルギー機関)は、レポート「World EnergyOutlook 2021」において、2050年カーボンニュートラル実現のためには現状公約では不十分で、さらなる努力が必要と、COP26の場に向け提言している。

■フィールドレポート
○都市型地域冷暖房の省エネルギー手法に関する研究⑤/丸の内熱供給㈱/矢﨑淳史/新菱冷熱工業㈱/福井雅英
都市型地域冷暖房システムは主な熱供給先が業務ビルであり、冷熱、温熱ともに低負荷の発生頻度が多い。このため部分負荷のエネルギー効率の高いインバータターボ冷凍機の活用がプラント全体の効率を向上させる有効な手法の一つである。本稿では、AI技術を活用した最適設定自動化手法導入後のエネルギー削減効果とAI予測モデルの改良について紹介する。

○あべのハルカスの環境保全/環境工学研究所/星山貫一
2014年(平成26年)3月7日.にオープンしたあべのハルカスは高さ300mであり、現時点では日本一高い建物である。あべのハルカスは単に高いだけの建物でなく、初めての試みである“バイオガス発電”を実施して建物内で使用する電気を供給しているため、クリーンエネルギーを活用して省エネ対策に多いに貢献しているビルである。さらに、雨水や厨房排水等の処理水を積極的にリサイクル水に活用している。
2,000円
■テクニカルレポート
○小型軽量化と高効率化を実現した15MW級地熱用2極同期発電機の開発/東芝三菱電機産業システム(株)/山﨑 豪
カーボンニュートラルへの動きが高まる中、日本では再生可能エネルギーである地熱発電が注目され、特に15MW級が伸長する見通し有。これより、大幅な小型軽量化(当社従来機比)、および世界最高クラスの高効率を達成した15MW級地熱用2極同期発電機を開発した。

○固体酸化物形燃料電池の電極反応場と三次元微細構造の同時観察技術/東京工業大学/長澤 剛/東京大学/志村敬彬
固体酸化物形燃料電池の出力向上・長寿命化を目指した電極最適設計に向けて、酸素同位体ラベリングと集束イオンビーム走査電子顕微鏡を組み合わせて電極微細構造と内部の反応場分布を同時観察する手法を開発したため、その内容を紹介する。

○洋上風力発電向け気象・海象予測システム/日本気象(株)/名川広志・高祖研一・西嶋 裕
洋上風力発電に特化した新しい気象・海象予測システム「MetOcean Navi」について紹介する。国内の洋上風力発電開発において気象・海象情報の重要性は増しており、欧州の予測システムから日本の自然条件、社会条件に適用したモデル開発に取り組んでいる。

○複合化ゼオライトを用いた脱炭素社会への貢献/芝浦工業大学/野村幹弘
既存のゼオライトの後処理により、ゼオライト細孔径のサブナノレベルでの制御や、新疎水性の制御を可能とした。この技術により、ゼオライト膜などによる高効率な分離技術として利用されることで、化学プロセスの改善に寄与することを期待している。

○持続可能な資源からタイヤをつくる/横浜ゴム(株)/日座 操/先端素材高速開発技術研究組合 新家 雄/(国研)産業技術総合研究所 藤谷忠博
持続可能な資源であるバイオエタノールをブタジエンに変換する高活性触媒を、ハイスループット触媒合成と評価システムを用いて開発した。ここで得られたブタジエンを捕集し、精製、重合により、ブタジエンゴムを合成し、その持続可能材料からタイヤをつくった。

○新規リチウムイオン二次電池用有機正極活物質の開発/愛媛大学/吉村 彩・御﨑洋二
酸化還元活性な有機分子は、次世代電極材料の有望な候補である。我々は最近、新規なテトラチアフルバレン誘導体を開発し、サイクル特性が短いというこれまでの有機材料の欠点を克服することに成功した。本稿では、開発した分子の電気化学特性、および電池特性について紹介する。

○逆潮流発生をAIが最適制御/(株)コンテック/高平賢治
長年にわたり培った太陽光計測システムのノウハウにAI技術を組み合わせた、先進の自家消費型太陽光計測システム「SolarView .SC」を紹介する。

○ポリチオフェン含有樹脂半導体光触媒による水と酸素からの過酸化水素製造/大阪大学/白石康浩・平井隆之
ポリチオフェンを含有するレゾルシノール-ホルムアルデヒド光触媒樹脂を開発した。樹脂上で生成した励起電子をポリチオフェンが速やかに輸送することにより、水と酸素から太陽光をエネルギー源として過酸化水素を効率よく合成できることを見出した。

■エネルギー事情
○天然ガス・LNG価格の異常な高騰と欧州のノルドストリーム2問題/LNG経済研究会/大先一正
現在、LNG価格はコロナ禍からの経済回復の下での世界的な天然ガス不足により異常な水準に高騰しているが、ロシア・ドイツ間を結ぶノルドストリーム2ガスパイプラインが稼働を開始すれば、欧州の天然ガス危機は解消され、LNG価格の低下が見込まれるため、その動向が注目される。

■フィールドレポート
○カーボンマイナスを目指したグリーンオフィス棟の概要/(株)戸田建設/竹中優揮
ZEBによる省エネルギーに伴うCO 2排出量の削減だけでなく、エネルギー以外の要素を含めたライフサイクルでのCO 2収支をマイナスにすることを目指し、カーボンマイナス棟を計画・構築し、オフィスとして使用しながら実証的に取り組むこととした。本稿では、新たに構築したオフィスの計画と、環境配慮技術について紹介する。

○再エネ水素実証プラントの紹介と今後の展望/(株)イワテック/鶴丸将太朗
当社は、「再エネ水素実証プラント」の運転を開始した。エネルギーマネジメントシステムにより制御した再エネ電力を使用し水素を製造するシステムを実証し、持続可能なエネルギーの在り方を実現する。
2,000円
■テクニカルレポート
○酪農に適した乾式メタン発酵プラントの開発/㈱北土開発/山田敏宏/エア・ウォーター北海道㈱/保井聖一/(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構/西潟久美子
乳牛飼養頭数100頭以下の小規模酪農家へ導入可能な乾式メタン発酵処理バイオガスプラントを開発した。従来、小規模酪農家へのバイオガスプラント導入を妨げていた、麦稈等の敷料が混合した半固形状ふん尿の処理を可能とし、発生したエネルギーは酪農家個人で使用するシステムを確立した。

○-22℃に温度を保つ「適温蓄冷材」の開発/シャープ㈱/内海夕香
冷凍食品の輸送に、低温蓄冷材の導入が進みつつあるが、低温蓄冷材は、凝固させる際にかかるエネルギー負荷が大きいことが普及の課題になると考え、その負荷を低減できる新たな低温蓄冷材の開発に取り組んだ。

○燃料電池ごみ収集車の普及を目指して/早稲田大学/紙屋雄史
本稿では、現在、当大学の研究グループが進める「水素社会実現に向けた燃料電池ごみ収集車運用事業」(2019~ 2021年度、東京都・大学研究者による事業提案制度)について、事業の概要・特長・研究成果等を紹介しつつ、今後の研究予定・展望等をまとめる。

○カーボンナノチューブを用いたCO2分解光触媒の開発/名古屋工業大学/石井陽祐・川崎晋司
太陽光照射によってCO 2効率的に分解可能な光触媒としてヨウ素酸銀(AgIO 3)-ヨウ化銀(Ag I)-単層カーボンナノチューブ(SWCNT)複合体を紹介する。この複合体はウェットプロセスで容易に合成可能であり、CO 2をCOに高選択性に還元する活性を有するものである。

○常温・常圧での手軽なアンモニア合成法/東京都市大学/江場宏美
地球上に広く行き渡る元素であり、安価に入手できる材料である鉄を基本原料とするアンモニア合成法を開発した。常温・常圧の温和な条件下で、窒化鉄を二酸化炭素(炭酸水)と混合することで、水を水素源とし、クリーンかつ手軽にアンモニアを調達できる。

○エネルギーマネジメントシステム(EMS)向けAIシステムの構築/SOINN㈱/長谷川修
当社のEMS向けAI「E-1」は、市販PC(GPU不使用)で稼働し、三つのAIの連携で最大10%程度のエネルギーコスト削減が見込める。また、自動最適化機能により初期コストが削減でき、初期投資を平均1年程度で回収できる。本稿では、E-1の概要や性能などについて紹介する。

○電子構造の精密制御により熱電性能を2倍増大/大阪府立大学/小菅厚子・奥 友洋
GeTe系多元系熱電材料の室温付近の熱電変換出力因子を、既存材料の最大2倍に増大させることに成功し、その高性能化の要因を明らかにした。本研究の成果は、世の中に存在する廃熱の中でも総量が多い室温廃熱を電気として再利用する廃熱利用技術の要素技術に関するものであり、省エネルギー社会の実現に貢献することが期待される。

■エネルギー事情
○LPガスの動向/LNG経済研究会/奥田 誠
LPガスは天然ガスと同じ化石燃料のガス体エネルギーである。日本の一次エネルギー供給量に占める比率は2019年度に2.7%で原子力の2.8%と同程度になっている。本稿では、LPガスの現状と動向について概略を紹介する。

○国際エネルギー機関(IEA)による天然ガス短期需給展望(2020~2024年)報告/LNG経済研究会/大先一正
国際エネルギー機関(IEA)の短期見通しによれば、2021年の世界の天然ガス需要は4%増となり、コロナ禍前の2019年水準を上回るが、それ以降は伸びが減速し、2014年までの平均伸び率は2%に止まる。しかし、IEAの「ネットゼロシナリオ」に示された2030年目標達成のためには、約12%の需要削減が必要となっている。

■フィールドレポート
○ガス化発電方式による「トリジェネレーション事業」/エア・ウォーター㈱/赤阪秀史
2021年7月より、長野県安曇野市にて国内初となる木質バイオマスガス化発電方式による発電、および発電時に排出される熱と炭酸ガスをトマト栽培に有効活用するトリジェネレーション事業を開始した。本稿では、事業、設備の概要を紹介する。

○上水道管設備を利用したマイクロ水力発電事業について/合同産業㈱/市野英二
上水道に新たな付加価値をつけることで、新しい水道事業の将来像を描いていく。日常生活の中で利用されている上水道設備を活用することで、身近な場所での脱炭素社会を目指すと同時に、分散型電力防災ネットワークの構築を可能とする。その第一号案件がスタートした。
2,000円
■テクニカルレポート
○環境省「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業」の取り組みと成果/日本オラクル㈱/小林浩人/㈱住環境計画研究所/平山 翔
本稿では、脱炭素に向けた家庭部門での対策の一つの手段として、エネルギー事業者の顧客接点を通じて人の行動変容に着目した「ナッジ」活用について、環境省の委託事業として大規模実証を行った日本オラクル㈱と㈱住環境計画研究所における取り組みの内容とその結果について紹介する。

○カーボンニュートラルに向けたシミュレータ/㈱日立製作所/宮越純一/京都大学/こころの未来研究センター/広井良典
カーボンニュートラルだけを目指す施策は、必ずしも地域経済の向上に寄与するとは限らない。政策の選択には、地域の特性に合わせてCO2排出量、コスト、自給率、地域貢献などを総合的に判断していく必要がある。

○ギ酸を原料とするカルボン酸合成技術の開発/㈱日本触媒 岡田雅希・奥 智治/(国研)産業技術総合研究所/竹内勝彦・松本和弘・崔 準哲
CO2/H2から合成可能なギ酸を原料とする化学品合成は、CO2利用の拡大を促し、持続可能な化学産業の実現に貢献できる。本稿では、ギ酸によるアルケンのヒドロキシカルボニル化用の新規触媒を開発し、高圧条件や添加剤を一切使用しない、安全で環境に優しいカルボン酸合成に成功したので、その内容について紹介する。

○バイオベースポリマー由来高濃度窒素ドープカーボンによるLiイオン二次電池の急速充放電/北陸先端科学技術大学院大学/松見紀佳・コッティサ スマラ パトナイク・ラージャシェーカル バダム・金子達雄
バイオベースの耐熱性ポリベンズイミダゾールの焼成により得られた高濃度窒素ドープカーボン材料を負極活物質として、リチウムイオン二次電池セルを構築した。本負極活物質は急速充放電への優れた適性を有し、耐久性においても秀でていることが明らかになった。

○地熱発電などの深部地下開発時の新たな流動モニタリング技術の開発/(国研)産業技術総合研究所/岡本京祐・浅沼 宏・二宮 啓
持続的な地熱発電のためには、直接目で見ることのできない地下の熱水の流れをリアルタイムに把握し、地熱資源を適正に利用することが重要である。本稿では、人が感じないごく小さな地面の揺れを利用して、熱水の流れをモニタリングする新たな手法を紹介する。

○湿度変化を利用して発電する湿度変動電池の開発/(国研)産業技術総合研究所/駒﨑友亮
本稿では、昼夜の湿度差を使って発電することで、場所によらない環境発電の実現を目指した「湿度変動電池」の原理、性能、将来性などに関して、環境発電の研究開発動向や湿度を使った発電に関する先行技術などを交えながら紹介する。

○貴金属フリーの水電解用の新規酸素電極材料の探索/横浜国立大学/松澤幸一
貴金属フリーのプロトン交換膜水電解用の新規酸素極として、タンタル酸化物系にマンガンを添加した二元系電極について検討した。過去の先行研究と比較したところ、触媒能の向上と電子伝導性の増大したことにより酸素発生反応の電流密度が大幅に増大した。

■エネルギー事情
○熱分野の新たな脱炭素化オプション:カーボンニュートラルLNGの普及拡大に向けた取り組み/東京ガス㈱/坂上貴士
我が国の最終エネルギー消費に占める熱分野の割合は大きく、2050年カーボンニュートラル実現のためには、熱分野についても低・脱炭素化に向けた取り組みが重要である。本稿では、熱分野の脱炭素化を可能とする新たなオプションであるカーボンニュートラルLNGの普及拡大に向けた東京ガスの取り組みについて紹介する。

○脱炭素化エネルギーシステムにおけるクリティカルマテリアルの動向/LNG経済研究会 奥田 誠
脱炭素化に向けた再生可能エネルギー発電やEV(電気自動車)の普及拡大に伴い、クリティカルマテリアル(レアメタル等)の需要も増大しつつあり、今後の需給逼迫も懸念されている。本稿では、クリティカルマテリアルの動向を紹介する。

■フィールドレポート
○ICILABエクスチェンジ棟/前田建設工業㈱/今林憲一・稲田雄大
研究開発施設の管理中枢機能オフィスにて、自然エネルギーを最大限に活用しZEBを達成した事例。自然エネルギーの要素として、太陽光や卓越風、豊富な井水を建築デザインに融合させ、最大限に活用した。竣工後の1年間のコミッショニング活動で運用改善しながら、ZEBを達成した(基準値:1,081MJ/m2・年、実績:423MJ/m2・年、創エネ:924MJ/m2・年、計▲201MJ/m2・年)。

○大阪・中之島地区の環境保全/環境工学研究所/星山貫一
大阪の中之島地区では老朽化したビルが解体されて新しいビルが建設されている。2015年には平板を積み重ねたような新ダイビルが竣工し、高さ149mの超高層ビルが大阪市の堂島川近くに聳え立っている。一方、21世紀にふさわしい中之島フェステバルタワーが完成したのは2012年のことである。本稿では、環境に配慮した新ダイビルと中之島フェステバルタワーの環境保全状況を見学してきたので紹介する。
2,000円
■テクニカルレポート
○水素燃焼バーナに関する技術開発について/東邦ガス㈱/野口英成・成田雅彦・山脇 宏
2050年頃を見据えた脱炭素社会に向け、カーボンニュートラルを実現するためには水素の直接燃焼利用等の熱源そのものの脱炭素化が不可欠である。メタンと異なる性質を持つ水素の消費に際し、水素専用の機器へ取り換えた場合、導入費用やBCP対応といった課題が想定される。そこで当社は、燃焼機器において、都市ガス仕様機を活用し、簡易改造などによって水素燃焼化を実現する方針で開発を進めている。本稿では、当社の取組みの概要を紹介する。

○太陽光パネルと蓄電システムを搭載した日本初の連棟対応型ユニットハウス/㈱アクティオ/川上修明
建設現場の熱中症対策にはエアコンの効いた休憩室が不可欠。建設機械レンタルの当社は、太陽光パネルによるハイブリッド蓄電システムを搭載した「オフグリッドハウス」を開発。電力を自給自足するこのハウスは、脱炭素社会に貢献する画期的な商品である。

○低濃度CO2からの尿素誘導体合成法の開発/(国研)産業技術総合研究所/竹内勝彦・小泉博基・松本和弘・深谷訓久・佐藤一彦・崔 準哲/東ソー㈱/内田雅人・松本清児・羽村 敏
排気ガスや空気などに含まれる低濃度・低品質なCO2を、濃縮・圧縮・精製することなく有用化学品である尿素誘導体に直接変換する新たな触媒反応を開発した。本稿では、この触媒反応開発の背景、概要、今後の展開などについて紹介する。

○熱電変換の最高性能を誇るBi2Te3系に匹敵する新規材料の開発/(国研)物質・材料研究機構/森 孝雄・小沼和夫
n型Mg3Sb2への銅ドーピングにより熱伝導率低減と単結晶並みの高電荷易動度の両立に成功し、同様に高性能化したp型材料と合わせた熱電モジュールでBi2Te3系の世界最高性能モジュールに匹敵する熱電変換効率を達成。新規な実用化が期待される。

○ホモ接合によるSnS太陽電池の高効率化/東北大学/鈴木一誓・川西咲子
硫化スズ(SnS)は安価で安全な太陽電池材料である。n型SnSを用いたホモ接合は高効率化への切り札となりうる。本稿では、最近育成に成功した大型のn型SnS単結晶、および世界初のホモ接合SnS太陽電池について紹介する。

■エネルギー事情
○国際ガス連盟(IGU)「2021年版世界LNG年報(WorldLNGReport)」報告/LNG経済研究会/大先一正
コロナ禍により2020年の世界のエネルギー需要は大きく減少したが、LNG貿易は米国での液化能力の大幅な増強に支えられてプラス成長を維持した。しかし、需給および価格面で極めて不安定な年となり、現在も先行きの見通しが難しい状況が続いている。

■フィールドレポート
○発電効率65%の固体酸化物形燃料電池システムの開発/東京ガス㈱/藤木広志・中島達哉・中村和郎
当社は、AC出力5kW、AC発電効率65%LHVの高効率燃料電池システムの開発を行い、すでに1万時間以上の実証を行った。また、新たに自立運転機能を搭載した実証機を開発し、福祉施設での実証を開始した。今後、これらのフィールド実証を踏まえて、早期の商品化を進めていく。

○大地震にも感染症にも強い環境型オフィスビル「清水建設東北支店新社屋」/清水建設㈱/長田真一郎
近年のコロナ対応と東日本大震災の経験を踏まえ、感染症対策に有効な空調システムや大地震に強い免震システムをはじめ、各種の先端技術を備えた宮城県仙台市に立地する環境型オフィスビルの計画である。

○震災復興に貢献する釜石市スマートコミュニティ/㈱建設技術研究所/細谷州次郎・笹岡佳代・松嶋健太
「スマートコミュニティ=エネルギーを賢くつくる・おくる(ためる)・つかうことを通して暮らしを『守る』ことができるまち」と定義し、3.11で被害を受けた釜石市におけるスマートコミュニティを志向した復興まちづくりの事例を紹介する。

○地元企業が一体となって地域課題に取り組む「五島モデル」/㈲イー・ウィンド 橋本武敏
市が出資する風力発電事業、風車のO&Mを請け負う地元企業、地元の企業、団体等が出資する地域新電力。これらの企業が一体となってエネルギーの地産地消による地域課題の解決に取り組む。洋上風力発電事業の導入拡大に向けた一事例である。

○サンスターコニュニケーションパーク/サンスター㈱/大岡眞理子/Ove Arup & Partners Japan Ltd/橋田和弘・向井一将・小野江綾・大江晴天
オーラルケア、健康食品、化粧品、接着剤、バイク用金属部品などを手掛けるサンスターグループの新社屋「サンスターコミュニケーションパーク」が大阪・高槻に完成。本稿では、新事業創造を支援する健康的で快適な共創空間づくり、省エネ・災害対応の先進機能を紹介する。

○除排雪を利用した省エネデータセンター/㈱ホワイトデータセンター/伊地知晋一
2021年4月に除雪の雪冷熱を利用して、CO2排出量ゼロを実現するデータセンター事業者である当社が創業したこと。当社の構想が生まれて、事業化するまでの経緯。国が提唱するCO2の排出量削減目標にも貢献する時流に乗った技術であること。除雪冷熱によるデータセンターの冷却とサーバーの廃熱を利用した植物や水産物の生産。世界最高レベルのPUEの紹介。今後の展望について紹介する。

○官民連携で進める、地産電源を活用した持続可能な地域社会「マチごとエコタウン所沢」/所沢市・㈱ところざわ未来電力
当市では東日本大震災と福島第一原発の事故を契機に“マチごとエコタウン所沢構想”を策定。また、㈱ところざわ未来電力を設立し、域内でのエネルギー地産地消を推進。本稿では、令和2年度新エネ大賞新エネルギー財団会長賞を受賞したこれらの取り組みを紹介する。
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