クリーンエネルギー 発売日・バックナンバー

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2,000円
■テクニカルレポート
○小流量タイプ水素製造装置の開発/東京ガス㈱/江口晃平・佐藤 航・永野 佑
東京ガス㈱、東京ガスケミカル㈱、三浦工業㈱の3社は、家庭用燃料電池向けに開発した都市ガスから水素を製造する燃料処理技術を活用し、都市ガス改質型で小流量タイプの水素製造装置であるsuidelを共同開発、2021年3月に商品化した。本稿では、suidelのコンセプトや装置概要、今後の展望などについて紹介する。

○自己託送による再生可能エネルギーの導入拡大/東京ガス㈱/下白木諒/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/和田祐介・佐藤俊秀・落合雄輝
脱炭素化の潮流の中、再生可能エネルギーの調達手段の一つとして、太陽光発電設備の第3者保有サービス「ソーラーアドバンス」を開発した。さらに「ヘリオネットアドバンス」というシステムと組み合わせることで、発電電力の自己託送にも自動で対応することができる。本稿では、サービス・システムの概要、および東京建物との自己託送の取組みについて紹介する。

○ドライ式低NOx水素専燃貫流ボイラの開発/川重冷熱工業㈱/藤本祐平
当社はかねてより開発を進めてきたドライ式低NOx水素専焼バーナを小型貫流ボイラに搭載し、2021年5月に水素専焼小型貫流ボイラとして発売した。本稿では、水素燃焼の課題であるNOx排出量に対する一般的な対策と、この水素専焼ボイラが採用した低NOx技術について紹介する。

○農業残渣燃焼用小型バイオマスバーナーの開発/㈱武田鉄工所/佐藤寿樹
本製品は、これまでに熱利用が困難であった農業残渣を、新たなバイオマス燃料として利用可能とした小型バイオマスバーナーである。独自の回転炉燃焼技術により、安定的・持続的な農業残渣バイオマスの燃焼を可能とし、循環型社会、脱炭素社会、農業地域活性化へ貢献する。

○伝熱面を機械的に更新する、熱交換技術/東北大学/丸岡伸洋・山本卓也/㈱馬渕工業所/小野寿光・遠藤 聡/小浜温泉エネルギー/佐々木裕/東京工科大学/高島 正/(一社)持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会/小山克博・前田圭一郎
脱炭素社会実現には高効率な熱交換器が必要である。特に、伝熱面に固相が付着する環境では著しい伝熱性能低下が問題である。本稿では、機械的に伝熱面を更新する「固相生成制御型回転式熱交換器」による「温泉熱の安定採熱」および「潜熱蓄熱の高速化」を紹介する。

○微生物燃料電池(MFC:MicrobialFuelCells)による二酸化炭素ガス回収・固定技術/新日本空調㈱/宇田川洋一・高塚 威/東北大学/佐野大輔/ヤンマーホールディングス㈱/石﨑 創
二酸化炭素の回収・固定化を目的として、微生物燃料電池(MFC)によりアルカリ性溶液をつくり、このアルカリ性溶液と大気中の二酸化炭素を接触させることで、安定した化合物である炭酸塩とする手法の実用化研究を開始した。本稿では、当該手法の検討結果を紹介する。

○pn共存型の新しい熱電材料の開発/東京都立大学/後藤陽介
pn共存型特性を示す熱電材料の作製について紹介する。p型・n型材料を組み合わせることで構成していた従来の熱電変換モジュールとは異なり、材料一つでモジュール作製が可能になる。

○太陽光発電とレドックスフロー電池を組み合わせた電力需給システム実証/埼玉工業大学/松浦宏昭
本稿では、定置用蓄電池の一つであるレドックスフロー電池の性能を検証するため、現在本学で進めている太陽光発電と住宅一軒分を想定したレドックスフロー電池を連係させた電力需給システムの実証実験について紹介し、脱炭素社会を実現するエネルギー貯蔵用蓄電池の重要性についてまとめた。

■エネルギー事情
○「エネルギー白書2021」で見るカーボンニュートラルの動向/LNG経済研究会/奥田 誠
2021年6月に経済産業省が公表した「エネルギー白書2021」の概要を紹介すると共に、この中で特集レポートとして取り上げられている「2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組」の内容を中心に紹介する。

■フィールドレポート
○豊田豊栄水素ステーションの整備について/東邦ガス㈱/村松征直
当社は、昨年度に当社5ヶ所目の商用水素ステーションとなる豊田豊栄水素ステーションを新たに整備。当水素ステーションは、FCバス充填可能な設備仕様、オンサイト方式、既存のガソリンスタンドと併設といった特徴を持つ。また、環境対応として、当水素ステーションの開所に合わせ、国内で初めて地産再エネを活用した都市ガス由来のCO2フリー水素の供給を開始した。本稿では、豊田豊栄水素ステーションの概要や特徴、そこでの取り組みについて紹介する。

○復興まちづくりに貢献するコージェネ熱供給/日本環境技研㈱/安達健一
福島県新地町スマートコミュニティ事業は、環境産業共生型の復興まちづくりに向け、エネルギー地産地消と災害に強い持続可能なまちづくりを目指す取り組みである。本稿では、導入の背景、事業およびシステム概要、今後の取り組みなどについて紹介する。

○ガスエンジン・バイナリーコジェネシステム導入/㈱IHI/片山照男・橋詰 正
IHI横浜で高効率ガスエンジン・バイナリコジェネシステムが完成、CO2排出量約1,400t/年削減と防災性向上を実現した。エネルギーマネジメントシステムを併設、発電状況の見える化、収集した設備運用データを活用し更なるCO2排出量低減に活用する。 
2,000円
■特集:バイオマス熱利用の現状と展望2
○バイオマス熱利用におけるチェックシート活用の提案/熱エネルギー利用技術デザイン/黒坂俊雄
木質バイオマス温水ボイラー導入の事業性を得るには、高いシステム効率とする技術検討が不可欠であるが、できていない事例が非常に多い。本稿では、技術検討を促すチェックシートを補助金申請時に活用することを提案する。

○バイオマスボイラー熱供給プラントのプロジェクト管理/㈱WBエナジー/梶山恵司
本稿提示のバイオマス熱供給設備の事業性の主要指標の稼働時間、バイオマス依存率、エネルギー効率、電気消費量の基準値は、WBエナジーの経験と欧州ベンチマークを参考にした。この基準値への対案は歓迎する。一部の本基準値は、欧州のベンチマークより厳しいものもある。

○岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアムにおけるバイオマスボイラー導入にかかる人材育成への取り組み/岐阜県森林技術開発・普及コンソーシアム/中通 実
当コンソーシアムでは、産官学共同研究として、2015年に「木質バイオマスエネルギー利用ワーキンググループ」を設置、地産地消型の木質バイオマスボイラー導入のための調査・研究、人材の育成を実施。本稿では、木質バイオマスで地域貢献できる活動支援、人材教育の一つとして紹介する。

■テクニカルレポート
○脱炭素社会に向けた革新的な省エネ蒸留技術/木村化工機㈱/市川昭則
当社は、新開発の高COPヒートポンプを用いた省エネ型ヒートポンプ式蒸留装置と、ヒートポンプでは対応できない100℃以上の高温蒸留用の省エネ型蒸気圧縮機式蒸留装置を発明し、CO2の大幅削減を可能にした。

○分散ファンによる最適風量制御空調システムの開発/鹿島建設㈱/大西直紀
従来のVAV方式に替わる変風量制御空調方式として分散ファンによる最適空調風量制御システム「OCTPUS」を開発したため、本稿では、システム概要と導入事例を紹介する。空気搬送消費エネルギーの大幅な低減と共に、快適な室内環境、省スペース化が期待できる。

○LPWA通信で得た気象情報を発電計画に活かした家庭用燃料電池:エネファームの開発/パナソニック㈱/村島健介・平山実花・秋山美緒
当社は2021年4月に家庭用燃料電池「エネファーム」の新製品を発売した。エネファームとしては初めてLPWA通信を搭載し、気象データを取得。気象情報を発電計画に活かし、自動で停電に備える機能や太陽発電の自家消費を向上させる機能を拡充した。

○CO2を光の力で燃料に再生!/千葉大学/泉 康雄
金属ニッケル(Ni)ナノ結晶と酸化ジルコニウム(ZrO2)から成る光触媒を開発し、二酸化炭素(CO2)を燃料となるメタンへ還元した。ZrO2に紫外線が当たることで電子が生じCO2がCOになるが、Niナノ結晶に可視光線が当たりそれが熱に変わることでCOがメタンとなった。

○磁性材料を用いた“横型”熱電効果の研究の進展と展望/(国研)物質・材料研究機構/桜庭裕弥・周 偉男・内田健一
熱流と直交方向に電界が生じる横型熱電効果は、エネルギーの創生や高効率利用で新規応用が期待されている。本稿では、磁性材料における異常ネルンスト効果とゼーベック駆動横型熱電効果について、近年の研究成果を紹介する。

■エネルギー事情
○カナダ・オンタリオ州の石炭火力廃止を支えた天然ガス火力/LNG経済研究会/大先一正
脱炭素化に向けた風力発電や太陽光発電の導入拡大の下での電力供給の安定性の確保は、一層困難となるが、カナダ・オンタリオ州では天然ガス火力の活用によってこの課題を克服しており、わが国も参考とすべきである。

■フィールドレポート
○田町駅東口北地区(Ⅱ街区)msbTamachiへのスマートエネルギーネットワークの導入/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/小林健一郎
CGSや再生可能エネルギー等を導入し、ICTを活用して電気と熱を面的に最適な需給制御を図る田町駅東口北地区におけるスマートエネルギーネットワークの構築が完了し、省エネ・低炭素・BCP(レジリエンス)向上を実現し、安定した稼働を続けている。今後、東京ガスグループは新たな価値共創による魅力ある街づくりのために、従来のスマエネをさらに進化させたアドバンストスマエネの実現を通じて、今までにない魅力ある街づくりに貢献していく。

○大阪梅田ツインタワーズ・サウスにおけるコージェネによるBCP・省エネの実現/阪急阪神不動産㈱/山口智司・小濱良太
「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」は、大阪梅田での阪神電気鉄道㈱と阪急電鉄㈱による共同建て替えプロジェクトである。一次エネルギーを柔軟に選択可能な空調熱源構成や、コージェネとデュアルフューエル発電機を組み合わせた非常時用電源対応など、様々な取り組みによりBCPと省エネを実現した。
2,000円
■特集:バイオマス熱利用の現状と展望①
○2021年、6団体によるバイオマス熱利用に関する政策提言とメッセージ/(特非)農都会議/山本 登
NPO法人農都会議の「バイオマス熱利用の本格的普及拡大の実現に向けて」という政策提言への取り組みは、従来の政策提言活動に加え、関連6団体の協働提言、公開の場として2回のフォーラム、セミナーの開催、各省庁と対話増強など、積極展開を図り、実効ある政策提言を推進中。

○バイオマス熱利用に関する政策提言の背景/(特非)農都会議/山本 登
NPO法人農都会議は、6団体共催の形で「バイオマス熱利用の本格的普及拡大の実現に向けて」の政策提言を、第2回地域型バイオマスフォーラム(2021/2/15)、第6回バイオマスアカデミーオープンセミナー(2021/4/23)にて公開提唱した。本稿では、昨今の大きな環境変化、人材教育について紹介する。

○脱炭素化に向けた熱利用ロードマップの必要性/(特非)バイオマス産業社会ネットワーク/泊みゆき
日本のカーボンニュートラル実現には、最終エネルギー需要の半分を占める熱分野の脱炭素化が不可欠である。「脱炭素化に向けた熱利用ロードマップ」策定等により、温室効果ガス削減の費用対効果を考慮した総合的な政策の実現が望まれる。

■テクニカルレポート
○マグネシウム合金二次電池用負極材の開発/日本金属㈱/山崎一正・佐藤雅彦/埼玉県産業技術総合センター/栗原英紀
現状のリチウムイオン二次電池に替わる次世代二次電池の候補として挙げられているマグネシウム二次電池の開発において、電池活性を高めた負極用マグネシウム合金を新たに開発することができたので、その内容を紹介する。

○P2P電力取引を最適化するブロックチェーン/東京工業大学/小田拓也・田中圭介・デファゴ クサヴィエ・田村康将/三菱電機㈱/森 一之
太陽光発電など、分散型電源の需要家への普及に伴い、需要家の余剰電力を需要家の間で融通するP2P電力取引に対する関心が高まっており、国内外で実証実験が行われている。今回、余剰電力の融通量を最大化することや需要家の利得を最大化するなど、取り引きに参加する需要家のニーズに応じてP2P電力取引を最適化するブロックチェーン技術を開発した。本稿では、P2P電力取引の位置づけ、開発したブロックチェーン技術の特徴、P2P電力取引への応用について紹介する。

○エネルギー損失の無い高容量正極材料の開発/早稲田大学/大久保將史/東京大学/山田淳夫
二次電池の高エネルギー密度化を目指し、高容量正極材料の開発が進められている。現在利用されている正極材料は、遷移金属イオンの酸化還元反応に立脚しているが、その性能は限界に近付きつつある。従って、電極材料への新たな酸化還元中心の導入は、二次電池を高エネルギー密度化するブレークスルーとなりうる。特に、酸化物中の酸化物イオンを酸化還元中心として活用した高容量電極材料が、近年注目を集めている。本稿では、酸化物イオンの酸化還元反応(アニオンレドックス)について概説し、最近我々が見出したエネルギー損失のない酸素レドックス正極材料について紹介する。

○水に浮くほど軽い熱電変換材料/東北大学/藪 浩
高分子多孔質膜の表面にシリカ膜を形成した後、マグネシウム蒸気でアニーリングすることにより、シリカを熱電変換材料として知られるマグネシウムシリサイドに変換できることを明らかとした。多孔構造により熱電変換効率の向上と水に浮くほどの軽量化を達成した。

○リチウムイオン電池の厚いシリコン負極の高容量化と高電流密度化に成功/大阪大学/松本健俊
廃材として使われることの多いシリコン切粉を極薄黒鉛シートの間に分散させた複合体の作製に成功し、これを用いてリチウムイオン電池の負極を作製した。この電極は、抵抗が小さく、厚い電極を作製することで、高容量と高電流密度を同時に達成することにも成功した。

○身近な廃熱の発電利用に向けたシリコンゲルマニウム合金を用いた熱電材料の開発/大阪大学/中村芳明・坂根駿也
宇宙船にて高温領域で使われるSiGe熱電材料に対して、共鳴準位とサーマルマネージメント法を融合した新手法により室温近傍の熱電出力因子3倍増大に成功した。これは身近な生活廃熱の発電利用への道を拓く結果である。

■フィールドレポート
○環境性能とBCPを両立した読売テレビ新社屋の取り組み/㈱竹中工務店/増田恭大
放送施設は、その特有の室用途によるエネルギー消費特性と非常時における放送機能の事業継続性などの課題がある。本計画では、この課題を踏まえて、放送施設としての事業継続性と、環境性・快適性・知的生産性・安全性の最適化を目指して取り組んでいる。本稿では、読売テレビ新社屋で採用されているBCP対策、省CO2の取り組みについて紹介する。

○食品廃棄物を原料とするバイオガス発電事業について/バイオディーゼル岡山㈱/三戸篤史
現在、食品リサイクル・バイオガス発電事業は、資源リサイクル・再生可能エネルギー創出の両面から注目され、日本各地で普及が進んでいる。バイオディーゼル岡山でも、行政、排出事業者の協力を得て、本事業を2021年4月より開始した。
2,000円
■テクニカルレポート
○国際水素サプライチェーンの構築とガスタービン発電での水素利活用/川崎重工業㈱/足利 貢・山口正人・堀川敦史
水素サプライチェーンの実現には、水素を大量に製造・輸送するだけでなく大規模な水素需要の創出も不可欠である。ガスタービン発電は大量の燃料を利用することから、発電分野への水素ガスタービン適用は水素需要拡大への貢献が期待される。本稿では、当社が推進している水素サプライチェーン構築と、水素ガスタービンを実現するための技術開発について紹介する。

○アルミ系廃棄物からクリーンエネルギーの水素を製造する装置の開発/アルハイテック㈱/水木伸明・麻生善之・高坂直樹・松 良幸・角谷哲哉
アルミ系廃棄物からパルパーを利用して、紙パルプとプラスチック・アルミに分離回収し、最適な条件で乾留することで、高純度のアルミを取り出し、独自の反応液と化学反応させて、クリーンな水素を製造する装置を開発した。本稿では、「アルミ水素」の優位性について紹介する。

○空孔欠陥を利用した単結晶熱電材料の開発/東北大学/林 慶
排熱から電気エネルギーを回収できる熱電発電の実現に向けて、高性能の熱電材料の開発が進められている。本稿では、材料価格が低く、価格性能比が高いマグネシウム錫化合物において、単結晶化・空孔欠陥の導入・電子キャリアの増加といった手法を駆使して高性能化を達成した研究成果を簡単に紹介する。

○新規薄膜太陽電池材料SnS/山梨大学/柳 博
次世代薄膜太陽電池材料としてSnSが注目されている。従来のSnSはp型伝導しか示さず、SnS薄膜太陽電池の高効率化にはn型SnSの実現が不可欠であった。筆者らはn型SnSを実現したので、この研究内容を中心にSnSの研究動向を紹介する。

○太陽光事業のデジタル化で脱炭素化に貢献/㈱グッドフェローズ/佐伯淳二
「タイナビ」を運営する当社は、再エネ100%の世界を実現するために、太陽光事業の維持・拡大を目的とし、日本で初めて発電量データをAPIで自動取得し見える化する太陽光発電所一括管理サービス「タイナビ発電所Plus+」を開発した。

○蓄電池を活用した自家消費型太陽光発電の最適化制御/㈱YAMABISHI/後藤晃男
太陽光の自家消費市場が拡大している。より採算性を求めて蓄電池にも注目が集まっている。蓄電池には三つの価値があるが相反する課題があった。新開発のSmartSCは余剰予測に基づいて課題を解決していく。

○有機電子デバイス高機能化に貢献する新技術開発/㈱日本触媒・大阪大学/森井克行/㈱日本触媒/長谷川宗弘
有機電子デバイスにおける電極/有機物界面について紹介する。有機ELにおいて、該界面の精密な化学的制御により新しい電子注入機構を見出したことを紹介し、最後に、逆反応である太陽電池への展開を期待し、該界面の重要性を示す論文を紹介する。

■エネルギー事情
○カーボンニュートラルチャレンジ2050/(一社)日本ガス協会/武市篤憲・高橋拓二・深野行義
ガス業界として2050年のガスのカーボンニュートラル化を目指すことを昨年11月に公表(「カーボンニュートラルチャレンジ2050」)。徹底した天然ガスシフト・天然ガスの高度利用やガス自体の脱炭素化、またCCUSや海外貢献等に取り組んでいく。

○ CO2フリーアンモニアの現状と展望/(元)内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム/塩沢文朗
政府の「グリーン成長戦略」の重要分野の一つとして取り上げられた燃料アンモニアが、カーボンニュートラルの実現の鍵となる電化の推進と水素エネルギーの導入において果たす役割と重要性、その導入に向けた取組みの現状と今後の社会実装に向けた課題を紹介する。

○GHGメタンに係る動向と「EUメタン戦略」/LNG経済研究会/奥田 誠
GHG(温室効果ガス)であるメタンがCO2に次いで排出削減の対象として大きく取り上げられてきた。本稿では、世界のメタン排出状況や排出源の内訳を紹介するとともに、「EUメタン戦略」などのメタン排出量低減に向けた動向を紹介する。

■フィールドレポート
○鳥取市秋里下水終末処理場での消化ガス発電事業/ヤンマーエネルギーシステム㈱/森朝昭典
鳥取市は、国の「地方創生実現プラン」のモデル地域に選定され、エネルギーの地産地消により地方創生に取り組んでいる。その中で鳥取市秋里下水終末処理場内で発生する消化ガスを燃料として発電された電気を地域新電力が地域へ供給している。

○JR駅前の再開発ビルにおける環境保全/環境工学研究所/星山貫一
JR飯田橋駅西口周辺は再開発ブームで活気付いており、警察病院跡地に建設されたオフィス・商業ビル「飯田橋グラン・ブルーム」や超高層マンション「パークコート千代田富士見ザタワー」および「日本基督教団富士見町教会」の3棟が新しく建設されて、近代的市街地「飯田橋サクラパーク」を形成している。本稿では、地上30階・地下2階で高さ150mの飯田橋グラン・ブルームの環境保全状況を紹介する。
2,000円
■特集:最新の遠隔監視システム
○コージェネレーションシステムおよび熱源機の最適制御システム/東京ガス㈱/亀山寛達・越智一喜/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/和田祐介・雨宮 俊・今枝大和
ヘリオネットアドバンス(HelionetAdvance)は、顧客サイトから収集したエネルギーデータと気象情報による電力・熱需要予測に基づき、最も効率的な設備運用計画を演算して遠隔自動制御を行うシステムである。分散型電源を活用した電力自己託送にも対応できる。

○GHP遠隔監視データを活用した予測保全活動/大阪ガス㈱/川上駿平
当社では、GHPに設置した遠隔監視アダプタにてGHPの遠隔監視・制御を行っている。本稿では、遠隔監視アダプタから取得した運転データを活用し、GHPの故障を未然に防止する予測保全活動の取り組みについて紹介する。

○予防保全メンテナンスから状態保全メンテナンスの実現に向けての遠隔監視システム/荏原冷熱システム㈱/遠藤慎介・加藤大雄
本稿では、予防保全から状態保全メンテナンス実現のため、IT技術を駆使し、熱源機器の運転データの利活用によるデータ解析機能や故障予知機能を搭載した、新しい遠隔監視システムについて紹介する。

○大型熱源機の遠隔監視付保全サービス/㈱日立ビルシステム/石川正浩
当社では、吸収冷温水機およびターボ冷凍機などの大型熱源機を対象として、遠隔監視システムを活用した保全サービスを展開している。本稿では、その役割とサービスの概要、システム構成を紹介し、リモート保全点検を視野に入れた今後の展望について紹介する。

○遠隔監視システム/㈱ヒラカワ
本稿では、先進的なクラウドネットワーク方式を採用し、顧客のボイラ情報をユーザー、コールセンター、サービスエンジニアとが共有することで、迅速かつ細やかな対応を可能とするボイラ遠隔監視システム「MPスマートボイラシステム」の概要を紹介する。

○遠隔監視システムによる設備管理と現場支援/ヤンマーエネルギーシステム㈱/西川禎昭
1984年から離島の発電機の監視を開始、ダウンタイムの軽減や作業の効率化、作業後の日報管理時間の短縮化などを目的として取り組んできた。次の世代を見据えた活動、過去のデータを効果的に用いて機械運用のリスクを小さくすることや、アナログ系電装機器へのカメラ画像認識による新たな監視技術を使い、広い世代の機器までも見守り行うと共に、コールセンター機能(対人対応)をミックスしたデジタルとアナログのハイブリッドサービスで人と機械の最適化の提案を行っている。

■テクニカルレポート
○蒸気の安定供給に貢献できる省エネ型燃料切替ボイラ/三浦工業㈱/新藤貴志
GC-2000ASは、諸事情により一方の燃料の供給が妨げられた際にも燃料を切り替えることで蒸気供給ができる。部分負荷運転において燃料消費量を最大7%削減、さらにインバータを標準搭載することにより、消費電力を最大60%削減し、従来機種に対してCO 2排出量を最大8.3%削減している。

○船舶用発電デュアルフューエルエンジンの開発/ヤンマーパワーテクノロジー㈱/井伊良輔
船舶用エンジンにおける環境負荷物質の排出規制強化が進む中、ヤンマーは天然ガス運転よる高い環境性能とディーゼル運転による高い信頼性を併せ持つ、船舶用発電デュアルフューエルエンジン6EY26LDF、8EY26LDFを開発した。

○再エネ熱を利用する直接膨張方式地中熱ヒートポンプ/山梨大学/武田哲明
本稿では、エアコンの室外機に収められている空気/冷媒熱交換器を複数本の銅管を用いた地中熱交換器と交換することで、再エネ熱である地中熱を室内の冷暖房空調や給湯システムに利用する直接膨張方式と呼ばれる省エネ性に優れた地中熱ヒートポンプシステムを紹介する。

○塗れる熱電半導体/九州工業大学/宮崎康次
銀ペーストなど、塗れる材料は非常に有用である。塗れる太陽電池として注目を集めているハロゲン化ペロブスカイトは、熱伝導率が低いため、熱電変換への応用も期待されている。本稿では、ハロゲン化ぺロブスカイトの熱電応用について我々の取り組みを紹介する。

○木質燃料燃焼炉とクリーン熱エネルギー/先端材料研究所/宮谷和雄
木質資源である無加工の木材を燃料とし、クリーンで高い効率の熱エネルギーが得られる木質燃焼炉エコボイラ .を開発し、従来、拡散律速(かくさんりっそく)の制約がある固体燃料の燃焼過程が、減圧下の自然対流による燃焼方法で大きく改善できることを示した。炉を気密な1次燃焼システムと後段に高温の2次燃焼系、熱交換器系、および脱気用煙突で構成し、炉室は従来の過剰な空気量による強制燃焼を伴わないため、飛灰(ひばい)や煤塵(ばいじん)の飛散は抑制され、排ガスのダイオキシン類の対策や潜熱(せんねつ)と顕熱の回収が容易となった。また、95%以上の高いエネルギー効率で木質系のクリーンな熱エネルギーが容易に得られ、長期の実証試験を終えたので、本稿では、当該技術の特徴を紹介する。

■エネルギー事情
○韓国のエネルギー動向/LNG経済研究会/奥田 誠
エネルギー資源の大部分を輸入に依存する韓国は、温暖化抑制等で抱えているエネルギー関連の課題で日本と同様の所も多い。本稿では、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言した、韓国のエネルギー動向について紹介する。

■フィールドレポート
○一般廃棄物処理施設からの未利用熱活用事例/広島ガス㈱/島谷和明
当社廿日市工場では、天然ガス炊きの温水ボイラとコージェネレーションシステムの熱をLNG気化熱源として使用していたが、新たな熱源として隣接する一般廃棄物処理施設において発生する未利用の排熱を受け入れることで、エネルギーの効率的な利用を実現した。
1,991円
■テクニカルレポート
○快適な室内環境を創出するガス透過膜を用いた新しい換気システムの開発/川崎重工業㈱/梅本勝弥・湯浅鉄二
SEPERNAは、ガス透過膜を用いることで、室内空気のより厳密な衛生管理とそれに基づく高度な清浄化を可能とするとともに、省エネにも寄与できる新しい換気システムである。本稿では、SEPERNA .の概要、実証機の試作状況や今後の展望を紹介する。

○内航船向け大容量バッテリー推進システム/川崎重工業㈱/小野寺達也・平松雄樹
当社は、旭タンカー㈱発注の世界初のゼロエミッション電気推進タンカー2隻に搭載される、内航船向け大容量バッテリー推進システムを受注した。本船は東京湾内を運航する舶用燃料供給船として運用される。本稿では、バッテリー推進システムの開発の背景、概要、特徴、今後の展開などについて紹介する。

○高エネルギー密度なリチウム空気電池のサイクル寿命主要因の解明/(国研)物質・材料研究機構/松田翔一
リチウム空気電池は、現行のリチウムイオン電池の2~5倍以上のエネルギー密度を実現することが可能であり、次世代蓄電池の最有力候補である。本稿では、高エネルギー密度なリチウム空気電池におけるサイクル劣化要因解析および、サイクル寿命の改善に向けた新規電解液の開発動向について紹介する。

○セレン化スズ半導体の極性を多段階制御/東京工業大学/片瀬貴義・神谷利夫
熱電材料で最高の性能指数ZT値をもつセレン化スズ半導体に、アンチモンを添加することで熱起電力の極性をp型からn型、さらにp型へ多段階制御することに成功した。本稿では、アンチモン添加セレン化スズの半導体特性と極性反転の発現機構について紹介する。

○CO2とケイ素化合物からポリカーボネートやポリウレタンの原料を合成/(国研)産業技術総合研究所/深谷訓久・Wahyu S.Putro・崔 準哲/東ソー㈱/重安真治・松本清児・羽村 敏
CO 2とケイ素化合物(テトラエトキシシラン)を原料としてジエチルカーボネートを合成する、新たな触媒反応を見いだした。この反応は水を副生しないため、触媒が長寿命化し、高い反応効率が実現できた。この技術が実用化されれば、CO 2を炭素資源として再利用するカーボンリサイクル社会への貢献が期待できる。

○マイクログリッドシステムの中核モジュール無償提供について/㈱ソニーコンピュータサイエンス研究所/川本大輔・地主光太郎・柳平大樹・岩瀬俊一郎・森田 直
当研究所は、分散電源による電力システムを構築するための電力融通制御ソフトウェアをオープンソース化し、無償提供を開始し、再生可能エネルギーのベース電源化への貢献を目指している。

○水を電子源とする二酸化炭素光還元/京都大学/寺村謙太郎・田中庸裕
人工光合成技術の一つである水を電子源とする二酸化炭素光還元について紹介する。我々が提案する人工光合成技術による二酸化炭素の再資源化の最終形は、「太陽光をエネルギー源として用いて、海水から得られる水を電子源として利用し、発電所・製鉄所・セメント工場から排出される二酸化炭素を人類社会に必要な資源やエネルギーに変換する」であり、これまでの光触媒開発について紹介する。

○長野県飯山市山間部・積雪4M越え豪雪地対応
長野県北部、飯山市山間部は有数の豪雪地だ。積雪4mの大雪が降ると想定されている。豪雪により陸の孤島となることもあり、停電になっても電力確保の手段を提供できないか、未開拓だった豪雪地住宅用の太陽光発電システム開発に挑んだ。

○住宅用太陽光ハイブリッド蓄電池システムの開発/デルタ電子㈱/高嶋 健

■エネルギー事情
○「WorldEnergyOutlook2020」でみる世界のエネルギー動向(コロナ禍の影響を含め)/LNG経済研究会/奥田 誠
世界のエネルギー需給等に関する現在動向から今後の見通しを示した、国際エネルギー機関の「World Energy Outlook 2020」(2020年10月公表)についてコロナ禍の影響なども含めて概要を紹介する。

○AIを活用したダイナミックプライシング型電気料金メニューの提供/アークエルテクノロジーズ㈱/宮脇良二
福岡市のクリーンテックスタートアップの当社が提供を始めた、AIを活用したダイナミックプライシング型電気料金メニューの内容および、展開中の経済産業省・資源エネルギー庁との実証事業および、将来的な構想を紹介する。

■フィールドレポート
○さいたま新都心地域冷暖房センターのリニューアル工事/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/宮原忠人
さいたま新都心地域冷暖房センターは、大型高効率ガスエンジンCGSとターボ冷凍機の導入を中心とするリニューアル工事を行った。これによりCO 2を大幅に削減できる見通しで、また、大規模な災害等による商用停電時においても、CGS稼働により通常と同程度の熱供給が可能となった。
1,991円
■テクニカルレポート
○低炭素社会実現に向けた都市ガス・水素混焼エンジンの基礎研究を開始/東邦ガス㈱/紺野大統・薮下雅崇・田村守淑
ガスエンジンの水素専焼に関しては予てより、研究がなされているが、エンジンの抜本的改造を伴うため、2050年頃を見据えた脱炭素社会に向けた技術であると推測する。当社では、2050年頃の脱炭素社会と2030年頃の低炭素社会を繋ぐ、トランジション技術として都市ガス・水素混焼ガスエンジンの基礎研究を開始した。本稿では、取り組みの内容、課題および今後の展望などについて紹介する。

○パナソニックの最新ナチュラルチラー/パナソニック㈱/田村朋一郎
蒸発器や吸収器の伝熱促進技術により、従来機に対して大幅な小型軽量化を実現し、業界初の非常用エレベータ一による真空部一体搬入が可能な「モジュール型ナチュラルチラー(エルーラミニ)」を発売した。

○LNGトラック向け小型充填設備の開発/エア・ウォーター㈱/和田彩香
LNGトラック・充填設備の普及を促進すべく、利便性の向上、および設備導入に係る負担軽減をコンセプトとして、インラインでの充填方式を採用した可搬式LNG充填設備を開発した。本装置では設置面積・設備コストの低減、および短時間充填が可能である。

○SDGs、ESG視点から見た次世代のエアコンの開発/㈱GF技研/梅津健児・大捕雅彦・永田富資・桑原永治
現在の空調機は冷暖房機として普及しているが、SDGs視点で捉え直してみると、①地球温暖化防止、カーボンゼロ社会、②コロナ感染症で露見した健康促進に真に貢献する空気調和の実現という目標が見えてくる、そのため開発した新空調技術を活かし商品化、事業化を進めていく。

○世界最大6.2kWの無電力熱エネルギーを輸送できるループヒートパイプの開発/名古屋大学/長野方星・渡邉紀志・上野 藍
近年、自動車の排熱などの未利用熱エネルギーの有効活用が注目されており、熱源から利用先まで熱を高効率に運ぶ技術が期待されている。著者らは、大熱輸送が可能なループヒートパイプの研究開発に取り組み、電力を用いずに6.2kWの世界最大の熱輸送を達成した。

○ハイエントロピー合金ナノ粒子を用いた水素発生反応電極触媒開発/京都大学/草田康平・呉 冬霜・北川 宏
近年、5種以上の構成元素が等モル量程度で固溶したハイエントロピー合金と呼ばれる、新しい種類の合金が着目されている。本稿では、単純な液相還元法によるIrPdPtRhRuハイエントロピー合金ナノ粒子の合成を紹介し、その電子状態とその水素発生反応触媒特性に関して紹介する。

○振動発電用環境適応型圧電体の低温作製と評価/東京工業大学/伊東良晴・舘山明紀・舟窪 浩
圧電膜による振動発電技術は、IoTに向けたバッテリーフリーのセンサ活用のため注目されている。水熱合成法で作製した圧電膜は、自己分極性を有し、厚膜作製が容易であるということが見出され、特性向上につながる知見を得られたので紹介する。

○磁性強誘電体における熱の整流効果の観測/東北大学金属材料研究所/小野瀬佳文
熱の整流効果は、熱流方向の正負によって熱伝導度が異なる現象である。大きな熱整流を持つ素子は熱の有効利用に有用である。我々は、磁性を持つ強誘電体(マルチフェロイクス)において熱の整流を観測することに成功した。整流の方向は磁化と電気分極の外積の方向に表れており、磁化か分極のいずれかが反転すると整流方向も反転することが観測された。このような外場制御可能な熱の整流効果は、将来のスマートな熱マネージメントに資する可能性がある。

○過去最高の室温熱電変換性能指数を示す酸化物の実現/北海道大学/太田裕道
層状コバルト酸化物のナトリウムイオンを様々な金属イオンに置き換えて熱電変換性能指数を調べた。金属イオン層が重くなるにつれて熱伝導率だけが減少することを突き止め、最終的にバリウムイオンに置き換えたとき、室温の熱電変換性能指数ZTが金属酸化物としては過去最高の0.11に達した。

○国際ガス連盟(IGU)による水素の利用拡大に向けた報告/LNG経済研究会/大先一正
温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの実現に向けては、電化が難しい分野でのエネルギー源としての水素利用の拡大が不可欠なことが明らかとなっているが、そのためには、生産・供給コストの引き下げや供給安定性の向上を可能とする革新的な技術開発、およびその果実を生かす投資の促進が求められている。

■エネルギー事情
○小水力発電の現状と展望/茨城大学/小林 久
固定価格制度(FIT)導入後の小水力発電開発の実態を明らかにするとともに、小水力発電分野における技術開発の概要を整理した。さらに、詳細設計が進んでいるFIP(フィード・イン・プレミアム)制度下、および脱炭素化に向かう未来社会における小水力発電の役割・位置づけについて、所見を取りまとめた。

■フィールドレポート
○宮崎市郡医師会病院へのエネルギーサービスの導入/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/片山敬英
TGESと宮崎ガスは2020年8月に移転新築した宮崎市郡医師会病院にてエネルギーサービスを共同で開始した。大幅な省エネと防災性向上を同時達成すべく、高効率CGSや独自の最適制御を導入し、高度な運用管理を実施中である。

○ビール工場排水副生メタンガスを用いたSOFC発電実証/アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱/川村公人
当社はCO2排出削減を目指し、ビール工場の嫌気性排水処理工程から副生されるカーボンニュートラルなメタンガスを精製し、燃料電池で発電する研究を進め、実用規模の試験を開始した。本稿では、技術課題と解決策、昨年10月に実証プラントで得られた結果を紹介する。
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■テクニカルレポート
○世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉「C-SERT-RHK」の開発/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/米島正人・橋本貴弘
リチウムイオン電池市場は、今後、車載用(EV、PHV等)へと拡大を続けると予測されている。電極材料生産工程の技術革新を目的とし、世界初のガス燃焼式リチウムイオン電池電極材用連続焼成炉「C-SERT-RHK」を開発した。

○ブロックチェーンを利用した電力取引管理/㈱リコー/東 義一・並木 均
世界各国で脱炭素化の動きが加速しており、国内でも再エネの普及促進は急務である。一方で、日本の再エネ利用は、コスト面、管理面で課題も多い。その課題へのアプローチとしてリコーではブロックチェーンを活用した電力取引の管理システムの実証実験を開始した。

○光の強度を2,000倍に増強する酸化チタンの開発/広島大学/齋藤健一
非常に優れた半導体である酸化チタンで、光の巨大な増強効果(2,000倍)を実現した。本成果は基礎研究であるが、光触媒効果(空気清浄、防汚、浄水、水素製造)、新型コロナウイルスの不活化、太陽電池の変換効率など、大きな波及効果が期待される。

○圧力で熱電変換材料の大振幅原子振動をコントロール/広島大学/梅尾和則
本稿では、熱電変換材料として注目されている硫化銅鉱物テトラへドライトの格子熱伝導率抑制の起源である平面配位の大振幅原子振動(ラットリング)を外部圧力でコントロールし、そのラットリングの発現機構を解明した研究成果を紹介する。

○ペロブスカイト太陽電池の劣化機構の解明/筑波大学/丸本一弘
高効率なペロブスカイト太陽電池の実用化には、劣化機構の解明が重要である。本稿では、ペロブスカイト太陽電池のスピン状態をオペランドに直接観測し、素子の動作機構や劣化機構を分子レベルで明らかにし、性能向上指針を微視的な観点から得た結果について紹介する。

○建築物(非住宅)の省エネルギー計算ソフトウェア「SAVE-建築Ver.5」/㈱建築ピボット/村松大輔
「SAVE-建築」は非住宅の省エネルギー計算ソフトウェアである。建築の企画から設計・運用・改修まで、幅広いシーンで活用でき、省エネルギーを考えたサステナブルな建物の設計を支援する。

○オープンループ型地中熱利用システムの逆洗技術/東邦地水㈱/奥村建夫
本稿では、オープンループ型地中熱利用システムにおいて、熱利用後の地下水を元の地盤に安定的に還元するための逆洗技術を紹介するとともに、濃尾平野で地下水賦存状況や地層状況および水質の異なる地点での各々の実証結果をもとに計画時の留意点等について紹介する。

■エネルギー事情
○太陽熱利用の現状と展望/(一社)ソーラーシステム振興協会/穴田和喜
2050年ゼロカーボンを目指し、今後期待されるのは再エネ熱であり、その一つが太陽熱である。太陽熱は住宅用利用が中心であるが、今後は業務用、産業用など多方面に活用する必要があることから、その導入事例を紹介し、併せて協会が策定したロードマップを元に将来を展望する。

○大規模CO2排出削減に伴う座礁資産/京都大学/藤森真一郎・大城 賢
日本のエネルギーシステム全体における座礁投資を推計した。その結果、エネルギー供給部門における座礁資産は石炭火力発電所で主に発生していたが、エネルギー需要部門では主に80%削減目標を超える厳しい緩和シナリオで座礁資産が発生した。

■フィールドレポート
○都市型地域冷暖房の省エネルギー手法に関する研究/丸の内熱供給㈱/矢﨑淳史
熱源システムのエネルギー消費量が最小となる最適な設定値について、オペレータによる手動設定からAIによる自動設定とすることで、省力化を図りかつ更なるエネルギー効率を向上させる等の研究をもとに、本稿では、AI技術を活用した最適設定自動化手法の概要と、運用の効果について紹介する。

○NearlyZEB施設の運用取り組み/㈱東急コミュニティー/田邉邦夫
NearlyZEB施設である当社技術研修センターNOTIAでは、一次エネルギー削減のマネジメントとして、数々の「省エネルギー施策」を実施した。その結果、一次エネルギー削減率は「83.20%」を達成した。また、年間一次エネルギー消費量は「398.28MJ/m2年」に抑えられた。
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■テクニカルレポート
○高濃度の硫化水素が存在する条件で高活性な触媒の開発/日本製鉄㈱/平 健治
・ CO 2排出量削減のため、非化石燃料からのH 2製造が必要。・バイオガスやコークス炉ガス中のH 2Sで、水素製造触媒が活性低下するという課題。・本稿では、CeO 2触媒を用い、2,000 ppmのH 2S存在下で改質反応を達成。・放射光分析で、CeO 2上の酸素移動を硫黄が促進していることを確認。

○マグノン熱伝導を利用した熱流の電気的制御/東北大学/寺門信明・高橋儀宏・藤原 巧
本稿では、マグノン熱伝導物質とイオン液体を用いた熱伝導の電気的制御方法とその構造モデルについて紹介する。

○環境熱で充電される三次電池の開発/筑波大学/守友 浩
IoT社会の実現には、環境エネルギーで発電し、かつ、設置場所の制約の少ない自立分散電源の開発が不可欠である。我々は、自律分散電源の候補として、「三次電池」を提唱している。二次電池が外部電力を活用して何度でも充電できる電池であるのに対して、「三次電池」は環境熱を活用して何度でも充電できる“未来の”電池である。電池全体を温めたり/冷やしたりすることで充電され、電力を取り出すことができる。「三次電池」は正極、負極、電解液から構成されており、そのデバイス構成は二次電池と同一である。この意味で、「三次電池」は死の谷を渡る必要のない技術と言える。本稿では、我々が提唱している「三次電池」の原理、特徴、開発の現状、将来展望について簡単に紹介する。

○胸掛け水車の性能に関する模型試験/長崎大学/佐々木壮一/㈱西日本流体技研/黒川由美・大宅雄一郎/㈱エリス/桑原 順
本稿では、胸掛け水車の性能に及ぼす流量制御法の影響について、模型試験で明らかになった知見を紹介する。水車の流量を制御するときには、羽根車と胸壁との水平方向の間隔を上流側の水位程度、下流側に保つことが効率の向上に対して有効であることなどを示した。

○電力系統安定化向けフライホイール蓄電システムの開発/日本工営㈱/髙橋邦弘
再エネの導入拡大による電力系統の不安定化対策として蓄電システムに期待が集まっている。当社は、回転機械メーカーとしての技術を軸に、様々な優位性を有するフライホイールに着目した。本稿では、フライホイール蓄電システムの開発内容について紹介する。

○ミウラのクラウド型設備&エネルギー管理サービス/三浦工業㈱/芳野孝雄
当社では、工場の設備とエネルギー管理を目的とした、クラウド型の管理サービスの提供を開始した。今企業が抱える人手不足と省エネの課題解決のため、リーズナブルで手軽に導入可能なMEIS CLOUD+の各種機能と、その利用例を紹介する。

○環境モニタリングセンサを駆動できる微生物燃料電池システム/(国研)農業・食品産業技術総合研究機構/横山 浩
池などの、水のある環境に設置して発電する新しい微生物燃料電池システムを開発した。本システムはCO 2センサーや測定データを長距離に無線送信するLoRaモジュールを駆動できる。本システムは、高出力で低コスト、耐久性があるので実用性が高い。

○電力レジリエンス蓄熱システム/三菱パワー㈱/篠崎康平・山本健次郎・堂本和宏・森 康・當房 誠/三菱重工業㈱/川水 努・山名崇裕・太田裕二
再生可能エネルギーの増加にともなう電力レジリエンス機能の向上策として、既設ボイラ排熱を蓄熱し、発電へ利用する技術の実用化を目指している。本稿では、電力レジリエンスについて解説し、蓄熱システムの概要と今後の展望を紹介する。

■エネルギー事情
○供給過剰とコロナウイルス禍の難局に取り組む米国シェール産業とLNG産業/LNG経済研究会/大先一正
米国のシェール産業とLNG産業は、自らの大幅な生産能力の増強がもたらした石油及びLNGの供給過剰に加え、コロナウイルス禍による需要減少にともなう価格下落に直面し、足踏みを余儀なくされているが、生産性の向上や業界再編成等に取り組み、新たな発展の機会の到来に備えている。

○石炭火力発電所の現状と今後/LNG経済研究会/奥田 誠
2020年7月の経産相による「旧式の非効率石炭火力の休廃止を進める」との表明、10月の菅首相による「2050年までにGHG排出量をネットゼロにする」との表明を受け、本稿では、石炭火力発電所の現状と休廃止に向けた動きを紹介する。
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■テクニカルレポート
○SDGs、ESG視点から見た次世代のエアコンの開発/㈱GF技研/梅津健児・竹岡紫陽
Covid-19感染症、地球温暖化等人類にとって地球規模の課題を考えるとき、現在のエアコンは大きな宿題を抱えている。電力消費量が多く、冷媒問題、ヒートアイランド問題に加え、感染症などの安全健康問題などの課題を解消するには、現在のエアコンの技術をベースにした改善を図るだけではうまく行かず、新しい考え方、方式、構造、生活様式を考慮した、次世代のエアコンの実現に取り組んでいくことが求められると考えている。本稿は、その糸口を共有し、更に深い議論を広げるために筆を執ったものである。

○小規模木質バイオマスガス化熱電併給設備による枝葉・バークなど森林廃棄物の有効利用/新東工業㈱/清水正紀・山﨑拓朗・大久保水貴
当社では、枝葉やバークなど廃棄物扱いのバイオマスを利用できる小規模ガス化熱電併給設備の実用化を進めている。本稿では、設備の概要と本設備を導入することによるメリットについて、社内検証実験結果を交え紹介する。

○配位高分子ガラスを用いた燃料電池電解質/京都大学/小川知弘・堀毛悟史
金属イオンと架橋性配位子が交互につながった配位高分子(あるいはMOF)のガラス相は、高い無加湿プロトン伝導度と成形加工性を兼ね備え、燃料電池における電解質として中温度域で効率的に働く。

○ジオール水溶液の脱水素化によるジカルボン酸合成/京都大学/豊岡源基・藤田健一
ジオール水溶液の脱水素化によるジカルボン酸合成の効率的合成を実現する、新しい触媒系の開発に成功した。本触媒系は、有用有機化合物であるジカルボン酸だけでなく、エネルギーとして利用価値の極めて高い水素を同時に生産できるという特長を有する。

○窒素飢餓ストレス応答の制御による酵母のイソブタノール耐性・生産能の強化/京都大学/黒田浩一
バイオ燃料として重要なイソブタノールなどの分岐鎖アルコールに特異的な耐性を示す酵母株を初めて同定し、イソブタノールによる新たな生育阻害機構を発見した。代謝改変によるイソブタノール生産を行う際、本耐性酵母を用いることで生産能を大幅に強化することができた。

○MOFを応用した光触媒/GSアライアンス㈱/森 良平
金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)とは、非常に大きな表面積を有している超多孔性結晶材料である。ガス貯蔵、分離、固体触媒、化学センサ、医療用途、電池用材料、金属吸着、色素吸着など様々な検討が行われているが、光触媒としての応用もあるので紹介する。

○SDGsに貢献する省エネ連携制御/(一社)電子情報技術産業協会 制御・エネルギー管理専門委員会WG
連携制御は複数の機器や設備を連携させた最適制御により、システム全体のエネルギー効率の向上を可能とする費用対効果に優れた技術である。本稿では、事例や費用対効果についてSDGsへの貢献も含めて紹介する。

○メタルフリー光触媒である窒化炭素への酸素ドープによる影響/三重大学/立石一希
グラファイト状窒化炭素は金属を用いず、基本骨格を窒素と炭素のみで構成された高分子有機光触媒である。本稿では、グラファイト状窒化炭素への酸素ドープによる、光吸収特性の向上や光生成電子正孔対等の光触媒活性の向上要因について紹介する。

■エネルギー事業
○水素社会実現のためのモデル構築に向けて/福島県産業創出課/七海秀和
本稿では、「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指す福島県において、水素社会実現のためのモデル構築に向けて進められている取り組みについて紹介する。

■フィールドレポート
○自営等BWAを活用した大阪ガスのDX推進/Daigasガスアンドパワーソリューション㈱/中村明天
大阪ガス泉北製造所において、災害時にも確実な通話が可能な通信手段の確保、及び現場業務の効率化を目的として、自営等BWAを導入した。本稿では、その経緯と泉北製造所の現場業務のDX推進事例について紹介する。

○脱炭素社会実現に向けたZEBの取り組み/大成建設㈱/林 寛和
温室効果ガスの排出をゼロとし、脱炭素社会を実現することは世界共通の目標である。日本が掲げたCO 2削減目標やZEB実現・普及目標を達成するための切り札として、ZEBは大きなポテンシャルを持っており、今後さらなる推進が求められる。本稿では、日本におけるZEBの最新動向や、ZEBの普及に向けた取り組み事例等を紹介する。

○渋谷ストリームの環境保全/環境工学研究所/星山貫一
2018年(平成30年)9月に、若者の街である渋谷に渋谷ストリームが開業した。渋谷ストリームは地上35階・地下4階・高さ180mの超高層ビルであり、明るくて開放的なため多くの訪問客で賑わっている。渋谷ストリームが建設されている場所は東急東横線の旧渋谷駅跡地であり、JR渋谷駅の南側に隣接している。渋谷川沿いの遊歩道は代官山へとつながっており、都会のオアシスが形成されているため紹介する。
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■テクニカルレポート
○発電効率51.0%の高性能新型カワサキグリーンガスエンジン/川崎重工業㈱/堀江 尚
当社はこれまでの、180台を超える受注実績の高性能KGガスエンジンの実績をベースとして2段過給機を搭載したKG-18-Tガスエンジンを開発。発電効率は51.0%、起動時間は5分以内を実現した。当社神戸工場で実証運転実施し市場投入した。

○国内メーカー初の「水素液化システム」の開発/川崎重工業㈱/仮屋大祐・小宮俊博・松田吉洋・木嶋健一
当社は水素を効率よく貯蔵および輸送するための手段の一つとして、極低温で体積が800分の1になる水素の性質に着目して、水素液化システムの開発に取り組んできた。商用規模としては国内メーカー初となる水素液化システムの販売を本年6月に開始したため、本稿では、液化システムの概要・特長・開発の取り組み内容・今後の展開などについて紹介する。

○AIが空調設備を最適制御/㈱きんでん/井町勝利
AIを用いた空調最適化サービスは、ユーザーの空調設備の運転データや各種計測データをクラウドに蓄積し、それから導き出した最適運転パラメータによりエネルギー効率の高い運転ができるため、地球環境負荷の低減と生産性の向上に寄与する。

○次世代エネルギー構造・社会像を定量的に将来予測可能なシミュレーションモデルの開発/デロイト トーマツ コンサルティング(合)/加藤健太郎・濵﨑 博
脱炭素社会では、再生可能エネルギーを中心に、水素、蓄電池、電気自動車など非常に複雑なエネルギーシステム構築が必要である。既存手法では次世代エネルギーシステムの評価には不十分であるため、DTCが次世代エネルギーシステム向けモデルの開発を行った。

○気象情報を有効活用したAIによる電力需要予測/㈱ウェザーニューズ/武井弘樹
気象情報を有効に活用した、AIによる電力需要予測モデルを開発した。このモデルの特徴は、①当社の所有する豊富な気象情報を活用している、②複数のアルゴリズムを採用し、アンサンブル学習をしている、③定期的に2種類の再学習をしている、の3点である。今後、このモデルを活用し、電気事業者の需給計画業務や系統運用の支援を行っていく。

○100%に近い量子収率で水を水素と酸素に分解する光触媒/信州大学 先鋭材料研究所/高田 剛・堂免一成
本稿では、光のエネルギーを用いて水を分解し、水素を製造する光触媒について紹介する。研究の背景や半導体光触媒による水分解の原理や研究の進捗について紹介する。最近見出した、吸収した光のほぼ全てを水分解反応に変換できる光触媒について、その構造と機能について紹介する。

○大規模洋上ウィンドファームのバンカビリティ(融資適格性)評価に資する汎用的使用を目的とした新しい風車ウエイクモデルの開発とその応用/九州大学/内田孝紀
本研究では、engineering wakemodelsとActuatorDisk(AD) modelなどによるCFD wakemodelsの中間的な手法として、大規模洋上ウィンドファームのバンカビリティ(融資適格性)評価に資するCFD porous disk wakemodelを新たに開発した。最初に、本手法の予測精度を検証するため、ドップラーライダーによる実測データとの検証を行った。次に、北九州市響灘地区への適用例を紹介する。

○50kW未満・余剰売電太陽光発電システムのパワーモニタリング/デルタ電子㈱/高嶋 健
今年度から始まった太陽光・低圧産業用余剰売電。低圧余剰売電システムは自家消費比率を高めることで経済メリットが向上、二酸化炭素排出量も削減できる。パワーモニター、データコレクターシステムの在り方と、製品仕様を考えてみた。

■エネルギー事業
○LNG貿易に関する4大要素の動向(下)/早稲田大学/吉武惇二
LNGの供給過剰時代を迎えている現在、いかに生産されたLNGを売りさばくかが、そのプロジェクトの成否の鍵を握ることとなる。

■フィールドレポート
○固定買取制度を利用した小規模消化ガス発電事業/ヤンマーエネルギーシステム㈱/吉田正志
大岩藤浄化センターでは49kW、岩藤浄化センターでは当社の最小となる25kW消化ガス発電設備でも、設置場所の最適な選定、売電収入と建設費を秤にかけた最適な設計と民活民営の固定価格買取制度(FIT)を利用すれば実現できることを確認した。

○日本橋の高層ビル(東京)/環境工学研究所/星山貫一
1600年(慶長5年)に天下統一して江戸幕府を開いた徳川家康は五街道の整備を始め、1604年(慶長9年)五街道の起点を日本橋に定めた。2015年(平成27年)に竣工した東京日本橋タワーは高さが180mの超高層ビルであり、環境保全に配慮することに加えて大規模災害時の対策も構築されている。本稿では、東京日本橋タワーの見学状況を紹介する。
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■テクニカルレポート
○発電効率65%の固体酸化物形燃料電池システムの開発/東京ガス㈱/藤木広志・中島達哉・波多江徹
当社は、SOFCセルスタックの2段化とH2O除去による燃料再生の技術を組み合わせた燃料電池システムの開発を行い、AC出力5kW、AC発電効率65%LHVの性能を確認した。今後、フィールド実証を経て、早期の商品化を目指していく。

○需要者の意志を反映する小売電力市場メカニズムの開発/早稲田大学/和佐泰明・飯野 穣・内田健康
本稿では、著者らが開発した、需要者の意志を反映しながら配電系統上の適切な価格提示を行う、包括的な小売電力市場メカニズムを紹介する。また、提案技術を発展させ、スマートシティ実現に向けたシステム思考型イノベーションに関する学術的視座を示す。

○機械学習による高性能磁気冷凍材料の発見/(国研)物質・材料研究機構/寺嶋健成・Pedro Baptista de Castro・高野義彦
水素社会構築の主要技術と期待される磁気冷凍では、低温で顕著な磁気熱量効果を示す材料開発が急務である。我々は既存材料の機械学習を探索指針とすることで、HoB2において水素液化温度の近傍ではバルクで世界最高の巨大磁気熱量効果を発見した。

○水素を用いた省エネルギーCO2回収技術/名古屋大学/町田 洋・柳瀬慶一・チャン クウィン・山口 毅・則永行庸
本稿では、燃焼排ガスからCO 2を分離回収し、利用する技術CCUに対して、回収と利用を統合したH 2ストリッピングプロセスを提案し、その省エネルギー効果を紹介する。

○荷電処理が一切不要なエレクトレット型振動発電素子の開発/千葉大学/先進科学センター/田中有弥
エレクトレット型の振動発電素子(VEG)は身の周りの振動を利用して発電ができるが、作製が困難であった。本研究では自発的に配向する有機発光ダイオード用の極性分子を利用し、荷電処理を一切必要としないVEGを実現した。

■エネルギー事業
○電気エネルギー貯蔵システム(BESS)の安全性に関する国際規格/(独)製品評価技術基盤機構(NITE)/中田 忍
2020年4月、国際電気標準会議(IEC)から、日本提案による電気エネルギー貯蔵システム(BESS)の安全性規格IEC 62933-5-2が発行された。BESSの安全性に関する世界初の国際規格発行により、国内外で安全性を評価する環境が整備され、将来の再生可能エネルギー利用の一層の拡大が期待される。本稿では、これまでの背景とともにIEC 629335-2について紹介する。

○海洋資源を活用した温暖化対策プロジェクト「横浜ブルーカーボン」/横浜市役所/岡崎修司
海洋資源を活用した温暖化対策プロジェクト「横浜ブルーカーボン」では、海草・海藻等を利用したクレジットを認証し、独自のオフセット制度を運用してきた。認証するクレジットの種類を増やす、自治体ブルーカーボン推進連絡会議を開催する等、新たな取り組みも始めており、今後も制度利用者の拡大を進めていく。

○宇都宮スマートシティモデル推進計画の策定/Uスマート推進協議会/小室 崇
当会では、「だれもが自由に移動でき,便利で楽しく過ごせる、クリーンなまち「地域共生型スマートシティ」の実現を目指し、「ルネッサンス大谷」「スマート・モビリティサービス」「スマート・ホスピタリティ」「スマート・エネルギーマネジメント」の分野を中心としたスマートシティの実現に向けた取組を推進するための「宇都宮スマートシティモデル推進計画」を策定し、実証実験に取り組むこととしている。

○LNG貿易に関する4大要素の動向(中)/早稲田大学/吉武惇二
LNGが日本に導入されて50年以上を経過した現在、いかにLNGを売りさばくことができるか否かが、LNGプロジェクトの成否の鍵を握っていると言っても過言ではないだろう。

■フィールドレポート
○スマートホーム実証実験/大阪ガスマーケティング㈱/秋岡尚克
大阪ガスでは、省エネルギーとより快適な暮らしの両立を目指し、2011年4月から戸建て住宅にて居住実証実験を実施。本稿では、スマートホームでの燃料電池を活用したこれまでの取り組みとその結果、今後の取り組みについて紹介する。

○苫小牧におけるCCS大規模実証試験/日本CCS調査㈱/庄司一夫
苫小牧CCS大規模実証試験は、CCS技術を実証し、CCSが安全かつ安心できるシステムであることを確認して、2019年11月に累積CO 2圧入量30万tを達成して圧入を停止した。現在は、地下の状態や地中でのCO 2の広がりなどの監視を継続している。

○環境に配慮した八王子市の高層ビル/環境工学研究所/星山貫一
平成23年にJR八王子駅北口に建設されたサザンスカイタワー八王子は高さ158mの高層ビルであり、東京都多摩地区では最も高い建物である。平成27年に八王子市は中核市に指定され、東京都が管轄していた従来の許認可業務が八王子市に権限移譲されたため、八王子市の独自性が確立された。サザンスカイタワー八王子は環境に配慮した高層ビルであり、今後の発展に貢献する高層ビルになっている。
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■特集:未利用熱エネルギーの革新的活用技術2
○時空を超えた熱利用を可能とする蓄熱材料の開発/パナソニック㈱/鈴木基啓
NEDOプロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」において、未利用熱エネルギーを有効活用する技術の研究開発を実施している。本稿では、このプロジェクトにおいて、産業・運輸分野における社会実装に向けて取り組んでいる高密度・長期蓄熱材料の研究開発について、①高密度蓄熱材料として、低温の10℃の温度帯を対象として、従来材料比2倍の蓄熱密度を実現する目標を達成した成果、②長期蓄熱材料として、-20℃環境においても、断熱材なしで熱を12時間保存することができることを確認した成果を紹介する。

○塗布構造吸収器を採用した車両用小型吸収冷凍機の開発/アイシン精機㈱/坪内 修
従来の車両は冷房時に空調機を作動させる燃料が必要なため、非冷房時に比べて燃費が5~ 50%程度悪化する言われている。一方、エンジン車では燃料のエネルギーの約60%が排熱となっている。排熱を利用して吸収冷凍機で冷房を行うを用いることで年間約12%の燃費向上を期待している。本稿では、車載の課題と取り組みについて紹介する。

○将来に向けた自動車の熱マネージメント開発への取り組み/マツダ㈱/小池祐輔・種平貴文・研井 暁・山賀勇真・谷中克年・三国祐亮
自動車の電気駆動部品(モータ、インバータ、バッテリなど)は、一般的に熱に弱く、緻密な熱マネージメントが必要である。開発初期段階に、モデルベースで最適なシステムを決定することが重要であり、本稿では、その実現に向けた計測技術とモデルの開発について紹介する。

○潜熱蓄熱材を用いたオフライン熱輸送システムによる未利用熱の有効活用/三機工業㈱/千田武志
2003年に技術導入した「トランスヒートコンテナ」システムの開発経緯や概要、特徴をまとめ、当社が長期間に亘り取り組んできた未利用熱の有効活用技術の開発にかかわるこれまでの成果と今後の展望を紹介する。

○100℃以下の低温廃熱を利用可能なハスクレイ吸着材蓄熱・オフライン熱輸送システムの実証開発/高砂熱学工業㈱/川上理亮・鎌田美志・谷野正幸/日野自動車㈱/山内一正・井守正隆/森松工業㈱/丸毛謙次/石原産業㈱/宮原英隆/東京電力エナジーパートナー㈱/松永克也/(国研)産業技術総合研究所/鈴木正哉・松田 聡
高砂熱学、石原産業、東京電力エナジーパートナー、森松工業、日野自動車、産総研は、100℃以下の低温廃熱を利用可能なハスクレイ吸着材蓄熱システムを開発し、2018~2019年度のNEDO助成事業にて、日野自動車羽村工場周辺でのオフライン熱輸送型と石原産業四日市工場での定置型の実証試験を行った。

○化学蓄熱材を用いたオフライン熱輸送システムの開発/トヨタ自動車㈱/堀井雄介/タテホ化学工業㈱/大塚泰弘/日本環境技研㈱/角田曄平
産業分野における排熱の有効活用を目的としたオフライン熱輸送システムの開発について、NEDO助成事業「蓄熱輸送システムでの利活用を目的とした化学蓄熱体と反応プロセスの実用化開発」の成果を中心に、化学蓄熱材の開発、反応システムの開発及び事業展開に向けた取り組みについての概要を紹介する。

■テクニカルレポート
○家庭用燃料電池 エネファームtypeS新製品の開発/大阪ガスマーケティング㈱/宅和雄也
大阪ガスは家庭用固体酸化物形燃料電池エネファームtypeSの新製品を開発し、2020年4月に販売を開始。発電ユニットの大幅な小型化による設置性向上、世界最高レベルの発電効率更新と耐久性向上により、さらに先進性の高い機器へと進化した。

○新型デジタルマノメータの開発/愛知時計電機㈱/布藤康宏
本稿では、2020年5月発売の新型デジタルマノメータ「WM-1000」を紹介する。専用の計測アプリをインストールしたタブレット端末からの操作に連動してBluetooth通信を行い、ガス配管の気密・漏えい試験が可能である。また、気密・漏えい試験結果をタブレット端末に転送し、試験結果の電子データ化が可能となる。デジタルマノメータ本体はプリンタレスですあるが、市販のモバイルプリンタと接続することにより、従来通り記録紙による試験結果の印字も可能である。

○光エネルギーで有機廃液を浄化、同時に水素を取り出す技術の開発/東京理科大学/勝又健一
オキシ水酸化鉄(FeOOH)」に適切な条件下での光を照射すると、工場や農場から排出される有機廃液を光触媒反応で浄化できる可能性を示した。FeOOHは、太古の昔からごく身近に存在しているありきたりな物質である鉄サビであり、水質浄化と同時に、エネルギー源として利用できる水素を取り出せることも分かった。

○半導体式マイクロ波装置を用いたバイオマスの「超」急速熱分解/東京工業大学/椿俊太郎・和田雄二/(国研)産業技術総合研究所/西岡将輝
半導体式のマイクロ波発振器を用いることにより、精密かつ電磁波エネルギーを高密度に集中した物質加熱が可能となる。本稿では、半導体式マイクロ波装置を用いた「超」急速なバイオマスの熱分解法について紹介する。

■エネルギー事業
○LNG貿易に関する4大要素の動向(上)/早稲田大学/吉武惇二
最近のLNGプロジェクトは新たなビジネスモデルを求めて変容してきている。また、LNG価格もどの価格にリンクしていくか、さまざまな動きがみられる。

○「エネルギー白書2020」で見る「革新的環境イノベーション戦略」/LNG経済研究会/奥田 誠
本稿では、「エネルギー白書2020」(経済産業省:2020年6月公表)の報告について、我が国のエネルギー政策の概要と、その中から地球温暖化抑制のパリ協定対応に係る「革新的環境イノベーション戦略」の内容を中心に紹介する。
1,991円
■特集:未利用熱エネルギーの革新的活用技術-1
○古くて新しい、省エネルギーのフロンティア“未利用熱エネルギー”/(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構/岩坪哲四郎・小笠原有香・高橋伸幸・太田年彦・亀田治邦・島田 守・永田重陽・小林正典
一次エネルギーから電力・燃料に変換・輸送・貯蔵するフローにおいて、その大半が熱ロスとなっている。環境中に排出される膨大な未利用熱を効果的に削減、または回収してエネルギーとして再利用・変換利用することが、「徹底した省エネルギー」を実現する鍵であり、フロンティアともいえる。本稿では、この未利用熱の利活用のためのNEDOの研究開発事業を中心に紹介する。

○工場における未利用熱の排出・活用状況/(国研)産業技術総合研究所/平野 聡
生産現場の未利用熱の排出・活用状況、今後への期待と課題などについて調査分析した。15業種の工場のエネルギー管理担当者に調査票を配布し、取得したデータを分析することで、温度帯別、業種別、設備別の未利用排ガスの排出傾向等を明らかにした。

○エネルギー化に貢献する高エネルギー効率産業/工業炉の開発/美濃窯業㈱/田中洋介・尾関文仁・藤井実香子/(国研)産業技術総合研究所/福島 学・吉澤友一
(国研)産業技術総合研究所及び美濃窯業㈱では、NEDO統括の国家プロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」にて、省エネルギー型産業/工業炉を開発中である。本稿では、産業/工業炉の省エネルギー化を達成するための断熱材や周辺機器の開発状況について紹介する。

○一重効用ダブルリフト吸収冷凍機の導入事例と適用温度の拡大/ジョンソンコントロールズビルディングエフィシェンシージャパン(同)/藤居達郎
一重効用ダブルリフト吸収冷凍機は2017年の発売以来多数のユーザーに検討頂いている。本稿では、その中から実際の導入に至った事例について3件紹介する。本製品はさらに冷熱の低温出力化、高温水駆動への対応を進め、未利用熱の活用範囲を拡大している。

○産業用高温ヒートポンプの開発/㈱前川製作所/町田明登
ボイラ代替となり得る最高加熱温度200℃、COP3.5の産業用高効率高温ヒートポンプの開発を目指し、シミュレーションによる最適ヒートポンプサイクル、冷媒の検討、高温・高圧に対応した圧縮機、熱交換器等の要素技術開発および実規模のヒートポンプ試作機開発を行った。

○ガスコージェネレーション装置のシステム効率向上を可能にする熱電変換技術/㈱日立製作所/早川 純
本稿では、ガスコジェネレーション装置の排熱を活用しシステム効率向上に貢献する中高温熱対応熱電変換モジュールの開発と、100℃未満の排温水から低温熱対応熱電変換モジュール発電によるセンサ無線端末駆動試験ついて紹介する。

○革新的遮熱フィルムの開発/東レ㈱/坂本 純・宇都孝行・青山 滋/(国研)産業技術総合研究所/垣内田洋・山田保誠・吉村和記
省エネ技術の重要度が高まるなか、ナノ積層技術の深化により、ガラス窓の高透明性と世界最高レベルの遮熱性を両立する革新的遮熱フィルムを開発した。年間を通じたエアコン電力負荷低減に有効であり、我が国の消費エネルギー低減に向けた貢献を目指す。

■テクニカルレポート
○有機太陽電池の電圧損失の削減/分子科学研究所/伊澤誠一郎・平本昌宏/静岡大学/藤本圭佑・高橋雅樹
有機太陽電池の変換効率向上のための鍵は、電圧値に関わるエネルギー損失の削減である。本稿では、光電変換が起こる界面の構造を制御し失活過程を抑制することで、電圧損失を高効率無機太陽電池と同等の水準まで抑制した結果などを中心に我々の最近の成果を紹介する。

○パッケージユニット型水素ステーション/㈱キッツ/朴 龍天
クリーンエネルギーの一つとして水素が注目されている中、水素燃料電池自動車と水素ステーションが普及拡大されている。当社は2012年から水素ステーション用バルブを順次ラインアップし、2018年には当社長坂工場に自家用水素ステーションを建設し、約2年間に渡り運営の実証及び技術の蓄積を行ってきた。その成果を踏まえ、2020年4月からパッケージユニット型水素ステーション事業に参入することになった。当社製高信頼性、高品質、短納期のパッケージユニットをステーション市場に提案して行きながら、水素社会実現に貢献したいと考えている。

■エネルギー事情
○新型コロナウイルス危機とLNG産業の対応/LNG経済研究会/大先一正
世界のLNG産業は、2019年に表面化した供給過剰と年明け後の新型コロナウイルスの感染拡大のダブルパンチを受け、苦難の時期を迎えているが、低下したLNG価格を梃にインド等の新興国での需要開発に努め、安定成長路線への早期復帰を達成することが求められている。

■フィールドレポート
○宮古島市来間島の蓄電池シェアリング実証/東芝エネルギーシステムズ㈱/木村功太朗
1,991円
■特集:GHP XAIR III
○省エネと節電を実現する「GHP XAIR(エグゼア)III」の開発/東京ガス㈱/梶山啓輔/大阪ガス㈱/酒井寿成/東邦ガス㈱/永井恒輝
GHPはガスエンジンでコンプレッサを駆動し、ヒートポンプによって冷暖房を行うシステムである。このたび、省エネと節電を実現しつつ、酷暑に加えて厳冬や積雪といった厳しい気象条件下での運転継続性等の付加機能を備えたGHPの新機種として、GHP XAIR(エグゼア)Ⅲを開発した。本稿では、XAIRⅢの性能向上と付加機能の概要について紹介する。

○アイシン精機の「GHP XAIR III」の紹介/アイシン精機㈱/浅尾 憲
当社は超高効率GHP「XAIR」シリーズの最新モデル「XAIRⅢ」を2020年から発売開始した。本稿では、従来モデルに対して大幅に向上した省エネ性・環境性・設置性・メンテナンス性の開発内容について紹介する。

○パナソニック「GHP XAIR III」の開発/パナソニック㈱ アプライアンス社/齋藤進午
当社は、節電と省エネ性を両立するガス冷暖房システム超高効率GHP「GHP XAIR(エグゼア)Ⅱ」の次世代機として、年間運転効率の向上と、コンパクト化を両立させた「GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ」U1シリーズを開発し、2020年春から発売開始した。

○ヤンマーエネルギーシステムの「GHP XAIR III」L1シリーズ/ヤンマーエネルギーシステム㈱/奥田憲弘
当社は2020年春にGHPの次世代機として、省エネ性をはじめとする性能、機能、設置性をさらに向上させた「GHP XAIRⅢ」L1シリーズを開発した。性能指標であるAPFpは全機種で2.09以上(従来機比11%改善)を達成した。本稿では、GHP L1シリーズの開発について紹介する。

■テクニカルレポート
○集合住宅向けエネファームの開発/パナソニック㈱/飯塚貴士・乾 道・岡 佳典・山本浩平
戸建住宅、集合住宅の両面に対するエネファームラインナップ拡充のため、集合住宅向けエネファームの開発に取り組み、集合住宅向け新製品を2020年6月に発売した。本稿では、開発取り組みの内、排熱利用床暖房機能、VPP機能、設置性・施工性向上について紹介する。

○新しい原理で駆動する可視光水分解電極の開発/東京工業大学/岡崎めぐみ・前田和彦
酸化チタン薄膜上に水酸化コバルトを析出させると、可視光領域に新たな吸収帯が生じた。この薄膜電極を電解質水溶液に浸漬させて500nm以上の可視光を照射すると、明瞭な光アノード電流が観測された。可視光照射下での定電位電解より、水を酸化して酸素が発生したことが確かめられた。

○プラスチックを用いた熱電変換素子/名古屋大学/田中久暁・竹延大志
電気を流すプラスチックである導電性高分子は、SDGsに掲げられている「クリーンなエネルギー」として注目されている。本稿では、高分子熱電変換素子の現状を概観するとともに、高性能化に不可欠な発電メカニズムに関する最新の研究成果を紹介する。

○固体酸化物燃料電池の極薄電解質膜の開発/東京理科大学/樋口 透・西岡大貴
面方位[111]に優先的に成長させたSm-doped CeO2-δ薄膜において、100℃以下で物理吸着した水による表面プロトン伝導性を明らかにした。この現象は、膜表面の結晶格子や酸素欠陥を制御できたことに起因しており、固体酸化物燃料電池の動作温度を低下させる極薄電解質膜への応用が期待できる。

■エネルギー事業
○「地域熱供給の長期ビジョン」の概要/(一社)日本熱供給事業協会/鶴田一樹
地域熱供給は、導入から50年を迎え、近年は、公害対策や省エネ対応のみならず、「低・脱炭素化」「BCP対応」など幅広く多様な社会的課題に対応してきている。このような中で、2030年に向けた「地域熱供給長期ビジョン」は、今後の地域熱供給のあるべき姿や役割(①エネルギートランスレーター、②エネルギーサービスプロバイダー、③レジリエンスサポーター)を明確にし、2050年に向けた「地域総合サービス事業(DTS)」を目指す将来像を示したものである。

○CASBEEの概要と最新動向/(一財)建築環境・省エネルギー機構/早津隆史
CASBEEは、評価マニュアルと評価ソフト(Excel)を用い、基本的に誰もが自由に利用できる評価ツールである。一方で、評価結果を第三者や広告・カタログ等に提示するといった活用方法の場合、評価結果について信頼性や的確性の確保が重要となる。CASBEEの適正な運用と普及を図ることを目的とし、CASBEE評価員登録制度、CASBEE評価認証制度、CASBEE自主評価登録制度を設けた。

■フィールドレポート
○清原工業団地スマエネ事業/東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱/岸本 淳・山田有喜・広田徹也/東京ガス㈱/亀山寛達
清原工業団地スマエネ事業は、複数事業所間で電力と熱(蒸気・温水)を共同利用する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」。工業団地の中心にコージェネレーションを核とするエネルギーセンターと自営線、熱導管からなるインフラを新設し、エネルギー基盤の強靭化と地球温暖化対策を実現した。

○ガスエンジンコージェネ設備の高効率化改造/三菱重工エンジン&ターボチャージャ㈱/長面川昇司・鈴木 元
ガスエンジンを長期間、高効率で運用するには、適切な整備と部品の交換が必要である。本稿では、定期整備と同時に改造工事を行い、発電効率や運用性の向上、メンテナンス間隔の延長を達成した広島ガス㈱廿日市工場の事例を紹介し、その技術についての詳細を紹介する。

○東京ミッドタウン日比谷の環境保全状況/環境工学研究所/星山貫一
東京ミッドタウン日比谷が竣工されたのは2018年(平成30年)2月のことであり、高さ192mの複合ビルである。1階から3階は商業施設になっており、4階と5階が映画館、6階はレストランと庭園、7~8階はビル管理施設であり、8階から最上階の35階まではオフィスになっている。雨水や雑排水を処理して中水として積極的に活用して環境に配慮しているため環境保全対策に対応している現代を代表する複合ビルである。
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