判例時報 発売日・バックナンバー

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◆記 事◆

「人質司法」について……西 愛礼

海外判例研究──第18回──
【憲法】
 ・法律が曖昧な場合には行政機関の判断に敬譲するとしたシェブロン法理を覆し、裁判所が自ら法解釈を行うことを示した事例……大林 啓吾

 ・商標制度は勝手に他人の名前を使って商標登録することを認めていないが、それは表現の自由を侵害しないとした事例……大林 啓吾

【民法】
 ・公序良俗違反により賃貸借契約が無効と認められた事件……胡 光輝

【消費者法】
 ・消費者の支払義務が発生することに関する事業者の表示義務……カライスコス アントニオス

【刑法】
 ・医療資源の配分決定における障害者の不利益取扱いの禁止──トリアージ決定……天田 悠

 ・外国政府職員等の刑事裁判権からの事項的免除と人道に対する犯罪としての奴隷化……久保田 隆


「家主による正当防衛」の成立要件……川崎 友巳


◆判決録細目◆

行 政

▽1 LINEを用いたオンラインによる住民票の写し交付請求サービスを提供していた事業者が、国に対し同サービスを適法に行い得る地位にあることの確認を求める当事者訴訟について、確認の利益が認められた例
 2 電子署名及び電子証明書の併用による本人確認以外の方法でオンラインで住民票の写しの交付請求をすることを禁ずることとなる省令改正が、その授権規定である情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律6条1項の委任の範囲を超えるものとは認められないとされた例
(東京地判令4・12・8)


民 事

◎社団たる医療法人の社員が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律37条2項の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することの可否
(最三決令6・3・27)

▽選任審判主文に掲げられた案文どおり遺産分割協議を成立させた特別代理人に善管注意義務違反がないとされた事例
(東京地判令5・9・22)

▽東京入国管理局長が行った外国人による在留期間更新許可申請に対する不許可処分につき、国家賠償法1条1項の違法性が認められるとされた事例
(東京地判令5・7・24)


知的財産権

▽YouTubeに投稿された動画の著作者において当該動画によって思想、意見等を伝達する利益が人格的利益として認められないとされた事例
(東京地判令6・2・26)

▽発信者情報開示仮処分命令申立事件に係る申立書類一式をiPhoneで撮影した写真の著作物性が否定された事例
(東京地判令5・7・6)

▽被告標章につき先使用権は認められず、原告の本訴請求は権利濫用にもあたらないとして、商標権に基づく差止等請求が認められた事例
(大阪地判令5・11・30)


刑 事

〇少年が特殊詐欺の受け子をしたとされる詐欺未遂保護事件において、詐欺未遂罪の成立を認定して少年を第2種少年院に送致した原決定につき、詐欺の故意を認めた判断に重大な事実の誤認があるとして、これを取り消した事例
(東京高決令5・9・15)


◆判例評論◆

23 令和2年総務省令第82号の施行前に特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(令和3年法律第27号による改正前のもの)4条1項に基づき前記施行後に発信者の電話番号の開示を請求することの可否
(最二判令5・1・30)……町村 泰貴

24 政務活動費のうちその趣旨、目的に反して支出された金額の返還を求める不当利得返還請求権は、「行政上の便宜を考慮する必要のある公法上の債権」であるとは認められないから、消滅時効期間を民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)167条1項所定の10年と解するのが相当であるとされた事例
(名古屋高金沢支判令5・2・8)……大田 直史
◆記  事◆

裁量基準の適用違法(1)
─合理的裁量基準の不合理な適用・矯正行政の実務を踏まえて─……常岡 孝好


◆判決録細目◆

行 政

▽厚生労働大臣がした障害基礎年金を支給しない旨の処分が、裁定請求者は障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあったとして取り消された事例
(東京地判令5・2・9)

▽「主要農作物種子法を廃止する法律」により廃止された主要農作物種子法3条1項所定の指定種子生産ほ場の指定を受けていた採種農家につき、その指定を受ける地位確認の利益が肯定されたが、憲法13条、22条、25条及び29条の各権利の侵害は否定された事例
(東京地判令5・3・24)

▽コンゴ民主共和国の国籍を有する外国人男性に対して東京出入国在留管理局長がした難民の認定をしない処分が違法であるとされた事例
(東京地判令5・1・12)


民 事

◎遺言により相続分がないものと指定され、遺留分侵害額請求権を行使した相続人は、特別寄与料を負担するか(消極)
(最一決令5・10・26)


労 働

◎外国人の技能実習に係る監理団体の指導員が事業場外で従事した業務につき、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令6・4・16)

▽地方自治体職員に対する条件付採用期間の勤務成績不良を理由とする免職処分につき、裁量権の逸脱・濫用、公正原則違反、育児休業等を理由とする不利益取扱いによる違法があるとは認められないとされた事例
(宮崎地判令5・10・18)


刑 事

▽犯人性が争点となっている強制わいせつ被告事件において、DNA混合試料の分析・評価を行うなどした上で、被告人が犯人であると認定するには合理的な疑いが残るとして無罪を言い渡した事例
(横浜地判令5・8・7)
◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情
──令和5年度──……開發 礼子


◆判例特報◆

燕市における工場からの振動・騒音・悪臭による財産被害等責任裁定申請事件
(公調委令6・3・21裁定)


◆判決録細目◆

行 政

▽1 事業者が土地と建物とをその代金額を明示的に区分した上で同一の者に対して同時に譲渡した場合における消費税法施行令45条3項の適用の可否
 2 事業者が土地と建物とを同一の者に対して同時に譲渡した場合の消費税の課税標準の額の算定に当たって、当該譲渡に係る売買契約書において土地の代金額と建物の代金額とが明示的に区分されていたとしても、消費税法施行令45条3項所定の「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するとされた事例
(東京地判令5・5・25)


民 事

〇1 大学の研究室につき講師による占有回収の訴えが認められた事例
 2 研究室の占有奪取行為を学校法人に助言した弁護士の共同不法行為責任が認められた事例
(大阪高判令5・1・26〈参考原審:大阪地判令4・1・18〉)

〇婚姻費用分担義務者による別居前後の時期における暗号資産の売却または他の暗号資産への変換について、課税当局がこれを所得として把握したものとしても、その売却等により継続的に収益を得ていたと認められず、実質的夫婦共有財産の保有形態の変更にすぎないとして、これを婚姻費用算定上の収入とみることが相当でないとした事例
(福岡高決令5・2・6〈参考原審:福岡家審令4・9・13〉)

▽登山講習会の開催中に発生した雪崩により県立高校の生徒及び教員が死亡した事故について、県立高校の教員である講師3名の個人責任を否定した一方、同講師ら及び主催団体が講習会を中止すべき義務を怠ったとして、県及び主催団体の損害賠償責任を認めた事例
(宇都宮地判令5・6・28)


刑 事

〇交通人身事故を起こしてから被害者に対する救護措置を講じるまでの間に、飲酒運転の発覚を免れる目的で口臭防止用品を購入し服用する行動をとった被告人について、事故後の被告人の行動は、被害者に対して直ちに救護措置を講じなかったと評価することはできないとして、救護義務違反の罪の成立が否定された事例
(東京高判令5・9・28〈参考原審:長野地判令4・11・29〉)


◆最高裁判例要旨(2024(令6)年6・7月分)
◆記 事◆

憲法24条は同性婚を含むという憲法解釈の定立
──同性婚認容判決と司法部の立ち位置(その2)……千葉 勝美

実務と学説からみた憲法訴訟(11)
 岡口基一氏に対する弾劾裁判を振り返って
 ─弁護人の視点から─……大賀 浩一

 裁判官弾劾制度に関する若干の考察
 ──岡口判事弾劾裁判罷免判決を受けて……野坂 泰司


◆判決録細目◆

行 政
▽廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条の2第1項にいう、産業廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する計画が周辺地域の生活環境の保全等について適正な配慮がなされたものであること(2号要件)に関する処分行政庁の判断について、判断過程に看過しがたい過誤、欠落があるとして、設置許可処分を取り消した事例
(広島地判令5・7・4)


民 事

〇物流倉庫内においてフォークリフト運転者が段ボールを回収運搬するに当たり、大量の段ボールが堆積する場所でフォークリフトの前進・後退を繰り返し、高温となった排気管と段ボールが接触して発火したことから発生した火災事故についてフォークリフト運転者の過失が肯定された事例(過失相殺3割5分)
(東京高判令6・2・8〈参考原審:東京地判令5・4・26〉)

▽1 原被告間において締結された健康診断業務に関する基本契約に基づいて、20年間にわたって毎年個別契約が締結され、健康診断業務が行われてきたなどの事実関係の下において、担当者間で受託業務内容について合意が成立するなどしていたとしても、なお、個別契約の成立が否定され、基本契約又は個別契約に基づく報酬請求が認められないとされた事例
 2 健康診断業務に関する個別契約の成立は認められないが、健康診断業務を受託できるとの原告の期待は保護に値し、被告には契約締結上の過失が認められるとして、信頼利益の損害請求が認められた事例
(東京地判令5・5・9) 

▽仮想通貨交換業者が管理していた仮想通貨が不正送信され、当該交換業者が仮想通貨の送信等の停止措置を講じた事案において、当該交換業者とユーザーとの間における補償合意を否定して、ユーザーによる送信請求を認める一方で、当該交換業者の停止措置による履行遅滞や仮想通貨の管理体制の構築義務違反を否定した事例
(東京地判令4・4・27)


◆判例評論◆

21 離婚請求に附帯して財産分与の申立てがされた場合において、当事者が婚姻中にその双方の協力によって得たものとして分与を求める財産の一部につき裁判を先送りすることの許否
(最二判令4・12・26) ……松尾 知子

22 1 消費税法における「課税資産の譲渡等にのみ要する」課税仕入れと「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する」課税仕入れとの区別(①事件)
2 事業者が消費税及び地方消費税の確定申告において課税期間中に行った課税仕入れの区分につき、国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例(②事件)
(①最一判令5・3・6、②最一判令5・3・6)……大藏 将史
◆判決録細目◆

民 事

◎消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律2条4号所定の共通義務確認の訴えについて、同法3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令6・3・12)

〇公の施設の管理委託契約の終了について、普通地方公共団体において指定管理者の指定の取消事由がないにもかかわらず、実体とは異なる指定取消しの要件を満たすような外形を整えて指定取消しをしたものであり、内実は合意解約であるとされた事例
(名古屋高金沢支判令5・4・19〈参考原審:富山地判令4・10・6〉)

▽従業員が使用者(法人)の業務として不動産取引を仲介する際、本来使用者に帰属すべき利益を私的に得たことが労働契約上の誠実義務に違反するなどとして、使用者の元従業員等に対する損害賠償請求を認容した事例
(東京地判令5・3・22)

▽夫が妻(ただし離婚後)及び未成年の子らに対し、同居中に暴力、暴言等をしており、強度の身体的又は精神的苦痛を被らせる行為を継続的に行っていたものと評価すべきであるとして、それぞれ不法行為に基づく損害賠償請求が認められた事例
(東京地判令4・3・29)

▽腹臥位での頸椎椎弓形成術後に患者の視力及び視野機能が低下したことについて、担当医師に視神経等への血流低下予防措置を講じなかった過失が認められた事例
(東京地判令5・3・23)

▽検索サイト内ニュースページで配信された記事による名誉毀損事案につき、同サイト運営者に特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律3条1項による責任限定が認められた事例
(東京地判令5・3・29)


知的財産権

▽1 絵柄を商品化したタオルについて、絵柄を除くタオル部分には、それ自体独立して美術鑑賞の対象となる創作性を備えているものとはいえないとして、応用美術としての著作物性が否定された事例
 2 著作権者がその著作物に係る実施料のみを得ている場合における著作権法114条2項の適用又は類推適用の可否
(東京地判令6・3・28)


刑 事

▽覚醒剤所持の事案につき、当該覚醒剤が被告人の鞄の財布内から発見されたとは認められず、被告人が覚醒剤を所持したとは認められないとされた事
(大阪地判令5・10・13)
◆記 事◆

近時の就業態様の変容とその法律問題
―裁判官時代の在宅ワーク(いわゆる宅調制度)の経験も振り返っての分析―……鬼頭 季郎


◆判決録細目◆

行 政

◎犯罪被害者と同性の者は犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当し得るか(積極)
(最三判令6・3・26)

▽シリア・アラブ共和国国籍を有する外国人について、政治的意見(それに基づく兵役忌避)を理由に、難民に該当するとして、難民不認定処分を取り消した事案
(名古屋地判令6・5・9)


民 事

〇平成26年閣議決定による政府の憲法解釈の変更に基づき立法された平和安全法制が憲法9条1項の規定や憲法の平和主義の理念に明白に違反するとまではいえないとして国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が棄却された事例
(仙台高判令5・12・5〈参考原審:福島地いわき支判令4・2・22〉)

▽過去にモデル等として芸能活動に携わっていた者の肖像写真を掲載するとともに芸名を記載した電子書籍をウェブサイトで販売した行為につき、肖像権及び氏名権侵害に係る不法行為の成立が否定された事例
(東京地判令5・7・10)


経 済

▽1 主要な飲食店ポータルサイトの運営会社が、同サイトに掲載されている飲食店の評点を算出するためのアルゴリズムについて、チェーン店の評点を非チェーン店の評点に比して下方修正する変更を実施し、継続していることが、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条9項5号ハに定める優越的地位の濫用であるとされた事例
 2 同事案で、チェーン店による私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24条に基づく、同変更に係るアルゴリズムの使用の差止請求が棄却された事例(東京地判令4・6・16)
◆記 事◆

★書評 千葉勝美『同性婚と司法』
  曽我部真裕


◆判決録細目◆

民 事

〇警察署の保護室に収容された抗告人が保護室内の映像記録について文書提出命令の申立てをした事案において、監督官庁による民事訴訟法223条4項に基づく意見について相当の理由があると認めるに足りず、同法220条4号ロの要件も満たさないとして、映像記録の提出を命じた事例
(東京高決令5・12・12)

▽弁護士が、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づき、ファクタリング取引を行う業者の預金口座に係る取引の停止等の措置を求めたことにつき、不法行為が成立しないとされた事例
(東京地判令5・1・18)


労 働

〇条件付採用期間中の地方公共団体職員に対する人事院規則11-4(職員の身分保障)10条2号に基づく分限免職処分が、処分の前提となる成績評価に恣意が入りすぎて厳しすぎ、また分限免職に代わる手段も検討されていないこと等を理由に、違法として取り消された事例
(福岡高判令5・11・30)

▽1 大学と外国人専任教員との有期労働契約の通算期間が5年となる更新合意につき、労働契約法18条1項の潜脱目的であるとの主張を排斥して有効と認めた事例
 2 前記労働者に対する通算8年間の有期労働契約期間満了に伴う雇止めにつき、労働契約法19条2号に基づく更新を認めた上で、同法18条1項に基づき期間の定めのない労働契約への転換を認めた事例
(長崎地判令5・1・30)


知的財産権

〇量産衣料品の生地に用いるデザイン案として作成され、後に量産品の布団に用いられた絵柄の著作物性を否定した事例
(大阪高判令5・4・27)


◆判例評論◆

19 強制採尿令状の発付に違法があっても尿の鑑定書等の証拠能力は肯定できるとされた事例
 (最一判令4・4・28)…柳川 重規

20 情報ネットワークの運営者に対するメッセージの削除請求が認容された事例―ツイート削除請求事件
 (最二判令4・6・24)…斉藤 邦史
◆判決録細目◆

行 政

〇1 電気事業法46条の17第2項の規定に基づく通知の取消しを求める訴えにつき、発電事業により排出される二酸化炭素により気候変動の進行を通じて生命等に被害を受けない利益は各人の個人的利益として保障されているとまでは解されないとされた事例
 2 電気事業法46条の17第2項の規定に基づく通知が、判示の事実関係の下では、違法であるとはいえないとされた事例
(大阪高判令4・4・26〈参考原審:大阪地判令3・3・15〉)

▽公職選挙法11条1項(2号に係る部分に限る)の規定の憲法適合性
(東京地判令5・7・20)


民 事

▽1 貸金業者とその顧客との間の継続的な金銭消費貸借取引の借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生した後、同取引の終了と同時に貸金業者の親会社と顧客とが金銭消費貸借取引に係る基本契約を締結するとともに、貸金業者の顧客に対する債務につき親会社による併存的債務引受が成立したとされた事案において、顧客の貸金業者に対する両者間の取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は同取引が終了した時から進行するものと認めた事例
 2 貸金業者とその顧客の間の取引により生じた過払金返還請求権について貸金業者とその親会社が連帯債務関係となると認められ、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)439条が適用された事例
(東京地判令5・3・30)

▽相続開始前の遺留分放棄許可申立ての手続代理人となった弁護士について、依頼者への説明義務違反及び被相続人の財産調査義務違反はなく、債務不履行責任及び不法行為責任が否定された事例
(東京地判令5・1・13)


知的財産権

▽AI(ダバス、発明を自律的に発明した人工知能)が、特許法にいう「発明者」に該当しないとされた事例
(東京地判令6・5・16)


刑 事

▽特定少年である少年が、包丁2本を携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反保護事件において、同種非行による保護処分歴等を考慮して犯情を評価し、少年院送致が許容されるとした上、資質上の問題性等を踏まえて少年を第1種少年院に送致し、犯情に鑑み収容期間を2年と定めた事例
(大阪家決令5・11・1)
◆判決録細目◆

行 政

〇条例の目的又は適正な請求に努める旨の利用者の責務に反する開示請求については開示しないことができる旨の定めを置く情報公開条例においてなされた非開示決定が、開示請求は開示を求める文書の所管部署に対し優位な地位を得たり自己満足を得るために行われたものであること及び開示のための作業量が所管部署の業務に支障を及ぼす態様のものであることから、当該開示請求は、権利行使として相当なものとはいえず、条例の目的及び利用者の責務に反しているとして、適法とされた事例
(東京高判令5・8・2〈参考原審:東京地判令5・2・16〉)


民 事

〇借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求の意思表示による約定賃料の減額が認められなかった事例
(東京高判令3・11・4〈参考原審:東京地判令3・2・9〉)

〇交通事故の被害者が加害者に対して有する損害賠償請求権の仮差押えがされた場合、その効力は自動車損害賠償保障法16条1項に基づく直接請求権にも及ぶから、加害者は、仮差押えの発令を認識していた保険会社がした同項の直接請求権に基づく自賠責保険金の支払の効力を主張することはできないとした事例
(東京高判令4・4・7)

〇廃棄物処分場の立地自治体が、同処分場における廃棄物の不適正な処理の結果生じる生活環境保全上の支障等の除去のための措置に要した費用について、同処分場に一般廃棄物を搬入してその処分を委託した排出自治体に対して行った、事務管理に基づく有益費償還請求を認めなかった事例
(名古屋高金沢支判令4・12・7〈参考原審:福井地判令3・3・29本誌2514号62頁〉)

▽夫婦の一方が、他方に対し、婚姻前に自身の疾患(IgA腎症)について告知しなかったこと等が告知義務違反に当たる旨などを主張し、不法行為に基づく損害賠償請求をしたところ、不法行為の成立が否定された事例
(東京地判令4・11・22)


労 働

〇国立大学法人に対してその労働組合と誠実に団体交渉すべきことを命じた労働委員会の救済命令の取消しを求めた同法人の請求につき、差戻後の控訴審が団体交渉の過程における同法人の誠実交渉義務違反の不当労働行為を認定し、同請求を棄却すべきものとした事例
(仙台高判令5・7・19)

▽被告設置の病院に勤務している原告らが、被告に対し、扶養手当と住宅手当の組換えにより賃金が減額された職員を生じさせた就業規則の変更は合理性がないとして旧規定に基づく賃金の支払を求めた事案において、原告らの請求が棄却された事例
(山口地判令5・5・24)


刑 事

〇1 小児歯科医院の院長であり患児の主治医であった被告人が、同歯科医院の歯科医師に歯科用局所麻酔剤を使用して患児(当時2歳)の歯科治療をさせたところ、患児に異変が生じて2日後に救急搬送先の病院で死亡したことにつき、業務上過失致死罪に問われた事案において、同罪の成立を認めた原審の判断が是認された事例
 2 公判前整理手続で争いがないとされた前提事実に反する控訴審弁護人の主張について、前提事実が明らかに客観的な真実に反していると判明した場合には前提事実に基づく第1審判決の事実認定を維持できないが、本件では前提事実が明らかに客観的な真実に反しているとは認められないとされた事例
(福岡高判令6・2・9〈参考原審:福岡地判令4・3・25〉)

〇「殺害して天罰下る」、「自業自得。ご一家お揃いで奈落の底へどうぞ」などと記載した葉書の郵送について、被告人を無罪とした原判決を破棄し、脅迫罪の成立を肯定した事例
(東京高判令5・11・28〈参考原審:横浜地判令5・1・30〉)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(10)
「群馬の森追悼碑訴訟」事件
―都市公園における記念碑と表現の自由―……下山 順

「自由と給付」の一局面
─「群馬の森」追悼碑裁判と表現の自由─……柴田 憲司


◆判決録細目◆

行 政

◎甲船と乙船が衝突した事故に係る海難につき小型船舶操縦士である甲船の船長に職務上の過失があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令6・1・30)


民 事

◎抵当不動産の賃借人は、抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前に賃貸人との間でした、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権と前記の差押えがされた後の期間に対応する賃料債権とを直ちに対当額で相殺する旨の合意の効力を抵当権者に対抗することができるか(消極)
(最二判令5・11・27)

〇1 審判に代わる決定に基づいてされた面会交流の実施を求める間接強制の申立てについて、同決定が定めていた面会交流の条件がその後にされた決定の確定により失効したことから、当該確定の日以降の部分が不適法であるとされた事例
 2 面会交流の実施を求めた間接強制の申立てが権利の濫用に当たらないとされた事例
(東京高決令5・1・17)

〇公立小学校の正課授業として実施された図画工作の作業中に同級生が木材に打ち込まれた釘を抜くためマイナスドライバーを用いた際に、その先端が向かい側で木材を押さえていた児童の眼に当たり負傷した事故について、指導教諭にマイナスドライバーの使用方法に関する説明指導義務及び監督義務を怠った注意義務違反があるとして国家賠償責任が認められた事例
(大阪高判令5・1・12)

▽1 テレビジョン放送をされた逮捕に関する報道番組の内容につき被逮捕者に対する名誉毀損に係る不法行為の成立を認めた事例
 2 取材対象者の容ぼうが撮影された取材時の映像を放送した報道番組につき同取材対象者の人格的利益を侵害するものとして不法行為の成立を認めた事例
(東京地判令5・3・24)


労 働

〇1 新型コロナウイルス感染対策として懇親会を含む社内イベントの開催を控えるよう要請される中、深夜まで会食した部下が帰宅時に駐車場内で飲酒運転により物損事故を起こした事案において、就業規則に基づく等級制度(職務別等級システム)による課長補佐相当の等級から係長相当の等級への降格決定が無効とされた事例
 2 降格決定により減額された賞与の差額の請求が、本人の人事評価の実績と会社の人事評価の運用から降格前の等級として人事評価をすれば受けられたはずの成果評価を前提に算定した差額の限度で認容された事例
(仙台高判令5・1・26)

▽1 陸上自衛隊の自衛官が、幹部自衛官名簿の登載順序が示す自衛官の順位と部隊等の指揮権を行使する順序が逆転する人事の後に適応障害を発症したことについて、国が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
 2 陸上自衛隊の自衛官が行った公務災害の申出に対し、補償事務主任者が実施機関に報告することなく公務災害に該当しない旨の通知を行ったことについて、国が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
(熊本地判令5・2・7)


◆判例評論◆

16 1 特許権者が、侵害品と需要者を共通にする同種の製品であって、市場において競合関係にある製品を輸出又は販売していた場合には、侵害行為により特許権者の製品の売上げが減少したものと評価でき、特許法102条2項が適用される
  2 特許法102条2項による損害額の推定が一部覆滅される場合であっても、推定覆滅部分について、特許権者が実施許諾をすることができたと認められるときは、同条3項が適用される──椅子式マッサージ機事件知財高裁大合議判決
(知財高判令4・10・20)……高林  龍

17 子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の方法による子の引渡しの強制執行の申立てが権利の濫用に当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三決令4・11・30)……村上 正子 

18 外国公務員等に対して金銭を供与したという不正競争防止法違反の罪について、共謀の成立を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に、刑事訴訟法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
(最二判令4・5・20)……小島 秀夫


◆最高裁判例要旨(2024(令6)年4・5月分)
◆記 事◆

裁判員裁判の歩みとこれから⑹
──私の約12年間の裁判員裁判の実践──……山田 耕司


◆判決録細目◆

行 政

◎1公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し当該当選人を唯一の所属議員とする会派の行った大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条所定の政務活動に関し不当利得返還請求権を有するか(消極)
 2 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し前記議会の議員として行った活動に関し不当利得返還請求権を有するか(消極)
(最三判令5・12・12)


民 事

〇老齢厚生年金の離婚時年金分割について、婚姻期間中の相手方の保険料納付に対する申立人の寄与を同等と見ることが著しく不当である特段の事情を認めるのが相当であるとして申立てを却下した原審判を取り消し、請求すべき按分割合を0・5と定めた事例
(東京高決令4・10・20〈参考原審:千葉家審令4・4・22〉)

〇限定的ではあるものの一定程度の意思能力がある可能性がある本人について、本人の精神の状況について鑑定をしないままされた後見開始の審判は、家事事件手続法119条1項に違反し、原審に差し戻しても鑑定を実施することは困難であるとして後見開始の申立てを却下した事例
(東京高決令5・11・24〈参考原審:甲府家都留支審令5・6・26〉)

〇後見開始申立事件において、本人の親族の非協力により鑑定ができなかったことから申立てを却下した原審判を取り消し、原審に差し戻した事例
(東京高決令5・3・20〈参考原審:横浜家審令4・8・19〉)


知的財産権

▽特許権者において販売等する製品が侵害品と市場において競合関係に立たない場合における特許法102条1項又は2項の適用の可否
(東京地判令4・12・15)


刑 事

◎第1審判決について、被告人の犯人性を認定した点に事実誤認はないと判断した上で、量刑不当を理由としてこれを破棄し、事件を第1審裁判所に差し戻した控訴審判決の拘束力を有する判断の範囲
(最一決令5・10・11)

▽特定少年である少年が、共犯者と及んだ侵入強盗等を含む窃盗、住居侵入、強盗、道路交通法違反保護事件において、犯情の重さに加え、少年の性格、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分を相当と認めて検察官送致とした事例
(東京家決令5・7・19)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(9)

公安警察による個人情報の収集・保有・提供と憲法
─大垣警察市民監視事件を題材に─……山田 秀樹

国家による秘密裡の情報収集等の違憲性を争う訴訟
―大垣警察市民監視事件を題材として―……小西 葉子


◆判決録細目◆

行 政

◎独立行政法人日本芸術文化振興会の理事長がした文化芸術振興費補助金による助成金を交付しない旨の決定が前記理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例
(最二判令5・11・17)


民 事

〇捜査機関の押収した物につき、被押収者が、目的物を任意提出した者に対して、その引渡請求権を被保全権利として、捜査機関(国)から目的物の引渡しを受けたり、目的物の引渡請求権の処分をすることを禁止し、かつ、捜査機関(国)が相手方に対して目的物を引き渡したり、被押収者の指図に従って処分することを仮に禁止することを認めた事例
(東京高決令5・1・25〈参考原審:東京地判令4・10・31〉)

▽家庭裁判所の裁判官が行った審判前の保全処分に関する審問期日の指定が国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(東京地判令5・3・23)

▽被告が運営する幼保連携型認定こども園において原告が原告の子の入園を申し込み被告が入園を許可した後にこれを取り消したことにつき、既に原告と被告との間で成立していた同園への入園契約の債務不履行及び原告の同入園契約上の地位を違法に侵害する不法行為に該当するものとされた事例
(大阪地判令4・5・31)


労 働

▽上司による労働者への退職を示唆する言動及び労働者の意に反して頭髪に整髪料をつけて髪型を変えた行為につき、使用者に職場環境配慮義務違反が認められるとして、労働者からの債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例
(水戸地判令5・4・14)


刑 事

〇1 鑑定等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらないとして再審請求を棄却した原決定の判断を是認し、即時抗告を棄却した事例
 2 新証拠に一定の証明力を認め、その立証命題である旧証拠の一部についての証明力の減殺を認めたものの、それと関連する証拠関係に及ぼす影響について否定し、新旧全証拠の総合評価によることなく新証拠の明白性を否定した事例──大崎事件第4次再審請求即時抗告審決定
(福岡高宮崎支決令5・6・5)


◆判例評論◆

14 市庁舎前広場の性格と集会の自由──金沢市庁舎前広場事件(第2次訴訟)最高裁判決
(最三判令5・2・21)……岡田 俊幸

15 ふるさと納税に係わる寄附金の収入見込額が一定額を超えた場合を特別交付税の減額項目と定める総務省令(特別交付税に関する省令)の規定が地方交付税法の委任の範囲を逸脱し、無効であるとされた事例
(大阪地判令4・3・10)……中嶋 直木
◆記 事◆

裁判員裁判の歩みとこれから(5)
──私の約12年間の裁判員裁判の実践──
……山田 耕司


◆判決録細目◆

行 政

〇民事訴訟の口頭弁論期日を傍聴した職員が作成した知事に対する復命書の報告内容のうち、口頭弁論を一時休廷して、個別の当事者と非公開で行った事実上の進行協議に関する情報が、福島県情報公開条例7条6号イに規定する不開示情報にあたるとされた事例
(仙台高判令4・10・6)

▽1 同一の法人税の納税義務について、増額更正処分及び更正の請求に理由がない旨の通知処分がされた場合における、更正の請求に理由がない旨の通知処分の取消しを求める訴えの利益
 2 公益法人等が収益事業以外の事業に属する資産として取得した有価証券につき、当該公益法人等が普通法人に移行した後、同一銘柄の有価証券を追加取得せずに、当該有価証券を譲渡した場合における法人税法施行令119条の2第1項1号にいう「その取得をした有価証券の取得価額」の意義
 3 公益法人等が普通法人への移行前に収益事業に属しない減価償却資産について計上した減価償却費の金額は、法人税法31条4項にいう「所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額」に該当するか
 4 法人税法施行令131条の6の定める移行時資産等に該当する減価償却資産に係る、同施行令48条1項1号イ⑵(平成23年政令第379号による改正前のもの及び令和2年政令第207号による改正前のもの)にいう「取得価額(既にした償却の額で各事業年度の所得の金額…の計算上損金の額に算入された金額…を控除した金額)」の意義
(東京地判令5・2・17)


民 事

▽外国為替及び外国貿易法違反の罪により逮捕、勾留、起訴され、その後、検察官から公訴取消の申立てを受け公訴が棄却された者らが、警察による取調べ及び逮捕並びに検察官による勾留請求及び公訴提起が違法であるとして求めた国家賠償請求訴訟について請求が認容された事例
(東京地判令5・12・27)


労 働

▽原告の仮眠時間の一部に実作業時間があったにもかかわらず、それを労働時間とせずに休業補償給付の給付基礎日額を算定したことが誤りであるとして、休業補償給付支給処分を取り消した事例
(津地判令5・3・23)


刑 事

〇特定少年である少年が、少年院仮退院後の保護観察期間中に無賃乗車、無免許運転、大麻所持及び恐喝に及んだ事案において、少年を第1種少年院に送致し、収容期間を3年間と定め、比較的長期間(1年6月程度)の処遇勧告を付した原決定について、処分の著しい不当を理由とする抗告を棄却した事例
(東京高決令5・5・26)
◆記 事◆

最高裁民事破棄判決等の実情──令和5年度──
……川﨑直也、山本 拓


◆判決録細目◆

行 政

▽隣接する地方公共団体間の山間地における境界のうち、一部については江戸時代における利用等の状況を踏まえて確定したほか、一部については水利・治水上の観点や地勢上の特性に基づき最も衡平妥当な線として確定した事例
(新潟地判令5・6・5)


民 事

◎1 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、訴え提起の手数料につき各原告に対する訴訟上の救助の付与対象となるべき額
 2 共同して訴えを提起した各原告の請求の価額を合算したものを訴訟の目的の価額とする場合において、各原告につき民事訴訟法82条1項本文にいう「訴訟の準備及び追行に必要な費用」として考慮すべき訴え提起の手数料の額
(最一決令5・10・19)

〇原告が、学校法人の理事長であった被告らにおいて、同学校法人には、当時、小学校の新築工事の請負工事の報酬を支払う能力がなく、同報酬を支払う意思もないのに、これがあるかのように装い、原告を欺罔して工事の請負契約を締結させたことが詐欺に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償請求をした事案において、被告らは資金の調達方法を偽ったにとどまり、同学校法人の前記請負契約締結当時の資力に照らせば、請負報酬を支払う意思も能力もなかったとはいえず、被告らにつき欺罔行為も詐欺の故意も認められない等として原告の請求を棄却した原判決が、控訴審においても維持された事例
(大阪高判令4・8・24)


労 働

▽いわゆる内定者アルバイトとして入社前に内定先から雇用されていた新卒採用内定者が自殺したことについて、業務起因性が否定された事例
(東京地判令4・10・14)


刑 事

〇侵入窃盗等の犯行現場に犯人が残した工具痕が被告人の所持する工具により形成されたと認められるとした工具痕鑑定の信用性が否定された事例
(福岡高判令5・12・15)


◆最高裁判例要旨(2024(令6)年1・3月分)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(8)

法律上の性別とはなにか
─経済産業省職員事件最高裁判決を経て─……立石 結夏

性自認と職員処遇における行政裁量
─経済産業省職員事件─……岡田 正則


◆判例特報◆

稲敷市における土砂埋立てに伴う土壌汚染による財産被害等責任裁定申請事件
(公調委令5・10・31裁定)

岐阜県本巣市曽井中島字南原地内の砂利採取計画変更不認可処分に対する取消裁定申請事件
(公調委令5・12・5裁定)


◆判決録細目◆

行 政

◎生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求は認められない旨の人事院の判定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとされた事例──経済産業省性同一性障害事件最高裁判決
(最三判令5・7・11)


民 事

◎被害者を被保険者とする人身傷害条項のある自動車保険契約を締結していた保険会社が、被害者の遺族に対し、前記条項の適用対象となる事故によって生じた損害について人身傷害保険金額に相当する額の金員を支払った場合において、前記遺族の加害者に対する損害賠償請求権の額から前記金員を全額控除することはできないとされた事例
(最一判令5・10・16)

〇高等学校が生徒募集を停止して廃校したことにつき、提携先の事業者に対して、学校設置会社は債務不履行責任に基づき、同会社代表取締役は会社法429条1項に基づき、各損害賠償責任を負うとした原判決について、控訴審において、学校設置会社の親会社及びその代表取締役の損害賠償責任を付加して認めた事例
(大阪高判令4・10・28〈参考原審:大阪地判令3・7・16本誌2526号68頁〉)


労 働
〇労働組合の組合員による業務の一部拒否が労働組合法7条1号の「正当な行為」に該当すると認められた事例
(東京高判令5・4・26〈参考原審:東京地判令4・10・6〉)


◆判例評論◆

12 科刑上一罪の関係にある数個の罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがある場合の罰金刑の多額
(最一判令2・10・1)……成瀬 幸典

13 取締役の法令遵守義務違反と独禁法違反による会社への課徴金の取締役への転嫁が認められた事例──世紀東急工業株主代表訴訟第一審判決
(東京地判令4・3・28)……田中 慎一
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