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◆記 事◆

許可抗告事件の実情
 ──令和2年度── ……福井 章代  宮脇 雅代  


◆判決録◆

行 政 

◎制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が確定した場合において当該制限超過利息等の受領の日が属する事業年度の益金の額を減額する計算方法と一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
(最一判令2・7・2)

〇1 審査請求の対象となっている処分を決議した処分庁の理事会に総括監事として出席していた者は、同処分について、予断を抱くおそれや当該処分を弁護しようとする意識が働くおそれが類型的に高いといわざるを得ないとして、行政不服審査法9条2項1号の「審査請求に係る処分に関与した者」に該当し、審理員の資格を欠くと判断された事例
 2 審理員として指名された者が審理員の資格を欠き、審理員意見書を参酌することなく裁決がされ、その審理過程も審理員を挟んだ審査請求人と処分庁の対審的審理構造ではなく、審理員と処分庁が審査請求人と対立する形となっていたなど行政不服審査法の趣旨に反する重大な手続上の瑕疵があるとして、裁決が取り消された事例
(東京高判令1・5・21)


民 事

〇商品先物取引の受託会社従業員に、委託者に対する実質的一任取引禁止違反、無意味な反復取引等禁止違反があるとして、当該従業員に対する不法行為に基づく損害賠償請求と、受託会社に対する使用者責任に基づく損害賠償請求が、それぞれ一部認容された事例
(名古屋高判令1・12・20)

〇公立高校に教員として勤務していたAが、先輩教員であるBから度重なる注意を受けたことにより鬱状態となり自殺したことについて、Bの不法行為該当性等を認めて、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決に対する1審被告の控訴を棄却した事例
(仙台高判令3・2・10)

▽夫である申立人(日本国籍)が、妻(ルーマニア国籍)と自身との間の子として出生届を提出した民法772条の嫡出推定の及ばない子を相手方として、親子関係不存在の確認を求めた事案で、嫡出親子関係も非嫡出親子関係も存在しないとして、申立人と相手方の間には親子関係が存在しないとの合意に相当する審判をした事例
(東京家審令2・9・10)

▽申立人夫(日本国籍)と申立人妻(フィリピン国籍)が、申立人妻と申立外男性との間の非嫡出子である未成年者(フィリピン国籍)との養子縁組の許可を求めた事案において、申立てを認容した事例
(東京家審令2・4・17)

▽「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」の立法行為等を理由とする国家賠償請求が棄却された事例
(前橋地判令2・10・1)


刑 事

▽警察官らが、不法残留による現行犯人逮捕に伴い、被告人が隠匿していた大麻を捜索し、大麻所持による現行犯人逮捕をして大麻を差し押さえた行為が、別件捜索差押えとして許されず違法であるなどとして、違法収集証拠排除法則により大麻等の証拠能力を否定し、無罪とした事例
(東京地判令2・3・18)

▽1 過失運転致死の事案において、被告人車両のタイヤに被害者DNAの付着が認められたにもかかわらず、被害者轢過の点につき疑いが残るとして無罪を言い渡した事例
 2 捜査機関の証拠品(安全靴)管理の不手際により、付着した被害者DNAが毀損された可能性があると判断した事例
(福岡地判令2・10・26)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年4・5月分)
◆記 事◆

特殊詐欺からの被害回復を目的とする組長訴訟
 ──「威力利用資金獲得行為」の解釈・適用を中心に──……余頃桂介

情報をめぐる現代の法的課題⑹
 刑事手続とIT【後編】……山本了宣


◆判決録細目◆

民 事

〇親権者である養父及び実母から暴行等の虐待を受け、一時保護の措置がとられている子について、親権者らによる親権の行使が不適当であり、そのことにより子の利益を害することは明らかであるとして、親権者らの子に対する親権をいずれも2年間停止した事例
(東京高決令1・6・28)

〇平成23年法律第36号の施行前に締結された契約におけるカリフォルニア州裁判所を専属的管轄裁判所とする合意について、一定の法律関係に基づく訴えを定めるものとして有効とした事例
(東京高判令2・7・22〈参考原審:東京地中間判平28・2・15〉)

〇基本事件の被告の訴訟代理人が基本事件の訴訟行為を行うことが弁護士職務基本規程57条違反であることを理由として、基本事件の原告らに前記訴訟行為を排除する旨の裁判を求める申立権があるとし、共同事務所の他の所属弁護士が弁護士法25条1号及び前記規程27条1号により職務を行うことができない事件について、共同事務所の所属弁護士は前記規程57条によりその事件について訴訟行為を行うことができないとされた事例
(知財高決令2・8・3〈参考原審:東京地決令2・3・30〉)

▽原告名義の普通預金口座が「犯罪利用預金口座等」(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律2条4項2号)に該当しないなどとされた事例
(東京地判令2・6・30)

▽1 民法968条1項が規定する各要件が具備されていることの主張立証責任は、自筆証書遺言の有効性を主張する者が負うとした事例
 2 遺言書には遺言書が作成された真実の日が記載されていることが必要であり、その主張立証責任は、自筆証書遺言の有効性を主張する者が負うとした事例
 3 封緘されていない封筒に収められていた3枚の便箋からなる遺言書について、それぞれ作成時期が異なる1枚目の便箋(左半分が切断されて右半分しか残っていないもの)と2枚目・3枚目の便箋とを組み合わせた形式で作成されたという合理的な疑いを否定できず、有効な自筆証書遺言の要件を具備しておらず、無効であるとした事例
(東京地判令2・10・8)


知的財産権

〇1 不正競争防止法2条1項14号(平成30年法律第33号による改正前のもの)における商品の属性に関する限定列挙性(肯定)
 2 銘菓の製造販売事業の創業を元禄2年(1689年)とする表示等が、不正競争としての品質等誤認表示に該当しないと判断された事例
(大阪高判令3・3・11〈参考原審:京都地判令2・6・10〉)


労 働

▽1 制服の着用が義務付けられていた引越作業員について、その着替えの時間及び朝礼の時間以降は、被告会社の指揮命令下に置かれたものと評価することができるとされた事例
 2 被告会社における正社員とアルバイトの間における通勤手当に係る労働条件の相違は、労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たると判断された事例
 3 原告らには被告組合に加入する黙示の意思表示があったものと認められた事例
 4 被告会社の採用するいわゆるチェック・オフ制度が有効であると判断された事例
(横浜地判令2・6・25)


刑 事

▽生後約3か月の実子に対し、身体を激しく揺さぶるなどして頭部に衝撃を与える暴行を加え、急性硬膜下血腫等の傷害を負わせたという傷害の事案において、同児の傷害はソファーからの落下によって生じた可能性が否定し切れないとして無罪とした事例
(岐阜地判令2・9・25)
◆記 事◆

裁判制度のパラダイムシフト
 ──過去と未来をつなぐ憲法上の10のテーマ(6)
 ──憲法裁判において最高裁判所をサポートするシステム
 その2──調査官制度……笹田栄司

情報をめぐる現代の法的課題⑸
 刑事手続とIT【前編】……山本了宣


◆書 評◆

門野博『刑事裁判は生きている・刑事事実認定の現在地』(日本評論社、2021年)
評者……水野智幸


◆判決録細目◆

民 事

◎債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において、当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令3・1・12)

〇心房細動と診断してカテーテルアブレーション手術を実施中に当該患者が急性心タンポナーデの発症により低酸素脳症を起こして遷延性意識障害に陥り、その後入院治療を受けたものの死亡したことについて、心房細動の診断の医療水準が自然に発生した発作時における心電図を記録して心房細動を確認することが原則であったのに、電気生理学的検査の結果、誘発された不整脈が心房細動の波形を示したことをもって、心房細動であると確定判断した医師には過失があるとした事例
(東京高判令2・12・10〈参考原審:横浜地横須賀支判平30・3・26〉)

〇1 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律3条3項所定の責任制限阻却事由の立証責任の所在及び同事由の存否
 2 船舶が地方公共団体の管理する橋梁に接触し損傷を与えたことによって生じた損害に関する債権の制限債権該当性
(広島高決令2・2・21〈参考原審:広島地決平31・2・15〉)

▽任意後見契約に関する法律10条1項に定める「本人の利益のために特に必要があると認めるとき」に該当するとされた事例
(水戸家審令2・3・9)


知的財産権

〇登録意匠の要部を認定するに当たり、出願後の公知意匠(当該登録意匠を追随したようなものも含まれる)を観察することによっても、当該登録意匠に含まれる当該形態が、需要者の注意を引くかどうかを判断することができるとされた事例
(大阪高判令2・7・31〈参考原審:大阪地判令1・12・17〉)


労 働

◎1 無期契約労働者に対して退職金を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例(①事件)──メトロコマース事件
 2 無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例(②事件)──大阪医科薬科大学事件
(①・②最三判令2・10・13)


▽退職願を書け、他の会社に行け等の言辞を含む長時間繰り返しの退職勧奨が不法行為に当たるとされた事例
(宇都宮地判令2・10・21)


刑 事

〇準強制わいせつ被告事件において、被害者は麻酔覚醒時のせん妄による幻覚を見ていた可能性があるとして、その証言の信用性には疑問を差し挟むことができ、アミラーゼ鑑定及びDNA定量検査の結果も信用性に疑義があり、信用性があるとしてもその証明力は十分なものといえないから、被害者証言の信用性を補強できず、また、それ自体から被告人の犯行を推認させるものともいえないとして被告人に無罪を宣告した原判決を破棄し、被害者が幻覚を見たという可能性はなく、被害者証言には高い信用性があり、アミラーゼ鑑定及びDNA型鑑定並びにDNA定量検査の結果は、被害者証言の信用性を補強する証明力を十分有しており、本件については合理的な疑いを容れない立証があるというべきであるとして被告人に有罪を言い渡した事例
(東京高判令2・7・13〈参考原審:東京地判平31・2・20本誌2426号105頁〉)


判例評論

27 憲法53条後段に基づく臨時会の召集
(那覇地判令2・6・10)……長谷部恭男

28 2筆の土地にまたがって建てられた1棟のマンションについて、その専有部分の区分所有者がこれらの敷地のうちの1筆についてのみ借地権を有する場合に、借地権が設定されていない敷地の所有者が、当該区分所有者に対し、建物の区分所有等に関する法律10条に基づく区分所有権の売渡請求権を行使できるとされた事例
(東京地判令1・12・11)……吉原知志

29 中間省略登記の方法による不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に、当該登記の中間者との関係において、当該司法書士に正当に期待されていた役割の内容等について十分に審理することなく、直ちに注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最二判令2・3・6)……田中 洋

30 短文投稿サイト「Twitter」を管理運営する者に対する投稿記事の削除請求が棄却された事例──ツイッター投稿記事事件
(東京高判令2・6・29)……栗田昌裕
◆記 事◆

座談会 『お気の毒な弁護士』を読んで
 山浦 善樹  江川 紹子  治部れんげ  山内 久光  
杉浦ひとみ  山本 了宣  近松仁太郎 ほか


◆判例特報◆

◎市長が市の管理する都市公園内に孔子等を祀った施設を所有する一般社団法人に対して同施設の敷地の使用料の全額を免除した行為が憲法20条3項に違反するとされた事例
──那覇孔子廟訴訟上告審判決(最大判令3・2・24)

▽1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく被爆者健康手帳交付申請却下処分の取消し及び同交付の義務付けを求める訴訟において、訴訟の係属中に申請者が死亡した場合における訴訟承継の成否(積極)
 2 原子爆弾が投下された際及びその後において、いわゆる「黒い雨」を直接浴びるなどしたり、「黒い雨」降雨域で生活したりしていた者につき、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律27条所定の健康管理手当の支給対象となる11種類の障害を伴う疾病に罹患したことを要件として、同法1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当すると判断した事例
──「黒い雨」訴訟1審判決(広島地判令2・7・29)


◆判決録細目◆

行 政

▽市が火葬場建設のために土地所有者との間で締結した土地売買契約について、鑑定額の3倍以上である代金額があまりにも高額に過ぎるなどとして、市長の裁量権の範囲を逸脱したものであり、違法であると判断された事例
(奈良地判令2・7・21)

▽深夜、降雪による視界不良の中で死亡交通事故を起こした原告に対し、道路交通法70条の安全運転義務違反を理由としてされた運転免許取消処分について、当該事故の事実関係の下においては、処分理由として、安全運転義務違反と記載するのみでは、行政手続法14条1項本文の理由提示の要件を満たさないとして、前記処分を取り消した事例
(札幌地判令2・8・24)


民 事

▽申立人夫(カナダ国籍)と申立人妻(日本国籍)が、未成年者(日本国籍)を申立人らの特別養子とすることを求めた事案において、準拠法について、申立人夫との関係では反致により日本法が適用されるとし、申立人妻との関係でも日本法が適用されるとした上で、特別養子縁組の要件をいずれも満たしているとして、申立てを認容した事例
(東京家審令2・9・7)


刑 事

〇1 覚せい剤使用の事実につき、解離性同一性障害の影響による心神耗弱を認めた事例
 2 精神科医の診断に対する原判決の評価を批判し、完全責任能力を認めた原判決には事実誤認があるとして、被告人を一部執行猶予とした原判決を破棄して、被告人に対して、再度の全部執行猶予を付した事例
(大阪高判平31・3・27〈参考原審:大阪地判平30・12・4〉)
◆記 事◆

情報をめぐる現代の法的課題⑷
 オンライン・プラットフォームの統治論を目指して
 ──デジタル表現環境における「新たな統治者」の登場……水谷瑛嗣郎


◆書籍紹介◆

門口正人『裁判官のつぶやき』


◆判例特報◆

▽1 同性婚を認めていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定と憲法13条、14条1項及び24条
 2 同性婚を認めないことの違憲性が明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたって民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定の改廃等の措置を怠っていたと評価することはできないとして、立法不作為を理由とする国家賠償請求が棄却された事例
――同性婚訴訟札幌地裁判決(札幌地判令3・3・17)

解説・判決全文

参考論文
 同性婚をめぐる初の憲法判断とその影響……加藤丈晴


◆判決録細目◆

民 事

◎同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合における借主による充当の指定のない一部弁済と債務の承認(平成29年法律第44号による改正前の民法147条3号)による消滅時効の中断
(最三判令2・12・15)

◎公認会計士協会から上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らにつき、その実施した監査手続が当該監査において識別すべきリスクに個別に対応したものであったか否か等の点を十分に検討することなく当該決定の前提となる監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の開示の差止めを認めた原審の判断に違法があるとされた事例
(最二判令2・11・27)

▽宗教法人による排斥措置が違法であるとして損害賠償及び排斥措置の差止めを求めた原告の請求が、いずれも「法律上の訴訟」に当たらないとして却下された事例
(新潟地判令2・4・9)

▽「別れさせ工作委託契約」と称する契約等につき、その目的達成のために想定されていた方法が、人倫に反し関係者らの人格、尊厳を傷付ける方法や、関係者の意思に反してでも接触を図るような方法であったとは認められないこと、実際に実行された方法も女性が男性と食事をするなどというものであったことなど判示の事実関係の下では、公序良俗に反しないとされた事例
(大阪地判平30・8・29)


労 働

▽執行役員退任や役職定年に伴う賃金減額等の人事上の措置が有効とされた事例
(東京地判令2・8・28)

▽労働契約法18条1項に基づき無期転換した後の労働条件に関し、無期転換後の労働者に適用される就業規則が別途定められている場合において、当初から無期労働契約を締結している労働者に適用される就業規則が適用されないと判断された事例
(大阪地判令2・11・25)


刑 事

〇少年が、共犯少年らと共謀の上、深夜に一般民家に侵入し、現金等を強取するなどした強盗致傷等保護事件において、短期の処遇勧告を付すことは相当ではないとした上で少年を第1種少年院送致とした原決定につき、抗告を棄却した上で、少年には保護処分歴がないこと、少年の素行の乱れが比較的最近のものにとどまること、少年と両親の関係が良好であり、少年に両親の指導に従おうとする意欲が認められ、両親も指導への意欲を高めていることなどを指摘して、一般短期の処遇が相当と説示した事例
(東京高決令2・7・16)


判例評論

23 在外国民に次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認の請求が認容された事例
(東京高判令2・6・25)……巽 智彦

24 人格権に基づき、恐喝事件及び同和利権問題に関与したこと並びに元暴力団構成員であったことが記載されたインターネット検索結果を削除するよう求める請求が、認められなかった事例
(大阪高判令1・5・24)……町村泰貴

25 家屋の評価の誤りに基づき固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段所定の除斥期間の起算点
(最三判令2・3・24)……手塚貴大

26 被用者が使用者の事業の執行について第3者に加えた損害を賠償した場合における使用者への求償(いわゆる逆求償)の可否
(最二判令2・2・28)……大内伸哉
◆記 事◆

政教分離訴訟の新たな展開
 ──孔子廟違憲判決②孔子廟違憲判決を受けて
 ──原告代理人による論稿……德永信一


◆判決録細目◆

行 政

〇県知事が、公有水面埋立法2条1項に基づく埋立免許を受けた電力会社からの同免許に係る工事竣功期間伸長等の許可申請に対する許否の判断を留保したことについて、同判断留保には違法性が認められず、判断留保中にされた公金の支出も違法とはいえないとされた事例
(広島高判令2・1・22)

▽双極性障害により厚生労働大臣から障害等級3級の状態に該当するとして同級の障害厚生年金を支給する旨の処分を受けた原告が、自身の状態は少なくとも障害等級2級に該当する程度であったとして、前記処分の取消しを求めた事案において、裁判所が原告の生活状況、傷病の治療、病状の経過、精神鑑定を踏まえ、原告の障害が障害等級2級に該当すると判断し、前記処分を取り消した事例
(大阪地判令2・6・3)


民 事

〇1 ヴィジュアル系ロックバンドとしてグループ名を冠して実演活動をしていた構成員らには、当該グループ名を使用することについて、各人に人格権に基づくパブリシティ権があるとした事例
 2 ヴィジュアル系ロックバンドとして実演活動をしていた構成員らが、音楽事務所との間で、実演活動上のグループ名でマネージメントの専属契約を締結していた場合において、当該契約が終了した後には、当該事務所には、当該グループ名の利用権がないとした事例
(東京高決令2・7・10)

〇夜間に漁港の岸壁から自動車が海中に転落して運転者が死亡した事故につき、急激かつ偶然な外来の事故とは認められないとした原審の判断が維持された事例
(東京高判令2・7・15)

〇民法750条及び戸籍法74条1号の各規定は憲法14条1項、24条、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約又は市民的及び政治的権利に関する国際規約に違反するものではなく、国会が前記各規定を改廃して選択的夫婦別氏制を導入しない立法不作為は国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(広島高判令2・9・16)

▽くも膜下出血のため大学病院に入院していた患者が、入院中に低酸素脳症をきたしていわゆる植物状態になり、その後に死亡したことについて、看護師に生体情報モニタのアラーム設定の確認が不十分であった過失があるとされた事例
(東京地判令2・6・4)


労 働

▽取締役の従業員(労働者)該当性
(東京地判令2・3・11)


刑 事

〇1 殺人被告事件において、覚醒剤精神病に罹患し、妄想や幻聴のあった被告人の行為について、心神耗弱を認定した原判決を破棄して、心神喪失による無罪を言い渡した事例
 2 責任能力の判断基準である行動制御能力について、犯行を行わないでいることができる能力であることを明示して、原判決の判断に事実誤認があるとした事例
(東京高判平31・4・24)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年3月分)
◆記 事◆

政教分離訴訟の新たな展開──孔子廟違憲判決①
 孔子廟違憲判決批評……江藤祥平


◆判決録細目◆

民 事

◎請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴の係属中における、前記本訴請求債権を自働債権とし前記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁の許否
(最二判令2・9・11)

〇平成16年以降に地下を100メートル以上掘削して新たに湧出させた温泉であり、再生手続における財産評価において温泉権が零円と評価され、温泉権を認める慣習法の証明がないなどの判示の事実関係の下においては、慣習法上の物権である温泉権は成立しないとされた事例
(東京高判令1・10・30〈参考原審:東京地判平30・12・12〉)

〇1 別居親の面会交流権が憲法上保障されているとはいえないとした事例
 2 別居親の面会交流権について立法措置を執らないことが、国家賠償法上、違法の評価を受けるものとはいえないとした事例
(東京高判令2・8・13〈参考原審:東京地判令1・11・22〉)

▽遺言書本文が封入された封筒の裏面に、被相続人がある相続人より先に死亡した場合の遺言書との文言が記載された遺言書について、当該遺言は被相続人の死亡時に当該相続人が生存していることを停止条件としたものであり、同相続人が被相続人の生前に死亡していたことにより条件が成就しないことが確定したとして、遺言書が効力を失ったとされた事例
(東京地判令2・7・13)

▽いわゆるあおり運転に殺人罪が適用された刑事事件における損害賠償命令に対する異議申立て後の民事事件において、被告に車両の衝突及び被害者の死亡結果に対する未必の故意が認められた事例
(大阪地堺支判令2・7・30)

▽1 石綿を含有する吹付けロックウールが施された総合体育館が遅くとも平成2年5月頃には通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになったとされた事例
 2 従業員が石綿粉じんにばく露して死亡したことについて、雇用主であるビルメンテナンス会社に安全配慮義務違反が認められた事例
(福岡地判令2・9・16)

▽1 ドキュメンタリー映画の製作会社に報道の自由が認められた事例
 2 沖縄県議会の本会議の撮影を許可制とする沖縄県議会傍聴規則15条が地方自治法115条、憲法94条、21条に違反しないとされた事例
 3 原告が記者クラブに未加入であったことを理由に議長が本会議の撮影及び録音を不許可としたことが、憲法14条、21条に違反しないとされた事例
(那覇地判令2・8・5)


刑 事

〇窃盗未遂の被害者の名前を別の者の名前に変更する訴因変更を許さなかった原審の措置に訴訟手続の法令違反があるとして破棄し、原審に差し戻した事例
(東京高判令2・2・5〈参考原審:東京地判令1・10・4〉)
◆記 事◆

離別後の子の養育について
 ─英国司法省の報告書を中心に……藤村賢訓・小川富之


◆書 評◆

小山剛=新井誠編
『イレズミと法──大阪タトゥー裁判から考える』(尚学社、2020年)
評者……松尾 陽


◆判例特報◆

〇平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震が引き起こした津波の影響で発生した福島第一原発事故により旧居住地からの避難を余儀なくされるなどした福島県及び隣接県の住民である1審原告ら(提訴時3864人)が、旧居住地の空間線量率を本件事故前の値以下にすること(原状回復請求)及び平穏生活権侵害に基づく慰謝料等を求めた事案につき、原状回復請求は却下したものの、1審被告東京電力に対して原子力損害の賠償に関する法律3条1項に基づく損害賠償責任を認めるとともに、1審被告国に対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を認め、1審原告らの主張する損害の一部につき、1審被告らに対し連帯して支払うよう命じた事例
──東電福島第一原発事故避難者訴訟(福島県・隣接県)仙台高裁判決
(仙台高判令2・9・30〈参考原審:福島地判平29・10・10本誌2356号3頁〉)

解説
判決全文
参考論文
 仙台高裁令和2年9月30日判決の損害論
 ──原賠審基準の合理性と低線量放射線の危険性について……大塚正之


◆判例評論◆

18 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律附則19条1項の規定と憲法22条1項
(①東京地判令1・12・16、②大阪地判令2・2・25)……松本哲治

19 周辺住民らが開発工事の差止め等を求めた事案において、原告らの主張するまちづくり権について、法的な権利性を有するものとは認められないなどとして、請求が棄却された事例
(神戸地尼崎支判令1・12・17)……牛尾洋也

20 1 不明確性を有する契約条項と消費者契約法12条3項における消費者契約の不当条項該当性の判断の在り方
  2 「他の会員に不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合」などに会員資格取消措置等をとることができ、当該措置により会員に損害が生じたとしても当社は一切の損害を賠償しない旨を定める条項が、消費者契約法12条3項の適用上、同法8条1項1号及び3号の各前段に該当するとされた事例
(さいたま地判令2・2・5)……上杉めぐみ

21 婚姻費用分担審判申立て後に離婚が成立した場合の婚姻費用分担請求の可否
(最一決令2・1・23)……櫻井弘晃

22 ハーグ条約実施法の規定する子の返還申立事件に係る家事調停における子を返還する旨の定めと同法117条1項の類推適用
(最一決令2・4・16)……小池 泰
◆記 事◆

裁判制度のパラダイムシフト─過去と未来をつなぐ憲法上の10のテーマ(5)
 ──憲法裁判において最高裁判所をサポートするシステムその1
 ──アミカスキュリィ……笹田栄司


◆書 評◆

水町勇一郎『詳解 労働法』(東京大学出版会、2019年)
評者……大内伸哉


◆判決録細目◆

行 政

▽人工呼吸器による呼吸管理等の医療的ケアが必要な児童につき、地域の小学校に就学させたいとの父母の意向に反する、県教育委員会による特別支援学校への就学通知が違法でないとされた事例
(横浜地判令2・3・18)


民 事

〇売主が買主に対し、隣地所有者の立会いを得た上で資格のある者が作成した確定測量図を交付する旨約した土地の売買契約において、一部隣地所有者の署名押印がない確定測量図を交付したことが、約定の義務の履行とは認められないとされた事例
(名古屋高判令1・8・30)

〇先天性の脳性まひにより身体障害者福祉法別表第1級の認定を受け、特別支援学校に在籍していた生徒が、給食介助中の誤嚥により窒息状態に陥り、低酸素脳症に由来する重篤な脳障害を後遺した事故について、既存障害と新たに生じた障害とが、日本スポーツ振興センターが行う災害共済給付制度における「同一部位についての障害」に該当し、かつ、同一の障害等級となることを理由として、障害見舞金の支払請求を棄却した事例
(福岡高判令2・7・6)

▽1 被相続人の所有地について生前締結された賃貸借契約の初回の賃料支払日の到来以前に被相続人が死亡した事案において、同賃貸借契約が租税特別措置法施行令40条の2第1項にいう準事業に当たるとして、租税特別措置法69条の4の小規模宅地等の特例の適用があると判断した事例
 2 税理士法人が相続税申告の代理業務に係る委任契約上設けていた損害賠償責任を制限する旨の条項について、消費者契約法10条後段に反し無効と判断した事例
(横浜地判令2・6・11)


労 働

▽1 対外秘である行内通達等を無断で多数持ち出し、出版社等に漏えいしたことを理由とする銀行員への懲戒解雇が有効とされた事例
 2 前記懲戒解雇を理由とする退職金の不支給について、7割を不支給とする限度で合理性を有するとされた事例
(東京地判令2・1・29)


刑 事

〇協議・合意制度に基づく合意内容書面の信用性判断のための協議・合意に関して作成した文書の類型証拠開示を認めなかった事例
(東京高決令1・12・13)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年2月分)
◆書 評◆

樋口英明『私が原発を止めた理由』(旬報社、2021年)
評者……除本理史


◆判決録細目◆

民 事

◎事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合における先行の選挙の取消しを求める訴えの利益
(最一判令2・9・3)

〇国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である抗告人が、母である相手方に対して、子をその常居所地国であるアメリカ合衆国に返還するよう求めた事案において、同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があると認めて、子の返還申立てを却下した原決定を取り消し、同返還拒否事由等は認めることはできないとして子の返還を命じた事例
(東京高決令2・1・21〈参考原審:東京家決令1・9・13〉)

〇国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、母である相手方が、父である抗告人に対して、子をその常居所地国であるアメリカ合衆国(米国)に返還するよう求めた事案において、子の常居所地国を米国であるとした上で、同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があると認められないことから、子の返還を認めた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(東京高決令2・6・12〈参考原審:東京家決令2・2・28〉)

〇区分所有建物の管理組合の理事会規則(理事排除条項)が、管理規約による委任の範囲を逸脱しているなどの理由で無効であるとされた事例
(大阪高判令1・10・3〈参考原審:大阪地判平31・4・9〉)

▽娩出された胎児が巨大児として出生し右上肢肩肘機能全廃の後遺障害が残った事故について、出産を担当した産婦人科医に、帝王切開をすべき注意義務、帝王切開へと分娩術を変更できるような態勢を構築すべき注意義務があったとはいえないとされた事例
(大阪地判令2・3・13)


労 働

▽使用者が開催条件に固執したため団体交渉が開催されなかった場合において、不当労働行為(労働組合法7条2号)の成立を認めた事例
(東京地判令2・1・30)

▽市診療所所長であった医師の自殺につき、診療業務、患者虐待問題や病床廃止計画への対応による負荷が、総合的に評価すると精神疾患を発症させるほど過重であったとして、公務起因性を認め、公務外災害認定処分を取り消し、公務災害処分の義務付けをした事例
(盛岡地判令2・6・5)


刑 事

▽1 死亡した被害者が19名、負傷にとどまった被害者が24名に上る殺人、殺人未遂等の事件につき、被告人を死刑に処した事例
 2 犯行時の責任能力の有無及び程度につき、動因逸脱症候群を伴う大麻精神病にり患していた疑いは残らず、大麻又はこれに関係する何らかの精神障害が本件犯行に影響を与えたとは考えられないとして、完全責任能力を有していたと認めた事例
──相模原殺傷事件(横浜地判令2・3・16)
◆記 事◆

情報をめぐる現代の法的課題⑶
 ウェブ裁判(裁判手続IT化)の憲法論……吉原裕樹


◆書 評◆

Birke Häcker and Wolfgang Ernst編
『合議による裁判の比較法的検討(Collective Judging in Comparative Perspective)』
評者……①平野哲郎 ②新倉 修


◆判決録細目◆

民 事

◎参議院(比例代表選出)議員の選挙についていわゆる特定枠制度を定める公職選挙法の規定の合憲性
(最二判令2・10・23)

▽債務者が生活福祉資金貸付制度に基づいて社会福祉協議会から貸付けを受けた資金が入金された預金口座に対する債権差押えについて差押命令の一部取消しが認められた事例
(大阪地決令2・9・17)

▽市を事業主体とする土地区画整理事業又は非農用地造成事業により造成された土地を購入し、自宅建物を建築するなどした後、台風の影響による降雨によって床上浸水等の被害に遭った7名の原告らが、市に対して損害賠償を請求した事案において、市から直接土地を買い受けた3名の原告らとの関係では、市が、土地を売却する際に、市が把握していた土地に関する近時の浸水被害状況や今後浸水被害が発生する可能性に関する情報について開示し、説明すべき義務を怠ったとして原告らの請求を一部認容したが、その余の4名の原告らとの関係では、市の職員が職務上の法的義務に違背したということはできないとして原告らの請求を棄却した事例
(京都地判令2・6・17) 


知的財産権

◎特許権の通常実施権者が、特許権者を被告として、特許権者の第三者に対する特許権侵害を理由とする損害賠償請求権が存在しないことの確認を求める訴えにつき、確認の利益を欠くとされた事例
(最二判令2・9・7)

▽1 特許権の均等侵害の成否の判断において、対象製品が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるという特段の事情が存するとして、均等侵害が成立しないとされた事例
 2 特許法101条2号における「その物がその発明の実施に用いられることを知りながら」とは、当該物の性質、その客観的利用状況、提供方法等に照らし、当該物を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該物を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在し、その物の生産、譲渡等をする者において、そのことを認識、認容していることを要し、またそれで足りるとして、同号所定の間接侵害が成立するとされた事例
 3 特許法101条2号所定の間接侵害を構成する物について、当該物を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該物を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在することなどから、その生産、譲渡等につき間接侵害が成立するのであるから、用途に係る限定を付すことなく差止請求を認めたとしても過剰とはいえないとして、用途に係る限定を付さない差止請求が認められた事例
 4 特許法101条2号所定の間接侵害を構成する物について、特許発明に係る物の生産以外の用途に用いられている分は侵害者が得た利益と特許権者が受けた損害との相当因果関係を阻害する事情であるとして、その分について特許法102条2項に基づく推定の覆滅が認められた事例
(大阪地判令2・5・28)


労 働

▽1 個人面談における上司による従業員に対する退職勧奨の違法性がみとめられ、慰謝料として20万円が認容された事例
 2 従業員に対する査定制度の結果に基づいて賞与・給与の額が決定された場合に、その査定の違法性が否定された事例
(横浜地判令2・3・24)


刑 事

〇原決定の見解によれば、当該事件の捜査の過程で作成・入手した証拠でなくとも、弁護人の主張次第で開示対象はいかようにも広げられることになるが、このような帰結を法が予定しているとは思われないとして、原決定を取り消し、弁護人の裁定請求を棄却した事例
(名古屋高決令1・10・24〈参考原審:名古屋地決令1・10・7〉)

▽再審公判を覆審的に運用した上、被告人の自白などの検察官の証拠請求を却下して即日結審し、殺人につき被告人に無罪を宣告した事例
──松橋事件再審無罪判決(熊本地判平31・3・28)


判例評論

13 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったとき」の意義
(最二判令1・8・9)……神野礼斉

14 合資会社の無限責任社員が退社により当該会社に対して金員支払債務を負う場合
(最三判令1・12・24)……伊藤靖史

15 詐欺罪につき実行の着手があるとされた事例
(最一判平30・3・22)……冨川雅満

16 勾留の裁判に関する準抗告決定(原裁判取消し、勾留請求却下)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例
(最二決平30・10・31)……小島 淳 

17 裁判員裁判で審理された第1審判決に対して事実誤認があるとした原判決に382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例及び第1審における訴因変更命令等の義務の存否が問われた事例
(最二判平30・3・19)……上田信太郎
◆記 事◆

◎新連載
情報をめぐる現代の法的課題
⑴ 国民とソーシャルメディアとの基本的法律関係の考察……鬼頭季郎
⑵ 誰一人取り残さない「民事訴訟のICT化」に向けた総論的な緊急課題……川嶋四郎


いわゆる実行共同正犯について……小林憲太郎


コロナ禍社会における法的諸問題(17)
 ワクチン──優先順位・接種証明書……遠藤賢治


◆判決録細目◆

民 事

〇実父の養育費支払義務は、未成年者の養子縁組によって無くなるが、その始期を養子縁組時ではなく、実父からの養育費免除の調停申立時とした事例
(東京高決令2・3・4〈参考原審:東京家審令1・12・5〉)

〇交通事故の損害賠償請求事件において、事故車両が事故時に設置していたドライブレコーダー映像が民事訴訟法220条2号に掲げる準文書に該当すると判断して、原決定を取り消し、その所持者にその提出を命じた事例
(東京高決令2・2・21〈参考原審:東京地決令1・12・10〉)

〇被相続人の夫についての推定相続人廃除の申立てを却下した事例
(大阪高決令2・2・27〈参考原審:奈良家葛城支審令1・12・6〉)

〇国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき、父である抗告人が、母である相手方に対して、子をその常居所地国であるスリランカ民主社会主義共和国(スリランカ)に返還するよう求めた事案において、子の常居所地国は日本であってスリランカであるとは認めることはできないことから、子の返還申立てを却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(大阪高決令1・10・16〈参考原審:大阪家決令1・7・19〉) 

〇保険法施行後に締結された人身傷害補償保険契約の死亡保険金部分が傷害疾病損害保険契約(保険法2条7号)であり、死亡保険金請求権が被保険者に帰属するとされた事例
(福岡高判令2・5・28〈参考原審:福岡地判平31・4・12〉)

▽いずれもアメリカ合衆国国籍を有する夫婦に関し、妻に無断で夫が日本方式の協議離婚届を提出した事案において、妻が、夫に遺棄されて日本に帰国したと主張して、夫の死亡後に日本の検察官を被告として提起した離婚無効確認訴訟につき、協議離婚の方式による離婚が無効であると確認された事例
(東京家判令2・3・23)

▽児童福祉法28条1項に基づく、児童相談所長による、児童に対する児童心理治療施設等への入所措置の承認申立てが認容された事例
(大阪家審令2・3・6)

▽1 優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)4条ないし13条と憲法13条、14条1項及び24条2項
 2 国会議員による優生保護法の制定が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
 3 平成8年の優生保護法改正後に国会議員が被害者救済のための立法措置を採らなかったことは国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
 4 優生手術を理由とする国に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権の除斥期間
(札幌地判令3・1・15)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年1月分)
『統治構造において司法権が果たすべき役割・第2部』

◆巻頭言                       渋谷秀樹

◆第一章 憲法及び自由権規約上の弁護人依頼権     泉 徳治

◆第二章 参政権保障の諸制度と司法権
  ――判例分析を通じて見出される裁判所への期待   新井 誠

◆第三章 統治構造において「違憲審査制」が果たすべき役割
  ――比較憲法研究の観点から            横大道 聡

◆第四章 違憲審査の活性化のために(覚書)      曽我部真裕

◆第五章 憲法判例における論証作法と学説の「使命」
  ――非嫡出子相続分違憲決定・その後        山崎友也

◆第六章 マクリーン判決の間違い箇所         泉 徳治

◆第七章 「部分社会の法理」と司法権の限界      木下智史

◆第八章 米軍機飛行差止請求訴訟と国内法の適用
  ――最高裁「第三者行為論」の克服に向けて――   福田 護

◆第九章 立法権にとっての憲法と司法権にとっての憲法 毛利 透

◆第十章 団体の内部自治と司法権
  ――地方議会を中心として――           渡辺康行
◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情
 ──令和元年度──……池田知史


コロナ禍社会における法的諸問題(16)
 コロナ禍におけるリモート化・デジタル化と保険募集……山下徹哉


◆特 集◆

少年法等の一部を改正する法律案の検討
 ……山口直也・本庄 武・武内謙治・渕野貴生・山下幸夫


◆判決録細目◆

行 政

▽1 日常生活上喀痰吸引器具を必要とする公立学校の生徒ないしその保護者が、地方公共団体に対し、障害を理由とする差別の解消に関する法律7条2項に基づいて同器具の取得及び保管等を請求することの可否
 2 教育委員会が公立小学校の児童の登校の条件として喀痰吸引器具の取得並びに保護者による同器具及び連絡票の持参を義務付けたことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
 3 公立小学校の校長らにおいて児童の校外学習に保護者の付添いを求めたことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
 4 公立小学校の校長らにおいて児童が保護者の付添いなく地域の通学団に参加することができるように働き掛けをしなかったことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
 5 公立小学校の校長らにおいて児童を水泳の授業に参加させず、又は水泳の授業に高学年用のプールを使用しなかったことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(名古屋地判令2・8・19)


民 事

〇指名競争入札において建設業者に対する違法な指名回避があった旨の判決が確定したことにより損害賠償金の支払をした普通地方公共団体がその当時の首長及び指名業者を選定する委員会の長または職務代理等に対して提起した国家賠償法1条2項に基づく求償金等請求が認容された事例
(東京高判令1・11・27〈参考原審:水戸地下妻支判平31・2・27〉)

〇抗告人の二女である原審申立人が、抗告人について後見開始の審判の申立て(後に保佐開始及び代理権付与の審判の申立てに変更)をした事案において、抗告人が原審判に先立ってその孫(長女の子)との間で締結した任意後見契約は有効であると認めた上で、任意後見契約が締結されている場合における保佐開始の審判の要件である「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」(任意後見契約に関する法律10条1項)の要件が認められないとして、抗告人の保佐を開始した原審判を取り消し、原審申立人の保佐開始の審判の申立てを却下した事例
(高松高決令1・12・13)


知的財産権

▽1 特許法101条2号にいう「その発明が特許発明であること…を知りながら」の要件に関して、特許発明について特許請求の範囲の訂正があった場合であっても、訂正前の特許請求の範囲に係る発明を知っていれば、これを満たすとした事例
 2 特許法101条2号にいう「その物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件に関して、「当該部品等の性質、その客観的利用状況、提供方法等に照らし、当該部品等を購入等する者のうち例外的とはいえない範囲の者が当該製品を特許権侵害に利用する蓋然性が高い状況が現に存在し、部品等の生産、譲渡等をする者において、そのことを認識、認容していることを要し、またそれで足りる」とした事例──画面定義装置事件
(大阪地判平30・12・13)


刑 事

◎1 他の者が先行して被害者に暴行を加え、これと同一の機会に、後行者が途中から共謀加担したが、被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合と刑法207条
 2 他の者が先行して被害者に暴行を加え、これと同一の機会に、後行者が途中から共謀加担したが、被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合において、後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有しないときに、刑法207条を適用することの可否
(最二決令2・9・30)

◎ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成28年法律第102号による改正前のもの)2条1項1号にいう「住居等の付近において見張り」をする行為の意義
(最一判令2・7・30)
◆判例特報◆

公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
 ──令和1年参議院議員選挙投票価値較差訴訟大法廷判決(最大判令2・11・18)


◆記 事◆

東名高速あおり運転事件控訴審判決における因果関係の判断……松原芳博


◆判決録細目◆

民 事

◎不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより配当要求債権について差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるための要件
(最二判令2・9・18)

〇民法976条4項に基づく危急時遺言の確認の申立てについて、当該遺言が一応遺言者の真意に適うと判断される程度の心証は得ることができるとして、遺言の確認がされた事例
(東京高決令2・6・26〈参考原審:東京家審令2・2・4〉)

〇前件審判時と同程度の稼働能力を有すると認められるから、前件審判を変更すべき事情変更が認められないとして婚姻費用分担金の減額申立てを却下した事例
(大阪高決令2・2・20〈参考原審:神戸家尼崎支審令1・10・30〉)

〇所有権留保をした建設機械につき、割賦販売業者が、債務者から買い受けたという占有者に引渡しを求めた事案で、占有者は売主に所有権があると信ずるについて過失があったとして、即時取得が認められなかった事例
(仙台高判令2・8・6〈福島地いわき支判令2・1・10〉)

▽市長等倫理条例に基づく倫理審査請求書の不受理・返却について、国家賠償法上の違法性を認めた事例
(神戸地判令1・10・8)

▽インプラント施術の治療契約で、患者都合による治療中断の場合に治療費の返還はしない旨の条項が設けられたが、インプラント施術前に患者が死亡した事案において、前記条項は消費者契約法10条により無効であるとし、治療費の返還請求を一部認容した事例
(津地四日市支判令2・8・31)


知的財産権

○特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件を充足するためには、当業者において技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足り、厳密な科学的な証明に達する程度の記載までは不要であるとされた事例
(知財高判令2・7・2)


刑 事

〇長女を包丁で突き刺した行為が統合失調症の陽性症状である作為体験の影響によるものであるとする旨の裁判員の参加する刑事裁判に関する法律50条に基づく精神鑑定を排斥し、被告人の捜査段階における供述に依拠して殺意及び完全責任能力を肯定した原判断は、精神鑑定の信用性評価について論理則、経験則等に照らし不合理であり、行為当時被告人は心神喪失の状態にあった合理的な疑いがあるとして殺人未遂罪を認定した原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例
(広島高判令2・9・1〈参考原審:山口地判令2・2・3〉)


◆最高裁判例要旨(2020(令2)年12月分) 


◆判例評論◆

9 県知事による沖縄防衛局に対する公有水面埋立法42条1項に基づく埋め立ての承認を取り消す処分が、行政不服審査法に基づく国土交通大臣の裁決により取り消された場合において、当該裁決が地方自治法251条の5第1項の訴訟の対象となる「国の関与」に当たらないとして、同裁決の取り消しを求める同項の訴えを却下した事例
(福岡高那覇地判令1・10・23)……山田健吾

10 自動車保険契約における酒気帯び運転免責条項による免責の可否
(大阪高判令1・5・30)……竹濵 修

11 相続放棄手続が既に完了したとの相続人らの誤解や被相続人の財産についての情報不足などを考慮して熟慮期間の起算点を定めた事例
(東京高決令1・11・25)……大塚智見

12 家賃債務保証業者と賃借人との間で締結される家賃債務保証契約に含まれる複数の契約条項への消費者契約法8条1項3号又は10条の適用と12条3項に基づく差止請求の可否
(大阪地判令1・6・21)……谷本圭子
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