判例時報 発売日・バックナンバー

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◆記 事◆

議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(6)
 議会制民主主義の空洞化──国会の権限放棄を問う視角から……村西良太

コロナ禍社会における法的諸問題(22)
 刑事司法のデジタル化に対する期待とコロナ禍……今井輝幸


◆判決録◆

行 政 

◎性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号と憲法13条、14条1項
(最三決令3・11・30)


民 事

○伊方原発3号機につき、地震、火山の噴火等に起因する事故による人格権侵害のおそれを根拠として運転差止めを求めた仮処分命令申立事件において、運転差止めを命じた抗告審決定を取り消し、債権者らの抗告を棄却した事例
──伊方原発運転差止仮処分命令申立事件
(広島高決令3・3・18)

▽地方公共団体である原告が住民である被告に対し還付しすぎた住民税の返還を求める不当利得返還請求権につき、延滞金条例の適用はないとした事例
(大阪地判令3・10・13)


知的財産権

▽1 商品に関する表示が複数の商品形態を含む場合における不正競争防止法2条1項1号、2号にいう「商品等表示」該当性
 2 ハイヒールの靴底に赤色を付した表示が商品等表示には該当しないとされた事例
(東京地判令4・3・11)

▽フリーマーケットサイトにおいて、「#」(ハッシュタグ)に続く文字表記に原告の登録商標を記載する行為について、商標的使用にあたるとして商標権侵害に基づく差止請求を認容した事例
(大阪地判令3・9・27)


刑 事

▽3名の共謀による強制わいせつ致傷の公訴事実について、被害者の証言によって事件性を認めるには合理的な疑いが残るとして、共謀の検討をするまでもなく無罪の言渡しをした事例
(千葉地判令3・7・15)

▽任意同行後、被疑者をホテルに6夜にわたり宿泊させ、捜査官が常に被疑者の客室の前付近で警戒を続けていたなどの事実関係から、任意同行が実質的な逮捕に当たるとして、制限時間の不遵守を理由に勾留請求等を却下した原裁判を是認した事例
(富山地決令2・5・30)


◆最高裁判例要旨(2022(令4)年3月分)


◆判例評論◆

24 平水区域・沿海区域を航行する船舶への船主責任制限法の適用と責任制限の適用排除
(福岡高決令3・2・4)……増田史子

25 破産会社の過年度遡及損益修正に関する更正の請求と公正処理基準
(最一判令2・7・2)……長島 弘

26 正当な理由によって「不公正な取引方法の勧奨」が成立しないと判断された事例
(東京地決令3・3・30)……伊永大輔

27 有価証券届出書の財務計算部分に係る虚偽記載と元引受業者の民事責任──エフオーアイ事件
(最三判令2・12・22)……山下徹哉
◆記 事◆

議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(5)
 現代日本の議会制民主主義──その特徴と課題……待鳥聡史


◆判決録◆

行 政

〇1 心筋梗塞を申請疾病とする原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に対する却下処分につき、予防接種のたびに化膿していたことや結膜炎により眼球摘出を余儀なくされたといった申請人の被曝後の健康状態は放射線被曝による好中球等の機能低下により生じたものと推認することができ、このような健康状態や被曝状況等を考慮すれば、申請人に複数の心筋梗塞の危険因子が存在していることを踏まえても、前記申請に係る申請人の心筋梗塞については、原爆放射線に被曝したことに起因するものと認めるのが相当であるから前記却下処分が違法であるとして、前記却下処分の取消請求を棄却した原判決を変更し、前記却下処分を取り消した事例
 2 前記の原爆症認定申請につき、原爆症認定要件の充足に関する判断を誤って却下したことなどが国家賠償法上違法であるとはいえないとされた事例
(大阪高判令3・5・13)

▽墓地、埋葬等に関する法律10条1項に基づく経営許可がされた納骨堂の周辺に居住する者等が当該許可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
(大阪地判令3・5・20)

▽1 暴行被告事件で無罪が確定した原告による、逮捕等の違法を理由とする国家賠償請求及び被害者の被害申告が虚偽であることを理由とする損害賠償請求を棄却した事例
 2 捜査段階で取得された原告の指紋、DNA型、顔写真及び携帯電話の各データの抹消請求を一部認容した事例
(名古屋地判令4・1・18)


民 事

◎不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金を民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることの可否
(最三判令4・1・18)

▽債務の存在を争いつつ行った弁済の受領の催告について、債務の本旨に従った弁済の提供と認められた事例
(東京地判令3・8・30)


知的財産権

〇電話ボックス様の水槽に水をいれ金魚を泳がせた作品の著作物性が控訴審で認められた事例
(大阪高判令3・1・14)

▽原告漫画を含む著作物を無断掲載するサイト(海賊版サイト)の運営が同サイトに掲載される広告に係る広告料収入を唯一の資金源として行われていた事情の下で、広告主を募り広告料を同サイトに提供する行為が、著作権(公衆送信権)侵害の過失による幇助行為に当たると認められた事例
(東京地判令3・12・21)
◆記 事◆
不正指令電磁的記録に関する罪が保護するもの
 コインハイブ事件最高裁判決(最一判令4・1・20)……永井善之

講話 民事裁判実務の要諦(8)──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史

書評 水野浩二『葛藤する法廷──ハイカラ民事訴訟と近代日本』……伊藤 眞


◆判例特報◆

〇1 原子爆弾が投下された後において、いわゆる「黒い雨」を直接浴びたり、「黒い雨」降雨域で生活していた者につき、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」として「被爆者」に該当すると判断した事例
 2 原審判決と異なり、原子爆弾被爆者に対する
援護に関する法律27条所定の健康管理手当の支給対象となる11種類の障害に伴う疾病にり患したことを、同法1条3号の「被爆者」要件としなかった事例  ──「黒い雨」訴訟控訴審判決
(広島高判令3・7・14)


◆判決録◆

民 事

◎交通事故により被害者に身体傷害及び車両損傷を理由とする各損害が生じた場合における、被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効の起算点
(最三判令3・11・2)

▽神社の氏子会の会員が、同会の活動の一環として、神社の境内において、地上約5メートルの高さの地点で電動工具(チェーンソー)を用いて長さ約15メートル、重さ300キログラム以上の大枝を切り落とす作業をした際、落下した大枝が地上にいて同作業を見守っていた他の会員に当たり同人が死亡した事故において、日常事故賠償責任補償特約に基づき保険金が請求された事案につき、同事故は、同特約の保険金支払要件に規定する「日常生活に起因する」事故に該当しないとして請求が棄却された事例
(東京地判令3・6・22)

▽遺産の一部を相続させるものとされた複数の推定相続人の一部が遺言者の死亡以前に死亡したとしても、直ちに遺言全部が無効となるとは認め難いとされた事例
(東京地判令3・11・25)

▽外国において日本人がその国の方式に従って「夫婦が称する氏」を定めることなく婚姻をした場合には、「夫婦が称する氏」が定められて婚姻による夫婦同氏の効力が発生する前であっても、我が国において婚姻が有効に成立しているとされた事例
(東京地判令3・4・21)


知的財産権

▽1 公立大学の名称について、不正競争防止法2条1項2号の著名性が否定され、同項1号の周知性が認められた事例
 2 設置主体を示す文言の有無を異にする2つの大学の名称について、不正競争防止法2条1項1号の類似性が否定された事例
(大阪地判令2・8・27)


刑 事

◎強制わいせつ罪等を非親告罪とした「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号)の経過措置を定めた同法附則2条2項と憲法39条
(最三判令2・3・10)

▽精神障害による妄想・幻聴の影響下で家族及び近隣住民計5名を殺傷するなどした殺人、殺人未遂等の事案につき、捜査段階で行われた2名の精神科医による各精神鑑定の信用性を検討した上、心神喪失状態にあった疑いが残るとして無罪を言い渡した事例
(神戸地判令3・11・4)
◆記 事◆

統治構造において司法権が果たすべき役割第3部(4)
 裁判官の良心について……長谷部恭男


◆判決録細目◆

行 政

〇令和3年10月の衆議院小選挙区選出議員選挙における選挙区割りを定める公職選挙法の規定の憲法適合性
(大阪高判令4・2・3)


民 事

◎財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し相手方が即時抗告をすることの許否
(最一決令3・10・28)

〇親族間の土地使用貸借において、借主の死亡による民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)599条に基づく使用貸借の終了が否定されたが、当事者の信頼関係破壊を理由に同法597条2項ただし書の類推適用により使用貸借の解約が認められた事例
(名古屋高判令2・1・16〈参考原審:名古屋地半田支判平31・3・26〉)

〇交通事故により死亡した公務員の遺族が受領した死亡退職手当は、損益相殺として、被害者の退職手当逸失利益の当該遺族の相続分から控除されるが、退職手当逸失利益の当該相続分の額が死亡退職手当の額を下回る場合であっても、その差額を給与逸失利益等他の損害の費目から控除することは許されないとされた事例
(高松高判平30・1・25〈参考原審:高松地判平29・7・18〉)

▽大学の医学部入学試験において出願者の属性(女性、浪人生及び高等学校等コード51000以上の者)を不利に扱う得点調整は違法であり、同大学を運営する学校法人は入学試験の評価において属性を考慮する旨を告知する信義則上の義務を負うものとし、受験生の納入した入学検定料、受験票送料、送金手数料、出願書類郵送料、及び特定適格消費者団体に支払うべき報酬及び費用に相当する額について損害を認め、旅費及び宿泊費については支配性の要件を欠くとして請求を却下した事例
(東京地判令2・3・6)

▽店舗内の個室トイレに入室しようとした67歳の女性がトイレ内の段差に足を取られて転倒し傷害を負ったとして、同店舗の運営会社に対し損害賠償を求めた事案で、土地工作物責任(民法717条1項)が認められ、請求が一部認容された事例(過失相殺5割)
(横浜地判令4・1・18)

▽原告が主張する燃料電池ユニットを発生源とする低周波音による健康被害について、前記発生源から生じた低周波音により原告が健康被害を受けるようになり、同被害が継続している旨の具体的な立証がないとして請求を棄却した事例
(横浜地判令3・2・19)


労 働

〇従業員による暴行により三叉神経痛・心的外傷後ストレス障害(PTSD)が発症した旨の労災認定がされた事案につき、その発症・因果関係に疑問があり、PTSD発症についての予見可能性も認められないとして、顔面殴打に関連する眼科初診治療費等に限り損害賠償を命じた事例
(大阪高判令2・11・13〈参考原審:大阪地判平30・12・14〉)


刑 事

〇軽度知的障害を有する年少の養女に対する監護者性交等の事案において、捜査機関の関与前に児童相談所が実施していた被害者面接時の記録媒体を証拠採用し、その内容も踏まえた上で被害者証言の信用性を肯定して被告人を有罪とした差戻後第1審判決が控訴審において維持された事例
(福岡高判令3・10・29〈参考差戻前第1審:福岡地判令1・7・18、差戻前控訴審:福岡高判令2・3・11、差戻後第1審:福岡地判令3・6・9〉)


判例評論

19 違法行為の転換あるいは理由(法的根拠)の差替え
(最三判令3・3・2)……平 裕介

20 土地の売買契約の買主が売主に対し債務の履行を求めるための訴訟の提起等に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することができないとされた事例
(最三判令3・1・22)……都筑満雄

21 社債に対する利息制限法の適用の可否
(最三判令3・1・26)……松嶋隆弘

22 加害者が被害者を同乗させ被害者所有の自動車を運転中に起こした交通事故につき、加害者との間で自動車共済契約を締結していた共済事業者(原告)が被害者に対して損害賠償金を支払ったが、加害者と同居する加害者の父が他の共済事業者(被告)と自動車共済契約を締結していたときは、前記交通事故による損害については両共済契約の他車運転特約がそれぞれ適用されるから、両共済契約は保険法20条の重複保険に当たり、同条2項に基づき、原告は被告に対し、求償できるとした事例
(東京地判令2・6・22)……濱口弘太郎

23 自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例
(最一判令3・1・18)……浦野由紀子
◆記 事◆

わくわくする民事訴訟改正
──いよいよ「6か月内の迅速審理」がスタートする……定塚 誠

議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(4)
 代表構成と選挙制度をめぐる憲法論の「過少」
 ──司法判断で改めて留意してほしい諸論点……新井 誠


◆判決録細目◆

行 政

〇普通河川の敷地の占用に関する不許可処分について、市長の裁量権の行使に当たって事業の公共性・公益性等も考慮できるとして、市長の判断には裁量権の逸脱又は濫用の違法はないが、適切な理由が提示されなかったとして前記不許可処分が取り消された事例
(東京高判令3・4・21)

〇市が管理する道路の歩道部分に設置されたガソリンスタンドへの車両乗入口につき、車種、走行条件によっては車体底部が路面に接触し得る構造であるといえても、それにより生ずる損傷は軽微であり、多くの車両運転者は相応の注意を払って進入し接触を回避している実情にあるといえるから、車両乗入口として通常有すべき安全性を欠くとはいえず、車両乗入口を設置したガソリンスタンドの所有者につき不法行為責任及び道路を管理する市につき国家賠償責任がいずれも成立しないとされた事例
(名古屋高判令3・2・26)


民 事

〇民法811条6項の死後離縁の申立てにつき、生存養親又は養子の真意に基づく限り、原則としてこれを許可すべきであるが、離縁により養子の未成年の子が養親から扶養を受けられずに生活に困窮することとなるなど、社会通念上容認し得ない事情がある場合には、これを許可すべきではないと解した上で、本件においては、前記社会通念上容認し得ない事情がある場合に該当しないとして、推定相続人廃除の手続を潜脱する目的でなされた恣意的なものであるとして死後離縁の申立てを却下した原審判を取り消し、死後離縁の申立てを許可した事例
(大阪高決令3・3・30)

▽建物賃貸借契約が法定更新される場合にも更新事務手数料を必要とする条項について、消費者契約法10条に反し無効とした1審の判断を変更し、控訴審では同条に該当せず前記条項は有効であるとした事例
(東京地判令3・1・21)

▽子らの監護者の指定と引渡しを求めた事案において、主たる監護者は申立人であったところ、相手方は、単独監護の開始を強行した上、子らを海外渡航させて申立人との交流を断ったものであり、監護者としての適格を欠くとして、前記各申立てをいずれも認容した事例
(東京家審令3・5・31)


知的財産権

〇五線譜に表された音楽的要素及び「マツモトキヨシ」の片仮名で記載された歌詞の言語的要素からなる音商標が、商標法4条1項8号の「他人の氏名」を含む商標に当たらないと判断された事例
(知財高判令3・8・30)

〇1 音楽教室における教師の演奏行為の演奏主体は音楽教室事業者であり、その演奏行為は音楽教室事業者による演奏権の行使にあたるとした事例
 2 音楽教室における生徒の演奏行為の演奏主体を生徒であるとした事例
 3 音楽著作物を楽譜や録音物に複製することを許諾したことによって、演奏権が消尽することはないとした事例
(知財高判令3・3・18)


労 働

〇約1年間にわたり著しい長時間労働に従事していたレストランの調理師が、劇症型心筋炎を発症して最終的に死亡したことについて、レストラン経営会社代表者兼オーナーシェフには従業員である前記調理師に対する負担軽減措置を講じない注意義務違反があり、同注意義務違反及び長時間労働による過労状態と前記調理師の死亡との間の相当因果関係を肯定して損害賠償請求を認容した1審判決が控訴審でも維持された事例
(大阪高判令3・3・25)


刑 事

〇少年が、被害者を引き倒して腹部を踏みつけるなどの暴行を加え、腹部挫傷等の傷害を負わせたという傷害保護事件において、少年を第1種少年院送致とした原決定に対する処分の著しい不当を理由とする抗告につき、試験観察中に補導委託先から無断退去し、不良交友に居場所を求めたこと等を指摘し、抗告を棄却した事例
(東京高決令3・9・6)


◆最高裁判例要旨(2022(令4)年2月分)
◆記 事◆

講話 民事裁判実務の要諦(7)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史


◆書 評◆

加藤新太郎『民事事実認定の技法』(弘文堂、2022)
評者……山浦善樹


◆判決録細目◆

行 政

▽1 1型糖尿病にり患し、国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分が違法であるとされた事例
 2 1型糖尿病にり患し、国民年金法に基づく障害基礎年金の支給を受けていた者に対してされた同法36条2項本文に基づく支給停止処分、及び1型糖尿病にり患し、同項本文の規定に基づく支給停止処分を受けた者に対してされた、支給停止を解除しない旨の処分が、違法であるとはいえないとされた事例
(大阪地判令3・5・17)


民 事

〇1 前訴と訴訟物を異にする後訴において前訴の確定判決の理由中で判断されたものより高度の後遺障害の存在を主張することが信義則上許されないとされた事例
 2 交通事故の被害者が後遺障害について違法に虚偽の申告をしたことと加害者との間で自動車損害賠償責任保険契約を締結していた保険会社による後遺障害等級認定及び保険金の支払との間に相当因果関係がないとされた事例
(大阪高判令2・1・31〈参考原審:大阪地判平31・4・18〉)

〇抗告人(母)が未成年者らを相手方(父)と直接的面会交流させることを内容として成立した調停調書に基づいて相手方が間接強制を申し立てた事案において、当事者間では新型コロナウイルス感染症の流行拡大を踏まえて代替としてビデオ通話を利用するなどして面会交流が実施されてきており、実際に何らの面会交流もされなかったのは緊急事態宣言発令下の1回のみであること、前記調停調書が定める以外にも抗告人が未成年者らと相手方との直接的面会交流をさせてきたこと等の事情によれば、相手方が間接強制により面会交流させることの履行を求めることは過酷執行に当たるなどとして、原決定を取り消し、相手方の間接強制の申立てを却下した事例
(大阪高決令3・8・2〈参考原審:京都家決令3・5・31〉)

▽男性教授が、女子学生に対し、同女子学生が虚偽又は誇張したセクハラ被害を大学設置者に申告するとともに、他の学生による同様の被害申告を首謀又は主導したため懲戒処分を受けたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を請求したが、同女子学生が虚偽又は誇張した申告をしたり、他の学生による同様の被害申告を首謀又は主導したりしたとは認められず、また、同女子学生の行為と同男性教授が受けた懲戒処分との間に相当因果関係を肯定することもできないとして、請求が棄却された事例
(横浜地判令2・12・18)

▽幼稚園の園庭の南側に隣接する土地上に高層マンションを建築するに当たり幼稚園の日照について配慮すべき義務を怠ったとして、幼稚園を運営する法人によるマンションを建築した会社に対する損害賠償請求が認容された事例
(名古屋地判令3・3・30)

▽「K」字型の変形交差点において発生した自動車事故に関し、同交差点に接続する2つの道路の対面信号が、「共に一定時間青色表示となるように設定された信号機」につき、その設置・管理に瑕疵があるとした事例
(神戸地判令3・6・25)

▽出生届未了の子が母(フィリピン国籍)の元夫である相手方(日本国籍)に対して申し立てた嫡出否認の調停において、合意に相当する審判を行うことができるとした上で、申立人が相手方の嫡出子であることを否認した事例
(東京家審令3・1・4)


労 働

▽県立高校の教員が、栃木県高等学校体育連盟の主催する春山安全登山講習会の講師としての業務に従事中に雪崩に巻き込まれた災害について、公務遂行性が認められた事例
(宇都宮地判令3・3・31)
◆書 評◆

①高野隆『人質司法』(角川書店、2021年)
 評者……木谷 明

②栗田路子ほか『夫婦別姓─家族と多様性の各国事情』(筑摩書房、2021年)
 評者……澤 康臣


◆判決録細目◆

行 政

〇刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たらないとして、開示しない決定を是認した1審判決を取り消した事例
(大阪高判令3・4・8〈参考原審:大阪地判令2・9・11〉)

▽夜間、自動車が交差点を左折した際に中央分離帯に乗り上げた事故につき、同交差点に設置されていた街灯が点灯しておらず、視認性が低下したとして営造物の設置・管理の瑕疵を認め、それと事故との間に相当因果関係があるとされた事例
(神戸地判令3・1・22)


民 事

〇事業用大型貨物自動車の走行中にエンジンから出火した事故により生じた損害について、その製造業者が製造物責任法3条に基づく賠償責任を負うとされた事例
(大阪高判令3・4・28〈参考原審:大阪地判平31・3・28〉)

〇家事事件手続法279条1項本文の利害関係人について、審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず、当該審判によって変動する身分関係を前提として、自らの身分関係に変動を生ずる蓋然性のある者も含まれるとして、合意に相当する審判に対する異議申立却下審判に対する抗告を認容して原審判を取り消した事例
(大阪高決令3・3・12)

▽1 精肉作業に用いられた工場内の機械について、管理責任者が、同機を用いた特定の精肉作業により生じる危険性を容易に認識し得た場合において、使用者が、同機に何らの備えもしないまま、非熟練労働者を前記作業に従事させたことが安全配慮義務違反に当たるとした事例
 2 前記の場合において、使用者が、非熟練労働者に対し、前記作業を踏まえた具体的な安全衛生教育をしなかったことが安全配慮義務違反に当たるとした事例
(横浜地判令3・3・26) 

▽債務者の受給年金等の振込先口座の預金債権を差し押さえ、これを取り立てた債権者が、その取り立てた金額の不当利得返還義務を負うことを認めた事例
(神戸地尼崎支判令3・8・2)


知的財産権

▽時計原画が著作物に当たり、時計製品の販売行為が当該時計原画に係る著作権を侵害していることを理由とする、当該時計製品の頒布差止め及び廃棄並びに損害賠償等の請求が棄却された事例
(大阪地判令3・6・24)


刑 事

◎人を欺いて補助金等又は間接補助金等の交付を受けた旨の事実について詐欺罪で公訴が提起された場合において、当該行為が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪に該当するときに、刑法246条1項を適用することの可否
(最三決令3・6・23)

▽1 暴力団組織の序列1位及び同2位の立場にある被告人両名が、その配下組員らの行った殺人1件及び組織的殺人未遂等3件について、共謀共同正犯の罪責を負うとされた事例
 2 殺人の死亡被害者が1名である前記事案において、暴力団組織の序列1位の被告人に死刑、同2位の被告人に無期懲役がそれぞれ言い渡された事例
(福岡地判令3・8・24)


判例評論

14 那覇市至聖廟事件上告審判決
(最大判令3・2・24)……木村草太

15 債権の仮差押えを受けた仮差押債務者がその後に第三債務者との間で当該債権の金額を確認する旨の示談をした場合において、当該債権に対する差押命令及び転付命令を得た仮差押債権者が第三債務者に対して当該示談で確認された金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令3・1・12)……山本 研

16 ロックバンドの実演家のグループ名について人格的権利としてのパブリシティ権を肯定したうえで、専属契約の相手方である音楽事務所へのその帰属を否定した事例
(東京高決令2・7・10)……本山雅弘

17 1 無期雇用労働者に支給されている賞与が、有期雇用のアルバイト社員には払われない措置が、労働契約法旧20条に照らして不合理なものとは言えないとされた事例(①事件)―大阪医科薬科大学事件

  2 無期雇用労働者に支給されている退職金が、有期雇用の契約社員には払われない措置が、労働契約法旧20条に照らして不合理なものとは言えないとされた事例(②事件)―メトロコマース事件
(①②最三判令2・10・13)……野川 忍

18 被告人が、同居の実子(当時19歳)が被告人による暴力や性的虐待等によって抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて性交をしたとされる準強制性交等罪の事案において、抗拒不能状態を認定できないとして無罪を言い渡した原判決を破棄して有罪とした事例
(名古屋高判令2・3・12)……嘉門 優
◆記 事◆

許可抗告事件の実情 ──令和3年度──……福井章代・宮脇雅代


◆判決録細目◆

行 政

〇国がマイナンバー制度により個人番号を収集、保存、利用及び提供する行為は、当該個人が個人番号の利用に同意していないとしても、憲法13条の保障する個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を侵害するものではないとした事例
(仙台高判令3・5・27〈参考原審:仙台地判令2・6・30〉)


民 事

〇介護老人保健施設の介護支援専門員等が、入所者から利用料金の負担軽減の相談を何度も受けていたのに、食費及び居住費の支払を自己負担額に限定できる介護給付申請制度の説明を怠ったとして説明義務違反による過失を認め、不法行為に基づく損害賠償金(過失相殺3割)の支払を使用者である施設運営者に命じた事例
(東京高判令3・10・27〈参考原審:東京地判令3・3・12〉)

〇交通事故により労働能力を喪失(100%)した全盲の視覚障害者(事故当時17歳、女性)の後遺障害逸失利益の算定に用いる基礎収入の額について、就労可能期間を通じ、賃金センサス(男女計、学歴計、全年齢)の平均賃金の8割とした事例
(広島高判令3・9・10〈参考原審:山口地下関支判令2・9・15〉)

▽同性愛者である被告(女性)が原告の妻と性的行為を行ったことについて、不貞行為に該当するとして不法行為に基づく損害賠償請求を認めた事例
(東京地判令3・2・16)

▽妻が夫に対し、婚姻費用の支払を求めた事案において、①分担の始期は、内容証明郵便により分担を求める意思を確定的に表明した時点を基準とし、②その算定に関し、標準算定方式及び算定表は、法規範ではなく、合理的な裁量の目安であるとして、改定前の算定表等を用いる合意があるなどの事情がない限り、改定後の算定表等による算定に合理性がある以上、同算定表等の公表前の未払分を含め、同算定表等により分担額を算定するのが相当であるとした事例
(宇都宮家審令2・11・30)


知的財産権

〇弁護士が懲戒請求に対する反論をブログに掲載するに当たり、未公表の懲戒請求書にリンクを張ったことについて、懲戒請求書の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)に基づく前記弁護士に対する損害賠償請求は権利濫用に当たり許されないとされた事例
(知財高判令3・12・22〈参考原審:東京地判令3・4・14〉)


労 働

〇出産後1年を経過していない女性労働者に対する解雇が、客観的合理的な理由を欠いており、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条4項に違反し、無効とされた事例
(東京高判令3・3・4〈参考原審:東京地判令2・3・4〉)


刑 事

▽電子連動装置の設置にともなう訓練中に、無遮断状態の踏切に電車が進入し、同踏切に進入してきた被害者運転の乗用車と衝突した結果、被害者が傷害を負ったという事案において、鉄道会社の鉄道部運輸課長および運転管理者であった被告人に業務上過失傷害罪が成立しないとされた事例
(京都地判令3・3・8)
◆記 事◆

統治構造において司法権が果たすべき役割第3部(3)
 憲法理論からみた同性婚の省察……渋谷秀樹

講話 民事裁判実務の要諦(6)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史


◆書 評◆

筧康生ほか編『詳解商業登記〔全訂第3版〕』(きんざい、2022年)
評者……服部 悟


◆判決録◆

民 事

◎宅地建物取引業法3条1項の免許を受けない者が宅地建物取引業を営むために免許を受けて宅地建物取引業を営む者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意の効力
(最三判令3・6・29)

〇婚姻費用分担事件において、失職した義務者の収入について、潜在的稼働能力に基づく収入の認定が許されるには、就労が制限される客観的、合理的事情がないのに主観的事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず、そのことが婚姻費用の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される特段の事情が必要であるとされた事例
(東京高決令3・4・21〈参考原審:宇都宮家審令2・12・25〉)

〇破裂脳動脈瘤に対する血管内治療であるコイル塞栓術を受けた女性が、術中の前記動脈瘤の再破裂により死亡したことにつき、医師らの手技上の注意義務違反を認定した上で、原判決を変更し、請求を一部認容した事例
(広島高判令3・2・24〈参考原審:広島地判平31・2・22〉)

〇防衛大学校の元学生が、在校中上級生らから暴行、強要等のいじめ行為を受けたことにつき、履行補助者である同校教官らに安全配慮義務違反があるとして、国の損害賠償責任が認められた事例
(福岡高判令2・12・9〈参考原審:福岡地判令1・10・3本誌2455号16頁〉)

▽ツイッター上で名誉権を侵害する投稿があった場合において、当該投稿の直前にアカウントにログインした際の発信者情報につき、経由プロバイダに対する開示請求が認められた事例
(東京地判令3・1・15)

▽新聞紙上に、原告らの氏名、年齢、職業、国籍と共に、住所の地番までを記載した上で、原告らが逮捕された事実を報道する記事を掲載したことが、原告らのプライバシーを侵害し、不法行為が成立するとした事例
(静岡地判令3・5・7)


刑 事

〇1 近隣の住人5人を殺害した事案につき、犯行当時妄想性障害の強い影響を受けていたとして、心神耗弱を認定した事例
 2 控訴審において精神鑑定を行い、1審での精神鑑定と控訴審での精神鑑定の内容を比較検討して、判断の基礎とする鑑定を定め、これに従って検討した結果、完全責任能力を認定した1審判決には事実誤認があるとして、死刑判決を破棄して無期懲役刑を言い渡した事例
(大阪高判令2・1・27〈参考原審:神戸地判平29・3・22〉)

▽警察官1名を殺害してけん銃を奪った上、そのけん銃で更に1名を殺害するなどした事件につき、警察官に対する強盗殺人罪の成立を否定した上で、非難可能性の面でASD(自閉症スペクトラム障害)の影響があったこと、計画性が高くないことなどを考慮し、被告人を無期懲役に処した事例
(富山地判令3・3・5)
◆記 事◆

裁判制度のパラダイムシフト──過去と未来をつなぐ憲法上の10のテーマ(8)
──訴訟上の和解を媒介にした政策形成──司法の役割とその限界……笹田 栄司

コロナ禍社会における法的諸問題(21)
 コロナ禍における刑事裁判実務……半田 靖史


◆判決録◆

行 政

◎相続税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)55条に基づく申告の後にされた増額更正処分のうち前記申告に係る税額を超える部分を取り消す旨の判決が確定した場合において、課税庁は、国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後に相続税法32条1号の規定による更正の請求に対する処分及び同法35条3項1号の規定による更正をするに際し、当該判決の拘束力によって当該判決に示された個々の財産の価額等を用いて税額等を計算すべき義務を負うか(消極)
(最一判令3・6・24)


商 事

◎監査の範囲が会計に関するものに限定されている監査役は、計算書類及びその附属明細書の監査を行うに当たり、当該計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、その任務を尽くしたといえるか(消極)
(最二判令3・7・19)


民 事

○1 家賃債務保証業者に賃貸借契約を無催告解除する権限を付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号、10条に該当するとはいえないとして、適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
 2 賃借人が賃料等の支払を2か月以上怠り、家賃債務保証業者において合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡がとれない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、賃借物件を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存するときに、賃借人が明示的に異議を述べない限り、賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を家賃債務保証業者に付与する趣旨の消費者契約の条項等が消費者契約法8条1項3号、10条に該当するとはいえないとして、適格消費者団体による同法12条3項に基づく差止等の請求が棄却された事例
(大阪高判令3・3・5)

▽被告が夫と不貞行為を行ったとして妻である原告が被告に対し不法行為による損害賠償を求めたのに対し、メールのやりとりや夫が所持していたホテルの利用明細書等だけではただちに被告と原告の夫との不貞関係は認定できないとして、その請求を棄却した事例
(東京地判令3・1・27)

▽暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律3条の指定暴力団の構成員らが行った特殊詐欺について、同法31条の2本文の威力利用資金獲得行為に該当すると認められ、当該指定暴力団の代表者等にも損害賠償責任が認められた事例
(東京地判令3・2・26)

▽廃棄物処分場の立地自治体が、同処分場における廃棄物の不適正な処理の結果生じる生活環境保全上の支障等の除去のための措置に要した費用のうち自己の負担割合を超える部分について、同処分場に一般廃棄物を搬入してその処分を委託した者に対して行った、事務管理に基づく有益費償還請求が認められた事例
(福井地判令3・3・29)

▽建設中の産業廃棄物の安定型最終処分場について、有害物質の漏出により井戸水が汚染されるおそれがあるとして建設、使用及び操業禁止の仮処分命令の申立てが認められた事例
(広島地決令3・3・25)


知的財産権

▽タコの形状を模した公園の遊具である滑り台の著作物性が否定された事例
(東京地判令3・4・28)


◆最高裁判例要旨(2022(令4)年1月分)


◆判例評論◆

9 事業協同組合において先行する理事選挙について取消しの訴えが提起された後に後任の理事選挙がされた場合の、先行する理事選挙に関する訴えの利益(最一判令2・9・3)……久保 大作

10 福島第一原発事故による放射能汚染について、国の規制権限不行使に基づく損害賠償責任が認められた事例──生業訴訟控訴審判決(仙台高判令2・9・30)……近藤 卓也

11掘削して湧出させた温泉について慣習法上の物権としての温泉権は成立しないとされた事例(東京高判令1・10・30)……宮﨑 淳

12 日本スポーツセンターが行う災害共済給付制度における「同一部位についての障害」の意義(福岡高判令2・7・6)……肥塚 肇雄

13 団交ルールへの固執と団交拒否の不当労働行為(東京地判令2・1・30)……早津 裕貴
◆記 事◆

民法理論のいま──実務への架橋という課題(6)
 「説明義務」と「適合性の原則」について……近江 幸治

書評
 井田良『死刑制度と刑罰理論──死刑はなぜ問題なのか』……大谷 實


◆判決録◆

行 政

〇経済産業局長が採石権の存続期間の更新決定をすることができるのは、土地所有権の制限を正当化し得るに足りる公共の利益がある場合に限られるとされた事例
(東京高判令3・2・18)


民 事

〇1 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2本文に規定する「威力を利用」する行為とは、当該指定暴力団に所属していることにより資金獲得行為を効果的に行うための影響力又は便益を利用することをいい、当該指定暴力団員としての地位と資金獲得行為とが結びついている一切の場合をいうとした事例
 2 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2本文に規定する「威力を利用」する行為とは、資金獲得のために威力を利用するものであれば足り、被害者又は共犯者に対して威力が示されることは必要ではないとした事例
 3 指定暴力団の元会長に対して暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律31条の2に基づく損害賠償責任を認めた事例
(東京高判令3・3・22)

▽芸能人養成スクールが規定する入学時諸費用(38万円)の不返還条項について、消費者契約法9条1号の適用を認め、入学費用のうち地位獲得対価部分12万円、平均的損害1万円の合計13万円を超えて返金しないとの意思表示についての差止請求を認めた事例
(東京地判令3・6・10)

▽1 公正証書によらない死因贈与契約において、執行者を定めることができるとされた事例
 2 死因贈与の執行者は、死因贈与された銀行預金の払戻請求をする権限を有し、払戻請求訴訟の原告適格を有するとされた事例
 3 預金契約に譲渡禁止特約がある場合、受贈者は原則として死因贈与契約によって預金債権を取得できないとされた事例
 4 銀行が、執行者からの払戻請求を拒絶したことが信義則に違反しないとされた事例
(東京地判令3・8・17)

▽実父の遺産分割協議につき、家庭裁判所による特別代理人の選任がなかったとし、また、親権者とその未成年の子を当事者とする場合には遺留分制度の意義を踏まえて行わなければならないはずが、当該遺産分割協議は子である原告に大きな不利益をもたらし、客観的公正さを欠くものであることを理由に、その遺産分割協議が不成立ないし無効であるとして、原告がその母親(親権者)である被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得に基づく返還請求を求めたがいずれも認められなかった事例
(東京地判令2・12・25)

▽証券会社従業員の勧誘により行われた取引所株価指数証拠金取引について、その勧誘行為が新規委託者保護義務違反及び過当取引に当たるとして証券会社及びその支店長に不法行為に基づく損害賠償責任を認めた事例
(名古屋地判令3・5・20)


労 働

▽1 変形労働時間制を無効とした上で、労働時間管理システムでの店長による退社時刻の修正等の事実を認定し、これを前提に労働時間が認定された事例
 2 セミナー受講後2年以内に退職した場合に受講料等を返納しなければならないとの合意が無効であるとされた事例
(長崎地判令3・2・26)
◆記 事◆

海外判例研究──第13回──
  憲法……大林啓吾
  民法……胡 光輝
      ダン ローゼン・西口 元
  消費者法……カライスコス アントニオス
  刑法……神馬幸一
      仲道祐樹

講話 民事裁判実務の要諦(5)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史


◆特 集◆

裁判手続のIT化のこれから・市民にとって利用しやすい裁判とは(下)
──日弁連主催・第29回司法シンポジウム「民事裁判手続のIT化とこれからの司法」
  第4部 パネルディスカッション(後半)


◆判決録◆

民 事

◎担保不動産競売の債務者が免責許可の決定を受け、同競売の基礎となった担保権の被担保債権が前記決定の効力を受ける場合における、当該債務者の相続人の民事執行法188条において準用する同法68条にいう「債務者」該当性
(最一決令3・6・21)

〇テレビジョン受信機に日本放送協会の放送に係る電波のみを減衰する機器を取り付けた場合であっても、当該機器を取り外したり、又は当該機能を働かせなくさせたりすることにより、放送を受信することのできる状態にすることができるときには、当該受信機設置者は放送法64条1項に規定する受信設備を設置した者に当たるとした事例
(東京高判令3・2・24)

〇1 個人事業主とリース会社とのソフトウェアのリース契約について、特定商取引に関する法律に基づくクーリング・オフによる契約解除の主張が排斥された事例
 2 前記リース契約に基づくリース料請求が信義則に基づき7割に制限されるとされた事例
(大阪高判令3・2・16)

▽「一切の遺言を全部撤回する」旨の遺言公正証書が遺言能力を欠く状態で作成されたとして、無効とされた事例
(東京地判令3・3・31)

▽弁護士会が所属弁護士に対してした業務停止1月の懲戒処分が違法であったとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認容された事例
(東京地判令3・1・26)

▽無痛分娩のための腰椎麻酔における注意義務違反により母親が重篤な後遺障害を負い、胎児が重篤な後遺障害を負って約6年後に死亡した事案につき、債務不履行により医療法人に対し総額約3億円の賠償支払が命じられた事例
(京都地判令3・3・26)

▽1 放送法遵守義務確認訴訟は裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるが、確認の利益を欠くとして却下された事例
 2 受信者らの放送法4条違反等の損害賠償請求は理由がないとして請求が棄却された事例
(奈良地判令2・11・12)
◆特 集◆

裁判手続のIT化のこれから・市民にとって利用しやすい裁判とは(上)
──日弁連主催・第29回司法シンポジウム「民事裁判手続のIT化とこれからの司法」
 第4部 パネルディスカッション(前半)


◆判決録◆

行 政

▽映画製作会社がした文化芸術振興費補助金に係る助成金の交付申請に対し、その製作映画の出演俳優が麻薬及び向精神薬取締法違反による有罪判決を受けたことを理由に前記助成金を交付しないとした処分が、独立行政法人日本芸術文化振興会理事長の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるとされた事例(東京地判令3・6・21)

▽1 中部地方整備局長及び静岡県知事が行った鉄道高架化に係る都市計画の事業計画の各変更認可について、同都市計画の事業地周辺に居住等する者の原告適格が否定された事例
 2 前記各変更認可の前提となる都市計画決定が違法とはいえないとされた事例
 3 前記各変更認可が、前記都市計画決定後の社会・経済情勢の変化との関係において違法とはいえないとされた事例
(静岡地判令2・12・24)


民 事

〇商品にベーコンビッツの骨片の残存可能性についての警告表示がなかったことをもって、商品が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえないとした事例
(東京高判令2・1・15)

〇太陽光発電事業者が保険会社との間で太陽光発電所設置工事につき組立保険契約を締結していた場合において、河川の氾濫により工事の材料であった太陽電池モジュール(太陽光パネル)が浸水した保険事故の保険金の対象となる復旧費につき、「保険事故発生前の正常な状態と物理的、機能的に同一の状態に復するために必要な費用に限られる」とした事例
(福岡高宮崎支判令2・7・8)

〇婚姻意思がなかったことを理由とする婚姻無効確認請求訴訟について棄却された原判決が控訴審において取り消され、婚姻無効が確認された事例
(札幌高判令3・3・10)

▽1 キャバクラ店の従業員である被告が使用者である原告との間でした、被告が私的交際をせずこれに違反した場合は原告に対して違約金200万円を支払う旨の合意は、労働基準法16条に違反し無効であると判断された事例
 2 前記合意が、公序良俗に反し無効であると判断された事例
(大阪地判令2・10・19)

▽申立人ら夫婦が申立人母の非嫡出子を養子にすることの許可を求めた事案において、申立人父との関係ではニュージーランド法を、申立人母との関係では日本法をそれぞれ準拠法として認定した上、各準拠法における養子縁組の要件を検討し、申立てを許可した事例
(東京家審令3・1・27)


商 事

◎会社法182条の4第1項に基づき株式の買取請求をした者が同法182条の5第5項に基づく支払を受けた場合における前記の者の同法318条4項にいう「債権者」該当性
(最二判令3・7・5)

▽金融商品取引法166条1項1号の規定に違反して上場会社等の特定有価証券等の売買をしたことを理由とする課徴金納付命令について、業務執行を決定する機関が同条2項1号ヨ(令和1年法律第71号による改正前のもの)の「業務上の提携」を行うことについての決定をしたとは認められないとされた事例
(東京地判令3・1・26)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年12月分)


◆判例評論◆

 5 数筆の宅地が一画地の宅地として認定される場合における、各筆の宅地の評価方法
(最一判令2・3・19)…渋谷 雅弘

 6 司法解剖に関連する資料の文書提出義務―鑑定書の写し等の刑事事件関係書類等該当性(①決定)及び解剖写真の法律関係文書該当性(②決定)
(①②最三決令2・3・24) …内海 博俊

 7 公認会計士協会から上場会社監査事務所名簿への登録を認めない旨の決定を受けた公認会計士らにつき、その実施した監査手続が当該監査において識別すべきリスクに個別に対応したものであったか否か等の点を十分に検討することなく当該決定の前提となる監査の基準不適合の事実はないとして当該決定の差止めを認めた原審の判断に違法があるとされた事例
(最二判令2・11・27)…原 弘明

 8 市診療所所長であった医師の自殺につき、診療業務、患者虐待問題や病床廃止計画への対応による負荷が、総合的に評価すると精神疾患を発症させるほど過重であったとして、公務起因性を認め、公務外災害認定処分を取り消し、公務災害処分の義務付けをした事例
(盛岡地判令2・6・5)…弘中 章
◆記 事◆

情報をめぐる現代の法的課題⑼
 令和3年改正個人情報保護法と個人情報保護条例の効力……齋藤  裕

振り込め詐欺救済法に係る裁判例の問題点……加松 正利


◆判決録◆

行 政

〇市庁舎前広場の使用許可申請に対する不許可処分を適法とした原審の判断が維持された事例
(名古屋高金沢支判令3・9・8)


民 事

〇不在者に対する債権者となる可能性があるにとどまる者は、民法30条1項の「利害関係人」に該当しないから、失踪の宣告を申し立てることができないとされた事例
(東京高決令2・11・30)

〇大気汚染による周辺住民の健康被害のほか地球温暖化や生態系への悪影響を理由として、石炭火力発電所・仙台パワーステーションの運転差止めを求めた請求が、認められなかった事例
(仙台高判令3・4・27)

▽破産債権者に対してなされた支払不能後の期限前弁済について、破産法162条2項2号に基づく悪意の推定を覆すには至らないとされるとともに、前記弁済を受けさせた前記破産債権者の代表取締役がその職務を行うについて悪意又は重過失があったとして会社法429条1項の責任を負うとされた事例
(東京地判令2・1・20)

▽外国人技能実習の監理団体が、外国人技能実習生の帰国の意思を書面により確認し、外国人技能実習機構に書面で届け出る義務があり、しかも、外国人技能実習生の旅券及び在留カードを保管すること等が禁止されているにもかかわらず、それらに違反した上で帰国させようとしたこと等について、外国人技能実習生に対する不法行為責任が認められた事例
(熊本地判令3・1・29)

▽原告と原告の取締役であった被告との間においては、被告が原告を退職後に競業会社の取締役に就任し、同社へ原告の従業員を多数転職させるとともに、原告の顧客情報を漏洩して原告の顧客である取引先を侵奪したと主張して、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求をしている別訴があり、既に債務不履行等を認める判決が言い渡され、同判決は控訴されているから、被告の退職後の競業避止義務及び秘密保持義務に違反したことなどを理由にして損害賠償請求を求める本訴と別訴とは、判断内容が矛盾抵触する可能性が生じることなどを理由に、民事訴訟法142条の法意を類推して被告に対する本訴が却下された事例
(東京地判令3・4・20)


経 済

〇1私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律20条2項に基づく排除措置命令に係る命令書の主文の記載並びに理由の記載に違法があるとされた事例
 2私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律20条の6に基づく課徴金納付命令に係る命令書の理由の記載に違法があるとされた事例
(東京高判令2・12・11)


刑 事

〇危険運転致死傷罪の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」に該当するかの判断に当たり、その一判断要素である「道路の状況」に他の走行車両は含まれないとして、その成立を否定した事例
(名古屋高判令3・2・12)


◆最高裁判例要旨(2021(令3)年11月分)
◆記 事◆

議会制民主主義のいま─主権・選挙・代表を再考する(3)
 代表制民主主義と「民意」を遮断する法制度……中島 徹

講話 民事裁判実務の要諦(4)
 ──裁判官と代理人弁護士の方々へ……橋本英史


◆判決録◆

行 政

◎刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報は行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項所定の保有個人情報に当たるか
(最三判令3・6・15)


民 事

◎弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)57条に違反する訴訟行為につき、相手方である当事者がその行為の排除を求めることの許否
(最二決令3・4・14)

◎法例の一部を改正する法律(平成1年法律第27号)の施行前における嫡出でない子の母との間の分娩による親子関係の成立の準拠法
(最三判令2・7・7)

〇自転車運転中に自動車と衝突して負傷した者について、事故後に発症した切迫性尿失禁・腹圧性尿失禁は、事故との間に相当因果関係の認められる後遺障害であり、自動車損害賠償保障法施行令別表第2の11級10号に相当すると判断した事例
(札幌高判令3・2・2〈参考原審:札幌地判平31・3・26〉)

▽仮想通貨(暗号資産)の取引用アカウントに第三者が不正にアクセスして行った取引の効力が、利用規約の定めにより、アカウント開設者に及ぶとされた事例
(東京地判令2・3・2)

▽行政書士である被告に自動車損害賠償責任保険の保険金の請求手続等の事務を委任する契約を締結し、同契約に基づいて被告に報酬を支払った原告が、高額に過ぎる報酬を原告から受領した被告の行為は暴利行為であり、また、弁護士法72条が禁止する非弁行為に当たるなどとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、原告の請求が認容された事例
(神戸地洲本支判令3・3・11)


労 働

〇1 長時間労働の中、取締役からひどい嫌がらせ・いじめと評価される叱責を受けた従業員が精神障害を発病し自殺したとして、相当因果関係を認めた事例
 2 会社の安全配慮義務違反を認めた事例
 3 取締役らに会社法429条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例
(高松高判令2・12・24〈参考原審:高知地判令2・2・28〉)


刑 事

〇殺すぞなどと怒号しながら包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において、家裁係属歴がない少年を第1種少年院に送致した原決定について、抗告審が、少年の非行性がさほど進んでいるとは言い難く、社会内処遇の可能性が検討されるべきであり、原決定の処分は著しく不当であるとして、これを取り消した事例
(広島高決令2・8・18)

▽男女9名の被害者に対する強盗·強制性交等殺人、強盗殺人、死体損壊、死体遺棄被告事件につき、承諾殺人の主張を排斥し、完全責任能力を認めて、被告人を死刑に処した事例──座間(9人殺害)事件
(東京地立川支判令2・12・15)
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