判例時報 発売日・バックナンバー

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◆記 事◆

「葬祭妨害」としての死体遺棄と「葬祭懈怠」としての死体遺棄
──最判令和5年3月24日刑集77巻3号41頁の意義について──……松宮 孝明


裁判員裁判の歩みとこれから⑷──私の約12年間の裁判員裁判の実践──……山田 耕司


◆書 評◆

書評 加藤新太郎『四日目の裁判官』(岩波書店、2024年)
評者……杉浦 徳宏


◆判例特報◆

◎性同一性障害者特例法生殖不能要件違憲最高裁大法廷決定
(最大決令5・10・25)


◆判決録◆

民 事

〇1 民法上の保佐等の制度は、本人の財産権等を擁護することを目的とするもので、警備業法における規制とは制度の趣旨が異なり、これを借用して被保佐人であることを警備員の欠格事由と定めた警備業法の本件規定(14条、3条1号)は、その制定当初から、憲法14条1項及び22条1項(職業選択の自由)に反するものであったとした事例
 2 本件規定が憲法に違反していることは、遅くとも平成22年7月頃には、国会にとっても明白であり、警備員をしていた被控訴人が被保佐人となり欠格事由に該当したことで退職を余儀なくされた平成29年3月まで、約6年8か月にわたって本件規定を改廃しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、その違法性は大きいとした事例
 3 本件規定が職業選択の自由そのものを制約するもので、被控訴人が習熟しており、生計維持のためにも必要な社会経済活動を制限され、同程度の能力を有する法定後見制度を利用しない者との間で不平等な扱いを受け、社会生活をしていく中でその能力を発揮する主要な場を奪われ、個人としての自立等を妨げられ、自己実現のできる重要な機会を強制的に奪われたことなどを考慮すると、慰謝料は50万円が相当であるとして、原審の認容額から増額した事例
(名古屋高判令4・11・15〈参考原審:岐阜地判令3・10・1本誌2430号63頁〉)

〇1 町議会が議員に対して行った議員辞職勧告決議の一部が同議員の名誉権を侵害するものとして国家賠償法1条1項の違法を認め、町に対して損害の賠償を命じた事例
 2 普通地方公共団体の議会がその議員に対して議員辞職勧告決議を行った場合に、それが当該議会の内部規律の問題にとどまるとはいえない場合には、当該議員辞職勧告決議が行われたことを理由とする国家賠償請求の当否を審理する裁判所は、格別の制限なく、当該議員辞職勧告決議を行ったことについて国家賠償法1条1項の違法があるか否かを判断することができる
 3 普通地方公共団体の議会が、議員が議会外で行った政治的行為であって、議員として本来許されるべきものを理由として当該議員に対して辞職勧告決議を行った場合で、それが当該議員の私法上の権利利益を侵害するときは、もはや議会の内部規律の問題にとどまらないものとして、裁判所はその違法性の有無について判断することができる
(名古屋高判令4・11・18〈参考原審:岐阜地判令4・1・31〉)

▽著名なYouTuberの母親の容ぼう及び姿態を承諾なく撮影した行為及びその容ぼう等が写った写真を公表した行為について、肖像権を侵害する違法なものであるとは認められないとした事例
(東京地判令5・1・24)

▽信用取引により買い付けていた株式を売り付け、これと同時に、同数・同額の株式を現物取引により買い付けた事情があっても、当該売付けに金融商品取引法164条1項の適用があるとされた事例
(東京地判令5・12・6)

▽被疑者である被留置者が所持するいわゆる被疑者ノートの内容について、留置担当官が確認した行為、抹消を指示した行為及び取調べ以外のことを書かないよう記載内容を指示した行為が弁護人との関係でいずれも国家賠償法1条1項の適用上違法とされた事例
(横浜地判令5・3・3)

▽自動車損害賠償保障法施行令2条2項の「同一部位」の障害といえるか否かは、現存障害に係る損害から既存障害に係る損害を控除しなければ保険会社が当該交通事故と相当因果関係のない損害について賠償金を支払うことになるか否かで判断すべきであるとした事例
(広島地判令5・6・29)


刑 事

▽監護者(女性)と非監護者(男性)が共謀の上、非監護者において被害児童と性交をした事案につき、刑法65条1項を適用して非監護者に監護者性交等罪の成立を認めた事例
(松江地判令5・9・27)
◆記 事◆

最高裁刑事破棄判決等の実情 ──令和4年度──
……熊代 雅音


◆判決録細目◆

民 事

◎1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無
(最三決令5・10・6)

◎マンションの建築工事の注文者から前記マンションの敷地を譲り受けた行為が請負人の注文者に対する請負代金債権を違法に侵害する行為に当たらないとされた事例
(最一判令5・10・23)

〇当事者間の合意に基づいて養育費の支払を求める場合には、地方裁判所に対して訴えの提起をして判決を求める民事訴訟手続によるべきであって、家庭裁判所に対して家事審判の申立てをすることはできないとして、原審判を取り消して申立てを却下した事例
(東京高決令5・5・25)

▽芸能事務所との間の専属契約終了後においても無期限に芸能人自身による芸名使用を当該事務所の承諾に係らしめる旨の条項が公序良俗に反し無効であるとされた事例
(東京地判令4・12・8)

▽市立保育所に通園していた当時3歳2か月の幼児が給食のホットドッグを誤嚥して心肺停止となった事故につき、幼児にホットドッグを提供したことや誤嚥後の対応等に違法性はないとして、幼児及び家族の市に対する国家賠償請求を棄却した事例
(東京地判令4・10・26)

▽統合失調症に罹患していた成人男性が心神耗弱状態で引き起こした殺傷事件に関し、同居の親は、加害男性の病状の悪化を認識しながらこれを放置していた等の具体的な事情の下で、その者について、民法709条に基づく不法行為が成立すると解するのが相当であるとして、同居の母親に対する損害賠償請求を認めた事例
(大阪地判令4・10・25)

▽いわゆる振り込め詐欺において振込先として使用された口座の名義人につき、幇助による共同不法行為責任が肯定された事例
(東京地判令5・2・22)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(7)

受刑者は選挙の公正を害するか―受刑者選挙権東京訴訟控訴審判決の報告と上告審へ向けた議論の起点―……吉田 京子

受刑者の選挙権制限を合憲とする思考とはどのようなものか……大石 和彦


海外判例研究──特報……大林 啓吾


◆判決録細目◆

民 事

▽区分所有建物の共用部分の瑕疵を原因として生じた漏水事故に関して、区分所有者の1人が、区分所有者全員で構成される当該建物の管理組合に対し、区分所有者全員が不真正連帯の形で負う工作物責任に基づく損害賠償債務の履行を求めることができるとした事例
(東京地判令4・12・27)

▽県立高校の野球部の活動中、河川へ落下したボールを回収しようとした生徒が同河川に転落して死亡した事故に関し、被告である県に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を肯定し、3割の過失相殺をした損害の賠償を命じた事例
(金沢地判令4・12・9)

▽民法719条1項後段の類推適用により、石綿含有建材を製造・販売した会社の損害賠償責任を認めた事例――建設アスベスト訴訟大阪ルート(第2陣、第3陣)第1審判決
(大阪地判令5・6・30)


刑 事

〇強制わいせつ、迷惑防止条例違反保護事件において、相当長期の処遇勧告を付して第1種少年院送致とした原決定について、処分の著しい不当等はないとして抗告を棄却しつつ、比較的長期の処遇による教育を実施することが相当と説示した事例
(大阪高決令5・6・26)


◆判例評論◆

10 金融商品取引法167条1項6号にいう「その者の職務に関し知つたとき」に当たるとされた事例
(最三決令4・2・25)……品田 智史

11 健康保険組合が被保険者に対して行うその親族等が健康保険法(平成24年法律第62号による改正前のもの)3条7項各号所定の被扶養者に該当しない旨の通知は、健康保険法189条1項所定の被保険者の資格に関する処分に該当するか(積極)
(最三判令4・12・13)……髙橋 正人
◆海外判例研究 ─第17回─ ◆

【憲法】
大学入試において人種に基づくアファーマティブアクションを採用することが合衆国憲法修正14条の平等保護条項に違反するとした事例
……大林 啓吾

バイデン政権が新型コロナ禍を理由に実施した学生ローンの免除プログラムの違法性が問われた事例
……大林 啓吾

【民法】
インターネットバンキングサービスにおける不正な振込送金と銀行の違約責任
……胡 光輝

【消費者法】
人工知能(AI)を用いたチャットボットによる不実表示について、チャットボットを使用していた事業者の責任が認められた事案
……カライスコス アントニオス

【刑法】
殴打による攻撃がなされるとの共犯者の予想に反して、正犯者がナイフで被害者を刺殺した場合に、故殺罪の共犯の成立が肯定された事例
……横濱 和弥

正当防衛における防衛行為の必要性の判断のあり方
……坂下 陽輔

一般平等待遇法(Allgemeines Gleichbehandlungsgesetz:AGG)15条2項が採用手続において差別的取扱いを受けた者に企業に対する補償金請求権を認めていることを被告人らが逆手に取り、採用されるつもりがないのに補償金目的で求人に応募をし、不在用通知を受けた後に補償金を請求した場合で、詐欺罪にいう欺罔行為と実行の着手が問題とされた事例
……冨川 雅満

表現を伴う脅迫事件では、被告人の精神状態の証明は必要であるが、被告人が脅迫を意図していたことまで証明する必要はなく、被告人が当該発言をするのは無謀であったことを証明すれば足りるとされた事例
……ダン ローゼン・西口 元


◆記 事◆

裁判員裁判の歩みとこれから(3)―私の約12年間の裁判員裁判の実践―
……山田 耕司


◆判決録細目◆

行 政

〇住民が、県が高級普通乗用車1台を購入する旨の売買契約を締結し、公金支出をしたことが違法であるなどと主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、県知事を被告として、同契約の締結をした当時の県知事に不法行為に基づく損害賠償請求をすることを求める住民訴訟について、同車種の長年の使用実績等を考慮すると、他の車種を選択するか否かについて特段検討していなかったとしても、当時の県知事が同契約を締結したことが、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものと評価することはできないとして請求を棄却した事例
(広島高判令5・5・10〈参考原審:山口地判令4・11・2〉)


民 事
◎憲法53
条後段の規定により国会の臨時会の召集を決定することの要求をした国会議員は内閣による前記の決定の遅滞を理由として国家賠償請求をすることができるか(消極)
(最三判令5・9・12)

▽学校の運動会で組体操演技に参加した2日後に脳内出血を生じて死亡した中学生の遺族からの学校設置者に対する安全配慮義務違反及び事故原因の調査・報告義務違反等を理由とする損害賠償(国家賠償)請求をいずれも棄却した事例
(広島地福山支判令5・4・26)


労 働

○有期雇用の契約期間が通算5年を超えた私立大学の専任講師について、大学の教員等の任期に関する法律4条1項1号に該当しないから、同法7条によって労働契約法18条の「5年ルール」の適用が排除されることはなく無期雇用に転換した、と判断した事例
(大阪高判令5・1・18〈参考原審:大阪地判令4・1・31〉)
◆判決録細目◆

行 政

◎刑事施設に収容されている者が収容中に受けた診療に関する保有個人情報の全部を開示しない旨の決定につき国家賠償法1条1項にいう違法があったということはできないとされた事例
(最一判令5・10・26)

◎法定受託事務に係る申請を棄却した都道府県知事の処分がその根拠となる法令の規定に違反するとして、これを取り消す裁決がされた場合において、都道府県知事が前記処分と同一の理由に基づいて前記申請を認容する処分をしないことは、地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるものに該当するか
(最一判令5・9・4)

◎1 租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)39条の16第1項を適用することができないとした原審の判断に違法があるとされた事例
 2 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は、当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有するか(積極)
(最二判令5・11・6)


商 事

◎吸収合併消滅株式会社の株主が吸収合併をするための株主総会に先立って前記会社に対して委任状を送付したことが会社法785条2項1号イにいう吸収合併等に反対する旨の通知に当たるとされた事例
(最一決令5・10・26)


民 事

▽インターネットないしコンピュータゲームの過度の使用により、その健康上・社会生活上生じる様々な弊害・支障、とりわけ青少年において生じる生育上の危険性につき、これを予防するために前記危険性や弊害等について子供と話し合い、子供とのルール作りを求め、1日当たりの利用時間の上限の目安を示す等を条例で定めること及び同条例を改廃しないことは、憲法21条、94条、13条等には反せず、国家賠償法上違法であるとはいえないとされた事例
(高松地判令4・8・30)


刑 事

▽1 覚醒剤営利目的輸入の事案(受取型)において、「裏バイト」等の語句を検索してやり取りをするようになった投稿主との間のメッセージ内容や、被告人のインターネット閲覧履歴等を検討の上、被告人に故意があったと認めるには合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(①事件)
 2 覚醒剤営利目的輸入等の事案(受取型)において、海外の基金を受領するための手順として荷物を受け取ることになった経緯等を検討の上、被告人が違法薬物かもしれないと認識していたと断定する強い決め手となる事情が立証されておらず、故意があったと認めるには合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(②事件)
(①大阪地判令5・5・31、②神戸地判令5・6・5)


◆最高裁判例要旨(2023(令5)年12月分)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(6)
「セックスワークにも給付金を」訴訟について……亀石 倫子 三宅 千晶


「セックスワークにも給付金を」訴訟をめぐって―憲法研究者の観点から……尾形  健


◆判決録細目◆

民 事

▽小学校の教諭の行為及び発言が、いずれも教諭が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱したものであるとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
(熊本地判令5・2・10)


知的財産権

〇1 特許権者が、侵害品と需要者を共通にする同種の製品であって、市場において競合関係にある製品を輸出又は販売していた場合には、侵害行為により特許権者の製品の売上げが減少したと評価でき、特許法102条2項が適用される
 2 特許法102条2項による損害額の推定が一部覆滅される場合であっても、推定覆滅部分について、特許権者が実施許諾をすることができたと認められるときは、同条3項が適用される
(知財高判令4・10・20〈参考原審:大阪地判令2・2・20〉)


刑 事

▽1 路上で通行人をペティナイフで突き刺し傷害を負わせた殺人未遂等の事案について、統合失調症による幻聴のため対象を実在の人と認識していなかった被告人に対して、心神喪失を理由に無罪の言渡しがされた事例
 2 殺人未遂被告事件で、統合失調症による幻聴のため対象を実在の人と認識していなかった被告人について、精神の障害の影響を除き、当時の状況の下で外形的、客観的にみれば、故意が肯定できるとされた事例
(東京地判令5・6・13)


◆判例評論◆

7 家賃債務保証業者が作成した「ひな形」に含まれる賃貸借契約の無催告解除条項や建物明渡擬制条項につき、適格消費者団体による消費者契約法12条3項本文に基づく差止請求等が認められた事例
(最一判令4・12・12)……大澤慎太郎

8 令和3年10月31日衆議院議員総選挙における衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りの合憲性
(最大判令5・1・25)……吉川 智志

9 多重請負の形態で下請企業の労働者に対し注文主が直接に指揮命令をしたケースで注文主および元請企業に対する労働者派遣法40条の6等による地位確認請求が棄却された事例──竹中工務店ほか2社事件
(大阪地判令4・3・30)……本庄 淳志
◆判例特報◆

▽1 不知火海岸地域又はその周辺地域にかつて居住していた患者らについて、いずれも、メチル水銀への曝露及び四肢末梢優位の感覚障害等の症候が認められ、水俣病に罹患していると認められるとして、排出企業並びに規制権限を行使しなかった国及び熊本県に対する損害賠償請求を一部認めた事例
 2 民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段所定の除斥期間の起算点は、神経学的検査等に基づいて水俣病と診断された時であるとして、除斥期間の経過を否定した事例
ノーモア・ミナマタ第2次近畿訴訟第1審
(大阪地判令5・9・27)


◆判決録細目◆

民事

▽病院を経営する法人が弁護士法23条の2第2項に基づく照会に応じて患者の診療録等を開示したことが同患者に対する不法行為又は債務不履行を構成することはないとして、不法行為に基づく損害賠償請求及び債務不履行に基づく損害賠償請求がいずれも棄却された事例
(東京地判令4・12・26)


刑事

◎他人の物の非占有者が業務上占有者と共謀して横領した場合における非占有者に対する公訴時効の期間
(最一判令4・6・9)


◆最高裁判例要旨(2023(令5)年11月分)
◆記 事◆

裁判員裁判の歩みとこれから(2)
私の約12年間の裁判員裁判の実践……山田耕司


◆判決録細目◆

民 事

〇1 IP電話サービスを提供する事業者と契約を締結する相手方ではないエンドユーザーは、犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項に定める「顧客」には当たらない
 2 IP電話サービスを提供する事業者は、取引の相手方である中間業者などの顧客について本人確認義務を負い、それを怠ったことにより、提供番号が本人確認できないエンドユーザーによって特殊詐欺に利用された場合には、欺罔行為を容易にしたものとして過失による幇助による不法行為責任を負う
 3 IP電話サービスを提供する事業者は、中間業者を介してエンドユーザーに提供した電話番号が特殊詐欺その他の何らかの犯罪に利用される具体的な危険性が予見又は認識できた場合には、当該電話番号の役務提供契約の解約等の措置を講ずるべき注意義務を負う
 4 IP電話サービスを提供する事業者は、その取引の相手方である中間業者が、エンドユーザーの本人確認義務を怠ったことにより、提供番号がエンドユーザーによって特殊詐欺等に利用された場合、中間業者が本人確認義務を怠っていることを予見でき、かつ、取引関係に基づく権利義務関係を適切に行使することによって特殊詐欺等に利用された提供番号の使用を未然に防止できた場合には、中間業者の顧客の本人確認義務が履行されているか調査し、かつ、本人が特定できない電話番号の回線については取引を停止するなどの条理上の注意義務を負う
 5 判決に記載された事情の下においては、IP電話サービスを提供する事業者が欺罔行為を容易にした過失があるとか、提供番号の役務提供契約の解約等の措置を講ずるべき注意義務を負うとはいえず、そのほか中間業者の顧客の本人確認義務が履行されているか調査し、かつ、本人が特定できない電話番号の回線については取引を停止するなどの条理上の注意義務を負うともいえない
(東京高判令4・4・12〈参考原審:さいたま地判令2・11・27〉)


労 働

〇1 二重偽装請負の場合における注文者に、労働契約申込みみなしに関する労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6は類推適用されないとされた事例
 2 二重偽装請負の場合における元請人に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6が適用されるとされた事例
 3 二重偽装請負の場合における元請人に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律40条の6第1項5号所定の同法等の規定の適用を免れる目的が認められないとされた事例
(大阪高判令5・4・20〈参考原審:大阪地判令4・3・30本誌2555号31頁〉)

▽有期契約労働者と無期契約労働者との間で、扶養手当、リフレッシュ休暇、年次有給休暇の半日単位の取得及び特別休暇に関して相違があったことが、労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例
(津地判令5・3・16)


知的財産権

▽1 商品の形態が取引の際に出所表示機能を有するものではない場合における不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」該当性
 2 ジェネリック医薬品である気管支喘息用の医療用医薬品の形態が商品等表示に該当しないとされた事例
(東京地判令4・12・20)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(5)
旧優生保護法事件と憲法論との距離と連関に関する実務的一考察
―控訴審逆転勝訴に至るまでの回顧とともに―……吉原  秀

旧優生保護法違憲訴訟によせて……上田 健介


◆判決録細目◆

民 事

▽当時高校1年の生徒が自転車競技部の練習中、坂を下る際にカーブを曲がりきることができず、ガードレールに衝突し、その先の側溝に転落して負傷した事故について、顧問教諭に指導上の過失を認めた上で、過失相殺を認めなかった事例
(京都地判令5・2・9)


知的財産権

▽同一特許に基づく同一サービスに対する前訴(差止請求訴訟)と後訴(損害賠償請求訴訟)は、異なる訴訟物に基づく異なる訴えであるとして、後訴における無効理由の主張が、時機に後れたものとはいえず、また、訴訟法上の信義則に反するとはいえないとされた事例
(東京地判令5・2・16)

▽商業的写真をウェブページに掲載した行為が著作権法32条1項にいう引用に該当しないとされた事例
(東京地判令5・5・18)


◆判例評論◆

4 凍結保存精子を用いた生殖補助医療により出生した子の、性同一性障害者特例法に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた精子提供者に対する認知請求権
(東京高判令4・8・19)……稲葉 実香

5 殺人を犯した者が、捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対し、被害者の嘱託を受けて同人を殺した旨を申告するなどしたが、同人の嘱託を受けた事実がなかった場合には、刑法42条1項の自首は成立しないとされた事例
(最一決令2・12・7)……古川 伸彦

6 量販店による複数の納入業者に対する各種の不利益行為につき、優越的地位の濫用が成立し、一つの違反行為を構成すると判断された事例
(東京高判令3・3・3)……中里  浩
◆記 事◆

◎新連載

裁判員裁判の歩みとこれから⑴
私の約12年間の裁判員裁判の実践……山田耕司


◆判決録細目◆

行 政

〇1 住民が、市が国庫補助金を原資とする補助金を事業者に違法に交付したことによって損害を被ったにもかかわらず、当時の市長に対し損害賠償請求権の行使を違法に怠っている旨を主張して、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、市長を被告として、当時の市長に対する損害賠償請求権を行使するよう求める住民訴訟について、市は、当該事業者から補助金の返還を受けることのないまま当該国庫補助金を国に返還すべき義務が生じ、当該損害を補填する財産を欠くことが確実となった時点において、初めて当該損害に係る当時の市長に対する損害賠償請求権を行使することができるので、国が当該国庫補助金の返還を命じた日を基準として同法242条2項の規定を適用すべきものとした事例
 2 市の補助金の交付決定当時、当該補助金を受ける事業実施主体の事業(原料の調達、成果物の販売及び自己資金の調達)の実現可能性が低かった等の事情の下では、当該補助金を交付することとした当時の市長の判断は、社会通念上著しく妥当性を欠き、その裁量の範囲を逸脱したものと認められるから、補助金の交付は、公益上の必要性を欠き、地方自治法232条の2に反するとした事例
(広島高判令5・1・11〈参考原審:広島地判令4・3・30本誌2565号5頁〉)

▽1 漁業法2条2項所定の漁業従事者であることの確認を求める義務付けの訴えが不適法であるとされた事例
 2 事前かつ一般的に原告らが漁業法2条2項所定の漁業従事者であることの確認を求める訴えが不適法であるとされた事例
 3 原告らに漁ろう以外の目的があったと認められる以上、原告らに対し、漁ろうのみを目的としていない又は漁業従事者に該当しないと回答した水産庁や、漁業従事者以外の者を乗船させて20海里を超えて漁業に出航したならば船舶安全法に違反する可能性があると述べた海上保安庁の職員の行為が国家賠償法上違法であるとはいえないとされた事例
(東京地判令4・12・13)

▽内閣官房内閣総務官が行政文書の開示請求につき開示決定等の期限を延長したことが、国家賠償法1条1項の適用上違法とはいえないとされた事例
(大阪地判令5・2・21)


民 事

◎当事者双方が口頭弁論期日に連続して出頭しなかった場合において、訴えの取下げがあったものとみなされないとした原審の判断に民事訴訟法263条後段の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
(最三決令5・9・27)

▽幼稚園で園児が昼食中に誤嚥窒息を起こし、重篤な後遺症を負った事故につき、救護に当たった園長らには、適時に心肺蘇生法を実施しなかった過失があり、重篤な後遺症が残らなかった相当程度の可能性を侵害したとして園児の請求を一部認めた事例
(さいたま地判令5・3・23)

▽訴訟代理人の訴訟行為の排除を求める申立てにつき、裁判所の選任により過去に理事職務代行者として関与した事件は、弁護士法25条1号の禁止する「その依頼を承諾した事件」に当たるとして、同号又はその類推適用により訴訟代理人の訴訟行為を排除した事例
(福岡地決令5・8・30)


◆最高裁判例要旨(2023(令5)年9・10月分)
◆記 事◆

性同一性障害事件の大法廷違憲決定と裁判官の視線……千葉 勝美


◆判決録細目◆

民 事

〇東日本大震災の津波による東京電力福島第一原子力発電所の放射性物質放出事故について、福島県南相馬市原町区内に居住していた原告らに対し、避難区域に応じ、1人につき、避難指示解除準備区域1100万円、緊急時避難準備区域300万円の一律の慰謝料が認められた事例
(仙台高判令4・11・25)

▽逮捕された被疑者から当番弁護士の派遣要請を受けた警察官はできる限り速やかに弁護士会にその旨を通知する義務を負うところ、これを怠った過失があるとした事例
(大阪地判令4・12・23)


知的財産権

▽Googleマップに画像を投稿した行為が著作権法41条にいう時事の事件の報道のための利用に該当しないとされた事例
(東京地判令5・2・28)

▽靴製品の形態が不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」に該当するとされた事例
(東京地判令5・3・24)


労 働

▽大学職員の精神障害発病後の自殺について業務起因性を否定した事例
(大阪地判令5・3・23)

▽夏季賞与の支給日の20日前に病死を理由として退職した労働者について、支給日に在籍する者のみに賞与を支給するという要件を課した賃金規程の適用を排除して、夏季賞与の支払請求権を肯定した事例
(松山地判令4・11・2)


刑 事

〇1 強制的措置許可申請事件の決定は抗告の対象とはならないと説示した事例
 2 ぐ犯性の判断基準時はぐ犯事由存在時であると説示した事例
 3 児童相談所若しくは関連施設内で、多数回、暴行、傷害、器物損壊をしたことをぐ犯事由とするぐ犯保護事件で少年を第1種少年院に送致した原決定の処分は著しく不当であるとして、原決定を取り消した事例
(札幌高決令3・11・11)

〇準強制わいせつ被告事件の被害供述の信用性を判断するにあたり被害供述をした者の司法面接時の供述その他の証拠を検討して、当該被害供述の信用性に疑いがあることを理由として無罪判決を言い渡した事例
(名古屋高判令5・1・18)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(4)
「宮本から君へ」事件と「裁量論と人権論」の新展開……平  祐介

芸術に対する国家助成―「宮本から君へ」事件判決の位置づけと疑問点……御幸 聖樹


◆判決録細目◆

民 事

〇県公共嘱託登記土地家屋調査士協会の執行部構成員の土地家屋調査士である被告らが、同協会に所属していた土地家屋調査士である原告らに対して、理事会を経ずに、土地家屋調査士法(令和1年法律第29号による改正前のもの)44条に基づく措置申立てを行ったことが、事実上又は法律上の根拠を欠き、調査義務を尽くしておらず、制度の趣旨・目的に照らし相当性を欠くものとして不法行為を構成するとされた事例
(名古屋高金沢支判令4・3・23〈参考原審:福井地判令3・4・14〉)

▽健康保険組合が職権で行った被保険者に対してその子を被扶養者から外す旨の処分が適法であるとされた事例
(東京地判令4・12・1)

▽1 申立人(基本事件の原告)が被告人となった本件横領事件(申立人については無罪判決が確定)において、申立人の共犯者とされた者の取調べの録音録画記録媒体につき、民事訴訟法220条3号後段所定の法律関係文書に該当するとされた事例
 2 前記記録媒体のうち、本件横領事件の刑事裁判の公判に提出された部分について、閲覧制限事由はなく文書提出義務を認めることに支障はないとされた事例
 3 前記記録媒体のうち、本件横領事件の刑事裁判の公判に提出されなかった部分について、刑事訴訟法47条に基づきその提出を拒否したことが、保管検察官の裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものとされた事例
(大阪地決令5・9・19)

▽特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人について、入所者が食事をする際に職員をしてこれを常時見守らせるべき注意義務があるのに、それを怠った違反があるとされた事例
(名古屋地判令5・2・28)

▽1 公文書の写しであっても組織共用文書に当たり得るとして、文書の組織共用性について検討をせずに文書不存在と回答した市長の対応に過失があり、違法とされた事例
 2 職員が無罪を主張し示談を拒否した後にも繰り返し示談を勧める市長の対応が違法とされた事例
(大津地判令4・3・17)


労 働

▽被告が原告に対し道具を提供したことや被告代表者が原告に対して作業工程を指示したことなどを踏まえると、原告と被告との間には、信義則上、安全配慮義務を認めるべき特別な社会的接触の関係があったと認めるのが相当であり、一定程度墜落の危険性がある作業に従事させる以上、被告には安全教育等の措置を採るなどの義務があったと判断した事例
(東京地判令4・12・9)


商 事

◎会社法144条2項に基づく譲渡制限株式の売買価格の決定の手続において裁判所が前記売買価格を定める場合に、DCF法によって算定された前記譲渡制限株式の評価額から非流動性ディスカウントを行うことができるとされた事例
(最三決令5・5・24)


刑 事

▽少年補償事件において、少年が逮捕勾留されていた22日間のうち、2日間については少年の保護事件に係る補償に関する法律3条2号により補償しないこととし、残りの20日間について補償をした事例
(岡山家決令4・10・17)


◆判例評論◆

1 保佐開始の審判事件を本案とする保全処分事件において選任された財産管理者が提出したその管理すべき財産の目録及び財産状況に関する報告書は、同保全処分事件の事件記録に該当するか(消極)
(最一決令4・6・20)……内田 義厚

2 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利に対する強制執行の可否
(最三決令4・8・16)……小名木 明宏

3 宅地建物取引業における名義貸しと利益分配合意
(最三判令3・6・29)……橋谷 聡一
◆記 事◆

万引きの量刑……安西 二郎


◆判例特報◆

▽東北地方太平洋沖地震に伴う津波による東京電力福島第一原子力発電所の事故について、津波対策に係る取締役としての任務懈怠を肯定し、取締役らに対し、会社法423条1項に基づく損害賠償として、連帯して13兆3210億円を東京電力に支払うよう命じた事例
──東電福島第一原発事故株主代表訴訟第1審判決
(東京地判令4・7・13)


◆判決録細目◆

民 事

◎婚姻費用分担審判において、妻がその夫との婚姻後に出産し戸籍上夫婦の嫡出子とされる子であって民法772条の嫡出推定を受けないものとの間の父子関係の存否を審理判断することなく、当該父子関係に基づく扶養義務を認めた原審の判断に違法があるとされた事例
(最二決令5・5・17)

◎事件が1人の裁判官により審理された後、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が民事訴訟法254条1項により判決書の原本に基づかないで第1審判決を言い渡した場合において、全部勝訴した原告が控訴をすることの許否
(最二判令5・3・24)

▽優先関係のある十字路交差点での自動車同士の衝突事故について、降雪等のため、優先側ではない運転者が、交差道路の優先性を認識し又は認識し得たとはいえないが、優先側の運転者の期待は相当であるなどとして、過失割合を各50%と認定した事例
(旭川地判令5・3・16)


刑 事

◎勾留理由の開示に対する特別抗告申立ての適否
(最一決令5・5・8)
◆記 事◆

実務と学説からみた憲法訴訟(3)
「婚姻の自由をすべての人に」(同性婚)訴訟の現状と憲法上の論点……綱森 史泰

婚姻という名の桎梏──同性婚は同化か、抵抗か……江藤 祥平


◆判決録細目◆

行 政

〇1 複数の適用事業所を有する地方公共団体内での適用事業所間での異動等により適用事業所が変更になったが、引き続き同一団体内において継続して就労しており、異動等により給与に関する雇用条件が異ならない非常勤教員について、「施行日前から引き続き当該被保険者の資格を有するもの」(平成27年政令第343号50条)及び「施行日前から引き続き改正後厚生年金保険法第27条に規定する被保険者」(平成27年政令第347号〔平成30年政令第183号による改正前のもの〕36条1項による読替後の平成24年法律第63号改正附則15条3項)と同視するのが相当であるとされた事例
 2 公法上の実質的当事者訴訟(給付訴訟)の一部が、処分行政庁による具体的処分を待つ必要があることを理由として不適法とされた事例
(東京高判令4・7・20〈参考原審:東京地判令2・10・7〉)

▽1 合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する省令15条1項に基づきSACO見舞金を支給する行為は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるか(消極)
 2 沖縄防衛局長がSACO見舞金を支給しないことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(那覇地判令4・7・14)


民 事

〇優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)による強制優生手術を受けた原告の国家賠償請求において、民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の不法行為による損害賠償請求権の期間の制限につき、除斥期間ではなく消滅時効を定めた規定と解し、この規定による権利の消滅についての被告国の主張が権利の濫用にあたるとした事例
(仙台高判令5・10・25〈参考原審:仙台地判令5・3・6〉)


労 働

◎1 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和1年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分の適否に関する裁判所の審査
 2 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和1年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る県の教育委員会の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例
(最三判令5・6・27)

◎無期契約労働者と有期契約労働者との間で基本給の金額が異なるという労働条件の相違の一部が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとした原審の判断に違法があるとされた事例
(最一判令5・7・20)


◆判例評論◆

40 懲戒処分の停職期間中に同僚等に対して行った同処分に関する働き掛けを理由とする停職6か月の懲戒処分が適法とされた事例
(最三判令4・6・14)……須藤 陽子

41 部下への暴行等の行為をした地方公共団体の職員が地方公務員法28条1項3号に該当するとしてされた分限免職処分を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例
(最三判令4・9・13)……深澤龍一郎

42 財産分与の審判の申立てを却下する審判に対して相手方が即時抗告をすることの許否(積極)
(最一決令3・10・28)……伊藤  隼

43 財産の分与に関する処分の審判の手続において、申立人が給付を受けるべき権利者であるとは認められず、かえってその相手方が給付を受けるべき権利者であると認められる場合において、少なくとも相手方が、当該審判の手続において、自らが給付を受けるべき権利者であり、申立人に対して給付を求める旨を主張しているときは、申立人の財産分与の審判の申立てを却下するのではなく、申立人に対して相手方への給付を命じることができるとして、原審判中財産分与の申立てを却下した部分を取り消した上、相手方への給付を命じるべきか否かという点について更に審理を尽くさせるため、財産分与申立事件を原審(家庭裁判所)に差し戻した事例
(広島高決令4・1・28)……山下祐貴子
◆判決録細目◆

民 事

◎統合失調症の治療のため精神科病院に任意入院者として入院した患者が無断離院をして自殺した場合において、同病院の設置者に無断離院の防止策についての説明義務違反があったとはいえないとされた事例
(最二判令5・1・27)

〇民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の規定する「不法行為の時」とは、再審手続があった場合においては再審による無罪判決が確定した時であって、当該時点が除斥期間の起算点となるとした事例
(東京高判令3・8・27〈参考原審:東京地判令1・5・27〉)


刑 事

▽1 犯行時15歳、判決時17歳の少年の殺人等被告事件について、情状鑑定を行い、更生する余地は残されているとしながらも、被害者らに激しい恐怖心を与え、1人の生命を奪い、社会を動揺させた少年が保護処分を受けることは許容しがたいとして、家庭裁判所への移送を否定した事例
 2 犯罪事実に関係する事情を中心に据えて検討し、不定期刑の長期を法定の上限とし、少年の問題の改善には相当の長期間を要するから短期も法定の上限として、少年に不定期刑の最高刑を科した事例
(福岡地判令4・7・25)

▽特定少年である少年が、普通自動二輪車を無免許運転した道路交通法違反保護事件について、非行態様や同種の非行による複数の保護処分歴があること等を考慮し、少年院送致を許容した上で、資質上の問題や保護環境等も踏まえ、少年を第1種少年院に送致し、収容期間を2年とした事例
(那覇家沖縄支決令5・3・7)
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