特集
会社法で変わる 税務上の資本と資本等取引
平成18年度改正税法が、3月27日に成立した。
法人税法では会社法の改正に合わせた整備があり、「資本」「資本等取引」「剰余金」の規定で変更がある。
資本等取引と損益取引に区分して、資本等取引は所得金額の計算には関係しないという
税法の大原則にかかわる改正であり、創業、増資・減資や、株式発行、また決算処理において影響がある。
さらに、中小企業の区分や、株式支配についても関係する事項なので、
それら資本に関する改正と実務上の処理の留意点を詳細に検討する。
◇資本についての会社法・企業会計・税法の考え方/早稲田大学教授 岸田雅雄
◇税法における資本等取引と損益取引の区分/近畿大学教授・税理士・公認会計士 八ツ尾順一
◇税法における資本金基準/税理士 冨田光彦
◇会社法で計算書類・決算手続はこう変わる/公認会計士 山中成大
◇剰余金の分配と内部留保/税理士 掛川雅仁
◇増資・減資/税理士・公認会計士 石原幹郎
◇自己株式の取得・保有・処分/税理士・公認会計士 櫻庭周平
◇種類株式の発行・権利行使/税理士・公認会計士 田中義幸
◇新株予約権の発行・権利行使・譲渡/税理士・公認会計士 吉田恵子
◇債務の株式化(DES)/税理士・公認会計士 都井清史
◇組織再編/税理士 中島孝一
論文
◇巻頭論文
最近の租税裁判における司法判断の傾向
/駿河大学法科大学院教授 今村隆
◇税務論文
不正行為等に係る費用等損金不参入規定
/明治大学大学院教授 川田剛
◇税務研究
個人事業者への民事再生法の適用と所得税課税――債務免除益課税への一考察
/税理士 和泉彰宏
◇事例研究
被相続人の所得税に係る還付金等の相続課税
/税理士 橋本守次
◇所得税実務
LLPにおける利益分配・費用負担の設定と税務上の留意点
/税理士 大林茂樹
◇法人税実務
同族会社諸規定の改正とその対応策
/税理士・名古屋経済大学大学院非常勤講師 浅野洋
交際費から除外される「飲食費」の立証と上手な活用法
/税理士 今村仁
景気回復期における役員報酬の既往分一括支給等の留意点
/税理士 寺内正夫
◇会社の税務
早急に対応したい名義株等のチェックとその解消策
/税理士 宮澤博
◇国際税務
日栄租税条約の改正とその概要
/中央大学教授 矢内一好
◇利益計画
土木工事業のモデル利益計画
/中小企業診断士・一級建築士 小野田清一
◇新法令解説
「会社法施行規則」及び「会社計算規則」の概要
/法務省大臣官房参事官 相澤哲
筆界特定制度の概要
/法務省民事局民事第2課 赤間聡
連載
・ポイント・オブ・ビュー/大久保豊氏に聞く
・税理士事務所みてある記/税理士法人タクティクス
・好調関与先にはワケがある!/(株)富士金型/海山敬治税理士
・クローズアップ税務訴訟
社員持株会への自社株譲渡/税理士 小林磨寿美
・クマオーの消費税トラブル・バスター
課税仕入れの用途区分は難しい(2)/税理士 熊王征秀
・税務調査 そこがアブナイ
課税売上割合のカラクリ/税理士 嶋協
・法律問題ワンポイント・レクチャー
税理士報酬を回収したい!でも時効が心配/弁護士 菅原万里子
多税目取引の落とし穴/新時代の中小企業会計/私のKey Word/税理士の休日/頭の体操室
趣味講座/実務の焦点/ミニ情報/税務・会計相談コーナー/速報税理トピックス
特集
中小企業の再生と税理士のサポート
業績不振企業の倒産・廃業も一段落し、いまや経済のトレンドは「企業再生」の方向に移り変わっている。
こうした動きは、民事再生法の整備など法制面での手当はもちろん、
「金融再生プログラム」や「リレーションシップ・バンキングの機能強化」など金融面での後押し、
またここ数年の「企業再生税制」による税制面での措置、
さらには中小企業再生支援協議会・再生ファンドのサポートや、
実務家・経営者自身の再生実務への真摯な取組みが功を奏したものといえるだろう。
そこで本特集では、関与先企業を蘇生させるための企業再生の概要とその具体的手法を解説し、
税理士だからこそできるサポートのあり方を検討していく。
◇企業再生をめぐる経済環境と税理士の役割/税理士・公認会計士・不動産鑑定士 杉本茂
◇現状の分析・把握と企業再生のパターン/税理士・公認会計士 西山元章
◇事業内容の見直しと再生プランの策定/税理士・公認会計士 萩原壽治
◇財務体質改善のための私財提供・DES/税理士 榑林一典
◇M&A・組織再編成の活用/税理士 浜川将由
◇再生型私的整理の実行/公認会計士 小宮孝之
◇民事再生法の活用/税理士・公認会計士 高野角司(「高」は「はしごだか」)
◇企業再生ファンドの活用/税理士・公認会計士 石橋秀樹
◇中小企業再生支援協議会の活用/長野県中小企業再生支援協議会 窓口専門家・税理士 芦原誠
論文
◇巻頭論文
経済のグローバル化に対する租税の新しい対応
/国士舘大学教授 本庄資
◇事例研究
最近の税賠償訴訟の傾向と専門家責任に対する裁判所の認識
/弁護士・公認会計士 関根実
最近における同族会社の行為計算否認規定の行使傾向
/愛知学院大学大学院客員教授・税理士 加藤義幸
◇通則法実務
従業員の仮装・隠ぺい行為による重加算税賦課の分岐点
/税理士・神奈川大学法科大学院講師 益子良一
◇徴収法実務
第二次納税義務者による不服申立ての可否
/税理士 田代行孝
◇法人税実務
過大な費用に対する否認のケースとトラブル防止策
/税理士 山口義夫
消滅時効に係る債権者の税務処理とその手続
/税理士 増子豊彦
建物・設備等の除却・修繕に生命保険を活用した節税対策
/税理士 土屋清人/税理士 天野俊裕
◇相続対策
円満相続を意識した「遺言信託」の活用と税理士の役割
/税理士 高田隆央
◇業種別税務
調剤薬局の税務と経営改善指導
/税理士 吉田久子
◇利益計画
情報通信機器の企画・販売業のモデル利益計画
/中小企業診断士 田中秀文
◇徹底検証
譲渡所得における取得費(4)
/税理士 右山昌一郎
◇海外事情
ベトナムに対する税務行政協力を通して想うこと
/商工中金副理事長(前国税庁長官) 大武健一郎
連載
・ポイント・オブ・ビュー/菊池英博氏に聞く
・税理士事務所みてある記/大林茂樹税理士事務所
・好調関与先にはワケがある!/日本商工(株)/立野晴朗税理士
・クローズアップ税務訴訟
不良債権に係る貸倒損失の損金算入時期/税理士 山本守之
・クマオーの消費税トラブル・バスター
課税仕入れの用途区分は難しい(1)/税理士 熊王征秀
・税務調査 そこがアブナイ
有姿除却の落とし穴/税理士 嶋協
・法律問題ワンポイント・レクチャー
従業員が逮捕された!その後どうなる?/弁護士 服部弘
巻末付録 税務情報 会計参与の行動指針(案)ほか
多税目取引の落とし穴/新時代の中小企業会計/私のKey Word/税理士の休日/頭の体操室
趣味講座/実務の焦点/ミニ情報/ブックレビュー/税務・会計相談コーナー/速報税理トピックス
別冊付録:特別資料
平成18年度 所得税法の一部を改正する等の法律案
新旧対照表(抄)
特集
平成18年度 税制改正の実務ポイント
平成18年度税制改正は、昨年12月16日に与党の「税制改正大綱」がまとめられ、12月19日の財務省「税制改正の大綱」に続き、年明けの1月17日「平成18年度税制改正の要綱」が閣議決定され、改正項目が出揃った。
会社法関係の税制の整備、物納制度の明確化、通則法関係の改正など、今回もさまざまな変更点のある18年度改正の実務上重要な事項を示すとともに、座談会で実務上の留意点を指摘する。
◇法人の役員給与課税の見直し/名古屋経済大学大学院教授・税理士 大江晋也
◇同族会社の留保金課税の見直し/税理士 槫林一典
◇会社法関係の整備・組織再編税制の見直し/税理士 平川忠雄
◇研究開発税制の見直し・情報基盤強化税制の創設/税理士 鈴木修三
◇国税通則法関係/税理士 藤曲武美
◇税源移譲・定率減税の廃止/税理士 野中孝男
◇土地・住宅税制/税理士 今仲清
◇物納制度の見直し/税理士 小池正明
◇国際課税関係/税理士 伊藤雄二
◇その他の重要な事項/税理士 岡崎和雄
◇座談会 大綱・要綱から読み解く18年度税制改正の実務ポイント
出席者/小池正明、平川忠雄、藤曲武美
論文
◇巻頭論文 強化される国税滞納整理の傾向とその影響/明治大学大学院教授 川田剛
◇事例研究
配当還元価額による譲渡と「通達によらない評価」の可否/甲南大学教授・税理士 垂井英夫
節税目的を理由とした税務否認に対する司法の判断/弁護士・大宮法科大学院教授 増田晋
◇源泉税実務 従業員に対する経済的利益で注意したい源泉税トラブル/税理士 菅井聡
◇法人税実務
社長からの滞留借入金の解消策とその留意点/税理士 小林磨寿美
トラブルを避ける福利厚生用資産の使用・管理上の留意点/税理士 吉村博一
◇評価実務 評価減額を考慮した評価単位の考え方/税理士 小林登
◇保険の実務 生命保険の権利の評価改正を踏まえた実務対応策/CFP・社会保険労務士 関根光
◇徹底検証 譲渡所得における取得費(3)/税理士 右山昌一郎
◇利益計画 ジュエリー店のモデル利益計画/中小企業診断士・ITコーディネータ 宮田貞夫
◇業種別税務 ガソリンスタンドの税務と経営改善指導/税理士 樋之口猛
コラム・連載
・ポイント・オブ・ビュー/相澤哲氏に聞く
・税理士事務所みてある記/税理士法人アクティブイノベーション
・好調関与先にはワケがある!/(株)アロン社/渡辺俊之税理士
・クローズアップ税務訴訟
課税処分の違法と国家賠償請求の認容/税理士 朝倉洋子
・クマオーの消費税トラブル・バスター
帳簿の記載事項/税理士 熊王征秀
・税務調査 そこがアブナイ
消耗品等の在庫計上/税理士 嶋協
・法律問題ワンポイント・レクチャー
判断能力に問題がある人に対する成年後見制度とは?/弁護士 菅原万里子
多税目取引の落とし穴/新時代の中小企業会計/私のKey Word/税理士の休日/頭の体操室
趣味講座/実務の焦点/ミニ情報/ブックレビュー/税務・会計相談コーナー/速報税理トピックス
別冊付録
税務情報 法人税基本通達等の一部改正
平成18年度税制改正の要綱
所得税法の一部を改正する等の法律案要綱 ほか
特集1 初めての消費税申告 個人事業者の陥りがちな消費税トラブル
・免税事業者から課税事業者への移行/清水謙一
・簡易課税における事業区分の判定/神津信一
・簡易課税から原則課税への移行/熊王征秀
・売上税額計算における課税・非課税・不課税/小池正明
・課税仕入れの判定における留意点/金井恵美子
・課税売上割合・控除対象仕入税額の計算/川崎賢二
・仕入税額控除の帳簿保存要件への対応/久乗哲
・業種別 原則課税・簡易課税チェックリスト/岩下忠吾
特集2 緊急チェック! 会社法施行規則案・法務省令案の重要ポイント
・会社法施行規則案/神門剛
・株式会社の計算に関する法務省令案(1)/本多秀毅
・株式会社の計算に関する法務省令案(2)/石本愼一
・組織再編行為に関する法務省令案/池亀均
・その他の法務省令案/田名網一嘉
巻頭論文 租税特別措置の合理化と今後の重点分野/井堀利宏
事例研究 純資産価額を算定する場合の法人税等相当額の控除の可否/関根稔
巻末付録 税務情報(平成18年度 税制改正大綱/ほか)
所得税実務 農家で特に気をつけたい17年分確定申告の留意点/森剛一
法人税実務
期間損益計算における疑問点・注意点とトラブル回避策/吉田恵子
委託取引で陥りがちな税務トラブルと留意点/宮澤博
資産税実務
迷いがちな精算課税型住宅取得資金贈与特例の適用ポイント/鈴木新
保証金の収受・引継ぎ・返戻にまつわる税務留意点/鹿谷哲也
事務所経営 体験に学ぶ 税理士事務所の台風被災の実際とその教訓/辻堅太郎
業種別税務 自動車整備業の税務と経営改善指導/矢野馬通永
利益計画 リラクゼーションマッサージ業のモデル利益計画/池田しのぶ
徹底検証 譲渡所得における取得費(2)/右山昌一郎
難問事例 相続税の申告をしていない過去の相続財産/山田俊一
コラム・連載
クローズアップ税務訴訟/クマオーの消費税トラブル・バスター/税務調査 そこがアブナイ!!/法律問題ワンポイント・レクチャー/ほか
別冊付録 平成17年分 所得税・消費税等・贈与税の申告実務
/税理士 平川忠雄、 税理士 中島孝一、 税理士 松岡章夫
目次
1 平成17年分 所得税の申告実務
確定申告のチェックポイント/所得税額の計算の仕組み/各種所得の内容と計算/ほか
2 平成17年分 消費税及び地方消費税の申告実務
消費税額及び地方消費税額の計算に際しての留意点/所得税の決算額の調整/ほか
3 平成17年分贈与税の申告実務
申告書作成に際しての留意点/暦年課税/相続時精算課税/贈与税の申告書の書き方
付録 平成17年分 所得税の税額表等
特集 トラブルを回避する クライアントの上手な引継ぎ方
・クライアントの引継ぎと専門家責任/坂田純一
<関与先を引き継ぐ場合の税目別チェック>
・過去の申告状況の把握とトラブル回避策/浅野洋
・所得税申告を引き継ぐ際の留意点/今仲清
・法人税申告を引き継ぐ際の留意点/藤山浩泰
・消費税申告を引き継ぐ際の留意点/三上博美
・創造・贈与税申告を引き継ぐ際の留意点/江本尚浩
<廃業・合併等の関与先の引継ぎ>
・自主廃業に伴う関与先の引継ぎと周辺問題/守田啓一
・死亡等に伴う事務所の引継ぎと周辺問題/内田久美子
・税理士事務所の合併等と営業権評価の考え方/徳田孝司
・関与の継続を考えた税理士法人の設立・加入/津田明人
年頭所感
会計参与の普及・定着に向け全力を傾注/森金次郎
メリハリのある税務行政の推進/木村幸俊
審判所の使命達成に向けて/春日通良
巻頭論文 日本の社会経済構造の大転換と税務行政の改革/大武健一郎
税務論文 営業権の財産評価をめぐる最近の動向と問題点/大森健
税務研究 建物・設備等の除却損を活用した節税効果/土屋清人/天野俊裕
所得税実務 平成17年分の確定申告のチェックポイント/冨永英里
法人税実務
リベートの支払側・受取り側の税務上の留意点/須田邦裕
法定耐用年数の短縮が認められるケースとその立証策/鹿志村裕
経営と税務
ポイントカード発行等によるリピータ確保策と税務留意点/加藤武人
医療法人の設立・運営をめぐる実務上留意点/上原顕
消費税実務 非営利法人の消費税の取扱い/小林広樹
評価実務 粉飾会社の代表者の相続に伴う株式評価の留意点/山本和義
法務と税務 未分割の相続財産から発生した収益の帰属と税務/森田茂夫/榎本誉
利益計画 古書店のモデル利益計画/粕谷浩子
徹底検証 譲渡所得における取得費(1)
コラム・連載
クローズアップ税務訴訟/クマオーの消費税トラブル・バスター/税務調査 そこがアブナイ!!/法律問題ワンポイント・レクチャー/ほか
巻頭論文
問われる減価償却制度の意義と今後のあり方
税制研究会幹事・前平成帝京大学教授 藤野信雄
減価償却のあり方が今、問われている。情報分野を筆頭に科学技術は総じて日進月歩にある中で、税法の減価償却制度だけが旧態依然のまま取り残されている感がある。実状に見合った改正を望む声は寄せてはかえす波のように年々経済界を中心に挙がっては消えてきたが、経済産業省が今年、固定資産の取得価額の全額を償却することを認める「100%減価償却」を要望するに至り、いよいよ潮時を迎えたといえよう。減価償却制度の改正すべき点、今後のあり方を検証する。
税務論文
違法所得に係る支出の経費性の認定
明治大学教授 川田剛
窃盗、強盗、横領詐欺、脅迫等の違法な行為による取得があった場合、税法では違法所得も担税力を有することから、課税対象となるとする判例学説で解釈されている。ところが、違法な行為により得た所得に係る支出については、控除を認めるべきとする説と控除を認めるべきでないとする説がある。最近の判例では、脱税協力金や仮装経理の見返り謝礼について経費性を否認する判例が出ている。しかし、脱税協力者の従業員への賞与の損金性や、交際費的な要素のあるみかじめ料などその射程距離や区分は明確でない事が多い。
問われる環境税の意義と必要性
日本大学教授
立川正三郎
地球温暖化防止京都会議で採択された京都議定書で、日本は温室効果ガスの排出を基準年(1900年)の6%減を2012年までに実現することが義務づけられた。環境省は、目標達成に向けて、さらに削減のスピードを進めなければならないが、そのため環境税を導入することを提唱し、10月25日その具体案を示した。ガソリン、LLP、灯油等燃料の精製段階と、消費につき課税をすることを提案している。その理由にエネルギーの代替や技術改良、温暖化対策の税収を上げているが、これらの効果があるか、厳密に検証してみると疑問が残る。さらに、既存エネルギー諸税との重複もあり間接税全体の体系の立直しが必要とされる。間接税としては、消費税の税率アップが議論されているためその動向も見る必要がある。
事例研究
簡易課税の業種区分をめぐる最近の問題点
税理士
橋本守次
消費税簡易課税制度のみなし仕入率の適用においての業種区分で、歯科技工士が「製造業」か、「サービス業」かが争われた。課税当局の主張は、簡易課税適用上の業種区分は、おおむね日本標準産業分類を基礎として「サービス業」として判断するというものだが、この裁判で、名古屋地裁の加藤裁判長は、「日本語の通常の用語例によって判断すべきである」として「製造業」とした。業種区分について法令等による制度をみて、さらにこれまでの争いを検討したうえ、この裁判例の意義を確認するとともに、混乱の多い業種区分について提言をする。
特集/役員報酬・賞与・退職金の新傾向と税務問題
" CEO、CFO、執行役員等の新たな形態の役員が登場し、また業績・株価に連動した役員報酬・賞与がみられるなど、役員と役員費用をめぐる社会的な位置付けが流動化しているものの、税制は旧態依然の硬直化した取扱いを続けている。すなわち、役員費用をめぐる税務署のチェックは厳しく、役員報酬や退職金の過大認定、賞与認定、みなし役員に関する否認事例は跡を絶たず、最新の注意が求められる。
そこで、本特集では、役員報酬・賞与をめぐる最新動向を踏まえた上で、役員に関する過去の判例・裁決例を紐解き、税務トラブルの未然防止策を検討していく。
新形態の役員の登場と業績連動型役員報酬の支給
税理士・椙山女学園大教授 林仲宣
1.新会社法は、役員の定義を明確に定めているが、業績連動型役員報酬の対象となる役員は、取締役であることに変更はない。
2.社外取締役は、非常勤であっても取締役としての責任はあるから、その責任に対する報酬の支給は当然といえるが、このことは中小企業であっても同様である。
3.執行役員は、経営に関わる意思決定を行う取締役会の決議に基づき業務を執行する代表取締役等の指揮監督の下で、事業の執行を専ら行うことが職務であるから、経営に参画する立場にはないので、みなし役員と認定されるケースは少ない。
4.新会社法は、不確定金額の報酬や非金銭的報酬に関する平成14年改正商法を踏襲しているが、役員報酬と同様に役員賞与を株主総会の決議という規制の対象としている。
5.業績連動型報酬の損金算入は、役員賞与を、全額無条件で損金算入を容認することで可能になると考えるが、今後の処理方法については税制改正を注目したい。
役員賞与の費用処理をめぐる会計の新動向
神戸大学教授 桜井久勝
1.役員賞与は伝統的に利益処分方式で会計処理されてきたが、新会社法の施行後は費用処理に一本化されようとしている。
2.費用処理方式のもとでは、決算期末に次の株主総会で承認を得て支給される役員賞与の金額を見積もって、役員賞与引当金を設定し、引当金繰入額を費用として損益計算書に計上する。
3.新会社法で役員報酬と役員賞与が同様の手続で決定され、また両者とも費用処理を求める会計基準の出現は、役員賞与の損金不算入規定の再検討の論拠となる。
会計参与の就任と報酬の決定
税理士 上西左大信
1.会計参与は、会計法上の役員であり、法人税法上も役員となる見込みである。
2.会計参与は、使用人兼務役員やみなし役員には該当しない。
3.会計参与の報酬は、職務遂行の程度等に応じて支払うのではなく、定時定額に支払うべきである。
4.会計参与の報酬は、その職務の範囲・深度等を総合的に勘案して当事者間で合意された金額であるから、過大役員報酬が認定されることは稀であろう。
5.顧問税理士報酬と会計参与報酬は、それぞれの金額を独自に算定すべきである。
役員報酬・退職金の過大認定
税理士 福島基
1.過大報酬の認定基準は実質基準、形式基準の二つがある。
2.役員の職務内容に実体がない場合は、役員報酬の対価性がないので全額損金不算入となる。
3.株主総会で役員報酬の総額を決議し、変更がない場合は、その決議が有効なものとして次年度以降、引き継がれるので注意する必要がある。
4.役員の職務内容等の事実認定を有利に展開するために、日常から細かな資料、証言等を収集・保存する必要がある。
役員報酬・退職金の未払い・後払い
税理士 山元俊一
1.役員報酬の損金性の要件については、定時・定額支給が原則となる。
2.役員報酬については、年俸制支給の場合、処理の仕方によっては役員賞与とされることもある。
3.役員報酬・役員退職給与については株主総会の承認等により支給をするに当たり、その適正な手続が求められる。
4.役員報酬・役員退職金ともに経営上の合理的理由のない租税回避目的の未払計上は否認される。
役員の死亡に係る弔慰金の支給
税理士 野中孝男
1.弔慰金の支給額については,裁決・判決上では相続税法の弔慰金通達が援用されている事案がほとんどであるが,労働基準法の遺族補償の規定とともにこの相続税法基本通達の存在をその根拠としている。
2.労働法の分野における判例及び行政解釈では,業務上の死亡かどうかの判断は業務遂行性と業務起因性により行われるが,相続税の取扱いにおいてもこれに準拠して行う。
3.弔慰金を退職慰労金と併せて支給する場合,退職慰労金と弔慰金のそれぞれの規程により,区分をして支給すべきであると考える。
分掌変更による退職金の支給
税理士 玉ノ井孝一
1.役員の分掌変更等による退職金の打切り支給について、役員退職給与として損金算入が認められるためには、当該役員が実質的に退職したのと同様の事情にならなければならない
2.分掌変更後の報酬が必ずしも変更前の50%以下になる必要はないが、報酬が激減しない場合には、その分の報酬について税務上注意が必要になる。
3.役員の分掌変更等に係る証拠資料については、その時期が明確に分かる資料を残しておくべきである。
4.原則として、分掌変更等による役員退職金のうち未払いのものは損金算入が認められない。
役員への経済的利益の付与と賞与認定
税理士 苅米裕
1.課税サイドによる経済的利益の認定に対して、一時所得に該当する旨の余地はない。
2.対価性のない役員の親族への金銭の交付は、寄付金とはならず、役員賞与と認定される。
3.嗜好性が強いと思われるクルーザーやスポーツカーは、法人の事業用資産として認められる余地があるか。
4.役員と共に海外出張に同伴した親族に対する旅費は、役員賞与と認定される危険性が大きい。
5.豪華慰安旅行の賞与認定と不参加者に対して支給した金銭の参加者に対する影響を検討する。
みなし役員の認定
税理士 藤曲武美
1.経営に従事しているかどうかは、事実認定の問題であるが、重要事項等の決定権に関与しているかどうかが重要な判断基準と考えられる。
2.執行役員の税務上の取扱いについては、対立する2説がある点を考慮する必要がある。
3.法人税法上の「法人の経営に従事」という概念と執行役員との関係を個別的、具体的に検討することが重要である。
役員へのストック・オプションの付与
税理士・公認会計士 佐藤正樹
1.ストック・オプションの課税について、平成13年の商法改正後、所得税においても個人の課税タイミング・所得区分が明確にされている。
2.役員への無償のストック・オプションは、原則的に付与時であるが、株主総会の特別決議を経れば、ケイン離隔定時の課税となる。
3.税制適格ストック・オプションは、権利行使により取得した株式の売却時課税となる。
源泉税実務
Q&A 平成17年度分年末調整の実務ポイント
税理士
三好毅
12月といえば税理士事務所は年末調整の対応に大わらわだが、今年分の改正点と通常の実務の留意点をチェックするのが本稿。改正点では、老年者控除の廃止や、国民年金の保険料に係る添付資料関係の改正点を解説する。また、一般的な実務では、住宅ローン控除等のポイントを示す。
所得税実務
事例から探る 専従者給与をめぐるトラブル回避策
税理士
久保田和子
専従者給与に係る必要経費の特例を受けるには、その支給額や職務の内容等を記載した書類を税務署長に事前に届けることが求められている。ところが、この青色専従者給与の支給をめぐっては、支給の多寡、職務内容の実態等から税務否認される場合が多く、審査請求さらには訴訟にまで発展することが多い。そこで、青色専従者給与の支給をめぐって税務トラブルに発展した否認事例からトラブル回避策を検討する。
相続等による取得資産に係る付随費用の処理をめぐる税務
税理士 奥田周年
税理士 渡邉正則
今年2月1日の最高裁判決で、「贈与により取得したゴルフ会員権を譲渡する際、名義書換料は取得費に算入できる」という判決が下された。これを受けて国税庁は、質疑応答により過去5年内の同様の費用は更正の請求に応じる旨公表し、さらに所得税基本通達の該当部分を改正・新設した。相続・遺贈・贈与で取得した財産の付随費用をめぐっては、今後の実務に充分注意しなければならない。そこで本稿では、これら取扱いの改正ポイントを整理・解説し、実務上の留意点を検討していく。
資産税実務
建物建設中の相続発生と評価をめぐる問題点
税理士
齊籐忠彦
建物の建築中に相続が発生した場合は、その建物の建築にかかった費用現価の70%で評価することとされているが、この評価額は建物完成後の固定資産税評価額よりも高くなるケースが多く、トラブルのもととなっている。本稿では、建築中の家屋の評価について若干の考察をするとともに、相続税評価の実務において迷いがちな小規模宅地特例の適用や貸家建付地の適用等について整理する。
特例適用者の死亡に伴う相続人による特例の引継ぎと留意点
税理士
四方田彰
資産税関係の申告を行う場合,さまざまな特例を適用するケースが多い。しかし,特例の適用を予定していた者が,特例適用を行う前に亡くなってしまった場合や,たとえ申告後に死亡しても相続人が特例適用をできない場合もある。また,買換特例や小規模宅地など,申告後要件が付されているものも多く,相続人による特例の引継ぎを認める場合,注意すべき点は多岐にわたる。そこで、本稿では、特例適用(予定)者の死亡により、相続人が当該特例を引き継ぐ際の要件を整理し、留意点をまとめる。
消費税実務
委託販売・手数料収入が多い場合の課税計算上の留意点
税理士
清水謙一
委託販売は、中古品、書籍、化粧品などさまざまな商品で行われ最近はインターネットを利用した委託販売が多い。また、広告の取次やパック旅行の販売を行って手数料を収受する販売形態も委託販売の一形態といえる。こうした、委託料・手数料収入が多い業種で問題となるのが、消費税の課税標準の計算において課税売上に計上すべき金額で、総額とするかあるいは手数料に相当する純額にするか、と言う点。課税上は、委託販売について、通達で示しており、総額だけでなく、委託販売等のすべてにおいて手数料の純額だけを計上しているときは、純額での消費税計算を認めている。注意しなければならないのは、一旦純額で処理したなら事業者免税点の判定や簡易課税制度の適用の判定も同様の基準でしなければならないし、総額で行えば総額で免税点・簡易課税等の判断をしなければならない。
難問事例
合併無効判決の遡及効と課税関係
税理士
山田俊一
甲株式会社は、乙有限会社を吸収合併した。吸収合併に際し、乙社出資者への甲社の株式の交付、乙社の清算をし、乙社の出資者はみなし配当に関する確定申告をした。ところが、これらの手続のあと、合併に反対していた乙社取締役の一人が合併を無効とする訴訟を提起し、裁判で勝訴した。合併は無効とする判決が下され、乙社の回復登記がされたが、判決以前に行った、乙社の清算所得に関する課税、乙社出資者の確定申告は、どうなるであろうか。
業種別税務
中古車販売業の税務と経営改善指導
税理士
矢野馬通永
現在、我が国の中古車市場が活況を呈している。その要因として、輸出が堅調という理由が挙げられるが、国内の需要ではネットオークションでの売買など、市場の変化も見られる。こうした状況の中で、中古車販売店は、競合他社と比べていかに経営改善を図る必要があろうか。また、税務では、自動車リサイクル法の施行により、関係費用の会計処理・税務処理が必要になっており、配慮しなければならない点も多い。
利益計画
旅館・民宿業のモデル利益計画
税理士・ITコーディネータ
崎山強
" 近年、予断を許さない景気動向や交通の利便さもあって、国内旅行の簡易化が進んでいる。また、「団体から個人へ」という流れや、インターネットによる旅行手配も進むなど、消費者動向が大きく変わりつつある。
本稿では、ここ数年、団体客が激減し、少人数旅行客が過半数を占めるようになった民宿をモデルに、近隣の名所や自然環境を幅広く取り込んだ観光の拠点となる宿づくりを目指すための戦略を提示する。"
連載
◆ポイント・オブ・ビュー
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 渡辺裕泰 氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
中戸勝 税理士事務所(埼玉県入間市)
◆好調関与先にはワケがある!
(株)サンフリード (長崎県長崎市)/中込重秋 税理士(九州北部税理士会長崎支部)
◆クローズアップ税務争訟
企業組合の出資の評価/千田喜造
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
軽油引取税にも課税される!?/熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
滞納賃料を保証人に対して請求する場合の留意点/服部弘
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
会計情報は、経営意思決定のためにある!/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計 中小企業会計指針編
(3) 金銭債権と貸倒損失・貸倒引当金/長岡勝美
◆実務の焦点
LLPに係る消費税の問題点/在原一憲
社会保険料に係る罰金等と税務/塩島好文
◆税務・会計相談コーナー
「アスベストの除去に係る費用の税務取扱い」(法人税関係)/轟木洋二
「収用の特例と軽減税率の特例との併用適用」(資産税関係)/伊藤正彦
「中小企業会計指針における固定資産の会計処理」(会計関係)/西田俊之
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
◆私のKeyword/森潤一
◆税理士の休日/三輪厚二
◆巻末付録●税務情報
◆類似業種目別株価一覧 平成17年7,8月分・ほか
別冊付録Ⅰ
月刊「税理」平成17年総索引
別冊付録Ⅱ
租税判例の回顧(平成16年下半期)
巻頭論文
「中小企業の会計」及び会計参与制度と中小企業金融
中小企業庁事業環境部財務課長 平井裕秀
この8月、日本税理士会連合会をはじめとする民間4団体が、中小企業の会計のあり方を示す「中小企業の会計に関する指針」を策定し、公表した。公正な中小企業の計算書類の表示を目指すもので、会計参与が作成する計算書類においても、指針となることが期待されている。計算書類の信頼性が増せば、中小企業の融資における信用が増すことになり、金融機関においての活用も見込まれる。「中小企業の会計指針」の意義と融資制度への影響を概観していただいた。
税務研究
知的財産分野における税務問題と今後の課題
税理士 崎山強
近年、知的財産分野における取引・訴訟が活発化しつつある。このような日々進歩している知的財産分野に対し、税務上はどのように考えていけばよいか。本稿では、1)知的財産法上の各種権利は税法上の資産性を有するか、2)正当な価額をいかに算出するかという評価の問題、3)各種権利が取引される場合における当該取引の法的性格の問題――につき検討する。
特集/どう活用する LLPの設立運営と税務のポイント
" 今年8月1日の法律施行に伴って動き出したLLP(有限責任事業組合)は、組合員が有限責任である一方、パススルー課税が行われ、また契約により出資割合と異なる利益の配分も可能となるなど、これまでに見られない魅力ある制度である。
この新しい事業体であるLLPは、どのような事業に向いているのだろうか。また、活用のために、設立、組織運営、そして税務の面で、どのような点に留意すべきか。本特集は、注目を集めるLLPを検討する。"
【座談会】LLP(有限責任事業組合)はこう活用する!
経済産業省・石井 芳明
公認会計士・山田 真哉
中小企業診断士・阿部 隆
有限責任事業組合法(LLP)法の立案、作成に当たった経済産業省産業組織課の石井芳明氏と8月1日の施行日にそれぞれがいち早くLLPの設立登記を申請した、山田真哉税理士・公認会計士と阿部隆中小企業診断士により、LLPという組織体の特徴や活用の方法、また設立・運営の場合の留意点を話し合う。
有限責任事業組合契約に関する法律の概要
経済産業省 石井 芳明
1.LLPは、人的資産を活かす共同事業のための事業体である。
2.LLPの特徴は、(イ)有限責任、(ロ)内部自治、(ハ)構成員課税である。
3.LLP法の重点は、債権者保護規定と共同事業要件にある。
LLPとLLC(合同会社)との相違点
税理士 冨田光彦
1.LLPの課税は構成員課税(パス・スルー)とされ、LLCは来年の会社法の施行に伴い制度化され、法人課税とされる見通しである。
2.LLCは法人格を有し「会社」類型の一つであるのに対して、LLPは法人格を有さず、「組合契約」を登記するものである。LLPには、法的安定性のための措置が施されている。
3.LLPはLLC同様、有限責任制を採っている。
4.税理士業務をLLP契約とすることはできない。
海外におけるLLP等の概要と活用パターン
日本大学教授 平野 嘉秋
1.日本版LLCは法人課税が適用されるが、米国におけるLLCは、日本版LLCと異なり、構成員課税を選択できる。
2.日本版LLPを税理士及び会計士等は共同事業体として利用できないが、米国及び英国におけるLLPは、日本版LLPと異なり、会計事務所の共同事業体として多く利用されている。
3.米国には所定の条件を満たせば、株式会社であっても構成員課税を適用できるS法人(いわゆる「みなし個人課税制度が適用できる法人」)がある。
LLPの特性と事業への活用
税理士 秋葉武
1.出資比率によることのない貢献度等に応じた利益分配を行うことが可能である。また、パス・スルー課税を適用することにより、損失が出る場合には、組合員固有の所得と通算できる。
2.産学連携、ゲノム・バイオテクノロジー等の共同事業、農業、街づくり、商店街等における共同事業及び情報、通信、交通、新素材等の共同事業等において、LLPを有効に活用すべきである。
3.LLPのパス・スルー課税が租税回避にも活用される恐れがあるとして、人為的に節税効果を用いたスキームは、今後の税制改正によって封じられる可能性がある。
LLPの設立・登記手続
税理士 木村 聡子
1.LLP設立は、手続も非常に簡素であり、設立手続に必要な期間は1週間程度である。
2.設立に必要な書類も少なく、費用的にも負担が少ない。
3.ただし、LLPは組合契約による内部自治が特徴であるので、組合契約の内容のうち必須記載事項以外の部分については、組合員全員で十分に検討すべきである。
4.登記手続前に、所轄法務局の登記官への事前の相談(根回し)をすることが、スムーズな設立のためにも必要である。
組合員の出資、損益・財産の分配と責任
公認会計士 佐藤敏郎
1.LLPの性格を把握するためにも有限責任事業組合の3原則と組合員の出資・損益の分配と責任の関係を整理する必要がある。
2.出資者の有限責任性及び義務について検討することで、LLPの本質を探る。
3.実際のLLPの運営上、損益分配と財産分配との関係及び矛盾点を整理・把握することが肝要である。
4.LLPの解散についても。残余財産分配の手続上の流れを把握する必要がある。
LLPの事業の推進と運営上の留意点
公認会計士 今井章
1.LLPは、個性や能力を持った各組合員がLLPの行う営利事業に対して主体的に参加し、その目的を達成することが予定されている制度である。したがって、LLPの業務意思決定及び執行は、原則としてLLPの組合員全員が行う。
2.LLPは民法上の組合の特例であり、法人格は有しないものの一定の法的主体性を有し、契約の主体となること、財産を所有することができる。
3.LLPの組合員は有限責任であり、LLPの債権者を保護する諸規定が置かれている。
LLPと一般法人の税負担比較
税理士 宮崎剛
1.(イ)LLPの組合員として利益の分配を受けた場合、(ロ)株式会社の株主として配当で利益を受けた場合、(ハ)株式会社の役員として報酬で利益を受けた場合の三つの場合での税負担を比較する。
2.(イ)LLPの組合員として損失の分配を受けた場合、(ロ)株式会社で損失が発生した場合の二つの場合での税負担を比較する。
3.LLPの個人組合員と法人組合員については、損失の繰越しができるか否かの違いがある。
LLPをめぐる税務・会計上の諸問題 "税理士
西村 善朗"
1. LLPでは、設立時及び毎事業年度に財務諸表の作成が義務付けられている。
2.有限責任性を採用するLLPでは、財務諸表について公告の義務はないが、債権者からの求めに応じて開示が求められる。
3.財務諸表で開示する内容については、有限責任事業組合契約に関する法律、法律施行規則のほか、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとされている。
4.財産の評価は、原則として時価評価が求められている。現物出資時においては税務上の問題が存在する。また、LLPと組合員との評価基準が異なる場合、調整をどのようにするかの問題がある。
5.組合員の損益分配は、原則として出資額基準であるが、それ以外の基準で定めることも可能である。その場合、当該基準が適正であるか否か、税務上問題となる。
法人税実務
リースバック契約の活用と税務否認回避策
税理士 高橋 敏則
リースバックは、企業が所有する物件をリース会社に売却して、設備をリース会社から借り受ける契約をするもので、所有していた企業はリースという形式で売却後も変わらず使用できることになる。最近リースバック契約が増えて、自動車やOA機器のほか、機械設備や不動産もその対象となることがある。企業は手持ち資産で資金調達ができるばかりでなく、資産のオフバランス化や含み損益の顕現化ができ、多大なメリットをもたらすことがある。しかし、企業が変わらずに使用している状況であり、形式的には資産を担保に融資をしている状況なので、契約によっては税務上金融取引としてみなされ売買・賃貸借取引がなかったものとされることがある。税務否認される場合と、その回避策を検討する。
資産税実務
今年末で期限切れ? 住宅取得資金贈与の特例と実行のポイント
税理士 山本 和義
住宅取得資金贈与の特例は、1)暦年贈与による方式(5分5乗方式。550万円まで非課税)と、2)相続時精算課税による方式(3,500万円まで非課税)の二つがあるが、措置法上は双方とも今年の12月31日で適用期限が切れることになっている。国土交通省や経済産業省では延期を求める税制改正要望も出ており、年末に大綱が出るまで予断は許さないが、近い将来に適用を考慮していた人は年内実施に向けて準備を万端にしておく必要がある。そこで本稿では、特例のしくみと要件を再確認し、適用における留意点を検討・解説していく。
法務と税務
公益法人等の解散と法務・税務のポイント
税理士・公認会計士 田中 義幸
少子化の影響を受けて、学校法人や保育園などの破綻が相次いでいる。公益法人も民間企業である以上、業績が不振であれば倒産は避けられないが、解散・清算に伴う税務や法的手続は一般法人とは異なる点も多い。そこで本稿では、公益法人が解散した場合の法務を学校法人、宗教法人、社会福祉法人等の法人種類別・段階別に解説し、固定資産の処分等における課税のポイントを検討していく。
増加するマンションの建替えと税務上の留意点
税理士 土屋 栄悦
老朽化したマンションが急増していることから、マンションの建替え需要は相当数あるものと考えられる。しかし、マンション建替えの阻害要因があり進まない状況であったが、平成14年6月に「マンション建替法」が制定され、同年12月に「建物区分所有法」改正など法整備がなされ、実行しやすくなった。そこで、マンション建替えの事業形態を整理し、それに伴って生じる区分所有者等及びマンション建替組合に対する税務の対応についてまとめたもの。
利益計画
Webサイト制作・運営業のモデル利益計画
中小企業診断士 池田 しのぶ
インターネットの人口普及率は62.3%にのぼり、日常生活とビジネスの両面において、すでに身近な存在として浸透している。既に約80%の企業が自社のWebサイトを構築し、商品販売やマーケティングに活用しており、今後もWebサイトの制作・運営に対するニーズは高まっていくものと予想されている。しかし、市場参入の容易さから競争環境は厳しく、価格競争の消耗戦に陥りやすい。そこで、本稿では、既存事業分野の効率化、新事業分野への進出策について検討し、経営基盤強化の実現を目指す。
連載
ポイント・オブ・ビュー
明治安田生活福祉研究所 主任研究員 松原由美 氏に聞く
税理士事務所みてある記
細谷・伊藤 税務会計事務所(千葉県成田市)
好調関与先にはワケがある!
マルコメ(株) (長野県長野市)/金子和夫 税理士(関東信越税理士会長野支部)
クローズアップ税務争訟
第三者間取引における低額譲渡/田代行孝
クマオーの消費税トラブル・バスター
通算調整割合って、何だ?/熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー
更新料の支払いは拒否できる?/菅原万里子
金融機関との上手な付合い方 実践編
中小企業庁の支援策の活用/甲賀伸彦
新時代の中小企業会計 中小企業会計指針編
(2) 「指針」の方針と留意事項/長岡勝美
実務の焦点
消費税の納税義務の判定における個人と法人の相違/川島雅
公益法人における仕入控除税額の調整計算/星山光雄
税務・会計相談コーナー
「減損損失の計上に伴う債務超過の状態と有価証券の評価損」(法人税関係)/内山裕
「土地の使用貸借と相続時の評価、売却時の代金配分」(資産税関係)/渡邉正則
「排出権の会計処理」(会計関係)/古内和明
ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/榎元俊之
税理士の休日/義之岳史
別冊付録●税務情報
類似業種目別株価一覧 平成17年5,6月分・ほか
巻頭論文
改めて問われる物納環境のあり方と整備に向けての問題点
桜美林大学教授
野田秀三
相続税の物納は、納税者が金銭納付や延納を困難とする場合に認められる制度である。ただし、物納できる財産の範囲はきわめて限定的で、“物納不適格”とされる財産の範囲も広い。加えて物納の許可・却下の判定には多くの時間を要し、取得費加算などの特例を適用できなくなる事態も生じている。
ここでは、こうした課税庁の不適切な対応と物納制度そのものが抱える問題を追及し、求められる改善策を提言する。
税務論文
新しい資本制度と税制への影響
中央大学専任講師
久保大作
新会社法では、従来の会社法制のほとんどの部分に何らかの制度変更を加えており、資本制度についても例外ではない。最低資本金制度が撤廃されたことは大きく取り沙汰されているが、それ以外にも資本金・準備金の増加・減少に関する規定、剰余金の配当に関する規定などで大きな改正が行われている。ところで、こうした資本制度の諸改正に伴い、税制にも少なからず影響があるのは確かだが、税法改正が実行されるかどうかは未知数だ。そこで本稿では、新会社法の制定で様変わりした新しい資本制度を詳解し、税制に求められる対応を提言する。
税務研究
借地権控除方式によらない貸宅地割合の設定と実務への影響
税理士
橋本守次
7月下旬の評価通達の改正で、底地の評価において、国税局長がこれまでの借地権控除方式によらない地域を決め、新たに「貸宅地割合」を定めて評価することにした。通常の底地に計算方法では実情にそぐわない地域を特別に指定するもので、その地域については更地価額×貸宅地割合で底地を計算する方法が表示された。貸宅地の底地は、これまで更地価格に(1-借地権割合)を掛ける借地権控除方式が実情に合わないのではないか、ということで裁判になる例も多くあった。今回の通達は、借地権控除方式を是正する措置とみられるが、その適用はどのようにされるか、17年の路線価図での表示などをもとに検討する。
事例研究
低額譲渡・低額譲受けの認定傾向とその事例検討
税理士
松浦宜子
本稿では、1)時価の2分の1を上回る金額で取引された譲渡事案において、当該譲渡の対価が「著しく低い価額に」に当たるとされた裁決例、2)公示価格を基に算出した土地の価額との著しい価額差等を理由として課税庁が行った更正処分が取り消された裁決例など、低額譲渡・低額譲受けに関する四つの事案を紹介し、検討を加える。
相続事案に対する行為計算の否認パターンと税務署長の判断
税理士・公認会計士
林隆一
会社債権及び相続対策のために行った、同族会社所有の不動産を亡オーナーが銀行借入により取得した取引に対して、借入分の債務控除を相続税法64条に基づく行為計算規定により否認された事例をはじめ、最近、相続税をめぐり“伝家の宝刀”といわれる行為計算の否認の発動が目立っている。 本稿では、同規定による否認パターンを検討し、その問題点を探る。
情報公開裁判を通じ見えてきた国税当局の判断プロセス(下)
――消費税還付保留通達の裁判過程での一断面
税理士
藤田康雄
開示請求から訴えの提起・判決に至る経過を紹介した前月号を踏まえ、今月号では、実例を通じて垣間見えてきた国税当局の税務行政内部における判断プロセスを探るとともに、情報公開請求・裁判の活用による税務行政の透明化への可能性について検討する。
特集/所得・資産の移転と認定されがちな関連会社間取引
最近、関連会社間の取引に基因した税務否認が増加している。その原因の大半が、商品の販売、経営指導料や業務委託料の支払い、債務免除や合併・分割等の組織再編等の際の設定価格の適正性が問題とされ、所得・資産の移転による「租税回避」と認定されている。
本特集では、関連会社間取引における課税庁の税務否認パターンを探るとともに、価格設定で恣意性を指摘されないための事前回避策を検討する。
<総論>
関連会社間における所得・資産の移転と課税
明治大学教授
川田剛
1.関連会社とはなにか、同族会社との違いについて明らかにする。
2.国外関連会社の取引においては移転価格税制が設定されている。
3.関連会社において恣意性の介在はあるのか、その際の否認の根拠は何になるだろうか。また、同族会社行為計算否認規定(法法132等)の射程距離の限界はどこまでなのか。
<ケース別所得・資産移転のパターン>
物品販売の価格設定
税理士・文京学院大学大学院講師 山口義夫
1.関連会社間取引は、第三者間取引と異なり、恣意的に行われる可能性があり、その取引価額が適正か否かについて税務調査官のチェックが厳しい。
2.関連会社間では、高収益(黒字)法人から低収益(赤字)法人に対する資金援助目的などで取引価額への上乗せ・削減を利用する事例がある。
3.関連会社間の価格設定が関連会社への所得の移転と認定された場合には、その差額相当額につき寄附金としての課税が行われる。
4.税務対策上、関連会社間取引価額は市場価格を基準とし、その市場価格がないときは、移転価格税制の算定基準を参考に「適正な価格」を設定する。
業務のアウトソーシング
税理士
吉村博一
1.物の販売と異なり、サービスの提供である業務委託については、業務委託費に見合う便益を受けたことを立証しうる証拠資料の保存が重要である。
2.業務委託費の役務提供については、土地などと違い売買実例に基づく実勢価額のようなものがないため、取引価額を決定する際には、通常の取引価額を立証することがポイントとなる。
3.単なる人材派遣ではなく請負による業務委託であることを証明するためには、設備等の実態を備えることが重要である。
4.業務委託契約の収益計上時期は、役務提供の完了時を固定的・硬直的な判断基準として考えるのではなく、取引態様を把握し判断していく必要がある。
売上割戻し・仕入割戻し等の実施
税理士
塩島好文
1.関係会社間の取引に係る売上割戻しや仕入割戻し等の実施には、その計算根拠となる裏付けが必要である。
2.関係会社の従業員等に対する売上割戻し等の実施について、その計算根拠や処理方法に留意する。
3.売上割戻しや仕入割戻しの計上時期に留意する。
出向者に対する給与の支給
税理士
中里昌弘
1.出向先法人が実質的に給与負担金の性質を有する金額を支出した場合には、出向者に対する給与として取り扱われる。
2.出向先法人において役員となっている場合は、出向元法人に支出する給与負担金について報酬と賞与の区分が必要となる。
3.出向先法人が支出する超過負担金は、そのことに合理的な理由がない場合には出向元法人に対する寄附金となる。
4.出向元法人が給与ベースの較差を補てんするため出向者に支出した給与は、出向元法人において損金の額に算入される。
技術指導・教育研修費の支出
税理士
宮森俊樹
1.親子会社及び関連会社間における役員又は使用人を外部講師等として招聘する場合 は、謝金等の対価の妥当性を立証する必要がある。
2.親子会社及び関連会社間で施設等の使用料等の負担を行う場合は、使用料等の妥当性を立証する必要がある。
3.親子会社及び関連会社間における取引は、いわゆる身内の取引となるため、教育訓練 費の税額控除の適用に当たって,税務では妥当額の算定及び証拠資料の整備保存を慎重 に行いたい。
関係会社に対する債権放棄
税理士
嶋協
1.子会社等の関係会社救済のために債権放棄を行う際には、合理的な再建計画に基づくものであるなど、相当の理由がある旨を立証する必要がある。
2.合理的な再建計画かどうかは、個々の事例に応じて総合的に判断するが、相当な理由がある旨を立証する場合には、証拠書類の整備が必要となる。
関連会社による増資の引受け
税理士
轟木洋二
1.株式の有利発行や、高額引受けを行う場合には、問題が生じる場合がある。
2.増資取引の当事者でなくとも、増資取引によってもたらされた経済効果によって取引当事者と認定される場合がある。
3.非公開会社の時価算定は困難な場合が多い。
損出しを目的にした資産の譲渡
税理士
掛川雅仁
1.税務上、関連会社の範囲は、資本(親子)関係、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関係性を有するもの、個人も含み、広汎である。
2.譲渡損が計上される資産の典型は、不動産・有価証券・ゴルフ会員権・絵画・金銭債権である。
3.譲渡価額の客観的な妥当性を疎明する方法と資料は、資産の種類に依存する。
4.譲渡の形態にも、なぜ、その行為を選択したのかという客観的な合理性ある説明が求められる。
5.客観的な経済合理性の判断には、「関係会社間の取引に係る土地・設備等の売買益の計上についての監査上の取扱い」が参考になるが、組織再編成税制の観点が欠落している。また、客観的な経済合理性は、譲渡法人だけでなく、譲受法人にも求められる。
組織再編による所得・資産移転
公認会計士
神門剛
1.適格要件等の一定要件を満たさない場合には、課税の繰延べを認めないとされる。また、繰越欠損金や含み損の損金算入についての個別的な制限規定が存在する。
2.加えて、行為計算を否認する包括的な規定が用意されている。
3.包括規定の具体的な適用ケースとして、例えば、損出し再編、取引関係のある会社との再編、合併直後の分割、上場準備会社、相続税対策会社、逆さ連結、他社買収型の株式移転などが考えられる。
国外関連者との取引における移転価格
税理士法人 トーマツ
1.移転価格税制は関連者間取引を、「取引相手が関連者でなかったなら採用したであろう価格(独立企業間価格)」で行うことを納税者に求めている。
2.実際のケースにおいては、見逃されがちな以下のような点に留意する必要がある。
(1) 国外関連者から余剰在庫の買戻しなどをする際は、買戻し時点における独立企業間価格を考慮しなくてはならない。
(2) 無形資産取引対価であるロイヤルティを独立企業間料率に設定することが困難な場合には、有形資産取引においてロイヤルティ相当分を回収することも可能である。
(3) 同一セグメントの有形資産取引と無形資産取引であれば、セグメント単位で移転価格を検証することも可能である。
(4) 出張者による国外関連者への役務提供も独立企業間基準に沿った対価の請求が必要となる。
3.移転価格の調査で否認を受けないためには、納税者自身が取引の全体像及びその構造を熟知し、移転価格の分析と文書化、取引価格設定方法の見直し、税務当局との事前合意等の対策を行うことが必要である。
法人税実務
長期滞留化債権の処理に係るトラブル回避策
税理士
新村中
関係会社間取引では、会社の財務状況によって売掛金等の債権が長期にわたって滞留することがある。この滞留債権に関して債権放棄を行うこともあるが、税務上では寄附金認定が危惧される。そこで、最近の債権放棄事例を検討すると共に、法基通9-4-1、9-4-2の取扱いを検討し、その寄附金認定の回避策を探る。
新しい業務責任者ポストの設置とみなし役員の判定
税理士
秋山典久
執行役員や、CEO、CFOなど新しい役員の呼称が増え、採用される例も多くなってきている。こうした役員については、みなし役員として賞与認定などの税務否認を受けることもあり、留意が必要になる。これら新しい役員形式の税務取扱いはどうなるか。商法の役員と、税法の役員を確認し、税法の「みなし役員」とされるのは、どういう場合かを、例を挙げながら検討する。
資産税実務
親族間における不動産の使用貸借のトラブルポイント
税理士
鈴木高広
親から子が建物を使用貸借により借り受けることや、親から土地を使用貸借で借受け、その上に子が建物を取得(建築)することは特に頻繁に行われている。そして、その建物を子が自らの居住用とする場合、子が自らの事業に使用する場合、子がそれを転貸する場合などについて、その土地が賃貸借ではなく使用貸借であるがゆえの税務上のトラブルも考えられる。そこで、これらに関する具体的なトラブルを想定し、その回避策と留意点について検討する。
広大地新通達が引き起こす相続事案の問題点
税理士法人 思援
昨年の財産評価基本通達の改正で、広大地評価の方法が簡便化され、改正前を大きく上回る評価減が可能となった。この大幅な評価減の改正は、実務家から好評をもって迎えられたが、その一方で実務上のデメリットも存在し、税理士を脅かしている。
本稿では、これまで2度にわたり公表された新通達をめぐる情報を踏まえて、広大地をめぐる実務の場面――遺産分割、売買、物納、相続対策――における落とし穴を検討する。また、併せて広大地に対する課税当局の取扱いの変遷を整理している。
前払賃料方式による定期借地権の相続評価と経済的利益の取扱い
税理士
笹岡宏保
今年になってから国税庁より明らかにされた「前払賃料方式」の定期借地権は、借地人・地主の所得計算、相続評価の面で従来の定期借地権が抱えてきた問題のほとんどを解消しており、今後はこの方式による定期借地権の設定が増えるのではないかと見られている。本稿では、これらの取扱いが明らかにされた国税庁の2つの文書回答を精密に分析し、実際にどのように有利なのかを具体的な設例を用いて解説する。
法律実務
商品の売掛債権者に認められた先取特権の活用
弁護士
池田秀敏
景気に明るさは見えてきたものの、まだまだ中小企業を取り巻く経営環境は厳しい。取引先が倒産して売掛金の回収に支障が生じれば、自社の資金繰りにも大きな悪影響をもたらすことになる。商品の販売に際して担保や保証をとっておけばよいが、現実にはあまり行われておらず、債権者は泣き寝入りせざるを得ないのが実情だ。しかし、売掛金の優先的な回収が可能となる場合がある。それは、「先取特権」に基づく優先的権利が的確に行使できた場合だ。本稿では、動産売買の先取特権を主張するための法的手続、主張・立証の方法を解説し、さまざまな場面での活用方法を検討していく。
税理士業務
国税関係書類のスキャナ保存の実行と申請実務(下)
税理士・公認会計士
佐久間裕幸
決算関係書類や額面3万円以上の契約書・領収書を除くすべての文書の電子保存を可能とする「国税関係書類のスキャナ保存制度」が今年度税制改正で創設された。本稿では前回に続き、本制度を活用する場合の保存申請の仕方について詳細に解説する。加えて、法務省令など税法以外の法令における電子保存の留意事項を検討する。
難問事例
指定受取人死亡後の保険金受取り
税理士
山田俊一
保険契約の指定受取人が、保険契約者より先に死亡し、指定受取人の変更をせずにその後保険契約者が死亡したならば、保険の受取人は誰になろうか。指定受取人の相続人がその対象になるようだが、その中に指定受取人の配偶者・複数の子がいると、保険金の配分はどうなるか。また、保険金は通常はみなし相続財産になるが、被相続人本人の保険金でない保険金はみなし相続財産になるのか等々、難問があり検討を加える。
利益計画
学習塾のモデル利益計画
中小企業診断士
宮田貞夫
学習塾・予備校の市場規模は、深刻化する少子社会の影響を受け、縮小傾向にあった。しかし、「ゆとり教育」に対する懸念から、2000年を境に下げ止まりの傾向がみられるようになっている。今後、各学習塾は、生残りのために、こうした顧客ニーズを敏感に捉え、展開していく必要があろう。本稿では、塾経営の基本である教務力を強化し、周辺塾との差別化を目指すとともに、情報管理・収益管理の徹底を図るための方策を提案する。
◆ポイント・オブ・ビュー
(株)日本総合研究所調査部主席研究員 翁 百合 氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
税理士法人SANO(東京税理士会渋谷支部)
◆好調関与先にはワケがある!
株式会社連合社印刷(神奈川県横浜市)/益子良一税理士(東京地方税理士会神奈川支部)
◆クローズアップ税務争訟
分掌変更による役員退職給与/藤井茂男
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
特定収入って、何だ?/熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
就業規則に退職金規定がないのに、退職金を請求された場合は?/菅原万里子
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
中小企業金融が直面する問題点とは!?/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計 中小企業会計指針編
(1) 目的・対象/長岡勝美
◆実務の焦点
広大地評価と共有物の分割/山本晋也
法人事業税の分割基準の見直しと留意点/山下久康
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴
◆私のKeyword/山崎哲哉
◆税理士の休日/小川 実
別冊付録Ⅰ●平成17年度全国市町村税税率一覧表
別冊付録Ⅱ●税務情報 措置法(株式等に係る譲渡所得等関係)通達の一部改正・ほか
巻頭論文
公益法人課税見直しの方向と実務への影響
横浜国立大学大学院教授
川端 康之
内閣官房行政改革推進事務局を中心に、現行の公益法人制度を抜本的に見直すための検討が進められてきた。このような公益法人制度改革の動きに対応して、政府税制調査会においては、新たな非営利法人に関する課税のあり方を抜本的に検討することとし、ワーキング・グループを設置して、6月17日に「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」をまとめた。この内容と影響や問題点などを、ご解説いただいた。
税務論文
所得区分見直しの論点と今後の課題
大阪府立大学教授
田中 治
6月に公表された政府税調の「個人所得課税に関する論点整理」において、所得区分や所得の計算方法のあり方など重要な問題提起がなされている。現在、所得区分は10種類に分けられているが、経済社会の構造変化を踏まえ、今回の論点整理では、「不動産所得」及び「一時所得」の廃止、「年金所得」の創設などが提案されている。
本稿では、これら所得区分の見直しの提案について評価・分析するとともに、今後の望ましい方向性、解決すべき課題を検討する。
税務研究
第三者間取引への贈与認定課税に対する税制・執行のあり方
税理士
右山 昌一郎
今年1月のさいたま地裁の第三者間取引に対する相続税法7条の適用事件を端緒として、第三者間取引に対する贈与認定課税を検証し、問題点を指摘する。本条の規定ぶりの問題から、認定課税後の資産売却に伴う取得費の問題まで、広い見地から考察を行う。
事例研究
情報公開裁判を通じ見えてきた国税当局の判断プロセス(上)
――消費税還付保留通達の裁判過程での一断面
税理士
藤田 康雄
情報公開法のスタートから4年が経過し、従来ならマル秘とされてきた文書も少しずつ公開されるようになってきた。特に国税当局の判断プロセスを示す内部文書は実務家にとっても注目に値するが、課税文書の公開請求を数多く経験してきた筆者が税務署長に「不開示」とされた文書の公開を情報公開裁判に求めた実録を紹介する。
今回は、情報公開制度の概要に触れながら、「消費税還付保留に係る内部通達」を開示対象とした情報公開裁判を題材に、開示請求→不存在・不開示決定→訴えの提起→判決、に至る経過(原告勝訴で確定)を紹介するとともに同判決の意義に迫る。
特集/
会計参与が押さえておきたい! 中小企業会計指針への取組み
去る8月3日、「中小企業の会計に関する指針」が公表された。新会社法で創設された会計参与は、この指針に基づき計算書類を作成することとなる。また、会計参与を置かない中小企業でも、銀行からの融資条件として、本指針に基づいた決算書等の提出を求められることが予想される。
このように中小企業の経営、そして税理士業務に大きな影響を与える「中小企業の会計指針」について、会計参与の視点から、具体的な設例を基に税務処理との相違点等を明らかにしながら、その概要を検討する。
<税理士業務等における会計指針の位置付け>
「中小企業の会計に関する指針」統合の経緯とその意義
税理士
杉田 宗久
1.中小企業の会計に関する指針は、会計処理の基本原則を示すものであり、マニュアルではない。
2.中小企業の会計においては、コスト・ベネフィットの観点からある程度簡便な方法も認められるが、法人税法による処理が認められるのは一定の場合だけである。
3.会計指針は、会計参与設置会社だけのものではなく、すべての中小企業に適用することが推奨されている。
会計参与の計算書類作成と会計指針の活用
税理士
宮口 定雄
1.会計参与は、新会社法で新たに会社の機関とされたもので、計算書類及びその付属明細書の作成、保存、開示ならびに株主総会における説明をする職務を果たす。
2.株式会社の会計は、会社法431条により、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うこととされている。
3.会社法において会計参与が作成等する各事業年度に係る計算書類は、貸借対照表、損益計算書、その他会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものである。
4.中小企業の会計に関する指針は、中小会社が会計処理を行うとき、また会計参与が計算書類の適否を判断するときに準拠することとなるものである。
<会計参与のための会計指針への対応>
収益・費用の計上と経過勘定項目
税理士・公認会計士
櫻庭 周平
1.収益・費用の計上に関する指針の構造は、3項目で体系づけられている。すなわち、「計上に関する原則」・「収益認識基準」・「費用認識基準」である。
2.経過勘定等に関する指針の構造は、3項目で体系づけられている。すなわち、「定義」・「会計処理」・「貸借対照表の表示」である。
3.収益・費用の計上に関する指針の特徴は、網羅的に収益と費用を計上すべきことであるが、この限りでは、会計基準の立場と全く同じである。
4.ただし、会計処理の簡便化等の立場から、会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理の適用が一定の場合には認められると記し、この趣旨に即した特有の処理の定めが置かれている。
5.簡便化等による特有の処理は、1年以内の前払費用部分は費用処理認容(要継続適用)と立替金・仮払金・仮受金等のうち重要なものの要科目処理である。
棚卸資産・固定資産・繰延資産の評価
税理士
上西 左大信
1.棚卸資産
(1) 棚卸資産の範囲と取得価額については、会計と税法の差は実質的に存在しない。
(2) 卸資産の期末評価時に低価法を適用する場合の時価は、正味実現可能価額を原則としている。評価方法として、最終仕入原価法を用いることができる場合も示されている。
(3) 棚卸資産の評価損を計上しなければならない場合が明示されている。
2.固定資産
(1) 固定資産の減価償却は、法人税法上の償却限度額の範囲で経営状況により任意に行えるのではなく、毎期継続して規則的な償却を行わなければならないことが示されている。
(2) 法人税法上の償却限度額をもって毎期の償却額とすることができる。
(3) 圧縮記帳は利益処分方式を原則としつつ、直接減額方式が認められる場合が示されている。
(4) 減損処理を認識しなければならない場合の要件について、具体的に示されている。ゴルフ会員権についての減損処理についても示されている。
3.繰延資産
(1) 商法上の繰延資産と税法固有の繰延資産について、それぞれの定義と取扱いが示されている。
(2) 税法固有の繰延資産について、その貸借対照表上の表示が従来の実務と異なる場合が生じる。
有価証券の評価
税理士・公認会計士
吉田 恵子
1.中小企業会計指針は金融商品に係る会計基準に沿っているが、あまり税務と乖離して事務処理が煩雑にならないよう考慮されている。
2.売買目的有価証券以外の有価証券は取得原価をもって貸借対照表価額とすることができる。ただし、「その他有価証券」に該当する市場価格のある株式を多額に保有している場合は、時価をもって貸借対照表価額とする。また、債券の金利調整額は償却原価法による。
3.時価が著しく下落したときは、将来回復の見込みがある場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とする。評価差額は特別損失に計上する。これは強制適用である。
金銭債権の認識と貸倒損失・貸倒引当金の計上
税理士・公認会計士
望月 壽夫
1.金銭債権の計上額は原則として債権金額であり、通常、評価は容易であるため、現状の中小企業においても困難性はない。
2.表示については、子会社等又は役員等に対する金銭債権を区分表示又は脚注することは、現状の中小企業では厳格に行っていない場合も少なくないが、現状よりも詳細な区分や注記が必要な場合もある。
3.デリバティブ取引については、会計慣行が成熟しておらず、取引先である金融機関等からの情報収集が不足している場合もあり、その対応が急務である。なお、税法の取扱いは会計上の取扱いと同様になっている。
4.貸倒損失及び貸倒引当金の繰入れについては、税法上認められる金額を計上する必要がある。ただし、会計上、常に、この金額で十分であるとは限らない。
5.貸倒引当金の税法計上基準のうち、一括金銭債権の貸倒実績率及び法定繰入率の適用を原則として容認した。また、個別評価金銭債権についても、いわゆる50%形式基準の適用を認めた。また、繰入方式については、洗替方式は認めず、差額繰入方式を採用した。
退職給付債務の認識と退職給付引当金の計上
公認会計士
久保澤 和彦
1.すでに発生している退職給付費用を認識しない場合、損益計算書に利益が過大計上され、また貸借対照表には未計上の簿外負債が存在することになる。
2.原則法による退職給付債務の算出には、将来予測や割引計算等の数理計算が必要である。そのため会社外に計算を委託するケースも多いと思われる。原則法では退職給付債務から年金資産額を控除して退職給付引当金とする。
3.簡便的方法では期末自己都合要支給額を退職給付債務とみなす。会社が企業年金制度を採用している場合であっても、従業員が退職時に一時金を選択することが多い場合には期末自己都合要支給額を退職給付引当金とする。
4.原則法、簡便的方法のいずれを採用するかは、会社の規模、退職給付債務及び年金資産の金額的重要性を考慮し、会社の経済実態を示すこととコスト・ベネフィットの比較により決定すべきだが、中小企業においては簡便的方法を採用する会社が多くなると考えられる。
5.適用時差異は10年以内の一定の年数又は従業員の平均残存勤務年数のいずれか短い年数にわたり定額法により費用処理することができる。
各種引当金の繰入れ
税理士・公認会計士
三上 清隆
1.企業会計原則注解18の引当金の設定要件を具備する場合には、会社の規模に関係なく引当金を計上しなければならない。
2.貸倒引当金、返品調整引当金以外の引当金の繰入額は、全額損金不算入となる。
3.賞与引当金については、改正前の法人税法に規定した算式により算定した金額が合理的である限り、この金額を賞与引当金の額とすることができる。
税効果会計への対応
税理士
福島 基
1.税効果会計は原則として適用とされている。
2.一時差異の金額に重要性がない場合は税効果会計の適用をしないことができる。
3.繰延税金資産は回収可能性があると判断できる金額を計上する。
4.繰延税金資産による剰余金の増加額は分配可能額に含まれるため、税効果会計の適用にあたっては、高度で厳格かつ慎重な回収可能性の判断が必要とされる。
注記、公告その他の留意点
税理士・公認会計士
柳澤 義一
1.注記は計算書類の作成の一環として大切な事項であり、会計参与にとって参考となるように、現行の商法施行規則における注記の規定の一覧を記載している。
2.さらに計算書類の注記の例示を記載している。
3.公告については、現行の公告義務について確認した上で、電磁的方法すなわちインターネットによっても公告できることを示し、あわせて計算書類の例示も記載している。
徴収法実務
事例に学ぶ 予期せぬ第二次納税義務の落とし穴
税理士
鈴木 新
第二次納税義務は、課税サイドの徴収事務に関係するため、税理士実務には無関係――という捉え方が強い。だが、通常の税理士がアドバイスする取引や相続、そして会社清算の場面で、第二次納税義務の萌芽となる事象が存在する。そこで第二次納税義務告知処分となった事例を検討し類型化し、税理士実務として第二次納税義務の萌芽を摘み取るために、納税者に対していかなる事前アドバイスが必要かを検討することで、税理士が説明義務違反などで賠償事件とさせないための対応となる。
法人税実務
関係者間の資産の転貸で生じがちな税務トラブル
税理士
鹿志村 裕
親会社が機械をリースし、子会社に転貸するケースや、親会社が借りたテナントを、子会社に転貸するケースなど、親子会社間等で生じがちな資産の転貸をめぐる税務トラブルを設例形式で検討する。転貸における資産の帰属や時価の認識といった税務で問題となる点に対する考え方、及びその留意点を検討する。
繰越欠損金を活用した資産整理の実行と実務留意点
税理士・公認会計士
三浦 昭彦
企業の再建・再生を税制面から後押しするため、ここ数年、繰越欠損金に関する取扱いが相次いで改正されている。平成16年度改正では法的整理に伴う私財提供等があった場合に相殺する繰越欠損金額について、資本積立金額を控除しないこととされた。また、17年度改正では、私的整理等があった場合にも評価損益の計上が認められ、繰越欠損金の控除順位が変更されている。これらの改正を踏まえて、本稿では、繰越欠損金を有効に活用できるパターンを紹介し、その実行上の留意点を検討していく。
資産税実務
特定同族会社株式等を生前贈与と相続で承継する場合の留意点
税理士
青木 惠一
平成14年に創設された租税特別措置法69条の5の非上場株式の評価減額特例は、平成16年改正で10億円までの株式について10%の評価減額ができることなり、実務上相続や事業承継においてきわめて有効な非上場株式の評価減額措置になった。この規定は、相続時精算課税を選択し生前に贈与した場合でも適用があり、また相続時においても小規模渡地等の評価減特例との選択適用ができるなど、さまざまな適用のパターンができるが、要件として贈与時時価総額20億円未満、発行株式の3分の2限度、特定贈与者・親族等の株式保有が2分の1以上であること、相続時精算課税を選択していることなど、条件も多い。実務上この条件の中で、変動する株式評価額を、有利に移転するために、さまざまな移転の仕方を考えるが、相続時精算課税で生前贈与した場合と残りの株式を相続時に69条の5の適用をする場合の留意点と、有利選択の方法を検討する。
消費税実務
相続に伴う消費税納税義務判定の落とし穴
税理士
熊王 征秀
相続に伴い事業承継を行う際に気を付けたいのが、消費税の納税美務判定だ。この納税義務判定では、相続発生年の翌年、翌々年に特例判定を行うことは知られているが、平成15年度税制改正に伴って免税点が引き下げられたことから、平成16年・平成17年の判定に当たっては、その判定基準に3,000万円と1,000万円が混在することとなる。そのため、複雑となることから、税務ミスも心配されるところだ。そこで、具体的な設例を基に、納税義務判定を徹底的に確認する。
経営実務
新事業活動促進法の経営革新計画の策定とその承認手続
税理士
常世田 正之
本年4月に成立した「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(中小企業新事業活動促進法)は、中小企業経営革新支援法などの従来の中小企業支援制度をまとめたもので、その中の経営革新計画支援措置では、低利融資、補助金などの金融措置に加え、税制措置では、特定資産取得の場合の特別償却・税額控除のほかに、同族会社の留保金課税停止措置も加えられている。この経営革新計画は、対象業種が広く、要件も、年3%程度の付加価値額を目標にすることなどハードルが低いため、多くの企業が適用対象となるものである。この適用の条件と、認可のための手続、事業計画の立て方などを示す。
税理士業務
国税関係書類のスキャナ保存の実行と申請実務(上)
税理士・公認会計士
佐久間裕幸
情報技術の進歩は著しく、現在では、企業が抱える大量・雑多な文書類もスキャナ等で読み込むことにより、イメージデータによる保存が可能となっている。税務の世界でも、国税関係書類のスキャナ保存制度が今年度税制改正で創設された。これは、決算関係書類や額面3万円以上の契約書・領収書を除くすべての文書のスキャナ保存を可能とするもので、少額・多品種の商品を売買する業種などでは、ぜひとも活用を検討したい制度だ。そこで本稿では、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件を整理し、「電子署名」、「タイムスタンプ」、「バージョン管理」等の難解な技術用語をやさしく解説する。
法律実務
保証の形態による責任の負担と求償権の範囲
税理士
米山 健也
金銭の借入れの際の保証の形態として、単純保証(債務保証)と連帯債務があり、また保証を物の担保で行えば物上保証となる。こうした保証の形態において、保証責任を実行しなければならなくなった場合、連帯責任の形態では、負担は全額しなければならないのか、人数で割った額なのか、また連帯保障人が複数いた場合、より多い負担をした場合他の物に求償権はどの程度できるのか、また物上保証の場合はどうか、連帯保証と物上保証の優先はあるのか、債権の代位はできるか、など保証の負担と他の者への求償権の範囲を検討する。
租税訴訟
租税裁判における裁判官の自由心証主義とその実際
税理士
高比良 昌一
平成10年10月の千葉地裁での、相続税課税額を争う事件において、裁判所が、それまでは「情報」で平成11年に「通達」になった不整形地補正の方法を採用して評価額を出した課税側の主張をほぼ鵜呑みにする判決を下したことから、この不整形地の国税庁の評価方法を検討し、それに不合理性があるにもかかわらず、検討をしていない裁判官の姿勢を疑問視する。こういうことが表われるのは、裁判官の自由心証主義によるもので、裁判官の心証が正当な判断をゆがめることもあるとし、裁判においてのよりより審理・審議の仕組みを求める。
利益計画
喫茶店のモデル利益計画
中小企業診断士
小濱 岱治
大手チェーンが積極的な店舗展開を図るなど、喫茶店を取り巻く競争環境は厳しさを増している。本稿では、年齢別の各種飲料嗜好データや喫茶店利用の際の選択要因データなどを紹介し、立地状況に応じた店舗作りの方向性を提示。モデル企業として、チェーン店に属しておらず、商店街で営業活動を行っている喫茶店をとりあげ、具体的な営業政策を検討する。
◆ポイント・オブ・ビュー
慶應義塾大学法科大学院教授 松尾 弘 氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
税理士法人 税務総合事務所(千葉県税理士会千葉東支部)
◆好調関与先にはワケがある!
株式会社日本セルバン(神奈川県横浜市)/守田啓一税理士(東京税理士会上野支部)
◆クローズアップ税務争訟
代償分割における代償金の評価/中村雅紀
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
店舗兼用住宅の家賃は、どうなる!?/熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
譲渡制限付株式の譲渡承認を発行会社が拒絶した!/菅原万里子
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
直接金融について考えてみる/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
引当金の“復活”/長岡勝美
◆実務の焦点
新会社法の成立と業績連動型役員報酬の導入/中村彰宏
人材投資促進税制の概要と留意点/樋之口毅
◆税務・会計相談コーナー
(資産税関係)自己株式を有している場合の取引相場のない株式の評価/伊藤正彦
(会計関係)新会社法の施行に伴う会計実務に与える影響/山中成大
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴
◆私のKeyword/大嶋恭子
◆税理士の休日/高野裕
別冊付録●税務情報(中小企業の会計に関する指針・ほか)
巻頭論文
最近の租税調査をめぐる紛争の動向と課題――適正な租税調査の実現を求めて
専修大学大学院教授
増田 英敏
公平な申告納税の実現のために、租税調査は不可欠な行政作用であろう。しかし、強引な調査、不意打ち的な調査、さらには制裁、懲罰ではないかとみられる調査もあり、納税者との争いが絶えない。適正さを欠いた調査では納税者のストレスは加重となり、租税行政庁と納税者の協力関係は崩壊するばかりでなく訴訟へと発展しかねない。行政側も、納税者も合法的かつ適正な租税調査とはいかなる調査かについて認識を共有しておく必要があろう。
事例研究
定期借地権の保証金の評価手法とその問題点
税理士
齊籐 忠彦
定期借地権を活用する上で、通常、保証金方式と権利金方式の一時金のやり取りが行われるが、税制上の理由から借地期間満了後に一時金を返還する保証金方式が主流となっている。この保証金方式については昨年の9月、東京地裁から課税庁の主張をほぼ全面的に認める判決が下された。本稿では、この判決の概要を追いながら一時金の問題点を整理し、前払地代方式という新形態の取扱いにも触れていく。
特集/農業をめぐる環境変化と税理士のアドバイス
農業を取り巻く環境変化によって、いま日本の農家は窮地に立たされている。こうした状況に対し、農地法や農業経営基盤強化促進法等の改正等により改善策がとられる一方、今年度税制改正では耕作放棄地の納税猶予適用停止の厳格化措置などがなされている。本特集では、農業に関与する税理士として必要とされる、経営環境の変化に基づいた農家への経営改善・税務指導のための処方箋を提示していく。
<農業の環境変化>
農地関連法の改正と農業経営の環境変化
(株)三菱総合研究所主任研究員
渋谷 往男
1.農地関連法の改正により、この秋から農地リース特区が全国展開されることとなった。
2.これまで特区に限定されていた株式会社等の農業参入が全国で可能となる。
3.従来の農業も大規模化と家業から事業への転換期にあり、的確な経営管理が求められる。
4.今後は、農業においても一般の中小企業と同様の経営支援が必要となる。
異業種からの農業参入~その実例と新規参入の検討
NPO 法人 建築技術支援協会 常務理事 米田 雅子
1.農業は衰退産業とみられてきたが、体制や方法を変えれば成長産業に変身する可能性がある。食品メーカーや建設会社による企業型農業への挑戦のなかに、新しい農業のビジネスモデルが生まれつつある。
2.構造改革特区で認められた「市町村を介した企業への農地貸付け」が、耕作放棄地の多い地域を対象に9月から全国に展開される。これで地場の建設会社の農業参入にもはずみがつく。
3.企業の農業参入を実際に円滑に進めていくには、制度の改革だけでは不充分で、金融面での整備が不可欠である。政策金融の縦割りの弊害をなくす必要があるとともに、民間の地域金融機関による農業参入企業への融資が重要である。
4.税理士の方々には、農業経営を研究して戴き、苦難のなかで地域のために農業に取り組む建設会社に対して、経営指導をお願いしたい。
<農業への経営・税務アドバイス>
農家の実額申告化とはじめての消費税申告
税理士・名古屋経済大学大学院講師 浅野 洋
1.農業所得の計算方法として従来認められてきた農業所得標準は、各地域の実情に応じて順次廃止され、原則である収支計算に一本化されつつある。
2.新たに収支計算が必要となる農業従事者には、記帳の根拠となる資料の把握とその保存の習慣化が記帳への第一歩となる。
3.消費税の課税事業者となる者については、簡易課税の選択について事前の慎重な判断が求められる。
「耕作放棄地」認定のクリア策
税理士
渡辺純一朗
1.納税猶予特例の適用を受けるためには、少なくとも、いつでも耕作できる状態(土がやわらかく耕されている状態)にしておく必要がある。
2.納税猶予特例の適用は、原則として農地の所有者による耕作が要件となっている。ただし、一定の業務委託の方法をとれば納税猶予特例の適用が可能である。
3.近年、市街化調整区域の農地の相続税評価額が大幅に下落した地域がある。
農地贈与の個別事情に応じた有利・不利判断
税理士
今仲 清
1.後継者の有無、専業か兼業か米作期間のみの営農かといった事情によって有利・不利の判断は異なる。
2.専業の場合には、贈与税の納税猶予特例の適用も検討すべきである。
3.将来の農業経営の廃止が決定的であれば、精算課税贈与又は暦年贈与の検討を行う。
4.営農継続の意思決定の時期がまだ先の時には、現状維持が望ましい。
5.都市化が進んでいる立地の場合には、宅地転用による有効活用も考慮すべきである。
都市近郊農家の不動産有効活用策
税理士
清田 幸弘
1.相続税の試算をし、土地の色分け(分類)をし、分類に応じた土地利用を図る。
2.相続税・所得税の両側面から土地の利用を考える。
3.貸家をすでに建てている場合には、不動産管理法人を設立して節税対策を図る。
中山間地の農業経営とそのアドバイス
税理士
池田 善一
1.中山間地域での農業の現状を把握する。
2.政府等は農業振興に各種の取組みを行っている。
3.農業経営を生産・販売・財務に分けて考察する。
農業生産法人等の設立による集落営農
税理士
森 剛一
1.集落営農は、メリットの大きい特定農業法人制度を活用して株式会社形態で法人化
するのがお勧めである。
2.法人の前身となる任意組織は、集落営農組織と中核受託組織の2階建ての任意組合
(共同事業)として運営する。
3.補助事業資産の引継ぎは、補助金の返還を避けるため、圧縮記帳後の帳簿価額によ
り譲渡するのが一般的だが、低額譲受けとされて法人に受贈益課税されるのが課題となる。
認定農業者制度とその支援策
税理士
花嶋 実
1.認定農業者制度とは,意欲ある農業者が自らの経営を計画的に改善するために作成した「農業経営改善計画」を市町村が認定し,その計画達成に向けた取組みを関係機関・団体が支援する仕組みである。
2.認定農業者には,借入れの目的,借入額,期間等に対応した各種の有利な融資制度が用意されている。
3.認定農業者が機械・施設を導入する際,リース料の一部が助成される。
4.認定農業者が,農業経営改善計画に従って一定の経営規模の拡大を行った場合に,その所有する農業用の機械・施設等の減価償却資産について,普通償却に加えて、その20%の割増償却を行うことができる。
5.農業者年金において認定農業者に対する国庫補助がある。
農地の譲渡・転用・貸付けと税務
税理士
小林 登
1.農地の譲渡・転用に関しては、農地法や生産緑地法により規制がかかるため、関係法令の定めに従って行う必要がある。
2.平成17年度税制改正で、農地の譲渡に係る800万円控除特例制度が拡充されたが、現実的に農地の価格がかなり下落しており、譲渡自体が行えない状況にある。
3.遊休農地としないために、市民農園など自作農とは異なった活用も一考となろう。
農業の廃業に伴う対応と税務
税理士
後久 亮
1.廃業に伴う農地の売却は、需要と供給のバランスが欠落した限定された市場で行われることから、時価に比べ著しく低い金額による売買が行われる。
2.農地の譲渡が一時に集中すると、譲渡所得税・住民税の翌年の税負担に注意する。
3.消費税法には、事業用資産を事業廃止の時点において所有していると、家事のために消費・使用したものとして、みなし譲渡の適用がある。
農家への税務調査とその対応策
税理士
山本 晋也
1.不法転用等に起因する納税猶予特例の期限確定に関する調査事務が、今後システマチックに行われる可能性がある。
2.「安定的で効率的な農業」を目指す農政とは裏腹に、圧倒的多数を占める個別農家の税務調査では、担い手に関する問題、脆弱な生産構造といった我が国農業の抱える諸問題に起因する指摘事項が多い。
3.農業所得の是正事項が、その他の所得の是正や納税猶予特例の適用等に波及するケースが多い。
4.対応策としては、個別農家の農業経営の実態把握、税制の指導、経営者との協議が基本となる。
所得税実務
保有する上場株式が上場廃止等になった場合の税務対応
税理士
松木 昭和
最近、大企業の上場廃止が相次いでいるが、投資家にとって上場廃止は保有株式の「紙クズ化」に他ならない。だが、問題はただ単に損失を抱えたということだけではなく、税務上のさまざまな特例も使えなくなり、譲渡損として損益通算すら認められなくなるということだ。そこで本稿では、「上場廃止」のしくみを概観した上で、上場廃止宣告を受けた場合の対応策のあり方を探っていく。
相続による事業承継と事業所得計算上の留意点
税理士
遠藤 雅己
相続に伴い事業承継が生じた場合の、個人事業者における事業所得計算上の留意点を検討する。この事業承継の際に失念しがちな、青色申告の対応や紛らわしい減価償却計算、そして棚卸資産や債務などを引き継いだ場合のチェックポイントを簡潔にまとめている。個人事業者の事業承継で、疑問を抱きがちな点に対する税務の対応と留意点を提示する。
法人税実務
マンション管理組合等で気を付けたい税務上の留意点
税理士
土屋 栄悦
消費税の免税点の引下げに派生して、マンションの共有部分である駐車場から生じる収益をめぐる収益性の判定が問題となることが懸念されている。マンション管理組合や管理組合法人では、税務において所得が収益事業と非収益事業に分けて管理されるが、その区分判断を間違えると大きなミスに繋がっていく。そこで、マンションで生じる具体的な例を取り上げながら、その区分のための考え方を提示する。
資産税実務
定期借地権設定による土地の有効活用と税務の取扱い
税理士
二ノ宮 伸幸
土地の有効活用として、定期借地権による建物建設が最近改めて脚光を浴びている。もともと建設側に初期投資の負担が少なく、一方地主の方には、将来必ず土地が返還され、賃貸料も駐車場などより高い、という利点があったが、さらに今年1月7日に国土交通省に対する国税庁の文書回答で、定期借地権の賃料の一括前払いを前払費用・収益として期間配分できるようになった。このことで、保証金のように長期の債権として扱われることも返還の義務もなく、取扱いがさらによくなった。消費税、相続税の取扱いも含め、定期借地権の税務取扱いと、活用におけるメリットを検討する。
消費税実務
不動産取引で課税売上割合が変動する場合の留意点
税理士
池田 陽介
課税事業者が通常の事業年度では、課税売上割合が95%以上であるのに、土地の譲渡や住宅の貸付けなどがあって、その事業年度で課税売上割合が突然95%未満になることがある。すると、消費税の取扱いでは、個別対応方式か一括比例配分方式、及び個別対応方式の課税売上割合に準ずる割合を使って仕入税額控除をすることになる。この計算をするために、留意が必要なのは支出科目が一緒でも、何に支出したかによって課税仕入か非課税仕入かあるいは共通仕入かに区分しなければならないことだ。さらに、一括比例配分方式では2年間の継続要件があること、前年又は前3年の通算の課税売上割合を採用することもできる、などの方法の選択もできる。
法務と税務
遺言執行業務における実務上の留意点
税理士・名古屋経済大学大学院講師
川崎 賢二
高齢社会を迎えつつある昨今、資産を持つ高齢者の遺言件数が急増している。それに伴い、今後、遺言執行者に対するニーズも増えていくと予想される。相続税の申告業務であれば、業務対象となるのは一部の資産家のみとなるが、遺言執行者という立場であれば、あらゆる遺言者を業務の対象として関与することができることから、税理士にとっても、注目の業務といえよう。
本稿では、遺言執行業務につき、税理士にあまりなじみのない遺言執行者や遺言施行業務について、民法における規定を中心に紹介するとともに、実務上のアドバイスを行う。
難問事例
税務における代理と専門家責任
税理士
山田 俊一
父から贈与を受けたとする長女が、相続時精算課税制度の適用を税理士に頼んだ。ところが、依頼して間もなく長女は、脳疾患で意識の回復が困難になった。さらに、依頼された税理士が、調べていくと父は長女に贈与したという意識はなく、長女が無断で父名義の預金を下ろし賃貸用マンションを購入していたことが判明した。税理士は長女の代理人として、長女の権利を確定していくことができるか、また税理士としての果たすべき役割はどのようなことか。それに加えて、意識不明になった長女の権利の確定、又は修正をどのようにするかを検討していく。
利益計画
食品スーパーのモデル利益計画
中小企業診断士
平村 一紀
ここ数年、食品スーパーは年間販売額を順調に増やしている。その背景として、営業時間の延長や売り場面積の増加といった要因が考えられるところである。本稿では、生鮮食品を中心に取り扱っている駅前立地店をモデルに、時代の流れに対応し、生残りを図るための経営改善策を提示する。
◆ポイント・オブ・ビュー
東京学芸大学教授 山田昌弘 氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
市川 俊夫 税理士事務所(関東信越税理士会上尾支部)
◆好調関与先にはワケがある!
デルフィ株式会社(東京都港区)/中田研二税理士(東京税理士会芝支部)
◆クローズアップ税務争訟
合併に伴う退職慰労金としての一時金/古谷文子
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
マンション管理費は税額控除できる!?/熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
あらかじめ「休日振替」をすると、休日手当は必要ない?/服部弘
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
金利について考えてみる/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
事業用固定資産と減損会計/長岡勝美
◆実務の焦点
土壌汚染の土地の物納と納税者の負担/鹿志村裕
事後設立に係る留意点/菅原万里子
介護保険と消費税/三宅真弥
◆税務・会計相談コーナー
(法人税関係)その他有価証券の評価差額がある場合の総資産の帳簿価額/諸星健司
(資産税関係)連帯保証人が複数いる場合の譲渡の保証債務の特例/渡邉正則
(会計関係)外貨建取引に係るヘッジ会計/板橋淳志
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴
◆私のKeyword/平井智子
◆税理士の休日/杉田浩二
別冊付録Ⅰ●税務情報(類似業種目別株価一覧 平成17年1、2月分・ほか)
別冊付録Ⅱ●租税判例の回顧(平成16年上半期)
巻頭論文
更正の期間制限に係る不均衡と見直しの視点
流通経済大学教授
高橋 靖
国税通則法は、申告納税した者の更正の請求期限を1年に限っている。一方、課税側の更正期限は、5年の年限があり、昨年の改正で法人税制においては7年に延長されている。取引等の複雑化等を背景に課税庁が行う更正の請求期限を延長するのであれば、納税者も同様の状況にある。課税側との対等性を実現維持するためにも国側の期間制限と同様にすべき、とする主張がある。このバランスの違いはどこからきて、どのような問題点があるのか、検証していただいた。
事例研究
第三者間取引に対する低額譲渡課税の問題点
税理士
小池 正明
独立した第三者間にもかかわらず、相続税法7条の低額譲渡課税を妥当とする判決が下された、先のさいたま地裁平成17年1月12日判決に対する疑問点を検討する。
同事件を振り返りつつ、第三者間取引に対する同法7条の適用が可能とする課税理論の根拠はどこにあるのかだろうか。私的取引を規制するものという危惧も生じる第三者間取引に対する問題点に焦点を当て、その対応を考える。
帳簿等の保存の有無をめぐるトラブルとその対応策
税理士
久乗 哲
昨年末から今年にかけて、税務調査時の帳簿等の不提示に関して、消費税の仕入税額控除適用、青色申告取消しの可否をめぐる最高裁の判決が立て続けに示されている。このほかにも、帳簿等の保存の有無をめぐる課税庁と納税者のトラブルは枚挙に暇がない。そこで本稿では、帳簿等の保存が税務問題に発展するケースを分析し、税務否認を受けない適切な実務運営のあり方を検討していく。
特集/Q&A 新会社法で どうなる、どうする有限会社
来年に予定されている新会社法の施行により、現行の有限会社法が廃止される見込みである。だが、新法施行前に設立を終えている有限会社は、特例有限会社という位置付けながら、従前と同様の存置が可能となる。
本特集では、新法施行によって有限会社がどのような位置付けとなるか、そして新法下で株式会社に移行する場合のポイントなど、関与先が抱く疑問に答えることができるよう解説を行う。
有限会社法の消滅で有限会社はどうなる
日本大学教授
根田 正樹
1.新会社法は、有限会社を株式会社に統合し、合名会社、合資会社、新たに創設される合同会社という四つの会社形態を認める。これに伴い有限会社法は廃止される。
2.既存の有限会社は新会社法に基づく株式会社として存続するが、商号中に「有限会社」という文字を使用する特例有限会社として活動することが認められる。
3.特例有限会社に対する新会社法の規制は、現行有限会社法と変わらない。
4.特例有限会社は、商号の変更手続だけで「株式会社」となることができる。
関与先への情報提供はこうする
公認会計士
佐藤 敏郎
1.有限会社制度が廃止される平成17年度の商法改正(「新会社法」)の実務上のポイントをレジュメ形式で解説する。
2.有限会社の経営者の実務上の疑問に答え、新会社法施行前後の対応策をチャート等で解説する。
3.「確認有限会社」を設立して事業運営をしている会社に対するアドバイスをフローチャートで解説する。
4.新しく会社を設立しようとしている起業家へ対応策を解説する。
<有限会社の選択肢――特例有限会社か、株式会社に移行か>
特例有限会社を選択~有限会社のままでいるメリット
税理士
中島 孝一
1.新会社法施行の際、現に存する有限会社は、特例有限会社として存続するか、通常の株式会社へ移行するかを選択しなければならない。
2.特例有限会社として存続すると、現行の有限会社の規定(取締役等の法定任期の不適用・公告等の適用除外等)が継続して適用される。
3.通常の株式会社へ移行すると、取締役等の法定任期の不適用等の適用がない。なお、新会社法施行後に行う通常の株式会社への移行は、「組織変更」ではなく「商号変更」とされる。
新会社法施行を前に行う有限会社設立
税理士
岡本 博美
1.新会社法の施行により有限会社法は廃止され、以後、有限会社を設立することはできなくなるが、施行日前であれば有限会社の設立ができる。
2.新会社法施行日前に有限会社を設立するためには、社員総会等の手続の効力(設立登記の申請書を登記所へ提出した日)が施行日前に生じていなければならない。
3.会社法施行日前に設立された有限会社は、新会社法施行後には特例有限会社として存続することを選択することにより、現行有限会社とほぼ同様の規定が適用される。
株式会社を選択~株式会社に移行するメリット
全国中小企業団体中央会企画部主幹
北原 直
1.既存の有限会社は、強制的に株式会社に移行させられることはない。
2.株式会社への移行によって得られるメリットとして、資金調達で優位になることや、株式会社でなければ受けられない制度の適用などがある。
3.一方、株式会社への移行によって課される制約としては、役員の任期が制限されること、決算公告があることなどがあるが、会社法の制定でこうした制約も大きなデメリットとは言えなくなっている。
<特例有限会社から株式会社に移行するための対応>
株式会社への移行の手順と手法
弁護士
村田 英幸
1.有限会社法は廃止される。
2.現行有限会社は株式会社として存続する(これを「特例有限会社」という。)。
3.特例有限会社は、商号中に「有限会社」という文字を用いなければならない。
4.有限会社から株式会社への変更は、現行法では「組織変更」といい、新法では商号及び定款の変更として扱われている。
5.新会社法施行前に効力が生じていない有限会社から株式会社への変更は無効となる。
6.新会社法施行後に有限会社は株式会社へ商号の変更及び定款の変更をすることによって、通常の株式会社へ移行することができる。
7.新会社法施行後の株式会社への移行の場合、商業登記手続上では、特例有限会社の解散と新株式会社の設立の登記が必要。
商号の変更と表示に関する留意点
税理士
龍前 篤司
1.類似商号規制は撤廃されることとなり、今後は同一市町村内において同一営業、同一商号の会社が複数存在することが可能となった。
2.類似商号規制が撤廃されたとはいえ、同一住所、同一商号の会社は営業目的が違っていても登記することができない。
3.既存の有限会社は有限会社制度の廃止によって株式会社(特例有限会社)に移行するが、この場合は商号中に「有限会社」の文字を使用しなければならない。
4.特例有限会社は商号変更により通常の株式会社へ移行させることができる。
5.商号にまつわるトラブルの解決は自分自身で行わなければならない時代となった。
株式会社への移行に関連する事務・手続
司法書士
久津川 守
1.有限会社が通常の株式会社に移行したとしても、権利義務の主体である法人格に変動が生じるわけではない。したがって、税務署等に対しては、商号の変更があった場合と同様の変更の届出を行うこととなる。
2.不動産の所有権等その権利を有していることを第三者に対して主張するために登記又は登録を必要とする権利に関しては、その名義人の表示(商号)の変更を行うこととなる。
3.取引先、債権者に対して組織変更を行った旨の通知が必要となる。ホームページを開設している場合には、ホームページ上においても株式会社への移行を行った旨の案内を掲載することが望ましい。
4.有限会社においては社内における各種の規程が整備されていることは少ないと思われる。しかし、会社組織を効率よく運営していくためにはルール作りが必要であるので、株式会社への組織変更を機に社内規程の整備を行うべきである。
機関設計、役員設置の考え方
税理士
中川 祐一
1.特例有限会社の機関設計は、現行有限会社と変わりない。また、株式会社へ移行した場合でも定款に株式譲渡制限を設ければ(非公開会社)、同様の機関設計が可能である。
2.非公開会社は取締役会の設置が任意であるが、設置することで、業務執行に関する意思決定は取締役会が行うこととなり、株主総会がこれに直接介入することはできなくなる。これに対し、取締役会を設置しない場合には、株主総会が業務執行に関する事項についても決議できる。
3.特例有限会社の監査役は、会計監査権限を有するのみである。株式会社へ移行する場合には業務監督権限も付与されるが、非公開会社であれば定款で会計監査権限に限定できる。
決算公告等に関する留意点
弁護士
服部 弘
1.既存の有限会社であって、有限会社法廃止の時点で存在するものは、「特例有限会社」という位置付けによって、存置可能である。この「特例有限会社」については、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、会社法の適用の一部除外が認められているところ、特例有限会社については、計算書類の公告等についての会社法案440条及び442条2項の規定は適用されず、「決算公告」は義務付けられない。
2.特例有限会社は、定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることができ、その登記を了したときには、通常の株式会社に移行できるが、その際は、会社法案440条及び442条2項の規定が適用され、当該会社は、計算書類の公告を要する。
3.株式会社における決算公告(ないしは公示)方法としては、1)官報又は日刊新聞紙による決算公告、2)電磁的方法による計算書類の公示、3)電子公告制度採用会社の場合の電子公告による決算公告 の3方法がある。
有限会社社長に聞く! 新会社法施行後の対応に関するアンケート
編 集 局
月刊「税理」編集局では、有限会社法の廃止に伴って有限会社の経営者がどのような対応をとるのかにつき、アンケートを実施した。質問項目は以下のとおり。
Q1:新会社法の制定により、有限会社の新設ができなくなる等の改正が行われますが、このような改正があることはご存知ですか?
Q2:新会社法の施行後、株式会社への移行を考えていますか?
Q3:(Q2で「はい」と答えた方)株式会社に移行しようと思った理由は何ですか?(複数回答可)
Q4:(Q2で「はい」と答えた方)株式会社になったとき、どのような組織形態を選択する予定ですか?
Q5:(Q2で「いいえ」と答えた方)株式会社に移行しない理由は何ですか?(複数回答可)
Q6:新会社法の制定に関して、顧問税理士や弁護士に詳しく教えてもらいたいことはありますか? また、それはどのようなことですか?(複数回答可)
通則法実務
確定判決を理由にした更正の請求の可否判断のポイント
税理士・公認会計士
林 隆一
国税通則法では、一度申告したものについての更正の請求の期限について、通常の場合は、1年以内に限っているが、判決や和解、国税の決定があった場合その他やむを得ない理由がある場合などの、後発的事由があった場合、その事実が生じた日から2か月以内ならば更正の請求を認めている。しかし、この後発的事由については、裁判が馴れ合い裁判とされたケース、横領の判決があったとしても所得税上の所得があったとされるケースなど更正の請求が認められないケースが多い。後発的事由により更正の請求ができるケースはドンのようなものがあるかを検討する。
法人税実務
古くなった棚卸資産の低価法の適用と評価損の計上
税理士
清水 謙一
最近は商品のライフサイクルの短縮化が顕著で、それに伴い製品の陳腐化も早くなっている。そうした場合、原則的評価方法かあるいは、期末時価のいずれか低い価額を評価額とする対価法の適用を行えば、在庫の価値が実際の価額を反映することになろう。その低価法の適用の方法と、陳腐化が著しい場合の評価減の損金計上を認める法人税基本通達9-1-4の適用の方法を検討し、時価の捉え方などそれぞれの違いを確認する。
中古パーツを利用した内製機器等の取得価額
税理士
後藤 政則
例えば、複数の製造機械を持つ工場が、それらの中古パーツを利用して機器の内製を行う場合の取得価額、そして減価償却はどのように考えるべきであろうか。一方、内製のためにパーツを取り外した方の機器が使用に耐える場合には、未償却残高は再計算が必要になる。その対応は、どうすればよいか。中古機器等を再活用するための内製にスポットを当て、その実務留意点を設例形式で検討していく。
過年度教育訓練費の抽出とその実務ポイント
税理士
須田 忠行
今年度税制改正の目玉といわれる「人材投資促進税制」だが、この特例を初年度(平成17年4月1日以後開始事業年度)から適用する場合、当期の教育訓練費を租税特別措置法の規定に従って正確に把握しなければならない。加えて、過去2事業年度分の教育訓練費も正確に洗い出し、適用要件の充足を証明する資料の整備も求められる。そこで本稿では、人材投資促進税制を初年度から適用するための実務手順と資料整備のポイントを探る。
会社の税務
関与先の清算に関与する場合の留意点
税理士
山元 俊一
最近の経済環境を反映して、会社を解散し、清算に入る企業が数多く見受けられる。清算手続においては、各利害関係者の思惑が入り乱れて、業務が複雑となるケースも多く、注意が必要である。本稿では、債務超過になっていない株式会社の通常清算を中心に、解散後の清算開始から結了までに発生しがちな実務問題、さらに清算所得の申告における留意点を検討していく。
利益計画
酒販店のモデル利益計画
中小企業診断士
土田 泰治
酒販を行っている業種・業態は、一般酒販店の他に、ディスカウント店、スーパーマーケット、ホームセンター、コンビニエンスストアなど多彩をきわめ、総計で約14万免許場となっている。一般酒販店がどんどん廃業に追い込まれる流れは、今後も続いていくであろう。本稿では、新たにディスカウント型酒販店を開業する会社をモデルとして取り上げ、出店に当たっての留意点、戦略決定と方向性に応じた解決策の立案を提示する。
◆ポイント・オブ・ビュー
財団法人公益法人協会 理事長 太田達男氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
後久 亮 税理士事務所(東京税理士会日本橋支部)
◆好調関与先にはワケがある!
(有)匠(茨城県総和町)/青木惠一税理士(東京税理士会上野支部)
◆医療法人制度の実務と課題
「『医療法人制度改革の基本的な方向性』をふまえて」長 英一郎
◆クローズアップ税務争訟
将来債権の譲渡担保設定と国税の差押え/遠藤みち
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
「これは通勤手当、それとも賃借料?」熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
「知らない間に取締役として登記されていた!」菅原万里子
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
「リース取引を考える」/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
「有価証券と時価会計」/長岡勝美
◆実務の焦点
「相続による事業承継と消費税納税義務の判定」/寺島敬臣
「自動車リサイクル料金の経理処理」/遠藤雅己
◆税務・会計相談コーナー
(法人税関係)「一括償却資産を処分した場合の取扱い」/宝達峰雄
(資産税関係)「取引相場のない株式の評価上のソフトウエアの取扱い」/伊藤正彦
(会計関係) 「有価証券に関する税効果の処理」/荻原正佳
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
◆私のKeyword/戸口葉子
◆税理士の休日/長谷部健一
巻末付録●税務情報(消費税法基本通達の一部改正について・ほか)
●巻頭論文
留保金課税の今日的課題と方向性
早稲田大学大学院客員教授(専任)・筑波大学名誉教授
品川 芳宣
現在、我が国の中小同族企業は金融機関の貸渋りなど資金調達が困難な状況から、可能な限り自己資本の内部留保が求められるところだが、この内部留保を抑制するのが同族会社の留保金課税制度だ。同制度は、ここ数年の改正で一部停止措置も創設されているが、その実効性を問う声も多い。そこで本稿では、留保金課税の抱える問題点、そして今後のあり方を、制度の沿革、諸外国の例を踏まえ検討する。
●税務論文
米国の税務行政からみた日本の税務行政の諸問題(下)
国士舘大学教授・慶應義塾大学大学院特別研究教授
本庄 資
本稿の「上」(5月号掲載)では、日米の税務行政の違いは、行政効率からみて、アメリカが税務行政において、投下費用の4倍の増税実績を上げていることから、緊縮財政の中でもIRSなどの執行機関に予算の増額を計っているのに対して、日本が、行政効率2倍と、アメリカよりスケールが小さいが、効率を上げているのにかかわらず、予算を削減していることにあると指摘する。
今号の「下」では、税務行政の執行を支えるそれぞれの国の税務行政を支援する制度や国民意識を比較検討。アメリカで徴税を支える納税者番号制度や、資料情報制度、第三者通報制度などが機能している実態を確認し、日本での制度の不備をみてみる。
特集Ⅰ/ワンマン経営に潜む経営・税務の危機
税理士の関与先は、オーナー社長による中小企業が大多数を占める。このオーナー社長は、強力なリーダーシップにより事業を推進させることが可能だが、その反面“会社は自分のもの”という公私混同にも陥りやすい。社長による悪しきワンマン経営は、経営の屋台骨を揺るがし、税務否認に繋がる可能性がある。本特集は、経営・税務を危機に陥らせるワンマン経営に関与税理士はどう対応すべきかを検討する。
ワンマン経営の弊害とその未然防止策
国士舘大学名誉教授・弁護士
大矢 息生
1.企業の倒産や経営上の失敗、不正・違法行為に対して、経営者を法的に責任追及するケースが急増している。
2.交際費の乱用や私的流用、恣意的な役員・会社間の取引は日常的に行われているが、これらは商法上の役員の義務に違反した行為である。
3.ワンマン経営の弊害を未然に防ぎ、企業を永遠に発展させるためには、(1)基本理念の確立、(2)経営と法律の一体化、(3)会社法規部署の強化が不可欠となる。
会社資産の私物化
税理士
金井 恵美子
1.経営者による「会社資産の私物化」とは、その経営者の意思により、会社の資産を利用して、本来、個人が負担すべき費用を会社に負担させることにより、経営者が利益を享受することであると考えられる。
2.「会社資産の私物化」行われた場合には、無償による資産の譲渡又は役務の提供についての益金算入、過大役員報酬、役員賞与等の課税関係が生ずるものと考えられる。
3.税理士には、予想される税負担、取引を規制する法律、必要な会計処理等、トラブルを回避する有効な情報の提供が求められよう。
私的支出と交際費等の乱用
税理士・公認会計士
光田 周史
1.私的支出や事業との関連性が希薄な交際費等については、損金算入の是非をめぐっ て税務上のトラブルに発展する可能性が大きい。
2.こうしたトラブルを回避するためには、これらの支出や費用等について損金性を推認し得る合理的かつ客観的な資料を整備しておく必要がある。
3.一方、これらの支出や費用等を損金とせずに仮払金等としている場合でも、長期間に わたって未精算のまま放置しておくと、貸付金とみなされて利息の認定に繋がるおそれ がある。
4.会社経営にコンプライアンスが求められる昨今、中小同族法人も決して例外ではない のであり、これらの支出や費用等について厳しい目が向けられているといっても過言で はない。
5.我々職業専門家の立場からも、公私の峻別がコンプライアンス経営に不可欠であ ることの理解を経営者に求めていく必要がある。
恣意的な社長・会社間取引
税理士
稲澤 和光
1.社長・会社間の資産等の取引については、時価取引でなければならない。
2.社長・会社間の取引については、「同族会社の行為計算否認」の規定により否認される危険性がある。
3.社長・会社間の取引をめぐり、税務上妥当か否かの判断は、時価の算定を含めて税理士の責任に帰すところが大きいため慎重に対応すべきである。
4.ワンマン社長の個人的な都合で、個人資産を会社に売却する場合には、経営の観点から会社にとって必要な資産であるか否か、また無理な譲受けによる財務体質の悪化等を総合的に勘案する必要性を社長に説き、慎重な対応を訴えるべきである。
役員報酬・退職金の決定権乱用
税理士
宮森 俊樹
1.中小同族会社では、役員に対する報酬や退職金の支給に当たって、お手盛りなど社長の恣意的要素が入り込みやすいことから、税理士は牽制を行う必要がある。
2.税理士は、とかく税務の観点のみからアドバイスを行いがちだが、未払報酬などの支給時期や現物支給に充てる会社資産の選択について、経営状況をかんがみ安易な決定を行わないような指導が求められる。
3.役員報酬や退職金の支給に当たって、税務では妥当額の算定や現物支給の際の時価算定など、慎重な対応を行いたい。
特殊関係者等の重用
税理士
島村 建
1.特殊関係者等へ支給する給与や報酬は勤務実態と労務の対価性、職務内容からの金額の相当性に留意すべきである。
2.中小企業でもコーポレート・ガバナンス(企業統治)により経営改善が期待できる。
3.コンプライアンス(法令遵守)を推進することにより、さらに効果的な経営改善となる。
不合理な関係会社間取引
税理士・名古屋経済大学大学院非常勤講師
浅野 洋
1.関連会社の経営権も持つようなワンマン経営の場合、自社の都合で所得の移転を図るため取引価額の加減をしたり、場合によっては役員個人の費消に使うために取引の操作をすることもある。
2.関連会社との恣意的な価格操作は所得移転を疑われ、寄附金課税の対象にもなる。個人の費消のための帳簿操作などでは役員賞与、使途秘匿金課税もされることになろう。
3.関連会社との取引には価額の合理性が問われ、思わぬ寄附金課税などがされることがあるので、税理士はその取引に十分注意し、意図的なものはその理由を明らかにして認定課税がされないようにするとともに、不正がある場合はワンマン経営者をいさめなければならない。
使途不明金の支出
税理士
加瀬 昇一
1.使途不明金とはなにか、使途秘匿金との相違点を明らかにする。
2.使途不明金支出の問題点はどこにあるのか、またなぜ使途を秘匿するのか。
3.会社が、使途不明金を支出する場合、その経理処理はどうしているのか。
4.使途不明金支出の形態や、会社税務に与える影響はどうか。
5.使途不明金支出を知ったとき、税理士はどのように対応すべきか。
帳簿・決算書操作
税理士
長谷川 次郎
1.ワンマン経営は、経営者の資質と運営の結果で善し悪しが判断される。
2.ワンマン経営における帳簿・決算書の改ざんが、その会社や税理士も含めた関係者へ与える影響を考える。
3.同族経営だからこそできる帳簿・決算書の操作に対する司法判断を納税者に事前に伝え、顧問先において同様の事態が起きないようにすることも税理士の仕事(税理士法41条の3)である。
特集Ⅱ/政省令等で明らかにされた税制改正の実務留意点
平成17年度税制改正も関係政省令が施行されたことから、実務では具体的な対応の段階に入っていくことになる(主な政省令は、本誌別冊付録参照)。
税理士実務への影響が小さいといわれた今年度改正ではあるが、政省令レベルで押さえておきたい規定は多い。本特集では、税理士実務で必要不可欠の下記の5項目に関する政省令のポイント、留意点を検討していく。
人材投資促進税制
税理士・公認会計士
城所 弘明
1.人材投資促進税制は、「一定の教育訓練費を増加させた場合に税額控除が認められる」という優遇措置である。
2.中小企業者等の場合は、法人税だけでなく地方税(法人住民税)も税額控除が認められる。
3.平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度に適用する3年間の時限措置である。
4.今後3年間は、計画的な教育訓練費の支出を行うとともに、勘定科目の設定等の見直しが必要である。
LLP,民法組合等の税制措置
税理士
苅米 裕
1.共同事業体(任意組合、匿名組合、LLC、LLP)の特徴と選択の基準を確認する。
2.共同事業をどのように活用できるかを、中小企業者等のレベルで考える。
3.任意組合とLLP、個人組合員と法人組合員に係る組合税制の違いを比較検討する。
4.組合税制の適用の際、押さえておきたい計算規定等のポイントを確認する。
企業再生円滑化税制
税理士
植木 康彦
1.法的整理手続に準じた私的整理手続についても、評価損の計上や期限切れ欠損金の控除ができる適用対象に加えた。
2.会社更生手続と民事再生手続では、評価益の計上の是非、期限切れ欠損金の取扱いなど相違点が多かったが、改正によってほぼ同様な取扱いになった。
3.民事再生手続及び商法上の整理手続では、旧法取扱いと新法取扱いの選択が認められた。
中小企業新事業活動促進法の税制措置
税理士・公認会計士
赤岩 茂
1.中小企業新事業活動促進法は、旧経営革新支援法に比べ、税制特例措置が強化された。
2.この税制措置については、旧支援法との関係で、経過措置が複雑なものになっている。よって、この関係を整理しておくことが必要である。
3.承認企業は、留保金課税の停止措置が適用されることとなった。このことから実務上クライアントに対するタイムリーな情報提供や適切な指導がより重視されることになる。
その他注目すべき税制
税理士
山本 和義
1.住宅ローン控除などの特例適用において、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準等に適合する一定の既存住宅の証明手続などが明確になった。
2.特定管理株式が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例については、株式としての価値を失ったことにより損失が生じた場合の事実等について明らかになった。
3.農業経営に供されていない一定の遊休農地は、納税猶予制度の趣旨から、農地等に係る相続税及び贈与税の納税猶予の特例の適用対象外とすることとされたが、遊休農地等について明らかになった。
●法人税実務
ケース別 短期前払費用の支出とその税務判断
税理士・公認会計士
星野 紘紀
経過勘定項目のうち、支払利息や地代家賃、リース料、保険料等のように、その法人にとって重要性の乏しいものについては、一定の要件のもとに、支払った日の属する事業年度の損金処理を認められるものがある。いわゆる「短期前払費用」(法基通2-2-14)がそれだが、重要性の判断やその費目の性質、支払手段等によって短期前払費用の範囲が税務問題に発展するケースも散見される。そこで本稿では、過去の判決・裁決例を紐解きながら、トラブルになりがちな短期前払費用の判断ポイントを検討していく。
粉飾決算に気付いた時の修正の対応と留意点
税理士
柏木 修一
中小企業では、融資を受けるためなど仮装経理による過大申告、いわゆる粉飾決算は珍しくないといわれる。その決算に基づいた申告後に、税理士が粉飾決算に気付いた場合の修正の対応を検討する。
法人税法70条では、修正による還付等を認める場合の前提条件として、「事実を仮装して経理したものがある場合」としているが、この条件は、どのように考えるべきなのであろうか。①経費の未計上、②架空売上計上――の2ケースをもとに、それぞれの対応を検討する。
●経営と税務
中小企業の分社・持株会社化の活用と経営
税理士・公認会計士
鈴木 宏
分社、合併などの組織再編は、商法や独禁法さらに税制の手当てもできて、組織再編しやすい環境になっている。中小企業でもグループ企業で不採算部門を整理する場合などで、その活用がされている。また、分社化は、分社して経営権を兄弟に分けたりして、事業承継の方法に活用されることもある。ただ、組織再編には、実行後の経営の形をどのようにするかが問題になり、グループ企業として統轄するには持株会社による統率の形式も考えられよう。中小企業の組織再編の活用と実施後の経営の運営について検討した。
●資産税実務
資産別 譲渡の際に注意したい負債利子の扱い
税理士・社会保険労務士
小田川 典正
資産の購入に伴う借入れに付随して発生する負債利子の取扱いについて、資産別に検討を行う。税務上で負債利子が付随的な費用と認められるのが、資産の取得から使用までに要した期間に対応する金額であることから、どの時点をもって使用開始されたかという点が問題となる。昨年4月の東京地裁判決にみるように、株式の取得に要した借入れに伴う利子の控除について争われた事件では、使用開始時期を株式の売却時とする納税者の主張に対して、判決は取得時とするなどトラブルは多発している。
そこで、上記の取得時期や、利子の配賦など、負債利子をめぐり生じがちなトラブルを資産別に検討していく。
●消費税実務
控除対象外消費税額等の処理と実務のポイント
税理士
中田 研二
消費税の非課税売上げが一定割合以上ある場合には、「控除対象外消費税額」が発生する。この控除対象外消費税額の処理については、資産区分や金額等により異なった取扱いとなっているため、複雑な実務対応が求められる。そこで本稿では、新たに納税義務者となった場合を踏まえて、消費税の概要を再確認するとともに、実務において疑問が生じがちな控除対象外消費税額等の処理とその実務ポイントについて具体的な事例を用いながら検討していく。
●租税訴訟
行訴法改正による税務訴訟の変更点と活用策
弁護士
内田 久美子
改正行政事件訴訟法が4月1日から施行されている。この改正により、課税処分をめぐって争われる租税訴訟においても、出訴期間の延長(これまで3か月であったのが6か月)、被告の表示(一括して国でよい)、管轄の適格などの変更(すべての租税訴訟を東京地裁で行うことができるし、また原告の住所地を管轄する高裁がある地の地裁でも可能)は、納税者の誤解による「門前払い」を少なくさせると言われている。また、証拠開示請求に関する税法訴訟での展開や、補佐人における尋問権が拡大されるとも言われており、これらの取扱いと、租税訴訟での活用の仕方を記す。
●難問事例
海外で活躍する邦人の住所と我が国の課税権
税理士
山田 俊一
日本国内に住む甲の息子乙は、アメリカの現地企業で働き、住民登録もしている。このほど乙が会社を辞めアメリカで起業をすることになったので、甲は現地銀行に預金していた自分の定期預金を解約して乙に贈与し、資金の援助をする。乙の国籍は日本で、日本にも度々戻ることがあるが、こうした場合は、贈与税等の課税はどうなるであろうか。
国際化の時代、こうした事例が増えている。課税は、それぞれの国で制度が異なり、アメリカなどでは、市民権を有する国民に対してはどの国で所得があっても課税する無制限課税がされているが、日本では非居住者については、国内源泉所得のみが課税対象となる。すると、居住、非居住の区分が必要で、1年以上日本に居住することが分岐点となるが、海外を行き来する人の場合はどのように判定するか、難しい所だ。民法の規定や、これまでの裁判・事件を通して、これらを検討する。
●利益計画
惣菜・弁当販売業のモデル利益計画
中小企業診断士
山根 孝一
核家族化や女性の社会進出の進展に伴って、手軽で経済的な惣菜を販売する惣菜・弁当小売店が増加している。また、スーパーマーケットでも惣菜売り場を大きくするといった対応がとられている。このような例からも明らかなように、外食でもなく家庭内の手料理でもない、持ち帰りの調理食品による食事(中食:なかしょく)は、既に多くの家庭に定着している。本稿では、これら中食マーケットをターゲットにした中堅素材メーカーをモデルとして取り上げ、生産面や販売流通面の問題を指摘するとともに、その解決策を提示。さらに今後の成長に向けた方策を示す。
●連載・コラム●
◆ポイント・オブ・ビュー
みずほ信託銀行プライベートバンキング企画部 部長 酒井康夫氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
古田土満・税理士事務所(東京税理士会江戸川南支部)
◆好調関与先にはワケがある!
S&Iアセットマネージメント株式会社(東京都千代田区)/匹野房子・税理士(中国税理士会笠岡支部)
◆医療法人制度の実務と課題
「特定医療法人の承認後の事例」田村信勝
◆クローズアップ税務争訟
「弁護士の著作の印税収入は事業所得」川口 浩
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
「これは外注費、それとも賃金?」熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
「賃料を減額するにはどうしたらいい?」服部弘
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
「『金融改革プログラム』の読み方・その2」甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
「固定資産の減価償却とその問題点」長岡勝美
◆実務の焦点
「マンスリーマンションと消費税」中川祐一
◆税務・会計相談コーナー
「事業主の死亡後に賦課決定される事業税の必要経費算入」(所得税関係)/近江修
「自動車リサイクル料金の税務処理」(法人税)/自閑博巳
「市街地山林の評価」(資産税関係)/伊藤正彦
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
◆私のKeyword/塩澤豊
◆税理士の休日/今村仁
巻末付録●税務情報(中小企業の新たな事業活動の促進に関する基本方針・ほか)
別冊付録●項目別 平成17年度 改正税法関係政省令
●巻頭論文
環境税の導入論議と既存税制との調整
京都大学大学院助教授
諸富 徹
京都議定書に定められた温室効果ガスの削減目標を達成するための手段として、「環境税」が注目されている。地球環境保全のためにはやむを得ないという声がある一方で、経済団体等からは、経済活動への悪影響を懸念する声も強く、平成18年度税制改正における最重要テーマの一つとなることは必至であろう。
本稿では、環境税の目的・役割を明確にしたうえで、導入にあたって、既存エネルギー税制との調整をどのように行うべきか考察する。
●税務論文
米国の税務行政からみた日本の税務行政の諸問題(上)
国士舘大学教授・慶応義塾大学大学院特別研究教授
本庄 資
ブッシュ政権のもと、米国は小さい政府を目標に緊縮財政を執行しているが、日本の国税庁に当たるIRSの予算は前年比4%程の増加が見込まれている。行政にも効率性を求める米国では、投資に対する効果で予算を考えるが、IRSでは、投資1ドルに対して4.2ドルの税収というリターンがあるからである。これに対し日本は投資1円に対するリターンは2.7円と効率が悪い。それにしてもプラスの効果があり、投資額を増加すれば、徴収能力が高まることが明らかなのに、予算は縮小されている。これは、最近の調査率の低下にも表われ、今後の徴収額の一層の低下が明らかである。米国の税務行政との比較で、こうした日本の税務行政の問題点を浮き彫りにする。
●事例研究
補佐人税理士からみた税務訴訟の現実と問題点
税理士・公認会計士
関 博之
去る1月12日にさいたま地裁で判決が出された相続税法7条の低額譲渡をめぐる事件を基に、補佐人税理士として関与した執筆者が税務訴訟の現実から見た問題点を深く抉る。政務訴訟の問題点として筆者は、証拠文書の開示、総額主義に基づく理由の差替え、訴訟中も停止しない延滞税の加算など、多岐にわたると指摘。現実の訴訟現場を通した発言は、説得力がある。
●特集
経費支出の「直接性」をめぐる税務
税法上で「業務の遂行上直接に要した費用」、「譲渡に直接要した費用」といった規定ぶりがみられるが、直接的に要したものか否かで経費性の有無、費用科目が異なってくる。
税務判断では、この「直接性」の範囲をめぐって問題となることが多い。本特集では、具体的なケースにより検討を行い、税務否認が予測されるグレイゾーンについてはその立証策を示す。
◆経費支出の「直接性」「必要性」をめぐる税務の基本的スタンス
同志社大学教授
占部 裕典
1.所得税法37条1項の必要経費の判断をめぐっては法解釈上、「直接関連性要件」、「通常必要性要件」が求められているが、このような要件の射程距離やこれらの要件の相互関係等については必ずしも明確ではない。
2.また、必要経費と家事費・家事関連費との間にグレンゾ-ン的な支出も存する。
3.経費支出に係る総論的な問題について、法人税法上の損金との相違に配慮しながら、判例・学説、課税実務の取扱いを検討していく。
<経費支出の直接性をめぐる個人事業者に特有な税務>
◆店舗併用住宅における経費区分
税理士
角田 益雄
1.店舗併用住宅に似て非なる店舗「併存」住宅というものがある。
2.所得金額計算において必要経費は収入金額を得るために直接必要なもの(個別対応)と年度中に発生した費用(期間対応)とがある。
3.租税訴訟における訴訟物(審理の対象)は所得そのものである。そして、適法性の主張立証責任は国側にあるが、納税者も自己に有利な必要経費を主張立証できる。
4.必要経費該当部分の立証方法として支払った事実のほかに、建物(土地)全体図とその利用状況を示す資料を提示できるようにしなければならない。
5.明確に区分できないときは主観的な目的に限らず、客観的なデータを保存し、経験則上の数値分析をしておく必要がある。
◆事業主が支出する冠婚葬祭に関連する費用の経費性
税理士
岡崎 和雄
1.事業主が支出する葬式費用は、家事費に該当し、事業の必要経費に算入することはできない。
2.事業主が支出する結婚式費用は、家事費に該当し、事業の必要経費に算入することはできない。
3.事業主が従業員に支給する結婚祝金、香典等は、相当な金額の範囲内であれば、事業の必要経費に該当する。
4.神社の祭礼等で町内会や子供会に支払う寄付金は、事業遂行上避けられない支出であれば、必要経費に該当する。
◆事業主の自己啓発のために支出する費用の業務関連性
税理士
崎山 強
1.必要経費概念の意義とあるべき判断構造(家事費概念との関係)を示す。
2.必要経費性判断のフレームワーク(判例による概念整理)を明確にする。
3.自己啓発費用の繰延資産該当性を肯定することは理論上可能である。
4.さまざまな資格取得費用の必要経費性判断の具体例を示す。
◆家族従業員に関する支出と従事の実態
税理士
坪多 晶子
1.法人とは違い、個人は生産活動と個人消費が一体化しており、経費性については非常に判断が難しいため、所得税法で細部にわたる規定がある。よって、家族従業員への支出については事前の検討が重要である。
2.個人事業者の従業員に対する給与であっても、家族である場合には直接に関連があるかどうかだけではなく、所得税法56条の規定により特有な取扱いがある。
3.生計を一にする親族と生計を一にしない親族で従業員である者に関する支出については、取扱いが大きく異なる。特に生計を一にする場合、経費性については条件が厳しくなっていることに留意する。
4.相当と認められる金額や従事の実態には客観性が特に重要視され、殊に金額の判断基準は比準方式によることが望ましい。客観的な証拠を残すために、事実関係を確認できる書類を備えておくよう指導したい。
<営業費の経費算入に係る「直接性」の判断>
◆業務上直接必要な技術の会費・負担金の範囲
税理士・文京学院大学大学院講師
山口 義夫
1.「会費・負担金」のうち、業務遂行上直接必要な支出には、例えば、特定の専門業種団体やジョイントベンチャーグループに加入することが、その業務を行うことのできる要件となっている場合などがある。
2.業務遂行上直接必要な「会費・負担金」の範囲は、受入者側の経理処理(経常経費か資産取得目的か)を考慮して判断すべきである。
3.「会費・負担金」の範囲の判断には、債務確定の判定と家事関連費との区分、経費性支出か取得費かの区分、繰延資産などの償却資産か、出資金などの非償却資産かを考慮すべきである。
4.業務遂行上必要な「会費・負担金」の範囲であっても、例えば、家事関連費が含まれている場合、その部分を明らかに区分することが必要である。
◆業務上直接必要な技術の習得・研修費用の範囲
税理士
鈴木 修三
1.法人税法上、技術の習得・研修費用の範囲については、過去直接触れられていなかったが、平成17年度税制改正において、「教育訓練費が増加した場合の特別控除」制度が創設されたため、これらの費用の具体例が分かりやすくなった。
2.ただし、これらは税額控除を受けられる範囲の教育訓練費を例示したものであって、それ以外にも研修費は存在する。
3.研修費は、その内容、金額の妥当性等を総合勘案する必要があり、無条件で損金処理が許容されるものではない。
◆交際接待に関連して直接支出する費用と交際費隣接費用
公認会計士・不動産鑑定士・中小企業診断士
土屋 晴行
1.税法上の交際費等と会計上の交際費を区分し、社内交際費、間接支出の交際費も含める。
2.通常要する額を超えると交際費等と認定される可能性が高い。
3.資産の取得価額に含まれているものも交際費等として取り扱われる。
4.接待・交際があったときに交際費等として計上しなければならない。
5.接待・交際に関する証拠書類を整備する。
◆海外渡航に直接要した費用の範囲
税理士・公認会計士
上田 和彦
1.海外渡航費を業務上直接必要な費用である旅費等として処理するためには、その渡航が「業務の遂行上必要であること」及び「通常必要と認められる金額であること」の二つの条件を満たす必要がある。
2.上記二つの条件を満たすことを証明するため、海外渡航者は渡航計画書ならびに渡航報告書(日数区分を含む。)、渡航先で配布された資料等を保存しておき、その旅行と業務の関連性を説明できるようにしておく必要があるとともに、渡航に要した費用を日数区分と関連付けて整理しておく必要がある。
3.実務上の判断に当たっては、国税庁が公表している海外渡航費に関する通達等の趣旨を理解する必要がある。特に、よく行われている業務用と観光を併せて行う旅行に関しては、旅費として処理できる金額を求めるための具体的な計算式が示されているので、それを理解のうえ処理を行う必要がある。
◆棚卸資産の取得に「直接要した費用」の範囲
税理士
後久 亮
1.棚卸資産の取得価額が正しく処理されるためには、はじめに、棚卸資産の範囲を確認することが重要となる。
2.原則として、棚卸資産の取得価額には、その購入代価のほか、消費又は販売の用に供するために「直接要した費用の額」すべてが含まれる。
3.例外として、一定の要件を満たす少額の付随費用や、棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用がある。この範囲を明確に区分経理することで合法的に早期に損金経理できる。
4.棚卸資産の取得価額が正確に行われないと、売上原価が正しく算定できないばかりか、期末棚卸資産の評価にまで影響を及ぼすことになる。
5.「直接要した費用の額」は、加算する付随費用の範囲を画一的に定めることは実務上極めて困難である。したがって、法人の事業形態や棚卸資産の性質などを考慮して、期間損益計算の適正性、費用収益対応の原則、重要性の原則、保守主義の原則そして継続性の原則などに抵触しない範囲で取得価額に算入しないことができる。
◆繰延資産の取得に「直接要した費用」の範囲
税理士
玉ノ井 孝一
1.繰延資産の資産計上額は償却計算の基礎となる。
2.開業費は経常的な費用であっても、開業準備のために特別に支出されたものは繰延資産として計上することが相当である。
3.試験研究費及び開発費は、その活動の内容によって判断する。
4.税法上の繰延資産は任意償却が認められないので、その取得には注意が必要である。
◆固定資産の取得・譲渡に「直接要した費用」の範囲
椙山女学園大学教授・税理士
林 仲宣
税理士
四方田 彰
1.業務用資産である固定資産の取得・譲渡においては、会計帳簿等と関係資料により正確な価額が把握できるので、非業務用資産と異なり計算過程での混乱は少ない。
2.所得税法の領域における固定資産の意義は、用途や目的を問わない。個人が所有する資産のうち、棚卸資産、有価証券及び繰延資産を除いた広い概念である。
3.固定資産の取得価額と譲渡価額は、譲渡時である将来において取得時である過去の清算という相互関連の図式にあることを理解する必要がある。
4.減価償却資産の取得額は、購入、自己製作などの取得方法に応じて区分される。
5.譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、原則としてその資産の取得に要した金額ならびに設備費及び改良費の額の合計額である。
●所得税実務
上場株式等の「1,000万円非課税特例」を適用する際の留意点
税理士
小川 実
平成13年に手当てされた「特定上場株式等の譲渡所得の非課税制度」は、平成13年11月30日から平成14年12月31日までに購入した上場株式等を、平成17年~19年の3年間に売却した場合には、購入金額1,000万円までならどんなに利益があっても非課税になるという特例だ。適用に当たってはさまざまな留意点があり、要件をしっかり把握しておかないと多額の税金を納めることになってしまう。そこで本稿では、この制度の概要をQ&A形式で解説するとともに、適用に際しての実務ポイントを検討していく。
●法人税実務
◆役員等に対する経済的利益の供与と報酬・賞与の区分
税理士
角田 敬子
中小同族会社は、経営者に対する牽制効果がないことから、会社の金・資産を自分のものとする感覚が生じやすい。そのため、経営者等の役員に対する利益供与とみなされ、思わぬ報酬・賞与認定が行われる結果となる。では、その認定に当たり、報酬と賞与の区分は、どこにあるのだろうか? 本稿では、役員報酬と役員賞与の基本事項を確認した上で、認定区分の分水嶺を探っていく。
◆失念しがちな留保金課税不適用要件のチェック
税理士
植木 康彦
最近、留保金課税に係る損害賠償責任が多いという。平成12年~14年の税制改正で、留保金課税について創業から10年の停止措置のある新事業創出促進法による制度、平成15年からの自己資本比率50%以下の中小法人への停止措置などがあり、不適用の条件を踏まえていないとミスをすることになる。留保金課税不適用要件は厳格に適用され、少しの手続ミスも許されない。17年度税制改正で、新事業創出促進法が改正され中小企業新事業活動促進法の規定に変わることで、留保金停止措置の要件も変わることとなり、変更点のチェックと、それに対する会社の見直しが必要になる。
◆課税処分取消事例にみる使途秘匿金認定の傾向と反証ポイント
税理士
樋之口 毅
措置法62条に規定する使途秘匿金の認定は、2項で「相当の理由なく」相手方の氏名等を記載しない場合に限られているわけだが、こうした判断を度外視した事実認定による課税処分がなされていることが、多くの事例で窺うことができる。本稿では、課税処分が覆された使途秘匿金認定の事例から、その傾向を探ることで、認定課税が行われた場合の反証のポイント(「相当の理由」の立証)を検討する。
◆デット・エクイティ・スワップ(DES)の会計・税務処理
税理士
佐藤 正樹
会社の建直しのために、債務の株式化(DES)が行われることが多くなっていると言う。実行の方法はどのようにするか。資本の組み入れと債務のバランスはどのようにしたらよいのか。債権者が法人の場合はどうなるか。特に中小会社において、債権の評価や、資産の額等の処理でどのような注意点があるかを、検討する。
●資産税実務
◆相続・贈与財産の譲渡における取得費・付随費用の留意点
税理士
徳丸 親一
2月1日最高裁判決を受けて、国税庁は相続・贈与財産を譲渡した場合における、相続人・受贈者が負担した付随費用を取得費として認める取扱いの変更を行った。本取扱いの変更は、16年分の確定申告の申告以外にも、過去5年分の申告が対象となってくる。
そこで、本取扱いの変更に伴って、1)どの範囲までが付属費用となるか、また、留意すべき費用とは何か。2)過去分の申告をチェックに伴う、更正の請求、及び嘆願書の提出の注意点とは何か、3)事業用財産、非事業用財産の別による減額計算上の留意点――等につき検討する。
◆物納要件の判定と金銭納付困難理由書の作成ポイント
税理士
山本 和義
相続税の物納に際しては、「延納によっても金銭納付を困難とすること」がその要件となっている。そのため「金銭納付困難理由書」の提出が義務付けられているわけだが、その記載内容に関して様々な疑問点が生じている。例えば、「近い将来における金銭収入」とは、収入があるかどうか不確定なものも記載しなければならないのか、「近い将来における臨時的支出」には、合否がまだはっきりしていない子供の大学の入学金も入れてよいのか――など、その判断が難しい事例もある。そこで本稿では、これらの点を明らかにし、物納を認めさせるための理由書の作成ポイントを検討していく。
◆改正点を考慮した農地の納税猶予特例選択後の留意点
税理士
今仲 清
17年度の税制改正で、相続・贈与税における農地の納税猶予特例について、継続届出書の3年ごとの提出制度の拡充などが行われた。17年度税制改正での農地に関する改正事項を確認し、納税猶予から適用除外される遊休農地の要件や3年ごとの継続届出の義務化におけるチェック事項などを、検討する。
●利益計画
◆薬局のモデル利益計画
中小企業診断士
石井 一久
医薬品小売業界では、低価格を武器にした大型ドラッグストアの勢力拡大を受けて、中小規模の薬局・薬店は苦戦を続けている。また、今後も、規制緩和に伴う一般小売店との競争、医薬分業に伴う薬局数の増加、診療(調剤)報酬の引下げ――など難題は数多い。
本稿では、中小規模の薬局をモデルに、商品施策の見直し、効果的なプロモーションの実施、顧客管理の充実等の経営改善策を提示。長期的発展を果たすための基盤作りの実現を目指す。
●判例研究
◆虚偽の住民登録などによる工作行為と「偽りその他不正の行為」の該当性
大阪地方検察庁検事(前・大阪法務局訟務部付検事)
中村 和洋
所得税の申告や税務調査を免れる目的で虚偽の住民登録を繰り返していた行為は、所得税法238条1項に規定する「偽りその他不正の行為」に該当するか否かが争われた事例(東京高裁平成16年2月23日判決・平成15年(う)2540号)を評釈する。判決は、被告人につき懲役1年及び罰金800万円(懲役刑につき4年間の執行猶予)を言い渡した原審の判断を支持、控訴棄却している。
●連載・コラム●
◆ポイント・オブ・ビュー
弁護士 堀口磊藏 氏、弁護士 古田茂 氏 に聞く
◆税理士事務所みてある記
高沢修一税理士事務所(東京税理士会四谷支部)
◆好調関与先にはワケがある!
平林金属(株)(東京都大田区)/藤澤公貴 税理士(東京地方税理士会横浜中央支部)
◆医療法人制度の実務と課題
「医療法人の設立における諸問題」安松奈穂
◆クローズアップ税務争訟
「簡易課税の事業区分と帳簿不提示」中西良彦
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
「簡易課税は、取り下げられる?」熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
「取引先が会社分割、どう対応したらいいの?」菅原万里子
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
「金融機関は不動産担保・保証をこう見る!」甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
「キャッシュ・フロー計算書の必要性」長岡勝美
◆実務の焦点
「みなし役員の認定は実際に行われている!?」苅米裕
「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の特例」根本東樹
◆税務・会計相談コーナー
「株式の消却を伴わない有償減資と課税関係」(法人税関係)/野原武夫
「株式の純資産価額計算上の3年以内取得土地建物等」(資産税関係)/渡邉正則
「金利スワップの会計処理」(会計関係)/西田俊之
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/三森暢子
税理士の休日/桑原陽子
別冊付録●税務情報(会社法案要綱・ほか)
巻頭論文
交際費課税の本質と今後の方向
成蹊大学名誉教授
武田 昌輔
交際費課税について、事業との関連性や、どこまでが不相当に高額な支出であるかにより、課税対象になるかならないか争われることがよくある。その区分の曖昧さが指摘されるところだが、こうした交際費課税のあり方は「平成17年度税制改正大綱」でも検討事項に挙げられ、課税の明確化が求められている。交際費課税の指摘される問題点と、改正の方向について、交際費課税の成立の事情から検討していただく。
税務論文
興銀事件最高裁判決から読み解く
貸倒損失の認定における社会通念基準
明治学院大学教授
渡辺 充
昨年末、最高裁は、旧日本興業銀行に対する課税処分の取消しを命ずる逆転判決を下した。債務者側の事情のみならず、債権者の事情も踏まえて社会通念に従って判断すべきとした判決は、損金算入を極めて限定的にしてきた課税実務に対しどの程度影響を及ぼすか。本稿では、筆者が関わった具体的適用例を紹介しつつ、社会通念の意味を分析・検討する。
消費税仕入税額控除における帳簿等の「保存」の意義
立命館大学教授
三木 義一
税務調査に際して帳簿や請求書の提示を拒否することは、仕入税額控除制度における「帳簿等の保存要件」の不備に当たるか否か。これまで、多くの事例で争われてきたこの「帳簿不提示訴訟」に関し、最高裁は昨年12月に初判断を示し、国側勝訴を確定した。本稿では、「帳簿の不提示」と「保存」の関係を従来の学説からひも解き、今回の二つの最高裁判決を評釈するとともに、租税法律主義の観点から批判を展開する。
事例研究
受贈財産の譲渡における取得費の範囲
~ゴルフ会員権の名義書換料に係る最高裁勝訴判決を基として~
税理士
右山 昌一郎
受贈ゴルフ会員権を譲渡したケースで、受贈時に支出した名義書換手数料が取得費になるか否かをめぐって争われた事件で、最高裁判決が取得費に当たるとした納税者逆転勝訴判決に関して、税理士補佐人である著者が、事件の経緯の説明や問題点の所在、そして当該判決をめぐる評釈を行う。本判決を受けて、国税庁は従前の取扱いを変更している。上告申立書、最高裁判決、国税庁による取扱変更文書など、関係資料も盛り込んでいる。
特集/これからの中小企業の人材政策と税務の留意点
最近、企業では社員に代えて、派遣社員やパート等を活用することが多くなっている。企業側の固定費を抑え、経営環境の変化にも即応するためである。だが、一方で、熟練者の定年等で失われることが危惧される企業独自の技術の伝承のためにも、人材の確保・育成の必要がある。中小企業に求められる人材政策と税務留意点を検討する。
中小企業の人材状況とこれからの人材政策
中小企業診断士・経済評論家
荒 和雄
1.雇用市場は、不況の長期化の中でも市場優先の原則が生きている。採る側もきちんとした人事政策採用方針を確立したい。
2.労働形態も多様化している今日、社員の半数以上が非社員になる日も遠くない。彼らが管理職、幹部として働ける環境、勤務体制が大切だ。
3.採用は、社長の最大の仕事。陣頭に立って募集要項を作り、自ら面接に立ち会うことが大事だ。
<人材戦略とその効果>
派遣社員・契約社員・パートの活用
税理士
三上 広美
1.パート社員、契約社員、派遣社員の活用には、それぞれメリット、デメリットがある。
2.パート社員は、短時間労働や短期間労働が可能なので、仕事量の変動に応じた人員確保が可能となる。
3.契約社員とは、契約書で必要とされる知識、能力、業績の水準を明示し、担当業務を特定しておく。
4.派遣社員は直接雇用関係がないので、企業秩序維持について直接誓約書等で同意をとることはできない。
5.パート社員については、勤務日数、雇用期間によって給与所得の源泉徴収税額表の適用欄が変わる。
高齢者・退職者の活用
税理士・公認会計士
三上 清隆
1.高年齢者雇用安定法の改正により65歳までの継続雇用が義務付けられた。
2.高齢者の活用はこれからの企業経営にとって避けられない。
3.再雇用の場合の賃金額の設定に当たっては、公的給付との併用を重視して設定している例が多い。
4.定年延長奨励金や高年齢者雇用確保助成金は支給決定を受けた時点で収益計上をすればよいが、職業訓練費等の経費を補てんするための給付金は、職業訓練等のあった時点で支給を受けるべき金額を見積計上する必要がある。
外国人の活用
税理士
川村 紳悦
1.外国人の雇用に当たっては、関係法令を遵守しなければならない。
2.外国人労働者にも日本人と同様の労働法・社会保険が適用される。
3.給与等の源泉徴収は「居住者」・「非居住者」の区分により異なる。
4.外国人雇用に関する知識を熟知することは優秀な人材確保につながる。
社内人材の活性化策と組織づくり
税理士
加藤 武人
1.人的配置では、人材の育成とその有効活用という視点で捉え、業績評価システムによりその効果を確実なものとする。
2.グループ制等組織づくりでは、組織を機能別・事業部別・カンパニー制に分類し、おのおの効果がいずれにあるかを明らかにした。
3.事業部別・分社化では、自律性の欠如が高収益部門に影響を与えていないかどうかに触れている。
4.外部人材の利用・委託では、アウトソーシングを行うに当たってのポイントを明らかにした。
軽量化を目指した労務戦略と税務
木全 美千男
1.リストラは企業存続の重要な戦略である。
2.リストラは経営計画に基づき、手順を踏むこと。
3.出向・転籍の実行に当たり、労働法や税務通達を遵守すること。
4.退職金制度の変更は労働条件の不利益変更に注意し、メリット・デメリットを検討する。
役員報酬の支払いと役員構成の見直し
鈴木 雅博
1.中小法人における役員報酬の決定基準は、税務基準だけでなく経営基準も十分に考慮する。
2.伝統的な日本型の終身雇用体制に早く見切りをつけ、業績連動型報酬制度への移行の可能性を探る。
3.役員報酬の税務対応につき裁判例も検討する。
4.「会社法制の現代化」の動向を注視し、変化にはすぐに対応できる準備をする。
<人材の雇用・育成策>
中小企業の人材獲得と採用活動の税務
税理士・社会保険労務士
安田 大
1.新規学卒者採用等に関連する企業PR活動等の費用は、原則として損金算入されるが、損金算入時期に気をつける必要がある。
2.会社訪問等の費用については、交際費等に該当するものがないか確認する必要がある。
3.紹介予定派遣制度が普及しつつあるが、派遣会社に対して支払う費用は、損金に算入されると同時に、消費税の仕入税額控除の対象となる。
4.ヘッドハンティング会社への紹介手数料は損金算入されるが、個人的な紹介料については、慎重に取り扱う必要がある。
5.ヘッドハンティング等によって新たに社員となる者に支払う支度金等については、所得税の課税関係に注意する必要がある。
優秀な人材を残す・活かす社内人事・労働条件の設定
税理士・社会保険労務士
中川 幸治
1.就業規則を整備し、労働者との権利・義務関係を明確にすることは、トラブルを防ぐと同時に、優秀な人材の育成・定着など人材政策のためにも不可欠である。
2.人事管理規程にはいくつかの種類があるが、給与関係の規程から「業績連動型賞与」「発明報奨金」、退職金関係の規程から「前払退職金」「中小企業退職金共済制度」をピックアップして解説した。
3.本文では特に触れていないが、定年延長や育児・介護休業に関する法改正に伴い、関連する諸規程についても整備が必要と思われる。
技術を伝承・発展する人材の育成・向上策と税務
税理士・公認会計士
立野 晴朗
1.高度成長期を支えてきた団塊世代の引退時期を控えて、社会基盤を構成する技術・技能の伝承問題がにわかにクローズアップされている。
2.効率化・標準化のためのマニュアル等によるOFFJTマネジメント中心の現状に対して、今後は「コアスキルワーカー」による「心」の伝承に価値を見出していくことが望まれる。
3.日本企業の弱点といわれている管理職の技能に対しては、個人的スキルの向上のみならず、企業文化の醸成の観点から経営者のDNAを刷り込むための動的な伝承活動が不可欠である。
4.暗黙知を中心とする知識を通じて個人と組織の相互作用が繰り返されて知の再生産が促進される。そのための仕組み・経営手法としてのナレッジマネジメントを理解し活用することが必要とされている。
5.経済的評価のサイクルの弊害が露呈された成果主義経営の思想とは別に、「仕事の報酬は次の仕事」、という内発的動機付けを志向した人材教育開発計画を策定し効果的に実施するため、人材投資促進税制を十分に活用し得るスキームの検討が急務である。
人材投資促進税制を活かした中小企業の人材投資・育成策
税理士・公認会計士
徳田 孝司
1.教育訓練費のうち税制適格の支出額が増加した場合、法人税から一定額を控除できる。
2.3年間の時限措置のため、向こう3年間の利益計画を踏まえ効率的な教育訓練費を支出する必要がある。
3.法人税額の10%を限度とするため、法人税額が少額な企業は適用メリットが少ない。
4.対象となる教育訓練費は外部支出したものとなるため、従来の教育訓練費を見直す必要がある。
5.補助科目の設定等を含め、会計処理は税制適格教育訓練費を別途把握する必要がある。
人材政策に活用できる補助金・助成金と税務
税理士
金子 寿一
1.助成対象となるべき要件の詳細を確認する。
2.助成対象・助成額も刻々と改定されるので、事前確認が必要である。
3.手続機関に「認定」を受けられるためのアドバイスを受ける。
4.従業員等が「給与課税」の適用を受けないよう計画する。
通則法実務
従業員・税理士等による不正行為と責任の帰属をめぐる問題
近畿大学教授・税理士・公認会計士
八ツ尾 順一
納税者である個人・法人に勤める従業員や関与税理士が売上除外等の不正を行い、結果的に過少申告・無申告になった場合、その「隠ぺい・仮装行為」、「偽りその他不正の行為」の責任は納税者に及ぶのであろうか。これについて争われた訴訟は数多く、判決は「納税者に責任あり」とする立場を取っているものがほとんどだが、従業員等の職務内容や関与の程度などにより、納税者の主張が認められた事例もある。本稿では、これまでの裁決例・判例を分析することで、納税者の責任が及ぶ範囲とその分岐点を探っていく。
法人税実務
中小会社の合併・営業譲渡等における消費税・留保金課税の留意点
税理士
清水 謙一
企業の再編・再生の一環として合併や営業譲渡等が行われることが多くなってきたが組織再編については、法人税法の適格要件や合併比率の算定、営業権の評価等多くの事項の検討と作業が必要な他、スキームの骨格づくりに注意が集まるが、実行上の落とし穴になるのが、消費税と留保金課税の取扱いだ。親会社が簡易課税選択だと、合併後もそのまま簡易課税の適用がいきていたり、資産の譲渡が多いために合併した事業年度で課税売上割合が大きく下がったりする。また、合併により自己資本比率が良くなり留保金課税の停止措置ができなくなることもあり、これら合併等に関連して起こりがちな税務留意点を示す。
複合的機械設備の償却・特例適用をめぐる税務判断
税理士
川端 雅彦
機械設備等の減価償却資産は、物理的な1単位を基準に償却を行うのではなく、その用途、購入目的、使用状況等を総合的に勘案した上で、一つの単位が把握される。いわゆる「総合償却資産」といわれるものだ。この総合償却資産について、耐用年数の設定や除却時の処理等の問題だけでなく、少額減価償却資産の特例やIT税制など、各種特例を適用する際の判断にもさまざまな疑問が生じている。本稿では、実際の判例や文書回答事例を紹介しながら、複合的機械設備に関する実務処理のポイントを探っていく。
会社の税務
建物の取得で注意したい附属設備の区分とその判定
税理士
矢野馬 通永
法人又は個人が業務用の建物を新築もしくは購入した場合、減価償却の実務として当該建物の内訳を種類ごとに分類し、その種類の異なるごとに減価償却の計算を適用することとなる。中古の建物では、その契約書等において建物と建物附属設備の内訳が明らかでない場合が多いため、その分類には困難を伴うケースが多いが、合理的な方法で区分することが要求される。国税不服審判所の裁決例を交え、合理的と思われる分類方法を検証する。
相続対策
生命保険を利用した生前贈与対策の新傾向とその留意点
税理士
土屋 清人
4月にペイオフが全面解禁となるが、そのリスクを避けるために、資産の組替えが求められている。そこで注目されるのが終身保険。始めに父母・祖父母が契約者になったものを、子どもや孫に精算課税を利用するなどして贈与することにより、より大きな資産シフトが可能となる。贈与を受けた子ども達は、契約者貸付制度を利用することで担保なしに融資が受けられる。この資産のペイオフ対策~世代間シフトという新しい流れを探る。
生産緑地を有する農家の相続対策
税理士
下地 盛栄
農地に係る相続・贈与税の納税猶予制度は、三大都市圏とその他の地域で異なる。三大都市圏では、特定市街化区域農地は、納税猶予の対象から除外されているが、生産緑地地区指定を受けた農地については、終身営農等の厳しい条件のもとに納税猶予が認められる。生産緑地を相続財産に含む農家は都市型農家でかなりの数になるが、生産緑地を相続した場合相続人が終生営農しなければならないことから、農業後継者がいるか、営農をできるかが相続時の判断として重要になる。営農できなければ、死亡を原因とした買い取り申請をするが、実際に買取られるには時間と手間がかなりかかる。さまざまな相続の形があり、営農を続けるために、営農ヘルパー制度を活用したり、買取請求の間に農地転用の届出をし売却をしたりとケースによりさまざまな相続税の対策が考えられる。
難問事例
内縁の妻が受け取った生命保険
税理士
山田 俊一
税理士会の相談室などによせられた税理士等プロからの相談について回答した例を題材に、現実世界の中で表われた税法適用の判断が難しい事例について、そこにある問題点と解決の方法を、税法ばかりでなく民法、商法の考え方、裁判例などを基に、検討していくもの。隔月掲載の第1回。
今回は,離婚状態にあり内縁の妻がある男の相続で、生命保険金があり契約書の受取人名義が戸籍上の妻であるが、本人は実の姉に内縁の妻に渡すように言っており実際内縁の妻に渡った場合の税務処理について検討した。
利益計画
メガネショップのモデル利益計画
中小企業診断士
平村 一紀
大手チェーンによる出店攻勢、安売り店の増加などメガネショップを取り巻く環境は大きく変化しており、中小店は特徴ある店作りを実現しない限り、生き残りは難しくなってきている。本稿では、地域商店街に立地する老舗店をモデルに利益計画を検討する。
ポイント・オブ・ビュー
西村ときわ法律事務所 弁護士 岩倉正和 氏に聞く
税理士事務所みてある記
池田陽介税理士事務所(関東信越税理士会西川口支部)
好調関与先にはワケがある!
ミュージックセキュリティーズ(株)(東京都港区)/吉田恵子 税理士(東京税理士会芝支部)
クローズアップ税務争訟
「酒類販売業における営業権の譲受日」上西左大信
クマオーの消費税トラブル・バスター
「建設仮勘定は控除できる?」熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー
「同族会社株式を特定の相続人に優先的に相続させるには?」服部弘
金融機関との上手な付合い方 実践編
「金融機関は決算書のココを見る!」甲賀伸彦
新時代の中小企業会計
「中小企業が税効果会計を適用する意義」長岡勝美
実務の焦点
「公募株式投資信託に係る税務」森部章
「取引相場のない株式に係る営業権の評価」杉山一紀
税務・会計相談コーナー
「相続税の更正の請求の特例(死後認知の場合)」(資産税関係)/伊藤正彦
「ストック・オプションの会計処理」(会計関係)/古内和明
ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/植山純子
税理士の休日/峰岸恵子
別冊付録●平成17年度所得税法等の一部を改正する法律案・新旧対照表
巻末付録●税務情報(有限責任事業組合契約に関する法律案・ほか)
巻頭論文
三位一体改革論議と税源移譲の意義/林宜嗣
税務研究
消費税簡易課税制度の申告時選択性への改正の是非/冨田光彦
特集 平成17年度税制改正の実務ポイント
・座談会 大綱から読み解く17年度改正の実務ポイント
出席者:平川忠雄・山田淳一郎・榑林一典
・定率減税の縮減等~将来の税制改革に向けた措置/山本守之
・土地・住宅税制の見直し/岩下忠吾
・株式特定講座等証券税制の見直し/三輪厚二
・中小・ベンチャー企業支援税制の見直し/赤岩茂
・人材投資(教育訓練)促進税制の創設/榑林一典
・民法組合等を利用した節税策の規制/山田淳一郎
・外国からの投資課税・タックスヘイブン税制等の見直し/三浦昭彦
・NPO法人税制の見直し/清水久員
・検討事項/右山昌一郎
新法令解説
・国税関係書類のスキャナ保存制度の創設/田中勝
法人税実務
・公正妥当な会計処理をめぐるトラブルとその判断ポイント/田中義幸
・種類株式における帳簿価格の算定と評価損計上/佐藤正樹
会社の税務
・同族会社による役員借入金利息の肩代わりと課税関係(下)/松井宏
評価実務
・企業組合の出資持分を相続した場合の評価とその周辺問題/浅野洋
経営と税務
・ビル・マンション経営のポイントと税務留意点/中村通孝
利益計画
・リサイクルショップのモデル利益計画/高瀬和夫
コラム・連載
ポイント・オブ・ビュー
・小林麻里氏に聞く
税理士事務所見てある記
・酒井啓司税理士事務所
好調関与先にはワケがある!
・(株)総商/鈴木宏氏
クローズアップ税務訴訟
・防犯用機器等の少額減価償却資産性/小林磨寿美
クマオーの消費税トラブル・バスター
・政経パーティー券の購入費は寄付金?/熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー
・補佐人税理士は何をすればいいの?/菅原万里子
多税目取引の落とし穴/医療法人制度の最新事情/改正税理士法ステップアップ/新時代の中小企業会計/私のKey Word/税理士の休日/金融機関との上手な付合い方/頭の体操室
趣味講座 将棋・囲碁教室/租税訴訟裁判への扉/税務・会計相談コーナー/実務の焦点/ミニ情報/ブックレビュー/速報税理トピックス/編集局より
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