MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック) 発売日・バックナンバー

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表紙 「アルプス越えのナポレオン」(ジャック=ルイ・ダヴィッド作、マルメゾン城美術館蔵)

特集
革命・戦争が生んだ名曲

 クラシック音楽の名曲は、革命や戦争が契機となって生まれた例が多く見られる。よく知られている逸話は、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」にまつわるもの。ナポレオン・ボナパルトはフランス革命で反革命を企てる王党派を鎮圧して権力を掌握、1804年、自ら皇帝を名乗った。ベートーヴェンはハプスブルク家の王制のウィーンにあって、ひそかにフランス革命を支持した共和主義者だった。ナポレオンの出現に喜び、交響曲第3番の自筆譜に「ボナパルトに献呈された交響曲」という献辞をいったんは書いたが、ナポレオンが皇帝になったことを知るや、「ボナパルトに献呈」という文字を自ら消した。もちろん交響曲第3番「英雄」は、ナポレオンの行動を描写した音楽ではないが、こうしたベートーヴェンの思いと時代背景があって作曲された。
 チャイコフスキーの序曲「1812年」もナポレオンに関係している。1812年のナポレオンのロシア侵攻が題材となっている。60万人もの大軍がロシアの反攻にあい、ほとんどの将兵を失い、退却を余儀なくされた祖国戦争。冒頭はロシア聖歌、そしてフランス国家「ラ・マルセイエーズ」が引用され、ロシアの民族舞曲風のメロディーが流れ、実際に大砲の音が使われる。「図式的だが、ロシア人の心の底に眠る民族意識を煽る音楽になっている所がチャイコフスキーの真骨頂といえる」(評論家のマリーナ・チュルチェワ氏)。
 ドイツのナチス政権は600万人ものユダヤ人を強制収容所などで虐殺した。このホロコーストの犠牲になった音楽家は多い。チェコの作曲家、シュルホフやハースは強制収容所で亡くなり、ハンガリーの作曲家ジェルジ・リゲティとチェコの指揮者カレル・アンチェルは家族を失っている。ナチスはユダヤ人の作品や前衛音楽、ジャズなどを「退廃芸術」と称し、演奏を禁じ、メンデルスゾーンやシェーンベルク、ヒンデミットらは演奏できなくなった。そして、ナチス・ドイツから逃げたクロイツァーやローゼンシュトック、グルリットらは日本に住み、日本の音楽界を大きく成長させた恩人である。
 特集は他に、◎「ラデツキー行進曲」とハプスブルク帝国◎フランス革命とソナタ形式◎ヴィトゲンシュタインとラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」◎オスマン・トルコの脅威とトルコ行進曲、などを取り上げている。

◎BIGが語る 荘村清志 ギター
 1969年のデビュー以来、日本のギター界を牽引し続けてきた。Hakujuホールで毎年8月、福田進一と行っている「ギター・フェスタ」は今年10周年を迎える。第1回目は、武満徹特集。開催前は集客を心配する声があがったが、ふたを開けてみれば3日間とも完売になった。この年は武満没後10周年。今年はちょうど20周年にあたり、再び武満特集の「ギター・フェスタ」が開催される。ギター・ソロすべての曲、ソングス、映画音楽などで構成されている。「このフェスタでは、武満さんを知っていて理解している人間が、新しい人に伝えていくことができるのだと思います」と荘村は話している。

◎特別企画 サントリーサマーフェスティバル2016
 毎夏恒例のサントリーサマーフェスティバル2016が8月22日から30日まで開催される。佐藤紀雄と板倉康明の2人をプロデューサーに立てた「ザ・プロデューサー・シリーズ」が、それぞれの企画で2日ずつ行われる。佐藤はアンアンブル・ノマドの、板倉は東京シンフォニエッタの音楽監督で、両者とも現代の音楽シーンの最前線で活躍している。佐藤は「単独者たちの王国」、板倉は「耳の愉しみ」と題し、それぞれブルーローズ(小ホール)と大ホールで、編成の異なる作品が並ぶ。佐藤の演奏会はバスケス、ボディ、武満、トーキーらの作品、板倉のはメシアン、マントヴァーニ、リンドベルイらが披露される。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 神尾真由子 ヴァイオリン
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ボローニャ市立歌劇場で蝶々夫人を演じる林康子

特集
世界で活躍する日本人演奏家

 明治13(1880)年、文部省音楽取調掛(東京芸術大学の前身)が1期生を迎え入れた。以来。瞬く間にクラシックは日本に定着、たくさんの日本人音楽家が海外で活躍する時代になった。特集では日本を背負って海外に雄飛した先達から、いま現在、海外で活動している演奏家たちを紹介する。
 三浦環(たまき)は日本人で初めて海外で活躍したソプラノ。「蝶々夫人」の名とともに今日に伝えられている。1914年、イギリスに渡った環は、ヘンリー・ウッド卿のオーディションを受け、赤十字コンサートに出演。翌年、「蝶々夫人」でデビューする。イタリアでは作曲者プッチーニに招かれ、エンリコ・カルーソーとも共演した。声楽のトレーニングを受けずに、独学で学んだ環は、「蝶々夫人」2000回上演という大記録を打ち立てた。
 山田耕筰は日本人初の交響曲「かちどきと平和」を作曲、ベルリン・フィルやレニングラード・フィルを指揮するなど国際的な活動をした指揮者・作曲家。「赤とんぼ」の作曲者でもある。三菱財閥の岩崎小弥太の援助で1910年、ベルリンに留学、ベルリン芸術大学で作曲を学んだ。帰国後、東京フィルハーモニー会管弦楽部を組織、大正14年には現在のN響につながる日本交響楽協会を、近衛秀麿とともに組織した。
 戦後は、指揮では渡邉曉雄、朝比奈隆、岩城宏之、小澤征爾、若杉弘らが続々と海外に新天地を求めていった。若杉の父親は日米開戦時の駐米公使、若杉豊。慶応大学を中退して東京芸大に学んだ。N響、読売日響を経て、ケルン放送響首席指揮者、ライン・ドイツ・オペラ音楽総監督などを務めた。「歌劇場というものがなかった日本のオペラ界で、彼こそは、オペラ上演や運営に堪能な最初の日本人指揮者」(音楽評論家、東条碩夫氏)。
 今では、4月に7年ぶりにベルリン・フィルを指揮した小澤、リヨン歌劇場の大野和士、沼尻竜輔ら指揮者、内田光子を筆頭に児玉麻里、小川典子、河村尚子らピアニスト、ヴァイオリンの堀米ゆず子や五嶋みどり、庄司紗矢香、ヴィオラの今井信子、声楽の藤村実穂子や中村恵理、ベテランから若手まで多くの日本人が世界の第一線で活躍している。
 特集は他に、◎日本人指揮者の登竜門、ブザンソン国際指揮者コンクール◎日本人にとって海外留学とは何か◎ベルリンで活躍する日本人音楽家◎日本人ハーフの演奏家たち◎日本を愛した外国人演奏家、などを取り上げている。

◎BIGが語る 林康子 ソプラノ
 イタリア・デビューがミラノ・スカラ座の「蝶々夫人」。プッチーニ、ヴェルディ。モーツァルトでスカラの舞台に立つという偉業を成し遂げた日本を代表するソプラノ。活躍は世界中に及び、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、プラハ国立歌劇場、ロイヤル・オペラ、バルセロナ・リセオ大劇場、シカゴ・リリック・オペラなどの檜舞台を“スター歌手”として駆け巡った。声楽の勉強のスタートは遅かったが、努力はイタリアに留学して花開いた。スカラ座研修所時代、大テノール、ディ・ステファノが生徒みなの前で「ヤスコのように歌いなさい」と言ってくれた。「イタリアで歌うことは本当にうれしかったです。私のイタリア語を分かってくれて、お客様が私の歌に涙してくれるのです。本当に歌いがいがあると思いました」と話す。

◎特別企画 NHK音楽祭2016が10、11月に開催
 秋の恒例イベントとなった音楽祭は、今年も多彩なオーケストラとプログラムで話題を集めそうだ。「偉大な芸術家たちへ」と題されメモリアル・イヤーがテーマとなっている。ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管はシェイクスピア没後400年で、ベルリオーズ「ロメオとジュリエット」を。武満徹没後20年で「マイ・ウェイ・オヴ・ライフ」を演奏するのはソヒエフ指揮N響。そしてハーディング指揮パリ管は、ブリテン没後40年として、パドモアを独唱に迎え「セレナード」などを演奏する。ブルックナー没後120年で交響曲第7番を取り上げたのはトーマス指揮サンフランシスコ響。ユジャ・ワンがショパンのピアノ協奏曲第2番を披露する。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 斎藤雅広 ピアノ
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 サントリーホール

特集
サントリーホール30周年 オーケストラと世界のホール

 サントリーホールは、東京で初めてのクラシック・コンサート専用ホールとして1986年に開館した。こけら落としは10月12日、サヴァリッシュ指揮NHK交響楽団の演奏によるベートーヴェン「第九」だった。サントリーホールの形式は、ステージを客席が、ブドウ畑が段々状に連なって囲んでいるようなヴィンヤード型。ちなみにステージが端にあり長方形の箱のようなホールはシューボックス型という。なぜヴィンヤード型になったのか。それはカラヤンのアドヴァイスの影響が大きい。ベルリン・フィルが本拠としているベルリンのフィルハーモニーも同じヴィンヤード型なのだ。当時、サントリー社長だった佐治敬三氏はヨーロッパ各地のホールを視察するためベルリンを訪れた。サントリーホール・エグゼクティブ・プロデューサーによると、カラヤンは佐治氏に「良い音楽を聴こうと思えば、今では再生装置が良くなってきているから家ででも聴くことができる。しかし、聴衆がわざわざコンサート会場に足を運ぶということは、そこでしか聴けないものを体験しにくるのです。だから私は、オーケストラを真ん中に置いて、聴衆と一体となって音楽をしようと思ったのです」とヴィンヤード型が現代のコンサート会場にいかにふさわしいかを説明した。佐治は膝をポンと叩いて「ああ、なるほど、ほな、そうしましょ」と答えたという。真鍋氏は、「カラヤン新企画」の中で経緯を綴っている。
 サントリーホールは現在、7つのオーケストラが定期演奏会を開いている。オーケストラとホールの関係は切っても切れない。ウィーン・フィルの本拠地はムジークフェライン(楽友協会)。別名「黄金のホール」と呼ばれるこのシューボックス型のホールは1870年に竣工した。ウィーン・フィルはウィーン宮廷歌劇場管弦楽団に所属する団員たちが、自主的にオーケストラ・コンサートを開くために1842年に創設された。ヨーロッパ文化史研究の小宮正安氏は「ブラームスによせブルックナーにせよマーラーにせよ、彼らは楽友協会でウィーン・フィルが演奏する響きを想定して交響曲や管弦楽曲を書いている。そんな彼らの曲を主要レーパートリーとしてゆく限り、ウィーン・フィルは唯一無二のオーケストラであり続ける」と記す。
 他にも、ベルリン・フィルとベルリン・フィルハーモニー、コンセルトヘボウとロイヤル・コンセルトヘボウ管、ゲヴァントハウスとライプチヒ・ゲヴァントハウス管、ボストン・シンフォーとボストン交響楽団など、世界の名ホールと一流オーケストラの関係を特集している。
特集は他に、◎ロームシアター京都とローム ミュージック フェスティバル◎パリの新コンサートホール攻勢◎ドイツの抱えるホール問題◎ニューヨークの誇り高き2つのホール◎イギリスのコンサートホール◎関西のホールとオーケストラ◎東京文化会館と東京都交響楽団、などを取り上げている。

◎BIGが語る 徳永二男 ヴァイオリン
 1966年、まだ桐朋学園に通っていた19歳の徳永二男は当時最年少で、東京交響楽団のコンサートマスターに就任した。以来、今年で楽壇生活50周年を迎える。76年にNHK交響楽団のコンサートマスターになり、94年に退団。96年から宮崎国際音楽祭総合プロデューサーを務め、現在は音楽監督になっている。今年、70歳になるが、いまも精進し続けている。自分より若い音楽家から学ぶことが多いと話す。「三浦文彰君は私の弟子ですが、今の私の目標なのです。文彰から教わることもあります」と謙虚な姿勢を崩さない。

◎特別企画 日本音楽財団ストラディヴァリウス・コンサート
 ヴァイオリンの名器ストラディヴァリウスを世界中の優れた演奏家に貸与している日本音楽財団。9月に楽器貸与者13人が集い、ストラディヴァリウス・コンサート2016を開催する。そのうちの1人、1736年製の「ムンツ」を使っている有希・マヌエラ・ヤンケは「ストラディヴァリウスは一筋縄ではいきません。人間味があるのです。簡単には相手に染まらない女性、ディーヴァ(女神)のように思えます」と楽器の魅力を語る。コンサートは9月6、12、13日にそれぞれ、大坂・フェスティバルホール、福岡・アクロス福岡、東京・サントリーホールで行われる。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 上野通明 チェロ
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 「ロメオとジュリエット」フランク・ディックシー画

特集
文豪とクラシック シェイクスピア没後400年

 今年はシェイクスピアが亡くなって400年になる。シェイクスピアの劇作はクラシックにも大きな影響を与え、オペラ化された作品は300曲にもなるという。管弦楽、バレエなども合わせると数え切れないだろう。
 オペラで最も知られているのはヴェルディの3作品。「マクベス」「オテロ」「ファルスタッフ」。「マクベス」はヴェルディの「最愛の作品」で、10作目のオペラ。1847年に初演された。原作の改作が当たり前だった当時、イタリア・オペラとしては珍しくほとんど原作に忠実にオペラ化された。ロッシーニにも「オテロ」があるが、こちらは原作とはかなり隔たっている。ヴェルディの「オテロ」の初演は1887年。「ドラマの中に投げ込まれる快感が、初めから終わりまで驚異的な緊張感とともに続く」と音楽評論家の加藤浩子氏。「ファルスタッフ」はヴェルディ最後のオペラで、レパートリーに残っている唯一の喜劇。指揮者リッカルド・ムーティが「コシ・ファン・トゥッテ」とともに「無人島に持って行きたいオペラ」にあげている。
 なぜヴェルディはそこまでシェイクスピアに魅了されたのか。河合祥一郎・東京大学教授は「ヴェルディはシェイクスピアを深く理解していたようだ。おそらくシェイクスピアに自分と同じものを感じていたのではないだろうか。どちらも壮大な人間ドラマを描くスケールの大きな芸術家だ」と記している。
 ドイツの18、19世紀の文豪といえばゲーテとシラー。ゲーテのほうが10歳年上で1749年生まれ。シラーは1805年、ゲーテは長生きし1832年に亡くなった。2人は親友で、ゲーテはシラーが亡くなると「自分の存在の半分が失われた」と嘆いている。
 ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付」の第4楽章「歓喜の歌」はシラーの詩が使われている。「すべての人々は兄弟となる」と人類の絆と愛を歌っており、ベートーヴェンの思想でもあるのだろう。シラーの劇作もヴェルディがオペラ化している。「ルイーザ・ミラー」「ドン・カルロ」「オルレアンの少女」などがある。ゲーテは、詩人で劇作家であるばかりでなく自然科学者、そして有能な政治家でもあった。ゲーテの「ファウスト」は作曲家を刺激し、たくさんの作品が生まれた。シューベルト「糸を紡ぐグレートヒェン」、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」、シューマン「ファウストからの情景」、リスト「ファウスト交響曲」など名だたる作曲家が創作の糧とした。
このほか、特集は◎「ロメオとジュリエット」の作曲家たち◎シェイクスピア劇の音楽と同時代の作曲家◎オペラのリブレットと台本作家の仕事◎ワーグナーが文学から得たこと◎マーラーと文学◎チャイコフスキーとロシア文学◎日本文学とオペラ、などを取り上げている。

◎BIGが語る サイモン・ラトル 指揮
 5月にベルリン・フィルと来日、ベートーヴェン・チクルスを行うサイモン・ラトル。芸術監督兼首席指揮者を2017/18年シーズンで退任することが決まっており、今回の来日が両者の組み合わせの最後になるかもしれない。公演前日の5月10日に発売される「ベートーヴェン交響曲全集」の特典映像「ラトル、ベートーヴェンを語る」の一部抜粋を掲載している。ラトルは「全曲を演奏してみて分かったのは、このチャレンジに終わりはないということです。ベートーヴェンには多くの真実が隠されていますが、どの解釈が絶対的に正しいということはないのです」などと語っている。

◎小澤征爾、7年ぶりにベルリン・フィルに帰還
 小澤征爾が4月8日と10日に行われたベルリン・フィルの定期演奏会を指揮した。食道がんの手術と療養生活を経て、日本では指揮活動を再開していたが、ベルリン・フィルには7年ぶりの登場となった。また今年は、小澤が1966年にベルリン・フィルにデビューしてちょうど50年の記念の年。演奏会の前日、ベルリン・フィルは小澤に名誉団員の称号を与え、フルトヴェングラーの書き込みがある「トリスタンとイゾルデ」のスコアを贈った。コンサートで指揮したのはベートーヴェンの「エグモント」序曲と「合唱幻想曲」。終演後は満員の聴衆から喝采が浴びせられた。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 田部京子 ピアノ
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ドレスデン・シュターツカペレを指揮するティーレマン

特集
2016注目の来日オーケストラ&指揮者

 今年は、海外の一流オーケストラが次々と来日、日本のクラシック・ファンの耳を楽しませてくれる。すでに1月にはムーティが指揮するシカゴ響、2月はバレンボイムが首席指揮者を務めるベルリン・シュターツカペレとブルックナー・チクルスを行ったことが大きな話題となった。
今春の最大の話題はラトルとベルリン・フィルのベートーヴェン・チクルス。5月11日から15日にかけ、サントリーホールで行われる。首席指揮者兼芸術監督のラトルは2018年でベルリン・フィルを去ることが決まっている。今回がラトル、ベルリン・フィルの組み合わせの最後の来日となるかもしれない。一方、ラトルは17年からロンドン響の音楽監督に就任する。すでに両者の密な関係は始まっており、その活動についても特集の中で触れている。
 秋にはベルリン・フィルのライバル、ウィーン・フィルがメータと来日(10月)。11月にはヤンソンス指揮バイエルン放送響、ティーレマン指揮ドレスデン・シュターツカペレが楽しみ。ドレスデン・シュターツカペレは、レジデント・オーケストラを務めるザルツブルク・イースター音楽祭の引っ越し公演という形で、ワーグナーの「ラインの黄金」を上演。「ティーレマンが最も得意とするワーグナー作品を指揮し、名だたるワーグナー歌手が顔をそろえる上演はワグネリアンならずとも必見のものになるだろう」と音楽評論家の岡本稔氏。
 日本のオーケストラにも多くの外国人指揮者が客演する。東京フィルにはバッティストーニとチョン・ミョンフン、東京響はウルバンスキやルスティオーニ、N響はデュトワやパーヴォの父ネーメ・ヤルヴィ、東京都響はインバルなど多彩な指揮者陣を迎える。
 このほか、特集は◎ブロムシュテット&バンベルク響◎テミルカーノフ&サンクトペテルブルク・フィル◎クリスティ&レザール・フロリサン◎ネゼ=セガン&フィラデルフィア管◎ハーディング&パリ管、などを取り上げている。

◎BIGが語る ネヴィル・マリナー 指揮
 イギリスの名指揮者サー・ネヴィル・マリナーが手兵アカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールド)とともに来日公演を行う。1953年、マリナーが教会の合奏団として創設した。その経緯をマリナーは「音楽を突き詰めて没頭したいメンバーたちが私の自宅に集まったのが始まりで、当時の商業主義のムードに対向したかったのです」と話す。古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーと、膨大な録音がある。今回で両者の組み合わせでの来日公演は最後になる。4月7日は大阪のフェスティバルホール、9日に東京オペラシティで、ベートーヴェン「交響曲第7番」、プロコフィエフ「交響曲第1番 古典交響曲」などを演奏する。

◎指揮者ニコラウス・アーノンクール追悼
 マエストロ、ニコラウス・アーノンクールが3月5日、オーストリアで亡くなった。86歳だった。昨年12月5日、86歳の誕生日の前日、体力の限界を理由に引退を表明していた。ウィーン交響楽団のチェロ奏者としてキャリアを始め、1953年、古楽器のオーケストラ、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを結成。古楽の復興を推進した。モーストリー・クラシックはドイツ文学者の許光俊氏の追悼文を掲載、音楽評論家の諸石幸生氏は連載「歴史的名盤とオーディオ」の中で追悼の意を表している。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 池松宏 コントラバス
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ベルリン州立歌劇場のモーツァルト「魔笛」

特集
合唱で聴くオーケストラとオペラの名曲

 ベートーヴェンは交響曲第9番の4楽章に独唱や合唱を入れた。器楽曲、オーケストラ曲など絶対音楽で革新的な作曲をしてきたベートーヴェンだが、晩年の第九になぜ「歓喜の歌」を入れたのだろうか。大阪音大の中村孝義教授は「合唱こそが、より容易にこうした本格的な作品に直接演奏という形で関わることが可能になる領域だからだ」と指摘する。
 第九はロマン派以降の作曲家に大きな影響を与える。合唱を交響曲の中に大胆に取り入れた作曲家にマーラーがいる。交響曲第2番「復活」、第3番、第8番「千人の交響曲」である。1910年、ミュンヘンで初演された第8番は4管編成の大オーケストラに加え、独唱者8人に合唱団2つと少年合唱団という数百人規模の演奏家を必要とする。「この音楽は沸騰するエネルギー感という点ではマーラーが書いた作品の中でも屈指であり、たとえ意味が分からなくても、声の饗宴には圧倒されるしかない」とドイツ文学者の許光俊氏は記す。
 ワーグナーのオペラには合唱が必要不可欠だ。「さまよえるオランダ人」、「タンホイザー」、「ローエングリン」、「ニーベルングの指環」、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」など合唱が効果的に使われている「ローエングリン」は第2幕前半と第3幕前半を除き、合唱は歌いっぱなし。合唱は「一転して突如現れた英雄・ローエングリンを皆が賛美する。強い者になびき、付和雷同する大衆の弱さと愚かさをこれほどまでに残酷に描いた例もそうはない」(音楽評論家、広瀬大介氏)。
 特集では、オーケストラ曲ではショスタコーヴィチ「交響曲第13番『バビ・ヤール』」、オペラはヴェルディ「アイーダ」、オルフのカンタータ「カルミナ・ブラーナ、バッハの「マタイ受難曲」など多くの作品を取り上げている。
 このほか、◎新国立合唱団指揮者、三澤洋史インタビュー◎東京・春・祭で来日するイタリアの合唱指揮者、ロベルト・ガッビアーニ・インタビュー◎「レクイエム」での合唱の使い方◎ナショナリズムと合唱など。

◎BIGが語る 堀米ゆず子 ヴァイオリン
 今年5、6月に開催される第6回仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門の審査委員長を務める。1980年、ベルギーのエリーザベト国際音楽コンクールで優勝し、国際的に活躍してきた。今回のコンクールの予選はモーツァルトにバルトークの無伴奏、パガニーニのカプリース、ファイナルはメンデルスゾーンに、プロコフィエフらの中からもう1曲と協奏曲を2曲演奏しなければならない。出場者には厳しい課題曲となっている。堀米は「確かにハードルは高いです。しかし、若いときに、こうしたレパートリーを突き詰めて取り組んでほしいと思いました」と話す。

◎連載 小山実稚恵の「ピアノと私」
 今月のタイトルは「2人の師 田村宏メモリアルコンサート」。一人の先生は音楽評論家の野村光一氏。学校で習ったわけではないが、小学生のころから、さまざまな機会に引き立ててくれたという。もう一人は東京芸大付属音楽高校校のときから師事した田村宏先生。「教えることへの情熱は、執念という言葉がぴったりでした」と書いているように、愛情深く、そして怖い先生だったという。田村先生が亡くなって5年目の今年3月21日、弟子たちが集い「田村宏メモリアルコンサート」を東京文化会館で開催する。小山のほか、若林顕、田部京子らが出演、田村が演奏を予定しながら果たせなかったベートーヴェンの交響曲第5番(間宮芳生編曲、2台ピアノ6手)などのプログラムだ。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 小菅優 ピアノ
◎フルート奏者オーレル・ニコレ追悼
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ザクセン州立歌劇場(ドレスデン)

特集
モーストリーが選ぶクラシック音楽世界遺産50

 クラシック音楽の歴史は、世界の歴史と重なる。ユネスコの世界遺産と同じく、後世に伝えていくべき音楽遺産は世界中にたくさんある。モーストリー・クラシックは独自に「クラシック音楽世界遺産」を50件選び、特集した。
 ウィーン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭が開催されるザルツブルク・エリア、フォルクスオーペー、ウィーン・コンツァルトハウス、ベートーヴェンやブラームスが眠るウィーン中央墓地、ブルックナーが少年合唱団で歌っていたザンクト・フローリアン教会、ウィーンの街にはシェーンブルン宮殿、モーツァルトの結婚式や葬式が行われたシュテファン大聖堂など、オーストリアや「音楽の都」ウィーンに世界遺産が多いのは当然。ウィーン国立歌劇場について音楽評論家の堀内修氏は「最強のオペラの城としてのウィーン国立歌劇場は、比肩するもののないオーケストラと合唱団、そして伝統によって維持されている。9月から6月までのシーズンが繰り返され、活動を止めることはない。ウィーン国立歌劇場は、決して過去の遺産にならない世界の遺産だ」という。
 そして、ドイツ、イタリアにも「世界遺産」は多い。ドイツはベルリン・フィルハーモニー、バイロイト祝祭劇場、バイエルン州立歌劇場、ザクセン州立歌劇場(ドレスデン)、バッハが楽長を務めていた聖トーマス教会、メンデルスゾーンが楽長を務めたゲヴァントハウスが選ばれた。ベルリン・フィルハーモニーは連載「カラヤン新企画」で取り上げている。「フィルハーモニーはウィーン楽友協会大ホールと比べると残響は短めで、クリアな響きが特徴。ベルリン・フィルの圧倒的な音量と情報量の多い響きは、このホールのアコースティックによって育まれたものと言える」と音楽評論家の岡本稔氏。
 イタリアはミラノ・スカラ座(これもウィーンのハプスブルク家が建てた)、アレーナ・ディ・ヴェローナ、フェニーチェ劇場、クレモナ、ローマの街。
 特集はさらに、フランス、スペイン、イギリス、アメリカ、日本などの「音楽文化遺産」を選んでいる。ほかに◎音楽の聖地の現在的な意味◎アジア諸国に「世界音楽文化遺産」はあるのか? などです。

◎BIGが語る クラウス・ハイマン ナクソス最高経営責任者
 ナクソスの創業者で、最高経営責任者のクラウス・ハイマン氏が来日した。近年、CDショップが激減、CDの売り上げが大幅に減っている。ナクソスもCDの売り上げは全体の4割あるが、収益は10%以下だという。ナクソスの収益の柱は、世界最大の定額制インターネット配信サイト「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」。現在、配信しているレーベルは785、CDは約10万5000枚にのぼる。「最後に生き残るのは我々です。このプラットフォームを持っていることが我々の強みです」とハイマン氏は自信を見せる。

◎新連載 中丸美繪の「鍵盤の血脈 井口基成」②
 先月号から始まった新連載。筆者は「嬉遊曲、鳴りやまずー斎藤秀雄の生涯」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したノンフィクション作家。井口基成は明治41(1908)年、東京生まれ。東京音楽学校を経て、フランスに留学、イヴ・ナットに師事した。戦後は初代桐朋学園短期大学学長を務め、ピアノ教育者として多くのピアニストを育てた。今月号は第2回で、井口の誕生時のエピソード、井口の両親の話などが綴られている。井口家は元々鳥取の氏族で、因幡鳥取藩の勘定方を務めていた。明治維新となり、井口の祖父、平太は殿様の池田慶徳とともに上京、日本橋に居を構えた。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 新倉瞳 チェロ
◎ピエール・ブーレーズ追悼
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ニーノ・ロータ、ジョン・ウィリアムズ、エンニオ・モリコーネ、久石譲

特集
クラシックと映画音楽の魅力

 映画の画面から聞えてくるクラシック音楽に思わず耳をそばだてたことはありませんか。クラシックは映画にたくさん使われています。よく知られているのはキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」。ヨハン・シュトラウス2世の「美しき青きドナウ」、R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」、ハチャトゥリヤンの「ガイーヌ」、リゲティの「アトモスフェール」などが効果的に使用されています。ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」は、1940年に製作された史上初のステレオ音声作品で、近年もブルーレイ・ディスクが発売されるなど、世代を超えて楽しめるエンターテインメントです。ストコフスキー指揮フィラデルフィア管の演奏で、バッハの「トッカータとフーガ」、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、ストラヴィンスキーの「春の祭典」、デュカスの「魔法使いの弟子」など名曲がちりばめられており、主役のミッキー・マウスとともに映像と音楽が見事に合体しています。
 やはりバッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの作品を使った映画は多いです。バッハを見てみますと、「ある愛の歌」、「バグダッド・カフェ」、「花嫁の父」、「この素晴らしき世界」、「木靴の樹」、「遠すぎた橋」、「飛ぶ教室」など枚挙に暇がありません。「バッハが流れるだけで、画面がぐっと引き締まるような気がするのも、実に不思議」と音楽ジャーナリストの寺西肇氏は記しています。
 12月18日、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が公開されました。この音楽を担当しているのは、ジョン・ウィリアムズ。「スター・ウォーズ」シリーズをはじめ、「タワーリング・インフェルノ」、「ジョーズ」、「E.T.」、「ジュラシック・パーク」など多くのヒット作を手がけています。ウィリアムズや「ゴッドファーザー」のニーノ・ロータ、「ニュー・シネマ・パラダイス」のエンニオ・モリコーネら映画音楽作曲家も詳しく取り上げています。
 特集はこのほかに、◎映画「アマデウス」◎映画でブレイクしたクラシックの名曲◎ウィーン、オーストリアと映画音楽◎黒澤明と映画音楽、などです。

◎第9回浜松国際ピアノコンクール
 世界に才能ある人材を輩出し続けている第9回浜松国際ピアノコンクールが11月から12月にかけ、浜松市で開催された。ちなみに、10月に行われたショパン国際ピアノコンクールで優勝した韓国のチョ・ソンジンも、第7回浜松国際ピアノコンクールの優勝者。今回は、42カ国1地域から449人の応募者があり、予備審査を21カ国1地域の87人が通過した。本選に進んだのは6人。イタリアのアレクサンデル・ガジェヴが優勝。「自分の可能性を信じて頑張ります」と喜びの声を語っていた。

◎2016年注目の来日演奏家
 2016年もたくさんのオーケストラ、ピアニスト、オペラ・カンパニーなどが来日する。注目の演奏家を特集している。1月に来日するのはバレンボイムに率いられるシュターツカペレ・ベルリン。ブルックナーの交響曲全曲演奏会を行う。5月にはラトル指揮ベルリン・フィルが6度目の来日。こちらはベートーヴェンの交響曲全曲演奏。世界の2大オーケストラ、ウィーン・フィルは10月にメータとともに来日。11月はヤンソンス指揮バイエルン放送響とティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンと目白押し。
 ピアノはツィメルマン、ポリーニ、アファナシェフ、ポゴレリッチ、ラン・ランら。ヴァイオリンはヤンセン、イブラギモヴァ、ムターら女流が聴きもの。オペラはウィーン・フォルクスオパー、ウィーン国立歌劇場、マリインスキー歌劇場が競演。東京・春・音楽祭の「ジークフリート」、新国立劇場の「ローエングリン」も楽しみだ。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト コハーン・イシュトヴァーン クラリネット
◎新連載 中丸美繪の「鍵盤の血脈 井口基成」
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ショパン・コンクール優勝のチョ・ソンジン

特集
ショパン・コンクールとピアノ協奏曲の魅力

 第17回ショパン国際ピアノ・コンクールが10月1日から23日まで、ワルシャワのフィルハーモニーホールで開催された。優勝したのはパリ音楽院に通う韓国のチョ・ソンジン(21)。チョは2009年浜松国際ピアノコンクールで優勝し、すでにミョンフン、マゼール、ゲルギエフら世界の一流指揮者、一流オーケストラと共演を重ねている。本選後のインタビューで「第1次から第3次は、何を弾いたか覚えていないほど緊張しましたが、ファイナルは自分らしさを出せたと思います」と話した。
 日本人は本選に小林愛実が進んだが、入賞せず、ここ3回のショパン・コンクールは日本人の入賞者がいない、という残念な結果に終わった。2位はカナダ人のシャルル・リシャール=アムラン、3位のケイト・リューはシンガポール出身、4位のエリック・ルーは父親が台湾出身とアジア系の活躍が目立った。
 特集ではピアノ協奏曲の名手も取り上げた。最初はアルゲリッチで、彼女は1965年のショパン・コンクールの優勝者。アルゲリッチは来年1月、ミュンヘンでクレーメルが率い、指揮するクレメラータ・バルティカとベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を演奏する。アルゲリッチとクレーメルは数十年にわたる盟友。新鮮で、エキサイティングなベートーヴェンを聴かせてくれることは間違いない。このほか、ポリーニ、ツィメルマン、内田光子、ラン・ランの注目演奏会の聴きどころを探っている。
 ピアノ協奏曲の名曲名盤はベートーヴェンの第3、第4、第5番、ショパンの第1、第2番、ブラームスの第1、第2番などを紹介した。音楽評論家の中村孝義氏がベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」で推薦したCDは、グルダのピアノでシュタイン指揮ウィーン・フィル、フィッシャーでフルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管、ルービンシュタインでクリップス指揮シンフォニー・オブ・ジ・エアの3点だった。
特集はこのほかに、◎ピアニストを生み出す世界の名門コンクール◎ピアノの名教師たち◎注目すべき世界の若手・中堅ピアニスト◎なぜ日本人は入賞しないのか、などです。

◎BIGが語る
シルヴィ・ギエム バレエ
 今年の第27回高松宮殿下記念世界文化賞の演劇・映像部門を受賞した世界を代表するバレエ・ダンサーである。1965年、パリ生まれ。体操でオリンピックに出場できるほどの恵まれた体を生かし、パリ・オペラ座バレエ団やイギリスのロイヤル・オペラのバレエ団などで踊ってきた。ベジャール、フォーサイスやエックなど最先端の振付家の作品も残している。しかし、50歳の今年、ステージから引退する。引退公演の最後は日本。「人生には始めがあり、終わりがあると考えています。やりたいことができなくなったときに決断したくなかったのです」と話した。

◎ベルリン・フィルがベートーヴェン・チクルス
 ラトル指揮ベルリン・フィルのベートーヴェン・チクルスが、10月3日から16日にかけて2度行われた。現地在住の音楽ジャーナリト、城所孝吉氏が「マンスリー・ベルリン・フィル」で報告し、また音楽評論家の許光俊氏が公演評を寄せている。ラトルがベートーヴェンの全交響曲演奏を行うのは2008年以来で、18年に首席指揮者兼芸術監督を退任するために、今回のチクルスは「総決算」となる。許氏は「確かなこと、それはこんなに示唆に富んだ、経験と呼びたくなるような全曲演奏は,現代随いつだということだ」と絶賛している。ベルリン・フィルは来年5月に来日、サントリーホールでベートーヴェン・チクルスを行う。チケット発売は12月19日(土)。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 通崎睦美 マリンバ・木琴
◎中丸美繪の「小澤征爾異聞」(最終回)
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ベルリン・フィル

特集
管弦楽法 オーケストレーションの魅力

 ラヴェルの「ボレロ」やラヴェル/ムソルグスキーの「展覧会の絵」、リムスキー=コルサコフの「シェへラザード」、リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」など、オーケストレーションの見事さに耳を奪われる名作群がある。特集では管弦楽法の映える名曲を取り上げ、その魅力を解き明かしている。
 モーツァルトやベートーヴェンの古典派のオーケストレーションを一新したのがベルリオーズの「幻想交響曲」。バッハやベートーヴェンら音楽の構造に関心を持つ作曲家に対し、ベルリオーズはオーケストラ自体の表現力に軸足を置いた。そして「ベルリオーズは反アカデミズムの作曲家だった。音楽学校で学び賞も取ったが、優等生ではなかった。天才は自己流を究める」(音楽評論家、許光俊氏)という性格の作曲家だからこそ傑作を生むことが出来た。
 また、独自のオーケストラ・サウンドを作った指揮者としてストコフスキ-、アンセルメ、ショルティらを取り上げた。その一人、ユージン・オーマンディは、フィラデルフィア管に40年以上君臨、「フィラデルフィア・サウンド」を作り上げた。最近、当時の録音が多数再発売され、再評価が進んでいる。
特集はこのほかに、◎名曲名盤 マーラー「巨人」/レスピーギ「ローマの松」/バルトーク「中国の不思議な役人」◎伊福部昭の「管弦楽法」と日本の国民楽派◎20世紀の作曲家のオーケストレーション◎シューマンはオーケストレーションが下手か◎新しい楽器、新しい使い方、などです。

◎BIGが語る
一柳慧 作曲・ピアノ
 日本の作曲家の重鎮、一柳慧が「一柳慧 コンテンポラリー賞」を創設した。審査員は一柳一人、賞金は100万円。日本の音楽界に少しでも活力を取り戻したい、と賞設立の狙いを語る。一柳は戦後、アメリカに留学、ケージとともに活動するなど、戦後前衛の時代のまっただ中で生きてきた。自身の作品もその流れの中にある。「音楽環境や雰囲気などを全体的に見ると、活力が落ちてきているという感じを受けるのも否めません。その背景に何があるのか。音楽会はたくさん行われているが、どこへ向かおうとしているのか見えにくい状況になっていることがあると思います」と話す。

◎セイジ・オザワ松本フェスティバル2015のリポート
 「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」は今年から、総監督小澤征爾の名前を取り、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」と名前を変え、長野県松本市で開催された。期間は8月8日から9月15日まで。しかし、小澤は開幕直前、骨折したため、オペラの指揮などを降板、主のいない形でスタートした。
 ベルリオーズのオペラ「ベアトリスとベネディクト」はギル・ローズが代役を務めた。小澤が松本入りしたのは8月26日。9月1日の「マエストロ・オザワ80歳バースデー・コンサート」と、6日のコンサートでベートーヴェンの交響曲第2番を指揮した。バースデー・コンサートには、アルゲリッチやゲルネ、ジャズのマーカス・トリオ、シンガー・ソング・ライターのジェームス・テイラーら豪華なゲストが駆けつけ、80歳の誕生日を祝った。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 山田一樹 指揮
◎マンスリー・ベルリン・フィル
◎中丸美繪の「小澤征爾異聞」
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 シベリウス

特集
生誕150年シベリウスと20世紀の交響曲

 フィンランドを代表する作曲家シベリウスは1865年、ヘルシンキの北約100キロのハメーンリンナに生まれた。今年、生誕150年の記念年を迎えた。交響詩「フィンランディア」、交響曲7曲、ヴァイオリン協奏曲など、現在も世界各地で聴かれ続けている。
 シベリウスは母国以外、日本とイギリスで特に好まれている。イギリスはアンソニー・コリンズ、ジョン・バルビローリ、コリン・デイヴィス、パーヴォ・ベルグルンドという名指揮者4人が盛んに取り上げ、シベリウス全集の録音を残した。そして日本での立役者は渡邉暁雄。日本フィル創設者の渡邉の母はフィンランド人の声楽家だったため、シベリウスへの親近感は強かった。渡邉は1962年、世界で初めてステレオ録音のシベリウス全集をリリース、世界中で評判を取った。その演奏は「オーケストラを流麗に歌わせ、しかもそこに節度と品格があった。演奏に気品があるから、シベリウスの音楽の清冽さや詩情が活きる。渡邉は容姿端麗な申し分のない紳士で、指揮ぶりは優雅で洗練されていた」と音楽評論家の青澤唯夫氏は回想している。
 今秋、フィンランドから3人の指揮者が来日、シベリウス・チクルスを行う。1人はハンヌ・リントゥ。フィンランド放送響と新日本フィルをトリフォニーホールで指揮する。フィンランドではすべての小学校にシベリウスの肖像画が飾られ、「英雄」とされている。12歳のとき、オーケストラのチェロでシベリウスを初めて演奏したリントゥは「人としてシベリウスの曲ももっと極めなければ」と思ったという。
 もう1人は名匠オッコ・カム。首席指揮者を務めるフィンランド・ラハティ響を率い、東京オペラシティコンサートホールで11月26日から29日まで全曲演奏を行う。そしてオスモ・ヴァンスカ。読売日本交響楽団で、交響曲の他、「カレリア」組曲、「フィンランディア」などを指揮する。
特集はこのほかに、◎生誕150年ニールセンの生涯と作品◎グリーグの生涯と作品◎没後100年スクリャービンの生涯と作品◎20世紀の交響曲プロコフィエフ/アイヴズ/ブリテン/コルンゴルト、などです。

◎BIGが語る
飯守泰次郎 指揮・新国立劇場芸術監督
 新国立劇場の2015/16シーズンが10月1日、ワーグナーの「ラインの黄金」で開幕する。これをもって「ニーベルングの指環(リング)」チクルスがスタートし、飯守芸術監督の任期3年の間に4作が完結する。予算的に自主制作は難しく、フィンランド国立歌劇場で1996年から99年にかけて上演された大家ゲッツ・フリードリヒのプロダクションで上演する。飯守は「今回の演出は、各人物の心理などを徹頭徹尾掘り下げた動きが明確で素晴らしい。フリードリヒの演出家として抜きんでた天才的な創造力を感じ、新国立劇場で上演したいと思いました」と話す。

◎第27回高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門受賞 内田光子 ピアノ
 世界の芸術家を顕彰する高松宮殿下記念世界文化賞を、日本を代表するピアニストの1人、内田光子が受賞した。「こういう栄誉をいただけることは素晴らしいことです。私の価値を認めてくれる人たちがいるということに深く感謝します。私がそれに値するとは思いませんが、誰かが認めてくれたことを光栄に思います」と喜びの言葉を語る。内田はモーツァルトのピアノ・ソナタと協奏曲を全曲録音した”モーツァルト弾き”として知られる。ロンドンを拠点に世界をまたにかけて活動を続ける。「私はどの作曲家にも正直に向き合おうと思っているだけです」と音楽に対する姿勢を話した。
 世界文化賞の授賞式は10月21日、東京・元赤坂の明治記念館で行われる。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 反田恭平 ピアノ
◎マンスリー・ベルリン・フィル
◎中丸美繪の「小澤征爾異聞」
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 パガニーニ、アルゲリッチ、リスト、クレーメル

特集
テクニックと芸術 ヴィルトゥオーゾを聴く!

 超絶技巧を持った演奏家のことをヴィルトゥオーゾという。しかし、単にテクニックが優れているだけではヴィルトゥオーゾとは言わない。ヴィルトオーゾのVirtueはラテン語からきており、「徳」の意味。つまり技術に加え、人間もできていてカリスマ性を備えている演奏家がヴィルトゥオーゾと言えようか。
 特集ではまず、「伝説のヴィルトゥオーゾ作曲家と作品」を取り上げている。パガニーニの「24のカプリース」、ショパン「練習曲」、リスト「超絶技巧練習曲集」、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」などを解説している。パガニーニの超絶技巧は当時、有名だった。パガニーニの演奏を聴いたリストに「自分はピアノのパガニーニになる」といわしめたエピソードは有名。パガニーニの代表作が「24のカプリース」。1曲ごとにヴァイオリンのさまざまな超絶的な技巧が使われている。ワンボウスタッカート、左手のピチカート、トレモロ。急速なアルペッジなど目白押し。しかし、音楽評論家の寺西基之氏は「単に技巧の誇示だけではなく、イタリア人らしいカンタービレ表現があふれていることも見落としてはなるまい」と書いている。
 20世紀のヴィルトゥオーゾとして名前をあげたのは、ホロヴィッツ。ハイフェッツ、ロストロポーヴィチ、ルービンシュタイン、リヒテル、アルゲリッチらおなじみの演奏家。21世紀のヴィルトゥオーゾとしてはランラン。ハーンなど。音楽評論家の渡辺和彦氏はハーンが、「指が6本必要。演奏不能」と思われるシェーンベルクの協奏曲を録音したことを指摘し、「著名ヴァイオリニストの中でこの曲を正規録音する勇気を持った人はごく少数。まぎれもなく現代のヴィルトゥオーゾ」と絶賛している。
 特集はこのほかに、◎ピアノの発達とヴィルトゥオーゾの関わり方◎ヴィルトゥオーゾ大国ソ連の音楽教育◎オーケストラの中のヴィルトゥオーゾ◎作曲家を刺激したヴィルトゥオーゾ、初演者たち、などです。

◎BIGが語る
ワレリー・ゲルギエフ 指揮
 札幌を中心に開催された国際教育音楽祭パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)2015の芸術監督として来日。PMFアカデミーの若き音楽家たちで作るPMFオーケストラを指揮した。記者会見では音楽・芸術と平和の関係を力説した。「質問では平和にどう貢献するか、とありますが、逆に音楽は平和に貢献しなければならない、と言いたい」と話した。PMFもその一助になるといい、「外交の専門家によるものだけでなく、文化芸術を通して平和や安全を確保する努力が必要です」と力を込めた。

◎「小澤征爾異聞」 筆者・中丸美繪
 第26回織田作之助・大賞を受賞したノンフィクション作家、中丸美繪氏が、小澤征爾のノンフィクションを連載している。今回で6回目。日本フィルの分裂の時代を描いている。1972年3月、フジテレビと文化放送は放送契約の打ち切りを通告してきた。日本フィルの経営は、この放送出演料に多くを頼っていた。当時、首席指揮者の小澤は読売新聞のインタビューに「そのうちに誰かが助けてくれるにちがいない、と思っているわけですよ」と答えている。しかし、そうはならなかった。結局日本フィルは、新日本フィルと日本フィルに分裂して再スタートすることになる。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト ヴァイオリン 小林美恵
◎マンスリー・ベルリン・フィル
◎中丸美繪の「小澤征爾異聞」
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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表紙 オーストラリア・アシュフォードのセント・ジョン・パプテスト教会のステンドグラスに描かれたイエス・キリスト

特集
マタイ受難曲と宗教音楽の魅力

 バッハは2つの受難曲を残した。「ヨハネ受難曲」と「マタイ受難曲」である。(「ヨハネ受難曲」「ルカ受難曲」「マルコ受難曲」は一部しか残っていない)。キリストが磔にされた受難を描いたこれらの作品は、当初こそキリスト教徒のものであったが、今日では音楽の普遍性を表す傑作として世界中で上演される。
 バッハ以前にもたくさんの受難曲が生まれたが、多くは廃れている。音楽評論家の礒山雅氏は「その巨大さ、徹底性、掘り下げなどの点で、バッハの受難曲は突出したものだ、ということである。私見では、受難という出来事と向かい合う真剣さが、バッハにおいて断然高い、と感じられる」と指摘する。
 「マタイ受難曲」はバッハ42歳の1727年、ライプチヒの聖トーマス教会において初演された。2つのオーケストラを要し、上演時間約3時間の大作だ。また美しいアリアの数々が感動的。礒山氏は「『マタイ』のイエスは、人間の苦しみをともに耐え忍ぶのであり、だからこそその遺骸への『安らかにお休みなさい』という呼びかけが、心に響いてくる」と記す。そして、リヒター、ネルソン、レオンハルト、ヤーコプスらが指揮したCDを推薦している。
 宗教曲といえば、モーツァルトの「レクイエム」をはずすわけにはいかない。モーツァルト最後の作品で、注文主の名前が伏せられ、灰色の服を着た男が依頼の手紙を持ってきたという。このためモーツァルトは「死神からの依頼」と思い、死期をさとった、というのは伝説だ。
 モーツァルトは最後まで作曲できずに世を去ったため、弟子のジュスマイアが完成させた。その後も様々な補筆版が生まれている。「この曲が存在することを、神とモーツァルトに感謝せずにはおられない。不朽の傑作であることは否定できないだろう」と音楽評論家の國土潤一氏は書いている。
 特集はこのほかに、◎スターバト・マーテルとは何か◎オラトリオとは何か◎「アヴェ・マリア」の魅力◎グレゴリオ聖歌◎19世紀ロマン派の宗教曲◎ライプチヒ・バッハ音楽祭2015リポート、など。

◎BIGが語る
ユーリ・テミルカーノフ 指揮
 サンクトペテルブルク・フィルを率いて27年のテミルカーノフが、読売日本交響楽団を指揮するために来日した。サンクトペテルブルク・フィルの団員の契約は1年ごと。努力が足りない団員はすぐに契約解除される厳しいシステム。「だからこそオーケストラのレベルが落ちない」という。ただし定年はない。80歳を超えても現役のメンバーがいる。来年5月、手兵を率い、ショスタコーヴィチなどのプログラムで来日公演を行う予定になっている。

◎チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門見聞録
 音楽評論家の高久暁氏が6月から7月にかけて開催された第15回チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門を聴いてきた。会場はモスクワ音楽院。演奏中に携帯がなり、スマホで写真を撮るなどマナーの悪さに閉口。優勝したロシアのドミトリー・マスレーエフがリストの「狩」を弾くと、審査員のベロフが弾くまねをする。こんなドキュメント・タッチの原稿だ。高久氏は「審査員誰もが押し黙って聴いているようなコンテンスタントはまずだめ。ただ上手に弾けるだけではコンクールを受けにくる必要はない」という。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト トロンボーン 中川英二郎
◎マンスリー・ベルリン・フィル
◎中丸美繪の「小澤征爾異聞」
など、おもしろい連載、記事が満載です。
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表紙 ドゥダメル、ティーレマン、ネルソンス、ペトレンコ

特集
変わる!
世界の指揮者地図

 サイモン・ラトルの後任となるベルリン・フィルの次期首席指揮者兼芸術監督に急遽、バイエルン州立歌劇場音楽総監督のキリル・ペトレンコに決まった。5月11日の楽員選挙は延々11時間の議論をしても決まらなかったが、6月21日に2回目の楽員選挙が行われ、発表された。
 ペトレンコは1972年、ロシア中部のオムスク生まれのユダヤ人。父はヴァイオリニスト。幼少よりピアノを学び、11歳で公開演奏会を開いた。90年、18歳のとき一家でオーストリアに移住。ウィーン国立音楽大学で学び、チョン・ミョンフン、エトベシュらに師事。2002~07年、ベルリン・コーミッシェ・オーパー音楽総監督を務めた。ペトレンコがベルリン・フィルの定期演奏会を指揮したのは3回だけだが、ベルリン・フィルは「これまでに指揮した際、愛称の良さを感じた。自信を持って決めた」と説明する。
 来日経験はなく、音楽評論家の舩木篤也氏は今月号のモーストリー・クラシックで「昨年、バイロイト音楽祭で聴いた『ニーベルングの指環』には、舌を巻いた。ベルリン・フィルとの演奏会は12年の模様がデジタル・コンサートホールにアップされているが、彼は全身全霊で指揮をする」と評価している。
 このほかでも世界のオーケストラの指揮者地図は大きく動いている。ラトルはロンドン響の音楽監督に。ヤンソンスが今年で退任したロイヤル・コンセルトヘボウ管は、2016年9月からガッティが首席指揮者に就任する。パリ管はヤルヴィの後釜にハーディングが納まった。またニューヨーク・フィルの音楽監督アラン・ギルバートは17年に退任、後任は決まっていない。大きく変動する世界の一流オーケストラのシェフたちの動き、評価などの最新情報をお読みください。
 特集はこのほかに、◎ベルリンの指揮者地図◎イギリスの指揮者地図◎ジャイーとスカラ座の行方◎海外の若手注目指揮者◎現代の指揮者の師弟関係◎コンクールから出た指揮者たち◎大巨匠たちの現在、など。

◎BIGが語る
パーヴォ・ヤルヴィ 指揮
 世界的な指揮者、パーヴォ・ヤルヴィが9月にNHK交響楽団の首席指揮者に就任する。ヤルヴィは一時期、アメリカのシンンシナティ響、ドイツのフランクフルト放送響、パリ管、ドイツ・カンマーフィルと4つのオーケストラの音楽監督を務めた売れっ子。N響とはすでに2月に共演、リヒャルト・シュトラウスの録音プロジェクトも進んでいる。「N響はもともと演奏レベルが高いのですが、今回共演して、まだまだ高い潜在能力を持っていることも分かったので、今後の共演、録音が楽しみです」と話している。

◎アフィニス夏の音楽祭2015
 世界と日本のオーケストラ・プレイヤーが集まり、一緒にセミナーやコンサートなどに取り組む「アフィニス夏の音楽祭2015広島」が、8月17日から25日まで、広島市のJMSアステールプラザで開催される。ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、ヘンリック・ホッホシルトら13人の招聘演奏家と日本のオーケストラ団員47人が参加。モーツァルトの弦楽5重奏曲やチャイコフスキーの交響曲第5番などを演奏する。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト チェロ 辻本玲
◎マンスリー・ベルリン・フィル
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表紙 ショスタコーヴィチ

特集
世界で大旋風!
ショスタコーヴィチのすべて

 今年はソ連が生んだ20世紀最大の作曲家の1人、ショスタコーヴィチの生誕40年にあたる。そして来年は没後110年になる。ショスタコーヴィチは1906年、度量衡検査局技師の父とペテルブルク音楽院ピアノ科卒の母との間にペテルブルクに生まれた。最年少でペテルブルク音楽院に入学。26年、卒業制作の交響曲第1番が初演され、絶賛された。ショスタコーヴィチはピアニストとしても活躍し、ソ連選抜チーム4人の一員として27年、第1回ショパン国際ピアノ・コンクールに出場した。ショスタコーヴィチは入賞で、優勝はオボーリンだった。
 ショスタコーヴィチの人生は共産党一党独裁のソ連政府に翻弄され続けた。1936年、オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」とバレエ「明るい小川」がプラウド紙で糾弾され、自己批判を迫られた。上演できなくなった「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は歌詞を変え、「カテリーナ・イズマイロヴァ」と改題、63年に初演された。また、48年、ソ連共産党中央委員会書記ジダーノフによる前衛芸術に対する批判、いわゆるジダーノフ批判で社会主義リアリズムに反する作品と名指しされる。ショスタコーヴィチはスターリンの植林政策を讃えるオラトリオ「森の歌」を作曲し、政府に恭順の意を示すことになる。
 交響曲15曲、弦楽四重奏曲15曲、ピアノとバイオリンとチェロの協奏曲を2曲ずつなど、膨大な作品を残した。現在、世界中のオーケストラがショスタコーヴィチをレパートリーとしている。
特集はこのほかに、◎ショスタコーヴィチの名演奏家ムラヴィンスキー、コンドラシン、バーンスタイン、ヤンソンス、ゲルギエフ◎ショスタコーヴィチを振った同時代の指揮者◎ヴォルコフ著「ショスタコーヴィチの証言」をめぐって◎ピアニストとしてショスタコーヴィチ、など。
表紙はショスタコーヴィチです。


◎BIGが語る
ミヒャエル・ザンデルリンク 指揮
 父は著名な指揮者クルト・ザンデルリンク。兄2人トーマスとシュテファンも指揮者という音楽一家。自身ははじめチェリストとして活動したが、指揮者に転向した。父親は指揮者になることを猛反対したため、父に教わることなく指揮者を志した。現在はドレスデン・フィルの首席指揮者を務め、6、7月にベートーヴェン・プログラムを持って来日公演を行う。ボヘミアにルーツを持ち、「明るさの中にダークな音」がドレスデン・フィルの特色であり伝統。グローバル化が進むが、オーケストラはこの伝統を守っていきたい、と話した。

◎速報 ベルリン・フィル首席指揮者決まらず!
 ベルリン・フィルの次期首席指揮者を決める楽団員の投票が5月11日、ベルリンのイエスキリスト教会で行われた。これは、現首席指揮者兼芸術監督のサイモン・ラトルが2018年で辞任するため。しかし、11時間かけた討議の結果は、「今後1年以内に再選挙」。箝口令が敷かれ、候補に上った指揮者の名前も漏れてこない。世界の指揮者地図に大きく影響を与えるベルリン・フィルのシェフ選びから目は離せない。

このほか
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
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◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト フルート 竹山愛
◎マンスリー・ベルリン・フィル
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■ クラシック音楽をもっと楽しむための月刊情報誌

「MOSTLY CLASSIC」(モーストリー・クラシック)は毎月20日発売の月刊音楽情報誌です。バッハやモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなど作曲家の魅力をはじめ、交響曲や協奏曲、ピアノ曲など音楽のジャンル、また世界各地のオーケストラやホール、ヴァイオリンやピアノなどバラエティーに富んだテーマを毎号特集しています。またピアニスト、小山実稚恵さんや小菅優さんの連載など読み物もたくさん。ソリストの活動やオーケストラ事情など毎月新鮮な情報を掲載しています。知識が少し増えるとクラシックを聴く楽しみが倍加します。コアなファンからクラシックは少し敷居が高いと思われている初心者まで誰でも楽しめる雑誌です。

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■ 176号 (2011年11月20日発売)

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