Vesta(ヴェスタ) 発売日・バックナンバー

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【特集】伝統野菜・在来作物
 特集アドバイザー/江頭 宏昌(山形大学農学部教授)

伝統野菜とか在来作物なんて、私には関係ないと思っている読者の皆さん。
ふだん、こんなふうに思ってませんか。
とりあえず美味しかったら、野菜なんて何でもいいよ。スーパーで見かける普通の野菜とどこがちがうの?そもそも伝統野菜なんて、食べたことないし、見かけないし、味にちょっとクセがあると苦手だし、料理方法も分からないので、なかなか手が出ないよ。
こんな声を聞くと、せっかく地元で伝統野菜や在来作物を何世代にもわたって栽培しながら伝えてくれた先人や今の栽培者たちは残念に思うかもしれません。
本特集では国内外の伝統的な野菜や作物とその料理、さらにそれを使った地域のさまざまな取り組みを紹介します。本特集をきっかけに、たまにでもいいので自分の住んでいる地域の伝統野菜にも関心と愛情を持っていただけたら幸いです。
なお、本特集を企画する際に、信州大学の松島憲一先生から多くの助言・協力をいただいたことを感謝いたします。

「みるvesta」伝統野菜・在来作物、制作中!

Ⅰ 伝統野菜とは
 1 伝統野菜とは食文化を支えるもの/松島 憲一
 2 伝統野菜・在来作物の魅力と現状/江頭 宏昌

Ⅱ 伝統野菜・在来作物いろいろ
 1 北国の伝統野菜その始まりと魅力/三部 英二
 2 生きる知恵が育んだ、青森県の毛豆の美味しさと食文化/大浦 雅勝
 3 江戸の都に集まった地方の在来種/大竹 道茂
 4 新潟のなすの歴史と食文化、在来品種の特徴/小田切 文朗
 5 ヤマカブラを知る、食べ継ぐ─「赤カブ王国」滋賀の焼畑から/河野 元子
 [コラム]イタリア冬の味覚!くるっとユニークな形のラディッキオ、タルディーヴォ種/新宅 裕子
 [コラム]米国領グアムの伝統野菜・在来作物/陣内真佐子
 6 なにわ野菜の美味しさとその魅力/森下 正博
 7 広島デルタに発展した都市農業―広島伝統野菜を守る人々の思いとその美味しさ/花井 綾美
 8 高知の在来野菜・幻のツケナ「潮江菜」―牧野富太郎博士ゆかりの「牧野野菜」として再発見される/浅井 裕子
 9 先人の知恵継ぐ古代食〜昔ながらの工程で今も〜奄美群島のソテツ/高槻 義隆
 [コラム]在来ゴボウの美味しさとその魅力/冨岡 典子

Ⅲ 伝統野菜のこれから
 1 編集部インタビュー 語り部として味を伝える―おいしさの奥にある思いの伝承/梅原 陣之輔
 [コラム] 在来作物の味を伝えたい/村橋 勲
 2 伝統野菜を通してホリスティック(包括的)なSDGs実現をめざす/藤本 勇二
 3 在来作物を守る拡げる―長野県の事例―/松島 憲一

 特集まとめ 先人たちの知恵が詰まった伝統野菜の岐路/江頭 宏昌

<連載>
☆台所史探訪(第6回)「米国式台所の導入 教育者・櫻井ちか子による紹介を契機として」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第62回)「昼食代のレシート(続き)」/石毛 直道
☆文献紹介 南 直人=編「フォーラム 人間の食」第3巻『食の展望―持続可能な食をめざして』/生源寺 眞一
【特集】米を食べる文化
 特集アドバイザー/佐藤洋一郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)

人類が米を穀類として食べるようになって1万年になるだろうか。
そして今では数十億の人の命を支えるまでになり、消費される量は年間8億トンに達する。そして調理の方法も食べ方もさまざまである。
この特集では、まず世界各地の様々なコメの調理法、食べ方をオムニバス式に取り上げてみた。
米食の文化は、地球環境や国際情勢の激変により、いままさに大きな曲がり角にさしかかっている。
これからの米食文化はどう変化してゆくか。どうあるべきか。
そうしたことを考えるヒントとしてお読みいただければと思う。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約13分): https://youtu.be/-ZeFdsfR9e4
・ショート(約1分: https://youtube.com/shorts/WlrO0suCaCk

Ⅰ 稲・米食の概論
 1 世界の米と米食/佐藤 洋一郎
[トピック]データで見る日本と世界の米事情/編集部

Ⅱ 世界の米食文化
 1 -メモ- タイの米の麺にまつわる雑談/前川 健一
 2 毎日毎食おこわを食べる ―東南アジアのモチ性穀物類をめぐる食文化―/落合 雪野
 3 トルコの米食文化/アイスン ウヤル槙林
 [トピック]パエリア ―アラブ人がもたらしスペイン人が花開かせた米食文化―/田川 敬子
 [トピック]イタリアの米食文化/佐藤 モカ
 4 韓国料理の堂々たる主役/太田 心平
 5 アフリカイネの栽培と料理/坂上 潤一

Ⅲ 日本の米食文化
 1 神饌の米と酒/神崎 宜武
 2 すしとは何か?/日比野 光敏
 3 和菓子における米の文化/太田 達
 4 大唐米について ―室町時代を中心に―/伊藤 信博
 5 お米の味の違いと時代による変遷、地域ブランド米の育成/西島 豊造

Ⅳ 米の未来/発展
 1 米食文化のこれから/佐藤 洋一郎
 2 米の栄養と健康機能/大坪 研一

特集まとめ 糯米・粳米が織りなす多彩な米食文化/佐藤 洋一郎
 [トピック]美しい田園風景/編集部

<連載>
☆台所史探訪(第5回)「明治期における台所合理化のはじまり」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第61回)「カンパイ」/石毛 直道
☆文献紹介 三浦裕子(著)『バウムクーヘンの文化史』/長森 昭雄
【特集】発酵と文化
 特集アドバイザー/北垣浩志(佐賀大学 教育研修院自然科学域農学系 教授)

歴史を顧みると、どの国でも発酵は常に文化とともに歩んできた。
2013年にユネスコ無形文化遺産へ「和食」が登録されたのに続き、2022年に日本の伝統的な酒造りもこれに続いて候補として提出された。世界の他の国でも、古代グルジアの伝統的なクヴェヴリワイン製造方法、ベルギーのビール文化、モンゴルの馬乳酒など、発酵を無形文化遺産として登録する動きが相次いでいる。
ユネスコが無形文化遺産に登録した理由として、自然資源の持続的な利用と密接に関わる自然の尊重という根本的な精神との関連を挙げている。
本特集は世界中の発酵を文化としてとらえた記事を集めており、今一度世界の発酵と文化を見直すよいきっかけになると信じている。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約15分):https://youtu.be/LG1REUiPXrs
・ショート(約1分:https://youtube.com/shorts/zCglvl2C0ug?feature=share

Ⅰ 発酵と文化
 1 発酵食品と文化/北本 勝ひこ
 2 日本の発酵食文化の魅力/丸山 潤一
 3 治癒への祈りと発酵/北垣 浩志

Ⅱ 日本と世界の発酵食
[トピック]日本と世界の発酵食/編集部
 1 日本の酒と和食の文化/中島 春紫
 2 東南アジアとヒマラヤの納豆食文化/横山 智
 3 初めてなのに懐かしかった。私的体験から見た魚の発酵食品/森枝 卓士
 4 発酵乳文化の魅力/平田 昌弘
 5 ロシアや周辺国を中心とした発酵食文化の魅力/荻野 恭子
 6 サバンナの生活とモロコシ酒/桐越 仁美
 7 コーヒーと発酵 ―味や香りを作る微生物―/旦部 幸博
 8 米国グアムにおける発酵食文化/陣内 真佐子
[トピック]世界の発酵食品 -あれも、これも、発酵-/編集部

Ⅲ 発酵が切り拓く未来
 1 フランスの発酵食はいま/羽生 のり子
 2 新たな可能性を拓く?発酵食品のブーム/阿古 真理
 3 味噌の抗炎症効果/金内 誠
 4 発酵が生み出す未来への可能性/小倉 ヒラク

特集まとめ 現代のシルクロード、発酵
 ―発酵文化の交流が創造する新たな知― /北垣 浩志

<連載>
☆台所史探訪(第4回)「効率化の波が家事に及ぶ」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第60回)「昼食代のレシート」/石毛 直道
☆文献紹介 湯澤規子(著)『「おふくろの味」幻想 誰が郷愁の味をつくったのか』/矢野 敬一



【特集】来(きた)るべき未来の食
特集アドバイザー/村橋 勲(静岡県立大学 国際関係学部 助教)

 18世紀末、経済学者のマルサスは、人口増加に食料生産が追いつかなくなり、いずれ食料不足が起きるだろうと予測した。幸い、今のところこの予測は当たっていない。
 今日、私たちは、品種改良、機械化、化学肥料や農薬の使用により、数十億人を養う食料を確保できるようになった。しかし、今度は、飽食というこれまでにない問題に直面している。
 大量の食料を調達するため、大がかりで自然に手を加えた結果、地球環境が変わり、自然の恵みは稀少になりつつある。また、糖分や脂肪分の多い食品により肥満や不健康に悩まされるようになった。
 新たな創意工夫と選択が求められている。問題を解決するのは、新たな食品技術か、食生活を変えることか、それとも、食料生産と自然のサイクルとの折り合いをつけることなのか。
 今回の特集は、ふだんの食生活や食をとおした人間と自然とのかかわり合いについて見直す機会を与えてくれるだろう。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像をお楽しみください!
誌面にはない写真や3Dプリンターが食品を作っている映像、村橋氏が撮影したアフリカの映像も!
・ロング(約15分):https://youtu.be/7KIYEyemSpc
・ショート(約1分:https://youtube.com/shorts/zDm4gZZQpOk


Ⅰ 新しい食べ方・新しい食材
[トピック] 新しい食べ方を提案する三つ星レストランの挑戦/編集部
 1 海藻食の未来を見つめて ―スローフード世界大会の現場から/宮本 さやか
 2 日本の誇る資源、昆虫 ―昆虫食の今とこれから―/水野 壮
 3 未来の食を創る科学と技術/石川 伸一

Ⅱ 食を取り巻く環境の昔と今
 1 アフリカにおける食料問題とそのゆくえ/村橋 勲
 2 世界的な食料事情に及ぼす気候変動の影響/吉田 蒔絵
 3 持続可能な食資源のための活動/木附 誠一

Ⅲ 食資源の未来に向けて
 1 水産エコラベルを活用し、日本の漁業を持続可能に/鈴木 允
 2 豊かな海と魚食文化を守るために/佐々木 ひろこ
 3 パリと近郊の都市農業 ―そのさまざまなかたち/羽生 のり子
 4 食農体験はこれからの都市をどう変えるのか? /小野 淳

特集まとめ 未来の食を考える 村橋 勲

<連載>
☆台所史探訪(第3回)「台所近代化の幕開け」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第59回)「寝床人生」/石毛 直道
☆文献紹介 伏木亨(編)『食の現代社会論 -科学と人間の狭間から-』/坂井 信之
【特集】和菓子文化の魅力
特集アドバイザー/橋爪伸子(同志社大学経済学部非常勤講師)

一年の折節や人生の節目には、餅や団子に攘災招福の願いをこめる。日々のくらしでは上生菓子に季節の移り変わりを、地域名菓に旅先の情景を、包みも美しい到来物の菓子折に贈り主の思いを感じ、その時々の場面と菓子がともに心にきざまれていく。和菓子は老若男女全ての人びとにとって身近な存在で、それぞれの人生において思い出と重なる特別な食べものである。
こうした日本の菓子は、神へ供えた餅や団子、果実に始まる。その後外来の食文化を段階的にとりこみながら発達し、後に和菓子とよばれる日本固有の菓子が江戸時代に完成する。その後も社会のさまざまな影響を受けて展開しながら継承され、いまや海外でも人気である。
願いをこめるものとして始まり、時代ごとに新しい価値をとりこみつつ変容し続ける和菓子の、多様で奥深い魅力を探ってみたい。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
誌面にはない上元純一氏による和菓子作りの実演があり、目にも楽しい内容になっています。
・ロング(約10分):https://youtu.be/sD2D6_ptimY
・ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/WXE5ND9JRZ8

Ⅰ 和菓子文化の根源
 1 日本の自然の中ではぐくまれた和菓子/江原絢子
[トピック]和菓子の歴史&種類/編集部

Ⅱ 世界から見た和菓子
 1 和菓子の可能性を考える G20における海外賓客の接遇から/上元純一
 2 フランスにおける和菓子の現状と魅力/セシル・ディディエジャン
 3 ニューカレドニアに移住して始めた茶道教室、そしてカラフルな和菓子/川村美砂子

Ⅲ 和菓子の歴史
 1 和菓子文化の華 17世紀にさかのぼる上菓子の特徴/中山圭子
 2 近世後期における和菓子の展開/青木直己
 3 近代における和菓子の進展/橋爪伸子

Ⅳ 和菓子の伝統と進化
 1 インタビュー 伝統を守りひたすらにうまい菓子を作る
    /柴田モナカ本舗(聞き手橋爪伸子)
 2 脱酸素剤の登場による郷土銘菓の発展/森田和馬
[トピック]多様化する和菓子/編集部

特集まとめ 思いと価値を五感で味わう ―和菓子文化の魅力/橋爪伸子

<連載>
☆台所史探訪(第2回)「明治の台所改善は《衛生》から」/須崎 文代
☆歌舞伎のレシピ(最終回)「アラカルト」/堀越 一寿
☆大食軒酩酊の食文化(第58回)「スープは、食べる?飲む?」/石毛 直道
☆文献紹介 朝倉敏夫(編著)『食の人文学ノート -日韓比較の観点から-』/南 直人

【特集】食とジェンダー
特集アドバイザー/湯澤規子(法政大学人間環境学部教授)

新しい眼鏡をかけた時、風景の輪郭が鮮明になり、世界がまるでちがって見えてくることがある。
新しい概念を手に入れることは、この眼鏡の話によく似ている。漠とした何かが、概念の誕生によって可視化され、説明できるようになるからである。
「ジェンダー(歴史・文化・社会的に形成される性差)」は、まさにそうした概念の一つであるが、人によっては未だ「遠い他人事」に過ぎないのかもしれない。ところが「食」という誰にとっても身近な事象と「ジェンダー」を掛け合わせてみると、それは「身近な自分事」に反転する。                            
食卓や台所、会社の湯沸室、スーパーの店先、街角の居酒屋での出来事に見え隠れする「当たり前」や「普通」に対する再考を多彩に展開し、
新しい議論を試みたのが今回の企画である。複雑さの中に希望が宿る
「食」の風景に目を凝らしてみてほしい。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像をお楽しみください!
・ロング(約13分):https://youtu.be/RH2UoXVv84I
・ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/988cIa_-g8U?feature=share

Ⅰ 「料理すること」と「食べること」、2つ合わせて考える
 1 女性は、料理上手でなければいけないのか?/阿古 真理
 2 よしながふみの描く食とジェンダーの多様性 ―『きのう何食べた?』と『大奥』
   /青山 友子
 3 日常茶飯史考 ―分担と共有の論理/湯澤 規子
 4 北欧の食とジェンダー平等/小野坂 優子

Ⅱ 「料理すること」
 1 『女学雑誌』にみる食とジェンダー/村瀬 敬子
 2 お茶くみ今昔物語/矢野 敬一
 3 家庭科教育の現場にみる食とジェンダー「ねばならない」!?/増田 真祐美
 4 ミクロネシア離島の食と暮らし/杉藤 重信

Ⅲ 「食べること」
 1 「女の一人飲みはタイヘン」と上から目線で語るおじさんへの伝言/稲垣 えみ子
 2 都市の食空間にみるジェンダー ―胃袋と生きることの日米比較史/湯澤 規子
 3 東南アジアの屋台リサーチでみてきたもの/下寺 孝典
 4 イタリアでも料理は女性の仕事か/宇田川 妙子
[トピックス]ヨモギを通して見るジェンダー化された食べ物/諸 昭喜
 特集まとめ ジェンダーの多様性を映しだす食 ―名もなき日常に宿る新しい論点/湯澤 規子

<連載>
 ☆【新】台所史探訪(第1回)「台所史への誘い」/須崎 文代
 ☆歌舞伎のレシピ(第7回)「酒は憂いの玉箒」/堀越 一寿
 ☆大食軒酩酊の食文化(第57回)「カレーライスと酒」/石毛 直道
 ☆特別対談 石毛直道×池谷和信 世界のフィールドからみた人類の食
 ☆文献紹介 横山 智(編著)『世界の発酵食をフィールドワークする』/前川 健一
【特集】ジャンクフードとスーパーフード 食をめぐる毀誉褒貶
特集アドバイザー/太田 心平(国立民族学博物館准教授)

 ジャンクフードということばが社会に浸透したかと思ったら、今度はスーパーフードなる新語が出てきた。単なる健康食とかヘルシーフードというのではなく、スーパー(超越的)な食品という概念が、いま世界で広まろうとしている。では、世界の各地域では、何がスーパーフードと言われ、何がジャンクフードになっているのか?
 もちろん、身体に良い食品の特集ならば、読者はこれまでにもたくさん見ていらしたはずだ。世界のジャンクフードについても、これまでいくつかの書籍であつかわれている。本誌のこの号では、その両者を同時にあつかうことで、何が見えてくるか、探訪してみよう。馴染みが薄い地域のスーパーフードやジャンクフードの背景に、きっとあなたも「その気持ち、わかる!」とつぶやくはずだ。


<特集>
はじめに:スーパーフードとジャンクフード― 一緒に考えることで何が見えるか/太田 心平

Ⅰ 食品の公的な階級づけの最前線から/カルロス・A・モンテイロ

世界と日本のジャンクフード&スーパーフード/編集部

Ⅱ 世界各地のジャンクフード&スーパーフード
◆その1 ヨーロッパと南北アメリカ
 1 美食のスナッキングへ―転身するフランスのファストフード/伊藤 文
2 過去から来たシュプラウチェシュ、未来に向かうカプサローン/アレックス・デ=ヴート
3 時代とともに変化するスウェーデンのスーパーフードとジャンクフード
―産業化の影響から/太田 美帆
4 アメリカ南部の「ジャンクフード」事情/賀茂 美則
5 どっちもファッションでしょう?
―ニューヨークで見聞きするスーパーフードとジャンクフード/太田 心平
6 スーパーフードもジャンクに食す!? ―ジャンク大好きブラジル人/藤井 香織
[トピックス]スーパーフードとユダヤ教 革新的/保守的? /細田 和江

◆その2 中東、ロシア、インドそしてアジアへ
7 360万人の「故郷の味」―アフガニスタンのファストフードとスーパーフード
/太田 翔理
8 不況が後押しするか、ロシア国産スーパーフード/石島 健
9 伝統と新たなものがせめぎ合うインドの食事情/竹村 嘉晃
10 ベトナム人の健康意識とフード事情/樫永 真佐夫
11 ジャンクな食べ方/スーパーな食べ方―中国における食へのこだわり/長沼 さやか
12 韓国におけるジャンクフードとスーパーフード/守屋 亜記子

Ⅲ 日本 みんなが大好きな食べもの善悪二元論/畑中 三応子

<連載> 
☆歌舞伎のレシピ(第6回)「こいつぁ春から」/堀越 一寿 
☆大食軒酩酊の食文化(第56回)「『茶酒論』と『酒茶論』」/石毛 直道
☆文献紹介 岩間一弘(著)『中国料理の世界史』/赤嶺 淳
【特集】世界の豆食文化
 特集アドバイザー/小磯千尋(亜細亜大学国際関係学部教授)

 約2万種あるというマメ科植物のうち食用は約80種で、経済的に重要な栽培種は33種であるとい 
う。その33種が穀物とともに人類を支え続けてきたといっても過言ではない。マメは毎日世界の食卓にさまざまな形でのぼり、私たちの体と心を満たしてくれている。地球環境に配慮せざるをえなくなった今、マメは重要なタンパク供給源として新たに注目を集めている。人類の英知の結晶ともいえる世界のマメ利用=豆食文化を学ぶことで、今後の私たちの食事の選択肢がより豊かに広がることは間違いないだろう。

<特集>
(巻頭)日本で食べられている主な豆/編集部
Ⅰ 日本の豆食文化/長野 宏子

Ⅱ 豆と人間―農学からみた豆/戸石 七生

Ⅲ 海外の豆食文化
 1 壁ではなくフムスを―イスラエルと周辺国の豆論争/宇田川 彩
 2 イタリアの豆食文化/高根沢 均
 3 ペルーの豆食文化/蝦名 大助
 <トピックス>アジアとアフリカの納豆ワンダーランド/高野 秀行
 4 ナイジェリアの食文化に根ざした豆発酵調味料の開発/小林 健一
 5 豆は縁の下の力持ち―東アフリカのフィールドから/坂井 紀公子
 <インドの豆食―イントロダクション>/小磯 千尋、小林 真樹
 6 豆消費大国インド―家庭における豆利用/小磯 千尋
 7 インド豆料理探訪/小林 真樹
 <コラム>マディヤ・プラデーシュ州における大豆増産プロジェクトの思い出/中西 泉
 8 豆から見た中国の一日/川口 幸大
 <トピックス>ミエン・ヤオの儀礼食としての豆腐/廣田 律子

Ⅳ 豆のタネ
 1 続々登場する代替肉メニュー ファストフード・チェーンにもヘルシー志向の波/角谷 剛
 2 米国領グアムにおける枝豆(EDAMAME)文化/陣内 真佐子

特集まとめ: 人類の救世主としての豆/小磯 千尋

<連載> 
☆歌舞伎のレシピ(第5回)「一富士、二鷹、三茄子」/堀越 一寿 
☆大食軒酩酊の食文化(第55回)「飲食と宗教」/石毛 直道
☆ミクロネシアの島の暮らしと食(最終回)「陸上動物」/山本 宗立
☆文献紹介 池谷和信(編)<「フォーラム 人間の食第1巻」>『食の文明論―ホモ・サピエンス史から探る』/松本 亮三
【特集】食の装い
 特集アドバイザー/朝倉敏夫(国立民族学博物館・総合研究大学院大学名誉教授)

 「人間はなぜ装うのか」。
 衣の装いでは、その答えは「肉体を外部から保護するモノとしての機能(身体の保護)」と
 「着るヒトの存在を社会的に表象する記号としての機能(他人の視線)」の二つである。 
 では、食の装いではどうだろう。食の装いとは、どのようなときに、どのような形で、
 なぜおこなわれるか。それを知るのが今回の企画だ。 
 ハレの日に晴れ着を着るように、世界では、特別な日にどのような食の装いをするのか。
 東アジア、東南アジア、中東、ヨーロッパ、南アメリカの事例とともに、一見「装い」とは
 縁遠いと思われるアフリカの事例をみてみたい。
 また、すしと懐石料理に代表される日本の料理は、まさに「目で食べる」といわれる。
 その真髄はどこにあるのだろう。
 加えて、ヨーロッパとアジアにおけるお菓子の装いにも目を向けてみよう。 
 食の装いは時代とともに変わる。すでに定着した感のある「インスタ映え」の現象や、
 食の装いに活用されるAI技術についても探ってみたい。

<特集>
Ⅰ 海外編
 1.韓国の伝統的な食の装い―プジムハゲ(もりだくさんに/ 朝倉敏夫
 2.現代中国人のハレの食卓/劉 征宇
 3.東南アジアのオープンハウス―もてなす心が食の装いとなる/石川智士
 4.装うご飯の移り変わり インドネシアのトゥンパン/阿良田麻里子
 5.トルコの食と食卓の彩り―多様な地域性と日常・非日常―アイスン ウヤル 槙林
 6.フランス料理と非日常空間の演出―八木 尚子
 7.イースターの食卓からみるブルガリア人の世界観と美意識/マリア・ヨトヴァ
 8.文化のるつぼ、リマのクリスマスディナー
   /サウセド・セガミ・ダニエル・ダンテ、丸岡真紀穂
 9.エチオピアの食習慣とハレの装い/上村知春
 [コラム]装わないごちそう/小松かおり

Ⅱ 日本編
 1.すしの「装い」〜「ごちそう」の枠組み〜/日比野光敏
 2.<編集部インタビュー> 料理人にとっての「食と装い」/小室光博

Ⅲ 菓子の装い
 1.西洋における菓子の装い―カレームを中心に/南 直人
 2.アメと、アメを包むもの/加部勇一郎

Ⅳ“装い”の話題 
 1.「#ハッシュタグ」の魔力―「インスタ映え」のメカニズムを探る/藤本憲一
 2.食の装いの心的機能とAI技術の適用/和田有史、山寺 純

特集まとめ 「食の装い―装飾、装置、包装をキーワードに」/朝倉敏夫

<連載> 
 ☆歌舞伎のレシピ(第4回)「腹が減っては忠義はできぬ」/堀越一寿 
 ☆大食軒酩酊の食文化(第54回)「ラーメン鉢の雷紋」/石毛直道
 ☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第3回)「魚介類」/山本宗立
 ☆文献紹介 田村典江/クリストフ・D・D・ルプレヒト/スティーブン・R・マックグリービー
  =編著『みんなでつくる「いただきます」―食から創る持続可能な社会』/岸上伸啓
【特集】コロナと食文化
 特集アドバイザー/岩田三代(元日本経済新聞社論説委員兼生活情報部編集委員)

 「休業」の紙が貼られた飲食店、テイクアウトを始めたレストランや居酒屋、
大通りに出ればデリバリーの黒いリュックを背負った若者が自転車で駆け抜けていく。
 新型コロナウイルスは、私たちの生活はもちろん街の風景も大きく変えた。
 在宅勤務が増え、インターネットではレシピサイトが人気とも聞く。
 コロナ禍で食文化はどんな影響を受けているのか。何が変わり、何が変わらないのか。
 時に歴史を遡り、海外の事情にも目を配りながら、それぞれの専門家に現状を分析し、
 将来を見通してもらおうというのが今回の企画だ。
 パンデミックはまだ収まっていない。収束後にはさらなる考察も必要になるだろう。
 だが、感染拡大から1年半がたつ今の問題意識を残すことには大きな意味がある。
 食べることは生きること。目を凝らせば社会の歪みや課題も見えてくる。

 <特集>
 インタビュー 共食の行方/山極壽一(聞き手 岩田三代)
 縁食の理論/藤原辰史
 明治から現代まで危機は家庭料理にどんな変化をもたらしてきたか/畑中三応子
 外食の意味と魅力/関沢まゆみ
 デリバリーの原点 日本の仕出し/清絢
 わが国の食と農―ウィズコロナの現状とアフターコロナの課題/中嶋康博

[ANOTHER ANGLE]緑なす丘を襲った悲劇―アイルランドのジャガイモ大飢饉/原田美知子

[海外から]
 コロナパンデミックを経たフランスガストロノミーの未来/伊藤文
 コロナパンデミックによって再認識されたインドの食と食文化/さいとうかずみ
 コロナ禍にみるアメリカの食生活の変化/杉野美穂子

[ANOTHER ANGLE]コロナ禍の食が浮き彫りにした格差社会の現実とその行方/北山晴一

 特集まとめ コロナと食文化/岩田三代

 <連載> 
 ☆コーヒー・ハウスの文化論(最終回)「「メディア」としてのコーヒー・ハウス」
 /太下義之
 ☆歌舞伎のレシピ(第3回)「冬は義士、夏はお化けで飯を食い/堀越一寿 
 ☆大食軒酩酊の食文化(第53回)「卵と日本人」/石毛直道
 ☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第2回)「主食」/山本宗立
 ☆文献紹介 原田信男著 『「共食」の社会史』/山極壽一
【特集】世界の台所
 特集アドバイザー/石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)

狩猟採集、農業、牧畜など、異なる食料獲得法があるが、食材は環境=自然の産物である。
おなじ食材を使用しても、食文化の違いによって異なる味の料理がつくられる。
料理とは、自然を変形して文化にとりこむ行為である。
旧石器時代に火を使用するようになってから、人類は料理を始め、肉を焼いて食べるようになった。
新石器時代に土器がつくられるようになると、土器に水を入れて煮沸する、煮炊きという技術が成立した。
料理は火と水の利用にはじまるといえよう。
現在の台所でも、火を使うカマドやガスや電気のコンロと、水を使う流し台を中心とした空間となっている。
台所は女性が管理する空間とされてきた。
従来あまり論じられることのなかった、台所から食文化を考えてみようというのが、本特集号の趣旨である。

<特集>
Ⅰ 生活様式からみる各国・地域の台所
 1.火のある場所は台所だ―森の民の調理場/彭宇潔
 2.イタリア、ピエモンテ州のキッチン/中山エツコ
[トピックス]フランクフルト・キッチン―近代ドイツにおけるコンパクトキッチンの誕生
/須崎文代
 3.中央アジアの農耕民―ウズベキスタンの台所と食文化/今堀恵美
 4.モンゴル遊牧民の台所―新家電がもたらす変化/堀田あゆみ
 5.ベトナムの人びとの台所と食文化―米を中心とした人びとのくらし/鍋田尚子
 6.中国・福建省の台所/砂井紫里
 7.アンデス高地の台所と調理/若林大我
[トピックス]キッチハイク! 多様性のど真ん中に出会った世界のキッチン探訪/山本雅也

Ⅱ 日本の台所
 1.近代日本における台所のモデル/須崎文代
 2.キッチンの未来像/渋谷篤

Ⅲ 台所の外部化
 1.近代日本の胃袋を支える台所―在来市場と近代市場/湯澤規子
 2.江戸時代に華開いた「台所」替りの屋台/土田美登世
 3.石窯ピッツァのフードトラック~理想に向かって走る~/久村幸平

特集まとめ 「台所文化考」/石毛直道   

<連載> 
☆コーヒー・ハウスの文化論(第3回)「コーヒー・ハウスにおける新しい文学の誕生」
/太下義之
☆歌舞伎のレシピ(第2回)「初鰹は庶民の憧れ?」/堀越一寿 
☆大食軒酩酊の食文化(第52回)「クジラのベーコン」/石毛直道
☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第1回)「生活一般と台所」/山本宗立
☆文献紹介 藤原辰史著 『縁食論―孤食と共食のあいだ』/松村圭一郎
【特集】ほっとする食べもの―世界のコンフォートフード
 特集アドバイザー/石田雅芳(立命館大学食マネジメント学部教授)

今回の特集は「コンフォートフード」である。特にアメリカで使われている言葉で、言葉のピースフルな印象とは少々異なり、かなりジャンクな食品もこのカテゴリーに入るとのこと。不健康なものこそ美味しく感じると言われるが、とかく快適さ、慰め、安らぎ、幸福をもたらす食という、柔らかいテーマで世界各地から発信していただいた。さらには日本の食研究をリードされる方々にも、個人的な体験を元にした魅力的なコンフォートフードについて語っていただいた。
新型コロナによって人々の行動が制限され、あらゆる共食の場を懐かしく思う昨今、ふと立ち返って食の幸せな記憶に想いを馳せてみる。安らぎをもたらす食とは何か、何であったか。ここには子供時代の幸福な記憶、コミュニティの記憶、社会と食、村祭りの食、おばあちゃんの味、きつねうどんなど、実に多様な幸せの形が集結されることになった。

<特集>
Ⅰ コンフォートフードの源流をたずねる―イタリア
 1.アブルッツォの羊飼いと伝統料理「サーニェ・エ・リコッタ」/グレゴリオ・ロートロ
 2.季節を感じるフィレンツェ人の豊かな食/ファビオ・ピッキ
 3.コラトゥーラ・ディ・アリーチと私の物語/ジュリオ・ジョルダーノ
 4.共同パン窯で焼かれた「クルニエーラ」/パン窯運営団体代表
 5.ヴァルキアヴェンナの「ヤギのバイオリン」/グイド・スカラメッリーニ

Ⅱ 海外のコンフォートフード
 1.母がつくる朝ごはん/ティーダ・タウング
 2.祖国の歴史と食のノスタルジア/オルガ・シュトゥキナ
 [トピック]スローフードで注目されるトナカイ遊牧民サーミの食/アネリ・ジョンソン
 3.「慰め」とは何か~アメリカの「罪深き」コンフォートフード/加藤裕子
 4.食と文化の交流点ドバイのコンフォートフード、ビリヤニ/御供理恵
 5.韓国人にとってのコンフォートフード、心癒やされる味―テンヂャンチゲと西海の幸―/守屋亜記子

Ⅲ 日本のコンフォートフード
 1.コンフォートフード―次世代へつなげたいふるさとの味/今田節子
 2-1.故郷・北九州のコンフォートフード/江頭宏昌
 2-2.きつね、食べたことありますか?関西の定番、おつゆのうどん文化/熊谷真菜
 2-3.黒と白の海と草原につながる食品/石井智美
 3.クックパッドにみる「懐かしい食」/伊尾木将之
 4.「ほっとする食」の科学的アプローチ/山崎英恵

特集まとめ 「おいしさ」の記憶/石田雅芳
   
<連載> 
 ☆コーヒー・ハウスの文化論(第2回)「「ペニー大学」と呼ばれたコーヒー・ハウス」/太下義之
 ☆歌舞伎のレシピ(第1回)「義士を悩ます蛸の足」/堀越一寿 
 ☆大食軒酩酊の食文化(第51回)「酩酊の昼食」/石毛直道
 ☆文献紹介 松島憲一著 『とうがらしの世界』/山本宗立
【特集】日本の果物
 特集アドバイザー/中澤弥子(長野県立大学健康発達学部教授)

カラフルな自然の色彩、ユニークな形、甘い香りや爽やかな香り、甘味や酸味、独特の食感など、果物は食卓に季節を伝え、寛ぎや元気を与え幸せな気分にしてくれる。
本特集では、日本の果物の実情を、「食べる場面」と「作る現場」の双方から捉えることを試みた。日本人と果物の関係や、海外と比べ日本の果物消費の現状はどうなのか、多様なニーズに応えるための研究開発や栽培の工夫など多くのご寄稿をいただいた。
近年、日本の果物は、その高い品質が海外で評価され、輸出が大きく伸びている。
店頭に並ぶ果物の種類や品種は豊富で、個食化や簡便化などに対応した品種改良により、果物はおいしく、食べやすく変化している。しかし、日本の果物消費量は世界に比べて極めて少ない。
本特集が、自然の恵みであり、関係者の努力の賜物である日本の果物の魅力を再発見し、味わうきっかけになればと思う。

<特集>
編集部インタビュー: フルーツでみんなをハッピーに/江森宏之

Ⅰ 日本人は果物をどのように食べているか・食べてたきたか
 1.日本の果物消費の現状/中澤弥子
 [海外の果物事情①]毎日カジュアルに果物を楽しむオランダ/倉田直子
 [海外の果物事情②]ビーガン流行で新しい可能性が広がるブラジルのフルーツ/藤井香織
 2.日本人にとっての果物/塚谷裕一
 3.万葉びとの橘―菓子の長上/上野誠
 [トピックス]「くだもの学」から見たおいしい果物~カキ(柿)の話を中心に~/平智
 [数字で見る日本人と果物]日本列島果物地図/編集部
 [数字で見る日本人と果物]日本人はどんなふうに果物を食べているか/編集部

Ⅱ 果物開発・生産最前線
 1.わが国の果樹生産/中村ゆり
 2.長野県の果樹新品種育成/笹脇彰徳

Ⅲ 果物販売最前線・・・果物の海外輸出の今日的展開/濱島敦博
 [トピックス]フランスにおける柚子の展開と今/伊藤文

Ⅳ 果物にまつわるサイエンス・・・果物の機能性とその利用/庄司俊彦

<連載> 
☆コーヒーハウスの文化論(第1回)「「働く場」としてのコーヒー・ハウス」/大下義之
☆食情報の考現学(最終回)「食文化は豊かになっているか」/髙田公理 
☆大食軒酩酊の食文化(第50回)「トンカツ談義」/石毛直道
☆文献紹介 石毛直道著 『大食軒酩酊の食文化』/江原絢子
【特集】世界を旅する和食の今
 特集アドバイザー/髙田公理(武庫川女子大学名誉教授)

 人が旅をすると何かが微妙に変化する。生活スタイルや物の考え方などだ。
 これに似たことが料理にもあてはまるような気がする。
 すしという料理がある。本来は主として魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品だった。
 それを「なれずし」という。今も東南アジア以東の各地で作られている。
 なれずしは大昔、日本にも伝わり、今なお何か所かで作られている。
 琵琶湖周辺の鮒ずし、秋田のハタハタずしなどだ。
 が、やがて日本では、酢飯の上に魚を乗せる押し寿司が登場した。
 それが近世の江戸で、にぎり寿司に姿を変える。さらに今日、世界の各地に旅をして、
 さまざまな相貌をあらわにしつつある。
 さあ、そこで……。現代世界では、海外の日本料理店が一六万軒たらずに数を増やした。
 それらの料理店で日本料理、つまり和食は、どんな変化を体験しつつあるのか。
 この特集では11か国を選んで「世界を旅する和食の今」を訪ねてみる。

<特集>
Ⅰ 和食って何?~江戸の物語にみる食・・・明日の味/髙田郁

Ⅱ 世界の和食の今
 1.「アフリカの日本料理」をつくりだす―ウガンダ、『YAMASEN』の取り組み/宮下芙美子
 2.フランスにおける和食の浸透/伊藤文
 3.イタリアの若者たちはなぜ日本食が好きなのか/宇田川妙子
 4.ドイツ人なこんな和食を食べている!
   ―火付け役は寿司、今は日本のラーメンがブレイク、将来はお弁当に期待?/町田文
 5.トルコの日本食~イスラムの食習慣とコスモポリタン的好奇心の狭間で~/井藤聖子
 6.日本好きのロシア人と日本食/小野敦子
 7.ウズベキスタンで寿司ブーム?/帯谷知可
 【トピック】食文化の真正さ―比較対象としての日本の韓国料理/太田心平
 8.中国での「日料」とはいったい何だろうか?/劉征宇
 9.タイの日本食文化/大澤由美
10.アメリカ南部で日本食?/賀茂美則
11.南米の美食王国ペルーで愛されるニッケイ料理/原田慶子

Ⅲ プロの料理人に聞く。海外への和食の展開
  ・・・日本料理の発展を通じて未来を考える/村田吉弘

Ⅳ 行政のとりくみ・・・「食文化」を通じた魅力発信
    農林水産省 食料産業局 海外市場開拓・食文化課 食文化室

特集まとめ・・・世界を旅する和食の今/髙田公理

<連載>
 ☆遠くなった昭和の食卓(最終回)「オーガニック食材の行方」/阿古真理

 ☆食情報の考現学(第5回)「『筋活』健康法のための食の工夫」/髙田公理 

 ☆大食軒酩酊の食文化 (第49回)「どんぶり考」/石毛直道

 ☆文献紹介 江原絢子・平田昌弘・和仁皓明=編著『近代日本の乳食文化―その経緯と定着』
    /石毛直道

【特集】「多文化」化する日本の外食
 特集アドバイザー/太田心平(国立民族学博物館准教授)

 日本の外食では、世界各地の料理を食べることができるようになった。専門店化した外国料理店が外食産業に占める割合も、年々大きくなっている。
日本にいながらにして各国本来のものが食べられるようになった一方、本場の真正な食べ方とかけ離れているため、現地の人が見たら驚くところもある。日本人の嗜好や、食べる順番などの日本文化に合わせた変化は、日本が外国の食を文化的に受け入れていないところがあることを示すのではないか。
 日本ナイズされた食は、現地に跳ね返る力もある。円卓が中国に、日式焼肉が韓国に取り入れられたように、そのうち日本文化に取り入れられる外国の食文化もあるのだろうか。すんなり受け入れられている例、抵抗している例も含め、日本における外食の「多文化」化を見ていきたい。

<特集>
巻頭 どこの国の料理でしょう?

Ⅰ 「多文化」化の展開
  日本人の食生活をさらに多様化したエスニックフード/畑中三応子
  エスニック関連本からみる食の「多文化」化/編集部 

Ⅱ 「多文化」化最前線―日本のエスニック料理店レポート
 1 「あきんど」の街でペルーを味わう/サウセド・セガミ・ダニエル・ダンテ、丸岡真紀穂
 2 インジェラの味はどんな味?<エチオピア>/村橋勲
 3 日本におけるロシア料理店/サクマ シャルゲイ
 4 日本のトルコ料理店―食文化の多様性を実感できる空間/ウヤル マキバヤシ アイスン
 5 味の都の小さな秘宝<オランダ>/アレックス・デ=ヴート(太田心平訳)
 6 おおらかな食空間 ネパール料理店/阿部未奈子
 7 多角的展開をみせる都心のベトナム料理店/瀬戸 徐 映里奈
 8 フィリピン料理は旨い!/熊野 建
 9 中華料理は誰の中華料理
   ―南京町にみる観光客の好み、本場の味、そして経営者の采配/辺 静音

Ⅲ 他国の状況
 1 イギリスの外食シーンにおける「多文化」化をめぐるポリティクス/相島葉月
 2 今日は何食べよう? 百花繚乱の中国外食最前線/川口幸大
 [Topic]食とエスニシティ/安井大輔

<連載>
 ☆遠くなった昭和の食卓(第3回)「『きのう何食べた?』から見える食卓」/阿古真理

 ☆食情報の考現学(第4回)「糖尿病とそれへの対策の食情報」/髙田公理 

 ☆大食軒酩酊の食文化 (第48回)「天ざるソバの食べかた」/石毛直道

 ☆食でひもとく浮世絵の楽しみ(最終回)/林 綾野

 ☆文献紹介 岩間一弘編著 『中国料理と近現代日本―食と嗜好の文化交流史』/野林厚志
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身近な食から深奥な世界に迫る!
「Vesta」(ヴェスタ)は古代ローマの「カマドの女神」にちなんで名づけられた食文化専門誌です。民族学・史学・考古学・医学・哲学・経済学などさまざまな学問分野から食を眺め、身近な食生活の背景にある深奥な世界に迫ろうとするものです。歴史的な流れと地域的な比較の中で現在の社会のありようを考え、将来を展望するヒントを提供するものです。食文化に関する研究資料や教材に役立つのみならず食文化愛好家の理解の一助にもなる魅力ある雑誌です。 「みるvesta~食文化の世界~」 より多くの方に食文化に興味を持っていただけるよう、特集と連動した『vesta』映像版を制作しています。その名もズバリ「みるvesta~食文化の世界~」。数名のご執筆者の方に掲載記事を中心にインタビューし誌面にない内容も収録されています(ロングバージョン約10~13分、ショートバージョン約1分)。ぜひこちらもお楽しみください。 https://www.youtube.com/@user-kz4zb8tw3i

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