Vesta(ヴェスタ) 発売日・バックナンバー

目次:
【特集】ガストロノミーの変遷と未来
 特集アドバイザー:山内秀文(辻静雄料理教育研究所 研究顧問)

 ガストロノミーは、「美味学」、「美食文化」と訳される。
 ガストロノミーは、二〇世紀の終わりまではほぼフランスが占有し、そして世界を魅了していた美食文化だった。
 しかし、現在ではガストロノミーはフランスから世界各地に広がり、スペイン、北欧、アメリカ、南米そして日本でも、次々に個性的な「新しい食」と食文化を生み出している。
 フランスで始まったガストロノミーの歴史をたどりながら、どのように進化し、料理人がどのように取り組み、どのような新たな食文化が生まれているのか、様々な視点から見つめてみよう。

「みるvesta」ガストロノミーの変遷と未来 制作中!

●目次

Ⅰ ガストロノミーの歴史・最前線
 1 近代ガストロノミーの始まりと進展/橋本 周子
 2 「美食の都」から「美食の国」へ-ガストロノミーの地方への展開/梶谷 彩子
 3 ガストロノミーの現代/八木 尚子
 4 美食を通して社会に変革をもたらすガストロノミーの世界的潮流/國府田 淳(お話を伺った方:浜田岳文)
 5 日本のガストロノミー考現/門上 武司

Ⅱ 美食を支える環境・食材・調理器具
 1 土が美食をもたらす/山田 健
 2 料理人と牛肉 その関わりと価値観の変化を見つめる/君島 佐和子
 3 魚市場は素材の宝庫-料理人が最後の砦/濱田 武士
 4 食で未来を耕す-花のデザートに込めたメッセージ/加藤 峰子
 5 技術とデザインが生み出す新たな味覚の可能性-調理器具の進化と科学の挑戦/川﨑 寛也

[誌上シンポジウム]フランスへの憧れを抱いて/谷昇・渡辺雄一郎・手島純也、モデレーター山内 秀文

特集まとめ ガストロノミーの変遷、そして現在地/山内 秀文

<連載>
☆「伝えたい残したい日本の味」(第1回)「佃煮」/向笠 千恵子
☆大食軒酩酊の食文化(第69回)「囲炉裏」/石毛 直道
☆文献紹介 野林 厚志=編、公益財団法人味の素食の文化センター=企画『食の文化フォーラム 現代“間食”考 -狭間からみる人類の食』/小坂 理子

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【特集】日本酒の魅力
 特集アドバイザー:岸保行(新潟大学 教授)

 日本酒は、文化・歴史・技術の結晶として発展し、国内外で高く評価されている。本特集では「SAKEOLOGY」をキーワードに、 日本酒学が未来を拓く事を願って、日本酒の文化・歴史、新たな展開、健康との関係を探求した。
 日本酒は、神事や庶民の暮らしとともに進化し、時代に応じて変化してきた。現代では、品質を重視した酒造りに加え、海外市場の拡大や食文化との融合が進んでいる。さらに、低アルコール酒やスパークリング日本酒など、消費者の嗜好を反映した商品開発も活発化している。
 こうした日本酒の歴史や発展、未来への取り組みを、医学・自然科学、人文・社会科学の視点から包括的に研究する学問が「日本酒学(Sakeology)」である。本特集では、その観点から日本酒の魅力と可能性を探った。本誌が日本酒の新たな価値を考える契機となれば幸いである。

「みるvesta」日本酒の魅力
ロング:https://youtu.be/ZN3wRgtqHKU
ショート:https://youtube.com/shorts/6xtwUj0VkPg

●目次

Ⅰ 日本酒の文化と歴史
 1 日本酒の文化と変遷/今田 周三
 2 日本酒の歴史/原 直史
 3 技能伝承を続ける杜氏と蔵人の今昔/堀 圭介
 4 江戸の人々が愛した酒好きの鬼-「酒呑童子」の物語とそのパロディー/畑 有紀
 [コラム]「ブランド」は誰が決める?-江戸から昭和にかけての日本酒流通/二宮 麻里
 [コラム]海外での清酒製造の始まり/喜多 常夫
 [コラム]コメ作りからみる日本酒/宮本 託志

Ⅱ 日本酒の新たな展開
 1 進化する海外SAKE市場/松崎 晴雄
 2 規則が導くSAKEの多様性/木村 咲貴
 3 日本酒の高級化/佐藤 淳
 4 酒米の地産地消-量的広がりから質的深化へ/林 芙俊
 5 日本酒の未来-伝統と革新の融合による世界酒への挑戦/岸 保行
 6 日本酒の香りはどこからくるのか/金桶 光起
 [コラム]日本酒の品質に関する法制度/渡辺 英雄
 [コラム]実践日本酒ペアリング/山内 祐治

Ⅲ 日本酒と健康
 1 酵母の研究から人の健康長寿へ/西田 郁久
 2 「酔い」の脳科学/武井 延之
 3 酒粕 往古来今/柿原 嘉人
 [コラム]酒粕の有効活用から健康を考える(酒粕の楽しい話)/さけ かす子
 [コラム]糖尿病とアルコール摂取の関係/山本 正彦

特集まとめ SAKEOLOGY~日本酒学が拓く未来~/岸 保行

<連載>
☆「日本の庖丁と素材を切る世界の文化」(後編)/伊藤 文
☆大食軒酩酊の食文化(第68回)「コロッケの唄」/石毛 直道
☆文献紹介 デイビッド・モントゴメリー、アン・ビクレー=著、片岡夏実=訳『土と脂-微生物が回すフードシステム』/松田 一彦
【特集】麺が描く世界地図
 特集アドバイザー:守屋亜記子(女子栄養大学 准教授)

 麺を通して世界の食文化を比較する。それが今回の特集の企画意図である。あわよくば、比較を通して食の文化圏の輪郭が現われてくるかもしれないとの期待も込めて。
 石毛は麺に関する大著『文化麺類学ことはじめ』(フーディアム・コミュニケーション、1991年)のなかで「麺は世界の食事文化を映す鏡」であると述べている。現在、麺は世界各地で親しまれている。主食的な食べ物でありながら料理としてのバリエーションが豊富なだけに、麺の比較により各地の食文化の基層が見えてくる可能性もある。
 この特集では、麺の材料や形状はもちろんのこと、麺におけるハレとケ、食器や食具、食べ方や温度など、これまで目が向けられてこなかった麺の諸側面について取り上げることを心がけた。
 執筆陣はいずれも現地の食に精通したスペシャリストであり、編者のわがままなリクエストに応えていただいた。

「みるvesta」麺が描く世界地図
 ロング (約15分):https://youtu.be/be1gSbWXwBM
 ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/KTvKWEVaZfs

●目 次:

Ⅰ 麺の歴史
 1 麺の文化と日本のそば /原田 信男

Ⅱ 千差万別 世界の麺文化
 1 中国東南部の麺食文化/川口 幸大
 2 中国の多彩な麺文化/草野 美保
 3 朝鮮半島の麺の面々/守屋 亜記子
 4 東南アジアの麺を鳥の目で、あるいは虫の目で/前川 健一
 5 ラオスの麺と麺料理/落合 雪野
 6 モンゴル遊牧民の麺料理/石井 智美
 7 シルクロードで「ラグマン」を食べる/荻野 恭子
 8 インドの焼きそば、チャウミン/小林 真樹
 9 イランの郷土料理「アーシュ・レシュテ」
    ~豆・野菜・麺入りごった煮スープ~/山口 雅代
 10 パスタの国イタリア/山辺 規子
 [コラム]郷土愛溢れるドイツの麺料理 ドイツ人はシュペッツレが大好き!/キュンメル齊藤 めぐみ
 11 海を渡り、空を飛ぶ麺類/根川 幸男
 12 手延べ産地に美味なめん料理あり/向笠 千恵子
 [コラム]秩父音頭にも唄われる「おっきりこみ」と山里に伝わる麺の文化/永越 信樹

特集まとめ 一杯、一皿の麺料理から見える世界/守屋 亜記子

<連載>
☆「日本の庖丁と素材を切る世界の文化」(前編)/伊藤 文
☆大食軒酩酊の食文化(第67回)「わたしと食の文化」/石毛 直道
☆文献紹介 Sandor Ellix Katz=著、水原 文=訳『サンダー・キャッツの発酵の旅-世界中を旅して見つけたレシピ、技術、そして伝統』/横山 智

【特集】地域のそば
 特集アドバイザー:松島憲一(信州大学 学術研究院農学系 教授)

 少し前まで、地方に出かけて、そば屋に入ってもメニューはかけそば、もりそば、ざるそば、もしくは天ぷらそばと、全国で画一的であるのが気に入らなかった。
 近年は郷土料理や伝統野菜といった地域の食文化が顧みられるようになり、そばについても、様々な郷土そばが日の目を浴びるようになってきた。こういった地域の郷土そばは、その地域の環境や文化、風土を背景とした食べる地域文化財とも言えるもので、学術的に重要である。
 また、その地域の特色を美味しく感じることができるのは旅人としてはなによりも嬉しい。
 本特集「地域のそば」では、かけそば、もりそば、ざるそば、天ぷらそばではない、その地域のならではの郷土そばについて各地の事例を紹介してもらい、その郷土そばが成立した背景などを考察し、今後の食の多様性の維持について考えて行きたい。

「みるvesta」地域のそば
 ロング (約15分):https://youtu.be/xvqOwkg-8qM
 ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/7x5BxnijJJc

●目 次:

Ⅰ 蕎麦の歴史
 1 ソバを育て、そばを食す -日本における歴史と文化-/松島 憲一
 2 江戸蕎麦ものがたり/ほし ひかる
 3 美味しい在来蕎麦/片山 虎之介

Ⅱ 日本と世界のいろいろな蕎麦
 1 岩手とわんこそばの魅力/泉沢 善雄
 2 出雲そばの魅力/山中 将道
 3 郷土料理としての信州そば/松島 憲一
 4 ヒマラヤのそば、いまむかし/根本 和洋
 [コラム]国境を越えるグレーチカ -ウクライナ、キルギス共和国から見る蕎麦の歴史-/草薙 由莉
 5 郷土を愛し伝統を守る。一人の男が未来に繋げたイタリア流そばパスタの味/佐藤 モカ
 6 ブルターニュの誇り そば粉のガレット/羽生 のり子
 [コラム]ソバ品種開発の動向 -顧みられない未利用種からの脱却を目指して-/原 尚資
 7 高遠藩(伊那)のそば/山根 健司
 8 保科正之公と福島のそば/唐橋 宏
 [コラム]現在も浪速にあり! 伝統の熱盛そば/沖山 欣也
 9 ふくいのそば 歴史と魅力 -香福の極み、越前蕎麦-/宝山 栄一
 10 受け継がれた幻のソバ「越前三角そば®」の魅力/伊藤 慶也


特集まとめ 孤児作物としてのソバ、地域食文化としてのそば/松島 憲一

<連載>
☆台所史探訪(最終回)「台所を自由にするデザイン」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第66回)「性文化とわたし」/石毛 直道
☆文献紹介 湯澤 規子/伊丹一浩/藤原辰史=編著 『入門 食と農の人文学』/森枝 卓士

【特集】進化する宇宙食 ―月で何食べる?
 特集アドバイザー:山田研(辻調理師専門学校 教育研究センター センター長)

 人類で最初に宇宙空間で食事をしたのは、1961年に世界ではじめて有人宇宙飛行に成功したガガーリンであるとも、2人目のゲルマン・チトフ宇宙飛行士であるとも言われている。
 食事内容は、無重力の環境で人が食べ物を飲み込めるかどうかわからなかったために、チューブ入りやトレイに充填されたペースト状の食品だった。
 この黎明期の宇宙食は、宇宙飛行士たちから「離乳食のようだ」と評判が悪く、その後、宇宙でも食べ物の嚥下や消化はできるとわかり、ペースト食は廃止され、宇宙食の種類は増えていくことになる。
60年後の現在、宇宙空間で食事するのはプロの宇宙飛行士に限定されない時代になった。
 月や火星での長期滞在や食料生産も計画され、宇宙でもQOLを高める食事が求められている。宇宙食の進化と多様化はとどまるところをしらない。
 そんな宇宙食の動きを多角的に捉える機会になればと思う。

「みるvesta」進化する宇宙食 ー月で何食べる?
ロング(約15分) : https://youtu.be/BnTD883bH48
ショート(約1分): https://youtube.com/shorts/YDM9TrHpExU


●目 次:

Ⅰ 宇宙で暮らす
 1 人類が宇宙で暮らす時代に向けて/木村 真一
 2 月・火星で過ごす未来/向井 千秋
 3 宇宙における水の調達/佐伯 和人
 4 スペースガストロノミー -宇宙で食べる料理-/米田 肇

Ⅱ 宇宙食の歴史
 1 宇宙食開発の歴史/中沢 孝
 2 フランスにおける宇宙食について/伊藤 文
 [コラム]イタリアにおける宇宙食の今、そして未来/佐藤 モカ
 [コラム]タイ料理、宇宙でも人気を呼ぶか?/梅本 昌男
 [コラム]「十勝大地の贈り物」宇宙へ -宇宙で食べるとろろ-/有塚 利宣
 3 映画やマンガで描かれた「宇宙食」を読み解く/阿古 真理

Ⅲ 日常生活への応用/現在の取組
 1 共創から生み出す、宇宙新時代の食文化/菊池 優太(聞き手 國府田 淳)
 2 ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の潜在能力/鈴木 健吾
 3 資源循環型の培養肉生産システムと宇宙食への応用/清水 達也
 4 「有人宇宙開発に貢献しうる宇宙食の開発」について
   私の人生の師との出会い/二川 健
 5 宇宙食を通じたサステナブル・ガストロミーへの挑戦
   -限られた食材による持続可能で多様なおいしさ作り-/山田 研・迫井 千晶・秋元 真一郎・野中 覚
 6 宇宙食と災害食 極限環境での食を考える/坪山(笠岡)宜代

 特集まとめ 宇宙食の主題による変奏曲/山田 研

<連載>
☆台所史探訪(9)「戦後住宅における台所のデザイン-食空間をつなげる試み-」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第65回)「酒肴と主食」/石毛 直道
☆文献紹介 守屋 亜記子=編 公益財団法人味の素食の文化センター=企画
フォーラム本『朝鮮半島の食 韓国・北朝鮮の食卓が映し出すもの』/林 史樹
【特集】ミツバチとハチミツの食文化
 特集アドバイザー:眞貝理香(総合地球環境学研究所・外来研究員)

「ミツバチやハチミツのことを知ると、人生はもっと楽しくなります!」などというと、何やら怪しい自己啓発の宣伝文句のようですが、これは少なくとも私の実感です。
 本特集は、食品としてのハチミツという視点だけでなく、「人とミツバチ・ハチミツの関わり」「それを取り巻く様々な生物、環境」という、複眼的な視点で編集されています。
 一匹の小さなミツバチの能力に驚き、さらに群としての社会性に驚き、ミツバチと植生、他の昆虫や環境の関わりを知ると、網の目のような生態系が可視化され、自然や社会を見る「解像度」まで上がるかもしれません。
ハチミツが時代や地域により、様々に利用されてきた歴史や各地の食文化の面白さ、そしてハチミツ自体の、色・香り・味・舌触りの実に多様なこと!
ハチミツは、ミツバチと地域の自然が織りなした恵みそのものです。
ハチミツも本特集も、視覚・嗅覚・味覚・触覚、それにミツバチの羽音(聴覚)までご想像の上、「五感」で楽しんでいただけたら幸いです。

「みるvesta」ミツバチとハチミツの食文化
  ロング(約13分) :https://youtu.be/3gTu4nYMY-U
  ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/hRt3ciJj5ZY

Ⅰ 養蜂の歴史・食文化
 1 ミツバチ世界への誘い 生体の基本と貢献/佐々木 正己
 2 世界と日本の養蜂の歴史/眞貝 理香
 3 日本と世界の養蜂文化を知る -養蜂博物館(愛知県・瀬戸市)井上コレクション-/眞貝 理香

Ⅱ 世界と日本におけるハチミツの利用法
 1 ニホンミツバチと人が共生する対馬の養蜂/高田 陽
 2 東南アジア大陸部における人びととミツバチ資源の利用/園江 満
 [コラム]蜜湯の仏事と梅湯のもてなし -ニホンミツバチを飼育する寺 真福寺(京都府亀岡市)-/眞貝 理香
 3 ドイツのミツバチと食文化/クリストフ・ルプレヒト
 [コラム]古代から続く味 スペインのハチミツの歴史とアラフー/小倉 真理子
 [コラム]ミツバチ豆知識/編集部
 4 神様によって調理された食べ物 -アフリカ熱帯林のハチミツ採集文化/大石 高典
 5 日本のミードの現状とこれから/一般社団法人 日本ミード協会
 [コラム]ハチミツ専門店の立場から/大久保 ひとみ
 [コラム]ハチミツでもっとおいしく/編集部
 [コラム]偽ハチミツを探せ!ハチミツ分析の最先端/高橋 純一
 6 ハチミツの味/塩尻 かおり・高田 知紗・永井 美沙希

Ⅲ ミツバチと共に暮らす
 1 私たちの食を支えるポリネーター・生物多様性の重要性/滝 久智・永野 裕大・夏目 佳枝
 2 なごや文化のみちミツバチプロジェクト-高校生による養蜂と商品開発-/柘植 政志
 3 日本の養蜂業界、これまでとこれから/中村 純

特集まとめ ミツバチとハチミツ -「多様性」と「テロワール」が支えるもの/眞貝 理香

<連載>
☆台所史探訪(8)「標準化/規格化と大量生産への流れ」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第64回)「喫煙室」/石毛 直道
☆文献紹介 足立 己幸=編、足立 己幸・衛藤 久美=著『共食と孤食 50年の食生態学研究から未来へ』/江原 絢子


【特集】世界の珍味、日本の珍味
 特集アドバイザー/伊藤 文(日仏記者協会APFJ会員、ワインと食卓の女性騎士団ODVT会員)

「珍味」という言葉には、人々を冒険に誘う魅惑的な響きがある。珍しく尊いもの。人間には稀少かつ貴重なものを求める強欲がある。それゆえ、風変わりな食べ物と表裏一体という側面もある。
 秦の始皇帝は「不老不死」の幻の仙薬を探し求め、唐・玄宗は楊貴妃のため、途方もない遠方からライチを取り寄せた。江戸時代の日本では、「百珍」と名のついた料理本が出版された。有名なのは「豆腐百珍」や「卵百珍」。料理人しか知り得ない秘伝が記されている。
 トリュフ、フォアグラ、キャビアは言わずもがな世界の三大珍味だ。しかし、科学の進歩や環境問題によって、取り巻く景色は変わりつつある。人は火をおこすことを知ってから、生命の存続と食欲の限界に挑戦してきた。その挑戦を掻き立ててきた珍味から、人間の文明、文化の今昔を垣間見たいと思う。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約13分): https://youtu.be/oWP3mwJQQ0g
・ショート(約1分: https://youtube.com/shorts/qAlrqD0mva4

<目次>
Ⅰ 珍味とは
 1 「世界三大珍味」不在の中世ヨーロッパのごちそう/山辺 規子
 2 中国の「珍味」/山中 一男
 3 日本近代「珍味」考 ~明治・大正期の文献を中心として~ /東四柳 祥子
 [コラム]珍味の大好きな日本人/永山 久夫

Ⅱ 日本と世界の珍味
 1 日本の珍味、令和の今様/向笠 千恵子
 2 世界の珍味「カラスミ」の魅力/山口 敦子
 [コラム]スペイン海の幸、イベリア半島の知られざるグルメ/小池 ケイコ
 [コラム]タイ珍味物語/梅本 昌男
 3 キビア 北グリーンランドの生活の知恵/林 直孝
 4 サボテンの魅力/堀部 貴紀
 5 フランスの珍味/門上 武司

Ⅲ 未来につながる珍味
 1 世界三大珍味の変容/伊藤 文
 2 世界に誇る日本のキャビア/山口 浩
 3 珍味とお酒のペアリング/川崎 寛也

特集まとめ 閉店した鮎名店のうるかと珍味の未来/伊藤 文

<連載>
☆台所史探訪(7)「大正時代の台所と生活改善運動」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第63回)「握り飯」/石毛 直道
☆文献紹介 佐々木 敏=著『行動栄養学とはなにか?-食べ物と健康をつなぐ見えない環(リング)を探る』/津金 昌一郎

【特集】伝統野菜・在来作物
 特集アドバイザー/江頭 宏昌(山形大学農学部教授)

伝統野菜とか在来作物なんて、私には関係ないと思っている読者の皆さん。
ふだん、こんなふうに思ってませんか。
とりあえず美味しかったら、野菜なんて何でもいいよ。スーパーで見かける普通の野菜とどこがちがうの?そもそも伝統野菜なんて、食べたことないし、見かけないし、味にちょっとクセがあると苦手だし、料理方法も分からないので、なかなか手が出ないよ。
こんな声を聞くと、せっかく地元で伝統野菜や在来作物を何世代にもわたって栽培しながら伝えてくれた先人や今の栽培者たちは残念に思うかもしれません。
本特集では国内外の伝統的な野菜や作物とその料理、さらにそれを使った地域のさまざまな取り組みを紹介します。本特集をきっかけに、たまにでもいいので自分の住んでいる地域の伝統野菜にも関心と愛情を持っていただけたら幸いです。
なお、本特集を企画する際に、信州大学の松島憲一先生から多くの助言・協力をいただいたことを感謝いたします。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約13分): https://youtu.be/H4otlaEdnqU
・ショート(約1分): https://youtube.com/shorts/brwwqWOYgGw

Ⅰ 伝統野菜とは
 1 伝統野菜とは食文化を支えるもの/松島 憲一
 2 伝統野菜・在来作物の魅力と現状/江頭 宏昌

Ⅱ 伝統野菜・在来作物いろいろ
 1 北国の伝統野菜その始まりと魅力/三部 英二
 2 生きる知恵が育んだ、青森県の毛豆の美味しさと食文化/大浦 雅勝
 3 江戸の都に集まった地方の在来種/大竹 道茂
 4 新潟のなすの歴史と食文化、在来品種の特徴/小田切 文朗
 5 ヤマカブラを知る、食べ継ぐ─「赤カブ王国」滋賀の焼畑から/河野 元子
 [コラム]イタリア冬の味覚!くるっとユニークな形のラディッキオ、タルディーヴォ種/新宅 裕子
 [コラム]米国領グアムの伝統野菜・在来作物/陣内真佐子
 6 なにわ野菜の美味しさとその魅力/森下 正博
 7 広島デルタに発展した都市農業―広島伝統野菜を守る人々の思いとその美味しさ/花井 綾美
 8 高知の在来野菜・幻のツケナ「潮江菜」―牧野富太郎博士ゆかりの「牧野野菜」として再発見される/浅井 裕子
 9 先人の知恵継ぐ古代食〜昔ながらの工程で今も〜奄美群島のソテツ/高槻 義隆
 [コラム]在来ゴボウの美味しさとその魅力/冨岡 典子

Ⅲ 伝統野菜のこれから
 1 編集部インタビュー 語り部として味を伝える―おいしさの奥にある思いの伝承/梅原 陣之輔
 [コラム] 在来作物の味を伝えたい/村橋 勲
 2 伝統野菜を通してホリスティック(包括的)なSDGs実現をめざす/藤本 勇二
 3 在来作物を守る拡げる―長野県の事例―/松島 憲一

 特集まとめ 先人たちの知恵が詰まった伝統野菜の岐路/江頭 宏昌

<連載>
☆台所史探訪(第6回)「米国式台所の導入 教育者・櫻井ちか子による紹介を契機として」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第62回)「昼食代のレシート(続き)」/石毛 直道
☆文献紹介 南 直人=編「フォーラム 人間の食」第3巻『食の展望―持続可能な食をめざして』/生源寺 眞一
【特集】米を食べる文化
 特集アドバイザー/佐藤洋一郎(ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)

人類が米を穀類として食べるようになって1万年になるだろうか。
そして今では数十億の人の命を支えるまでになり、消費される量は年間8億トンに達する。そして調理の方法も食べ方もさまざまである。
この特集では、まず世界各地の様々なコメの調理法、食べ方をオムニバス式に取り上げてみた。
米食の文化は、地球環境や国際情勢の激変により、いままさに大きな曲がり角にさしかかっている。
これからの米食文化はどう変化してゆくか。どうあるべきか。
そうしたことを考えるヒントとしてお読みいただければと思う。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約13分): https://youtu.be/-ZeFdsfR9e4
・ショート(約1分: https://youtube.com/shorts/WlrO0suCaCk

Ⅰ 稲・米食の概論
 1 世界の米と米食/佐藤 洋一郎
[トピック]データで見る日本と世界の米事情/編集部

Ⅱ 世界の米食文化
 1 -メモ- タイの米の麺にまつわる雑談/前川 健一
 2 毎日毎食おこわを食べる ―東南アジアのモチ性穀物類をめぐる食文化―/落合 雪野
 3 トルコの米食文化/アイスン ウヤル槙林
 [トピック]パエリア ―アラブ人がもたらしスペイン人が花開かせた米食文化―/田川 敬子
 [トピック]イタリアの米食文化/佐藤 モカ
 4 韓国料理の堂々たる主役/太田 心平
 5 アフリカイネの栽培と料理/坂上 潤一

Ⅲ 日本の米食文化
 1 神饌の米と酒/神崎 宜武
 2 すしとは何か?/日比野 光敏
 3 和菓子における米の文化/太田 達
 4 大唐米について ―室町時代を中心に―/伊藤 信博
 5 お米の味の違いと時代による変遷、地域ブランド米の育成/西島 豊造

Ⅳ 米の未来/発展
 1 米食文化のこれから/佐藤 洋一郎
 2 米の栄養と健康機能/大坪 研一

特集まとめ 糯米・粳米が織りなす多彩な米食文化/佐藤 洋一郎
 [トピック]美しい田園風景/編集部

<連載>
☆台所史探訪(第5回)「明治期における台所合理化のはじまり」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第61回)「カンパイ」/石毛 直道
☆文献紹介 三浦裕子(著)『バウムクーヘンの文化史』/長森 昭雄
【特集】発酵と文化
 特集アドバイザー/北垣浩志(佐賀大学 教育研修院自然科学域農学系 教授)

歴史を顧みると、どの国でも発酵は常に文化とともに歩んできた。
2013年にユネスコ無形文化遺産へ「和食」が登録されたのに続き、2022年に日本の伝統的な酒造りもこれに続いて候補として提出された。世界の他の国でも、古代グルジアの伝統的なクヴェヴリワイン製造方法、ベルギーのビール文化、モンゴルの馬乳酒など、発酵を無形文化遺産として登録する動きが相次いでいる。
ユネスコが無形文化遺産に登録した理由として、自然資源の持続的な利用と密接に関わる自然の尊重という根本的な精神との関連を挙げている。
本特集は世界中の発酵を文化としてとらえた記事を集めており、今一度世界の発酵と文化を見直すよいきっかけになると信じている。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
・ロング(約15分):https://youtu.be/LG1REUiPXrs
・ショート(約1分:https://youtube.com/shorts/zCglvl2C0ug?feature=share

Ⅰ 発酵と文化
 1 発酵食品と文化/北本 勝ひこ
 2 日本の発酵食文化の魅力/丸山 潤一
 3 治癒への祈りと発酵/北垣 浩志

Ⅱ 日本と世界の発酵食
[トピック]日本と世界の発酵食/編集部
 1 日本の酒と和食の文化/中島 春紫
 2 東南アジアとヒマラヤの納豆食文化/横山 智
 3 初めてなのに懐かしかった。私的体験から見た魚の発酵食品/森枝 卓士
 4 発酵乳文化の魅力/平田 昌弘
 5 ロシアや周辺国を中心とした発酵食文化の魅力/荻野 恭子
 6 サバンナの生活とモロコシ酒/桐越 仁美
 7 コーヒーと発酵 ―味や香りを作る微生物―/旦部 幸博
 8 米国グアムにおける発酵食文化/陣内 真佐子
[トピック]世界の発酵食品 -あれも、これも、発酵-/編集部

Ⅲ 発酵が切り拓く未来
 1 フランスの発酵食はいま/羽生 のり子
 2 新たな可能性を拓く?発酵食品のブーム/阿古 真理
 3 味噌の抗炎症効果/金内 誠
 4 発酵が生み出す未来への可能性/小倉 ヒラク

特集まとめ 現代のシルクロード、発酵
 ―発酵文化の交流が創造する新たな知― /北垣 浩志

<連載>
☆台所史探訪(第4回)「効率化の波が家事に及ぶ」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第60回)「昼食代のレシート」/石毛 直道
☆文献紹介 湯澤規子(著)『「おふくろの味」幻想 誰が郷愁の味をつくったのか』/矢野 敬一



【特集】来(きた)るべき未来の食
特集アドバイザー/村橋 勲(静岡県立大学 国際関係学部 助教)

 18世紀末、経済学者のマルサスは、人口増加に食料生産が追いつかなくなり、いずれ食料不足が起きるだろうと予測した。幸い、今のところこの予測は当たっていない。
 今日、私たちは、品種改良、機械化、化学肥料や農薬の使用により、数十億人を養う食料を確保できるようになった。しかし、今度は、飽食というこれまでにない問題に直面している。
 大量の食料を調達するため、大がかりで自然に手を加えた結果、地球環境が変わり、自然の恵みは稀少になりつつある。また、糖分や脂肪分の多い食品により肥満や不健康に悩まされるようになった。
 新たな創意工夫と選択が求められている。問題を解決するのは、新たな食品技術か、食生活を変えることか、それとも、食料生産と自然のサイクルとの折り合いをつけることなのか。
 今回の特集は、ふだんの食生活や食をとおした人間と自然とのかかわり合いについて見直す機会を与えてくれるだろう。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像をお楽しみください!
誌面にはない写真や3Dプリンターが食品を作っている映像、村橋氏が撮影したアフリカの映像も!
・ロング(約15分):https://youtu.be/7KIYEyemSpc
・ショート(約1分:https://youtube.com/shorts/zDm4gZZQpOk


Ⅰ 新しい食べ方・新しい食材
[トピック] 新しい食べ方を提案する三つ星レストランの挑戦/編集部
 1 海藻食の未来を見つめて ―スローフード世界大会の現場から/宮本 さやか
 2 日本の誇る資源、昆虫 ―昆虫食の今とこれから―/水野 壮
 3 未来の食を創る科学と技術/石川 伸一

Ⅱ 食を取り巻く環境の昔と今
 1 アフリカにおける食料問題とそのゆくえ/村橋 勲
 2 世界的な食料事情に及ぼす気候変動の影響/吉田 蒔絵
 3 持続可能な食資源のための活動/木附 誠一

Ⅲ 食資源の未来に向けて
 1 水産エコラベルを活用し、日本の漁業を持続可能に/鈴木 允
 2 豊かな海と魚食文化を守るために/佐々木 ひろこ
 3 パリと近郊の都市農業 ―そのさまざまなかたち/羽生 のり子
 4 食農体験はこれからの都市をどう変えるのか? /小野 淳

特集まとめ 未来の食を考える 村橋 勲

<連載>
☆台所史探訪(第3回)「台所近代化の幕開け」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第59回)「寝床人生」/石毛 直道
☆文献紹介 伏木亨(編)『食の現代社会論 -科学と人間の狭間から-』/坂井 信之
【特集】和菓子文化の魅力
特集アドバイザー/橋爪伸子(同志社大学経済学部非常勤講師)

一年の折節や人生の節目には、餅や団子に攘災招福の願いをこめる。日々のくらしでは上生菓子に季節の移り変わりを、地域名菓に旅先の情景を、包みも美しい到来物の菓子折に贈り主の思いを感じ、その時々の場面と菓子がともに心にきざまれていく。和菓子は老若男女全ての人びとにとって身近な存在で、それぞれの人生において思い出と重なる特別な食べものである。
こうした日本の菓子は、神へ供えた餅や団子、果実に始まる。その後外来の食文化を段階的にとりこみながら発達し、後に和菓子とよばれる日本固有の菓子が江戸時代に完成する。その後も社会のさまざまな影響を受けて展開しながら継承され、いまや海外でも人気である。
願いをこめるものとして始まり、時代ごとに新しい価値をとりこみつつ変容し続ける和菓子の、多様で奥深い魅力を探ってみたい。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像もお楽しみください!
誌面にはない上元純一氏による和菓子作りの実演があり、目にも楽しい内容になっています。
・ロング(約10分):https://youtu.be/sD2D6_ptimY
・ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/WXE5ND9JRZ8

Ⅰ 和菓子文化の根源
 1 日本の自然の中ではぐくまれた和菓子/江原絢子
[トピック]和菓子の歴史&種類/編集部

Ⅱ 世界から見た和菓子
 1 和菓子の可能性を考える G20における海外賓客の接遇から/上元純一
 2 フランスにおける和菓子の現状と魅力/セシル・ディディエジャン
 3 ニューカレドニアに移住して始めた茶道教室、そしてカラフルな和菓子/川村美砂子

Ⅲ 和菓子の歴史
 1 和菓子文化の華 17世紀にさかのぼる上菓子の特徴/中山圭子
 2 近世後期における和菓子の展開/青木直己
 3 近代における和菓子の進展/橋爪伸子

Ⅳ 和菓子の伝統と進化
 1 インタビュー 伝統を守りひたすらにうまい菓子を作る
    /柴田モナカ本舗(聞き手橋爪伸子)
 2 脱酸素剤の登場による郷土銘菓の発展/森田和馬
[トピック]多様化する和菓子/編集部

特集まとめ 思いと価値を五感で味わう ―和菓子文化の魅力/橋爪伸子

<連載>
☆台所史探訪(第2回)「明治の台所改善は《衛生》から」/須崎 文代
☆歌舞伎のレシピ(最終回)「アラカルト」/堀越 一寿
☆大食軒酩酊の食文化(第58回)「スープは、食べる?飲む?」/石毛 直道
☆文献紹介 朝倉敏夫(編著)『食の人文学ノート -日韓比較の観点から-』/南 直人

【特集】食とジェンダー
特集アドバイザー/湯澤規子(法政大学人間環境学部教授)

新しい眼鏡をかけた時、風景の輪郭が鮮明になり、世界がまるでちがって見えてくることがある。
新しい概念を手に入れることは、この眼鏡の話によく似ている。漠とした何かが、概念の誕生によって可視化され、説明できるようになるからである。
「ジェンダー(歴史・文化・社会的に形成される性差)」は、まさにそうした概念の一つであるが、人によっては未だ「遠い他人事」に過ぎないのかもしれない。ところが「食」という誰にとっても身近な事象と「ジェンダー」を掛け合わせてみると、それは「身近な自分事」に反転する。                            
食卓や台所、会社の湯沸室、スーパーの店先、街角の居酒屋での出来事に見え隠れする「当たり前」や「普通」に対する再考を多彩に展開し、
新しい議論を試みたのが今回の企画である。複雑さの中に希望が宿る
「食」の風景に目を凝らしてみてほしい。

「みるvesta」特集をコンパクトに纏めた映像をお楽しみください!
・ロング(約13分):https://youtu.be/RH2UoXVv84I
・ショート(約1分):https://youtube.com/shorts/988cIa_-g8U?feature=share

Ⅰ 「料理すること」と「食べること」、2つ合わせて考える
 1 女性は、料理上手でなければいけないのか?/阿古 真理
 2 よしながふみの描く食とジェンダーの多様性 ―『きのう何食べた?』と『大奥』
   /青山 友子
 3 日常茶飯史考 ―分担と共有の論理/湯澤 規子
 4 北欧の食とジェンダー平等/小野坂 優子

Ⅱ 「料理すること」
 1 『女学雑誌』にみる食とジェンダー/村瀬 敬子
 2 お茶くみ今昔物語/矢野 敬一
 3 家庭科教育の現場にみる食とジェンダー「ねばならない」!?/増田 真祐美
 4 ミクロネシア離島の食と暮らし/杉藤 重信

Ⅲ 「食べること」
 1 「女の一人飲みはタイヘン」と上から目線で語るおじさんへの伝言/稲垣 えみ子
 2 都市の食空間にみるジェンダー ―胃袋と生きることの日米比較史/湯澤 規子
 3 東南アジアの屋台リサーチでみてきたもの/下寺 孝典
 4 イタリアでも料理は女性の仕事か/宇田川 妙子
[トピックス]ヨモギを通して見るジェンダー化された食べ物/諸 昭喜
 特集まとめ ジェンダーの多様性を映しだす食 ―名もなき日常に宿る新しい論点/湯澤 規子

<連載>
 ☆【新】台所史探訪(第1回)「台所史への誘い」/須崎 文代
 ☆歌舞伎のレシピ(第7回)「酒は憂いの玉箒」/堀越 一寿
 ☆大食軒酩酊の食文化(第57回)「カレーライスと酒」/石毛 直道
 ☆特別対談 石毛直道×池谷和信 世界のフィールドからみた人類の食
 ☆文献紹介 横山 智(編著)『世界の発酵食をフィールドワークする』/前川 健一
【特集】ジャンクフードとスーパーフード 食をめぐる毀誉褒貶
特集アドバイザー/太田 心平(国立民族学博物館准教授)

 ジャンクフードということばが社会に浸透したかと思ったら、今度はスーパーフードなる新語が出てきた。単なる健康食とかヘルシーフードというのではなく、スーパー(超越的)な食品という概念が、いま世界で広まろうとしている。では、世界の各地域では、何がスーパーフードと言われ、何がジャンクフードになっているのか?
 もちろん、身体に良い食品の特集ならば、読者はこれまでにもたくさん見ていらしたはずだ。世界のジャンクフードについても、これまでいくつかの書籍であつかわれている。本誌のこの号では、その両者を同時にあつかうことで、何が見えてくるか、探訪してみよう。馴染みが薄い地域のスーパーフードやジャンクフードの背景に、きっとあなたも「その気持ち、わかる!」とつぶやくはずだ。


<特集>
はじめに:スーパーフードとジャンクフード― 一緒に考えることで何が見えるか/太田 心平

Ⅰ 食品の公的な階級づけの最前線から/カルロス・A・モンテイロ

世界と日本のジャンクフード&スーパーフード/編集部

Ⅱ 世界各地のジャンクフード&スーパーフード
◆その1 ヨーロッパと南北アメリカ
 1 美食のスナッキングへ―転身するフランスのファストフード/伊藤 文
2 過去から来たシュプラウチェシュ、未来に向かうカプサローン/アレックス・デ=ヴート
3 時代とともに変化するスウェーデンのスーパーフードとジャンクフード
―産業化の影響から/太田 美帆
4 アメリカ南部の「ジャンクフード」事情/賀茂 美則
5 どっちもファッションでしょう?
―ニューヨークで見聞きするスーパーフードとジャンクフード/太田 心平
6 スーパーフードもジャンクに食す!? ―ジャンク大好きブラジル人/藤井 香織
[トピックス]スーパーフードとユダヤ教 革新的/保守的? /細田 和江

◆その2 中東、ロシア、インドそしてアジアへ
7 360万人の「故郷の味」―アフガニスタンのファストフードとスーパーフード
/太田 翔理
8 不況が後押しするか、ロシア国産スーパーフード/石島 健
9 伝統と新たなものがせめぎ合うインドの食事情/竹村 嘉晃
10 ベトナム人の健康意識とフード事情/樫永 真佐夫
11 ジャンクな食べ方/スーパーな食べ方―中国における食へのこだわり/長沼 さやか
12 韓国におけるジャンクフードとスーパーフード/守屋 亜記子

Ⅲ 日本 みんなが大好きな食べもの善悪二元論/畑中 三応子

<連載> 
☆歌舞伎のレシピ(第6回)「こいつぁ春から」/堀越 一寿 
☆大食軒酩酊の食文化(第56回)「『茶酒論』と『酒茶論』」/石毛 直道
☆文献紹介 岩間一弘(著)『中国料理の世界史』/赤嶺 淳
【特集】世界の豆食文化
 特集アドバイザー/小磯千尋(亜細亜大学国際関係学部教授)

 約2万種あるというマメ科植物のうち食用は約80種で、経済的に重要な栽培種は33種であるとい 
う。その33種が穀物とともに人類を支え続けてきたといっても過言ではない。マメは毎日世界の食卓にさまざまな形でのぼり、私たちの体と心を満たしてくれている。地球環境に配慮せざるをえなくなった今、マメは重要なタンパク供給源として新たに注目を集めている。人類の英知の結晶ともいえる世界のマメ利用=豆食文化を学ぶことで、今後の私たちの食事の選択肢がより豊かに広がることは間違いないだろう。

<特集>
(巻頭)日本で食べられている主な豆/編集部
Ⅰ 日本の豆食文化/長野 宏子

Ⅱ 豆と人間―農学からみた豆/戸石 七生

Ⅲ 海外の豆食文化
 1 壁ではなくフムスを―イスラエルと周辺国の豆論争/宇田川 彩
 2 イタリアの豆食文化/高根沢 均
 3 ペルーの豆食文化/蝦名 大助
 <トピックス>アジアとアフリカの納豆ワンダーランド/高野 秀行
 4 ナイジェリアの食文化に根ざした豆発酵調味料の開発/小林 健一
 5 豆は縁の下の力持ち―東アフリカのフィールドから/坂井 紀公子
 <インドの豆食―イントロダクション>/小磯 千尋、小林 真樹
 6 豆消費大国インド―家庭における豆利用/小磯 千尋
 7 インド豆料理探訪/小林 真樹
 <コラム>マディヤ・プラデーシュ州における大豆増産プロジェクトの思い出/中西 泉
 8 豆から見た中国の一日/川口 幸大
 <トピックス>ミエン・ヤオの儀礼食としての豆腐/廣田 律子

Ⅳ 豆のタネ
 1 続々登場する代替肉メニュー ファストフード・チェーンにもヘルシー志向の波/角谷 剛
 2 米国領グアムにおける枝豆(EDAMAME)文化/陣内 真佐子

特集まとめ: 人類の救世主としての豆/小磯 千尋

<連載> 
☆歌舞伎のレシピ(第5回)「一富士、二鷹、三茄子」/堀越 一寿 
☆大食軒酩酊の食文化(第55回)「飲食と宗教」/石毛 直道
☆ミクロネシアの島の暮らしと食(最終回)「陸上動物」/山本 宗立
☆文献紹介 池谷和信(編)<「フォーラム 人間の食第1巻」>『食の文明論―ホモ・サピエンス史から探る』/松本 亮三
【特集】食の装い
 特集アドバイザー/朝倉敏夫(国立民族学博物館・総合研究大学院大学名誉教授)

 「人間はなぜ装うのか」。
 衣の装いでは、その答えは「肉体を外部から保護するモノとしての機能(身体の保護)」と
 「着るヒトの存在を社会的に表象する記号としての機能(他人の視線)」の二つである。 
 では、食の装いではどうだろう。食の装いとは、どのようなときに、どのような形で、
 なぜおこなわれるか。それを知るのが今回の企画だ。 
 ハレの日に晴れ着を着るように、世界では、特別な日にどのような食の装いをするのか。
 東アジア、東南アジア、中東、ヨーロッパ、南アメリカの事例とともに、一見「装い」とは
 縁遠いと思われるアフリカの事例をみてみたい。
 また、すしと懐石料理に代表される日本の料理は、まさに「目で食べる」といわれる。
 その真髄はどこにあるのだろう。
 加えて、ヨーロッパとアジアにおけるお菓子の装いにも目を向けてみよう。 
 食の装いは時代とともに変わる。すでに定着した感のある「インスタ映え」の現象や、
 食の装いに活用されるAI技術についても探ってみたい。

<特集>
Ⅰ 海外編
 1.韓国の伝統的な食の装い―プジムハゲ(もりだくさんに/ 朝倉敏夫
 2.現代中国人のハレの食卓/劉 征宇
 3.東南アジアのオープンハウス―もてなす心が食の装いとなる/石川智士
 4.装うご飯の移り変わり インドネシアのトゥンパン/阿良田麻里子
 5.トルコの食と食卓の彩り―多様な地域性と日常・非日常―アイスン ウヤル 槙林
 6.フランス料理と非日常空間の演出―八木 尚子
 7.イースターの食卓からみるブルガリア人の世界観と美意識/マリア・ヨトヴァ
 8.文化のるつぼ、リマのクリスマスディナー
   /サウセド・セガミ・ダニエル・ダンテ、丸岡真紀穂
 9.エチオピアの食習慣とハレの装い/上村知春
 [コラム]装わないごちそう/小松かおり

Ⅱ 日本編
 1.すしの「装い」〜「ごちそう」の枠組み〜/日比野光敏
 2.<編集部インタビュー> 料理人にとっての「食と装い」/小室光博

Ⅲ 菓子の装い
 1.西洋における菓子の装い―カレームを中心に/南 直人
 2.アメと、アメを包むもの/加部勇一郎

Ⅳ“装い”の話題 
 1.「#ハッシュタグ」の魔力―「インスタ映え」のメカニズムを探る/藤本憲一
 2.食の装いの心的機能とAI技術の適用/和田有史、山寺 純

特集まとめ 「食の装い―装飾、装置、包装をキーワードに」/朝倉敏夫

<連載> 
 ☆歌舞伎のレシピ(第4回)「腹が減っては忠義はできぬ」/堀越一寿 
 ☆大食軒酩酊の食文化(第54回)「ラーメン鉢の雷紋」/石毛直道
 ☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第3回)「魚介類」/山本宗立
 ☆文献紹介 田村典江/クリストフ・D・D・ルプレヒト/スティーブン・R・マックグリービー
  =編著『みんなでつくる「いただきます」―食から創る持続可能な社会』/岸上伸啓
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身近な食から深奥な世界に迫る!
「Vesta」(ヴェスタ)は古代ローマの「カマドの女神」にちなんで名づけられた食文化専門誌です。民族学・史学・考古学・医学・哲学・経済学などさまざまな学問分野から食を眺め、身近な食生活の背景にある深奥な世界に迫ろうとするものです。歴史的な流れと地域的な比較の中で現在の社会のありようを考え、将来を展望するヒントを提供するものです。食文化に関する研究資料や教材に役立つのみならず食文化愛好家の理解の一助にもなる魅力ある雑誌です。 「みるvesta~食文化の世界~」 より多くの方に食文化に興味を持っていただけるよう、特集と連動した『vesta』映像版を制作しています。その名もズバリ「みるvesta~食文化の世界~」。数名のご執筆者の方に掲載記事を中心にインタビューし誌面にない内容も収録されています(ロングバージョン約10~13分、ショートバージョン約1分)。ぜひこちらもお楽しみください。 https://www.youtube.com/@user-kz4zb8tw3i

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