治療 発売日・バックナンバー

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2,750円
特集:『心房細動の抗凝固療法
-選択肢が増えたいま,正しい知識で賢く活用!-』



≪今月の視点≫

 2012年3月,第76回日本循環器学会学術集会が福岡で開催された(会長:鄭 忠和/鹿児島大学大学院教授).メインテーマは「愛と情熱─アジアから世界へ─」である.そのメモリアルレクチャー(プレナリーセッション)に,福岡県久山町疫学研究50周年を記念した国際シンポジウムが開かれた.時と地にふさわしい企画であった.
 久山町研究は当初脳卒中の実態調査が主であったとされるが,現在では生活そのものが対象である.久山町 成人病健診20周年記念「健康宣言」を紹介したい(http://www.town.hisayama.fukuoka.jp/50kenkou/kenkousengen.html).久山町民は,「バランスのとれた食生活をする」,「毎日働いて汗を流す」,「一日一日規則正しい生活をする」,「あらゆる健診をうけ早期発見・早期治療に努める」,「世のため人のため誇りをもって剖検をうける」との内容に感銘を受けた.久山町の1961年から今日に至るデータによると,全脳梗塞に占める各病型の割合が,男性ではラクナ梗塞が減り,アテローム血栓性脳梗塞および心原性脳塞栓の割合が増え,一方女性ではラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の割合にトレンドはなかったが,心原性脳塞栓の割合が増加した.高齢化と生活習慣病罹患率の増加に伴う非弁膜症性心房細動の増加による結果と考えられ,心房細動の薬物治療,とくに抗凝固薬の使い方やワルファリン以外の新薬(抗トロンビン薬,抗Xa薬など)への取り組み,適応,選択,切り替え,導入,維持,抗血小板薬との併用などがこれからの重要な治療標的となる.
 今回の特集では,心房細動,心不全,冠疾患,腎不全などの状況下での抗凝固療法の意義をわかりやすく解説していただいた.本誌が,さまざまな病態を合併する症例の治療におけるディシジョンメイキングの一助となれば幸いである.

朔 啓二郎  福岡大学医学部心臓・血管内科学 主任教授


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今月の視点(朔 啓二郎)

■座談会
循環器内科医からみる新規経口抗凝固薬の可能性(朔 啓二郎,他)

■総 論
心房細動における抗凝固療法の適応と選択(鈴木信也,他)
抗凝固療法の導入と手術時の中止・切り替えのコツ(清水昭彦)
抗凝固療法の維持 ―質を高める工夫はあるのか―(奧山裕司)
新規抗凝固薬はどうなっているか(是恒之宏)

■各 論
高齢者の抗凝固療法のコツと注意点(矢坂正弘)
心不全患者の抗凝固療法はどうするか(小川正浩)
心房細動アブレーション患者の抗凝固療法はどうするか(宮内靖史)
脳卒中後の心房細動の抗凝固療法と管理はどうするか(小林潤平,他)
冠動脈形成術後の心房細動の抗凝固療法 ─抗血小板薬との併用はどうするか─(海北幸一)
腎不全の心房細動患者の抗凝固療法はどうするか(伊藤建二,他)
心房細動の抗凝固薬と抗不整脈薬の併用にポイントはあるか(里見和浩)

すんなりわかる
実践! 心房細動の抗凝固療法(安藤 諭)

■Q&A
ワルファリンとダビガトランの使い分けはどうすればよいですか?(松本直通)
ダビガトランを使用する際に注意点はありますか?(小島 淳,他)
透析患者における抗凝固療法はどうすればよいですか?(深江学芸)
ワルファリンもダビガトランも少量で効果は期待できますか?(上山 剛)
抗凝固療法中に出血性合併症が出現した際の対応はどうすればよいですか?(安田智生)
ワルファリン以外の抗凝固薬の効果のモニタリングは可能ですか?(小宮憲洋)
肝機能低下または腎機能低下時の抗凝固療法はどのようにしますか?(琴岡憲彦)

温故医新(25)
心不全の治療 ─治療は診断である─(朔 啓二郎)
→当時の論文を全文閲覧できます(PDF:8.9MB)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(14)
医療ポライトネス・ストラテジーを応用した迅速問診(徳田安春)

エキスパートの思考法 認知症診療(1)
病歴,問診・診察から診断を考える①(川畑信也)

医師と患者のコミュニケーション(3)
キーパーソンの設定と対話 ─家族の構造変化を知る─(和田忠志)

よりよい医院経営(83)
これからの地域連携 ─市川市における医療・介護連携の取り組み─(大塚光宏)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(59)
心不全における貧血管理(上村大輔,他)
2,750円
特集:『インクレチン関連薬を使いこなす
-かゆいところに手が届く! Q&Aで「知りたい」を「わかった」に-』



≪今月の視点≫

 糖尿病患者は900万人を突破していると報道されている.しかしその約半数しか医療管理下に置かれていないのも現実で,今後合併症の爆発的発症を危惧する意見が多い.
 ところで2012年1月現在,約200万人弱の糖尿病患者に,2009年12月に市場に出現したインクレチン関連薬が投与されていることも糖尿病専門医として驚きを禁じ得ない.多くのプライマリ・ケア医が本薬の臨床経験が少ないのにもかかわらず,多少の不安を抱えながら投与されていることと推察される.
 そこで本特集は,プライマリ・ケア医である筆者が,本薬使用に当たって押さえるべき点,はっきりしたい点を中心に,この分野のトップランナーの先生方に25の質問(Q)を投げかけ,簡潔明瞭な回答(A)で解説していただくことにした.回答する先生方の半数は筆者がまとめ役をしている糖尿病専門クリニックの勉強会である全国臨床糖尿病医会の主力メンバーで,管理糖尿病患者1,000人を超え,かつ本薬の臨床経験の豊富な先生方である.
 筆者の期待どおり,完成した各論文は単なる解説ではなく多くの自験例から得た執筆者の確固たるポリシーと,適切なEBMに基づいた明確な回答で示してあり,その他,保険診療や医療経済からみた本剤の使用など,今までにない切り口でインクレチン関連薬を解説してある.プライマリ・ケア医が本剤を正しく使用する一助になることを期待するものである.

伊藤眞一 伊藤内科クリニック院長/全国臨床糖尿病医会会長


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今月の視点(伊藤眞一)
■Q&A
Q1  糖尿病の勉強会に行くと,以前あまり聞くことがなかったインクレチンというホルモンの話がやたら出てきます.糖代謝に関係しているホルモンだと思っておりますが,どのように理解したらよいのでしょうか?(飯降直男,他)
Q2  SU 薬とインクレチン関連薬の膵臓に対する作用機序の差異をわかりやすく教えてください(足立淳一郎,他)
Q3  インクレチンの糖代謝に対する作用のほか,最近膵外作用が報告されているようです.心血管などにはどうでしょうか?(安成英輔,他)
Q4  インクレチン関連薬使用にあたり必要な臨床検査にはどんなものがあり,それをどう読めばよいのでしょうか?  また投与後経過をみるにはどの検査をすればよいのですか?(長坂昌一郎)
Q5  DPP-4 阻害薬が市場に出ていますが,経口薬としてのポジションはどこですか?(川井紘一)
Q6  DPP-4 阻害薬はdrug-na?ve 2 型糖尿病患者の第一選択薬として適当と思われますか?(川井紘一)
Q7  現在4 種類のDPP-4 阻害薬が市場に出ていますが,薬効の強弱など層別化が可能ですか?(杉本英克)
Q8  4 種類のDPP-4 阻害薬ですが,保険上の併用が可能かどうかはそれぞれどのようになっていますか?(杉本英克)
Q9  DPP-4 阻害薬は,たしかに血糖コントロールはよくなりますが,使用後6ヵ月程度で再びコントロールが悪化するような気がしますがどうでしょうか?(杉本英克)
Q10  インクレチン関連薬でDPP-4 阻害薬とは異なる注射薬が出たそうですが,どう異なるのですか? また,インスリンの注射とはどう違うのですか?(宮川高一)
Q11  現在,ビクトーザ? とバイエッタ? の2 種類の注射があるそうですが,注射導入の方法と可能な併用薬について教えてください(宮川高一)
Q12  GLP-1 受容体作動薬をどのような患者に使用すべきと思われますか? また使用しないほうがよいと思われる症例は?(宮川高一)
Q13  インクレチン関連薬の薬効の1 つのうち,大切なものに体重減少があると思うのですが,この点についてDPP-4 阻害薬およびGLP-1 受容体作動薬に分けて教えてください(栗原義夫)
Q14  従来は糖尿病治療開始時にインスリン分泌不全,インスリン抵抗性の2 つのファクターを考えてみよ,といわれていましたが,インクレチン関連薬の場合はどうですか? インクレチン関連薬投与で脂質の改善,血圧の改善はみられますか?(栗原義夫)
Q15  2011 年9 月よりDPP-4 阻害薬とインスリン製剤の併用が認められました.どのような考えからそのように認められるようになったのですか? また,どのような症例に併用をするのでしょうか?(船山秀昭)
Q16  インスリンの節約作用としてDPP-4 阻害薬に臨床的意義はあるのですか? DPP-4 阻害薬の薬効がいまひとつの場合にインスリン製剤を乗せるのは有効でしょうか?(船山秀昭)
Q17  インクレチン関連薬のresponder,non-responder について教えてください(船山秀昭)
Q18  インクレチン関連薬投与による低血糖が問題となっていますが,どのような症例に起こるのでしょうか?(辻野元祥)
Q19  免疫系の変化,膵炎,膵腫瘍がよく記載されていますが,インクレチン関連薬使用にあたって今後注意深くチェックする点はあるでしょうか?(辻野元祥)
Q20  CGM とはなんですか? SMBG と比較してどのような点がよいのですか?(森  豊)
Q21  DPP-4 阻害薬の効果をCGM からみるとどのようなことがいえますか?(森  豊)
Q22  GLP-1 受容体作動薬の効果をCGM からみるとどのようなデータでしょうか?(森  豊)
Q23  現在市場に出ている4 種のDPP-4 阻害薬の腎機能に配慮した使い方を教えてください(安藤亮一)
Q24  DPP-4 阻害薬は2012 年1 月現在,200 万人弱の糖尿病患者に使用されていると聞きますが,なぜこの薬がこのように糖尿病の治療を一変させてしまったのでしょうか…使用してみてどのような点が優れているのですか? 一方GLP-1 受容体作動薬は現在,一般的な治療とまでは達していないようですが,なぜですか?(伊藤眞一)
Q25 「 糖尿病患者をいかに“治療中断”せず医療管理下に置くか」を絶えず念頭に診療をしておりますが,最近,中断の原因として経済的理由が重要視されているようです.医療経済的視点からみて,インクレチン関連薬使用で知っておかなければならない重要な点は何ですか?(伊藤眞一)

すんなりわかる
実践! インクレチン関連薬を使いこなす(木村武司,他)

温故医新(24)
「糖尿病治療の動向(昭和33年)」から今の治療を考える(伊藤眞一)

医師と患者のコミュニケーション(2)
学生の在宅医療実習(和田忠志)

再生医学のいま ―基礎研究から臨床への展開に向けて―(56)
神経障害性疼痛(complex regional pain syndrome(CRPS) を含む)に対する生体内再生治療(稲田有史,他)

よりよい医院経営(82)
遠隔診療の「見える化」─離れていても向き合える─(山本 伸)
2,750円
特集:『外来でのアルコール問題
- プライマリ・ケアで遭遇する,アルコール問題を抱えた患者の診かた -』


≪今月の視点≫

「不眠が生じた場合,どのような行動をとるか」を国際比較したデータによると,「医療機関を訪れることが最も少なく,飲酒する率が最も高いのは日本」とされている.この結果の妥当性を実感したのは,昨年,東日本大震災の約半年後に,被災地に医療支援のため赴いたときである.被災地の保健所で保健相談を行ったが,被災後に生じた不眠・不安を紛らわすため飲酒量が増え,その結果,心身の不調が生じているにもかかわらず,医療受診をためらっている方が目立った.筆者を含め多くの医療支援者にとって,過量飲酒がもたらす問題点を伝え,医療受診を促すことが,支援活動の大きな役割の1つであった.
 被災地を去るにあたり,不安が残ったのは,飲酒の問題が生じている被災者が地元の医療機関を訪れた際,どのような対応がなされるかである.過量飲酒がもたらした疾患だけが治療対象となり,飲酒行動自体,あるいは過量飲酒に至る心理社会的問題が顧みられなければ,十分な改善は期待できない.
 被災地の医療支援で感じたことは,「平時の医療や保健体制が不十分な部分は,たとえ被災後に支援を得たとしても,十全に機能するものではない」という点である.普段の医療・保健の水準を十分に高めておくことは,防災上も重要である.しかしながら,アルコール摂取は多様な身体・精神疾患と密接な関連するにもかかわらず,わが国のアルコール問題に対応する医療・保健体制は,残念ながら十分とはいえない.
 このような状況を踏まえ,本特集は一般の医療・保健にかかわる方々に,アルコール問題への対応法を提供することを企図した.総論,各論に加えて,医療・保健場面で想定される質問事項にどう答えるかを具体的に示したQ&Aコーナーを設けた.アルコール問題への関心の高まりと,対応の向上につながることを願うものである.

尾崎紀夫 名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野 教授


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今月の視点(尾崎紀夫)
■総 論
外来でのアルコール依存の対応(吉村 淳,他)
一般医と精神科医の連携,自助グループについて(西山 仁)
アルコール関連問題基本法(仮称)の制定で何が変わるのか?(烏帽子田 彰)
アルコール医療の新たな展開─ 多量飲酒者対策を含めた医療へ─(杠 岳文)
■各 論
アルコール性肝障害における肝移植(木村宏之)
摂食障害とアルコール・薬物依存(切池信夫)
うつ病,双極性障害とアルコール・薬物依存(中野和歌子,他)
アルコールと睡眠障害(穐山真由美,他)
アルコール・薬物問題と自殺予防(松本俊彦)
■Q&A
お酒を飲んだら車を運転するまでに,どのくらい待たなければならないでしょうか?(松本博志)
飲酒後に顔の赤くなる人は,お酒が体質に合っているのでしょうか?(樋口 進)
飲みすぎで起こる身体の病気にはどのようなものがありますか?(藤田尚己,他)
アルコール依存症と大酒飲みはどこが違うのでしょうか?(中山秀紀)
大酒飲みに対する節酒の指導方法を教えてください(角南隆史,他)
お酒を飲んで暴れたり,大声を出したりして周りに迷惑をかける人にはどのように対処したらよいでしょうか?(村山昌暢)
アルコール依存症の否認とその対処法について教えてください(福田貴博)
抗酒薬とはどのような薬で,どのように使ったらよいでしょうか?(長 徹二)
女性は男性に比べて,飲酒の影響が出やすいと聞いていますが…(真栄里 仁,他)
高齢者の飲酒問題とその対処法について教えてください(松下幸生)
外来患者の家族から本人の飲酒で困っていると相談されました(藤田さかえ)
薬を服用している患者が飲酒を希望するときはどうしたらよいでしょうか?(堀江義則)

すんなりわかる
実践! 外来でのアルコール問題(山梨啓友)

温故医新(23)
アルコール依存症治療の進歩(樋口 進)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(13)
患者が医療チームの一員となるための看護師の役割(井部俊子)

医師と患者のコミュニケーション(1)
学生の外来実習への対応(和田忠志)

よりよい医院経営(81)
マインドマップによる医療の「見える化」─ 医院が健康啓発コミュニティの中枢へ─ (山本 伸)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(58)
虚血性心疾患におけるMRI 検査の有用性(加藤真吾,他)

臨床経験
オキサリプラチン誘発性末梢神経障害に対するプレガバリンの使用経験(間遠一成 他 584
自律神経免疫治療は末期悪性腫瘍症例の生活の質を高める(班目健夫)
西洋医学的治療と自律神経免疫治療とを併用した前立腺癌の1 症例(班目健夫)
2,750円
特集:『過敏性腸症候群の診かた
- 専門領域を越えた,さまざまなアプローチ法とは? -』


≪今月の視点≫

 腹痛,腹部膨満感,便秘,下痢などの症状の原因疾患として最も多いのは過敏性腸症候群であろう.正確な患者数は明らかではないか日本人では10〜15%の有病率で患者数は1,200万人を超えるのではないかともいわれている.先進国で有病率が高くアメリカでの患者数は約6,000万人との報告もある.
 多彩な消化器症状だけでなく他臓器によると思われる症状を伴うこともある.またほとんどの年齢層でもみられる疾患であることも加わり,診断・治療に携わる診療科が大変多くなっている.消化器内科,総合内科,総合診療科,心療内科,精神科,小児科などが診療を行っている.
 治療法も食事,運動,薬物,カウンセリング,鍼灸療法など多くが試みられている.生命を脅かすような疾患ではないがQuality of life(生活の質)が大きく下げられている患者も多く,この疾患による症状のため仕事を休む人も多く,大きな社会的損失になっているとの報告もあり,現在よりよい効果的な治療法が望まれている.いくつかの診断基準があるが,世界で最もよく用いられているものの1つにRomeⅢ基準があり,いくつかの病型分類がなされているが,果たしてこれらのすべてが同じ原因であり,同じ疾患であるかは明らかとなってはいないであろう.
 今回いくつかの観点から過敏性腸症候群について解説していただくとともに,さまざまな診療科の先生方にそれぞれの立場から過敏性腸症候群の特徴,診断・治療について教えていただくことにより,日常の診療に役に立つだけでなく過敏性腸症候群を1つの疾患群と考えてよいのかどうかもみえてくるのではないだろうか.

川名一朗 横浜市立大学附属病院消化器内科 准教授


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今月の視点(川名一朗)
■総 論
過敏性腸症候群の疫学 ―日本の疫学を中心に―(川島耕作,他)
■診 断
診断基準(水田陽平,他)
■病型分類
下痢型(稲森正彦)
便秘型(中島滋美)
混合型(天野智文)
■治 療
ガイドラインに基づく治療方針(多田育賢,他)
食事療法(稲富 理,他)
薬物療法(西澤俊宏,他)
漢方療法(武田宏司)
精神療法(山口 力,他)
鍼灸療法(松本 淳,他)
■それぞれの診療科の立場から
消化器内科(眞部紀明,他)
総合診療科(吉江浩一郎)
心療内科(網谷真理恵,他)
精神科(松島英介)
小児科(小林穂高)

すんなりわかる
実践! 過敏性腸症候群の診かた(茂木恒俊)



≪Series≫
よりよい医院経営(80)
日本医療を見直す ―医療鎖国を考える―(中田健夫)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(55)
自家培養線維芽細胞によるアンチエイジング(蛯沢克己,他)

何が正解? 消化器治療 EBM で検証(80)
慢性膵炎とアルコール摂取,喫煙(川名一朗,他)
2,750円
特集:『リウマチ診療のパラダイムシフト
- 大きく変わった診断・治療のエッセンスを徹底解説 -』


≪今月の視点≫

 医学,そして内科学というものは総体として確実に進んでいくものであるが,すべてのサブスペシャリティが等速で進歩しているわけではなく,いくつかの分野が技術革新に伴って飛躍的に進むことで,全体が進歩していく.そうしたなかで関節リウマチの世界は過去30年間ほとんど進歩のない,ほかから取り残された分野であった.もちろんDMARDsの開発や免疫抑制剤などの利用により以前に比べれば進歩はあったのであるが,そこにまさにブレイクスルーとして起こったのがこの数年間の生物学的製剤の導入である.
 TNFαとよばれる免疫系賦活の初動を司るサイトカインを抑制し免疫系を不活化することによって,関節の疼痛が劇的におさまり腫脹がとれることが実証され,またその副作用も比較的小さいことがわかり,高価であるにもかかわらず急速に普及していった.さらにわが国で開発された抗IL-6レセプター抗体(トシリズマブ)など種類も増えた.そしてこれらの薬剤はリウマチの診療そのものを次々と変えている.すなわち早期診断のための診断基準,早期治療の方針,そして手術の方針までも変えてしまった.まさにリウマチ診療のパラダイムシフトが起こったのである.このため一般医がこうした新たな診療方針について行けず,リウマチ専門医の必要度が上がったともいえる.一方で専門医は数が少なく高まる需要に応えられない.この結果,専門医から一般医に逆紹介する医療連携も必要になると考えられる.今回の特集は,わが国のリウマチ専門医の代表といわれる先生方によって,こうしたリウマチ学の大きな変化のなかで一般医が知っておくべき知識は何か,求められているものは何かをわかりやすく解説していただくことを目的としたものである.


高林克日己 千葉大学医学部附属病院企画情報部 教授


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今月の視点(高林克日己)
■診療のパラダイムシフト
リウマチの診療が変わった(高林克日己)
欧米のリウマチ診療ガイドラインとTreat to Target(泉 啓介,他)
早期診断・早期治療,window of opportunity(田村直人)
関節リウマチ診療における関節エコーの有用性(池田 啓,他)
リウマチにおけるMRI 診断(住田孝之,他)
一般医のための関節リウマチ活動性の評価(倉沢和宏)
■治療薬のパラダイムシフト
知っておきたい生物学的製剤の基礎知識(田中良哉)
生物学的製剤をどう使い分けるか(瀬戸洋平,他)
トシリズマブ─日本発の生物学的製剤─(西本憲弘)
MTX の治療法が変わった(鈴木康夫,他)
免疫抑制薬をどう使うか(遠藤平仁)
生物学的製剤と整形外科手術(窪田綾子)
■HOT TOPICS
リウマチと地域医療連携(簑田清次)

すんなりわかる
実践! リウマチ診療のパラダイムシフト(宇井睦人)



≪Series≫
医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(12)
高齢者とコミュニケーション(宇佐美まゆみ)

よりよい医院経営(79)
医療版MB 賞フレームワーク活用による病院の経営革新(末松清一)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(54)
培養細胞移植による毛包再生治療の開発に向けて(青井則之,他)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(57)
大動脈弁狭窄症の予後および治療について(川浦範之,他)



≪Contribution≫
肺炎治療におけるスイッチ療法(栁原克紀)
2,750円
特集:『肺炎外来マネジメント
-新たに加わった概念「医療・介護関連肺炎(NHCAP)」など最新の動向を探ります -』


≪今月の視点≫

 「肺炎」は現代においても,常に経験する普遍的な感染症である.また死亡原因統計をみても,肺炎は悪性腫瘍,心疾患,脳血管障害についで第4位を占めている.さらに最近では,脳血管障害を抜いて肺炎が第3位につけている県もいくつかみられる.このような現状の背景には,「肺炎」が社会環境や宿主条件の変化に伴いながら,自らも変容している事実がある.その変容を生じる因子には,高度医療の陰で増加する多彩な免疫低下宿主とその日和見感染の複雑化や,抗菌薬治療から生まれる耐性菌の環境中への拡散,新しい起炎菌や耐性菌の国内移入も問題となっている.また東日本大震災による未曾有の災害は急激な環境破壊をもたらし,その結果として津波肺炎や結核流行といった想定外の感染症の出現をも招来している.
 これら肺炎の変容に対して,最近では新たに「医療・介護関連肺炎(NHCAP)」という疾患概念が確立され,新規ガイドラインが発行されるに至っている.この疾患はわが国の医療環境を勘案したうえでの,市中肺炎(CAP)と院内肺炎(HAP)の間に位置する高齢者を中心とした難治性の肺炎群である.そのほかにも,新規の起炎菌の迅速診断法や,外来静注療法(OPAT),肺炎の外来治療の推進など,新たなトレンドも現れている.
 そこで本特集号では,呼吸器感染症の各分野で最も造詣の深い先生方に,各項の執筆をお願いした.内容的には,市中・院内肺炎に加えてNHCAPの詳細から,さらにワクチン効果や患者満足度まで,とくに外来臨床を中心に役立つ情報を広く網羅したつもりである.本誌を通じて感染症「肺炎」の最新情報が伝わり,臨床現場での肺炎の的確な診断治療に寄与することを,大いに期待するものである.

中浜 力 中浜医院 院長


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今月の視点(中浜 力)
■総 論
市中肺炎― 最近のトピックス―(藤田次郎)
院内肺炎― 最近のトピックス―(青木洋介)
小児肺炎― 最近のトピックス―(黒崎知道)
成人肺炎ガイドラインの臨床的意義とその評価(渡辺 彰)
■各 論
NHCAP(医療・介護関連肺炎)ガイドラインの定義(関 雅文,他)
NHCAP の原因菌と耐性菌の危険因子(進藤有一郎,他)
NHCAP での抗菌薬の選択(石田 直)
NHCAP における誤嚥性肺炎のマネジメント(寺本信嗣)
市中病院でのNHCAP の実際(伊藤功朗)
プライマリ・ケアでのNHCAP の実際(中浜 力)
東日本大震災後の肺炎発症の状況(高橋 洋)
肺炎診断とグラム染色(田里大輔,他)
肺炎迅速診断法のトピックス(福島喜代康)
マイコプラズマ肺炎― 診断法とトピックス― (峰松明日香,他)
クラミジア・ニューモニエ肺炎と百日咳― 診断法とトピックス― (宮下修行)
成人肺炎の耐性菌とその治療法(水谷 哲)
小児肺炎の耐性菌とその治療法(大石智洋)
外来肺炎の診療マネジメント(髙野義久)
在宅肺炎の診療マネジメント(守屋 修)
外来静注療法(OPAT)(加藤元一)
肺炎の予防とワクチン接種(宮良高維)
アメリカにおける肺炎診療の現状(笠原 敬)
市中肺炎患者の治療満足度調査(中浜 力)
■Q&A
肺炎診療におけるCRP とPCT の有用性を教えてください(吉田耕一郎,他)
肺炎診断における血液培養の有用性を教えてください(永田正喜)
院内肺炎(HAP)におけるde-escalation の実際的な治療方法を教えてください(田中孝正,他)
ここ最近に発売された新しい抗菌薬の特徴やよい適応を教えてください(塚田弘樹)

すんなりわかる
実践! 肺炎外来マネジメント(金城謙太郎)



≪Series≫
温故医新(22)
身体診察の奥の深さ(髙野義久)

よりよい医院経営(78)
患者本位の治療に必要な医薬品情報と情報共有(佐藤幸夫)

何が正解? 消化器治療 EBM で検証(79)
NASH はどうやって治療するのか?(川名一朗,他)
2,750円
特集:『うつ状態を理解する』


≪今月の視点≫

厚生労働省によると,近年うつ病をはじめとする気分障害の患者数が100万人を超えたとされているが,未受診の者も含めその実数はさらに多いと推測される.うつ病は気分の憂うつさや意欲の低下が中核的な症状であるが,それらの精神症状よりも不安に基づく身体的な症状が本人に自覚され,内科などのプライマリ・ケア医のところへ受診することが多い.みられる身体症状は動悸,息切れや呼吸苦,発汗,便秘や下痢,頭痛や腹痛を含めた疼痛,めまいや耳鳴り,吐気や嘔吐,食欲低下や過食などあらゆる身体的な愁訴である.このような身体症状で訪れる患者に検査を行ってもその多くで身体的原因がみつからない.
患者がプライマリ・ケア医の診察に訪れる際には身体的愁訴が主訴なので,通常は精神症状を積極的には訴えない.したがって,医師からあえて質問をしないと精神症状は見いだせないことになる.また,検査で明確な所見が見いだせないときに使われる「ストレス性」あるいは「自律神経失調(症)」も便利なようであるが,医学的にはわかったようでわからない診断名である.
われわれ精神科医の診断は,問診とそのときの患者の様子や態度などから得られる情報で行われる.精神科の診断は通常1回の面接だけでは決められない.したがって,われわれは症状を確認して症状の集まりを状態として捉えている.それを状態像というが,「うつ状態」というのは状態像を診断したものである.「うつ状態」には抑うつ気分や意欲の低下などの精神症状のほかに,不安症状とその表れとしての身体症状も含まれる.そして,このうつ状態を呈する疾患はさまざまあるので,その鑑別診断をその後の診察で行っていく.
状態像診断を行う目的の1つに,状態像が決まると薬物の選択ができるということがある.精神科医はうつ病と診断してから抗うつ薬を開始するのではなく,うつ状態と診断して抗うつ薬を処方する.これは案外,精神科医以外はあまり使わない治療方法かもしれない.その状態像にあった薬物を選び,投与してどのような効果が出ているかという経過を追い,症状の変化をみて,さらにいろいろな情報を得て最終診断へと進んでいく.
今回の企画は「うつ状態」を取りあげ,さまざまな視点からその領域の専門家の先生に執筆をお願いした.プライマリ・ケア医の座右の書になれば望外の幸せである.

五十嵐良雄 メディカルケア虎ノ門 院長



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今月の視点(五十嵐良雄)
■座談会
うつ状態をどのように理解するか(五十嵐良雄,他)
■総 論
うつ状態を呈する疾患(渡辺 登)
現代的なうつ(上瀬大樹,他)
職場結合性気分障害― 職場結合性うつ病・双極性障害―(加藤 敏)
うつ状態を呈する疾患の薬物療(櫻井 準,他)
■タイプ別にみるうつ状態
高機能発達障害のうつ状(山田貴志,他)
パーソナリティ障害のうつ状態― 境界性パーソナリティ障害について―(田中 聡,他)
神経症のうつ状態― 神経症性うつ病から適応障害へ―(牛島定信)
高齢期のうつ状態(中野祥行,他)
産業領域におけるうつ状態(中村 純,他)
■トピックス
若年性認知症とうつ状態(下田健吾,他)
PTSD のうつ状態(飛鳥井 望)
女性のうつ状態(内出容子,他)
うつ状態に対する認知療法・認知行動療法(大野 裕)
うつ状態に対する対人関係療法(水島広子)
うつ状態に対する運動療法(内田 直)
うつ状態に対する入院治療(徳永雄一郎)
うつ状態とNIRS(里村嘉弘,他)
企業におけるうつ状態― 主治医と経営者はなぜ手を結べないのか―(白波瀬丈一郎)
リワークプログラムにおけるうつ患者のリハビリテーション(横山太範)
労災とうつ状態(黒木宣夫)
自殺とうつ状態(稲垣正俊,他)
発達障害のリハビリテーションと自立過程におけるうつ状態(大嶋正浩)
うつ病の社会的コスト(佐渡充洋)



≪Series≫
医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(10)
紹介先の医師に患者の「人となり」を伝える「吹き出し」の効用(矢吹清人)

よりよい医院経営(77)
トヨタ流の病院経営(福岡藤乃)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(56)
拡張期心不全の診断と治療(上村大輔 他)
2,750円
特集:誰もが知っておくべきHIV/AIDSの基礎知識


≪今月の視点≫

HIV感染者は,さまざまな理由でクリニックや一般病院を受診する.しかし,その多くがプライマリ・ケア医に感染を見逃されている.抗HIV薬の導入によりHIV感染症の予後は著しく改善したが,初期に感染を見逃され診断時すでにAIDSを発症してしまった症例(いわゆる「いきなりエイズ」)では,今なお予後不良である.
救命できなかった患者が,過去に梅毒・急性B型肝炎・帯状疱疹などHIVに関連するエピソードを有しており,「なぜもっと早く診断できなかったのか」と思うことは少なくない.編者らがプライマリ・ケア医に施行したアンケートでのHIV スクリーニング検査の実施率は,梅毒の診断時で45.8%,急性B型肝炎に至ってはわずか33.3%であった.HIV感染症を早期発見すればAIDS発症が予防できるため患者の予後に大きく貢献し,さらには2次感染予防も可能となる.プライマリ・ケア医がHIV感染症を鑑別疾患として想起し,適切な検査で確実に診断することが重要である.
わが国でHIV感染者が増加していること,また感染者に長期の生命予後が期待できるようになったことから,今後はクリニックや一般病院でHIV感染者と接することが増えるであろう.HIV感染者は数10年の外来管理が必要となり,日和見感染症予防・薬剤副作用の管理・メンタル的問題の対応など,感染症診療の修練には最適なケースでもある.けっして「エイズ拠点病院で専門医が診ていればよい疾患」ではなく,ぜひプライマリ・ケア医に積極的に診療に関与していただきたい.本特集がその手助けになればと考えている.

内藤俊夫 順天堂大学医学部総合診療科 准教授


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今月の視点(内藤俊夫)

■HIV/AIDS って?
HIV ってどんなウイルス?(本田美和子)
世界の状況(菊地 正,他)
日本の状況(横幕能行)
■HIV 感染症を見逃さない!
発熱から(内藤俊夫)
呼吸器症状から(柳澤如樹)
皮膚所見から(山中 晃)
性行為感染症から(堀 成美)
血液検査異常から(加藤哲朗)
HIV 感染症と肝疾患― ウイルス性肝炎の合併―(古庄憲浩,他)
■HIV 感染症を疑ったら?
まず最初にする検査(木村宗芳,他)
スクリーニング検査が陽性だった場合の対応(西島 健)
スクリーニング検査が陰性だった場合の対応(乾 啓洋)
HIV 感染症の告知(平井由児)
■HIV 感染症の治療って?
抗HIV 薬の開始・選択(鯉渕智彦)
日和見感染症の予防(村松 崇)
免疫再構築症候群(塚田訓久)
■管理で気をつけることは?
HIV 感染者とワクチン(村中清春,他)
HIV 感染者の結婚・妊娠・出産(小島賢一)
HIV 感染者の婦人科的問題(斎田瑞恵)
メンタル的な問題(渡辺恒二)
HIV 感染者の手術(鶴見 寿)
HIV 感染症の歯科関係における問題(中田たか志)
HIV 感染症に関連した社会保障制度(横見弥世衣,他)
■トピックス
クリニックでHIV 感染症を診るということ(井戸田一朗)
HIV 感染症と結核(皿谷 健)
HIV 感染者に関する医療機器の滅菌・消毒法と針刺し・切創・血液曝露後の対応(神野定男,他)
HIV ワクチンと新規抗HIV 薬の開発状況(山本典生)



≪Series≫
医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(9)
“言葉の補助輪”のすすめ(相澤正夫)

よりよい医院経営(76)
フランスの医療の様子(真野俊樹)

何が正解? 消化器治療 EBM で検証(78)
逆流性食道炎― 高脂肪食摂取で胸やけは起こるのか?(川名一朗,他)



≪Contribution≫
臨床経験 肛門管の臨床解剖,自制と便意,排便機構(長谷川 寛)
2,750円
特集:認知症の薬物治療
-新薬登場でどう変わるのか?あらたな治療戦略を探ります-


≪今月の視点≫

─かかりつけ医の皆様への認知症医療参入のお勧め
今年に入って,アルツハイマー病の適応を有する3つの新薬が発売された.新たな選択肢の登場は,わが国の認知症医療にとって,大いなる福音である.
確実で選択的なアセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害作用をもち,わが国でも多くのエビデンスがあるドネぺジルに加えて,ニコチン性アセチルコリン(Ach)受容体の感受性を亢進させるデュアル・アクションのガランタミン,ブチリルコリンエステラーゼの阻害作用も有し,パッチ薬の導入で副作用の軽減や服薬コンプライアンスの向上が期待されるリバスチグミンと,独自の薬理作用・特徴をもったAchE阻害薬3薬がラインアップした.さらに,中等度および高度ADでは,NMDA受容体チャネルの過剰な活性化を抑制し,シナプティックノイズを抑えることにより,神経細胞を保護し,認知機能改善作用を示すとされるメマンチンも選択肢に加わった.
長寿高齢化社会に加え,複合家族から核家族への家族形態の変化,そして,社会の高度情報化により“社会生活・日常生活の支障”が顕在化し,プライマリ・ケア医のもとを受診する高齢の軽症認知症患者が増加している.専門医数が限られた現状で,増加する認知症患者に対応するには,プライマリ・ケア医の積極的な認知症医療への参加が望まれる.本特集では,新薬発売を機会に,それぞれのエキスパートに,新薬の特徴と患者選択の目安をご解説いただいた.認知症患者の増加は,けっして医療のみの問題ではない.とくに介護施設の全体的な不足は大きな社会問題である.施設入所の直接のきっかけとなることが多い,行動・心理症状に関しても,症状ごとに焦点を当てて,薬物療法をご解説いただいた.
本特集が,一人でも多くのプライマリ・ケア医の先生の認知症医療への参入の序となれば幸いである.


高橋 智 岩手医科大学医学部神経内科・老年科 准教授


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今月の視点(高橋 智)

■総 論
認知症患者に薬物療法を始める際の病名告知について(今井幸充)
認知症の薬物治療の工夫 ―服薬コンプライアンスをあげるために―(山崎峰雄)
■アルツハイマー病の認知機能改善薬と根本治療薬
海外におけるアルツハイマー病治療薬の使用状況(羽生春夫)
ドネペジルの特徴(川畑信也)
ドネペジルの服薬指導と効果判定(繁信和恵)
ドネペジルの副作用への対応(丸木雄一)
ドネペジル開始と増量のタイミング(福井俊哉)
ドネペジル早期投与の意義について(金田大太)
ドネペジル長期投与のエビデンス(堀 宏治,他)
ガランタミンの基礎および臨床薬理作用の特徴(鍋島俊隆)
Q&A ガランタミンの臨床効果とその判定について教えてください(本井ゆみ子)
リバスチグミンの特徴(中村 祐)
Q&A リバスチグミンが望ましい患者,望ましくない患者のポイントを教えてください(砂田芳秀)
NMDA 受容体拮抗薬の特徴(本間 昭)
Q&A アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とNMDA 受容体阻害薬の併用について教えてください(北村 伸)
Q&A 脳血管障害を合併するアルツハイマー病の治療の考え方を教えてください(古川勝敏)
Q&A 現在開発されているアルツハイマー病の根本治療薬について教えてください(藤本陽子)
■BPSD 治療薬
Q&A オフラベルとしてのBPSD 治療薬使用に関する注意点を教えてください(平井茂夫)
Q&A 認知症における易刺激性,焦燥・興奮,脱抑制および異常行動に対する薬物療法を教えてください(佐藤晋爾,他)
Q&A 認知症における不安,抑うつおよび多幸感に対する薬物療法を教えてください(犬塚 伸,他)
Q&A 認知症におけるアパシーおよび食行動異常に対する薬物療法を教えてください(下村辰雄)
Q&A 認知症における睡眠障害の薬物療法を教えてください(上島国利)
■アルツハイマー病以外の認知症
レビー小体型認知症の薬物治療(小阪憲司)
血管性認知症の薬物治療(長田 乾,他)



≪Series≫
温故医新(20)
「プロ」としてのてんかん診療(大生定義)
→当時の論文を全文閲覧できます(PDF:2.7MB)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(7)
クリニカルパスをご存知ですか?(有満憲恵,他)

再生医学のいま ―基礎研究から臨床への展開に向けて―(52)
細胞・細胞成長因子・生体材料を応用した皮膚再生医療(黒柳能光)

何が正解? 消化器治療 EBM で検証(77)
過敏性腸症候群に精神安定剤は有効か?(川名一朗,他)


≪Contribution≫
TOPICS:ER 型救急医療が注目される背景(太田 凡)
TOPICS:ER 型救急医療の問題点(太田 凡)
臨床経験:直腸癌Miles 手術29 年後に発症した人工肛門皮膚接合部腺癌の1 例(中尾健太郎,他)
2,750円
特集:救急・災害up to date
-これからの救急医療と災害医療をあらためて考える-


≪今月の視点≫

わが国は現在,未曾有の災害のもと復旧・復興に向けて邁進しているところであるが,今震災に際してわれわれ医療人も災害・救急医学の重要性と問題点を再確認・再認識しつつあるのではなかろうか.
とりわけ,現地における災害医療の課題や,収束のみえない原発事故に関連した放射線障害などについて,現段階における報告としてまとめられることの意義は少なくないものと考える.
その一方,ガイドライン2010やJATEC(TM)などのマニュアルやガイドラインの充実,救命士制度やAED普及に関する一定の評価など,数年来の課題点を整理しておくことも重要である.
さらに,近年殊に注目されているそのほかいくつかの臨床的・社会医学的問題点に関してもその現状を理解しておくべきであろう.
すなわち,本特集は,救急・災害の視点から現時点でプライマリ・ケアドクターとして整理および理解をしておくべきポイントに絞ってまとめられたものであり,まさに「救急・災害 up to date」というにふさわしい内容となっているものと考えられる.
本誌で得られた知識が被災地域以外の医師にとって実践の場でいつ必要になるのかは知るすべもないが,実際の局面で慌てないためにもぜひ座右においていただければと願う次第である.

福山正紀 ふくやまクリニック(京都府) 院長
太田 凡 京都府立医科大学救急医療学教室 教授


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今月の視点(福山正紀,他)

■東日本大震災
東日本大震災における災害医療
― 基幹災害拠点病院と県庁災害対策本部から見えたこと―(山田康雄)

■放射線障害
放射線障害が注目される背景(小池 薫 他)
急性期障害と慢性期障害(小池 薫 他)

■救急蘇生ガイドライン2010
ガイドライン作成の課程(石見 拓)
ガイドラインのアウトライン(石見 拓)
胸骨圧迫の重要性(石見 拓)

■AED と突然死
突然死の原因と頻度(三田村秀雄)
AED の効果と使用方法(三田村秀雄)
AED の維持管理の問題(三田村秀雄)

■外傷初期診療の標準化教育(JATEC)
外傷初期診療ガイドラインJATEC(TM)の概要(横田順一朗)
JATEC(TM)コースの意義と概要(横田順一朗)

■脳梗塞の急性期治療
血栓溶解療法の治療効果(永金義成)
その他の急性期治療(山村 修)
新しい取り組み─急性期MRI 診断,血管内治療─(山田丈弘 他)

■様変わりした「熱中症」
熱中症の実態(福山正紀)
熱中症の新しい考え方(福山正紀)

■新しい敗血症診療
Surviving Sepsis Campaign Guidelines とは?(青木克憲)
Surviving Sepsis Campaign Guidelines をめぐる議論(青木克憲)

■救急救命士の活動とメディカルコントロール
救急救命士とは?(大石泰男)
メディカルコントロールの現状と今後の可能性(大石泰男)

■小児虐待
小児虐待の実情(安 炳文)
小児虐待を疑った場合の対応(安 炳文)
小児虐待を減らすためには(安 炳文)

■救急と法律・医療事故
救急医療に関連する医事紛争・医療事故の実例(中西 泉)

■押さえておきたいキーワード
低体温(福山正紀)
エピペン®(大石泰男)
圧挫症候群(crush syndrome)(横田順一朗)
トリアージ(太田 凡)


≪Series≫
温故医新(19)
災害救急の草分け(橋本洋一郎)

よりよい医院経営(75)
スウェーデン医療の実態(真野俊樹)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(51)
滑膜幹細胞を用いた関節軟骨再生(関矢一郎,他)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(54)
早期再分極症候群―健診でみかけたら?―(細田順也,他)


≪Contribution≫
臨床経験:Basal supported oral therapy では血糖および体重コントロールに難渋していた2 型糖尿病にDPP-4 阻害薬が著効した1 例(稲垣聡子,他)
臨床経験:頻回の低血糖発作で判明した,慢性膵炎合併緩徐進行1 型糖尿病の1 例(和田昌幸)
2,750円
特集:尿のトラブル110番
-頻尿・出にくい・漏れる・血尿?患者さんのQOLを守るのはあなたです!-


≪今月の視点≫

わが国は超高齢化社会を迎えており,2050年には65歳以上の人口が39.6%になる
と予想されている.高齢者ほど尿に関する疾患の発生率が高いため,今後医療現場
では,尿のトラブルを訴える患者が急増することは疑いがない.しかし,実際の現
場で排尿管理を担う泌尿器科開業医(オフィスウロロジスト)は,全国で1,500人に満
たない.たったこれだけの人数で,全国の高齢者の排尿管理を行ったり,血尿のス
クリーニングを行ったりできるとはとても思えない.多くの患者を診ておられる一
般医の先生方と,われわれ泌尿器科専門医とが連携をもち,地域として診療を行っ
ていく必要性に迫られている.
テレビの健康番組などで,繰り返し耳にする言葉がある.「脳梗塞の予防のため,
寝る前に水を飲んで血液をさらさらにしましょう」,「膀胱炎にならないように,しっ
かり水分を摂って,尿をがまんしないようにしましょう」.その結果,どれほど多く
の患者が頻尿や夜間頻尿になっておられるか,ご存知だろうか.大阪泌尿器科臨床
医会のアンケート(2008年)によれば,泌尿器科医を訪れる患者の約半数が頻尿・夜
間頻尿を訴えて受診されている.そしてその約半数は,薬物治療ではなく,生活習
慣を見直すことにより症状が改善する.適切な水分摂取量はどのくらいか,そして
適切な摂取時間はいつかなどを知っておかなければ,患者を正しく指導することは
困難である.この特集を開いていただければ,きっとその答えがみつかる.
本特集では,日常診療でよく遭遇する泌尿器科疾患にスポットを当て,現在のわ
が国の第一人者に,わかりやすく解説していただいた.多くの素晴らしい執筆者の
先生方にご協力いただいたことに,深く謝意を表するとともに,この特集が日常診
療の役に立つことを願ってやまない.

黒田秀也 泌尿器科くろだクリニック(大阪府) 院長

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今月の視点(黒田秀也)
患者説明用資料(カラーページ:配布用コピー可)(黒田秀也)
■座談会
本当は難しい女性の膀胱炎の診断と治療-たかが膀胱炎,されど膀胱炎-(黒田秀也,他)
■頻尿・夜間頻尿の診かた
頻尿はなぜ起こる-こんなにある頻尿の原因-(後藤百万)
夜間頻尿をどう診るか-複雑な病態へのアプローチ-(大岡均至)
睡眠障害と夜間頻尿(和田直樹,他)
■過活動膀胱の診かた
過活動膀胱の診断と治療-何と,わが国の患者数800 万人!- (高尾徹也,他)
コラム:知っていないと診断できない! 間質性膀胱炎(上田朋宏)
■尿失禁の診かた
尿失禁の種類と治療-なぜ漏れる? どう止める?-(巴ひかる)
コラム:尿失禁を科学する!-多業種で取り組むおむつ外し- (鈴木基文,他)
■男性下部尿路症状(Male LUTS)の診かた
Male LUTS とは何か?(井川靖彦,他)
前立腺肥大症の最新知見-ここまで進んだ薬物療法と手術療法-(咲間隆裕,他)
前立腺肥大症と前立腺がんをどう鑑別する?- PSA 検診の重要性-(伊藤一人)
コラム:前立腺がんの最新治療(八尾昭久,他)
コラム:前立腺生検の実際-前立腺生検は痛い?― (西村和郎)
コラム:慢性前立腺炎と慢性骨盤痛症候群-症状とその治療法-(辻村 晃,他)
■血尿の診かた
肉眼的血尿と顕微鏡的血尿 -尿潜血だけなら放置しておいて大丈夫?-(磯谷周治)
■女性の尿トラブル110 番
こんなときには,女性泌尿器科に紹介を!(関口由紀)
意外に多い! 骨盤臓器脱(加藤久美子)
■よくある質問& 回答
寝る前に水分を摂ると血液がサラサラになり,脳梗塞の予防になるって本当ですか?(横川晃治)
テレビではしきりに飲水を勧めるけれど,1 日に必要な水分量はどのくらいでしょうか?(守山敏樹)
1 日何回くらいおしっこに行くのが普通ですか?尿意を催したらすぐに排尿するのがいいのでしょうか?また尿を我慢すると膀胱炎になりやすいとか,1 度膀胱炎になると何度も繰り返すって本当ですか?(竹山政美)
夜間に何度も尿に起きて多く尿が出ます.夜の尿をどう減らせばいいのでしょうか? また,夜間に尿が出た場合,水分補給をするほうがよいのでしょうか?(木戸 晃)
冷たい水をさわると急に尿に行きたくなり,トイレに駆け込みます.これは病気ですか? どうすれば治るのでしょうか?(池上浩規)
子宮がんの手術を受けた後,尿が出にくくなったり,漏れたりするようになりました.どのような治療をすればよいでしょうか?(島田 誠,他)
心因性頻尿とは,どのような病態でしょうか?ほかの頻尿と鑑別する方法と,治療法について教えてください(髙橋さゆり)
PSA が4 以上になった患者の全員に生検が必要ですか?生検の適応決定について教えてください(岩澤晶彦)
尿管結石といわれましたが,血尿もなく痛みもありません.石は痛いと聞いていますが,痛くなければ放置しておいていいのでしょうか?(長谷川 徹)
ED 治療薬の具体的な使い方について教えてください.処方に際してはどのような検査が必要なのでしょうか?また,処方の際に注意すべき疾患について教えてください(石川泰章)


≪Series≫
再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(50)
網膜再生(渡辺すみ子)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(53)
心房細動の薬物治療-リズムコントロールかレートコントロールか- (木村裕一郎,他)


≪Contribution≫
TOPICS:乳がんの治療戦略と薬物療法の役割(化学療法・ホルモン療法・分子標的薬)(高野利実,他)

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2,750円
特集:乳がん診療最前線
-かかりつけ医に必要な基本知識と刻々と変化する最新TOPICS集!-


≪今月の視点≫

ピンクリボン運動をご存知の方は多いと思う.乳がんの啓発のために,患者,その家族,友人,企業,医療者が力を合わせて乳がんと闘い,そして撲滅させることが目的の社会的活動である.ところで,多くの人々がともに力を合わせて乳がんと闘うためには,お互いが共通の知識をもつことが大切と感じている.そのために,本特集号ではわが国における乳がんの現状と今後の展開を,厳選された執筆者の方々に,乳がん診療を専門としない医療者の方々にもわかりやすいように解説していただくようお願いした.
各論の話題は最新の乳がん診療の基本であり,その基礎的背景を理解する必要がある.基礎から臨床へ多くのヒントがもたらされ,実際に診療に役立つことが多い.すなわち,乳がんは生物学的な特徴から,遺伝子,あるいは関連タンパクの発現により分類可能で,がんの特徴を十分に解析して,その治療を集学的に行える疾患である.局所病としての乳がんには局所療法としての外科治療,放射線治療を最大限活用し,全身病としての乳がんには薬物治療を適切に行うことが重要である.本号を編集するに当たり,ご多忙にもかかわらず執筆の労をおとりいただいた諸兄に心から御礼を申し上げる.多くの医療者の方々に最新の情報を理解していただければ,患者とその家族は,強い味方を得て病魔と闘えるものと信じている.

佐伯俊昭 埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科 教授

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今月の視点(佐伯俊昭)

■総 論
乳がん診療最前線(佐伯俊昭)

■疫学・予防
乳がんの疫学と予防(一次予防)(菰池佳史,他)

■検 診
乳がん検診(多田 寛,他)

■精密検査・診断・モニタリング
MRI/CT(広がり診断と病期診断)(土井原博義,他)
細胞診および組織診の手技と注意点(堀口 淳,他)
病理診断とバイオマーカー(黒住昌史)
治療検査(治療モニタリングと腫瘍マーカー)(伊東大樹,他)

■治療(初期治療)
外科治療(堀口和美,他)
放射線治療の役割(野崎美和子)
補助療法の適応(大崎昭彦,他)
補助療法(ホルモン療法・化学療法・分子標的薬)(高橋將人)

■治療(進行・再発)
乳がん薬物療法に対する副作用対策,支持療法(田村和夫)

■緩和医療
疼痛緩和と医療連携(山口佳之)
心のケア(大西秀樹)


≪Series≫
温故医新(17)
乳癌治療の現況を読んで(佐伯俊昭)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(5)
初めて会う医師や看護師へ伝えたい,健康の基本情報(本田美和子)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(49)
骨髄由来間葉系幹細胞を用いた歯周病治療の開発(河口浩之 他)

医と社会のコスモロジー -歴史に学ぶ 近代日本と医師たちの課題と実践-(最終回)
子どもをめぐる医療・福祉・教育的支援の一例(小野尚香)

よりよい医院経営(74)
OTC と医師(辰口欣明)

ヒポクラテスが教える病名のない病理学(最終回)
ヒポクラテス医学の全体像とその後(中島旻保)

Contribution
TOPICS:プライマリ・ケア医が実践する担がん患者の外来・在宅栄養療法(村井美代,他)
臨床経験:縮小過程にアロマターゼ阻害薬が投与された良性転移性肺平滑筋腫の1 例(河﨑 勉,他)
臨床経験:肛門疾患術後に対する乙字湯の使用経験(中尾健太郎,他)
2,750円
特集:閉塞性動脈硬化症(ASO)
-「一生涯,自分で歩く」をモットーに…ASOの基礎から実践まで-


≪今月の視点≫

近年,日本人の食生活をはじめとする生活習慣の欧米化により,急性心筋梗塞症・脳卒中といった動脈硬化関連疾患は増加の一途を辿っています.これらの疾患は致死的な疾患であるため,国・自治体・各医療機関が協力して診療体制を構築した結果,急性期疾患の早期診断・早期治療が可能となり,予後改善につながっています.閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans:ASO)もこれら動脈硬化関連疾患の一つであり,ASOは心臓・脳血管疾患を合併する頻度が高く,また,これら心臓・脳血管疾患がASOの主な死因であります.その結果,ASOはpolyvascular diseaseとも称されており,慎重な対応が必要とされています.しかしながら,ASOは高齢者に発症する頻度が高く,整形外科疾患(とくに腰部脊柱管狭窄症)との合併も多いため,診断に難渋することがしばしばあります.また,大多数が無症候性あるいは間歇性跛行という臨床症状で経過しますが,重篤な場合,下肢切断といったさまざまな経過を辿る疾患であることからも,早期診断をはじめとする診療体制の構築が必要と考えられています.
ASOの診療には,内科医だけでも,筆者ら血管疾患を専門とする心臓血管内科医,高血圧症・糖尿病・脂質異常症・腎臓病を専門とする先生や禁煙指導医がASO診療に携わっています.さらに,血管外科や形成外科,放射線科の先生には,診療の初期段階から治療に至るまで,さまざまな形で診療に携わっていただいています.また,近年注目されていますフットケアにおいては,皮膚科医とともに看護師が中心的役割を担っており,ASO診療には欠かせない存在であります.また,検査・放射線技師は,初期診断から治療,治療後の評価まで,常にわれわれ医師とともに従事していただいています.
上述しましたように,プライマリ・ケア医のみならず,各専門医をはじめ多くの医療従事者がかかわり協力することで,ASO診療が可能となります.そこで本特集では,ASO診療に従事する各専門医・看護師・検査技師・義肢装具士・企業の方々に,各々専門的観点から「ASOを診る」を主題に解説していただきました.この特集により,「ASOの診断から治療まで」と,「ASOの早期発見」の重要性を十分に理解していただけるものと確信しております.
最後に,読者の皆様に,本書をきっかけに少しでもASOへの診療に興味をもっていただき,そして,本書がASOのハンドブックとして,わずかでも皆様のお役に立てればと願っています.
国立循環器病研究センター心臓血管内科部門血管科 岡島年也


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今月の視点(岡島年也)

■患者説明用資料(岡島年也)

■総 論
閉塞性動脈硬化症 (ASO)とは-ASO? PAD? どちらが正しい医学用語?-(松尾 汎)
原因と予後-ASO は重篤な疾患であるか否か?-(大平篤志)

■診 断
下肢症状の診察手順-下肢動脈疾患を正確に鑑別するためには…-(岡島年也)
コラム「Q. ABI や血管エコー検査をしてみたいのですが…専門じゃなくてもできるでしょうか?」(大西秀行,他)
神経性間欠跛行との鑑別法(鳥畠康充)
ABI と運動負荷試験-ASO を早期診断するために-(岡島年也)
血管エコー検査-無侵襲検査としての役割-(吉牟田 剛)
CT と MRI による下肢動脈評価-ここまで進んだ画像診断法-(東 将浩)
血管造影検査-ASO 診断の golden standard に変わりはないか?-(福田哲也)
コラム 「Q. 画像診断法は,どのように使い分け,検査依頼すればいいのでしょうか?」(松尾 汎)

■治 療
治療方針のたて方-総論-(岡島年也)
誌上パネルディスカッション1:禁煙をはじめとする動脈硬化性因子の管理 -ASO の診療は,血流障害だけではない!-
・禁煙専門医の立場から-リスクとしての喫煙,治療としての禁煙-(岡村智教)
・高血圧症専門医の立場から(岩嶋義雄,他)
・糖尿病専門医の立場から-動脈硬化性因子の管理-(泰江慎太郎,他)
・脂質異常症専門医の立場から(岩本紀之,他)
・腎臓内科専門医の立場から(中村敏子)
薬物療法-下肢虚血改善と polyvascular disease 発症予防の両視点から-(原田光一郎)
運動療法-「継続は力なり」の精神で-(吉牟田 剛)
誌上パネルディスカッション2:フットケア-血流改善だけではなく,足自体の管理・治療が大事!-
・皮膚科専門医の立場から(矢野登志恵)
・看護師の立場から(中屋貴子)
血行再建術-カテーテル治療-(熊倉久夫)
血行再建術-外科的治療-(井上芳徳)
LDL アフェレシス(岩本紀之,他)
血管新生療法-現在と未来-(森谷純治,他)
下肢・足趾切断術- QOL 維持のために…形成外科医の立場から-(牧口貴哉,他)
コラム「Q. ヨード造影剤が使えない! 腎機能が悪い! そのような場合はどうすればいいですか?」(静 毅人)

■企業での取り組み
フクダ電子株式会社(津田愼一)
ザニテーツハウス POSC(渡部匡朗,他)

≪Series≫

温故医新(16)
今も昔も,大事な事は『木を見て森を見ず』(岡島年也)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(4)
患者・家族へ贈る,医療紛争回避のためのコミュニケーション・ヒント(稲葉一人)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(48)
細胞シート工学による粘膜再生(近藤 誠,他)

医と社会のコスモロジー -歴史に学ぶ 近代日本と医師たちの課題と実践-(7)
感染症対策と近代(小野尚香)

よりよい医院経営(73)
中国上海の日本人向け医療機関事情(林 啓一)

ヒポクラテスが教える病名のない病理学(39)
医学観・養生訓・診療所(中島旻保)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(52)
血漿 BNP 濃度計測は心不全臨床の有用なツールである(上村大輔,他)

News & Trend
TOPICS:内因性ナトリウム利尿ペプチドの虚血組織血管新生促進作用(徳留 健,他)
2,750円
特集:「眠れない」を解決する
-睡眠障害にまつわる身近な疑問から各症候まで徹底解説!-


≪今月の視点≫

生活習慣の3大要素といえば「食事」,「運動」,「睡眠」である.前2者の重要性は,これまで多く研究され,生活習慣病対策における生活指導・特定保健指導の場で主要なポイントとなっている.第3番目の「睡眠」については,最近10年で多くの疫学的研究がなされ,生活習慣病との関連が明らかになってきた.睡眠時無呼吸症候群,睡眠不足や不眠が,高血圧や糖尿病発症の引き金や悪化要因となることが報告されている.さらに,睡眠不足や不眠がうつ病のリスクを高めることもわかった.このため,生活習慣病対策・心の健康対策として睡眠保健を推進することの重要性が高まっている.
このように「睡眠」がクローズアップされ,その重要性は認識されるようになった.しかし,一般的なテレビ番組などで取り上げられるレベルの知識は広まっているものの,医療従事者であっても正確な知識と情報をもっているわけではないのが現状である.
今回は,『「眠れない」を解決する!─睡眠障害にまつわる身近な疑問から各症候まで徹底解説!─』と題して,特集を企画した.睡眠障害の社会・身体疾患・精神疾患に対するインパクト,小児や高齢者など特別に注意をはらうべきポピュレーションにおける睡眠,鑑別診断と実践的な治療について,それぞれの第一人者の先生方に執筆していただいた.さらに,臨床医が患者からよく受けるトピックを選び,睡眠を専門としない医師でもわかりやすく患者に説明できるように専門の先生に解説していただいた.現在の日本において考え得る最高の方々に執筆していただけたことを幸せに思う.一つひとつが独立して各トピックに関する最新の総説であり,本特集全体で睡眠医学の重要なポイントが網羅されたと思う.本特集が臨床の一線で活躍されている先生方に,不眠についての理解を深めていただく機会を提供できれば幸いである.

内山 真 日本大学医学部精神医学系 教授


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今月の視点(内山 真)

■総 論
現代における睡眠障害(林 純,他)
不明熱(宮原雅人,他)
痙 攣(徳田安春)
リンパ節腫脹(原田芳巳,他)


■総 論
現代における睡眠障害(土井由利子)
睡眠障害が身体に及ぼす影響(永井道明,他)
睡眠障害が精神に及ぼす影響 (相良雄一郎,他)

■ライフステージ別の睡眠
小児の睡眠(岡 靖哲,他)
高齢者の睡眠とその障害(三島和夫)

■身につけたい最低限の鑑別診断
ベッドに入っても眠れない(田ヶ谷浩邦)
日中なのに眠い(伊東若子,他)
睡眠中に寝ぼけて行動してしまう(千葉 茂)

■治 療
不眠症:薬物療法(内村直尚)
不眠症:非薬物療法(宗澤岳史)
レストレスレッグス症候群(RLS)・周期性四肢運動障害(PLMD)(水野創一,他)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)(赤柴恒人)
概日リズム睡眠障害(CRSD)-睡眠相後退型(DSPT)・睡眠相前進型(ASPT)-(早川達郎)
レム睡眠行動異常症(宮本智之,他)
睡眠時遊行症(神山 潤)
睡眠関連食行動障害(駒田陽子,他)
ナルコレプシー(谷口充孝)

■よくある質問&回答
きちんと睡眠をとっているのに日中眠いのは病気?(粥川裕平)
市販の睡眠改善薬と処方してもらえる薬の違いは?(青木公義,他)
いびきや歯ぎしりも睡眠障害なの?(河野正己)
睡眠不足がメタボにつながるって本当?(吉田 祥)
寝酒はしてもいいの?(山本隆一郎,他)
本当にベストな睡眠時間って何時間?(碓氷 章,他)
金縛りも睡眠障害?(石束嘉和)
睡眠薬は癖になりますか?(角谷 寛)
薬をやめるタイミングとその方法は?(内山 真)
夢をみていたり,うとうとしている時間は眠りに入りますか?(中島 亨)
睡眠時間を短くする方法はありますか?(小林敏孝)
眠ると記憶力がよくなるって本当?(栗山健一)
メラトニンによる不眠治療について教えてください(塚田恵鯉子,他)



≪Series≫

温故医新(14)
不眠症治療の今昔(内山 真)

医療を適切に受けるためのポライトネス・ストラテジー(2)
患者さんに QOL を使ってもらおう(矢吹清人)

医と社会のコスモロジー -歴史に学ぶ 近代日本と医師たちの課題と実践-(5)
医療宣教師と近代の医療福祉(小野尚香)

よりよい医院経営(71)
遠隔医療の動き② ―退役軍人病院で行われる“Tele-health”の試み―(林 京子)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(46)
中枢神経の再生(緒方 徹,他)

ヒポクラテスが教える病名のない病理学(37)
医術と箴言について(中島旻保)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(51)
降圧薬としてACE 阻害薬とARB はどちらが優れているか? (石上友章,他)

Contribution
臨床経験:全身浮腫・胸水貯留・労作時呼吸困難などの心不全症状を合併するも,ステロイド薬投与にて著明な改善を認めた亜急性甲状腺炎の 1 例 (石橋正太,他)
2,530円
特集:あの疾患・治療はどうなった?
-時を経て今どのような位置づけになったか,専門家が解説!-


≪今月の視点≫

医学の進歩は著しく,病因・病態の解明による新たな疾患概念の提唱,新しい治療法の開発,また生活習慣,環境の変化あるいは自然発生による新しい疾患の出現・流行などにより,一般社会はもとより医学・医療界の話題の中心も日々変遷していく.一方,一時期に話題となった疾患や一世を風靡した治療で,現在は話題となる機会が減少した疾患・治療法も多数あるが,これらの現在的な意義や位置づけを知ることは,一般医家の診療にとって重要と思われる.たとえば,「かつて世間で大騒ぎとなった狂牛病の現状はどうなったのか,牛肉は安心して食べられるのか?」,「生物製剤出現後の関節リウマチに対する金療法,ステロイド療法はどのような位置づけなのか?」(本特集中の該当論文を参照のこと)などの自然な疑問を思い浮かべていただければと思う.それらのなかには,事実上消滅した,または予防体制が確立したために現在ではほとんど鑑別対象とならない疾患や,ほかのより優れた治療に置き換わったため適用とならない治療もあれば,現在でも日常診療にとって一定の位置を占める(ある意味で定着した)ので話題とならなくなった疾患や治療法もあるだろう.しかし,該当する領域の専門家でない一般医家にとっては,このような疾患・治療を逐一フォローアップすることは困難を伴い,事実上現在における意義や位置づけを知る機会は少ないのではないだろうか.
本特集は,このような疾患や治療の現在における位置づけを,その領域の専門家に論じていただくことで,一般医家の診療や予防活動に役立てていただくことを目的としている.すなわち,「以前は一般的だった(流行した)あの疾患・治療は今どうなったの? どのような位置づけがあるの?」という一般医家の疑問に対して,その領域の専門家の助けを借りた再認識の機会を提供することが企画の趣旨である.
しかしながら,このような企画の必然として,多領域のテーマを集めた「オムニバス形式」とならざるを得ず,この形式では,取り上げた疾患・治療が一般医家にとって興味があり役立つものか,また本来取り上げるべき対象が欠けていないかどうかは,常に念頭に置くべき課題となる.この点は,本誌の多くの編集委員の先生方のご意見を集約して企画案を作成することで,この選択基準の問題をブレークスルーしようと努めたが,まだ不十分な点があることは否めないと思われる.この点,本企画の編集幹事である私の力不足に関しては叱責を覚悟しているので,読者の方々の率直なご批判をいただきたい.逆に,本企画が日常臨床に少しでも役立てば,望外の幸いである.

渡辺 毅 福島県立医科大学腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科(第3内科)教授


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今月の視点(渡辺 毅)

■あれは今どうなった?
結核(山岸文雄)
ハンセン病(四津里英 他)
脚気(橋詰直孝 他)
狂牛病(皆川洋子)
家畜・野生動物・人間と口蹄疫(岡本嘉六)
内分泌攪乱物質(柳瀬敏彦)
ドクターヘリ運航と課題(坂本照夫)
■あの治療の現在の位置づけは?
【糖尿病】ビグアナイド(能登 洋)
【糖尿病神経障害】アルドース還元酵素阻害薬(堀田 饒)
【高血圧】レセルピン(青木英彦 他)
【妊娠中の高血圧】メチルドパ・ヒドララジン(吉田 純)
【脂質異常症】プロブコール(横手幸太郎)
【脳梗塞】発症後のリハビリテーション・ラジカルスカベンジャー(及川博隆 他)
【胃潰瘍・慢性胃炎・逆流性食道炎】PPI 登場以前の胃薬(引地拓人 他)
【虫垂炎】「薬で散らす」の功罪(小鹿雅博 他)
【慢性肝炎】小柴胡湯(山川淳一 他)
【慢性腎炎・腎不全】抗血小板薬,レニン・アンジオテンシン系阻害薬(武田之彦 他)
【関節リウマチ】ケナコルト注射・金製剤(大野 滋)
【喘息・慢性気管支炎】タンパク分解酵素薬(大林王司 他)
【感染症】古典的な抗菌薬(ペニシリン・バンコマイシン・ST 合剤・メトロニダゾール)(大城雄亮 他)
【かぜ】総合感冒薬・鎮痛薬(小児での使用)(小口敬伸 他)
【中耳炎】鼓膜切開(吉田友英)
【うつ】抗うつ薬(仙波純一)
【多発性骨髄腫】サリドマイド(畑 裕之)
【更年期障害】ホルモン補充療法(高田恵子 他)



≪Series≫

温故医新(12)
内科医たりとも肛門や子宮の内診を忽せにすることはできない(雨森正洋)

医療ポライトネス・ストラテジー(12)
医師-患者関係を構築するコミュニケーションにおけるポライトネス理論の役割 (石崎雅人)

医と社会のコスモロジー -歴史に学ぶ 近代日本と医師たちの課題と実践-(3)
「お雇い外国人」と近代医学教育(小野尚香)

よりよい医院経営(67)
訪問看護ステーションと医療機関との連携(野島あけみ)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(44)
細胞移植:心臓病における臨床応用への潮流(五條理志 他)

ヒポクラテスが教える病名のない病理学(35)
腺・肉質について(中島旻保)

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